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屈折矯正手術セミナー:ICL術後診察のポイント

2024年6月30日 日曜日

●連載◯288監修=稗田牧神谷和孝289.ICL術後診察のポイント後藤田哲史中京眼科後房型有水晶体眼内レンズであるCICLは毛様溝に固定されるため,水晶体.内に固定する白内障手術とは異なる視点で術後診察を行う必要がある.ICL挿入眼の増加に伴い,屈折矯正専門施設だけでなく,一般の病院・クリニックでもCICL挿入眼の患者を診る機会が増えることが想定されるので,ICL術後診察のポイントを事前に把握しておくことが肝要である.C●はじめにIntraocularCcollamerlens(ICL)挿入術は,近年,レンズ自体の進歩,インフルエンサーのCSNSなどでの情報発信,術後合併症の大幅な改善により,屈折矯正手術の主流になりつつある.JSCRSCClinicalSurveyでも,「現在行っている屈折矯正手術」と「今後有用と思う屈折矯正手術」という設問に対し,どちらも「ICL挿入術」の回答が最多であった1).わが国における近視人口の増加も相まって,本稿読者がCICL挿入後の患者を診る機会も増えると思われる.今回は,ICL挿入術の術後に行う各種眼科検査別に,術後診察のポイントを解説する.C●細隙灯顕微鏡検査,眼底検査受診時に毎回細隙灯顕微鏡検査にて前眼部所見,vault(ICLと水晶体との距離),レンズのポジショニングなどを確認する.前眼部所見に関しては,炎症の程度,感染症の有無,レンズ脱臼の有無など,ICL挿入術に伴う合併症がないか詳しくチェックしていく.Vaultは細隙灯顕微鏡検査でも定性的に評価できるが(図1),後述するように前眼部光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)を用いれば,正確にCvaultを定量可能である.また,ICL挿入眼はもともと強度近視眼が多く,黄斑部病変や周辺部変性を含んだ網膜疾患,緑内障を合併しやすいことから,定期的に眼底検査も行う.トーリックICLで裸眼視力が出にくくなったり,自覚屈折に乱視が残っていたりした場合は,散瞳して乱視軸を確認することが望ましい.レンズ回旋により乱視矯正効果が低下し,裸眼視力の低下がみられれば,再手術にて軸ずれを補正することを考慮する.C●視力検査,屈折検査まずは視力検査にて,どれだけ裸眼視力,矯正視力が(81)C0910-1810/24/\100/頁/JCOPY図1ICL挿入眼の術後前眼部所見細隙灯顕微鏡のスリット幅を細くして,観察軸からC30.45°の位置からスリット光を入れて,中心角膜厚と比較することで評価できる.出ているか,球面レンズ/円柱レンズ度数がどれだけ入るか,そしてそれらの数値が術前の狙いどおりか,患者自身はその見え方に満足しているかを確認する.予測より過矯正になると眼精疲労や頭痛を訴えることが多く,低矯正になると実際の裸眼での見え方が落ちる.また,ICL挿入術はCLASIKと比較して再近視化(リグレッション)しにくいとされているが,長期経過とともに近視が進むリスクは否定できない.術後長期における再近視化のリスクとして,手術時の年齢が高い,眼軸長が長い症例が報告されている2).対処としては,まずはコンタクトレンズなどで検眼時シミュレーションを行い,必要に応じてエキシマレーザーによるタッチアップ手術やCICL度数交換手術を考慮する.C●眼圧検査術直後眼圧が高い場合は,粘弾性物質が眼内に残存しあたらしい眼科Vol.41,No.6,2024685図2図1と同一症例の前眼部OCTVaultはC457Cμm(0.91CT)であり,角膜・ICL・水晶体の位置は良好である.ている可能性が高い.必要に応じて眼圧下降治療(点眼・内服・前房洗浄など)を行う.ICLのサイズが大きく,器質的隅角閉塞を生じている場合は,ICL摘出を考慮する.術後しばらくしてからの眼圧上昇は,術後のステロイド点眼による影響も考えられる.一方,術直後眼圧が低い場合は創口閉鎖不全の可能性があり,前房形成の有無,創口からの漏出の有無をチェックする.C●前眼部OCTによるvaultの測定・評価ICL術後診察において,vaultの評価はもっとも重要な項目といえる.ICL独特の評価項目でもある.最適vaultは中心角膜厚(cornealthickness:CT)と同じC500Cμm(1CT)程度であり,250.750Cμm(0.5.1.5CT)の範囲内が適切とされている(図2).術翌日からCvaultがC250μm(0.5CT)未満であればClowvaultと分類する.ICLと水晶体の距離が近いことで物理的な接触や房水循環不全が生じ,白内障の発症リスクも高くなるが,holeICL(貫通孔付きのCICL)になってからはそのリスクは著明に減少している.自覚症状によるが,ICLと水晶体の距離が近すぎたり,白内障を認めた場合は,必要に応じて①CICL摘出,②垂直固定なら水平固定にレンズ回旋(ICLが固定される毛様溝は解剖学的に縦方向に長い楕円形となる形状をしているから),③CICLをC1Csizeupにて摘出・交換し,白内障手術を行う.術翌日からCvaultがC750Cμm(1.5CCT)より大きければChighvaultと分類する.通常,時間経過とともにCvaultは低下していくので,眼圧上昇や角膜内皮細胞密度低下に注意して経過観察を行う.角膜と虹彩の距離が近すぎたり,眼圧上昇,角膜内皮細胞機能障害を生じれば,ICL摘出,水平固定なら垂直固定にレンズ回旋,ICLをC1sizedownにて摘出・交換を行う.C686あたらしい眼科Vol.41,No.6,2024図3Highvaultにてレンズ位置修正を施行した症例(再手術直前の前眼部OCT)ICLが固定される毛様溝間距離は,横に比べ縦のほうが長い形状をしている.本症例はCnon-Toricであり,水平方向にレンズが固定されていたため,再手術にてレンズを垂直方向に回旋させるだけで,vaultが再手術前C861Cμm(1.72CCT)から再手術後C418Cμm(0.84CT)となり正常化した.C●角膜内皮細胞密度検査筆者のクリニックでは,術翌日,1カ月,3カ月,6カ月,1年のタイミングで角膜内皮細胞密度検査を施行している.前房型有水晶体眼内レンズでは長期的に角膜内皮機能低下が問題になることが少なくないが,後房型のCICLでは長期経過後も問題となりにくい3).しかし,ICL挿入術はやはり白内障手術と同じ内眼手術であり,定期的な経過観察が重要である.経過観察中に著明な内皮減少がみられた際は,適宜レンズを摘出することも考慮する.C●おわりにICL挿入術はCLASIKなどの角膜屈折矯正手術と比べ比較的歴史が浅いが,ここ数年新たな合併症の報告はなく,安全性や有効性が確立されつつある非常に完成度の高い術式となっている.日常外来でも今後CICL挿入眼に遭遇する機会が増えていくことが容易に予想されるので,本稿を屈折矯正分野以外の先生方にもご一読いただきたいと考えている.文献1)佐藤正樹,田淵仁志,神谷和孝ほか:2023JSCRSClinicalSurvey.CIOL&CRS37:358-381,C20232)SandersDR,DoneyK,PocoMetal:UnitedStatesFoodandCDrugCAdministrationCclinicalCtrialCofCtheCimplantableCcollamerlens(ICL)forCmoderateCtohighCmyopia:three-yearfollow-up.OphthalmologyC111:1683-1692,C20043)PackerM:TheCEVOCICLCforCmoderatemyopia:ResultsCfromCtheCUSCFDACclinicalCtrial.CClinCOphthalmolC16:C3981-3991,C2022(82)

コンタクトレンズセミナー:英国コンタクトレンズ協会のエビデンスに基づくレポートを紐解く コンタクトレンズの光学設計(前編)

2024年6月30日 日曜日

■オフテクス提供■6.コンタクトレンズの光学設計(前編)松澤亜紀子聖マリアンナ医科大学,川崎市立多摩病院眼科土至田宏順天堂大学医学部附属静岡病院眼科英国コンタクトレンズ協会の“ContactCLensCEvidence-BasedCAcademicReports(CLEAR)”の第C5章は,コンタクトレンズの光学設計について解説している.今回はその前半を紹介する.はじめに現代のコンタクトレンズ(CL)は,透明な軟質または硬質ポリマーで作られており,CLを装用することにより眼の光学的距離を変化させる.歴史的にこれらのレンズは球面度数や正乱視または不正乱視などの屈折異常を矯正してきたが,近年は老視矯正や近視進行抑制など,さらに高度な目標をめざしている.社会が進歩するにつれて,CL技術は単に視力矯正を行うだけでなく,さらに多くの目的に広がり,それに伴いCCLの製造,計測,処方も進歩する必要が出てきた.眼の光学設計の概要眼の構成要素である眼軸長や曲率,屈折率により低次収差(近視,遠視,乱視)が生じ,不均一な涙液層や角膜,水晶体などの高度に変形した屈折面は,高次収差(球面収差,コマ収差など)を生じる.球面収差は,光学中心から周辺に向かって放射状に対称な度数変化が生じており,CLや眼球構造に存在している.眼の屈折面は,お互いに偏心したり傾いたりすること,瞳孔がわずかに鼻上方に偏位していることにより,回転対称ではない収差(コマ収差,矢状収差)が生じ,網膜像に悪影響を及ぼしている.CLは,偶然または光学設計により,これらの低次収差や高次収差を補正したり,逆に誘発することがある.加齢に伴う眼の変化人の光学系は,生涯を通じて変化する.とくに生後C1年以内は角膜径と角膜曲率半径の増加,角膜乱視の減少,水晶体径の増加と水晶体厚の減少,眼軸の大きな伸長がみられる.これらの変化は,正視化プロセスの一環としてC10~15歳まで生じている.若年および中年期には,水晶体の光学系は角膜乱視と単色の高次収差を補正することで,眼球全体の光学系を(79)C0910-1810/24/\100/頁/JCOPY最適化している.その後,水晶体の直径と厚みが増加し続けることにより,水晶体前後面の曲率は増加するが,水晶体自体の屈折率変化によって補正され,水晶体全体の屈折率は比較的保たれる.しかし,加齢により水晶体が硬化すると老視が進み,角膜と水晶体との間の収差の補完が失われ,眼の高次収差も増加する.現代的なコンタクトレンズのデザイン1.球面球面単焦点レンズは,遠視または近視を矯正するために処方されている.球面ハードCCL(HCL)は角膜中央にレンズ下涙液層が存在するため,最大約C2Dの角膜乱視を矯正することができる.ソフトCCL(SCL)の大部分は角膜表面を覆うため,最大でC1Dの屈折乱視をもつ患者でも角膜正乱視を補うことが可能であるとされている.しかし,0.75D以上の乱視の場合には,乱視用CSCLのほうが球面のみの補正よりも視力が良好であったという研究結果が示されている.また,SCLの場合は,レンズ度数によっては球面収差が生じることで装用者の視力に悪影響を与えるだけでなく,球面収差のあるCSCLが眼の視軸から偏心するとコマ収差が誘発され,視覚に大きな影響を与える.C2.非球面球面レンズに共通する収差の問題に対処するために,球面収差のレベルを制御することをめざした非球面プロファイルが作成された.その多くのレンズは,平均集団から得られた球面収差を補正することで全体的な収差を低減するようにデザインされている.そこでは球面収差のレベルを平均瞳孔径と相関させて軽減しているため,低光量で瞳孔が大きい条件下では,多くの装用者で遠方視力の質を改善できる可能性がある.ただし,コマ収差やトレフォイルなどの非対称性の収差は非球面レンズであたらしい眼科Vol.41,No.6,2024C683表1乱視用コンタクトレンズのデザイン光学ゾーン内に垂直プリズムプリズムバラストレンズ下方を厚くする0.81~1.12が誘発されるレンズ下方の限局した部分デザインにより光学部のプリペリバラストをプリズムで厚くする0.52~0.96ズム効果が減弱するレンズ上方と下方を薄くし光学プリズムによる影響がほダブルスラブオフ3時-9時方向を厚くする<0.03とんどないは補正できない.C3.乱視用乱視を矯正するために,垂直に交差した異なる二つの曲率半径のあるトーリック面がCCLの前面,または前面と後面に配置される.HCLを角膜乱視眼に装着する場合には,曲率半径の違いにより角膜上での軸安定性が向上するが,SCLではレンズ後面にトーリック面を配置しても軸安定性の向上にはつながらず,低弾性率のSCLではレンズ後面と角膜が適合し,トリシティがレンズの前面に転写されてしまう(プリントスルー効果).SCLおよび前面トーリックCHCLでは,レンズの乱視軸を角膜上で安定させる必要がある.安定させるために,プリズムバラスト,ペリバラストまたはダブルスラブオフというレンズの厚みを変化させるデザインがある(表1).レンズの安定化機構は,レンズの非対称収差を誘発し,視覚の質の低下を引き起こすこともある.C4.多焦点多焦点レンズには非回転対称型と回転対称型があり,後者が一般的である.さらに最近では,小児の近視進行抑制のために,周辺屈折を修正する多焦点レンズも登場している.非回転対称型レンズには「交代視型」または「セグメント型」のデザインがある.交代視型はCHCLに採用されている.メガネの遠近両用レンズのような構造をしているため,十分な遠方視力と近方視力を得るために,レンズのセンタリングやプリズムバラストデザインなどによる回転制御などの工夫が必要となる.同時視型では,光線は同時に複数のゾーンを通過するため,以下のようなデザインがされている.①二つの異なる光学度数のゾーン(2焦点)②遠方と近方度数間のスムーズな移行(累進屈折)いずれのデザインでも,光学的度数の急激な移行は製造が困難である.また,同時視の場合には,網膜に焦点内像と焦点外像を同時に受光するため,焦点の合っていない像(ゴースト)によりコントラスト感度が低下するが,視力への影響は少ない.また,同時視の補正には回折型,同心円型,非球面,焦点深度拡大型などのデザインがあり,それぞれ中心近用または中心遠用となっている.おわりに今回はCCLEARの第C5章の前半を要約し解説した.CLは単に視力補正を行うだけでなく,眼の光学的な特性を補い,網膜像を最適化するが,近年はさまざまな付加価値があることも明らかとなっている.CLには,さらに高度な光学補正を可能にする余地があるのではないだろうか.文献1)RichdaleCK,CCoxCI,CKollbaimCPCetal:CLEAR-ContactClensoptix.ContLensAnteriorEye44:220-239,C2021

写真セミナー:“金粉療法”後の角膜混濁

2024年6月30日 日曜日

写真セミナー監修/福岡秀記山口剛史加山結万481.“金粉療法”後の角膜混濁東京歯科大学市川総合病院眼科図2図1のシェーマ①角膜実質深層の深さの混濁②金粉図1初診時の前眼部所見両眼の角膜実質深層の深さの混濁,浮腫,周辺部血管新生を認めた.図3図1の前眼部光干渉断層計所見角膜実質深層のCDescemet膜近くにまで及ぶ角膜混濁と一致した浮腫を認める.図4術後所見右眼深層層状角膜移植と白内障手術後.抜糸後,乱視が強いためCcompressionsutureを施行した.移植からC3年が経過.RV=1.0×HCL,左眼深層層状角膜移植後C1.5カ月.LV=(0.7C×.7.75D(cyl.2.25DCAx140°).(77)あたらしい眼科Vol.41,No.6,2024C6810910-1810/24/\100/頁/JCOPY症例は60代の女性.他院にて両眼LASIK治療の際に,「金粉療法」なるものを受けた.術後10年で両眼霧視を自覚.角膜混濁が徐々に広がり,整容面でも気になるようになったため東京歯科大学市川総合病院眼科を受診した.「金粉療法」は標準治療にはなく詳細は不明だが,すでに閉院した都内の自費診療のクリニックで老視に効果があると「金粉療法」を勧められ,LASIKと同時に角膜周辺部実質内に金色粉末を注入されたと推察された.初診時視力は右眼C0.4(n.c.),左眼0.7(0.9C×cyl.1.75DAx160°),眼圧は右眼C10mmHg,左眼9mmHg,角膜内皮細胞密度は右眼2,296Ccells/Cmm2,左眼C2,447Ccells/mmC2であった.前眼部は両眼角膜周辺部実質に金粉が埋め込まれ,同部位より中央にかけて実質深層までの混濁と角膜浮腫,周辺部血管侵入を伴う実質炎を認めた.右眼の混濁は瞳孔領にかかっていた.中間透光体はCEmery-Little分類で右眼C3,左眼C2の核白内障も認めた.角膜内皮機能が残存しているため,深層層状角膜移植の方針となった.手術では可能なかぎり輪部組織を残しつつ,角膜実質に面状に埋め込まれた金粉を周辺部角膜が薄くなりすぎないよう加減しながら除去した.病理組織検査で異物型巨細胞,Touton型巨細胞を伴う肉芽腫形成と,その周囲のリンパ球浸潤,線維化を認めた.その後,白内障手術と,連続縫合抜糸後の乱視が強いためCcompressionsutureを施行した.移植からC3年後,右眼視力はC1.0C×HCLで経過し,角膜混濁の拡大はなかった.同様に左眼深層層状角膜移植を施行し,術後C1.5カ月で左眼視力(0.7C×sph.7.75D(cly.2.25DAx140°)に改善し,今後白内障手術を予定している.角膜内金属沈着にはさまざまな原因がある.角膜鉄片異物により角膜実質に沈着する角膜鉄症や,かつての放射状角膜切開術後や角膜移植後による角膜上皮基底部への鉄の沈着,また,銀が角膜のCBowman膜,実質およびCDescemet膜内に沈着し,変色の原因となった宝飾品加工職の症例報告がある1).ほかには眼内異物によりDescemet膜に銅が沈着する角膜銅症や,かつてのトラコーマ治療で硝酸銀点眼により銀が実質深部からCDesC-cemet膜に沈着する角膜銀症,そして,かつての関節リウマチの金製剤内服療法を原因として,角膜周辺実質深部に金が沈着する角膜金症が知られている.本症例のように直接角膜に「金粉」を入れた例はまだ報告がなく,目的も不明で実際に金であるか真偽は不明であるが,角膜実質内に埋められた金色粒子に対する慢性免疫反応により,肉芽組織の形成を経て線維性の組織が生じたと考えられる2).過去に関節リウマチの治療で金コロイド筋肉注射をされた症例では,角膜上皮,実質に黄褐色沈着物を認めたが,病理所見では炎症反応を認めず,本症例のような拡大する角膜混濁は認めなかった3).希少ではあるが,本症例のような角膜実質に金粉が埋め込まれた症例では,実質炎により角膜混濁が瞳孔近くまで拡大する前の早期に,手術で可能なかぎり除去するべきである.混濁が拡大した場合でも,深層層状移植でCDescemet膜近くまで混濁を除去すれば,整容面と視機能の改善が期待できる.文献1)DudejaL,DudejaI,JanakiramanAetal:Ocularargyro-sis:Acasewithsilverdepositsincorneaandlens.IndianJOphthalmolC67:267-268,C20192)遠藤一彦,松田浩一,安彦善裕ほか:医用金属材料の腐食と生体反応.Zairyo-to-KankyoC46:682-690,C19973)SinghCAD,CPuriCP,CAmosCRSCetal:DepositionCofCgoldCinCocularstructures,althoughknown,israre.Acaseofocu-larCchrysiasisCinCaCpatientCofCrheumatoidCarthritisConCgoldCtreatmentispresented.EyeC18:443-444,C2004

眼鏡作製技能士と眼科の連携

2024年6月30日 日曜日

眼鏡作製技能士と眼科の連携CollaborationbetweenProfessionalCerti.edOpticiansandOphthalmologist魚里博*はじめに視力補正や屈折矯正における代表的で最適手段の一つとして,眼鏡の重要性は広く認識されている.わが国におけるビジョン(アイ)ケアを担う専門職としては眼科医,視能訓練士および眼鏡技術者のいわゆる3Os(oph-thalmologist,orthoptist,optician/欧米ではophthalmol-ogist,optometrist,optician)が活躍している.近年,眼鏡技術者の分野において,従来の民間認定による眼鏡士から技能検定による国家検定制度である眼鏡作製技能士が誕生し,新たな認知度の向上とその活躍が期待されている1.4).そのためには,眼科分野との連携も重要であり,よりよい眼鏡の提供がますます望まれるところである.本稿では,近年新たに登場した眼鏡作製技能士の概要と眼科分野との連携の必要性について解説する.I眼鏡作製技能士技能士は職業能力開発促進法に基づく名称独占の国家検定制度である,働くうえで必要とされる技能の習得レベルを国が評価・認定するものである.この資格にはファイナンシャルプランナー,機械加工やウエブデザインなどの131にも及ぶ技能検定職種がある.眼鏡作製技能士はその一つで,眼科専門医との連携を含め,眼鏡を必要とする顧客が視力の補正用眼鏡などを選択し購入する際に,眼鏡店において行われる視力の測定,レンズ加工,フレームの調整(フィッティング)などの業務に表1眼鏡作製職種の定義眼鏡作製職種とは眼科専門医との連携を含め,眼鏡を必要とする顧客が視力補正用眼鏡等を選択し購入する際に,眼鏡店において行われる,視力の測定,レンズ加工,フレームのフィッティング等の業務に従事する職種.従事する職種と定義され(表1),2021年8月に創設された.資格には1級と2級があり,合格すると1級は厚生労働大臣,2級は指定試験機関の代表者名(公益社団法人日本眼鏡技術者協会の会長名)で合格証書が交付され,技能士を名乗ることができる.2024年3月現在で1級6,662名,2級1,066名の計7,728名が取得している.技能検定試験には,筆記試験と実技試験がある.前者は1.視機能系,2.光学系,3.商品系,4.眼鏡販売系,5.加工作製系,6.フィッティング系,7.企業倫理・コンプライアンスの7科目がある.実技試験には1.視力の測定,2.フィッティング,3.レンズの加工の3科目がある.試験は公益社団法人日本眼鏡技術者協会により実施される.毎年春には筆記試験が行われ,その合格者が実技試験を受験でき,秋に合格者が発表される.なお,業界内で既存の認定眼鏡士SS級以上を保持する者は,移行措置用の試験に合格すると1級が取得できる.眼鏡作製技能士は将来にわたり眼科と連携して検定試験を運営・実施するために,日本眼科学会と日本眼科医会(以*HiroshiUozato:東京眼鏡専門学校〔別刷請求先〕魚里博:〒169-0073東京都新宿区百人町2-26-10東京眼鏡専門学校0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(75)679表2眼科専門医との連携眼鏡作製技能士Ophthalmologists─試験科目及びその範囲(抜粋)─企業倫理・コンプライアンス眼科専門医との連携:次に掲げる事項について一般的な知識を眼科医有すること.1)眼の状態(眼病・眼の動き・視力)が疑わしい場合の眼科専門医への速やかな紹介および眼鏡処方箋による眼鏡調製2)幼児・学童に対する眼科専門医への紹介および眼鏡処方箋による眼鏡調製眼鏡士3)遠用若しくは近用眼鏡を初めて作製する者の眼科専門医へ(眼鏡作製技能士)の紹介,検診の推奨4)医行為,疾病等の診断に関する行為及びそれらに類する行為を行ってはならないことOpticians図1Vision(Eye)Careにおける3Osの連携

眼鏡のフィッティング

2024年6月30日 日曜日

眼鏡のフィッティングEyeglassFittingandAdjustment松本富美子*I眼鏡のフィッティング眼鏡は屈折矯正や調節異常,眼位異常を矯正する光学的治療用具として汎用される.しかし,眼鏡レンズを正しく保持するための眼鏡フレームの選択やフィッティングについては眼鏡店に任せがちである.累進屈折力眼鏡の装用では,眼鏡のフィッティングは見え方の不具合に直結する.過去の累進屈折力眼鏡についての調査では,多数の不適切なフィッティング例があったと報告されている1).患者が眼鏡の不具合を訴えたとき,その原因が屈折度数にあるのか,フィッティング調整の不具合にあるのか,問題点を分析できるように解説する.眼鏡のフィッティング調整は技術力の高い眼鏡作製技能士が行うべきものであり,販売に特化した安価な眼鏡店ではむずかしい.累進屈折力レンズや小児の治療用眼鏡,また,頭部や顔の非対称などフィッティング調整がむずかしい症例では,技術力の高い眼鏡店を選ぶ必要がある.1.フィッティングの目的眼鏡フレームの各部の名称を示した(図1)2).眼鏡のフィッティングは眼に対して屈折度数が正しく働くように,眼鏡の重みを鼻梁,耳介の前方,後方下部の3点で支持する(図2)3).鼻パッドは鼻梁にパッド面全体が触れるようにする.鼻形状は三角錐と考えることができ,パッド面は鼻梁の傾斜が急であるほどずれやすく,なだ図1眼鏡フレームの各部名称①フロント:ブリッジと智(ち)からなるフレーム前側の総称.②ブリッジ:左右のリムの連結部分.③クリングス:鼻パッドの足の金具.④鼻パッド:鼻への固定部品.⑤リム:レンズを保持する部品.⑥智(ち):テンプルにつながるフロントの両端部分.⑦丁番(ちょうばん):フロントとテンプルをつなぐ開閉機能をもった部品.⑧テンプル:丁番から耳にかかる部品.⑨テンプルチップ:テンプルの末端で耳介後部に固定する部分.らかであるほど安定する.重みの偏りや圧迫が強すぎないように調整することが必要である.鼻梁の傾斜が急な場合には,摩擦抵抗を増すためにシリコーンなど滑りにくい素材に変更するか,パッド面積の大きな部品を使うと安定しやすい.頭部形状は丸いので,こめかみ部分にテンプルが強くあたると前方への飛び出し力が働き,耳介より後下部の側頭骨を圧迫するとずれにくくなる(図3).累進屈折力レンズの場合には,遠用部と近用部の各度数での視野を確保する必要があるため,フレームの天地*FumikoMatsumoto:溝上眼科〔別刷請求先〕松本富美子:〒656-0101兵庫県洲本市納303-5溝上眼科0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(69)673b図2フィッティングの圧迫位置a:前方より鼻パッドとこめかみ.b:側方より鼻パッドとこめかみ.c:後方より耳介後方下部.フィッティングをするときに顔を圧迫する位置は鼻パッドと耳介後方下部で,おもに重みを受ける.側頭部のこめかみあたりから耳介上方は軽く触れる程度で圧迫しすぎない.こめかみ部分に圧迫耳介の後下部に圧迫フレーム前方へ飛び出す図3テンプルの力学的要素(頭部を上方から見た図)頭部は丸いため,形に合ったフィッティング調整が必要である.a:耳より前のこめかみ部分を圧迫すると前方へ飛び出す.b:耳介の後ろ下部を圧迫すると後方へ引っ張る力になり,安定したフィッティングになる.(文献7より改変引用)後方へ引っ張る光学中心高装用時前傾角遠用2.2mm5°常用4.4mm10°近用6.7mm15°累進屈折力Fittingpoint10°頂点間距離装用時前傾角図4光学的要素水平は光学中心間距離が瞳孔間距離に一致する.側方から頂点間距離は12mmに設定する.垂直要素は,用途に従って光学中心高と装用時前傾角を連動して調整する.光学中心高:遠方視線より下げる量.装用時前傾角:垂直より前方への傾き角度.Fittingpoint:累進屈折力レンズに指定された遠用視線のレイアウト箇所.遠方視瞳孔間距離高さPrenticeの法則D*hΔD:レンズ度数P()=10h:光学中心からの距離mm例:S+2.00DS+4.00D光学中心よりも近方視1cm下方視2baseupΔ4baseupΔ図5遠方視と近方視の視線位置遠方視は正面視で平行眼位だが,近方視では輻湊し下方視するため瞳孔位置が変化する.プリズム作用や収差の影響を少なくなるように水平,高さや角度で対応する必要がある.Δ左右差2baseup図6プリズム作用瞳孔中心とレンズ光学中心が一致しない場合,Prenticeの法則に従ってプリズム作用が働く.片眼レンズでは像の位置が移動するだけであるが,両眼で働くプリズム作用に注意する.この例では右レンズが+2.00D,左レンズが+4.00Dの不同視の場合,1cm下方視をすると右に2Δbaseup,左に4Δbaseupが働き,両眼の差は左に2Δbaseupとなる.プリズム作用は両眼での相殺あるいは加算も考えて,眼に対する影響を考える.鼻より耳が高い標準的鼻より耳が低い→装用時前傾角は深い→適正→浅い図7鼻と耳の高さと前傾角の関係鼻と耳の高さの相対的な関係が前傾角に影響する.b:標準的な位置関係で,装用時前傾角は適正である.a:鼻に対して耳の位置が高い場合で装用時前傾角は深くなる.c:鼻に対して耳の位置が低いと前傾角は浅くなる.とくに浅い場合は,近用眼鏡や累進屈折力レンズの場合に近用部が使いがたくなる.a.鼻幅標準眼鏡が適正b.鼻幅狭い眼鏡が下方へ図8鼻幅とずれの関係鼻形状とずれの関係で,鼻幅が標準的な場合には適正な位置に装用できるが,鼻幅が狭いとフレームは下方にずれ,鼻幅が広いと上方にずれる.適正〇遠方視〇近方視下方へ◎遠方視×近方視遠方度数上方へ×遠方視中距離度数◎近方視近方度数図9累進屈折力レンズの見え方とずれの関係図8のようなずれが累進眼屈折力レンズ装用時に起こると,見え方に支障が出る.適正な位置では遠方視も近方視も良好に見えるが,眼鏡が下方にずれると遠方視は良好だが近方視が見えにくい.逆に,上方にずれると遠方視が見えにくくなり,近方視はよく見える.眼鏡店の方へ眼鏡の装用状態について以下の不具合がありますので,フィッテング調整をお願いします.〇見えがたいあるないある場合遠く近く〇痛み,赤みあるないある場合こめかみ(右左)耳(右左)鼻(右左)図10眼鏡フィッティングチェックシート眼鏡店に不具合を伝えるためにチェックシートの該当する箇所に〇をつける.見え方の場合には,眼鏡視力と当日の自覚的屈折検査は確認しておく.チェックの入れ方は,まず見えがにくか,ある場合には遠くか近くか.痛みや赤みがあるか,あるならその場所を〇で囲む.絵に〇をつけることでもよい.特記事項として,例のように具体的なことを書き添える.技術力が高い信頼できる店に持参して再調整をしてもらう.

遮光眼鏡の選定と処方

2024年6月30日 日曜日

遮光眼鏡の選定と処方TheSelectionandPrescriptionofAbsorptiveGlasses三輪まり枝*はじめに眼科を受診する患者には,その疾患を問わず「まぶしさ」を訴える者が多い.本稿では,その「まぶしさ」などを軽減させる遮光眼鏡を選定・処方する際に必要な基礎知識と,その手順について述べる.I遮光眼鏡1.遮光眼鏡とは遮光眼鏡とは「グレアの軽減,コントラストの改善,暗順応の補助などを目的として装用する光吸収フィルター(用語解説参照)を用いた眼鏡」と定義されている1).羞明(photophobia)やグレア(glare,用語解説参照)は,晴天時の屋外だけでなく,室内の蛍光灯やパソコンモニター,夜間の対向車のヘッドライトなどでも感じる場合があり,遮光眼鏡はこれらの羞明やグレアを軽減させる補助具として活用されている.遮光眼鏡は,患者によっては制度を利用して「補装具」として入手することができる.その制度の詳細については後述する.2.遮光眼鏡の適応羞明やグレアは,網膜疾患や視神経疾患,中間透光体混濁,虹彩欠損,前眼部での強い炎症など,幅広い眼疾患患者が訴える視覚の不調である2).また,片頭痛,眼瞼けいれん,頭蓋内疾患などでも生じることが知られているが,その詳細な機序は明らかになっていない3).現時点では,どの疾患にどの色の遮光眼鏡が適しているかなどの疾患による特異性は低く,個人によるばらつきが大きい4).そのため,見えにくさによって日常生活に困難を感じている患者には,一度は遮光眼鏡を試してみることを推奨する.II遮光眼鏡の選定・処方に必要な基礎知識1.短波長光の散乱人間の網膜が感知できる波長約380.780nm(ナノメートル)の可視光線(図1)のうち,紫外線により近い短波長側である紫.青色の光がヒトの眼にとって羞明やグレアを引き起こす原因の一つとして考えられている.短波長光は高エネルギーであり散乱しやすいという特徴があり,角膜混濁や白内障,前房フレア(.are)などで散乱した光が網膜に達した際,物体像のコントラストを低下させてしまうためである5).遮光眼鏡はこの短波長領域の青色光線を選択的にカットし,その散乱を抑え,錐体の比視感度の高い中波長光(555.nm付近)は透過させるという特徴がある2).2.分光透過率と視感透過率分光透過率(用語解説参照)とは,レンズが「どの波長を,どの程度透過しているか」を表したものである.図1に示したレンズ①とレンズ②の可視光線領域の透過率は,同じく約50%であるが,透過している波長とその割合は異なっている.レンズの特徴は,分光透過率曲*MarieMiwa:埼玉医科大学病院眼科〔別刷請求先〕三輪まり枝:〒350-0495埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38埼玉医科大学病院眼科0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(55)659透過率(%)100レンズ①レンズ②500ab図2遮光眼鏡を通した見え方a:CCP400-AC(東海光学)装用により,白背景に薄いグレー印字のコントラストが改善した例(②).b:CCP400-FL(東海光学)装用.白地に赤文字のコントラストが低下している(②).c上段:偏光レンズ(グレー)は色の見分けがつきやすい.c下段:オレンジ・赤色系の遮光眼鏡は,信号機などの色の区別がつきにくい場合がある.ac図3トライアルレンズa:東海光学・STGフルトライアルキット(板状).b:東海光学・STGテストレンズキット(検眼枠に差し込んで使用).c:HOYARetinexトライアルセット(板状).図4遮光眼鏡の処方までの流れ(例)表1ニーズ聞き取りのチェック項目屋外まぶしさ程度(+)(++)天気晴れ曇天天気にかかわらず季節春・夏・秋・冬時間帯朝昼夕方夜間一日中場所など外出先通勤時洗濯干し西日など夜間の照明雪面その他室内まぶしさ程度(+)(++)天気晴れ曇天天気にかかわらず季節春・夏・秋・冬時間帯朝昼夕方夜間一日中場所など部屋(位置)西日が入るなど窓際蛍光灯その他読み書き紙面携帯電話パソコン画面拡大読書器備考羞明などを感じる天気や季節,場所や時間帯などについて具体的に聞き取り,まぶしさ程度を(+)(++)で記録するとよい.ありなし〈選定当日〉天気は?天気×天気○はいいいえ保留※用語解説参照中~弱強い羞明が強い場合の透過率50%からの選定手順へ選定手順へ図5選定手順フローチャート視機能を把握し,ニーズを聞き取った後の手順の一例.遮光レンズは東海光学製を想定.例に示したRS,NLなどの略号のカラーは図7を参照.逆光順光日陰図6屋外・屋内でのトライアル屋外での選定では「逆光」,太陽を背にした「順光」,建物などの「日陰」など,視環境の条件を変えて選定する.a:屋外で選定しているところ.トライアルキットをボックスに入れて持ち運ぶと便利.b:トライアルレンズを数枚もち,見え方の違いを番号で教えてもらうとわかりやすい.c:室内でPCやタブレットのバックライト,紙面の見え方などを確認しているところ.図7視感透過率を目安にした選定(例)羞明の程度が不明のときは,透過率約50%の緑系レンズから選定を進めると効率的.NLで羞明がとりきれないときは,透過率の低いレンズ②から④の順に試していく.NLで視界が暗くなる場合は,NLより透過率の高いレンズ⑤を順に試す.HOYAのトライアルレンズもあればカラー選択の幅が広がる.(東海光学カタログより抜粋)a(帽子や日傘なども併用して試す)○軽減×まぶしさ残る×暗くなるb視感透過率低逆順日高図9選定用紙(例)CCP・CCP400(東海光学)のレンズ一覧(レンズ透過率位置は目安).選定時の自覚的応答を◎,○,△,×で記載し,コメントをメモする.10%20%30%40%50%60%70%80%90%光光陰光逆光順陰日逆順日日陰は暗い光光陰赤くなるHG/32光逆光順陰日まぶしさとりきれずCH/32まぶしさとりきれずOG/46まぶしいMV/50abc①②③def②図10各種レンズ・フレームデザインa:①クリップオンタイプ.②C-CLIPbySTGサイドシールド付きクリップオンタイプ(東海光学).両者とも跳ね上げが可能.b:グラデーションタイプ.視線や顎の上下で濃淡を調整できる.c:オーバーグラスタイプ.①ViewnalbySTGタイプM.②レチネックスグラス(HOYA).③小児用ViewnalbySTGタイプK.d:偏光レンズ(クリップ式).e:調光レンズ.レンズ右側は調光前,レンズ左側は調光後.f:HDGlass(東海光学).表2遮光眼鏡の補装具費支給事務取扱指針対象者以下の要件を満たす者1)羞明を来していること2)羞明の軽減に遮光眼鏡の装用より優先される治療がないこと3)補装具費支給事務取扱指針に定める眼科医による選定,処方であること※この際,下記項目を参照の上,遮光眼鏡の装用効果を確認すること(意思表示できない場合,表情,行動の変化等から総合的に判断すること)1)まぶしさや白んだ感じが軽減する2)文字や物などが見やすくなる3)羞明によって生じる流涙等の不快感が軽減する4)暗転時に遮光眼鏡をはずすと暗順応が早くなる※遮光眼鏡とは,羞明の軽減を目的として,可視光のうちの一部の透過を抑制するものであって,分光透過率曲線が公表されているものであること.※難病患者等に限り身体障害者手帳を用件としないものであり,それ以外は視覚障害により身体障害者手帳を取得していることが要件となる.ab図11遮光眼鏡の例a:症例1.CCP400-NLviewnalフレームとサンバイザーを併用すると羞明が軽減した.b:症例2.室内用CCP400-LV(矯正眼鏡)と偏光レンズクリップ(グレー)を併用.タイポスコープで紙面からの反射が抑えられた.c:小児用遮光眼鏡.■用語解説■光吸収フィルタ:入射光の特定波長範囲または特定比率の吸収をするように設計された光学素子.視覚補助具としては眼鏡の形態をとる場合が多く,カラーレンズ,フォトクロミックレンズ(調光レンズ),偏光レンズ,および,これらの性質を合わせもったレンズが用いられる.そのほかに,レンズの性質をもたないシート(セロファンなど)がある1).羞明・グレア:光が強くて不快に感じたり見えにくい状態になったりする「まぶしさ」を,医学的に症状として表現する場合に,これを羞明という1).グレアは,光源(太陽光,夜間の照明など)から眼球内に入射する光量が急激に増したり,視野内の隣接する部分の輝度差が著しくなり不快を感じる「不快グレア」と,白内障や角膜疾患などの中間透光体の混濁において眼内に生じる散乱光により,視界がヴェールで覆われたようにコントラストが低下し視力低下をきたす「障害グレア(減能グレア)」に分類される.また,光沢のある印刷面における反射光のために印字が読み難い場合などのような反射グレア(re.ectedglare)も障害グレアの一種で,これらが同時に生じることもある1).分光透過率(spectraltransmittance),視感透過率(luminoustransmittance):分光透過率とは,そのレンズが「どの波長を,どの程度透過しているか」を表したもので,視感透過率は,レンズの分光透過率から,ヒトの眼の昼光の比視感度,CIE標準光源D65の条件の下でレンズを通さないときの状態(分母)に対するレンズを通した時の状態(分子)の割合を示したもの2).ヒトの網膜感度の高い波長の透過率を重視し,感度の低い波長の透過率を軽視して加重平均したものである.文献1)日本ロービジョン学会:ロービジョン関連用語ガイドライン.https://www.jslrr.org/low-vision/guideline2)高橋龍五:c.透過率(視感透過率など).あたらしい眼科28(臨増):69-72,2011

ロービジョン用拡大眼鏡の処方

2024年6月30日 日曜日

ロービジョン用拡大眼鏡の処方ThePrescriptionofMagnifyingGlassesinPatientswithLowVision小野峰子*はじめにロービジョン用拡大眼鏡という言葉はあまり一般的ではないが,ここではハイパワーレンズ眼鏡(至近距離用眼鏡),眼鏡型拡大鏡,弱視眼鏡などを総称した言葉として捉える.これらは光学的補助具の1種として通常の矯正眼鏡(遠用・近用)では日常生活の不自由さを解決できない場合に使用する手段の一つである.ここで改めてロービジョンについて確認する.ロービジョンは障害者手帳の有無にかかわらず,見え方に制限がある状態,つまり視力,視野のみでなく羞明や夜盲,複視など何らかの治療困難な視機能障害のため長期にわたり日常生活,社会生活に不自由がある状態である.新聞が読めない,賞味期限が確認できないなど,日常生活の小さな困りごとも含まれる.日本眼科医会が,普通の眼科医が知っておくべきミニマムなロービジョンケアをクイックロービジョンケアと名づけ,ハンドブックを作成している1).そのなかに,ロービジョンケアが必要な患者の目安として,①良いほうの眼の矯正視力0.5未満,②視野に暗点や欠損がある(とくに下方),③羞明や複視が強い場合をあげている.われわれ医療従事者は日々,屈折異常が原因で眼がみえにくい患者の眼鏡を合わせているが,必ずしも矯正視力が1.0以上の患者ばかりではない.眼鏡を合わせる際は患者のニーズを聴取し,最大視力が得られる眼鏡処方を心がけている.0.5未満の場合や,複視への対応などわれわれは意識せずにロービジョンへの対応をしている.つまり,眼鏡合わせの延長線上にロービジョンケアがあるといっても過言ではない.さらにニーズをより満たすために,電子機器や音声機器を活用する場合がある.ここでは,眼鏡で対応するロービジョンケアの一部としてのハイパワーレンズ眼鏡,眼鏡型拡大鏡,弱視眼鏡,そしてiPadなどIT機器との兼ね合いについて説明する.Iロービジョンの屈折異常の把握屈折異常の把握は,眼鏡矯正の効果や拡大率の計算など,ロービジョンケアに不可欠である.しかし,視機能障害が強くなるほど把握はむずかしくなる.他覚的屈折検査(オートレフラクトメータ)で信頼性の高いデータが得られない場合も多い.その場合はレンズ交換法での自覚的屈折検査,オーバースキア,角膜曲率半径値,患者の所持眼鏡の確認など多面的に行う.レンズ交換法では,視機能の感度低下により変化を感じない場合がある.また,良好な視力では最小錯乱円が小さく(視力1.0では4.65μ),視力不良の場合は大きい最小錯乱円(視力0.1では46.5μ)というように各視力に対して一定の網膜上のぼやけが許容され,視力が低下するとそれに対応する許容度数範囲(表1)がある2).そのため,レンズ交換法では通常より大きいステップ,たとえば±1.0D,±1.50D,±3.0Dなどで変化を検出し,できるだけ矯正を試みる.同じ視力値の場合には,単純に遠視寄りの屈折値で決めるのではなく,主観的な見え*MinekoOno:東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科視覚機能学専攻,東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科〔別刷請求先〕小野峰子:〒981-8551宮城県仙台市青葉区国見6-45-1東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科視覚機能学専攻0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(47)651表1各視力に対応する許容度数範囲視力許容D1.0±0.07D0.5±0.14D0.3±0.23D0.2±0.35D0.1±0.7D0.05±1.4D0.02±3.5D眼屈折力60D,瞳孔径4mmで正視の場合の各視力に対応する許容度数範囲.(文献2より引用)網膜像の==図2ロービジョン者の見え方ロービジョン者は網膜などの視機能低下により通常の大きさでは見えないが,網膜像が拡大されることによって見ることができる.表2文字を読むために必要とされる視力印刷物文字の大きさひらがなが読める視力漢字が読める視力教科書3号0.10.25号0.20.3新聞9ポイント0.30.4一般書籍8ポイント0.40.4-0.5辞書6ポイント0.50.6この網膜像の大きさ網膜像が大きくなると見えない/読めない見える/読める(文献4より引用)③拡大に必要な屈折力(Diopter)=100.cm÷拡大に必要な視距離または,=基準とした視距離が焦点距離のCDiopterC×倍率上記①.③をもとに具体的に数値をあてはめて倍率,Diopter,視距離を考えてみる.条件:視距離C30Ccmでスムーズに読める文字サイズ:18ポイント,読みたい文字サイズ:9ポイント,視距離30Ccmで新聞を読むために必要な視力C0.5,通常測定した近見視力(0.4),スムーズに読める視力値(0.25)計算:①拡大に必要な倍率ポイントでの計算=18÷9=2倍視力値での計算=0.5÷0.25=2倍②拡大に必要な視距離=30.cm÷2=15.cm③拡大に必要な屈折力=100.cm÷15.cm≒6.66Dまたは=3.33D×2倍≒6.66D本例のハイパワーレンズ眼鏡の加入度数はC6.66Dと推定値が得られたので,患者の屈折異常に加入して視距離をC15Ccmで見たいものを読めるかどうか試用し,必要に応じレンズ度数を上下して調整する.視距離が短いため患者への丁寧な説明が必要となる.上記の方法で,必要な倍率から光学的補助具のCDiopC-terを推定したら,Diopterの度数や患者のニーズに応じて光学的補助具(ハイパーレンズ眼鏡・手もち式拡大鏡・卓上式拡大鏡等)の形式を考える.ハイパワーレンズ眼鏡以外の光学的補助具の選定についてはロービジョンケアの専門書を参照されたい.ハイパワーレンズ眼鏡は,加入が強くなると視距離が短くなるため,読書を希望している必要倍率がC2倍前後(必要CDiopterが,+6.0.+8.0D加入ぐらい)までの症例に適している.それ以上のCDiopterが拡大に必要であれば,ニーズと使用目的によって他の拡大鏡,拡大読書器の使用を検討する.ハイパワーレンズ眼鏡を処方する際は,頂点間距離,視距離の保持,両眼で使用する場合には輻湊や瞳孔間距離に注意する必要がある.ロービジョンの場合,よいほうの眼で単眼視することが多いが,両眼視をする場合は視距離に応じた輻湊が必要となるため,baseinのプリズム装用を考慮する.+6.0D加入の場合,両眼でC8プリズム,+8.0D加入の場合はC10プリズム装用する8).また,視距離が近いため机の上に置いた書類に対して下向きにかがむ姿勢となり,自身の影で対象が暗くなることも説明し,書見台の利用や,視対象に対して患者の斜め後ろから照明をあて,患者の影がかからないようにする方法も併せて紹介する.さらに文章をたどることがむずかしい場合には定規や黒い厚紙などを当ててコントラストをつける工夫をすると読みやすくなることがある.C2.眼鏡式拡大鏡(既製品)プラスレンズを眼鏡フレームに組み込んださまざまな拡大鏡が既製品として販売されている.単眼視用(+12.0.+24.0Dの範囲),両眼視用プリズム入り(+4.0.+10.0Dの範囲),通常の眼鏡のレンズの下部に張り付けて使用する貼付式プラスレンズ(+8.0.+36.0Dの範囲),クリップ式単眼使用(+18.0.+30.0Dの範囲)・両眼視用(+5.50.+8.0Dの範囲),フレーム付き両眼視用・単眼視用などがあり,かなり強い度数まである.プラスチック製の回折レンズを用いたものは,レンズが薄く,軽量である(図3~6).C3.ハズキルーペ(図7)ハズキルーペは,ハズキカンパニーから発売されておりC3種類ある.屈折度(拡大の倍率表示)は,それぞれ+1.25D(1.32倍),+2.5D(1.6倍),+3.25(1.85倍)である.ハズキルーペは屈折矯正された近視・遠近両用等のコンタクトレンズ,眼鏡の上から重ね掛けをして手元を見ることを推奨している.両手が自由に使える眼鏡型拡大鏡としている.通常の拡大鏡(ルーペを含む)などの選定の際に基準距離をC1倍として屈折度(Diopter)を考える倍率表示とは異なる.実際,ハズキルーペと同じ度数(Diopter)でものを見て比較すると大きさに違いがあり,ハズキルーペのほうが拡大されて見える.ハズキルーペの特徴は,①角膜頂654あたらしい眼科Vol.C41,No.6,2024(50)図3貼付式レンズ眼鏡型拡大鏡眼鏡に貼付式レンズを装着することでハイパワーレンズとなる.写真は左眼用の眼鏡レンズの上にプラスレンズを貼付した状態.a図4クリップ式両眼使用拡大鏡ba:クリップ式両眼使用拡大鏡.使わないときは上にはね上げられる.b:所持眼鏡にクリップで固定して使用している様子.図5フレーム付き両眼視用眼鏡型拡大鏡眼鏡フレームに両眼使用の拡大鏡が装着されている眼鏡型拡大鏡.図6プラスチック製回折レンズを用いた眼鏡光が狭い隙間を通る際に曲がる回折現象を利用して光線の屈折を実現する回折レンズを使用した眼鏡型拡大鏡.隙間の幅と波長により,回折角が変化することを利用して作られたレンズであるため軽量で薄い.ab図8眼鏡フレームに主鏡を埋め込んだ弱視眼鏡右眼用の眼鏡レンズに単眼鏡の主鏡を埋め込んだ弱視眼鏡.図7ハズキルーペa:+2.50DのレンズによりC1.6倍の拡大鏡になる.b:+3.25DのレンズによりC1.85倍の拡大鏡になる.ハズキルーペのレンズのサイズは標準,大,最小のC3種類.レンズカラーにはクリアとカラーC10色があり,それぞれ紫外線はC99.99%カットされている.図9iPhoneのアクセシビリティ機能:視覚サポート視覚サポートの設定は標準装備されている.「設定」をクリックし,さらに「アクセシビリティ」を開くと視覚サポートとして六つの機能が設定できる.図10iPhoneの明るさ,文字表示の設定機能標準装備されており,設定から「画面表示と明るさ」を開くとCNightCShiftの設定ができる.NightCShiftでは時間設定ができ,夜間にブルーライトを抑えられる.また,外観モードで「ダーク」を選択するとアプリ内の文字が白黒反転される.

複視を主訴として来院した患者へのプリズム 眼鏡の適応

2024年6月30日 日曜日

複視を主訴として来院した患者へのプリズム眼鏡の適応IndicationsforthePrescriptionofPrism-LensGlassesinPatientswithDiplopia石井祐子*はじめに「ものが二つに見える」という主訴で眼科を受診する患者は少なくない.二重,三重に見える原因は多様であり,プリズム眼鏡の適応となるものは,そのうちの一部でしかない.本稿では,複視の訴えに対する問診,次にプリズム眼鏡処方に必要な検査について,さらに複視に対してプリズム眼鏡処方を行う際の注意点について述べ,最後に臨床でよく遭遇する高齢者のsaggingeyesyndrome,代償不全の滑車神経麻痺,開散麻痺,輻湊不全への処方例を示す.I複視の訴えに対する問診1.単眼性か両眼性か複視は,単眼性と両眼性に大別される.単眼性複視は,屈折異常(とくに乱視)の矯正で改善するものと矯正しても改善しないものがある.矯正しても残る単眼複視のうち,ピンホールを通して見ると軽減する場合は水晶体や角膜由来の不正乱視が原因と考えられるが,ピンホールで変化しない場合は,黄斑部疾患もしくは心因性を疑う1).1眼で物が二つに見える単眼性複視は,プリズム眼鏡の適応ではない.片眼を隠すと複視が消失し,両眼で二つに見える両眼性の複視はプリズム眼鏡の適応ではあるが,網膜対応に異常があり,背理性の複視(眼位異常と複視の状態が一致しない)となっている場合は原則対象外である.2.病歴などを聞く成人の場合は,一般的な全身疾患の聞き取りのほかに,微小血管の虚血などで眼筋麻痺を引き起こす可能性がある高血圧や糖尿病,脳梗塞などの脳血管障害を確認する.小児で複視を訴えている場合は,生下時,周産期,乳児健診,全身疾患,発達障害の指摘の有無,けいれん,てんかんの既往などを聴取する.成人,小児ともに,眼窩吹き抜け骨折を疑い,顔面を打つような外傷がなかったか,感冒症状の数週間後に眼筋麻痺を起こすFisher症候群の可能性も考え,少し前に風邪をひいていなかったかを聞く.3.複視の発症時期,状態複視を自覚し始めた時期はいつ頃か.何を見ていて気が付いたか(遠方か近方か).視方向や視距離,姿勢,頭位により差があるか.午前中と午後で二つになる見え方に変化があるか(疲労による変化,重症筋無力症の確認)などを聞く.小児では,保護者が眼位ずれに気づいているか,気づいている場合はいつ頃からかを聴取する.乳児期からの眼の位置がわかる顔写真を見せてもらうのもよい.いつ頃からどのような状況で「二つに見える」と本人が訴え始めたか,突発した急性内斜視の場合,スマートフォンやタブレットの視聴時間を聞く,視距離は口頭の申告よりスマートフォンをいつもどおりに見てもらって実測するほうが正確である.*YukoIshii:井上眼科病院〔別刷請求先〕石井祐子:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台4-3井上眼科病院0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(39)643角プリズムの当て方バープリズムの当て方acbii水平垂直図1定量する際のプリズムの保持プリズム計測のための位置.a:Prentice位置.i=i’.b:最小偏位位置.c:前頭面位置.bとcとの差は最小限で大きな誤差は生じないとされている.d:水平は平面を眼に向ける.e:垂直はプリズムの凹凸のある面を眼に向けて当てる.(a.cは文献2より引用)上下のプリズム度125101520253030表1融像の正常範囲25水平開散4.6°輻湊20.25°上下1.2°回旋6.10°(文献3より引用)基底上方プリズム値2015ΔΔbc合成したプリズムはcΔ斜めのプリズム1052121a2+b2=cV(上下偏位:b)1251015202530atani=H(水平偏位:a)基底外方プリズム値(左眼)水平のプリズム度図3プリズムの合成と分解の換算図2プリズムの合成と分解の計算水平プリズムと上下のプリズムを結んだ交点が合成したプリズプリズムはベクトルであり,水平,垂直の2方向に合成・分解ムとなる.回転角を読むことで角度も読み取れる.することができる.(文献2より引用)P=h・D/10P():プリズム効果Δh(mm):レンズの偏位量D(D):眼鏡レンズ度数図4Prenticeの法則たとえば,5.0Dのレンズの光学中心を10mm偏心させたときのプリズム効果は5Δとなる.1.0Dのレンズを10mm偏心させても1Δの効果しか生じない.logMAR値(小数視力値)1.0(1.0)0.9(0.13)0.8(0.16)0.7(0.2)0.6(0.25)0.5(0.32)0.4(0.4)0.3(0.5)0.2(0.63)0.1(0.8)0.0(1.0)付加前5***p<0.001Sche.etest図5Fresnel膜プリズムによる視力低下10Δから有意な視力低下を生じる.度数が増加すると色収差が大きくなり,構造上の問題から散乱や反射が生じて,光学特性とともに光量,コントラスト感度,視力の低下をきたす.(文献4より引用)〈眼位〉Hess赤緑試験Δ(-)JB度FarexotropiaR/L眼位一致diplopia(+)NearexotropiaR/L(P>T)頭位異常(+)headtilttoRightheadtilttoLeftにてR/L↑RにてphoriaR/Lとなる〈眼球運動〉ほぼNormal〈convergence〉ほぼNormal~ややPoor症例1のMRI〈交代プリズム遮閉試験〉CCR-.xFar1XT6~7L/RΔΔNear2~4XP-T3~4L/RΔΔ表2症例1のプリズム眼鏡検査図6症例1の検査結果MRIではSR-LRバンドの延長がみられる.プリズム遠用検査プリズム近用検査a:c:ΔΔRV=(×sph±0.00D)2.590LV=(×sph±0.00D)2.5270ΔΔnRV=(sph+3.00)2.090nLV=(sph+3.00)2.0270b:d:ΔΔRV=(×sph±0.00D)2.090LV=(×sph±0.00D)2.0270ΔΔnRV=(sph+3.00)2.590nLV=(sph+3.00)2.5270bのほうがよい.違和感なくcのほうがよい.一つに見一つに見える.装用してのえ,読書などをしても疲れ歩行なども問題ない.ない.dはクラクラする.他覚および自覚的屈折検査を行い,わずかな屈折異常はあるが,遠方は裸眼の見え方に慣れているので度なしを希望.近用は,+2.25Dの眼鏡で見えにくいため+3.0Dに度数変更.〈眼位〉Hess赤緑試験FaresotropiaR/LNearesophoria(-tropia)R/L〈眼球運動〉ほぼNormal〈輻湊〉ほぼNormal〈複視〉(-)(-)(-)左方視(±)(±)(-)右方視(±)(-)(-)〈交代プリズム遮閉試験〉CCL-.x4ET8R/LΔΔΔΔプリズム遠用検査Fara:b:c:2.02703.0270〈輻湊〉ΔΔΔΔΔΔΔΔNear4ET6R/L2.52702.0903.0902.590aはよい.頭がまっすぐにできる.bとcは少しクラクラする.図7症例2の検査結果と眼鏡検査〈眼位〉Faresotropiadiplopia(+)Nearesophoria〈眼球運動〉ほぼNormalほぼNormal〈交代プリズム遮閉試験〉CCL-.x8ETNear4EPRV=±0RV=±0RV=±0LV=±0LV=±0LV=±0Farプリズム遠用検査a:RV=±0ΔΔΔΔ2.0180LV=±0b:RV=±0LV=±02.01.51801.500bがよい.違和感なく,遠方が1つに見える.aは少し疲れる感じがある.図8症例3の初診時の検査と処方表3症例4の検査と処方〈眼位〉Farexophoriadiplopia(-)Nearexotropiadiplopia(+)交叉性〈眼球運動〉Normal〈輻湊〉ややpoor輻湊近点30~40cm不安定〈交代プリズム遮閉試験〉CCL-.xFar4XPNear18XTΔΔnRV=(sph-1.00)2.00nRV=(sph-1.00)2.00(処方度)nRV=(sph-1.00)1.00nLV=(sph-1.00)2.5180疲れる感じがある.プリズム近用検査プリズム近用検査(再検査)a:a:ΔΔΔnLV=(sph-1.00)2.0180(処方度)ΔnLV=(sph-1.00)2.0180d:b:ΔnRV=(sph-1.00)1.50ΔnRV=(sph-1.00)1.50ΔnLV=(sph-1.00)1.5180ΔnLV=(sph-1.00)1.5180e:c:ΔΔnRV=(sph-1.00)2.50ΔnLV=(sph-1.00)1.0180Δeがよい.a,dは平面が膨らんaはよい.違和感なく手元が1で見える.eで見え方に慣れたつに見えて楽になる.bは裸眼ら少し強くすることを考える.とあまり変わりない.cは少し

眼内レンズ挿入眼への眼鏡処方

2024年6月30日 日曜日

眼内レンズ挿入眼への眼鏡処方ThePrescriptionofGlassesforPseudophakicEyes長谷川優実*はじめに白内障手術後は,挿入した眼内レンズ(intraocularlens:IOL)の性能や術後の屈折によって必要な眼鏡の種類と使用頻度が異なってくる.単焦点IOLを遠方に合わせれば近用眼鏡が必要であり,近方に合わせれば遠用眼鏡が必要となる.どちらも眼鏡のつけはずしをしたくなければ遠近両用眼鏡となる.患者によっては白内障手術をしたら遠方から近方までよく見えるようになって眼鏡は必要なくなると思っている人もいるので,術前にほとんどの場合に術後眼鏡が必要であることを説明しておく.多焦点IOLの場合,レンズの種類によっては眼鏡が不要となるが,パワーエラーや乱視,近方の見え方の不満がある場合は眼鏡が必要となる.IOL挿入眼への眼鏡処方において注意する点は,度数が安定する時期に処方すること,術前の屈折や術前に使用していた矯正の状況も考慮すること,IOLの種類によって他覚的屈折値と自覚屈折値が乖離することなどである.I眼鏡処方の時期白内障術後の屈折が安定する時期は,レンズの種類や切開創の大きさによって異なる.支持部と光学部が異なる素材で角度がついている3ピースIOLは,支持部と光学部が同素材で平坦な1ピースIOLよりも術後屈折が安定するまで時間がかかり,術後1カ月頃まで0.4Dほど近視化することが報告されている1,2)(図1).親水性アクリルでプレート形状の分節型多焦点IOLであるLENTISMplus(TELEONSURGICAL社)の多数例の報告では,術後1週間で目標屈折値よりも0.2Dほど近視化し,術後3カ月頃に目標屈折値に近づくとされている3).国内では,同じデザインで加入度数が異なる低加入度数分節IOLのLENTISComfort(参天製薬)が保険適用であり,同様の経過となる可能性がある.当院の患者では,術後1日では平均0.59Dの近視誤差を生じ,術後1週,1カ月と徐々に目標屈折値に近づき,1カ月以降はほぼ変化しなかった(図2).3ピースIOLやLENTISComfortでは術後1カ月以内の早期に眼鏡を処方するのは避けたほうがよいと考えられるが,IOLを近方合わせにした際は眼鏡がないと運転ができないため,早期に処方をしている.近用眼鏡が必要な場合は,ひとまず既製品を使用するように勧めるが,乱視などで既製品では矯正困難な場合は,術後早期に眼鏡を処方することもある.その場合は,屈折の変化によって作り替えが必要になる可能性について説明しておく.一定期間はレンズ度数変更が無料の眼鏡店もあるため,そのようなサービスを利用するのも有効である.切開創による惹起乱視の変化も考慮する.切開経線方向の角膜曲率半径は大きくなり,角膜屈折力は小さくなるので,上方切開では倒乱視が強くなり,直乱視は弱くなる.術後惹起乱視は切開創の大きさによって安定するまでの期間が異なる.3.2mmの自己切開創では2週間程度で安定化すると報告されており(図3)4),2.2mmの切開創では術後1週,1カ月の惹起乱視が0.1D程度*YumiHasegawa:筑波大学医学医療系眼科〔別刷請求先〕長谷川優実:〒305-8575茨城県つくば市天王台1-1-1筑波大学医学医療系眼科0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(33)6370.4AbsoluteValueofthelnducedVectors(D)Sphericalequivalent(D)-1.0Postoperativeperiod図1種類の異なる眼内レンズの術後屈折値の経過術後C2日,1週間,1カ月,3カ月,6カ月,12カ月の等価球面値の経時的な変化を示している.○で示される支持部と光学部に角度のあるC3ピースレンズ(MA60AC)は術後C1カ月まで近視化し,その後安定するが,●で示される平坦なC1ピースレンズ(SA60AT)は術後の屈折変化が少ない.(文献C2より転載)-1.61D1W1M2M3M図2LentisComfortの術後屈折値の変化術後C1日,術後C1週,1カ月,2カ月,3カ月の等価球面値と目標屈折値の差の経時的な変化を示している(N=75).術後C1日,1週,1カ月と徐々に目標屈折値に近づき,1カ月以降は術後自覚等価球面値-目標屈折値ほぼ安定している.0.2-0.50-0.2-0.4-0.6-0.8-1-1.2-1.42D1W1M3M6M12M3.532.521.510.50Pre1D1W2W1M3M6MTime図3切開創の大きさと惹起乱視の経時変化切開幅C3.2Cmm(○)では術後C2週間程度で乱視量は安定しているが,11Cmm+連続縫合(△),6.5Cmm+連続縫合(▲)では術後C6カ月でも安定しない.6.5Cmm+単縫合(□),6.5Cmm+自己閉鎖(■)ではC3カ月で安定し,5.5Cmm+自己閉鎖(C×)ではC1カ月で安定した.(文献C4より引用)術後視力(1カ月)右眼=0.4×IOL(1.2×-1.00Dcyl-0.25DAx10°)左眼=0.8×IOL(1.2×cyl-1.00DAx10°)()()近用眼鏡処方右眼:S+1.50D左眼:S+2.50DC-0.75DAx10°1.211.01.01.0小数視力0.80.60.8右眼0.4左眼0.2両眼0遠方2m70cm40cm図440cm視力は良好であったが近用眼鏡作成が必要となった症例74歳,男性.核近視を伴う強度近視の白内障であった.近方狙いを希望されたため,LentisComfortを右眼C.1.01D,左眼C.0.94Dの目標屈折値で挿入した.グラフは裸眼距離別視力の結果である.数値は両眼視力を示している.視力術後はC40Ccmまで両眼で小数視力C1.0まで得られていたが,新聞が読めないとのことで+2.5D加入の近用眼鏡を作製し,満足が得られた.核近視のために術前の眼鏡が低矯正になっていたこともあり,新聞を読む視距離が近くなっていたと考えられる.a0Dastigmatismb0.5DastigmatismP=0.0037*P=0.0264*P=0.0472*P=0.0018*LogMARvisualacuity(D)-0.1P=0.0475*P=0.0013*P<0.0001*-0.02-0.04-0.04-0.040.000.000.010.010.00.01-0.030.040.040.04-0.020.05-0.010.080.090.040.080.050.100.10.10.030.070.080.070.080.090.120.150.150.20.3trifocalgrouptrifocalgroup0.4bifocalgroupbifocalgroup0.5Distance(m)Distance(m)c0.75Dastigmatismd1.0DastigmatismP=0.0322*P=0.0401*P=0.0457*LogMARvisualacuity(D)-0.1P=0.0472*P=0.0304*P=0.0005*0.00.040.040.050.030.060.080.090.100.100.100.120.120.10.070.070.150.090.050.100.170.100.120.120.120.130.160.150.160.160.20.170.250.30.31trifocalgrouptrifocalgroup0.4bifocalgroupbifocalgroup0.5Distance(m)Distance(m)e1.5Dastigmatism0.0P=0.0324*0.13P=0.0018*0.1P=0.0039*0.16図5多焦点IOLの全距離視力に乱視が与える影響0.170.170.21P=0.0105*LogMARvisualacuity(D)0.20.180.190.190.200.27P=0.0310*○で示されるC3焦点CIOL(PanOptix)と■で示される0.30.290.360.400.360.40.50.470.530.6trifocalgroup0.7bifocalgroup0.8Distance(m)2焦点CIOL(ReSTOR+3D)挿入眼に対し,0.5Dから1.5Dの倒乱視を負荷して全距離視力を測定した.Ca~c:0.75D以下の乱視では,すべての距離でC0.2logMAR(小数視力C0.63)以上の視力を得ている.Cd,e:1.0D以上の乱視では遠方視力が低下している.b:3焦点CIOLではC0.5Dの乱視でもC2Cmから遠方にかけての視力が2焦点CIOLより有意に不良である.(文献C7より引用)2211Y=XY=X他覚等価球面値(D)他覚等価球面値(D)0-1-2-1-2-3-4-4-3-2-1012自覚等価球面度数(D)図6LentisComfortの自覚屈折値と他覚屈折値の比較(N=75)他覚屈折(オートレフラクトメータ)の等価球面値は,自覚等価球面値よりも近視の値である症例が多い.差の平均はC.0.36C±0.42Dであった.-3-4-4-3-11-20自覚等価球面度数(D)図7TECNISEyhanceの自覚屈折値と他覚屈折値の比較(N=50)他覚屈折(オートレフラクトメータ)の等価球面値は,自覚等価球面値よりも近視の値である症例が若干多い.差の平均は.0.24±0.47Dであった.他覚等価球面値(D)210-1-2-3Y=X--4-4-3-2-1012自覚等価球面度数(D)図8VivinexImpressの自覚屈折値と他覚屈折値の比較(N=48)他覚屈折(オートレフラクトメータ)の等価球面値と自覚等価球面値は近い値の症例が多く,差の平均はC0.09C±0.25Dであった.C-

不同視弱視への眼鏡処方

2024年6月30日 日曜日

不同視弱視への眼鏡処方OpticalCorrectionforAnisometropiaandAmblyopia長谷部佳世子*はじめに不同視弱視は,不同視が原因で生じる片眼性の弱視である.両眼の屈折異常に左右差があったとき,屈折異常の強いほうの眼の網膜中心窩には網膜像のボケが生じ,その眼側の正常な視覚発達に必要となる視性刺激が不足して片眼弱視が発症する.通常遠視眼がもっとも多く,乱視眼にもみられる.眼位異常のない近視性不同視では,不同視眼でも眼前有限の距離で明視できるため,強度の近視性不同視を除いて弱視の発症はまれである.ただし,小児は視覚の発達途上にあること,また,両眼視機能の低下をきたさないために眼鏡を装用することが望ましい.不同視弱視は眼位異常がなく片眼の視力は良好なため,日常生活の様子から発見されることはまれであるが,3歳児健康診査では見逃すことなく発見したい弱視である.純粋な不同視弱視であれば,眼位の異常は伴わず中心固視で,両眼視機能(立体視)は視力とともに向上し,治療予後は比較的良好である.しかし,不同視弱視は微小斜視を合併することが多く,経過観察に際しては合併の可能性に留意して検査を行う必要がある.それでは,どれくらいの不同視で弱視発症の危険因子となるのか.2021年,米国小児学会斜視協会(Ameri-canAssociationforPediatricOphthalmology&Stra-bismus:AAPOS)1)は,小児用視覚スクリーニング機器の進化に伴い,2003年と2013年に策定した弱視スクリーニングのガイドラインを更新し,1.25Dを超える不表1斜視のない不同視の屈折矯正基準1歳未満1.2歳未満2.3歳未満近視性不同視.4.0D以上.3.0D以上.3.0D以上遠視性不同視+2.5D以上+2.0D以上+1.5D以上乱視性不同視2.5D以上2.0D以上2.0D以上不同視の矯正に関するガイドラインで,これ以上の不同視があれば眼鏡を処方する.(文献3より改変引用)同視は要精査とした.不同視は一般的に2D以上とされているが,1.00Dの不同視の10%,1.50Dの不同視の20%が2段階(logMAR)以上の視力差を生じるというデータ2)もあり,不同視が2D以内であっても弱視の危険因子となるという認識をもつ必要がある.したがって,Landolt環による字ひとつ視力が測定できない年齢でも,調節麻痺薬を用いた屈折検査で不同視が検出されれば,視覚の発達を正常に促すという観点から眼鏡処方を考慮すべきである.米国眼科学会(AmericanAcade-myofOphthalmology:AAO)3)は,不同視の矯正について表1の基準を示している.これらの基準も参考にしながら,保護者に眼鏡装用の必要性を十分理解してもらったうえで眼鏡を処方する.I小児の不同視弱視への眼鏡処方1.必ず調節麻痺薬を用いて屈折検査を不同視弱視の原因の多くは遠視性不同視である.小児は良好な調節力を有し調節の介入が大きいため,必ず調*KayokoHasebe:すぎもと眼科医院〔別刷請求先〕長谷部佳世子:〒719-1134岡山県総社市真壁158-5すぎもと眼科医院0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(27)6311%シクロペントラート塩酸塩点眼下+2.00D0.00D調節麻痺効果消失後調節+6.00D+6.00D調節図1屈折異常の完全矯正調節麻痺効果消失後,健眼は調節をして網膜中心窩に焦点を結ぶが,調節は両眼等量に起こるため,弱視眼の焦点は前方に移動する.表2外径指定加工の有無によるレンズ(生地)の中心厚・重量の比較種類度数基準外径外径指定なし外径指定C55Cz中心厚重さ中心厚重さ(mm)(mm)(g)(mm)(g)+1.00C70C2.1C12.1C2.0C5.2+2.00C70C3.2C12.9C2.1C4.51.60球面(ニコンVIDA3SP)+3.00C65C3.8C10.6C2.5C4.8+4.00C65C4.7C12.6C3.2C6.0+5.00C65C5.4C13.8C3.8C6.8+6.00C65C6.4C16.2C4.5C8.0+1.00C65C2.3C8.2C2.2C5.9+2.00C65C2.7C8C2.3C5.21.60非球面(ニコンNL3-AS)+3.00C65C3.4C9.4C2.7C5.6+4.00C65C4.2C11C3.3C6.5+5.00C65C4.7C11.6C3.7C6.9+6.00C65C5.6C13.7C4.3C7.8+1.00C80C2.1C8.8C1.8C4.9+2.00C75C2.7C9.7C2.1C5.01.67非球面(ニコンNL4-AS)+3.00C70C3.5C11.5C2.6C5.8+4.00C70C4.1C12.9C3C6.2+5.00C65C4.2C11.1C3.4C6.8+6.00C65C5.0C12.7C3.9C7.5CNikon.1.60球面:VIDAC3CSP,1.60非球面:NL3-AS,1.67非球面:NL4AS.非球面および高屈折率のレンズを選択すると,中心厚が薄く,軽い生地になる.外径指定(55Cmm)をすると,さらに中心厚は薄く.重さは軽くなる.実際には,これを眼鏡の玉型に合わせてカットするため,さらに軽く仕上がる.直径65mm直径55mm図2外径指定55Cmmに外径指定をして作製すると中心厚を薄く,また軽く仕上げることができる.表3正常3,4歳児の平均視力(Landolt環)年齢平均視力3歳0カ月C0.553歳2カ月C0.823歳4カ月C0.793歳6カ月C0.823歳8カ月C0.823歳10カ月C0.874歳0カ月C0.884歳2カ月C0.904歳4カ月C0.994歳6カ月C0.974歳8カ月C1.00Landolt環字ひとつ視力表による正常C3.4歳児の平均視力を示す.4歳C8カ月でC1.0に到達する.(文献C4より改変引用)図3絆創膏型遮閉具および布製遮閉具を装着した状態布製の遮閉具は周囲に隙間ができていないか点検する.また,遮閉具を装着しても眼鏡のフィッティングが良好に保たれているか確認する.■用語解説■外径指定:最低限どれだけの生地径があればレンズをフレームにはめることができるかを調べて,そのレンズ生地径で作製すること.