あたらしい眼科40(3):349.357,2023c第27回日本糖尿病眼学会総会特別講演(眼科)健康寿命の延伸と糖尿病診療─眼科の役割ExtendingHealthyLifeExpectancyandTreatmentforDiabetes:TheRolesofOphthalmology西勝弘*西塚弘一*山下英俊**I糖尿病網膜症診療の意義―健康寿命延伸に貢献厚生労働省の糖尿病実態調査(国民健康・栄養調査とともに行われる)によると,糖尿病患者数は急激に増加している.最新の平成28年度調査では,糖尿病が強く疑われる患者数は約1,000万人となっており,平成19年度の約890万人からわずか9年間で110万人増加したと推計される1).この糖尿病患者数の急激な増加は,世界的にみても同様の傾向で,世界人口の約5%が糖尿病に罹患しているという推計もある.糖尿病網膜症患者数は約300万人,増殖糖尿病網膜症患者数は約70万人,糖尿病黄斑浮腫は約65万人と推計される2).厚生労働省班研究によると,平成27年度.平成28年度調査での日本における視力障害の原因として,糖尿病網膜症は緑内障,網膜色素変性症についで第3位(12.8%)となっており3),平成19年度.平成22年度の調査によると糖尿病網膜症患者の視力障害者のピークは60歳代であった4).以上のような疫学的データは,糖尿病網膜症は眼科診療のなかで大きな比重を占めるだけでなく,働き盛り世代の視力障害を引き起こすという点から社会的負荷になっていることを示している.糖尿病診療ガイドライン2019によれば,「糖尿病治療の目標は,高血糖に起因する代謝異常を改善することに加え,糖尿病に特徴的な合併症,および糖尿病に起こりやすい併発症の発症,増悪を防ぎ,健康人と変わらない生活の質(qualityoflife:QOL)を保ち,健康人と変わらない寿命を全うすること」である5).厚生労働省の推進する「健康日本21」の目標6),すなわち「平均寿命延伸のみでなく健康寿命延伸」を達成するためには視力障害者数を減らす必要がある.このためには糖尿病網膜症による視力低下,視力障害増加を抑制する戦略が必要である.本総説では,健康寿命延伸のために生涯にわたり糖尿病網膜症患者の視力を保持する治療戦略の現状と未来について考察する.II糖尿病網膜症診療の現状1.糖尿病網膜症の診断日常診療で眼科医が糖尿病患者を診察する機会は,健診異常をきっかけとした受診や,糖尿病で内科治療中の患者が紹介されてくる場合が多い.なかには視力低下などの主訴で眼科を受診し,眼底所見から糖尿病網膜症を疑われ,その後内科で未治療の糖尿病の診断につながるケースもある.糖尿病網膜症の基本的な病態は,血管透過性亢進,血管閉塞,血管新生である.これらの病態は眼底所見として,毛細血管瘤,網膜出血,硬性白斑,軟性白斑,血管異常(網膜内細小血管異常,数珠状静脈拡張など),新生血管(その破綻で生じる硝子体出血),増殖膜(それによる牽引性網膜.離)などの所見としてみられる.血管透過性亢進を背景に血管漏出に伴う網膜浮腫を生じる病態は,糖尿病黄斑浮腫とよばれる.眼底所見のみでは無灌流領域を含めた糖尿病網膜症の循環動態の評価は困難であり,正確に判断するためにはフルオレセイン蛍光造影検査(.uoresceinangiography:FA)が必要となる.*KatsuhiroNishi&KoichiNishituka:山形大学医学部眼科学教室**HidetoshiYamashita:山形大学医学部眼科学教室,山形市保健所〔別刷請求先〕山下英俊:〒990-9585山形市飯田西2-2-2山形大学医学部眼科学教室0910-1810/23/\100/頁/JCOPY(67)349FAは造影剤を用いた侵襲的な検査である側面があり,とくにフルオレセインアレルギー患者の場合で施行がためらわれる.そうした患者には,光干渉断層血管造影(opticalcoherencetomographyangiography:OCTA)(2018年に保険収載)が近年用いられている.血管漏出は判定できない,機種によっては撮影可能範囲が狭いなど問題はあるものの,無灌流領域や新生血管の有無の判定に役立ち診断治療の一助となる.網膜症所見は両眼性であることが基本だが,眼底所見の重症度に左右差がみられる場合には,その背後に内頸動脈.眼動脈の狭窄・閉塞による眼虚血が潜んでいることがある.高血糖状態により網膜血管障害から血管閉塞が生じると,網膜細胞が虚血に陥り,血管内皮増殖因子(vascu-larendothelialgrowthfactor:VEGF)をはじめとするケミカルメディエーターが眼内に放出される.虚血状態のままで時間が経過すると新生血管を発症し,網膜症としては最重症である増殖糖尿病網膜症へと進行する.さらに時間が経過すると,新生血管が隅角(隅角新生血管)や虹彩(虹彩ルベオーシス)でも認められるようになり,やがて眼圧上昇を伴う血管新生緑内障まで至る.血管新生緑内障は眼圧コントロールにしばしば難渋し,線維柱帯切除術や緑内障インプラント手術などの外科治療を要することが多いが,治療の甲斐なく失明に至る患者も少なくない.2.重症度分類糖尿病網膜症にはわが国や欧米で複数の重症度分類があるが,その臨床的な意義は,重症度分類によって糖尿病網膜症の進展を予測し,適切な治療を選択することに寄与することである.わが国では国際重症度分類,改変Davis分類,新福田分類が広く用いられている.国際重症度分類,改変Davis分類は,糖尿病網膜症の眼底所見のなかでも重症な病態へ進展するリスクが高い所見に着目して病期を分類している.さらには,眼科医と患者の病態に対する共通理解,眼科医同士ならびに内科と眼科の病診連携において重要な役割を果たしている.国際重症度分類は2003年に米国眼科学会により提唱され,糖尿病網膜症と糖尿病黄斑浮腫について病期分類をしている7).糖尿病網膜症では,ハイリスクの増殖糖尿病網膜症(新生血管を発症した重症な網膜症)への進行リスクの大きさにより重症度を分類している.網膜症の所見がないものを網膜症なし,重篤な虚血状態を示唆しただちに治療が必要な状態である新生血管を認めるものを増殖糖尿病網膜症とし,その間の状態を非増殖糖尿病網膜症として,さらに軽症,中等症,重症の3段階に分類している.初期の変化である毛細血管瘤のみを認めるものは軽症非増殖糖尿病網膜症,4象限の各象限いずれも20個以上の網膜出血,2象限以上での数珠状静脈拡張,1象限以上での網膜内最小血管異常のいずれかを認める(4-2-1ルール)ものは重症非増殖糖尿病網膜症とし,中等症非増殖糖尿病網膜症は軽症と重症の間の状態としている.糖尿病黄斑浮腫では,網膜の後極に網膜肥厚と硬性白斑を認めるものを黄斑浮腫ありとし,黄斑部に網膜浮腫が及ぶと視力に影響を及ぼすことから,黄斑部と病変の関係から軽症(病変が黄斑中央部から離れている),中等症(病変が黄斑中央部に近づきつつある),重症(病変が黄斑中央部に到達している)の3群に分類している.国際重症度分類は,米国で行われたDiabeticReti-nopathyStudy(DRS)8),EarlyTreatmentDiabeticRetinopathyStudy(ETDRS)9)などの大規模な疫学研究のエビデンスに基づいており,増殖糖尿病網膜症への進展の臨床的な予測に有用である.比較的覚えやすく簡潔な分類であるとともに,眼科医が検眼鏡的に把握できる眼底所見からその場で重症度を判定できること,内科と情報が共有しやすいこと,また世界共通な診断基準となっており学術的に有用であることから,臨床現場のみならず,研究論文などでも広く使用されるようになってきている.3.糖尿病網膜症の治療糖尿病網膜症では血管閉塞から網膜虚血が引き起こされるが,それに対する治療の基本は網膜虚血の軽減,すなわち網膜虚血部位の酸素需要を減らし脈絡膜からの酸素供給を増やすことであり,現在もっとも行われている治療が網膜光凝固術(レーザー治療)である.汎網膜光凝固術(panretinalphotocoagulation:PRP)が選択されるのは,重症非増殖糖尿病網膜症と早期の増殖糖尿病網膜症である.重症非増殖糖尿病網膜症ではPRPにより新生血管の出現,すなわち増殖糖尿病網膜症への進展を予防することが期待される.増殖糖尿病網膜症では病態の鎮静化,さらには血管新生緑内障への進展予防のために,可及的速やかに密なPRPが必要とな図1パターンスキャンレーザーを用いて汎網膜光凝固術を施行した重症非増殖糖尿病網膜症の眼底写真網膜最周辺部まで密に凝固斑を認める.る(図1).増殖糖尿病網膜症に対するレーザー治療の施行を妨げるような病態,すなわち硝子体出血(出血量が多い,遷延する,反復する),増殖膜による牽引で生じる牽引性網膜.離(黄斑部にせまるもの)や裂孔併発型牽引性網膜.離に対しては,硝子体手術が適応となる.硝子体手術による出血の除去,網膜の物理的牽引の除去を行い,術中に網膜光凝固を施行することに加え,外来で行うことがむずかしい網膜最周辺部への光凝固も行う.増殖糖尿病網膜症における硝子体手術治療では,従来の失明予防の目的のみならず,より良好な視力を獲得し,長期的に維持することが要求されてきている.硝子体手術は,従来法であった20ゲージ(G)システムから小切開硝子体手術へと手術デバイスが進歩し,低侵襲化している.増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術治療では,20Gのみならず23Gや25Gの小切開硝子体手術でも良好な術後視力が得られている10).実用視力として小数視力0.5(片眼読書視力)や0.7(普通自動車免許更新)を達成するための治療戦略を検討するため,術後視力予後とその関連因子について検討した.山形大学医学部附属病院眼科で2008.2012年に初回硝子体手術を施行した100例128眼を対象に,術後2年,術後4年時点での視力0.5以上,0.7以上に関連する因子を検討した.「術後2年時の視力0.5以上」には術前虹彩ルベオーシスなし,増殖膜なしが,「術後2年時の視力0.7以上」には術前虹彩ルベオーシスなし,手図2増殖糖尿病網膜症における術中OCT所見術中OCTを用いることにより,増殖膜と網膜(点線)の判別や増殖膜の複雑な層状構造を客観的に捉えることが可能である.術のきっかけが硝子体出血であることが関連した.「術後4年時の視力0.5以上」には増殖膜なし,再手術なしが,「術後4年時の視力0.7以上」には術前虹彩ルベオーシスなし,増殖膜なし,再手術なしが関連した.術前の重症度が高くなく再手術を要さないような症例で視力予後が良好であったことから,タイミングを逸することなく硝子体手術治療が行われることが重要であると考えられた11).また近年,光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)が搭載された手術顕微鏡を用いる術中OCTにより,増殖膜や周辺硝子体の観察が可能となった12.14).増殖糖尿病網膜症における硝子体手術治療でのdecisionmakingの助けとなるだけでなく,安全に手術を遂行し,失明を防ぐ医療から高度な視力を獲得する医療への進歩を支えている(図2).4.糖尿病黄斑浮腫の診断と治療糖尿病黄斑浮腫は網膜浮腫,硬性白斑といった眼底所見に加え,FA,OCTなどの検査所見を組み合わせて診図3抗VEGF薬治療前後のOCT(53歳,男性)左眼の糖尿病黄斑浮腫に対してアフリベルセプト硝子体内注射を施行.施行後C1カ月で黄斑浮腫は軽快した.断される.FAにより局所性浮腫(局所的な毛細血管瘤からの漏出を主体とした限局性浮腫)とびまん性浮腫(広範な血管障害に伴う漏出を主体とした網膜浮腫)の区別,OCTにより網膜厚や浮腫と中心窩の位置関係,網膜硝子体界面の牽引の有無などを判定する.現在の糖尿病黄斑浮腫の薬物治療の第一選択は抗VEGF薬治療である.VEGFがもつ血管透過性亢進作用を抗CVEGF薬により減じることで,黄斑浮腫を引かせる治療である(図3).薬価が高額であることや血栓症をはじめとする全身への副作用の報告から,視力,中心窩網膜厚,全身状態などの医学的見地,患者の経済的,社会的状況などを総合的に判断して行われている.抗VEGF薬無効例や,大血管症などの全身合併症を有し抗CVEGF薬を用いにくい患者ではステロイド(トリアムシノロンアセトニド)のCTenon.下注射が選択されたり,局所光凝固,硝子体手術(網膜牽引の除去)といった複数の治療を組み合わせることによって治療される.非侵襲的な治療としてステロイド点眼治療があり,筆者らの施設で過去に治療成績を報告している15,16).米国で術後抗炎症薬として認可されている副腎皮質ステロイド点眼薬であるジフルプレドナート点眼薬を糖尿病黄斑浮腫に対してC3カ月間点眼治療した.治療後C3カ月時点での網膜厚改善はトリアムシノロンアセトニドのTenon.下注射と同等だった.点眼であるため,受診した日から治療が始められ,もし副作用が認められたらすぐに点眼を中止できるという治療における柔軟性がある.CIII糖尿病網膜症の進展のリスク因子1.糖尿病網膜症・黄斑症治療戦略のための発症,進展リスク評価糖尿病網膜症による失明,視力低下の患者を減らすためには,糖尿病および糖尿病網膜症を早期発見・早期治療すること,個々の糖尿病患者における糖尿病網膜症発症・進展の高リスクを高い精度で予測してCintensivecareを可能にするテーラーメイド医療を推進すること,さらには糖尿病網膜症発症・進展の病態研究による眼科の新しい治療法の開発などが大切である.糖尿病に限らず,ある集団における(たとえば日本人おける)ある疾患による障害(たとえば糖尿病網膜症による視力障害)を減少させるためには二つのアプローチがある.それは集団アプローチと高リスクアプローチである6,17)(図4).前者はリスクのある患者すべてを減らすアプローチで,糖尿病網膜症の場合には糖尿病患者数そのものを減少させることである.これは大変重要な課題であり,「健康日本C21」でも厚生労働省は数値目標を設定して糖尿病患者数の増加を抑制しようとしている6).一方後者は,疾患のなかでもとくにリスクの高い患者にアプローチするもので,糖尿病網膜症であれば発症・進展リスクを評価し,とくに高いリスクの患者に対して予防,治療を重点的に行うことである.診療の現場ではきわめて有効な戦略と考えられ,有効に作用させるためには,「高リスクアプローチ」を実現するための具体的な戦略を構築する必要がある.C2.糖尿病網膜症の眼底観察の臨床的な意義糖尿病網膜症の進行過程の知識があると診断や治療について理解しやすく,内科-眼科の連携にも資するために策定されたのが,糖尿病網膜症の国際重症度分類である(前述).糖尿病網膜症の基本的な三つの病態は血管透過性亢進,血管閉塞,血管新生であり,この順に進行する.この国際分類は眼底所見により判定される重症度を,今後網膜症が進展していくと予測されるリスクととらえることで構築されている.すなわち,国際重症度分類で重症であると判定されるということは,今まさに網膜症が急速に進展すると予測されるということと同義となる.国際重症度分類を用いて重症度判定することによって,明確で具体的な臨床的メッセージを患者と内科へ発信することができる.糖尿病患者における網膜症の重症度と発症・進展リスクの評価を,日本人における大規模コホート研究において行った結果について報告する.JapanDiabetesCom-plicationsCStudy(JDCS)はC1996年から始められたわが国におけるC2型糖尿病の多施設大規模研究であり,欧米以外では初めてのものである18).全国の糖尿病専門施設59カ所に通院するC2型糖尿病患者のうち,前増殖性以上の網膜症や心血管疾患など進行した合併症をもつ患者を除外したC2,205名を対象とした.登録者全体の糖尿病低高図4高リスクアプローチと集団アプローチ(健康日本C21ホームページより引用)合併症の実態について前向きに追跡研究しており,日本人における糖尿病血管合併症についての貴重な疫学データとなっている.網膜症のない患者ではC1年あたりC3.4%で網膜症を発症していた.これは以前CSasakiらによってなされた日本人のC2型糖尿病患者を対象になされた報告19)の年約C4%に比較的近い値であった.1960.1979年に初診したC2型糖尿病患者のうち網膜症のなかったC976名(平均年齢C52歳,平均糖尿病罹病期間C3年)を平均C8.3年間追跡しており,JDCS開始までの約C20年間において網膜症発症率はあまり変化がなかったということになる.また,軽症.中等症非増殖糖尿病網膜症(単純網膜症)を有していた患者のC1年あたりC1.3%に,重症非増殖糖尿病網膜症(前増殖症)または増殖糖尿病網膜症の進展・増悪が認められた.JDCSの追跡データは日本人における他の疫学研究結果と同等であり,日本人の糖尿病患者に適応できる可能性を示している.JDCSでは糖尿病網膜症を以下のような分類に分けた(ステージC0:網膜症なし,ステージC1:網膜出血のみ,ステージC2:軟性白斑,ステージC3:網膜内最小血管異常,静脈変形,ステージ4:新生血管).経過観察開始時,ステージC0はC1,221例,ステージC1はC410例,ステージC2はC57例であった.8年間の経過観察でステージC3以上に進展するリスクをCCOX回帰モデルにより解析した.ベースラインでステージC0であった症例をCreferenceとすると,ベースラインでステージ1の症例がステージC3以上に進展するリスクは約C4倍,ベースラインでステージC2の症例がステージC3以上に進展するリスクは約C16倍であった20).この結果は,眼科医が診察した眼底所見による網膜症重症度の評価がその後の網膜症の進展を予測するツールとなっていると考えられ,眼科医による散瞳下での眼底検査を受けることの重要性を示している.しかし,OrganisationCforCEco-nomicCCo-operationCandDevelopment(OECD)による2005年の調査によると,日本における糖尿病患者に対する眼底検査施行率はC4割を切っており,最高レベルのイギリス,スウェーデンの約C8割に大きく水をあけられている21).その後の厚生労働省による国民栄養調査では,眼科受診率は改善しているが,まだまだC100%には届いていない(文献:平成C28年度調査報告書).眼底検査は眼科医により眼底全体の評価を行うべきで,健康診断で行われるような非散瞳下の眼底写真撮影のみでは周辺部の眼底の病変は検出できず不十分である.日本における糖尿病網膜症による視力障害を減少させるための第一歩は,糖尿病患者の眼科受診率を向上させることにある.C3.全身因子―Hospital-basedstudyから血糖値や血圧など全身的な危険因子のコントロールは網膜症の発症,進展を抑制するうえで基本的かつ重要な治療であり,網膜症のどの重症度でも対象となる.その治療目標の設定はエビデンスに基づいて行う必要がある.日本人におけるChospital-basedstudyによる疫学研究のエビデンスとしては,KumamotoStudy,JDCSがある.JDCSによると,登録時に単純網膜症を認めない群における網膜症発症のリスクファクターは,糖尿病罹病期間,HbA1c,収縮期血圧だった.さらに,すでに糖尿病網膜症を発症していた群における網膜症進展の有意なリスクファクターもCHbA1cだった.網膜症発症について層別化したCHbA1cでリスク評価すると,HbA1c7%未満の患者と比較して,HbA1c7.8%の層で網膜症発症リスクはC2倍,8.10%の層で約C3.5倍,10%以上の層ではC7.6倍にも上ることが明らかになった22).CKumamotoStudyは熊本大学医学部代謝内科で七里教授(当時)を中心として行われた日本人のC2型糖尿病患者を対象にしたChospital-basedstudyである.同研究ではC10年間の経過観察を行い,空腹時血糖値,HbA1c値は,中間型インスリン継続治療(conventionalinsulininjectiontherapy:CIT)群に比し,頻回インスリン治療(multipleCinsulininjectionCtherapy:MIT)群で有意な低値となったことが示された.MIT群で行われる厳格な血糖コントロールにより,網膜症の悪化は,一次予防および二次介入ともにCCIT群に比べCMIT群で有意に低率だった.また,HbA1c6.5%未満,食後C2時間血糖値C180Cmg/dl未満であれば細小血管合併症の出現する可能性が少ないことも報告されており,日本糖尿病学会でのガイドラインの治療の目標となっている23).以上のような定量的なリスク評価において,日本人の糖尿病患者を対象にした研究データは少なく,きわめて貴重で,網膜症の発症・進展を予防する医療の確立のために大切なエビデンスとなる.糖尿病網膜症を含む細小血管症,脳卒中などの大血管症への進展のリスクを評価するためのリスクエンジンを上記のCJDCSのデータをもとにCTanakaらが構築し,Web上に公開している.5年の期間で網膜症が進展するリスクエンジンを構築しており,それを構成する危険因子は,年齢,HbA1c,糖尿病罹病期間,肥満度(bodymassindex:BMI),腎機能である.このリスクエンジンを用いると,5年での進展はC10.96%と予測された.実測値はC10.20%だったことから,きわめて良好な予測結果であった.他の細小血管症,大血管症の進展のリスクもきわめて正確に予測可能であった.このようなリスクエンジンが臨床応用され,電子カルテなどのデータを基に高リスク患者の選定が行われるようになると,高リスクアプローチ実現の有力なツールになると考えられる24).CIV大血管症,腎症の予測前項で述べた分析は,糖尿病患者を対象としたChospi-tal-basedstudyでの解析結果である.健常人の網膜血管系は全身状態によってどのように影響を受けるかについて,健常人を対象にしたCpopulation-basedCstudyにおいて検討し,hospital-basedCstudyでの解析結果と比較した.山形大学医学部では山形県舟形町における住民健診をもとにした疫学研究(舟形町研究)をC1979年から行ってきた25.27).また,山形県高畠町のコホート研究である高畠町研究でも眼科学的な研究が行われている.これらの研究は山形県コホート研究(主任研究者:嘉山孝正教授)として包括され,健康人約C2万人のデータベースが整備されており,山形県全体のコホートをもとにした分子疫学的研究が行われている.舟形町研究の一環として,網膜症の有病率とその関連因子を検討した.舟形町検診の住民のうちC9.0%に網膜症がみられ,高齢,BMI高値,空腹時血糖異常(impairedfastingCglucose:IFG),耐糖能異常(impairedCglucosetolerance:IGT)が関連していた.糖尿病患者のC23.0%に網膜症がみられ,糖代謝正常者,IFG,IGTにおいてそれぞれC7.7%,10.3%,14.6%に網膜症が認められた.耐糖能障害がある場合には,網膜症の有病率はC1.53倍(オッズ比)に上昇し,IFGではオッズ比がC1.23と有意な相関がみられなかったのに対し,IGTではC1.63と有意に相関していることがわかった.これらは食後高血糖が網膜症有病率に関連することを示している28).一方,食後高血糖よりもCHbA1c値で表わされる血糖コントロールの平均値のほうが網膜症の発症・進展に影響するという意見もある.Lachinらは,DiabetesCControlCandCComplicationsTrial(DCCT)について解析し,従来治療群と強化治療群を比較した場合に,HbA1cほど網膜症の発症や進展に関連する因子はないと報告した29).舟形町研究ではメタボリックシンドロームと網膜病変の関連についても検討した.メタボリックシンドロームはおもに動脈硬化,心筋梗塞,脳卒中のリスク因子の多様性に着目した概念であるが,近年,網膜病変など細小血管障害との関連も検討されている.筆者らはこれまでにメタボリックシンドロームの構成要素である高血圧,肥満,高脂血症などが網膜細動脈硬化,網膜症とどのように関連しているかを検討した.さらに,個々の危険因子間での相乗効果を検討した.メタボリックシンドロームはCInternationalDiabetesFederationの定義で診断した.メタボリックシンドロームの個々の危険因子と網膜所見との間には,肥満とびまん性静脈拡張および網膜症,高血圧と網膜細動脈の局所狭細化・動静脈交叉現象・血柱反射亢進・びまん性狭細,高トリグリセリド血症と血柱反射亢進などの関連があった.メタボリックシンドローム自体は網膜症(実際には網膜出血)(オッズ比1.6)とびまん性静脈拡張(+4.7Cμm)に関連していた30).これらの結果は,メタボリックシンドロームは網膜所見と関連していること,個々のメタボリックシンドロームを構成するリスクが重なると網膜疾患のリスクが高くなることを示している.これらは,これまで報告されたhospital-basedCstudyである糖尿病データマネジメント研究会(JapanCDiabetesCClinicalCDataCManagementCStudyGroup:JDDM)レポートC40の結果(血糖コントロール不良,高脂血症,高血圧の三つの因子について異常値をとる因子数が増えると網膜症有病率が上昇することが報告されている)31),JDCSにおけるリスクエンジンの創設の試み(年齢,HbA1c,糖尿病罹病期間,BMI,腎機能が糖尿病網膜症の進展予測に有効)24)と,因子の組み合わせは異なるものの全身因子と糖尿病網膜症の関連を強く示すエビデンスとなっている.全身因子が網膜血管疾患に影響すること,網膜血管系の形状などに影響することは上記の研究により推察されるが,その分子メカニズム(どのような分子が関連しているのか)は不明な点が多い.メタボリックシンドロームの病態を理解するうえで,アディポネクチンが重要と考えられている32).アディポネクチンは脂肪細胞のみが分泌する抗動脈硬化因子であり,血中濃度は内臓脂肪濃度と逆相関する.アディポネクチンが低下すると,血圧異常,耐糖能異常,脂質代謝異常の重症化に寄与するだけではなく,動脈硬化の独立した危険因子にもなることが知られている33,34).アディポネクチンはアディポサイトカインの一つであり,これは脂肪細胞により分泌される脂肪組織由来生理活性物質であり,生理作用により生体内の恒常性を維持するため,産生・分泌のバランスが破綻することで,動脈硬化イベントが発症,進展する35.37).そのため,アディポネクチンの減少と,その他の炎症性・血栓性の性質を有するアディポサイトカインの増加が,メタボリックシンドロームと動脈硬化発症に重要であると考えられており,さまざまな関連を示す研究が行われている38).高畠町研究(山形県コホート研究の一部)において,アディポネクチンと網膜血管径の関連について検討した.高畠町研究に参加した住民C1,473人(男性C658人,女性C815人)を対象とし,眼底写真撮像,採血,身体データ測定,アンケートによる問診を施行した.網膜血管の状態を示す指標として,血流を保った状態で網膜血管(動脈,静脈)がそれぞれC1本であったと仮定した場合の仮想的血管径である網膜中心動脈径(centralCretinalarteryCequivalent:CRAE),網膜中心静脈径(centralCretinalCveinequivalent:CRVE),その比であるCAVR(CRAE/CREV)を,血管径測定専用ソフトウエアを用いて眼底写真から計測した39).低アディポネクチン血症がCCRAEの狭細化との関連し,これはアディポネクチン低下と細動脈硬化の関連を示唆している40).また,舟形町研究のデータを用いた研究によると,網膜動脈径狭細化が高血圧発症増加と有意な関連をもつこと41)に加えて,高血圧,冠動脈疾患,動脈硬化との関連が知られるアンギオテンシン変換酵素(angiotensinCconvertingenzyme:ACE)はレニン・アンギオテンシン系において重要な役割を果たしているが,ACE遺伝子多型が網膜動脈径狭細化と関連をもつこと42)が認められた.網膜血管は,肥満,高血圧などの全身因子に強く影響されるが,これらの分子病態に関連するCACEや血中のアディポネクチンの関与により網膜血管(動脈や静脈)が変化する.さらに高血圧,肥満などメタボリック症候群と脳卒中,心筋梗塞などの大血管症と網膜血管病態は共通するリスク因子をもつことから,網膜血管の病態を示す定性的,定量的指標により大血管症の発症を予測することが可能になると考えられる43,44).眼底検査は単に眼科診療において行うのみでなく,全身疾患の発症や重症化を抑制する先制医療の重要なデータを提供する情報源であり,これは全身疾患の高リスクアプローチにつながる.眼底検査により判定された糖尿病網膜症の重症度が,その後の大血管症の発症を予測する因子になることについてはエビデンスが蓄積されつつあり45),ますます眼底検査の重要性は増してくると考えられる.われわれ眼科医はこのことを意識して,医学全体に貢献するという視点をもつ必要があると考える.おわりにこれからの糖尿病網膜症診療は,個々の患者の病態に応じたテーラーメイド診療が必要となるだろう.そのうえで必要なこととしてC2点を考えたい.一つは人工知能(arti.cialintelligence:AI)を利用して適切な治療時期を見出し診療に生かしていく工夫である.眼底写真やCOCT,OCTAなどの画像データからの学習が必要になることから,データベース構築を急ぎ行う必要がある.一方で,診断を確定し,光凝固術,注射,手術など侵襲的治療を担うのは眼科医であり,AIが参入しても眼科医が不要となることはない.われわれ眼科医が,AIをうまく利用しながら眼科診療,治療を行っていくことが理想的な形であると考えられる.もう一つは,糖尿病患者で網膜症の進展を阻止するような非侵襲的薬物治療(点眼や内服など)の開発と,その有効で安全な治療法選択のためのアルゴリズムの開発があげられる.たとえば採血検査など比較的侵襲が低く,繰り返しての検査が可能な方法で糖尿病網膜症の病態が判定され,それに合わせて適切な内服薬や点眼薬が選択できるようになれば,テーラーメイド医療は大きく前進すると考えられる.文献1)厚生労働省:平成C28年国民健康・栄養調査結果の概要.Chttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h28-houCkoku.html2)YauJW,RogersSL,KawasakiRetal:GlobalprevalenceandCmajorCriskCfactorsCofCdiabeticCretinopathy.CDiabetesCCareC35:556-564,C20123)MorizaneCY,CMorimotoCN,CFujiwaraCACetal:IncidenceCandCcausesCofCvisualCimpairmentCinJapan:theC.rstCnation-wideCcompleteCenumerationCsurveyCofCnewlyCcerti.edCvisuallyCimpairedCindividuals.CJpnCJCOphthalmolC63:26-33,C20194)若生里奈,安川力,加藤亜紀ほか:日本における視覚障害の原因と現状.日眼会誌118:495-501,C20145)日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドラインC2019.南江堂,C20196)厚生労働省:健康日本C21計画書7)WilkinsonCCP,CFerrisCFL,CKleinCRECetal;GlobalCDiabeticRetinopathyCProjectCGroup:ProposedCinternationalCclini-calCdiabeticCretinopathyCandCdiabeticCmacularCedemaCdis-easeCseverityCscales.COphthalmologyC101:1677-1682,C20038)DiabeticCRetinopathyCStudyCResearchGroup:ACmodi.cationCofCtheCAirlieCHouseCclassi.cationCofCDiabeticCretinopathy.CDRSCReportCNumberC7.CInvestCOphthalmolCVisSciC21:210-226,C19819)EarlyCTreatmentCDiabeticCRetinopathyCStudyCResearchGroup:GradingCdiabeticCretinopathyCfromCstereoscopicCcolorCfundusCphotographsC.CanCextensionCofCtheCmodi.edCAirlieCHouseCclassi.cation.CETDRSCreportCnumberC10.COphthalmologyC98(5CSuppl):786-806,C199110)西勝弘,後藤早紀子,西塚弘一ほか:手術時期の異なる増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術成績の検討.臨眼C67:69-75,C201311)NishiCK,CNishitsukaCK,CYamamotoCTCetal:FactorsCcorre-latedCwithCvisualCoutcomesCatCtwoCandCfourCyearsCafterCvitreousCsurgeryCforCproliferativeCdiabeticCretinopathy.CPLoSOneC16:e0244281,C202112)NishitsukaCK,CNishiCK,CNambaCHCetal:IntraoperativeCopticalCcoherenceCtomographyCimagingCofCtheCperipheralCvitreousandretina.RetinaC38:e20-e22,C201813)NishitsukaCK,CNishiCK,CNambaCHCetal:Quanti.cationCofCtheperipheralvitreousaftervitreousshavingusingintra-operativeCopticalCcoherenceCtomography.CBMJCOpenCOph-thalmolC6:e000605,C202014)西塚弘一:糖尿病網膜症に対する硝子体手術における術中OCTの所見や有用性について教えてください.あたらしい眼科37(臨増):171-174,C202015)NakanoCS,CYamamotoCT,CKiriiCECetal:SteroidCeyeCdroptreatment(di.upredonateCophthalmicemulsion)isCe.ectiveCinCreducingCrefractoryCdiabeticCmacularCedema.CGraefesArchCClinExpOphthalmolC248:805-810,C201016)Nakano-GotoS,YamamotoT,KiriiEetal:Treatmentofdi.useCdiabeticCmacularCoedemaCusingCsteroidCeyeCdrops.CActaOphthalmolC90:628-632,C201217)水嶋春朔:予防医学のストラテジー.綜合臨牀C53:2399-2405,C200418)曽根博仁,山田信博,山下英俊:糖尿病網膜症一次および二次予防のエビデンス─他の合併症との関連ならびにCJDCS中間報告から─.あたらしい眼科24:1281-1285,C200719)SasakiA,HoriuchiN,HasegawaKetal:Developmentofdiabeticretinopathyanditsassociatedriskfactorsintype2CdiabeticCpatientsCinCOsakadistrict,CJapan:aClong-termCprospectiveCstudy.CDiabetesCResCClinCPractC10:257-263,C199020)日本糖尿病学会:JDCS報告書C2013年版21)OECD:図表でみる世界の保健医療.OECDインディケータ(2007年版)22)KawasakiCR,CTanakaCS,CTanakaCSCetal;JapanCDiabetesComplicationsStudyGroup:IncidenceandprogressionofdiabeticretinopathyinJapaneseadultswithtype2diabe-tes:8yearfollow-upstudyoftheJapanDiabetesCompli-cationsStudy(JDCS)C.DiabetologiaC54:2288-2294,C201123)岸川秀樹,和気仲庸,荒川栄一ほか:糖尿病の代謝コントロールと網膜症の発症進展阻止─CDCCT/EDIC,KumamotoStudy,UKPDSの結果から─.あたらしい眼科C24:1275-1280,C200724)TanakaCS,CTanakaCS,CIimuroCSCetal;theCJapanCDiabetesComplicationsCStudyCGroup:PredictingCmacro-andCmicrovascularCcomplicationsCinCtypeC2Cdiabetes.CDiabetesCareC36:1193-1199,C201325)大泉俊英,富永真琴:地域住民を対象とした疫学研究(2):日本人における糖尿病の実態─舟形町研究から─.あたらしい眼科21:435-439,C200426)田邉祐資,川崎良,山下英俊:舟形町スタディ.あたらしい眼科28:30-35,C201127)難波広幸,川崎良,山下英俊:舟形町研究.あたらしい眼科33:1253-1260,C201628)KawasakiCR,CWangCJJ,WongCTYCetal:ImpairedCglucoseCtolerance,CbutCnotCimpairedCfastingCglucose,CisCassociatedCwithCretinopathyCinCJapanesepopulation:theCFunagataCstudy.DiabetesObesMetabC10:514-522,C200829)LachinCJM,CGenuthCS,CNathanCDMCetal;DCCT/EDICCResearchGroup:E.ectCofCglycemicCexposureConCtheCriskCofmicrovascularcomplicationsinthediabetescontrolandcomplicationsCtrial–revisited.CDiabetesC57:995-1001,C200830)KawasakiCR,CTielschCJM,CWangCJJCetal:TheCmetabolicCsyndromeCandCretinalCmicrovascularCsignsCinCaCJapanesepopulation:theCFunagataCstudy.CBrJCOphthalmolC92:C161-166,C200831)YokoyamaCH,COishiCM,CTakamuraCHCetal:Large-scaleCsurveyCofCratesCofCachievingCtargetsCforCbloodCglucose,Cbloodpressure,andlipidsandprevalenceofcomplicationsinCtypeC2diabetes(JDDM40)C.CBMJCOpenCDiabetesCResCCareC4:e000294,C201632)MatsuzawaCY,CFunahashiCT,CKiharaCSCetal:AdiponectinCandCmetabolicCsyndrome.CArteriosclerCThrombCVascCBiolC24:29-33,C200433)KumadaCM,CKiharaCS,CSumitsujiCSCetal;OsakaCCADCStudyCGroup.CCoronaryCarterydisease:AssociationCofChypoadiponectinemiawithcoronaryarterydiseaseinmen.ArteriosclerThrombVascBiolC23:85-89,C200334)PischonCT,CGirmanCCJ,CHotamisligilCGSCetal:PlasmaCadi-ponectinClevelsCandCriskCofCmyocardialCinfarctionCinCmen.CJAMAC291:1730-1737,C200435)AritaY,KiharaS,OuchiNetal:Adipocyte-derivedplas-maCproteinCadiponectinCactsCasCaCplatelet-derivedCgrowthCfactor-BB-bindingCproteinCandCregulatesCgrowthCfactor-inducedCcommonCpostreceptorCsignalCinCvascularCsmoothCmusclecell.CirculationC105:2893-2898,C200236)KobayashiH,OuchiN,KiharaSetal:Selectivesuppres-sionCofCendothelialCcellCapoptosisCbyCtheChighCmolecularCweightformofadiponectin.CircResC94:e27-e31,C200437)OuchiN,KiharaS,AritaYetal:Adipocyte-derivedplas-maprotein,adiponectin,suppresseslipidaccumulationandclassCACscavengerCreceptorCexpressionCinChumanCmono-cyte-derivedCmacrophages.CCirculationC103:1057-1063,C200138)OkamotoY,KiharaS,OuchiNetal:AdiponectinreducesatherosclerosisinapolipoproteinE-de.cientmice.Circula-tionC106:2767-2770,C200239)斉藤公子,川崎良:眼底検診と全身疾患.日本の眼科C81:1008-1011,C201040)本間慶,川崎良,菅野彰ほか:網膜血管径と低アディポネクチン血症を含む動脈硬化危険因子との関連の検討.第C117回日本眼科学会総会(2013年C4月)41)TanabeCY,CKawasakiCR,CWangCJJCetal:RetinalCarteriolarCnarrowingCpredictsC5-yearCriskCofChypertensionCinCJapa-nesepeople:theCFunagataCStudy.CMicrocirculationC17:C94-102,C201042)TanabeCY,CKawasakiCR,CWangCJJCetal:Angiotensin-con-vertingCenzymeCgeneCandCretinalCarteriolarnarrowing:CtheFunagataStudy.JHumHypertensC23:788-793,C200943)WongCTY,CKleinCR,CCouperCDJCetal:RetinalCmicrovascu-larCabnormalitiesCandCincidentstroke:AtherosclerosisCRiskinCommunitiesStudy.LancetC358:1134-1140,C200144)WongTY,KleinR,SharretteARetal:Retinalarteriolarnarrowingandriskofcoronaryheartdiseaseinmenandwomen.CTheCAtherosclerosisCRiskCinCCommunitiesCStudy.CJAMAC287:1153-1159,C200245)KawasakiR,TanakaS,TanakaS;JapanDiabetesCompli-cationsStudyCGroup:RiskCofCcardiovascularCdiseasesCisCincreasedevenwithmilddiabeticretinopathy:theJapanDiabetesCComplicationsCStudy.COphthalmologyC120:574-582,C2013C☆☆☆