———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLSぶことができるが,一般の人々にとっては,「ある病気について専門的な知識や技能をもった医師」が専門医であって一段レベルが高い医師であるというように認識されていると思われる.しかし医師にとっては,前述のいわば広義の専門医が資格としての専門医ではないことは誰でも知っているであろう.専門医について,現在わが国の多数の専門医制度を実質上統括しているといえる日本専門医認定制機構が,狭義のそして本来の「専門医」をつぎのように定義している.すなわち,「5年間以上の専門研修を受け,資格審査ならびに専門医試験に合格して,学会などによって認定された医師を専門医」としている.これは日本眼科学会認定の眼科専門医についてもそのまま当てはめることができる.それも当然で,平成15年4月に日本専門医認定制機構が専門医(ないし認定医)制度をもつ会員52学会を,第1群:基本的領域の学会,第2群:Subspecialtyの学会で,基盤とする領域の認定(研修)に上積み研修方式の制度の学会,第3群:1および2群以外の学会(位置づけはこれから協議されるもの),の3群に区分した際に,第1群となった日本眼科学会は,この基盤18学会の一つであるからである(表1).わが国における各領域の専門医の認定制度は,欧米に比べ発足が遅れ,1962年に発足した日本麻酔指導医制度が最初のものである.その後,学会がそれぞれ認定医(専門医)の制度を立ち上げたが,学会間の連携なしに施行され,統一性のない多様な制度が施行されてしまっはじめに「アレルギー専門医」といわれてもぴんとこない方が多いのではないだろうか.アレルギー専門医とは日本アレルギー学会によって認定される専門医のことである.本誌の対象読者はほとんどが眼科医であるが,今年の9月現在で,眼科専門医は9,688名であり,日本眼科学会会員13,690名(2006年末現在)の70%にあたる1).さらに専門医志向申請者の1,328名を加えると,ほぼ80%が日本眼科学会認定の「眼科専門医」を取得しているか,取得に向けて研修中であると思われる.眼科専門医は眼科医を職業としていこうとする医師にとって,法制上は現在必須ではないとはいえ,重要であることは異論のないところである.そして眼科のもつ強い専門性から,「眼科専門医」資格さえもっていれば十分と認識されている方がほとんどであろう.というよりも,他科から移られた方を除けば,眼科専門医以外の専門医資格を取得することなど不可能だと考えられても無理がないところがある.そのような眼科専門医以外にある専門医資格のなかで,これから紹介するアレルギー専門医は眼科医にとって,現実的に手に入れられる可能性のあるおそらく唯一の専門医資格といえるものである.それでは,アレルギー専門医について解説を進めていきたい.I専門医とは何かそもそも専門医とは何ものなのだろうか.わが国では,医師国家試験に合格した医師は自由に標榜科目を選(43)177*EiichiUchio:福岡大学医学部眼科学教室〔別刷請求先〕内尾英一:〒814-0187福岡市城南区七隅7-45-1福岡大学医学部眼科学教室特集眼アレルギーの知識はいまあたらしい眼科25(2):177182,2008アレルギー専門医と眼科ClinicalAllergologicalSpecialistsandOphthalmology内尾英一*———————————————————————-Page2178あたらしい眼科Vol.25,No.2,2008(44)また2002年4月に厚生労働大臣の告示によって,「専門医の広告」が実現したために,日本専門医認定制機構(英文名:JapaneseBoardofMedicalSpecialties)として,2003年4月から開始されているわけである.日本専門医認定制機構の事業としては,1.専門医認定制全体の望ましい整備に関する活動,2.信頼される専門医の認定及び生涯教育の充実に関する活動,3.社会の理解を深た.そこで,社会に認められる認定医(専門医)とするために,学会同士でauthorizeした合同会議として情報交換や望ましい制度の在り方を協議し,継続活動することが必要であるとされ,1981年11月に,日本眼科学会を含む22学会が参加して,学会認定医制協議会が設立された.その後紆余曲折があったが,協議会がその目的を果たすためには法人格が必要であるとの考えがあり,学会名専門医名称専門医数1.基本領域の学会※日本内科学会認定内科専門医10,562名※日本小児科学会小児科専門医11,956名※日本皮膚科学会皮膚科専門医5,257名日本精神神経学会精神科専門医0名※日本外科学会外科専門医13.782名※日本整形外科学会整形外科専門医15,729名※日本産科婦人科学会産婦人科専門医11,870名※日本眼科学会眼科専門医9,362名※日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医8,113名※日本泌尿器科学会泌尿器科専門医5,895名※日本脳神経外科学会脳神経外科専門医6,335名※日本医学放射線学会放射線科専門医4,810名※日本麻酔科学会麻酔科専門医5,529名※日本病理学会病理専門医1,927名日本臨床検査医学会臨床検査専門医581名※日本救急医学会救急科専門医2,472名※日本形成外科学会形成外科学会専門医1,505名※日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医1,255名2.Subspecialtyの学会※日本消化器病学会消化器病専門医14,152名※日本循環器学会循環器専門医9,817名※日本呼吸器学会呼吸器専門医3,360名※日本血液学会血液専門医2,022名※日本内分泌学会内分泌代謝科(内科・小児科)専門医1,480名※日本糖尿病学会糖尿病専門医3,299名※日本腎臓学会腎臓専門医2,684名※日本肝臓学会肝臓専門医3,506名※日本アレルギー学会アレルギー専門医2,450名※日本感染症学会感染症専門医814名※日本老年医学会医学会認定老年病専門医1,446名※日本神経学会神経内科専門医4,213名※日本消化器外科学会消化器外科専門医3,203名※日本呼吸器外科学会※日本胸部外科学会}呼吸器外科専門医1,139名※日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医1,848名学会名専門医名称専門医数日本血管外科学会(機構未加盟)不明※日本小児外科学会小児外科専門医422名日本小児神経学会小児神経科専門医1,002名日本心身医学会心身医学科認定医740名※日本リウマチ学会リウマチ専門医3,491名※日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医13,945名※日本大腸肛門病学会大腸肛門病学会専門医1,594名※日本気管食道科学会気管食道科専門医252名日本周産期・新生児医学会周産期専門医0名日本生殖医学会生殖医療指導医0名※日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医599名3.多領域に横断的に関連する学会※日本超音波医学会学会認定超音波専門医1,535名※日本核医学会核医学専門医576名日本集中治療医学会集中治療専門医776名日本輸血・細胞治療学会輸血細胞治療学会認定医289名※日本東洋医学会漢方専門医1,803名日本温泉気候物理医学会温泉療法専門医192名日本臨床薬理学会臨床薬理学会認定医213名4.上記の領域に属さない学会日本産業衛生学会産業衛生学会専門医380名新規加盟学会日本病態栄養学会学会認定病態栄養専門医0名※日本透析医学会学会認定透析専門医3,905名日本臨床腫瘍学会臨床腫瘍学会専門医47名日本総合病院精神医学会精神医学会専門医503名日本アフェレシス学会学会認定専門医192名※日本ペインクリニック学会ペインクリニック学会専門医1,444名日本脳卒中学会脳卒中学会専門医2,556名※日本臨床細胞学会細胞診専門医2,113名日本心療内科学会心療内科専門医0名日本放射線腫瘍学会放射線腫瘍学会認定医500名日本頭痛学会学会認定頭痛専門医227名日本てんかん学会学会認定医(臨床専門医)310名日本インターベンショナル・ラジオロジー学会学会認定専門医472名日本脳神経血管内治療学会学会認定専門医386名表1日本専門医認定制機構加盟学会の一覧と専門医数※印は専門医広告が可能な学会(2007年4月現在).———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.2,2008179(45)1,037名(11.5%)で,研究者の占める割合は日本眼科学会よりはかなり高率であり,Subspecialty学会としての性格をみることもできる.学術集会は年2回あり,春季臨床大会,秋季学術大会というように,前者が臨床中心,後者が基礎研究中心とされ,眼科における日本臨床眼科学会,日本眼科学会の関係に類似しているが,実際には眼科と同様に,2つのアレルギー学会の学術集会は臨床,基礎研究がミックスされた演題で構成されている.来年(2008年)は春季臨床大会(6月1214日),秋季学術集会(11月2729日)ともに東京で開催されるが,地方で開催されることもあり,眼科の大きな学会とは異なりローカル色を体験することも可能である.確かに,眼科からの発表はきわめて少ないために,直接的に興味を引く発表は多くない.しかし,アレルギー疾患のメカニズムは共通のものが多いために,眼科では目にすることが少ない全身治療薬の情報や研究面でのヒントを得ることも多く,筆者個人的にはなかなか面白い学会と思っている.会員の各科別の内訳は,内科が3,834名(48.2%)で最も多く,ついで小児科2,070名(26.0%),皮膚科916名(11.6%),耳鼻咽喉科900名(11.3%),大きく離されて眼科の会員数は58名(0.7%)である(5科以外の医師の会員が他に163名いる).58名という数字を少ないとみることは容易であるが,見方を変えて,眼科医にとってほとんど無縁と思われるアレルギー学会の会員が想像していたよりも多いと感じられる方もいるのではないだろうか.後述するように,アレルギー専門医になるためにはアレルギー学会会員になるのが最初の入口になる.IIIどうしたらアレルギー専門医になれるのかアレルギー専門医として認定を受けるためには,表2に示す条件を満たす必要がある.このうち,眼科専門医であれば,1,2,3および5はクリアできると思われ,問題はそれ以外の4,6そして7である.この3項目のなかでは実は4が最も高いハードルになっている.なぜならば,「日本アレルギー学会認定教育施設において,指導医または「専門医」のもとでのアレルギー学の臨床研修」となっているが,諸事情のために,そもそも眼科医であるアレルギー指導医は現在1名しかいないのであめるための専門医制に関する広報活動,4.専門医認定制に関する調査及び評価に関する活動と規定されているが,各学会にとって重要(であり,また頭の痛い)のは上記のうちの4にあたる部分である.この機構が「専門医認定制機構」であって,「専門医認定制度機構」でないのは,専門医制度そのものではなく,専門医を認定するレベルが各学会間で大きな差異を生じないように協調(実際にはほとんど指導)することを主目的としているからにほかならない.専門医としてのメリットは厚生労働大臣の許可に基づいて,たとえば「日本眼科学会認定眼科専門医」と広告できることが最も大きなものであり,学会ホームページなどでも専門医名簿が公開されている.将来的には,診療報酬面での差別化が検討されているが,まだ実現しそうな状況ではない.その他,身体障害者に関する診断書作成資格や先進医療実施責任者にも眼科専門医であることが必要である1).専門医であることを広告できるのは,表1に示すように,いわゆる基盤学会のうちの16を含めて45の専門医があり,アレルギー専門医もこのなかに含まれている.したがって,アレルギー専門医になると「日本アレルギー学会認定アレルギー専門医(眼科)」であることを広告できることになり,また眼科と同時に「アレルギー科」を診療科目として標榜する根拠も得られることになる.IIアレルギー学会とは日本アレルギー学会は1952年に設立され,2005年に法人格のある社団法人化された.2007年4月現在,8,992名の会員がいるが,これは正式には社員ということになる.アレルギーおよび臨床免疫を共通の研究テーマとする臨床医および基礎医学者から構成されている.臨床の専門分野としてはアレルギー・免疫反応をベースに発症する気管支喘息,過敏性肺臓炎(内科,小児科),アトピー性皮膚炎(皮膚科),アレルギー性鼻炎(耳鼻咽喉科)およびアレルギー性結膜疾患(眼科)など各科の特徴的な疾患や花粉症,免疫不全,膠原病など多くの診療科が関与する疾患を対象にしている.上記のように,臨床医は内科,小児科,皮膚科,耳鼻咽喉科そして眼科の5科が母体となっている.会員のうち,非医師は———————————————————————-Page4180あたらしい眼科Vol.25,No.2,2008(46)こで,表2の4項に「ただし施設の専門,地域等の格差により施設での研修が困難な場合は,別途規定の研修方法により所定の臨床研修を受ける」という文言が加えられ,眼科に関しては具体的には,「専門医」資格取得後,勤務先が「教育施設」の認定条件を満たしている場合は,即時に「指導医」,「教育施設」の認定を可能とする,という規程の変更が今秋(2007年)のアレルギー学会総会の議決を経てされることになった.そうなると,アレルギー専門医である眼科医がいる総合病院で研修を行えばよく,たとえ勤務していなくても非常勤で毎週1回程度外来見学を行うことが研修とみなされることになる.眼科のアレルギー専門医は現在実際に12名いる.また,どうしても定期的な研修ができない場合は,各地方のアレルギー症例が多い施設(関東では国立病院機構相模原病院など)で開催される集中研修(いわゆるアレルギーサマースクール,3日間で講義,実習を受ける)る.そのうえ,認定教育施設になるためには,総合病院であり,アレルギー疾患の症例が年間100以上あり,さらに指導医1名以上または専門医2名以上勤務していることが条件になっているために,眼科の認定教育施設は一般の眼科専門医にとって実際には存在しない状況である(表3).指導医不足は実は眼科だけの問題ではなく,耳鼻咽喉科,皮膚科にもあり,指導医自体はある程度存在する内科,小児科においても,たとえば指導医が1名しかいない施設では,大学の医局であっても,その医師が異動してしまうと,認定教育施設の資格がなくなってしまうというような問題もしばしば生じている.そ表2アレルギー専門医認定のための必要条件日本の医医る認定にの会る内科科科科眼科など本の専門医の認定いる本のめの要るののうは日本アレルギー学会認定におい日本アレルギー学会医または専門医のとの定のにったアレルギー学の必とるにらしいるアレルギーの績のに表にアレルギー学の業績単位るとたし日本アレルギー学会学会お会のめるのとる専門医認定試験にしいる日本アレルギー学会専門医制度日定り表3アレルギー学会の専門医制度日本アレルギー学会専門医アレルギー学にいと専門知識アレルギーの験と績りいアレルギーのうのる医日本アレルギー学会医専門医のためのにわしいと学会認定した医日本アレルギー学会認定専門医のためのにわしいとし学会認定したいれにお試験にるい認定る日日本アレルギー学会認定医制度日り定表4アレルギー専門医の業績単位一覧(眼科医に関するものの抜粋)論文発表(アレルギー・免疫に関するもの)アレルギー,AllergologyInternational(学会誌)他学会誌,および準ずるもの筆頭著者105共著者42学会・講習会・研修会日本アレルギー学会秋季学術および春季臨床大会日本アレルギー学会専門医教育セミナーほか発表(筆頭)55出席107関連学会日本臨床眼科学会他に,日本臨床免疫学会,日本免疫学会など発表(筆頭)3出席4本制度認定の他学会・講習会・研究会日本眼科アレルギー研究会他に臨床アレルギー研究会(関東),西日本小児アレルギー研究会,阪神臨床アレルギー研究会など多数発表(筆頭)2出席2———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.2,2008181(47)る.五者択一問題は40問の共通問題と13問の専門領域問題からなっている.アレルギー専門医が眼科医に門戸が開かれているのは,専門領域問題が各科に対応している点であり,眼科医にとってなじみのない内科,耳鼻咽喉科,皮膚科などのアレルギー学についての知識は基本的に要求されない点があることに他ならない.2007年1月実施の実際の問題を表5,6に示す.専─12問題は,五者択一の共通問題である.眼科以外の内容となる40問のうちの1問であるが,難易度として標準的な問や学術集会時に開催される教育セミナー(1ないし2日)への出席でも代用可能である.6の修得単位については表4にその内容を記載したが,かりに論文がなくても,春,秋2回あるアレルギー学会に5回出席すれば50単位自体は達成でき,臨床眼科学会の出席単位も4単位だから,臨床眼科学会に必ず出席する場合は5年間でアレルギー学会に合計3回出席すればよいことになる.アレルギー専門医制度認定の他の学会・講習会・研究会の数は多く,どこの地方でも開催されているが,その単位は出席で2単位ずつなので,よほど積み重ねないとむずかしいだろう.なおアレルギー学会学術集会の出席単位は眼科学会のように,1日ずつの通算ではなく,登録費を払って出席すれば,10単位である(1時間しか会場にいなくても3日間いても同じ).以前は事前登録して,実際には出席しない例が少なくなかったため,今年(2007年)から会場での確認も行われるようになったが,眼科のように顔写真付きの会員証で管理されているわけではない.専門医の単位は出席証を集めて,後で申請する形式である.IVアレルギー専門医試験もう一つの,そして最後の関門が専門医試験である.試験は年1回1月に東京の1会場で行われる.試験は筆記のみで,前半が五者択一問題,後半が論述問題であ図1眼科専門医試験問題症例写真(表6参照)表5アレルギー専門医試験問題(五者択一問題)共通問題専─12自然免疫に関与しないのはどれか.a.Tcellreceptorb.Toll-likereceptorc.補体d.マクロファージe.NK細胞正解a専門領域問題(眼科)専(眼)─49眼サルコイドーシスについて正しくないのはどれか.a.副腎皮質ステロイド薬の後部テノン下注射が有効であるb.硝子体混濁に対して硝子体手術は行うべきではないc.慢性の経過をとる症例が多いd.結膜に類上皮肉芽腫がみられることがあるe.視神経病変は副腎皮質ステロイド薬の全身投与の適応である正解b表6アレルギー専門医試験問題(症例五者択一問題および症例記述問題)症例五者択一問題専(眼)─5223歳の女性.右眼の眼脂・痒感を訴えて受診.上眼瞼の所見を図1に示す.3年来のソフトコンタクトレンズ装用者である.この患者への対応で誤りなのはどれか.a.抗アレルギー薬の点眼を行うb.副腎皮質ステロイド薬の点眼を行うc.コンタクトレンズの装用を中止するd.コンタクトレンズのこすり洗いを徹底するe.乳頭切除を行う正解e症例記述問題専(眼)─54アレルギー性結膜疾患の分類について記せ.専(眼)─55春季カタルに対する外科的治療について記せ.専(眼)─56結膜でのI型アレルギー反応の証明方法について記せ.上記から2題を選択記述する.———————————————————————-Page6182あたらしい眼科Vol.25,No.2,2008ながら眼科医には歯が立たない問題ばかりである.そういう意味でアレルギー専門医は眼科医にとって特別の意味をもっているといえるだろう.Vアレルギー専門医になったらアレルギー専門医は各科別の資格なので,試験に合格して認定されると,「アレルギー専門医(眼科)」として,広告できるようになる.アレルギー学会のホームページなどでも公表され,アレルギー疾患の患者は慢性症例が多く,眼科の専門医の情報はよく利用されているようである.5年ごとの更新の際は,前述の合計50単位が条件となり,特別のことではないが,眼科専門医を継続している必要はある.おわりに医師の世界にも,世の中と同じように資格コレクターのような方をみることがある.たとえば,外科専門医,消化器病専門医,消化器外科専門医,消化器内視鏡専門医さらには大腸肛門外科専門医をもっている,といった例がないわけではない.眼科は専門性が高く,内容も特殊な感覚臓器を取り扱うことから,他科からの侵食は現実的にはほとんどない.しかし,逆にいうと眼科専門医以外の専門医資格をもっている眼科医はほとんどいない.アレルギー専門医の12名は,眼科専門医の0.1%(58/9,688)にすぎないので,大雑把にいって,残りの99.9%は眼科専門医だけということになる.他の世界を垣間見ることは,何歳になっても想像を超える知的刺激を受けるチャンスである.本稿をお読みになって,アレルギー専門医に一人でも多くの方が興味をもたれれば幸いである.文献1)大鹿哲郎:専門医制度,専門医について.日眼会誌111:767-768,2007題である.自然免疫に対して,獲得免疫はT細胞,B細胞を介するもので,それ以外を自然免疫であるということさえ知っていれば解答できる.臨床に関する問題も少し含まれるが,共通問題の大半はアレルギー・免疫学の基礎的な知識を問うものである.共通問題の臨床問題は膠原病や炎症性腸疾患などに関するものが多い.そのため多少の勉強はさすがに必要で,「ポケット臨床免疫学」といったさほど厚くないポケット型の本でよいから,直前1カ月くらい通読すれば,十分である.表6の専(眼)─49は五者択一の眼科問題10問の一つである.アレルギー疾患だけでなく,ぶどう膜炎に関する問題も必ず出題されるが,最近難易度が上がっている眼科専門医試験に比べれば,はるかにやさしい.専門領域問題には症例五者択一問題が3題含まれ,専(眼)─52のような問題が出題される.巨大乳頭性結膜炎と春季カタルの相違を理解していれば,解答できる.論述式問題は表6下に示す3問のうち,2問を選択して記述する.ある程度の臨床経験があれば,十分解答できると思われるが,アレルギー性結膜疾患のガイドラインについては理解している必要がある.配点は,五者択一問題の一般問題(共通40問各1点+専門10問各3点)が70点,症例問題が3問各10点で合計100点,論述問題2問各50点で100点,総計200点の60%が合格ラインとなっている.試験時間は五者択一問題が200分,論述問題は40分である.過去問題はアレルギー学会事務局から有料で購入できる.学会ホームページからも申し込めるようになっている.最近5年間では全受験者数は150180名で,合格率は95%前後である.眼科の受験者は前述のように少なく,今のところ多くても3人くらいしかいないが,まず不合格となる受験者はいないといってよい.眼科医がチャレンジできる専門医としては,ほかに感染症専門医,リウマチ専門医,超音波専門医などがあるが,アレルギー専門医のように各科領域に配慮した試験を行っている学会はなく,問題は1種類しかない.残念(48)