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初発・再発翼状片の手術成績と翼状片再発の危険因子

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1(93)14210910-1810/08/\100/頁/JCLSあたらしい眼科25(10):14211425,2008cはじめに翼状片は結膜下組織の異常増殖による角膜への侵入を本態とする疾患である.再発時には瘢痕形成や結膜短縮による眼球運動障害が問題になり,再発をくり返す難治症例に遭遇することもある.したがって,手術の目的は角膜内侵入組織の切除だけでなく,結膜下増殖組織を十分に除去し再増殖を抑え,再発を防止することである.単純切除のみでは再発率が高いため,線維芽細胞増殖抑制の意味から術中マイトマイシンC(MMC)を使用する併用療法も考案された1).初発例は結膜欠損部を健常な結膜で被覆する有茎弁移植が一般的な術式となっている2).再発例は結膜下増殖組織が厚く広範囲であるため,羊膜移植を併用する術式が一般的に用いられるようになっている3).羊膜は瘢痕抑制と上皮修復促進作用が期待でき,瘢痕性角結膜疾患や翼状片に対する羊膜移植の有効性が報告されている4).またMMC術中塗布と羊膜移植の併用によりさらに安定して再発を抑えることが可能になると〔別刷請求先〕檜森紀子:〒980-8574仙台市青葉区星陵町1-1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座・眼科視覚科学分野Reprintrequests:NorikoHimori,M.D.,DepartmentofOphthalmologyandVisualScience,TohokuUniversityGraduateSchoolofMedicine,1-1Seiryo-machi,Aoba-ku,Sendai,Miyagi980-8574,JAPAN初発・再発翼状片の手術成績と翼状片再発の危険因子檜森紀子中澤徹劉孟林横山悠横倉俊二久保田享西田幸二東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座・眼科視覚科学分野ClinicalOutcomeforPrimaryandRecurrentPterygiumandRiskFactorsforPrimaryPterygiumRecurrenceNorikoHimori,ToruNakazawa,MorinRyu,YuYokoyama,ShunjiYokokura,AkiraKubotaandKohjiNishidaDepartmentofOphthalmologyandVisualScience,TohokuUniversityGraduateSchoolofMedicine初発・再発翼状片の手術成績と翼状片再発の危険因子を検討した.対象は2006年5月2007年7月に当教室で施行した初発翼状片11例12眼(有茎弁移植10眼,羊膜移植2眼),平均年齢63歳(3779歳),術後平均観察期間12カ月(721カ月).再発翼状片16例16眼(すべて羊膜移植),平均年齢67歳(4474歳),術後平均観察期間12カ月(821カ月).初発翼状片12眼中3眼(25%)で再発し,再発翼状片は現在まで再発例を認めていない.そこで,初発翼状片12眼で再発危険因子として報告されている術中マイトマイシンC使用の有無,年齢,翼状片面積と侵入距離,結膜下線維組織増生について検討した.若年,線維組織増生の強い症例は再発率が高い傾向があり,翼状片面積が小さい場合有意に再発率が高いと認識された(p=0.023).再発する可能性の高い症例は術式を慎重に選択することが重要であると考える.Wereporttheclinicaloutcomeforprimaryandrecurrentpterygium,andriskfactorsforprimarypterygiumrecurrence.Of12eyeswithprimarypterygium,10eyesunderwentsuperiorconjunctivalautografttransplantationand2eyesunderwentamnioticmembranetransplantation(AMT).Themeanfollow-uptimewas12months(range:7to21months).Recurrencewasseenin3cases(recurrencerate:25%).In16eyeswithrecurrentpterygium,weperformedAMT.Theirmeanfollow-uptimewas12months(range:8to21months).Nopatientsshowedanysignsofrecurrence.Therecurrencerateforprimarypterygiumwashigherthanthatforrecurrentpterygium.Wethereforeevaluatedriskfactors(useofmitomycinCduringsurgery,age,pterygiumsizeandsub-conjunctivalbroustissue)in12casesofprimarypterygium.Therecurrenceratewashigherintheyoungeragegroup,smallerpterygiumsizeandmoresubconjunctivalbroustissue.Itisthereforeimportant,beforesurgery,toselectasuitableproceduresoastoreducepterygiumrecurrence.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)25(10):14211425,2008〕Keywords:初発翼状片,再発翼状片,有茎弁移植,羊膜移植,再発の危険因子.primarypterygium,recurrentpterygium,conjunctivalautograft,amnioticmembranetransplantation,riskfactorsforpterygiumrecurrence.———————————————————————-Page21422あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008(94)報告されている5).このように手術方法は多岐にわたり,術式の選択は各術者あるいは各施設がそれぞれの経験や判断で行っているのが現状であり,どの術式が最良であるかの評価は定まっていない.2006年5月から2007年7月に当教室で施行した初発翼状片11例12眼(有茎弁移植10眼,羊膜移植2眼)と再発翼状片16例16眼(羊膜移植16眼)の手術成績を検討したところ,再発例と比べ初発例は再発率が高いという結果になった.再発をくり返さないために初回の手術が重要であるという観点から,術前に再発の可能性を考え,より適切な術式を選択することが重要である.したがって筆者らは初発・再発翼状片の手術成績とともに,初発翼状片12眼の再発の危険因子について検討したので報告する.I対象および方法当教室では基本的に初発翼状片に対し翼状片切除と有茎弁移植,再発翼状片に対して翼状片切除と羊膜移植を行っている.有茎弁移植の手術方法は山口らが考案した上方結膜有茎弁移植法2)を採用しており,以下に概略を記す.角膜輪部上にスプリング剪刀を挿入し,角膜実質を切除しないように注意しながら鈍的に翼状片組織を離する.Tenonの異常組織を切除し(綿抜き法),露出した強膜部上方より耳側に向かって結膜を切開し有茎弁を作り,下方に伸展させて縫合する.術翌日より0.1%ベタメタゾン,レボフロキサシン点眼を1日4回,オフロキサシン軟膏1日1回点入を開始する.羊膜移植の手術方法は結膜下異常組織を十分に切除するまで上記と同様である.内直筋に制御糸をかけ眼球運動を制御し,筋周囲の増殖組織を十分に切除する.0.04%MMCを染み込ませたマイクロスポンジをTenonと結膜間に5分間塗布し,ラクテック約300mlでよく洗浄する(筆者らは再発翼状片16例中5例でMMCを使用した).結膜欠損部に羊膜の上皮側を上にして羊膜と強膜を縫合する.羊膜は同意を得た提供者から帝王切開時に清潔操作で採取し,絨毛膜から離して生理食塩水でよく洗浄した後5×5cm大に切り,80℃で1枚ずつ冷凍保存したものを室温で解凍し使用する.角結膜上皮の創傷を治癒させるためソフトコンタクトレンズを装着し手術を終了する.術後は消炎のためベタメタゾン2mgを術後3日間点滴し,術後4日目からベタメタゾン1mgを2週間内服,2週目以降はプレドニゾロン5mgを2週間内服へ変更した.術翌日より0.1%ベタメタゾン,レボフロキサシン,ブロムフェナクナトリウム点眼を1日2回とベタメタゾン,オフロキサシン軟膏の眠前1回点入を開始した.有茎弁移植,羊膜移植ともに眼圧上昇などの副作用がない限り0.1%ベタメタゾン点眼を13カ月程度使用し,以後0.1%フルオロメトロンに切り替え,トラニラストを追加している.上記の方法に従って2006年5月から2007年7月に当教室で施行した初発翼状片11例12眼,再発翼状片16例16眼の手術成績についてretrospectiveに検討した.II結果初発翼状片11例12眼の詳細を表1に示す.平均年齢63歳(3779歳),男女比は5:7,術前矯正視力は0.8から1.0,術後平均観察期間は12カ月(721カ月)であった.術前に癒着が強いため生じたと考えられる眼球運動障害は2眼,瞼球癒着を1眼に認めた.再発翼状片16例16眼の詳細を表2に示す.平均年齢67歳(4474歳),男女比は10:6,過去の手術回数は2.2回,表1初発翼状片症例一覧症例年齢(歳)性別術式術前視力術後視力眼球運動障害瞼球癒着複視観察期間再発179女性切除+AMT0.20.321248女性切除+有茎弁移植0.91.216+372女性切除+有茎弁移植0.91.212+461男性切除+有茎弁移植+MMC0.61.511569女性切除+AMT+MMC+(PEA+IOL)0.70.7++11670女性切除+有茎弁移植1.0p1.0p11761男性切除+有茎弁移植+MMC0.61.511848女性切除+有茎弁移植+(PEA+IOL)0.7p1.2+10960女性切除+有茎弁移植0.90.8101037男性切除+有茎弁移植+MMC1.51.29+1175男性切除+有茎弁移植0.70.671251女性切除+有茎弁移植0.71.2p7AMT:羊膜移植術,MMC:マイトマイシンC,PEA:水晶体乳化吸引術,IOL:眼内レンズ.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081423(95)術後平均観察期間は12カ月(721カ月)であった.矯正視力は術前後で0.9と変化なく,術前に眼球運動障害は9眼,瞼球癒着は8眼,複視は3眼に認めた.手術成績を表3に示す.病的増殖組織が角膜輪部を超えて侵入したものを再発と定義した.初発翼状片10眼で有茎弁移植を行い,翼状片の面積が大きく有茎弁移植が不可能と考えた2眼で羊膜移植を施行したところ,12眼中3眼で再発を認めた(再発率25%).再発翼状片16眼で羊膜移植を行ったところ,観察期間中再発を認めなかった.術後の0.1%ベタメタゾン点眼による眼圧上昇を初発・再発ともに2眼で認めたが,0.1%フルオロメトロンへ変更することによって正常眼圧となった.また副腎皮質ステロイド剤点眼の副作用として易感染性があげられ,再発翼状片1眼で翼状片の再発は認めないものの,角膜真菌症を併発した.角膜擦過培養にてカンジダが検出され,抗真菌薬の点滴,点眼により軽快した.術中にMMCを初発4例,再発5例で使用したが強膜軟化症などの副作用は認めなかった.再発の危険因子を検討するために角膜輪部の透見性をGrade13(G1G3)に分類した.これはTanら6,7)が結膜下増殖が強い症例が再発率が高いことを報告した際に強膜血管の透見性を指標にしていることを参考にして輪部の透見性によって分類した.角膜輪部を追うことができればG1,まったく透見できない場合をG3とし,部分的に透見できない場合をG2とした.初発翼状片12眼における再発と4つの危険因子(①術中MMC使用の有無,②年齢,③結膜下線維組織増生,④翼状片の面積と侵入距離)との関連を検討した.①MMC術中塗布に関してMMCを使用した4眼中1眼で再発し(再発率25%),使用しなかった8眼中2眼で再発した(再発率25%).②翼状片患者の年齢を50歳未満2眼,5070歳5眼,70歳以上5眼と分類し,年齢と再発の関係を調べたところ,それぞれの再発率は100%,20%,0%となった.③Grade13(G1G3)各グレードにおける再発率を検討した.12眼をG1・3眼,G2・2眼,G3・7眼と分類したところ,G1・G2では再発例はなく,G3でのみ7眼中3眼に再発を認めた(再発率43%).④翼状片の角膜への侵入距離と面積(面積はZeiss社のAxioVision4.5LEを使用した)の関係を調べた.角膜への侵入距離は再発を認めた症例(3眼)で平均182pixel,再発を認めなかった症例(9眼)は平均197pixelで差を認めなかった(p=0.708).翼状片の面積は再発を認めた症例で平均11,210pixel,再発のなかった症例では平均23,109pixelで,再発群は非再発群の約半分の面積であり,その差は有意であった(p=0.023).表2再発翼状片症例一覧症例年齢(歳)性別術式既手術回数術前視力術後視力眼球運動障害瞼球癒着複視観察期間再発169男性切除+AMT31.01.0+++21264男性切除+AMT10.91.0++18371女性切除+AMT+MMC11.50.7p+++18444女性切除+AMT11.51.516573男性切除+AMT30.50.4++16664男性切除+AMT30.80.9++12755男性切除+AMT+MMC10.71.212869男性切除+AMT10.9p1.211973男性切除+AMT10.5p0.4+111065女性切除+AMT+LT70.90.1p++111171男性切除+AMT10.20.3+101274男性切除+AMT11.01.2++101372男性切除+AMT+MMC80.20.6++91463女性切除+AMT+MMC11.21.281574女性切除+AMT11.00.781667女性切除+AMT+MMC11.01.08AMT:羊膜移植,MMC:マイトマイシンC,LT:角膜輪部移植.表3手術成績初発再発合計術式Resection+AMT2眼16眼18眼Resection+有茎弁移植10眼0眼10眼術後成績再発(再発率)3/12眼(25%)0/16眼(0%)3/28眼(10.7%)眼圧上昇2眼2眼4眼合併症感染症0眼1眼(角膜真菌症)1眼強膜軟化症0眼0眼0眼———————————————————————-Page41424あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008(96)III考按今回我々は15カ月間に施行した初発・再発翼状片の術後成績をレトロスペクティブに検討した.初発翼状片11例12眼の再発率は25%で半年以内に再発を認め,再発翼状片16例16眼の再発率は0%であった.初発翼状片,再発翼状片の術後観察期間はともに721カ月であり,有意差はないと考えた.報告されている他施設の翼状片手術成績をみると,羊膜移植は単純切除や有茎弁移植と比べ良好な成績で再発は010%台3,5)となっている.単純切除の再発率は61%6)と高率で,有茎弁移植は1.4%2),2%6)と好成績のものから39%8)と成績の差がある.施設間での違いを埋めるには情報量が乏しいため判断はむずかしいが,術者の結膜下線維組織の除去の程度といった手術手技の違いや術後の投薬の違いなどが再発率に影響すると考えられる.自験例での再発は術後3カ月から6カ月で認めるのがほとんどであった.Laurenceら9)は50%が術後120日以内に再発し,97%が術後1年以内に再発したと報告している.したがって,術後半年間は診察を頻繁に行い,経過観察をする必要があることを再確認した.本検討でも術後最短観察期間を6カ月としている.従来より羊膜を使用した眼表面再建術の有用性が報告されている3,4).当科で羊膜移植を行った初発・再発翼状片は再発を認めず良好な成績であるが,有茎弁移植を行った初発翼状片の再発率は30%と改善の余地を認める.したがって,我々は初発翼状片12眼の再発の危険因子について検討することにした.前谷ら1)は線維芽細胞増殖抑制の意味から手術時MMCを使用することで再発を減らすことを指摘し,西田ら10)は若年者または充血に富んだ厚みのある翼状片は再発する傾向があると報告している.Tanら6,7)は翼状片体部のスリット所見から結膜下線維量が多い場合再発率が高いことを述べている.山口ら11)は年齢が若く,翼状片体部の強い充血,厚みがあるものほど再発の可能性が高い傾向があると報告している.これらを踏まえて①術中のMMC使用の有無,②年齢,③結膜下線維組織増生,④翼状片の面積と侵入距離に注目し,経験した初発翼状片12眼における再発との関連を検討することにした.①術中のMMC使用の有無で再発率に差を認めず,今回経験した初発翼状片12眼においてMMCの使用は再発防止に有用とはいえなかった.②50歳未満の再発率が100%,5070歳は20%,70歳以上は0%という結果から,年齢に関して従来の報告と同様に若年者ほど再発のリスクが高まると考えられる.③結膜下線維組織増生についてTanらは結膜下線維組織増生が強いものほど再発率が高いと報告している6,7).本研究でも結膜下線維組織増生の強いと考えられるG3でのみ再発を認めたことから,Tanらが指摘していたように翼状片のTenonの厚みは再発と密接な関連があると考えられる.④再発の有無で翼状片の侵入距離の差は認めないものの,再発例の翼状片の面積は小さいという結果になった.佐々木ら12)は1/82/8角膜径の翼状片において最もPCNA(proliferationcellnuclearantigen)陽性細胞を認め,再発率が高かったことから翼状片が小さいと増殖能力が強いことを指摘している.以上より,若年,面積が小さく,線維組織増生が強い症例では特に再発に注意すべきと考えられた.翼状片の病因や再発要因についてまだ十分に解明されていないが,最近の研究では神経伝達物質のsubstancePが線維芽細胞や血管内皮細胞の化学遊走物質としても働き,翼状片の形態や成長に寄与していると示されている13).また紫外線照射によるDNA二重らせん構造が破壊されたとき,修復するKU70のプロモーターにT991Cの変位があると翼状片になりやすいと報告された14).再発要因遺伝子としてperios-tin,TIMP-2,PSPHLがあげられ,これらをターゲットとした製薬が開発される可能性も考えられている15).今後,翼状片の発症や術後再発のメカニズムが詳細に解明され,確実な治療法や補助療法の開発が期待される.今回の検討によって,術前の形態から有茎弁移植手術に対し再発の危険因子が想定できることが示された.再発ハイリスク群の患者に対し,術直後のステロイド加療の強化や羊膜移植の併用などを考慮に入れた治療が必要である.また,患者へ再発のリスクを十分説明し,手術に臨むことは重要であり,術後の点眼コンプライアンスを上げる教育も必要であると考えられる.本論文の要旨は第32回角膜カンファランスにて発表した.文献1)前谷悟,杉山哲也,山口ひとみほか:マイトマイシンCを用いた翼状片手術の基礎的検討と治療成績.臨眼49:345-348,19952)山口達夫:改良した結膜有茎弁移植術とHost結膜断端部反転縫合法.あたらしい眼科22:511-519,20053)福岡秀記,稲富勉,中村隆宏ほか:羊膜移植による再発翼状片手術の術後成績.あたらしい眼科24:381-385,20074)島﨑潤:羊膜移植の基礎と臨床.臨眼55:719-723,20015)川﨑史朗,宇野敏彦,島村一郎ほか:マイトマイシンC術中塗布と羊膜移植を併用した再発翼状片の手術成績.日眼会誌107:316-321,20026)TanDT,CheeSP,DearKBetal:Eectofpterygiummorphologyonpterygiumrecurrenceinacontrolledtrialcomparingconjunctivalautograftingwithbarescleraexcision.ArchOphthalmol115:1235-1240,1997———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081425(97)7)TanDT,LiuYP,SunL:FlowcytometorymeasurementsofDNAcontentinprimaryandrecurrentpterygia.InvestOphthalmolVisSci41:1684-1686,20008)ChenPP,AriyasuRG,KazaVetal:RandomizedtrialcomparingmitomycinCconjunctivalautograftafterexci-sionofprimarypterygium.AmJOphthalmol120:151-160,19959)HirstLW,SebbenA,ChantD:Pterygiumrecurrencetime.Ophthalmology101:755-758,199410)西田保子,林研,林文彦:翼状片に対する上方結膜有茎弁移植術の術後成績.臨眼59:983-989,200511)山口達夫:再発性翼状片の手術について教えてください.あたらしい眼科10:172-178,199312)佐々木かおる,宍戸明美,細畠淳ほか:翼状片の組織像による病期分類.臨眼51:1135-1138,199713)ChuiJ,GirolamoN:TheroleofsubstancePinthepatho-genesisofpterygia.InvestOphthalmolVisSci48:4482-4489,200714)TsaiYY,BauDT,ChiangCCetal:PterygiumandgeneticpolymorphismofDNAdoublestrandbreakrepairgeneKu70.MolVis13:1436-1440,200715)KuoCH,MiyazakiD,NawataNetal:Prognosis-determi-nantcandidategenesidentiedbywholegenomescan-ningineyeswithpterygia.InvestOphthalmolVisSci48:3566-3575,2007***

眼科医にすすめる100冊の本-10月の推薦図書-

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200814090910-1810/08/\100/頁/JCLSこの本の著者であるメレディス(MeredithAverill)には,2007年の11月にアメリカのカロリーリストリクション・ソサエティー(CRソサエティー)で初めて会った.夜の着席パーティーで何も食事をせずに,にこやかに会話に参加していたのが印象的であった.まずはCRから解説しないとわからないと思うので,そこから始めたい.現在,エイジング研究の最も確固たるエビデンスは,カロリーリストリクション(CR)であり,CRにより,ほとんどすべての動物で寿命の延長がみられることが報告されている.その分子メカニズムもだいぶ解明されてきている.現在,僕たちヒトでも同様に寿命の延長がおきるかどうか実際に研究されていて,みんな注目しているところだ.その研究対象となるCRを実践している人たちのグループがアメリカにあると聞いて,大変興味をもった.噂を聞くと,このCRをやっている人たちは,すごくやせていて,元気がないという.「CRをやっていると寒いし,おいしいものは食べられないし,もう本当はやめたいんだけど,もうここまでやってきてしまったし,こうなったら長生きをして元をとるしかない」なんていうことを言っているという.そんなつまらない人生だったらCRをやる意味がない.いくらアンチエイジング医学で長生きしても,寒くて辛くておもしろくない人生なんて意味がない.本末転倒である.でも,やっぱりCRって興味があるなあ.そうだ,アメリカに行ったときに実際にCRソサエティーの人に会ってみよう!と思いたった.ちょうどアメリカで開催される学会の後にCRソサエティーのパーティーがあったので,早速そのパーティーを訪ねた.まず,いちばん興味があったのは“CRをやっていて幸せかどうか?”ということ.この質問には,僕がインタビューしたすべての人が「私は幸せよ.これほど幸せなことはない」と言っていた.みんな元気で,明るく,おしゃべりなのもおもしろかった.プレジデントのメレディスは,夕食中,いつも持ち歩いている自分のレモン水の入ったペットボトルだけでテーブルについている.みんなが食べているのにちょっと異様ではある.「何も食べないで辛くありませんか?」と聞いたら,「ぜんぜん大丈夫.私は今日の割り当ての1,600キロカロリーを朝とお昼で食べたからもういいの.だってパーティーって食べるのが目的じゃなくて,みんなと楽しく話しをすることが大切でしょ.もう慣れてしまったわ」と平然としている.僕は,お皿に何もないメレディスの前のテーブルを見ながら,CRはすごいと思った.当然ではあるが,すべての人が自分の身体,職業から,摂取すべき必要なカロリーを知っており,それをもとに80%,70%と決めて食事のカロリーを計算している.一番低い人で1,400キロカロリー,高い人で2,000キロカロリー.みんな食べていないのに幸せだという.「だってあたりまえでしょう.食事は食べ物がおいしいからおいしく感じるだけじゃないのよ.体調がよくて,健康なら,CRやっていても最高においしく感じられるの」ということらしい.そして,みんなひどくやせているわけじゃない.日本人の感覚だったら,まあ普通という感じである.つまりCRとは“栄養を真剣に考える”こと,なのである.CRの実践はまず自分の食事パターンの認識から始まる.蛋白質,脂質,炭水化物などの栄養素(overallnutrients)に加えて,ビタミンと微量ミネラルについても自分たちの食事のパターンでどれだけ摂取できている(81)■10月の推薦図書■theCRwayPaulMcGlothin,MeredithAverill著(Collins社)シリーズ─85◆坪田一男慶應義塾大学医学部眼科———————————————————————-Page21410あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008のかをしっかりと把握する.そのうえで,1日の必要量を摂取するための食事メニューを考えたり,サプリメントで補給したりする.このようにして1,800キロカロリー以下でもちゃんと必要なものをとっていくことができる.いろいろと話しをしてみて,CRソサエティーの人はとても勉強しているし,しっかりしていると思った.「CRとは単にカロリーを減らすことじゃないのよ.自分たちがどんな食べ物を食べているのか,きちんと検証して,いいもの,必要なものを食べていくんだ.一男は今,自分が1日に何キロカロリーを摂っているか知っているかい?不足しているアミノ酸はない?お肉を食べないっていうけど,ビタミンB12は不足していない?」なとど逆に聞かれてしまうはめに.たしかにCRをやるということは,食べものをきっちりと考えることだ.CRソサエティーの合言葉はこうだ.Calorierestrictionwithoptimalnutrition!(最適な栄養を考えたカロリーリストリクション!).日本には昔から“腹八分”という素晴らしい考え方がある.欧米人に比べたら,食べる量は少ない傾向だ.そういった意味では,全国民が軽いCRをしているとも考えられる.もちろん最近はメタボリックシンドロームに代表されるように肥満が増えていることも問題だが,アメリカと比較したらまだまだ低カロリーの国ではある.もし腹八分ですでに2割のCRをしているとしたら,あと10%だけCRをすれば,楽しくアンチエイジングを実践することになるのではないか?これが今,日本における健全なCRソサエティーの方向性ではないかと個人的には考えている.無理して2530%のCRをすることはない.軽いCRをしたり,あるいはプチ断食を勉強してたまに取り入れてみたり,何よりOptimalNutri-tionを考えきっちりとコントロールしていくことはアンチエイジングにとって核ともいえる重要なポイントと考える.日本でも今年9月にCRソサエティーがスタートしたので,興味のある人はぜひ入会していっしょにやってみましょう.そんなCRソサエティーのことを詳しく解説した本が,この『theCRway』である.まだ日本語版が出ていないので英語での挑戦になってしまうけれど,平易な英語で書かれており,CRを理解するには最適の本だ.また10月には新潮社から“長寿遺伝子を鍛える(坪田一男著)”という本が出版される.もし日本語でも読みたい先生がいらしたら,こちらをぜひどうぞ.2冊いっしょに読めばさらに理解が深まること間違いなしです.日本でのカロリーリストリクションの研究会「カロリスジャパン」がスタートしました.詳細は,http://www.crs-j.jp/をご覧ください.(82)☆☆☆

眼科専門医志向者“初心”表明

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200814070910-1810/08/\100/頁/JCLS私はスポーツが趣味で,学生時代から研修医の今に至るまで取り組んでいるスポーツが2種類あります.一つはロッククライミングで7年間続けています.マルセイユに1カ月間滞在して地中海の断崖へ通い詰めたこともあり,段級位制では三段に相当します.もう一つは自転車で4年間続けています.走行距離は年に10,000kmほどになります.現在でも各地のレースに参戦しており,表彰台の中央に立つこともたまにあります.このような生活背景からはスポーツ整形に興味が沸くものと思っていましたが,学生時代に最も興味を抱いたのは意外にも眼科でした.とりわけ硝子体手術を初めて目にしたとき,両手にマイクロ器具,両足にフットスイッチを構え,全身を駆使して流れるように進められていく微細な手術に衝撃を受けました.電子化されたさまざまな検査機器にも非常に興味を抱きました.人間が情報の大半を視覚から得ている以上,見えないという窮地に差し掛かったとき,それは対症療法で軽減させたり,現時点では他の手段で代償の仕様がありません.臓器は小さくとも眼科医の役割はとても大きいと思います.話しは少しずれますが,スポーツをする際に最も重要な役割を果たすのは,骨格筋ではなく目にあると次第に考えるようになりました.ロッククライミングでは岩にあるミリ単位の手掛かり・足掛かりを,まず目で探します.フォール(ロープやマットで安全は確保されていますが…)する最大の原因は,手掛かり・足掛かりの見落としにあります.時速60km以上にも達するロードーレースや,岩だらけの急斜面を下るマウンテンバイクにおいては,一瞬たりとも目線を外した瞬間に命取りとなりかねません.このような緊張感は,眼科のオペにも通じるものがあるのではないかと想像しています.日々のスポーツ活動を通して,目の存在の大きさを再認識しています.眼科のなかでもサブスペシャル分野で一人前の仕事ができるようこれから精進し,眼疾患に悩む方々の力になりたいと考えています.まだまだ若輩者の私ですが,体力だけには自信があります.どうか厳しく揉んでやってください.◎今回は滋賀医科大学研修医2年目の藤川先生にご登場いただきました.どのスポーツにおいても目が重要な役割を担っているのは間違いないと思います.その存在の大きさを伝えれば,今まで興味がなかった人も眼科の魅力に気づくのではないでしょうか.(加藤)本シリーズ「“初心”表明」では,連載に登場してくださる眼科に熱い想いをもった研修医~若手(スーパーローテート世代)の先生を募集します!宛先は≪あたらしい眼科≫「“初心”表明」として,下記のメールアドレスまで.全国の先生に自分をアピールしちゃってください!E-mail:hashi@medical-aoi.co.jp(79)眼科医者“初心”表明●シリーズ⑩Athleticophthalmicsurgeonを目指して藤川正人(MasatoFujikawa)滋賀医科大学附属病院1982年滋賀県生まれ.滋賀医科大学医学部卒業.現在初期研修2年目で眼科ローテ中.座右の銘はNopain,Nogain.(藤川)編集責任加藤浩晃・木下茂本シリーズでは研修医~若手(スーパーローテート世代)の先生に『なぜ眼科を選んだか,将来どういう眼科医になりたいか』ということを「“初心”表明」していただきます.ベテランの先生方には「自分も昔そうだったな~」と昔を思い出してくださってもよし,「まだまだ甘ちゃんだな~」とボヤいてくださってもよし.同世代の先生達には,おもしろいやつ・ライバルの発見に使ってくださってもよし.連載10回目の今回はこのパワフルな先生に登場していただきます!SHIMANOBIKER’SFESTIVAL2008(4時間MTBチームエンデューロオープン優勝)

私が思うこと13.私の現在の楽しみ

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081405私が思うことシリーズ⑬(77)自分が医師になった動機は恥ずかしながら不明確です.学生時代は,ひたすら遊びました.今とつながる傾向としては,遊びのサークルを作り,ディスコを借り切ってダンスパーティー(当時はやっていた)を企画したりすることに喜びを感じていました.こう書くと活動的な人間にみえますが,当時5月病とよんだ状態を引きずった怠惰な生活でもありました.学生時代後半は,映画監督を志し,アマチュアで8mm短編を撮ったりしました.テレビ局を受け,TBSは年齢制限でひっかかり,日本テレビは筆記や第1面接は通りましたが,最終面接で落ちました.映画監督になりたいと正直に述べ,勘違い志望者と見なされたのでしょう.下積みの道も選べましたが,結局断念し,医師になりました.突破できなかった原因を探すと,中途半端な人間であったこと,出会いが足りなかったこと,情熱が足りなかったことなどがあげられます.ただ,少なくとも,何かを生み出す仕事をしたいという欲求はあったのだろうと思います.自分は新しいことに取り組むとき無上の喜びを感じます.2005年に京都大学にスペクトラルドメイン光干渉断層計(OCT)のプロトタイプがきたときは感動の毎日でした(図1).今から思うとプロトタイプですから,操作も大変ですし,しょっちゅう調子が悪くなりましたが,日々嬉々として機械の前に張り付いていました.この技術により世の中が少し変わると実感できるのが何より快楽でした.2003年に京都大の助手として戻ってからは,これまでやってきた生物学をやる気になれず,格好良く言いますと,人の病気を理解したいという想いに駆られ,「眼底の細胞を見ること」や「これまで対象とならなかった病変を治療する技術」を追い求めて,工学系の学会に足を運ぶ日々でした.当時ナノテクノロジーや光技術が注目され,国内のさまざまな目を見張るような技術を見学し,どう医療に生かすかを想像することは楽しかった.その暇があったことと,それを許した京都大の学風に感謝します.20032005年には,網膜静脈閉塞を治療する「網膜血管内治療用マイクロカテーテル」の開発を,振興調整費の助成を得て,産学協同研究開発を行うことができました.異分野の研究者やベンチャー企業の方と集まり,何かを起こそうと知恵を絞る日々は楽しかった.要素技術の開発に成果は出たが(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/001/07021516/009/002.htm,http://scfdb.tokyo.jst.go.jp/pdf/20031100/2005/200311002005er.pdf),前臨床の段階で止まっ0910-1810/08/\100/頁/JCLS板谷正紀(MasamoriHangai)京都大学大学院医学研究科眼科学1963年滋賀県生まれ,子供の頃より何か言って人を笑わせてやろう,人があっと言うことをやってやろう,という基本的欲求で今日まで生きてきた典型的な関西人です.何か一生懸命笑わせようとしゃべっている自分をみたら,今日は絶好調なんだと思ってください.趣味は眼底と手術,最近緑内障が好み.(板谷)私の現在の楽しみ図1スペクトラルドメイン光干渉断層計のプロトタイプに夢中な時代当科大学院生の後藤謙元先生と.プロトタイプ機は,筑波大COGと(株)トプコンによる.———————————————————————-Page21406あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008ています.理由は,自分がスペクトラルドメイン光干渉断層計に夢中になり時間がなくなったこと,ベンチャー企業の経営が不安定であったことなどがあげられますが,何よりも医療技術は前臨床から臨床までもってくる過程が最も大変で多くの技術が「死の谷」に眠ってしまうのです.2005年より,熱望していた眼底イメージングプロジェクトを始めることができました.NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を得て,国内の技術者が集結し,産官学連携で眼底の細胞や酸素飽和度を観察できるイメージング技術の開発に取り組んでいます(http://www.nedo.go.jp/activities/portal/p05002.html).吉村長久教授の強いリーダーシップで4年目には成果が現れ,現在京都大学病院には視細胞が見えるadaptiveopticsSLO(AO-SLO)というプロトタイプがあります.いまだ眼科医には扱えぬ代物でたいへんですが,ニデック社の優れた研究者の方々と若い大音壮太郎助教,坂本篤助教の尽力で疾患眼の眼底の撮影に成功しています.今後どうなるかが現在の楽しみです.さらには網膜神経節細胞を可視化する特殊なOCTもTOP-CONAdvancedBiomedicalImagingLaboratory(TABIL;図2)でヒト眼への応用が佳境に入っており,もし見えたらたいへんなこととわくわくします.もう一つ,現在の楽しみがあります.HeidelbergEngineeringのSpectralisです.あのスペックルノイズを除去した美しい網膜断層像を見ることは,自分にとって快楽以外のなにものでもありません.日々疾患に発見があり楽しい.発見は論文に結びつくため,論文を書かねばという大学人としてのプレッシャーも軽減されてよい.また,医学と医療にも微々たるものであるが貢献していると思えることが医師として精神衛生上よい.ここまで書くと,順調に進んでいるように見えますが,無駄になった研究開発は数知れず,上記したプロジェクトも思うようにいかず事務的仕事だけ降りかかってきて嫌になることもありました.私は,映画監督にはなれませんでしたが,現在,眼科研究者としての楽しみがあります.学生時代と今との違いは,自分はもう眼科の世界しかないと思い切れたこと,新しいことをしたいという欲求に従ったこと,そのなかで良い出会いがたくさんあったこと,なのだと思っています.そして,これらのおかげで自分は変われたのです.では,今後の10年はどうするか?現在の楽しみは10年も続かないでしょうから,先々が心配です.しかし,後戻りはできません.自分の楽しみを若い人たちに伝えること,さらなる出会いを求めて異分野を探検し自分を変えること,などと考えることは簡単ですが,さてさて,この忙しい生活にその余裕が残っているかが最大の問題です.板谷正紀(はんがい・まさのり)1990年京都大学医学部卒業1997年南カルフォルニア大学ドヘニー眼研究所留学2000年神戸市立中央市民病院・副医長2003年京都大学医学部附属病院眼科・助手2005年京都大学大学院医学研究科眼科学・講師現在に至る(78)図2TOPCONAdvancedBiomedicalImagingLaboratory(TABIL)の方々と打ち合わせ左から秋葉正博先生,陳建培先生,福間康文所長,吉村長久教授,私.ヒトの網膜神経節細胞のイメージングへ夢が膨らむ.☆☆☆

硝子体手術のワンポイントアドバイス65.Bloch-Sulzberger症候群に対する硝子体手術(上級編)

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200814030910-1810/08/\100/頁/JCLSはじめにBloch-Sulzberger症候群は,色素失調症ともよばれ,特有の皮膚症状(図1)に加え,中枢神経系異常,骨異常,心疾患,眼病変などを合併する先天異常である.本疾患の眼合併症は多彩であるが,網膜病変としては未熟児網膜症に類似しており,周辺網膜無血管野,血管蛇行,網膜動静脈吻合,網膜中心動静脈閉塞症,網膜前線維性増殖膜,網膜離などが知られている.治療の基本は網膜無血管野に対する冷凍凝固(あるいは光凝固)であるが,網膜離を併発した場合には硝子体手術の適応(75)となる.Bloch-Sulzberger症候群に伴う牽引性網膜離に対する硝子体手術未熟児網膜症のように出生後早期に牽引性網膜離が進行することもあるが,進行が緩徐で学童期に網膜離が発症することもある.発症時期が若年であるため,後部硝子体が未離かつ網膜硝子体癒着が強固で手術の難易度は高い.未熟児網膜症や家族性滲出性硝子体網膜症と同様に周辺部網膜無血管野で硝子体は面状に網膜と癒着しており,双手法での人工的後部硝子体離作製が必要である.筆者らが経験した8歳,女児の症例では,視神経乳頭周囲の著明な線維血管性増殖膜(図2)に加えて,周辺部(特に耳側)にも著明な滲出性病変と線維血管性増殖膜を認め(図3),完全な硝子体切除は困難であった.赤道部まで確実に人工的後部硝子体離を作製し,周辺部の残存硝子体の牽引に対しては輪状締結術を併用する方針とした(図4).期発見が大切本疾患はきわめてまれな疾患であるが,患者が若年のため,網膜病変の発見が遅れる可能性が高い.眼内増殖性変化が高度に進行した時点での硝子体手術は難易度がきわめて高くなり,予後不良の転帰をたどることが多い.本疾患と診断された場合には,継続的に眼底検査を施行することが重要であり,小児科医と眼科医の連携が必須である.文献1)今村裕,大林亜希,南政宏ほか:黄斑部牽引性網膜離に進行したBloch-Sulzberger症候群に対する硝子体手術.臨眼58:99-103,2004硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載65Bloch-Sulzberger症候群に対する硝子体手術(上級編)池田恒彦大阪医科大学眼科図1自験例の生下時皮膚所見水疱,紅斑が出現,数日で痂皮化し,その後は疣贅状丘疹が数カ月続いた.図2自験例の術前後極部眼底写真視神経乳頭周囲に線維血管性増殖膜を認める.図3自験例の術前周辺部眼底写真線維血管性増殖膜と牽引性網膜離を認める.図4自験例の術後眼底写真網膜は復位し,矯正視力は0.2に改善した.

眼科医のための先端医療94.落屑症候群・落屑緑内障の原因遺伝子LOXL1遺伝子

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200813990910-1810/08/\100/頁/JCLS落屑症候群,落屑緑内障とは落屑症候群()()は,には落屑が前眼部に緑内障症をこす,のを原因とするです落屑は前,(図1),Zinn小帯,角膜内皮,隅角など眼組織のみならず,皮膚,心臓,肺,肝臓などの全身臓器にも存在します1).落屑物質にはグリコサミノグリカンの存在が示唆されており,その過剰産生や異常代謝が病因の一つであると考えられてきました2).落屑物質には基底膜成分や,弾性線維組織のエピトープが含まれます3).検眼鏡的に落屑症候群,落屑緑内障は診断可能のことが多いですが,問題点は1)散瞳による眼圧の急激な上昇2)Zinn小帯が脆弱3)散瞳不良で,白内障手術中の合併症が多い(Zinn小帯断裂,硝子体脱出など)4)進行が急激で,薬物療法に抵抗性で,予後不良ということがあげられます.落屑症候群・落屑緑内障の疫学落屑緑内障のにはが,を示すと,ン,ンンのンとがす)とともに,で)とす多では(緑内障),(緑内障)とす)のでが多,日本,では眼が多す落屑をする症はでが緑内障にするとす落屑症候群,落屑緑内障の原因遺伝子Lysyloxidaselikeprotein1(LOXL1)遺伝子に一塩基多型()解析に,にする遺伝子のエクソンおンンのの(図2)が,落屑症候群,落屑緑内障と強く相関すると発表されました7).LOXL1遺伝子はLysyloxidaseファミリーであり,Tropoelastinのリジン残基の酸化的脱アミノ化を触媒します.Tropoelastinはエラスチンポリマーファイバーの架橋に関係します.LOXL1遺伝子は7つのエクソンからなり,篩状板,水晶体上皮,角膜,毛様体筋,線維柱帯に発現しています.Lysyloxidaselikeprotein1(LOXL1)遺伝子の日本人における解析日本人におもが,遺伝子を解析お,はこの遺伝子が落屑緑内障とることを)このは,多施けるがす)(),()ともにがが,()におは,()◆シリーズ第94回◆眼科医のための先端医療=坂本泰二山下英俊布施昇男(東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座・眼科視覚学分野)落屑症候群・落屑緑内障の原因遺伝子LOXL1遺伝子図1落屑症候群の前眼部写真瞳孔縁の萎縮,落屑物質の沈着を認める.Exon1ATG5?rs1048661(T/G)R141Lrs3825942(A/G)G153Drs2165241(C/T)3?図2LOXL1遺伝子エクソン1の一塩基多型(SNP)———————————————————————-Page21400あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008頻度がThorleifssonらの報告とはまったく逆の結果となりました(表1;落屑緑内障のrs1048661アリル頻度;日本0.042,アイスランド0.827).なお,今のところ緑内障を発症した症例群と非発症群との間には有意差は認められていません.以上の一塩基多型がLOXL1遺伝子のどのような機能に関係しているのか,これからの機能解析が待たれます.この遺伝子が示唆するもの緑内障は,にはがをこ,緑内障症()にす,眼のの因子因子にをけ,このことが緑内障原因遺伝子解析をす緑内障のでも表型がもの,原因がとる症をで,子遺伝学は緑内障の原因解にもをするを示唆す文献1)Schlotzer-SchrehardtUM,KocaMR,NaumannGOetal:Pseudoexfoliationsyndrome.Ocularmanifestationofasys-temicdisorderArchOphthalmol110:1752-1756,19922)Schlotzer-SchrehardtUM,DorerS,NaumannGO:Immunohistochemicallocalizationofbasementmembranecomponentsinpseudoexfoliationmaterialofthelenscap-sule.CurrEyeRes11:343-355,19923)VogiatzisA,MarshallGE,KonstasAGetal:Immunogoldstudyofnon-collagenousmatrixcomponentsinnormalandexfoliativeiris.BrJOphthalmol78:850-858,19944)ForsiusH:PrevalenceofpseudoexfoliationofthelensinFinns,Lapps,Icelanders,Eskimos,andRussians.TransOphthalmolSocUK99:296-298,19795)HillerR,SperdutoRD,KruegerDE:Pseudoexfoliation,intraocularpressure,andsenilelenschangesinapopula-tion-basedsurvey.ArchOphthalmol100:1080-1082,19826)YamamotoT,IwaseA,AraieMetal:TheTajimiStudyreport2:prevalenceofprimaryangleclosureandsecond-aryglaucomainaJapanesepopulation.Ophthalmology112:1661-1669,20057)ThorleifssonG,MagnussonKP,SulemPetal:CommonsequencevariantsintheLOXL1geneconfersusceptibilitytoexfoliationglaucoma.Science317:1397-1400,20078)HayashiH,GotohN,UedaYetal:Lysyloxidase-like1polymorphismsandexfoliationsyndromeintheJapanesepopulation.AmJOphthalmol145:582-585,20089)OzakiM,LeeKY,VithanaENetal:AssociationofLOXL1genepolymorphismswithpseudoexfoliationintheJapanese.InvestOphthalmolVisSci49:3976-3980,200810)MoriK,ImaiK,MatsudaAetal:LOXL1geneticpoly-morphismsareassociatedwithexfoliationglaucomaintheJapanesepopulation.MolVis14:1037-1040,200811)MabuchiF,SakuradaY,KashiwagiKetal:Lysyloxi-dase-like1genepolymorphismsinJapanesepatientswithprimaryopenangleglaucomaandexfoliationsyndrome.MolVis14:1303-1308,200812)FuseN,MiyazawaA,NakazawaTetal:EvaluationofLOXL1polymorphismsineyeswithexfoliationglaucomainJapanese.MolVis14:1338-1343,2008(72)***表1LOXL1遺伝子対象(n=検体数)rs1048661(R141L)Grs3825942(G153D)Gアリル数(頻度)p値アリル数(頻度)p値日本12)コントロール(n=138)140/276(0.507)242/276(0.877)落屑症候群(n=56)2/112(0.036)7.7×1018112/112(1.000)4.1×104落屑緑内障(n=36)3/72(0.042)1.7×101272/72(1.000)5.2×103落屑症候群,緑内障なし(n=20)1/40(0.025)1.5×10840/40(1.000)0.0027アイスランドコントロール(n=1,024or490)1,305/2,048(0.637)839/980(0.856)落屑緑内障(n=75)124/150(0.827)1.8×106148/150(0.987)4.1×109落屑症候群,緑内障なし(n=55)83/106(0.783)1.3×103106/108(0.982)8.5×107LOXL1遺伝子は,Lysyloxidaseファミリーであり,Tropoelastinのリジン残基の酸化的脱アミノ化を触媒する.Tropoelastinはエラスチンポリマーファイバーの架橋に関係している.7つのエクソンからなり,篩状板,水晶体上皮,角膜,毛様体筋,線維柱帯に発現している.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081401(73)「落屑症候群・落屑緑内障の原因遺伝子LOXL1遺伝子」を読んでは学の布施昇男の落屑症候群・落屑緑内障の原因遺伝子ンンですにする遺伝子もは遺伝子多型にのはクがでもクですクで解のは塩基ので,こにの遺伝子がる,のもは多型がるとがるはを多のを解析するとに,ので候遺伝子の解析をにでをがすので,にとはすが,,に遺伝子多型を,とのを学に解析一塩基多型()解析はも候遺伝子をるにはです布施のす解にるに,落屑症候群・落屑緑内障の原因遺伝子はにるこの一塩基多型()解析に,にする遺伝子でるが示,こが原因遺伝子とるけでは,文に「エクソンおンンののが,落屑症候群,落屑緑内障とする」とるのはことですすることと因がることはです原因遺伝子でるにはのことをけが,布施にとすので,読んでけすが,この遺伝子ンンはのですとののとです,ここにこ多のをにをものがす子学に候遺伝子の学がとのにするをるがですが,このにるの子を遺伝子ですることは基学,学のがで,のはののにすンとにすで,基学学ののとのののをにするとるとす布施がこのを「この遺伝子が示唆するもの」ので「子遺伝学は緑内障の原因解にもをするを示唆す」とんでおるに,基学は学が日するを解するに多献をすることです学とるとすはこののとのの解とのとものをお,もではものこの基とののに,がにンすることがるにす山学学部学学山下英俊☆☆☆

新しい治療と検査シリーズ184.Femtosecond laser装置を使用した全層角膜移植

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200813970910-1810/08/\100/頁/JCLS特に,IntraLaseTMを使った全層角膜移植(penetratingkeratoplasty:PKP)は米国で頻度が高まっている1,2).IntraLaseTMEnabledKeratoplasty(IEK)とは,3つの異なる切開,anteriorsidecut,lamellarcut,posteriorsidecutを組み合わせることで蝶番のような角膜切開で全層角膜移植を行う方法である.その切開形状にはマッシュルーム,トップハット,ジグザグなどが提唱されている(図1).すでにアイバンクでドナーをIntraLaseTMで切開してから供給する体制ができており,全世界で2,000眼程度のIEKが実施されている.実際の手術法筆者らの施設では,手術室にIntraLaseTMFS-60を新しい治療と検査シリーズ(69)バックグラウンドフェムトセカンドレーザー(femtosecondlaser)は近赤外線レーザーで,焦点外の角膜組織は通過し,超短パルスの特性から瞬間ピーク出力が大きくなり,焦点の合った照射組織のみを光分裂(photodisruption)させて数ミクロンの空隙をつくることができる.これを一定の間隔で数多く照射することで,周辺組織に熱拡散の影響を及ぼさずに,透明角膜を切開することができる.従来laserinsitukeratomileusis(LASIK)のフラップ作製に使用されてきたが,性能が向上することで,切開を深く,複雑な形状にすることができるようになった.これを利用して角膜移植におけるドナーとレシピエントの角膜を同一形状の複雑な切断面にすることが可能となった.新しい治療法現時点では角膜移植ができるフェムトセカンドレーザーはIntraLaseTM(AMO社製)とFEMTECfemto-secondlaser(20/10PerfectVision社製)のみである.184.Femtosecondlaser装置を使用した全層角膜移植プレゼンテーション:稗田牧バプテスト眼科クリニックコメント:ビッセン宮島弘子東京歯科大学水道橋病院眼科1IntraLaseTMによる角膜切開:全層角膜移植(IEK)図2ZigZagIEK術前・後写真左:角膜周辺部が透明であれば良い適応となる.右:術後はホスト-グラフト移行部分が平滑である.———————————————————————-Page21398あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008設置しているので,先にレシピエントの切開を行う.LASIKより切開に時間がかかるので,球後麻酔を行い,開瞼器を使用する.レシピエント角膜は,完全に切開すると前房が消失する可能性があるので,切開予定部位の最薄点から数十ミクロン前方から,posteriorsidecutを開始している.つぎに,人工前房にセットしたドナー角膜を切開するが,この場合には前房内の圧をコントロールできるので前房から(角膜表面から1,200μmの深さ)切開を始めて,完全に切断する.ドナーの場合,Sinskeyフックで層を少し開いたのち,グラフトを鑷子で軽く引っ張れば外れる.全身麻酔がかけられたレシピエントの角膜は,前房まで切断されていないので,Sin-skeyフックで創の形状を確認した後に,前房に進入し剪刀で切断する.8本の端々縫合と16糸の連続縫合を行っている(図2).本法の利点ドナーとレシピエントの角膜は完全に同一形状の蝶番断面になっているので,生体適合性が良い.外傷による創の離開は,角膜移植後の大きな問題であるが,この方法により,怪我に強い角膜移植術後眼となることは間違いない.さらに,角膜表面から一段目の層状切開までの厚みは非常に精確なので,角膜前面でホスト-グラフト接合部に段差ができて,不正乱視が強くでてしまったり,角膜障害がでやすくなることがない,などの利点はある.ただし,現時点では多くの角膜縫合をしているので,惹起乱視や不正乱視が本当に少なくなるかどうかはわからない.今後,有効性の検討が必要と考えられる.1)PriceFWJr,PriceMO:Femtosecondlasershapedpene-tratingkeratoplasty:One-yearresultsutilizingatop-hatconguration.AmJOphthalmol145:210-214,2008.Epub2007Dec3.2)FaridM,KimM,SteinertRF:Resultsofpenetratingker-atoplastyperformedwithafemtosecondlaserzigzaginci-sioninitialreport.Ophthalmology114:2208-2212,2007(70)ず,切開形状を精密にプログラミングできる点で魅力的だが,角膜移植においては,混濁の程度によりフェムトレーザーが使えないこと,全層移植ではあまり問題にならないが,角膜を層状に残す部分移植では,レーザー照射による角膜実質の炎症反応が危惧されている.ブレードを用いる手術に比べ,すべてが優っているのではなく,レーザー照射による組織反応など,今後まだ検討されるべき点を残している.フェムトセカンドレーザーは,自由自在に角膜を切開できるため,角膜手術に関する広い範囲での使用が試みられている.現在,最も普及しているのがLASIKにおけるフラップ作製であろう.マイクロケラトームを用いたフラップに比べ,フラップを戻した際に非常に適合性が良いことを経験しているが,角膜移植においてもドナーとレシピエントが完全に同一形状であるため,生体適合性が良く,今後,縫合なしの手術が期待される.レーザーというブレードを使用せ本方法に対するコメント☆☆☆

サプリメントサイエンス:アントシアニン(Anthocyanin)

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200813930910-1810/08/\100/頁/JCLSアントシアニンを含むサプリメントアントシアニンを含むサプリメントとして,おもなものはビルベリー(ブルーベリーの一種)とカシスである.ビルベリーエキスにはシアニジン3-グルコシドなど約15種,カシスにはデルフィニジン3-ルチノシドなど4種のアントシアニンを含む.アントシアニンの構造式おもなアントシアニンの構造式を図1に示す.Glyと記したところに,グルコース,ガラクトースなどの単糖やルチノースなどの2糖が結合した配糖体になっている.アントシアニンの薬理作用,生理作用アントシアニンを経口摂取すると,代謝・抱合化を受けない未変化体で血中へ移行することが知られており,その血中濃度は108109M程度である1).血中へ吸収されたアントシアニンが,網膜,毛様体,房水などで血中濃度より高い濃度で検出されることが報告されている2).アントシアニンのなかでもカシスに含まれるルチノシド配糖体が,血中への滞留時間,眼球への移行性が他のアントシアニンよりも高いことが報告されている3).アントシアニンの生理作用は抗酸化作用が有名であり,眼科領域においても網膜色素上皮細胞での抗酸化作用が確認されている4).また,毛様体平滑筋において,エンドセリン-1による収縮に対する弛緩作用がアントシアニン濃度107108Mで確認されている5).この毛様体筋弛緩効果は他のフラボノイドには認められず,アントシアニン特有の効果と考えられる.アントシアニンのなかでもカシスに含まれるルチノシド配糖体が,毛様体筋弛緩効果が他のアントシアニンと比べて高いことが報告されている3).その作用機序は,エンドセリンBレセプターを刺激してNO(一酸化窒素)産生を介していると考えられている.なお,似たようなNO産生を介するメカニズムで血管平滑筋の拡張作用6),末梢血管抵抗低下作用7)が報告されており,循環系の改善作用が期待される.さらに,アントシアニンの1つであるシアニジン配糖体が,11-cisレチナールとオプシンからロドプシンへの再生を促進することがカエルの網膜桿体を用いた研究で明らかになっている8).なお,アントシアニンの生理作用として,体脂肪蓄積抑制作用9)や,レチノール結合蛋白質4の低下を介した2型糖尿病抑制作用10)が報告されている.1日必要量(最低必要量と,最適量の2つ)アントシアニンとして50mgを1日に摂取することが望ましい.過剰摂取による悪影響は出にくいと考えられる.(65)サプリメントサイエンスセミナー●連載⑤監修=坪田一男5.アントシアニン(Anthocyanin)津田孝範*1大澤俊彦*2*1中部大学応用生物学部*2名古屋大学大学院生命農学研究科アントシアニンの機能は抗酸化作用,毛様体筋の弛緩作用,血流改善作用,ロドプシン再生促進作用などが報告されている.眼科領域の臨床試験としては,健常者の暗所での光覚閾値の改善,正視から中等度近視の若年成人者の屈折調節機能低下の軽減,正常眼圧緑内障者の6カ月間内服による視神経乳頭および乳頭周囲網膜の血流量の有意な増加が報告されている.OHOOHOGlyOHR2R1R1R2デルフィニジンOHOHシアニジンOHHマルビジンOCH3OCH3ラルゴニジンHHオニジンOCH3HチュニジンOHOCH3図1アントシアニンの構造式———————————————————————-Page21394あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008食品に含まれるアントシアニン量日本国内の食品中のデータはないが,米国で流通している食品中に含まれるアントシアニン量の比較を表1に示す9).おもにベリー類の果物に多く含まれ,米国人は1日に12.5mgを食事から摂取していると報告されている11).日本人はおそらく米国人より摂取量は少ないと考えられる.眼科的に必要量と眼科の応用アントシアニンの視覚改善効果は,「第二次大戦中の英軍パイロットがブルーベリージャムを食べると暗所での視力が改善した.」という逸話によって有名である.しかし,最近いくつかの検証実験が試みられている1214)が,いずれも有効性は見出されず,ビルベリーの暗視力改善効果を立証する報告はないと結論づけられている15).一方,カシスのアントシアニンを経口摂取して,暗所での光覚閾値を測定したところ,摂取量に用量依存的に光覚閾値が改善し16),アントシアニン50mg摂取群でプラセボ群との有意差が認められており,摂取量としては50mg/dayが適当と考えられる16).(66)また,正視から中等度近視の若年成人者を対象にして,カシスアントシアニン50mgの単回摂取により,2時間のコンピュータ作業負荷で誘発される屈折調節機能低下が軽減されることが報告されている17,18).さらに,弘前大学の緑内障外来において,正常眼圧緑内障者30名へ50mg/dayのカシスアントシアニンを6カ月間内服してもらった結果,視神経乳頭および乳頭周囲網膜の血流量が有意に増加したと報告されている19).内服期間後に視野障害の悪化した症例は1例もなかった.なお,網膜色素変性ラットへ,カシスアントシアニンを2週間投与したところ,網膜電図波形を若干改善し,補助的な効果が期待されている20).これらのことから,アントシアニンは眼科分野のサプリメントとしての可能性があると考えられ,その摂取量はアントシアニンとして50mg/dayが妥当な量であると考えられる.アントシアニンの体内動態から考えると,単糖の配糖体であるブルーベリー(ビルベリー)よりルチノシド配糖体を含むカシスのアントシアニンの効果が強い可能性がある.エビデンスレベルカシスB:リスクある人は摂取すべき.ブルーベリーC:どちらともいえない.文献1)MatsumotoH,InabaH,KishiMetal:Orallyadminis-tereddelphinidin-3-rutinosideandcyanidin-3-rutinosidearedirectlyabsorbedinratsandhumansandappearinbloodasintactforms.JAgricFoodChem49:1546-1551,20012)MatsumotoH,NakamuraY,IidaHetal:Comparativeassessmentofdistributionofblackcurrantanthocyaninsinrabbitandratoculartissues.ExpEyeRes83:348-356,20063)飯田博之,中村裕子,松本均:カシスおよびビルベリーアントシアニンの吸収性と有効性に関する比較検討.医学と薬学59:381-388,20084)MilburyPE,GrafB,Curran-CelentanoJMetal:Bilberry(Vacciniummyrtillus)anthocyaninsmodulatehemeoxy-genase-1andglutathioneS-transferase-piexpressioninARPE-19cells.InvestOphthalmolVisSci48:2343-2349,20075)MatsumotoH,KammKE,StullJTetal:Delphinidin-3-rutinosiderelaxesthebovineciliarysmoothmuscletroughactivationofETbreceptorandNO/cGMPpath-way.ExpEyeRes80:313-322,2005表1米国で流通している果物・野菜中のアントシアニン含量食品名品種アントシアニン総量(mg/100g新鮮重)リンゴフジ1.3レッドデリシャス17.0ブラックベリー245.0ブルーベリー栽培種386.6野生種486.5チェリー122.0チョークベリー1,480.0クランベリー140.0カシス476.0レッドカラント12.8エルダーベリー1,375.0ブドウレッドグレープ26.7コンコード120.1モモ4.8プラム19.0ブラックラズベリー687.0イチゴ21.2黒豆44.5茄子85.7赤キャベツ322.0赤レタス2.2赤タマネギ48.5赤ラディッシュ100.1———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081395(67)6)NakamuraY,MatsumotoH,TodokiK:Endothelium-dependentvasorelaxationinducedbyblackcurrantcon-centrateinratthoracicaorta.JpnJPharmacol89:29-35,20027)Iwasaki-KurashigeK,Loyaga-RendonRY,MatsumotoHetal:Possiblemediatorsinvolvedindecreasingperipher-alvascularresistancewithblackcurrantconcentrate(BC)inhind-limbperfusionmodeloftherat.VasculPharmacol44:215-223,20068)MatsumotoH,NakamuraY,HirayamaMetal:Thestim-ulatoryeectofcyanidinglycosidesontheregenerationofrhodopsin.JAgricFoodChem51:3560-3563,20039)TsudaT,HorioF,UchidaKetal:Dietarycyanidin3-O-b-D-glucoside-richpurplecorncolorpreventsobesi-tyandameliorateshyperglycemiainmice.JNutr133:2125-2130,200310)SasakiR,NishimuraN,HoshinoHetal:Cyanidin3-glu-cosideameliorateshyperglycemiaandinsulinsensitivityduetodownregulationofretinolbindingprotein4expres-sionindiabeticmice.BiochemPharmacol74:1619-1627,200711)WuX,BeecherGR,HoldenJM:Concentrationofantho-cyaninsincommonfoodintheUnitedStatesandEstima-tionofnormalconsumption.JAgricFoodChem54:4069-4075,200612)ZadokD,LevyY,GlovinskyY:Theeectofanthocyano-sidesinamultipleoraldoseonnightvision.Eye13:734-736,199913)LevyY,GlovinskyY:Theeectofanthocyanosidesonnightvision.Eye12:967-969,199814)MuthER,LaurentJM,JasperP:Theeectofbilberrynutritionalsupplementationonnightvisualacuityandcontrastsensitivity.AlternMedRev5:164-173,200015)CanterPH,ErnstE:AnthocyanosidesofVacciniummyr-tillus(bilberry)fornightvision─asystematicreviewofplacebo-controlledtrials.SurvOphthalmol49:38-50,200416)NakaishiH,MatsumotoH,TominagaSetal:EectsofblackcurrantanthocyanosidesintakeondarkadaptationandVDTwork-inducedtransientrefractivealternationinhealthyhumans.AlternMedRev5:553-562,200017)松本均,中村裕子,徳永隆久ほか:VDT作業時の調節機能低下へのカシスアントシアニン摂取の影響.あたらしい眼科23:129-133,200618)飯田博之,松本均,森藤雅史ほか:全身疲労負荷(24時間の覚醒)時の調節機能低下へのカシス摂取の影響.あたらしい眼科25:114-118,200819)大黒幾代,大黒浩,中沢満:正常眼圧緑内障患者におけるカシスアントシアニンの網膜血流に対する作用.弘前医学59:23-32,200720)大黒浩:網膜色素変性に対するあたらしい薬物治療の可能性.日眼会誌112:7-21,2007☆☆☆

眼感染アレルギー:春季カタルに対する新しい治療戦略

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200813910910-1810/08/\100/頁/JCLS春季カタルの病態1)には,Ⅰ型アレルギーの遅発相(アレルゲンの曝露から1224時間にアレルギー炎症が起こる)の関与が考えられている.ヘルパーT細胞2型(Th2)が主体となり,結膜局所で産生され,涙液中に増加した各種サイトカインが関与して,眼局所でのアレルギー性炎症の増悪化が起こる.すなわち,結膜下組織の線維芽細胞の増殖が起こり,巨大な石垣状乳頭が形成される.また,結膜下の血管から局所に浸潤した好酸球は活性化され,涙液中の腫瘍壊死因子(TNF)-aやインターロイキン(IL-4)などのサイトカインにより好酸球遊走活性を有するサイトカイン,エオタキシンの角膜実質での産生が高まり,涙液を介して角膜に浸潤し,好酸球の脱顆粒により局所に放出されたECP(eosinophiliccationicprotein)やMBP(majorbasicprotein)といった組織障害性蛋白により角膜障害が形成される.季カタルの新しい治療薬免疫抑制点眼薬新しい免疫抑制点眼薬である0.1%シクロスポリン点眼薬と0.1%タクロリムス(FK506)点眼薬はいずれもカルシニューリン阻害薬である.強力なT細胞特異的免疫抑制作用,すなわち,T細胞の細胞質内におけるカルシニューリンの活性化を抑制し,引き続くNFAT(nuclearfactorofactivatedTcell)の核内への移行,サイトカインのmRNA転写を抑制し,T細胞からの各種サイトカインの産生を抑制し,アレルギー炎症を抑える(図12)).クロスポリン点眼薬0.1%シクロスポリン点眼薬(パピロックRミニ点眼液0.1%)は0.4mlのシングルユースの容器で,防腐剤は含まれていない.1回1本,1滴,1日3回点眼する.2006年1月から処方可能となったが,希少疾患用医薬品としての認可であり,その後,眼科専門医による使用と全症例を対象に使用成績調査が義務づけられ,現在,約1,000例の調査結果がまとまった.それによれば,抗アレルギー点眼薬,ステロイド点眼薬など今までの治療に0.1%シクロスポリン点眼薬を併用すると,約1カ月後には,眼痒感をはじめとする自覚症状の改善がみられている.1カ月後には,約30%の症例で,今まで用いていたステロイド点眼薬を中止することができ,また,高濃度のステロイド点眼薬の使用の割合が減ってい(63)眼感染アレルギーセミナー─感染症と生体防御─●連載⑩監修=木下茂大橋裕一10.春季カタルに対する新しい治療戦略高村悦子東京女子医科大学眼科春季カタルの治療には,抗アレルギー点眼薬とステロイドが用いられていたが,最近,免疫抑制点眼薬であるシクロスポリンとタクロリムスが処方可能となり,治療の選択肢が広がった.春季カタルには抗アレルギー点眼薬と免疫抑制点眼薬をベースに重症度に応じたステロイドの併用が有用である.シクロスポリンFK結合蛋白シクロフィリンタクロリムスT細胞抗原提示TCRチロシンリン酸化ZAP70PLCgRasMAPKKIP3Ca2+小胞体CN:カルシニューリン,CaM:カルモジュリンMARKCNCaMPPPPNFATNFATNFAT核mRNAIL-2遺伝子AP-1AP-1TCR図1タクロリムス・シクロスポリンのサイトカイン産生抑制作用シクロスポリンはシクロフィリンと,タクロリムスはFK結合蛋白と結合し,活性化カルシニューリンに結合することで不活化する.(文献2より)———————————————————————-Page21392あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008る.これらの結果から,春季カタルに対し,0.1%シクロスポリン点眼薬は,高濃度ステロイド点眼薬に比較し,効果の発現は緩徐だが,ステロイド点眼薬との併用で,重症な角結膜所見の改善が期待でき,症状がおちつけば,ステロイド点眼薬の減量や中止が期待できる点眼薬ということができる(図2).一方,輪部型の春季カタルに対しては,抗アレルギー点眼薬にシクロスポリン点眼薬を併用するだけで,ステロイド点眼薬を用いなくても短期間で輪部の所見が改善する.シクロスポリン点眼薬は高分子であり,眼内へはほとんど浸透しないため,全身への副作用はあまり心配する必要はないが,まれに,点眼中に角膜感染症を伴うことが報告されている.いずれもアトピー性皮膚炎合併例であり,ステロイド点眼薬も併用されている.アトピー性皮膚炎では顔面の皮膚に,細菌や単純ヘルペスウイルスの感染症が広がりやすく,同時に,角膜感染症を伴いやすいという特徴があり,免疫抑制点眼薬の直接的な副作用とは断定できない.いずれにせよ,眼感染症の合併が疑われた場合,1,2週間シクロスポリン点眼薬やステロイド点眼薬を中止し,感染症に対する治療を優先する必要がある.クロリムス点眼薬0.1%タクロリムス点眼薬は,5mlの点眼瓶に入っており,防腐剤は含有されている.1回1滴,1日2回点眼する.2008年5月に処方可能となり,現在使用成績調査中であるが,治験時の使用経験では,効果発現は約1週間と短期間である.0.1%タクロリムスは軟膏製剤による経皮吸収に比べれば低濃度とはいえ,点眼によっても血中濃度を軽度上昇させる場合がある.今後はより安全な使用法について検討されるであろう.(64)季カタルの治療春季カタルの治療を重症度別に考えてみると,重症例では,抗アレルギー点眼薬,ステロイド点眼薬,シクロスポリン点眼薬で治療を開始し,症状の改善に伴い,ステロイド点眼薬の濃度,点眼回数を漸減する(表1).抗アレルギー点眼薬と免疫抑制薬はできるだけ継続したほうがよい.効果不十分な場合は,ステロイドの投与ルートを瞼板下注射や内服に変更したり,乳頭切除などの外科的治療を併用したりする(表1).中等症,輪部型春季カタルでは,抗アレルギー点眼薬と免疫抑制点眼薬を併用し,効果不十分な場合にステロイド点眼薬を追加する.春季カタルは慢性,再発性の疾患であり,アレルギー炎症の長期の沈静化には,抗アレルギー点眼薬と免疫抑制点眼薬をできるだけ継続する.文献1)アレルギー結膜疾患診断ガイドライン編集委員会:アレルギー結膜疾患診断ガイドライン.日眼会誌110:99-140,20062)海老原伸行:カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン,タクロリムス)によって変わる春季カタルの治療.あたらしい眼科25:137-141,2008表1春季カタルの治療の実際重症抗アレルギー点眼薬+ステロイド点眼薬+免疫抑制点眼薬効果不十分な場合ステロイド薬内服,ステロイド瞼板下注射,外科的治療を追加中等症,輪部型春季カタル抗アレルギー点眼薬+免疫抑制点眼薬効果不十分な場合ステロイド点眼薬を追加寛解時の治療抗アレルギー点眼薬+免疫抑制点眼薬図2春季カタルに対する0.1%シクロスポリン点眼薬の効果抗アレルギー点眼薬,0.1%フルオロメトロン点眼薬では十分な改善が得られなかった(a)が,シクロスポリン点眼薬併用により2週間後には,乳頭の平坦化,充血の改善がみられた(b).a.0.1%シクロスポリン点眼薬使用前b.0.1%シクロスポリン点眼薬使用後

緑内障:正常眼圧緑内障の危険因子

2008年10月31日 金曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.10,200813890910-1810/08/\100/頁/JCLSはじめに開放隅角緑内障は慢性神経変性疾患であり,その進行のスピードが病気の重症度を決定しているといえる.よって進行を的確に判断し治療法にフィードバックをかけることがわれわれ眼科医の責務である.しかし,視野検査は自覚的検査であり,被検者は高齢者が多いことから,信頼ある視野検査を得るにもストレスを有するだけでなく,進行を判断するには数年間の年月を要する.そこで,緑内障患者の初診時に問診や既往歴,眼科検査における所見から危険因子を十分把握する努力が必要と思われる.正常眼圧緑内障有病の危険因子として,わが国では多治見スタディの結果から,眼圧,加齢,近視があげられる.一方,進行における危険因子の報告はこれまでわが国からはなく,CollaborativeNormal-TensionGlaucomaStudyGroupから乳頭出血,片頭痛が重要であると報告された.こうして眼圧や加齢現象が緑内障有病,進行の危険因子であることはよく知られているので,本稿ではそれ以外の因子についての報告例を総括する.内障と有意に相関する遺伝子群最近の緑内障と相関する遺伝子の一塩基多形変異の報告を表1にまとめた.OPA1は家族性の視神経萎縮の原因遺伝子の一つとして報告され,最近緑内障との強い相関が報告されている1).軸索流に関与する遺伝子が緑内障と相関することは,緑内障の病態を考えるうえからも興味深い.その他,ApoE2)は動脈硬化やグリア細胞の恒常性維持に関与し,エンドセリン3)は血管収縮(血流低下)や慢性炎症に関与する.障乳頭周囲脈絡網膜萎縮(PPA)のベータ領域や乳頭出血は視野進行の危険因子である.疫学的には乳頭出血は眼圧低下治療が奏効しないといわれている4).他に緑内障有病者に静脈拍動がみられない患者が有意に多いこと,拍動がみられない緑内障はその乳頭陥凹が約2倍進行しやすいことなどが報告されている5).(61)●連載緑内障セミナー監修=東郁郎岩田和雄100.正常眼圧緑内障の危険因子中澤徹東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座・眼科視覚学分野正常眼圧緑内障において眼圧,加齢,近視は重要な危険因子である.それ以外に片頭痛,線状出血,眼静脈の拍動,脳梗塞,心疾患の既往などが重要となる.緑内障に強く相関する遺伝子群は動脈硬化や視神経近傍の血流,グリア細胞の恒常性の維持,軸索流に関係するものが報告されている.正常眼圧緑内障に関与する危険因子を理解することは治療方針に参考となる.しかし,眼圧以外の要素に対しては格別の治療手段がないのが現状である.表1正常眼圧緑内障と関連が示唆された遺伝子異常遺伝子役割OPA1軸索流Methylenetetrahydrofolatereductase血管形成エンドセリン1血管収縮マイクログリアの活性化eNOS血管の維持ANP血圧ApoE動脈硬化グリア細胞の維持AB1傾斜乳頭をもつ緑内障患者の眼底写真A:非進行例(MDslope0.17dB/Y),B:進行例(1.44dB/Y).A,Bともに近視は4D程度,Aに比較しBは視神経乳頭が蒼白で耳側血管が退縮し,PPAが大きく虚血が強い.———————————————————————-Page21390あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008視日本人の5D以上の高度近視有病率は8.2%と白人の1%と比較すると異常に高いことが示された6).近視が緑内障危険因子とする報告は多数認められる.近視で緑内障を有病する人の多くが傾斜乳頭とその耳側に三日月状のPPAが認められる(図1).さらに進行した近視眼底の多くは,耳側色調が蒼白で,脈絡膜萎縮の強い症例が多い(図1).神経乳頭形状視神経乳頭を形状別に分類したところその進行率に差があったという報告がある7).彼らは視神経乳頭をノッチのあるFocal,傾斜乳頭であるMyopic,浅い乳頭陥(62)凹で乳頭周囲全周に脈絡膜萎縮のみられるSenilescle-rotic,全体的に深い陥凹を認めるGenralizedに分類したところ(図2),Focal,Generalizedの形状群で進行が高頻度に認められたと報告している7).乳頭形状により進行率が異なることは日常臨床においても助けになる報告である.まとめ日本では明らかに諸外国と緑内障の病型が異なり,正常眼圧緑内障が多いことが知られている.このことは日常診療でエビデンスとなる内容は,日本から発信された報告を基準に考えないといけないことを示している.自分のクリニックに訪れる人の緑内障有病や進行の危険因子をしっかり把握する努力は必要であると思われる.文献1)MabuchiF,TangS,KashiwagiKetal:TheOPA1genepolymorphismisassociatedwithnormaltensionandhightensionglaucoma.AmJOphthalmol143:125-130,20072)FanBJ,WangDY,FanDSetal:SNPsandinteractionanalysesofmyocilin,optineurin,andapolipoproteinEinprimaryopenangleglaucomapatients.MolVis11:625-631,20053)IshikawaK,FunayamaT,OhtakeYetal:AssociationbetweenglaucomaandgenepolymorphismofendothelintypeAreceptor.MolVis11:431-437,20054)AndersonDR,DranceSM,SchulzerM:Factorsthatpre-dictthebenetofloweringintraocularpressureinnormaltensionglaucoma.AmJOphthalmol136:820-829,20035)BalaratnasingamC,MorganWH,HazeltonMLetal:Valueofretinalveinpulsationcharacteristicsinpredictingincreasedopticdiscexcavation.BrJOphthalmol91:441-444,20076)SawadaA,TomidokoroA,AraieMetal:RefractiveerrorsinanelderlyJapanesepopulation:theTajimistudy.Ophthalmology115:363-370e363,20087)NicolelaMT,McCormickTA,DranceSMetal:Visualeldandopticdiscprogressioninpatientswithdierenttypesofopticdiscdamage:alongitudinalprospectivestudy.Ophthalmology110:2178-2184,2003ACBD2視神経の乳頭形状分類A:Focalischemicdisc,B:Generalizedenlargementoftheopticdisc,C:Myopicglaucomatousdisc,D:Senilesclerot-icdisc.☆☆☆