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硝子体手術のワンポイントアドバイス67.脈絡膜剥離による一時的バックル効果(中級編)

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816890910-1810/08/\100/頁/JCLS強度近視眼の網膜離はしばしば脈絡膜離を合併する.網膜離の原因裂孔が周辺部に存在する症例では,脈絡膜離があたかもバックル効果を呈し網膜裂孔を閉鎖して一時的に網膜離が軽減あるいは消失することがある(図1).その後,さらに脈絡膜離の消退とともに再び網膜離が再発する,いわゆるシーソー現象を認めることもまれにある.その機序としては以下のような仮説が考えられる.まず,網膜離による低眼圧が引き金となり(図2a),強度近視眼や無水晶体眼などの脈絡膜離発症の危険因子を有する症例ではしばしば脈絡膜離が発生する(図2b).脈絡膜離が増強すると一時的バックル効果により周辺部の裂孔が閉鎖され網膜離が改善する(図2c).網膜離の改善とともに眼圧が回復し,それにつれて脈絡膜離が減少する.バックル効果が失われ裂孔が再開して再び網膜離が増悪する(図2d).原因不明の脈絡膜離は網膜離の可能性を考える網膜離と診断され紹介されてきても,初診時に脈絡膜離のみで網膜離をほとんど認めない症例に遭遇することがある.あるいは脈絡膜離に伴う虹彩炎により,ぶどう膜炎の診断を受けている場合もある.原因不(81)明の脈絡膜離では,本病態を念頭に置いておく必要がある.絡膜離を伴う網膜離にする術術前に脈絡膜離を伴う裂孔原性網膜離は,高度の硝子体の液化変性や前眼部の炎症を伴うことも多く,しばしば虹彩後癒着をきたし眼底の視認性が不良である.また,脈絡膜離の存在は裂孔検出をより困難にする.手術方法に関して以前は脈絡膜離の消退を待ったうえで強膜バックリング手術を行うとする意見もあったが,現在では硝子体変性が進行しない前に早期に硝子体手術による網膜復位術を施行するのが一般的である.文献1)坂下健一,池田恒彦,檀上真次ほか:脈絡膜離による一時的バックル効果.眼臨88:693-697,1994硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載67脈絡膜離による一時的バックル効果(中級編)池田恒彦大阪医科大学眼科図1脈絡膜離による一時的バックル効果眼底には全周にわたる胞状の脈絡膜離を認め,周辺部の裂孔は閉鎖され,網膜離は消失している.(文献1より).RD(+)→IOP(↓)b.IOP(↓)→CD(+)c.CD(↑)→RD(↓)IOP(↑)d.IOP(↑)→CD(↓)→RD(↑)図2脈絡膜離と網膜離の増減(シーソー現象)の機序(文献1より改変)

眼科医のための先端医療96.老化色素(リポフスチン)と加齢黄斑変性

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816850910-1810/08/\100/頁/JCLSリポフスチンとはリポフスチンとは加齢ととに(に色素)のにする色素ののとをしす老化のと老化色素とすリポフスチンは光線にり光をするり光では色素の光としてすのにりにのリポフスチンはの光をしフを用てをすると光としてでりの分を体でるとです加齢にの容にるりす加齢で色素変性のですリポフスチンの成はの作用の作用と色素のとりすは色素のイにりて分すイでの分のをるとはにし化を受リポフスチンを成しすリポフスチンのは光線にりの性化ではンでのてるではしすのとして用るンのでるをん体分です成成分は()ですにて()とのリポフスチンの成分でるとしはンのでるとににするので成す加齢黄斑変性とリポフスチンでは加齢黄斑変性()とはと図()をしすのは()ではにお性の変化をにしするとしす光線()に用にはのおるとてす図は色素の性のをとし加齢ととににしすはしんとにわでははをすの光のにり光のに色素傷害するとわてし光の分はリポフスチンのとすのでのはリポフスチンにり傷害るとをしすのでは光とりのリスとリポフスチンにはるとするすしリポフスチンとのはとするりのるですリポフスチン成分A2Eの作用(図1)はレチノイン酸受容体のリガンドとして作用する実験的には最もよく研究されているのはリポフスチンの構成成分のなかでもA2Eです.これまでに,A2Eはdetergent作用,cytochromeoxygenase抑制作用,DNA傷害作用などにより細胞傷害作用を有すると示されてきました1).しかしながら,これらの作用を抑制するのは臨床的には困難でした.そこで,筆者らは臨床的に介入可能な新たな標的因子をさらに明らかにするためにA2Eの細胞内シグナルに及ぼす影響を検討しました.その結果,A2EがビタミンAの受容体であるレチノイン酸受容体のリガンドとして作用し,VEGFの発現を恒常的に上昇させることが明らかとなりました2).この結果はレチノイン酸受容体がAMDの治療において新たな標的となりうることを(77)◆シリーズ第96回◆眼科医のための先端医療=坂本泰二山下英俊柳靖雄(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚運動機能医学講座眼科学)老化色素(リポフスチン)と加齢黄斑変性———————————————————————-Page21686あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008示すものです.2.A2Eは青色光線傷害を媒介する光線曝露とAMDの進行の関連はいまだに議論がありますが,実験的にはヒト眼より抽出されたリポフスチンを細胞内に取り込ませた光線を照射すると細胞傷害が生じます.A2Eは青色光を吸収して酸化修飾を受けて活性化し,細胞傷害をきたすと同時にVEGFの発現を上昇させることがわかっています.この結果から,青色光による網膜毒性は少なくとも一部はリポフスチン,さらにその構成成分のA2Eを介したものとされています.青色光による光傷害の予防のために開発された着色眼内レンズが最近急激に普及しています.実験的には従来の紫外線フィルタの眼内レンズと比較して青色光を遮断する着色眼内レンズを透過した光線は,リポフスチンを介した細胞傷害作用やVEGFの発現上昇作用が低いことがわかりました3).この結果は,着色眼内レンズが滲出型AMDの進行抑制効果を有する可能性を裏付けるものです.臨床上,AMDの発症予防効果を示すためには大規模なRCT(randomizedcontrolledtrial;無作為比較試験)が必要となりますが,実験の結果からは着色眼内レンズは紫外線フィルタの眼内レンズと比較してAMDの進行抑制効果が高いと思われます.おわりにまだ研究段階ですが,A2Eの蓄積を抑制するような薬剤の有効性も検討されています.まずは,対象疾患はAMDよりA2Eの著明な沈着を認めるStargardt病になるでしょうが,Stargardt病で安全性と有効性が確認されれば,A2Eの沈着の抑制によるAMDの予防的治療を行う時代がくるかもしれません.文献1)SparrowJR,BoultonM:RPElipofuscinanditsroleinretinalpathobiology.ExpEyeRes80:595-606,20052)IriyamaA,FujikiR,InoueYetal:A2E,apigmentofthelipofuscinofretinalpigmentepithelialcells,isanendoge-nousligandforretinoicacidreceptor.JBiolChem283:11947-11953,20083)YanagiY,InoueY,IriyamaA:Eectsofyellowintraocu-larlensesonlight-inducedupregulationofvascularendothelialgrowthfactor.JCataractRefractSurg32:1540-1544,2006(78)RAR標的遺伝子活性化恒常性維持機構の破綻VEGF↑VEGF↑レチノイン酸受容体1.レチノイン酸受容体リガンド2.青色光線傷害を媒介レチノイン酸受容体を活性化しVEGFの発現↑青色光照射で細胞生存率↓照射時間(hrs)細胞生存率1.11.00.90.80.70.60.50.40.30.20.10.001020304050照射時間(hrs)細胞生存率1.11.00.90.80.70.60.50.40.30.20.10.001020304050上段は通常どおり培養した細胞色素細胞,下段はA2Eを取り込ませた網膜色素上皮細胞を示す.図1リポフスチン成分A2Eの作用***———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081687(79)老化色素(リポフスチン)と加齢黄斑変性を読んで加齢黄斑変性はののののをるです本にして光線のてすのを用て加齢黄斑変性しではおりのをりすのはですりのをするとのですのの()としては加齢酸化リンのてす光のにてはてんのとしてはに光のをにでとりすのとして光傷害と加齢黄斑変性の分てとりす柳靖雄容は光傷害と加齢黄斑変性のの分をしのですは光と加齢黄斑変性にてのてす光リポフスチンの成分傷害性をに色素の光傷害をすると本文のはにしでるのですのをするにており光傷害と加齢黄斑変性のりにてるとわす本文では加齢黄斑変性をするのレンのにでてすのにににはてるのですしての加齢黄斑変性にしをのとす坂本泰二☆☆☆

サプリメントサイエンス:糖吸収抑制ファイバー

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816810910-1810/08/\100/頁/JCLSコンタクトレンズによる乳頭性結膜炎(CLPC)の臨床所見コンタクトレンズ(CL)により惹起されるアレルギー性結膜炎は,以前はGPC(giantpapillaryconjunctivi-tis)と称されていたが,最近はCLPC(contactlens-inducedpapillaryconjunctivitis)と称されることが多くなりつつある.これは,一つにはGPCという名称により巨大乳頭が必須であるという印象を除くため,もう一つには縫合糸などによるものを除外しCLによるものだけを対象にするためであろうと考えている.実際の所見としては直径0.3mm以上の乳頭があればCLPCとしてよく,春季カタルのような巨大乳頭が必須なわけではない.CLPCでは,上眼瞼に乳頭増殖と結膜充血があり,軽症から重症な症状として,CL脱後の粘稠な眼脂,CLの曇り,CL脱後やCL装用中の痒み,さらには瞬目によるCLの異常な上方移動などの自覚症状を伴う.CL装用歴と症状で予想は容易であるが,必ず両眼の上眼瞼反転を行う必要がある.それは,左右差が大きいことがあるからである(図1).高酸素透過性の新素材シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(SHCL)の登場以降,片眼性の頻度が増えている可能性があるといわれているが,臨床上まだ実感は得られていない.CLPCは臨床所見により二つに分けられる.一つは全般型(general)ともよぶべきもので,乳頭増殖が上眼瞼(73)眼感染アレルギーセミナー─感染症と生体防御─●連載⑫監修=木下茂大橋裕一12.コンタクトレンズによる乳頭性結膜炎岩崎直樹イワサキ眼科医院コンタクトレンズ(CL)による乳頭性結膜炎(CLPC)は,CL装用者に起こる上眼瞼の乳頭増殖と眼脂,CLの曇り,痒みなどを伴う疾患である.片眼であることも多いので,必ず両眼をみる必要がある.原因としてはCLに付いた蛋白質に対するアレルギーと,CLによる機械的刺激の両者が関与しているが,詳細な機構はまだ不明な点が多い.図1両眼に差があるCLPC(上:右眼,下:左眼)右眼よりも左眼のほうが,明らかに乳頭増殖が強い.図2全般型(generaltype)上眼瞼全般に乳頭増殖がみられる.———————————————————————-Page21682あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008全体に分布しているもの(図2),もう一つは局所型(local)とよぶべきもので,大きい乳頭増殖は上眼瞼の一部に限局しているものである(図3).全般型と局所型は従来素材のソフトコンタクトレンズ(SCL)ではほぼ同数であるとされるが,ハードコンタクトレンズ(HCL)やSHCLの場合は,より局所型が多い印象がある.CLPCの病因CLPCには生体のアレルギー反応とCLによる機械的刺激の両方の要因が考えられている.スギ花粉症などのアレルギー要因をもつ患者にCLPCが後発することもよく知られており,CLPCの患者では無症状の対象に比べ,結膜上皮内の肥満細胞や抗酸球,抗塩基球が増加している.CLの洗浄や蛋白除去を行うことで,CLPCが軽快することもよく知られている.また,HCLや,比較的硬いSHCLで局所型が多く,それも機械的刺激が最大と考えられる上眼瞼中央に好発することは,機械的刺激の関与が強く疑われる.アレルギー反応に関するサルでの実験では,CLPCを発症した患者から採取したSCLと,CPLCを発症していない患者からのSCL,そして新品SCLをサルに装用させると,涙液中の免疫グロブリンE(IgE)のレベルがCLPC患者からのSCLを装用した群のみで上昇した.その他にもCLPCでは局所のインターロイキン-6(IL-6)や抗酸球の遊走因子であるeotaxinが上昇しており,eotaxinのレベルとCLPCの重症度に相関がある(74)ことも知られている.さらにCLPC患者の涙液中にロイコトリエンC4(LTC4)が早期から上昇しているなど,CLPCの重症度とLTC4の量が相関することを考えると,アレルギー反応であることは間違いないと思われる.しかし,CLPCの抗原がレンズ材質自体にあるのか,それともそこに付着した蛋白質であるかはまだはっきりと結論が出ていない.また,メカニズムに関しても不明の点が多い.レンズ材質自体が抗原ではないと一般に考えられているが,CL素材自体がハプテンとして働いている可能性は否定できない.一般に高含水のSCLは付着物が多く,またイオン性のあるSCLは蛋白質,特に涙液中のリゾチームが付着しやすいはずであり,米国食品・医薬品局(FDA)分類group1(低含水,非イオン性レンズ)やgroup2(高含水,非イオン性レンズ)とgroup4ではgroup4レンズのほうがCLPCを発症しやすいはずであるが,頻度に差はないもののgroup2レンズのほうが重症であったという報告と差はなかったという報告がある.これはgroup4のほうが軟らかいことが関与している可能性や,含水率やイオン性以外にも,SCLの表面コーティングやレンズデザインなど多様な要因が関与している可能性があると思われる.機械的刺激に関しては,HCLと従来素材のSCLではHCLのほうが局所型の発生が多い.また,従来型SCLでのCLPCがまず瞼板の奥から発生して瞼縁に進行してゆくのに対し,HCLでは瞼縁から始まって徐々に瞼板中央に進展していくことも,直径の差を考えると機械的刺激が関与している証拠と考えられている.また,結膜組織が傷害された場合に増加する好中球遊走因子(NCF)は,無症状のCL装用者ではコントロールの4倍のレベルであるが.CLPCでは15倍に達する.これも機械的刺激が関与していることを示唆していると考えられている.文献1)ScotoniskyCC,NaduvilathTJ,SweeneyDFetal:Twopresentationsofcontactlens-inducedpapillaryconjuncti-vitis(CLPC)inhydrogellenswear:localandgeneral.OptomVisSci83:E27-E36,20062)EhlersWH,DonshikPC:Giantpapillaryconjunctivitis.CurrOpinAllergyClinImmunol8:445-449,2008図3局所型(localtype)中央により大きい乳頭が集簇する.☆☆☆

眼感染アレルギー:コンタクトレンズによる乳頭性結膜炎

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816810910-1810/08/\100/頁/JCLSコンタクトレンズによる乳頭性結膜炎(CLPC)の臨床所見コンタクトレンズ(CL)により惹起されるアレルギー性結膜炎は,以前はGPC(giantpapillaryconjunctivi-tis)と称されていたが,最近はCLPC(contactlens-inducedpapillaryconjunctivitis)と称されることが多くなりつつある.これは,一つにはGPCという名称により巨大乳頭が必須であるという印象を除くため,もう一つには縫合糸などによるものを除外しCLによるものだけを対象にするためであろうと考えている.実際の所見としては直径0.3mm以上の乳頭があればCLPCとしてよく,春季カタルのような巨大乳頭が必須なわけではない.CLPCでは,上眼瞼に乳頭増殖と結膜充血があり,軽症から重症な症状として,CL脱後の粘稠な眼脂,CLの曇り,CL脱後やCL装用中の痒み,さらには瞬目によるCLの異常な上方移動などの自覚症状を伴う.CL装用歴と症状で予想は容易であるが,必ず両眼の上眼瞼反転を行う必要がある.それは,左右差が大きいことがあるからである(図1).高酸素透過性の新素材シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(SHCL)の登場以降,片眼性の頻度が増えている可能性があるといわれているが,臨床上まだ実感は得られていない.CLPCは臨床所見により二つに分けられる.一つは全般型(general)ともよぶべきもので,乳頭増殖が上眼瞼(73)眼感染アレルギーセミナー─感染症と生体防御─●連載⑫監修=木下茂大橋裕一12.コンタクトレンズによる乳頭性結膜炎岩崎直樹イワサキ眼科医院コンタクトレンズ(CL)による乳頭性結膜炎(CLPC)は,CL装用者に起こる上眼瞼の乳頭増殖と眼脂,CLの曇り,痒みなどを伴う疾患である.片眼であることも多いので,必ず両眼をみる必要がある.原因としてはCLに付いた蛋白質に対するアレルギーと,CLによる機械的刺激の両者が関与しているが,詳細な機構はまだ不明な点が多い.図1両眼に差があるCLPC(上:右眼,下:左眼)右眼よりも左眼のほうが,明らかに乳頭増殖が強い.図2全般型(generaltype)上眼瞼全般に乳頭増殖がみられる.———————————————————————-Page21682あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008全体に分布しているもの(図2),もう一つは局所型(local)とよぶべきもので,大きい乳頭増殖は上眼瞼の一部に限局しているものである(図3).全般型と局所型は従来素材のソフトコンタクトレンズ(SCL)ではほぼ同数であるとされるが,ハードコンタクトレンズ(HCL)やSHCLの場合は,より局所型が多い印象がある.CLPCの病因CLPCには生体のアレルギー反応とCLによる機械的刺激の両方の要因が考えられている.スギ花粉症などのアレルギー要因をもつ患者にCLPCが後発することもよく知られており,CLPCの患者では無症状の対象に比べ,結膜上皮内の肥満細胞や抗酸球,抗塩基球が増加している.CLの洗浄や蛋白除去を行うことで,CLPCが軽快することもよく知られている.また,HCLや,比較的硬いSHCLで局所型が多く,それも機械的刺激が最大と考えられる上眼瞼中央に好発することは,機械的刺激の関与が強く疑われる.アレルギー反応に関するサルでの実験では,CLPCを発症した患者から採取したSCLと,CPLCを発症していない患者からのSCL,そして新品SCLをサルに装用させると,涙液中の免疫グロブリンE(IgE)のレベルがCLPC患者からのSCLを装用した群のみで上昇した.その他にもCLPCでは局所のインターロイキン-6(IL-6)や抗酸球の遊走因子であるeotaxinが上昇しており,eotaxinのレベルとCLPCの重症度に相関がある(74)ことも知られている.さらにCLPC患者の涙液中にロイコトリエンC4(LTC4)が早期から上昇しているなど,CLPCの重症度とLTC4の量が相関することを考えると,アレルギー反応であることは間違いないと思われる.しかし,CLPCの抗原がレンズ材質自体にあるのか,それともそこに付着した蛋白質であるかはまだはっきりと結論が出ていない.また,メカニズムに関しても不明の点が多い.レンズ材質自体が抗原ではないと一般に考えられているが,CL素材自体がハプテンとして働いている可能性は否定できない.一般に高含水のSCLは付着物が多く,またイオン性のあるSCLは蛋白質,特に涙液中のリゾチームが付着しやすいはずであり,米国食品・医薬品局(FDA)分類group1(低含水,非イオン性レンズ)やgroup2(高含水,非イオン性レンズ)とgroup4ではgroup4レンズのほうがCLPCを発症しやすいはずであるが,頻度に差はないもののgroup2レンズのほうが重症であったという報告と差はなかったという報告がある.これはgroup4のほうが軟らかいことが関与している可能性や,含水率やイオン性以外にも,SCLの表面コーティングやレンズデザインなど多様な要因が関与している可能性があると思われる.機械的刺激に関しては,HCLと従来素材のSCLではHCLのほうが局所型の発生が多い.また,従来型SCLでのCLPCがまず瞼板の奥から発生して瞼縁に進行してゆくのに対し,HCLでは瞼縁から始まって徐々に瞼板中央に進展していくことも,直径の差を考えると機械的刺激が関与している証拠と考えられている.また,結膜組織が傷害された場合に増加する好中球遊走因子(NCF)は,無症状のCL装用者ではコントロールの4倍のレベルであるが.CLPCでは15倍に達する.これも機械的刺激が関与していることを示唆していると考えられている.文献1)ScotoniskyCC,NaduvilathTJ,SweeneyDFetal:Twopresentationsofcontactlens-inducedpapillaryconjuncti-vitis(CLPC)inhydrogellenswear:localandgeneral.OptomVisSci83:E27-E36,20062)EhlersWH,DonshikPC:Giantpapillaryconjunctivitis.CurrOpinAllergyClinImmunol8:445-449,2008図3局所型(localtype)中央により大きい乳頭が集簇する.☆☆☆

緑内障:正常眼圧緑内障とグルタミン酸輸送体

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816790910-1810/08/\100/頁/JCLSグルタミン酸は中枢神経系の約80%の神経細胞で利用される興奮性神経伝達物質であり,網膜における主要な視覚伝達物質でもある.このグルタミン酸の濃度を調節する唯一の機構がグルタミン酸輸送体である.グルタミン酸輸送体はシナプス間隙のグルタミン酸を迅速に除去し,濃度を適切に保つことで,正常な視覚伝達を可能にしている1).網膜には4種類のグルタミン酸輸送体が存在するが,特に重要なのがMuller細胞に発現するGLASTである(表1).Muller細胞にはグルタミン合成酵素が存在することから,GLASTによって取り込まれたグルタミン酸はグルタミンに変換され,細胞内グルタミン酸濃度は低く保たれる.このMuller細胞のグルタミン酸代謝機構が,GLASTによる強力なグルタミン酸取り込み能力を支えていると考えられる.ルタミン酸輸送体欠損マウス緑内障の原因の一つとして,以前からグルタミン酸毒性の関与が指摘されている2).そこで筆者らが作製したGLASTの欠損マウスにおいて,網膜・視神経の詳細な検討を行ったところ,網膜神経節細胞数の減少に加えて,視神経乳頭の陥凹と視神経線維の減少が認められた(図1).視機能を評価する目的で多局所網膜電位の二次核成分を測定したところ,網膜神経節細胞の減少にほぼ一致した電位の減弱が認められた.同様の変化は網膜神経節細胞に発現するグルタミン酸輸送体であるEAAC1の欠損マウスでも観察された.いずれのマウスも開放隅角であり,かつ眼圧は正常範囲内であったことから,これらは正常眼圧緑内障(NTG)様症状を示す疾患モデルと考えられた3).ルタミン酸輸送体と酸化ストレスGLAST欠損マウスでは硝子体中のグルタミン酸濃度に有意な上昇は認められなかった.しかし,グルタミン(71)●連載102緑内障セミナー監修=東郁郎岩田和雄102.正常眼圧緑内障とグルタミン酸輸送体原田知加子原田高幸東京都神経科学総合研究所分子神経生物学正常眼圧緑内障(NTG)の原因には諸説あるが,確定には至っていない.またすでに存在する高眼圧モデル動物を利用できないことから,基礎研究の進展も十分とは言いがたい.筆者らはグルタミン酸輸送体の欠損マウスがNTGモデルとして利用可能なことを見いだしており,今後の治療研究に有用と思われる.表1網膜に発現するグルタミン酸輸送体GLASTGLT-1EAAC1EAAT4EAAT5神経節細胞層○内顆粒層,グリア細胞神経細胞○○○○視細胞層○○網膜色素上皮層図1GLAST欠損マウスで観察されたNTG様症状生後8カ月齢のGLAST欠損マウスでは網膜神経節細胞の減少(上段),視神経乳頭陥凹(中段),視神経萎縮(下段)が確認された.(文献3より改変)GLAST欠損マウス正常マウス———————————————————————-Page21680あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008酸受容体阻害薬であるmemantineの連続投与により一部の網膜神経節細胞が保護されたことから,やはりグルタミン酸毒性の関与が考えられた.一方,GLAST欠損マウスのMuller細胞ではグルタミン酸取り込み量の低下に伴い,グルタミン酸・システイン・グリシンから合成される網膜の主要な抗酸化成分であるグルタチオンの産生が減少していた.さらに酸化ストレスの指標とされる脂質ヒドロペルオキシドの網膜内濃度が有意に上昇していた.以上の結果からGLAST欠損マウスにおけるNTG様症状の発症には,グルタミン酸毒性と酸化ストレスが複合的に関与する可能性が示唆された(図2).緑内障患者では網膜におけるグルタミン酸輸送体の発現量低下2)や血中グルタチオン濃度の減少がすでに報告されている4)が,GLAST欠損マウスはこうした病態を再現しているとも考えられる.今後は緑内障患者におけ(72)るGLASTおよびEAAC1の遺伝子変異検索とともに,両者の欠損マウスを用いた細胞保護療法に取り組む予定である.文献1)HaradaT,HaradaC,WatanabeMetal:FunctionsofthetwoglutamatetransportersGLASTandGLT-1intheretina.ProcNatlAcadSciUSA95:4663-4666,19982)NaskarR,VorwerkCK,DreyerEB:Concurrentdown-regulationofaglutamatetransporterandreceptoringlaucoma.InvestOphthalmolVisSci41:1940-1944,20003)HaradaT,HaradaC,NakamuraKetal:Thepotentialroleofglutamatetransportersinthepathogenesisofnor-maltensionglaucoma.JClinInvest117:1763-1770,20074)GherghelD,GrithsHR,HiltonEJetal:Systemicreduc-tioninglutathionelevelsoccursinpatientswithprimaryopen-angleglaucoma.InvestOphthalmolVisSci46:877-883,2005:視覚報の伝達:グルタミン酸:GLAST網膜神経節細胞正常マウスGLAST欠損マウス双極細胞M?ller細胞グルタチオン合成視細胞☆☆☆図2GLAST欠損マウスにおいて予想されるNTG発症メカニズムGLASTはMuller細胞内に多くのグルタミン酸を取り込むことで,シナプス間隙のグルタミン酸濃度を調節し,適切な視覚伝達を可能にする.一方,GLAST欠損マウスでは細胞外グルタミン酸濃度の慢性的な上昇によって,網膜神経節細胞死と視神経変性が起きると予想される.さらにMuller細胞によるグルタミン酸取り込み量の減少は,グルタチオンの産生減少(酸化ストレスの増大)にもつながる可能性がある.

屈折矯正手術:屈折矯正手術における実用視力の活用

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816750910-1810/08/\100/頁/JCLS従来の視力検査では,いわば視力の最大値が計測される.これに対して実用視力は日常生活のなかで用いている視力といえる1).日常生活においては作業に集中して瞬きの回数が減少することがあり,涙液層が不安定となって誘発された眼表面の不正のために視力が低下することが知られており,特にドライアイ患者では実用視力が大きく低下することがあると報告されている24).屈折矯正手術と実用視力に関する研究として,田中ら4)はドライアイ患者のLASIK(laserinsitukera-tomileusis)手術前後の実用視力について涙液層破壊時間(tear-lmbreakuptime:BUT)短縮型ドライアイ(probabledryeye:PDE)と涙液分泌減少とBUT短縮とを合併しているドライアイ(denitedryeye:DDE)とに分けて比較したところ,術後1日と1週間後においてPDE群の実用視力が術前と同じレベルであったのに対して,DDE群では術後1日で有意に低下するが1週間後では術前レベルに回復することを報告している.また,戸田らはソフトコンタクトレンズ装用時とLASIK手術後1カ月の実用視力を検討し,ソフトコンタクトレンズ装用時のほうがsurfaceregularityindex(SRI),surfaceasymmetryindex(SAI)とも大きくなり実用視力が有意に低下していたことから,LASIK術後のほう(67)屈折矯正手術セミナー─スキルアップ講座─●連載103監修=木下茂大橋裕一坪田一男103.屈折矯正手術における実用視力の活用坂谷慶子戸田郁子南青山アイクリニック東京実用視力は,白内障手術後や屈折矯正手術後の視機能の評価をより多彩かつ詳細に行うことができると期待されている.屈折矯正手術後の患者において,「遠方の見え方」の満足度と実用視力には関連があり,実用視力は再手術の適応決定に有用であることが示唆された.図1実用視力計NIDEKFVA100これまでの実用視力は10秒間開瞼を保った状態で計測されていたが,筆者らは日常の見え方をより反映するため瞬目を自由に可能とし,検査距離5m,視標コントラスト100%,検査時間60秒,視標切り替わり時間2秒,2回連続正答で高い視力値を提示,という設定で行った.図2実用視力測定結果視力の推移は赤いラインで示される.瞬目は自由にでき,検者が瞬目を観察してタイミングと回数が記録される.グレーの部分の面積とブラックの部分の面積が等しくなるところが実用視力となる.———————————————————————-Page21676あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008が日常の見え方が良いと報告している.実用視力計(FVA-100,NIDEK社)はハードディスク,モニター,ジョイスティックからなる(図1).モニターのLandolt環に対して,被検者がジョイスティックで応答する.まず,通常の視力検査で測定された視力のLandolt環がモニターに現れ,応答の正誤によってつぎに表示されるLandolt環の大きさが決定される.誤答や制限時間内に答えられなかった場合には自動的に一段階大きいLandolt環がつぎに示される.この機器を用い,一定時間連続して検査した視力の平均値が実用視力となる(図2).LASIK手術後には90%以上の患者が1.0以上の良好な裸眼視力を獲得するが,裸眼視力が1.0以上であっても「遠くが見にくい」という理由で再手術を希望する患者が存在する.さまざまなデータを検討したところ,「遠くが見にくい」患者の裸眼視力は平均1.11,実用視力は0.71で,通常の視力に比べて実用視力が大きく低下している傾向があった.一方,同じような裸眼視力・(68)表1再手術群と満足群との比較再手術群満足群p値年齢(歳)36.130.80.079裸眼視力1.111.170.072実用視力0.710.950.043自覚屈折(SE)0.300.280.714BUT4.03.10.160SRI0.1320.2640.084SAI0.3720.5810.122HOA0.6430.6830.625満足度2.3300.019BUT:tear-lmbreakuptime,SRI:surfaceregularityindex,SAI:surfaceasymmetryindex,HOA:higherorderaberration.満足度は「とても満足」を0,「不満」を4としたスケールを用いた.再手術後裸眼VD1.5再手術前裸眼VD1.0再手術前矯正VD(1.5S1.0D)図3再手術前後の実用視力の変化表2再手術前と再手術後3カ月との比較再手術前再手術後3カ月p値裸眼視力1.111.540.0007実用視力0.711.180.001自覚屈折(SE)0.30+0.170.302BUT4.03.70.529SRI0.1320.1640.433SAI0.3720.3860.802HOA0.6430.6090.925満足度2.330.330.001———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081677(69)屈折度数でも遠くの見え方に満足が得られている患者の裸眼視力は1.18,実用視力は0.95であり,LASIK術後の満足度と実用視力には関連性があることが示唆された.なお,ドライアイやSRI/SAI/HOAについての有意差は認められなかった(表1).このように裸眼視力1.0以上にもかかわらず「遠くが見にくい」ために再手術を希望した患者5例9眼に対してエンハンスメントを施行した.軽度の屈折異常がさらに改善することにより裸眼視力が平均1.11から1.54に向上し,実用視力も0.71から1.18に向上し,すべての患者から「とても満足」あるいは「満足」の評価が得られた(表2).代表例の再手術前後の実用視力の変化を図3に示す.裸眼視力が1.0以上であれば屈折異常はごく軽度であることから,再手術の対象にはなりにくいと考えられていたが,実用視力を測定することで日常生活における見え方が数値として表せるようになり,通常の視力検査では良好な裸眼視力が得られていても「遠くが見にくい」と感じている患者で実用視力が低下している場合には,再手術によってより良い見え方が期待できる可能性がある.実用視力にはドライアイのほか,調節,収差,検査慣れなどの要因が複雑に関係していると考えられ,今後も引き続き検討が必要であるが,実用視力は通常の視力検査で良好な視力が得られている患者に対する再手術の適応を決定する際に有用であると考える.文献1)ムラト・ドール,外園千恵:実用視力計.あたらしい眼科20:1541-1542,20032)GotoE,YagiY,MatsumotoYetal:Impairedfunctionalvisualacuityofdryeyepatients.AmJOphthalmol133:181-186,20023)TanakaM,TakanoY,DogruMetal:Eectofpreopera-tivetearfunctiononearlyfunctionalvisualacuityafterlaserinsitukeratomileusis.JCataractRefractSurg30:2311-2315,20044)KaidoM,DogruM,YamadaMetal:FunctionalvisualacuityinStevens-Johnsonsyndrome.AmJOphthalmol142:917-922,2006☆☆☆

眼内レンズ:白内障手術後の前嚢収縮と視機能の関係

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816730910-1810/08/\100/頁/JCLS現在の白内障手術においては,continuouscurvilin-earcapsulorhexis(CCC)による前切開が広く行われている.術後早期から前切開縁に沿って線維性の混濁が強くなり,術後約3カ月の間に眼内レンズ(IOL)の光学軸部方向へ収縮(前収縮)する.これは,一つは中が空になったが機械的に収縮することと,内に残存した水晶体上皮細胞が線維芽細胞様に偽化生して線維性の収縮を起こすことによる.その程度はIOL側の因子としては,光学部の素材に影響を受け,たとえばシリコーンはアクリル,ポリメチルメタクリレート(PMMA)のレンズより前収縮が有意に強い1).また網膜色素変性症,落屑症候群,糖尿病などの疾患眼では前収縮が強い傾向にある.前収縮に対してNd:YAG(以下,YAG)レーザーを用いて収縮した前縁を放射状に切開すると,切開窓は開大して,より広い有効光学部面積を得ることができる.今回,前収縮が視機能に及ぼす影響を明らかにす(65)るために,YAGレーザー前後の前切開窓面積と視力,コントラスト感度などの関係を調べ検討した.疎水性アクリルレンズを用いた白内障術後,前収縮を起こしてYAGレーザーによる前切開を予定した32眼,32例を対象とした.瞳孔領に前の一部が認められることを前切開施行の基準とし,後混濁を伴う例は除外した.前切開は切開縁からレンズ光学部端まで4本あるいは6本の放射状の切開を入れた(図1).検査方法として,前収縮の程度はNIDEK社のScheimpug画像解析システムを用いて前切開窓面積を測定した.視機能に関しては,矯正視力とコントラスト感度(視角0.7°,1.0°,1.6°,2.5°,4.0°,6.3°)をContrastglaretester(CGT-1000;TakagiSeiko社)を用いて測定した.これらの検査をYAG前切開直前と切開約2週間後に行った.YAGレーザー切開前の平均切開窓面積は8.2mm2であったが,切開後は18.0mm2と有意に拡大していた(p瀧本峰洋林眼科病院眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎268.白内障手術後の前収縮と視機能の関係白内障手術後に起こる前収縮は,瞳孔領にかかる程度になると視力低下をきたさないまでも,前切開窓面積に比例してコントラスト感度を低下させる.Nd:YAGレーザーを用いて前縁に4~6本の減張切開を入れると,前切開窓は開大して,有意にコントラスト感度は改善する.図1前収縮左:切開前.線維化した前は,一部が瞳孔領にかかるほど収縮している.患者は視力低下をきたしていなかったが霧視を訴えたため前切開を行った.右:切開後.Nd:YAGレーザーによりレンズ光学部端まで6本の放射状切開を入れると,前切開窓は広がって,有効光学部面積の拡大により霧視は消失した.———————————————————————-Page2<0.0001).YAGレーザー前切開前後の視力は0.88から0.93とごく軽度改善していたが,有意差はなかった.またYAGレーザー前・後の切開窓面積と視力との間,さらに切開窓面積の拡大と視力改善度の間にも有意な相関はなく,これらの結果は,切開窓の大きさが視力とはあまり関連しないことを示している.一方,各視角におけるYAGレーザー切開前後のコントラスト感度の変化を比較すると,前切開後には,0.7°以外のすべての視角においてコントラスト感度が有意に改善していた(p≦0.0399)(図2).YAGレーザー切開前の前切開窓面積とコントラスト感度のプロット図(視角4.0°)では前切開窓面積が拡大するほどコントラスト閾値が改善する傾向にあり,切開窓面積はコントラスト感度と強く関連していることが明らかになった.さらに,0.7°以外のすべての視覚において前切開窓面積の増加とコントラスト感度の改善の間にも有意な相関が認められた(r≧0.455)(図3は視覚6.3°).しかし,前切開窓が瞳孔領以上になると,コントラスト感度に影響しない.今回の検討で極端な前収縮例を除くと前収縮により視力は大きく低下することはなかったが,コントラスト感度を有意に低下させた.これに対しYAGレーザーによる放射状前切開を行うことでコントラスト感度などの視機能の改善が得られた.YAGレーザーによる前切開は低侵襲,短時間で行えるため非常に有用である.文献1)HayashiK,HayashiH,NakaoFetal:Reductionintheareaoftheanteriorcapsuleopeningafterpolymethyl-methacrylate,silicone,andsoftacrylicintraocularlensimplantation.AmJOphthalmol123:441-447,1997p=0.0039*p=0.0043*p=0.0286*p=0.0399*p=0.0333*p=0.9411†0.010.0140.020.030.040.060.080.110.160.230.320.45コントラスト感度6.34.02.5視角(?)1.61.00.7:前?切開前:前?切開後0.090.080.070.060.050.040.030.020.010-0.01Log閾値改善度-2.502.557.51012.51517.520前?切開窓面積の拡大(mm2)22.5図2Nd:YAGレーザー前切開前後のコントラスト感度の変化*:有意差あり,†:有意差なし.(瀧本峰洋:IOL&RS21:602-603,2007より許可を得て転載)図3前切開による面積拡大とコントラスト閾値改善の相関のプロット図(視角6.3°)相関係数r=0.640,p<0.0001.

コンタクトレンズ:シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(4)

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816710910-1810/08/\100/頁/JCLSシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに比較的多いトラブル従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズに比べて,シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに多い合併症としてムチンボール,SEALs(epithelialsplitting),巨大乳頭結膜炎があげられる.1.ムチンボールムチンボールはレンズ下に貯留する球状物で,本体はムチンと考えられている(図1).多くの場合,実害はない.連続装用者に多い.レンズデザインやベースカーブを変更すると改善する.頻度は少ないが,従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズ装用者でもみられることがある.2.SEALs従来からepithelialsplittingとして報告されていたもので,上方の角膜輪部に沿った弓状の角膜上皮障害(角膜輪部から3mm以内)である(図2,3).初期には1数個の島状の病変からなり,横方向に拡大し典型的な病変となる.病巣部位は幅0.10.3mm,長さ15mm程度である.ときに結膜充血,角膜血管新生,角膜浸潤を伴う.無症候性のことが多いが,異物感や充血を自覚することがある.シリコーンハイドロゲルコンタクトレ(63)ンズ装用者に比較的多い合併症と考えられているが,ハイドロゲル素材のコンタクトレンズ装用者でもみられることがある.ソフトコンタクトレンズによる機械的なストレスが原因と考えられており,レンズデザインとレンズ素材の硬さが影響する.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装用者では,硬い素材のレンズ,MPS(多目的用剤)使用者に好発する.患者側の発症要因としては,ドライアイ,コンタクトレンズによる乳頭結膜炎,近視度数が強い,周辺部の角膜の扁平化などがあげられる.治療は,原則としてコンタクトレンズ装用は中止し,2次感染予防に抗生物質点眼を処方する.症例によっては,そのまま経過観察,あるいは,一時的に人工涙液を点眼することにより自然治癒することもあるが,重症化すると角膜浸潤,角膜潰瘍へと進展する可能性があるため,治癒するまではCL装用の中止を指導することが望ましい.治癒後,再発予防のための処置をとらなくてはならない.ベースカーブの変更が可能であればフラットなベースカーブへ変更する.レンズケアは過酸化水素による消毒とクリーナーによるこすり洗いを指導する.連続装用者に対しては連続装用の中止と長時間装用者に対しては装用時間の短縮を指導する.再発例,重症例ではレンズの種類を変更する.より軟らかい素材のシリコー糸井素純道玄坂糸井眼科医院コンタクトレンズセミナー監修/小玉裕司渡邉潔糸井素純図1シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装用者にみられたムチンボール(ブルーフィルターとイエローフィルターの併用)図2SEALs(ブルーフィルターとイエローフィルターの併用)図3SEALs———————————————————————-Page21672あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(00)ンハイドロゲルコンタクトレンズを選択するとよい.3.コンタクトレンズによる乳頭結膜炎(巨大乳頭結膜炎を含む)巨大乳頭結膜炎は上眼瞼結膜に直径1mm以上の乳頭が多数出現する疾患である.コンタクトレンズ装用者にみられる乳頭結膜炎は,以前は“巨大乳頭結膜炎(giantpapillaryconjunctivitis)”とよばれていたが,コンタクトレンズ装用者にみられる軽度中等度の乳頭結膜炎では乳頭が1mm未満のものも多く,最近では“コンタクトレンズによる乳頭結膜炎(contactlens-inducedpapil-laryconjunctivitis)”とよばれている.一般的な発症原因はレンズの汚れに対するアレルギー,あるいは,機械的刺激と考えられている.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装用者にみられる典型的な乳頭結膜炎は,従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズ装用者にみられるものとは異なり,乳頭が眼瞼結膜の眼瞼縁側に局在していることが多い(図4).ハードコンタクトレンズ装用者にみられる乳頭結膜炎と類似し,従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズよりもレンズが硬いことによる機械的な刺激がおもな発症原因と考えられている.初期では軽度のかゆみ,眼脂などを訴える.レンズの装用感が悪化し,分泌物のためコンタクトレンズも汚れやすくなる.進行すると,レンズのフィッティングにも影響を及ぼし,レンズの動きが過剰となり,レンズのずれを生じる.悪化要因としては,レンズの汚れ,シャープなレンズエッジ,レンズと相性の悪いMPS,連続装用,ドライアイ,アレルギー体質,長時間装用,洗眼,界面活性剤,過剰なレンズの動きなどがあげられる.治療は,非ステロイド性抗アレルギー薬の点眼,抗菌薬の点眼,人工涙液(防腐剤を含まない)の頻回点眼を指示する.重症例で治療に抵抗する症例に対しては,コンタクトレンズ装用を中止させ,ステロイド薬点眼を併用する.ただし,ステロイド点眼使用時は眼圧のモニターを忘れてはならない.重症例でコンタクトレンズ装用の継続を希望する場合は,短期的に1日使い捨てソフトコンタクトレンズへ変更するとよい.再発,増悪の予防のポイントは,過酸化水素の消毒システム,クリーナーによるこすり洗い,装用時間の短縮,連続装用の中止,レンズと相性の良いMPS,界面活性剤を含まないMPS,より軟らかい素材のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ,1日使い捨てソフトコンタクトレンズなどがあげられる.4コンタクトレンズによる乳頭結膜炎

写真:角膜移植後縫合糸感染

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.12,200816690910-1810/08/\100/頁/JCLS(61)工藤かんな島﨑潤東京歯科大学市川総合病院眼科写真セミナー監修/島﨑潤横井則彦295.角膜移植後縫合糸感染図2図1のシェーマ①:感染巣,②:縫合糸.①②←図1Candidaによる縫合糸感染全層角膜移植後で,4時の縫合糸を中心にドナー側に角膜浸潤を認め,浸潤の深さは実質中層まで及んでいる.図3MRSAによる角膜膿瘍9時半のドナー側に白色の感染巣があり,強い毛様充血を認める.同部の縫合糸は断裂している.図4黄色ブドウ球菌による縫合糸感染4時のドナー側に角膜実質から内皮に及ぶ角膜浸潤があり,強い前房内炎症を認める.———————————————————————-Page21670あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(00)角膜移植後は,ステロイド点眼の長期投与,縫合糸の存在,角膜知覚の低下,コンタクトレンズ装用などさまざまな要因により易感染性である.また,いったん感染が生じると重症化しやすく,感染が治癒したとしても不可逆的な影響を及ぼし,視力予後不良の原因となることが多い.角膜移植後感染の要因として最も一般的なものとして,縫合糸感染があげられる.縫合糸が,感染の足場となりバイオフィルムを形成し,難治化させる一因となる1).特に縫合糸の緩みや断裂を放置しておくと,そこに病原微生物が付着して,縫合糸を伝って角膜実質内に侵入し病巣を形成することもある.当科で2003年1月~2007年12月に移植後重症感染症を発症した54例55眼についての検討では,30.9%で縫合糸の断裂や緩みが認められた.自覚症状としては充血,異物感,眼痛,視力低下,眼脂などである.他覚所見としては,縫合糸周囲の角膜浸潤,角膜浮腫,毛様充血,前房内炎症,ときに前房蓄膿を認める.ステロイド点眼が使用されていることが多く,炎症所見があまり強くないことがある.起炎菌としては,ブドウ球菌,レンサ球菌,Candida(酵母型真菌)などが多い.角膜移植後は術後長期間にわたり抗生物質,ステロイドの点眼を使用することが多く,薬剤耐性菌や酵母型真菌を発症しやすい環境にある.MRSA(methicillin-resistantStaphylococcusaureus)と酵母型真菌による感染症が半数以上を占めていたとの報告もあり2),日和見感染としての発症が多い.筆者らの検討では,起炎菌が同定できたのは55眼中21眼で,そのうち酵母型真菌は11眼で約半数を占めていた.治療前に,縫合糸感染部の擦過物を採取し,検体を鏡検および細菌・真菌培養に提出する.感染の足場となっている縫合糸は抜糸する必要があり,抜糸した糸も検体として提出する.端々縫合なら感染部を抜糸するが,連続縫合の場合は全抜糸となる.治療としては,抗菌薬の頻回点眼を開始するが,予防的にニューキノロン系を使用している場合は,セフェム系,アミノ配糖体系などの薬剤を併用する.培養検査の結果をみて投薬を変更するが,培養が陰性で上記治療で効果がない場合は,耐性菌感染を疑ってバンコマイシンの使用も考慮する.鏡検の結果や臨床所見から真菌感染が疑われる場合には,アゾール系(ミコナゾール,ボリコナゾールなど)を点眼に調節して使用する.ミカファンギンを併用することもある.縫合糸感染は早期発見・治療により視力に大きな影響を残さず治癒させることができる症例も少なくなく,眼の痛み,霞み,充血時などにはすぐ来院するよう指導しておくことが重要である.文献1)中島秀登,山田昌和,真島智幸:角膜移植後に生じた感染性角膜炎の検討.臨眼55:1001-1006,20012)脇舛耕一,外園千恵,清水有紀子:角膜移植後の角膜感染症に関する検討.日眼会誌108:354-358,2004

新しいマイボグラフィー-Noncontact and Noninvasive Meibography-

2008年12月31日 水曜日

———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLSはじめにマイボーム腺て何?そう思っても無理はない.マイボーム腺はいつも主役になれない脇役的存在で,ここが専門だなんてうっかり言うとマニアックな眼科医だと思われかねないのだ.でもマイボーム腺関連疾患は奥が深い.勉強すればするほど,研究すればするほど,患者を診察すればするほどわからないことがどんどん増えてきて,わかったと思えばまたすぐわからなくなる,興味深い領域である.今まで前眼部を観察していた同じスリットランプで,フィルターを1枚回すだけで,患者が一歩も動かずに,痛くもなく,眩しくもない,研修医だってすぐに使えるマイボグラフィーがあったらいいのにな.眼科臨床の現場において,私たちの日常の一途な願いをカタチにしたもの,それが新しいマイボグラフィー,NoncontactandNoninvasiveMeibography(非接触型マイボグラフィー)の開発である.Iマイボーム腺とはマイボーム腺は皮脂腺の一種であり,涙液の油層を形成し,過剰な涙液の蒸発を防ぐ役割をしている.瞼板腺ともいう.上眼瞼に約3040本,下眼瞼に約2030本ある.この腺の名前はドイツの医師,ハインリッヒ・マイボーム(16381700年)の名にちなんでいる.IIマイボグラフィーとはマイボグラフィーとはマイボーム腺を皮膚側から透過(53)1661eioritahiroano3370042い62611特集●ドライアイ最近の考え方あたらしい眼科25(12):16611667,2008新しいマイボグラフィーNoncontactandNoninvasiveMeibographyANovelMeibography─NoncontactandNoninvasiveMeibography─有田玲子*天野史郎**表1マイボグラフィーの比較(従来型と非接触型)従来型非接触型プローブが直接接触疼痛,羞明,侵襲的非接触非侵襲的特別な技術,熟練が必要スリットランプが使えれば誰でもできる光源が必要スリットランプの光源倍率の変更も自由ほぼ下眼瞼中央部しか見えない上下眼瞼,耳側から鼻側まで全部簡単に見える図1非接触型マイボグラフィー装置細隙灯顕微鏡のブルーフィルターをはさむ部分に,赤外線透過フィルターをはめこみ,小型赤外線CCDカメラを搭載しただけのものである.(文献6より)———————————————————————-Page21662あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(54)なされてきたが,光源プローブが患者の眼瞼に直接接触することによる,疼痛や不快感を解消することはできなかった.また,医師側にもある程度の習熟が必要で,マイボーム腺全体を把握するために時間もかかるため,一般外来で普及することはなかった.することによりマイボーム腺構造を生体内で形態学的に観察する唯一の方法である.30年以上前Tapie1)によって初めての報告があって以来,赤外線フィルム2,3)や赤外線ビデオカメラ4),赤外線プローブ5)といった改良が図2赤外線CCDカメラと赤外線フィルターの透過曲線,(のより),(のカタグより)透過()()()グレードグレードグレードグレード図3マイボスコア(文献6より)非接触型マイボグラフィーを用いてマイボーム腺の消失面積をグレード分類した.グレード0:マイボーム腺の脱落面積なし.グレード1:マイボーム腺の脱落面積が全体の1/3以下.グレード2:マイボーム腺の脱落面積が全体の1/3以上2/3以下.グレード3:マイボーム腺の脱落面積が全体の2/3以上.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081663(55)コア)(図3).対象は屈折異常や白内障以外の眼疾患のない正常眼236名236眼(男性114眼,女性122眼),平均年齢41.2歳(498歳).その結果,マイボーム腺の変化は正常人でも男性は20代から,女性は30代か今回筆者らが新しく開発したマイボグラフィーは,特殊で大掛かりな装置やそのスペースを必要とするものでなく,眼科施設であればどこにでもある細隙灯顕微鏡に小型赤外線CCDカメラと赤外線透過フィルターを搭載しただけのものである.細隙灯顕微鏡の光源を利用して観察するため,従来のように患者の眼瞼へ直接接する光源プローブは一切必要ない.さらに,倍率もスリットランプと同様に自由に変えることができ,フィルター1枚を回すだけでマイボーム腺開口部の状態もすぐに観察できるという利点がある6)(図1,表1,図2).III非接触型マイボグラフィーの原理可視光は瞼板によって光が反射されるので奥にあるマイボーム腺は見えない.赤外光は深部到達度が高く,瞼板を透過し,マイボーム腺によって反射される.マイボーム腺で赤外光が反射される理由はわからないが,脂の性状によるものと考えている.IV加齢によりマイボーム腺は変化するのか非接触型マイボグラフィーを用いて,正常眼のマイボーム腺を観察し,マイボーム腺の脱落面積によってグレード0からグレード3まで4段階に分類した(マイボス図5正常眼(29歳,男性,右眼)上下のマイボーム腺に脱落なし.平均マイボスコア543210:全体:男性:女性091019202930394049年齢(歳)50596069707980図4各年代における男女の上下平均マイボスコア年齢に有意に相関している.20代,60代,80代では有意差はないが,男性のマイボスコアのほうが女性より高い傾向にあった(全体p<0.0001,男性p<0.0001,女性p<0.0001).(文献6より)———————————————————————-Page41664あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(56)れている.MGDはまだ国際的診断基準もなく,確定した治療法もない,わからないことの多い疾患である.患者の自覚症状とスリットランプによる所見の重症度との間に相関がみられないことが多い.どこまでが加齢性変化でどこからが治療を要する疾患なのか,マイボーム腺の形態や機能だけでなく,涙液機能全体を総合的に評価する必要がある.実際の症例として閉塞性MGD(図79)と脂漏性MGD(図10)を示す.診察の流れとして,スリットラら短縮や脱落が始まり,加齢や眼瞼異常所見と有意に相関した(r=0.428,p<0.0001)6)(図4).具体的な症例として正常眼を示す(図5,6).Vどこまでが加齢性変化でどこからが疾患なのかマイボーム腺は加齢性変化だけでも脱落や短縮をする.この加齢性変化に慢性的炎症や感染をくり返すとマイボーム腺機能不全(MGD)という病態になると考えら図6正常眼(43歳,女性,右眼)左上:下眼瞼に異常なし.右上:フルオレセイン染色後角結膜に異常なし.左下:右下マイボーム腺に異常なし.右下:正常マイボーム腺(左下写真)の拡大.図7閉塞性MGD症例(74歳,男性,左眼)左:上瞼縁不整,軽度充血,睫毛に汚れ,マイボーム腺開口部閉塞所見を認める.右:フルオレセイン染色後ブルーフリーフィルターで角結膜上皮を観察.角膜下方に上皮障害を認める.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081665(57)イボーム腺を観察する.まず弱拡大で全体を観察したのち,強拡大で脱落,短縮している部分をさらによく観察する.ンプで瞼縁の異常所見を観察したのち,角膜下方の角膜上皮障害を観察する.続けてフィルターを赤外線フィルターに回したのち,非接触型マイボグラフィーで上下マ図8図7と同一症例(74歳,男性,右眼)左上:右上眼瞼結膜散乱光で観察.マイボーム腺は観察できない.左下:右下眼瞼結膜散乱光で観察.一部のマイボーム腺は観察できている.右上:非接触型マイボグラフィーによる,右上眼瞼マイボーム腺所見.鼻側から中央にかけてマイボーム腺が脱落(dropout)していることがはっきりわかる.耳側にかけても短縮していたり,開口部周辺のみ認めるが,途絶しているマイボーム腺など詳しく観察できる.右下:非接触型マイボグラフィーによる,右下眼瞼マイボーム腺所見.右下中央部,脱落するマイボーム腺を認める.鼻側1/3のマイボーム腺は認められない.図9図7,8と同一症例(74歳,男性,左眼)左上:左上眼瞼結膜所見.マイボーム腺はよく見えない.左下:左下眼瞼結膜所見.マイボーム腺はよく見えない.右上:非接触型マイボグラフィーによる,左上眼瞼マイボーム腺所見.全体にわたり,短縮,屈曲,蛇行しているマイボーム腺を観察することができる.右下:非接触型マイボグラフィーによる,左下眼瞼マイボーム腺所見.マイボーム腺は中央から鼻側にかけて数本おきに脱落(dropout)している.———————————————————————-Page61666あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(58)ンは加齢性のそれとは違っていた.また,相関する因子はCL装用年数のみであった7)(p=0.020).実際の症例としてハードCL装用者(図11)と使い捨てソフトCL装用者(図12)の代表的パターンを示す.VII今後の期待今後,非接触型マイボグラフィーでマイボーム腺の形態変化を観察することは,患者の自覚症状,細隙灯顕微鏡による瞼縁の所見,マイボーム腺脂質(Meibum)のVIコンタクトレンズ(CL)装用でマイボーム腺は変化するか年齢,性別を適合させたCL装用者121人121眼のマイボーム腺を観察したところ,CLの種類によらず,マイボーム腺が有意に短縮していることがわかった(p<0.0001).加齢性変化によるマイボーム腺のマイボスコアに比較すると30代のCL装用者は60代のマイボスコアとほぼ同等であったが,脱落のしかたや短縮のパター図10脂漏性MGD(71歳,女性,左眼)左:眼瞼縁に泡状分泌物(foaming)があり,上下眼瞼に軽度充血を認める.中:マイボグラフィーでマイボーム腺の短縮,脱落を認めない.下:マイボグラフィーでマイボーム腺の短縮,脱落を認めない.図11ハードコンタクトレンズ装用症例(29歳,女性,右眼.11年間装用)左上:右上眼瞼結膜所見.アレルギー所見などもない.左下:右上瞼縁所見.異常を認めず.Meibumの性状も異常なし.右上:非接触型マイボグラフィーによる,右上眼瞼マイボーム腺所見.中央部から耳側にかけてマイボーム腺が少しずつ短縮している.右下:右上部位を拡大.屈曲,蛇行も認め,最耳側マイボーム腺は脱落している.———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081667性状などとともに,MGDの診断や分類,治療法の開発や評価に役立つことが期待される.また,現在ドライアイ研究会のなかでMGDワーキンググループが立ち上がっており,今後の発展が期待されるホットな領域である.おわりにマイボグラフィーをスリットランプに付属させることにより,今まで特殊な検査だったマイボグラフィーが,“OcularSurfaceの観察”という,全体の流れに組み込むことが可能となった.今後はマイボーム腺機能との関連についても研究を進めていきたいと考えている.文献1)TapieR:BiomicroscopialstudyofMeibomianglands(inFrench).AnnOcul(Paris)210:637-648,19772)RobinJB,JesterJV,NobeJetal:Invivotransillumina-tionbiomicroscopyandphotographyofmeibomianglanddysfunction.Ophthalmology92:1423-1426,19853)MathersWD,ShieldsWJ,SachdevMSetal:Meibomianglanddysfunctioninchronicblepharitis.Cornea10:277-285,19914)MathersWD,DaleyT,VerdickR:Videoimagingofthemeibomiangland.ArchOphthalmol112:448-449,19945)YokoiN,KomuroA,YamadaHetal:Anewlydevelopedvideo-meibographysystemfeaturinganewlydesignedprobe.JpnJOphthalmol51:53-56,20076)AritaR,ItohK,InoueKetal:Noncontactinfraredmei-bographytodocumentage-relatedchangesofthemeibo-mianglandsinanormalpopulation.Ophthalmology115:911-915,20087)AritaR,ItohK,InoueKetal:Contactlenswearisasso-ciatedwithdecreaseofmeibomianglands.Ophthalmology,inpress(59)図12ソフトコンタクトレンズ装用症例(28歳,女性,左眼.12年間装用)左上:マイボーム腺分泌物(Meibum)は正常.左下:フルオレセイン染色でBUT(涙液層破壊時間)短縮.メニスカスが低い.Schirmer値は正常.右上:非接触型マイボグラフィーによる右上眼瞼マイボーム腺所見.中央部のマイボーム腺が屈曲,蛇行している.右下:非接触型マイボグラフィーによる下眼瞼マイボーム腺所見.全体にわたって1/3程度の長さに短縮している.