———————————————————————-Page10910-1810/07/\100/頁/JCLSI視神経乳頭観察法視神経乳頭の観察方法としては,倒像鏡,直像鏡および細隙灯顕微鏡を用いた方法がある.しかし,通常の倒像鏡による眼底検査では像が小さく視神経乳頭の詳細な観察には不向きである.いずれの場合も散瞳して観察を行うことが望ましいが,さまざまな事情で散瞳できない場合も多い.非散瞳下では直像鏡が有用である.直像鏡では視神経乳頭の拡大率が大きく詳細な観察が可能である.直像鏡は単眼での平面的な観察ではあるが,視線の方向を変えながら,血管の屈曲点を注意深く観察することによりかなり正確に乳頭辺縁部(リム)を同定できる.90DやSuper?eldなどの非接触型前置レンズやGoldmann三面鏡,隅角鏡でも非散瞳下のリムをある程度立体的に把握できる.さらに,ステレオバリエータのついているタイプでは,これを用いることにより像は平坦化するが小瞳孔でも立体視が得やすい.立体視が得られない場合でも,スリット光を動かしながら観察することによりある程度陥凹を把握することが可能である.散瞳下では,Goldmann三面鏡,隅角鏡,非接触型前置レンズなどを症例および状況に応じて使用し,立体的に視神経乳頭の観察を行う.1.細隙灯顕微鏡を用いた眼底検査における使用レンズの特性細隙灯顕微鏡を用いた眼底検査を行う際に使用するレはじめに視神経乳頭観察は眼科医の診察の基本であり,基本的な観察方法に大きな変化はない.視神経乳頭を観察するポイントとして,視神経に異型性がないか色調がどうであるかなどの平面的な情報だけでなく,視神経乳頭が隆起しているかあるいは陥凹がないかといった立体的な評価をする必要がある.特に緑内障の診断と経過観察には,視神経乳頭の緑内障性変化を的確に評価することが最も重要である.多治見スタディの結果1),日本人には正常眼圧緑内障が多いことが明らかになり,緑内障スクリーニングにおける視神経乳頭観察の重要性も増してきている.しかし,視神経乳頭観察は主観的で経験に左右される.定量性がないために視神経乳頭による病期分類や経過の比較が困難である.そのため,視神経乳頭評価の数字化や,ステージングを行うことが試みられてきた.今回,視神経乳頭観察と,その評価法の進歩に関して緑内障を中心に述べたい.近年,視神経乳頭を客観的に定量的に評価するためにさまざまな検査機器が開発されている.これらの代表的な機器として,HeidelbergRetinaTomographII(HRTII;HeidelbergInstruments,Dossenheim,Germany)およびOpticalCoherenceTomography3000(OCT3;CarlZeissMeditec,Dublin,CA)の視神経乳頭解析について簡単に解説したい.(51)??*ShinjiOhkubo&KazuhisaSugiyama:金沢大学大学院医学系研究科視覚科学〔別刷請求先〕大久保真司:〒920-8641金沢市宝町13-1金沢大学大学院医学系研究科視覚科学特集●最新の網膜硝子体検査あたらしい眼科24(1):51~57,2007視神経乳頭観察法の進歩(緑内障を中心に)????????????????????????????????????????????????大久保真司*杉山和久*———————————————————————-Page2??あたらしい眼科Vol.24,No.1,2007(52)ンズの特性を理解しておく必要がある.眼底観察像の大きさ(横倍率)は眼の全屈折力(60D)と前置レンズの屈折力の比でほぼ決定される.たとえば,90Dレンズを用いた倒像鏡検査では眼底像は約2/3倍になる.眼底の凹凸など観察方向の倍率(縦倍率)は横倍率の2乗に比例するので,眼球に接触させずに手軽に使用できる90DやSuper?eldでは,視神経乳頭の陥凹は実際の約1/2となり初期の微妙な陥凹を観察評価するには適さない.それに対してGoldmann三面鏡や隅角鏡は縦倍率が1倍で陥凹の詳細な観察に適する.ここで忘れてならないのは,細隙灯顕微鏡の倍率を上げてもレンズの解像度を代償することはできないことである.すなわち低倍率の前置レンズを使用した場合,いくら細隙灯顕微鏡の倍率を上げても高い解像度の像を得ることはできない.2.緑内障診療における視神経乳頭観察のポイント視神経乳頭陥凹を評価する際,平面的に乳頭の色調のみから陥凹の大きさを判断すると早期の緑内障ではその評価を誤る可能性があり,必ず立体的に評価する.乳頭陥凹は一般に視神経乳頭が大きいほど大きいので,大きい乳頭では過大評価されやすい.したがって,乳頭陥凹の大きさよりもむしろリムの厚みに注目し,視神経乳頭を観察する.実際の緑内障診療における視神経乳頭の観察においては乳頭陥凹の大きさ,リムの厚みだけではなく乳頭陥凹の左右差(水平cup/disc比の左右差が0.2より大きいことは正常人の3%以下であるとされている),notch-ing(乳頭辺縁の局所的な菲薄化),乳頭上網膜血管の鼻側偏位,視神経乳頭の線状出血および乳頭周囲の網脈絡膜萎縮(peripapillaryatrophy:PPA)などに注意する.また視神経乳頭のみならず網膜神経線維層欠損(nerve?berlayerdefect:NFLD)がないか注意して観察する.小さい視神経乳頭など緑内障性変化を評価しにくい場合には,NFLDなど網膜神経線維の変化の観察が有用である(図1).II眼底写真通常の平面的な眼底写真でも注意深く血管の屈曲点を追うことで乳頭陥凹を評価できる.しかし,血管のない部位の評価が困難であること,乳頭鼻側の陥凹拡大を見落としやすいことなどの欠点がある.ステレオ眼底写真は,視神経乳頭を立体的に観察することができ診断および経過観察に役立つ.撮影角度の変わらない同時撮影のステレオ眼底写真が理想的であるが,通常のカメラでも左右に少し移動して片眼を2枚撮影することによってステレオ眼底写真を撮影することができる(図2,3a).し図1右緑内障眼の眼底写真視神経乳頭は小さく,乳頭陥凹の判定は困難である.網膜神経線維層欠損(黒矢印で囲まれた部位)とその境界に視神経乳頭出血(白矢印)がみられる.図2右緑内障眼のステレオ眼底写真(平行移動法)ステレオ眼底写真を用いることで視神経乳頭陥凹を立体的に観察することができる.6時半に視神経乳頭出血(白矢印)を認める.———————————————————————-Page3(53)あたらしい眼科Vol.24,No.1,2007??かし,同時撮影でない場合は常に撮影角度が一定とはいえないので,正確に視神経乳頭の経時的な立体的変化を評価することは困難である.また,最近ではコンピュータのソフトと特殊なメガネを使用してステレオ眼底写真を観察するビューワーシステムが開発されており,大量に眼底写真の読影が必要な際に重宝する.III視神経乳頭変化の定量化緑内障診療において①診断(健常か緑内障かの鑑別),②おおまかな病期分類,③経過観察(進行したかどうかを判断する)ために,視神経乳頭変化を定量化する必要がある.1.Cup-to-discratio(C/D比)1960年代にArmaly2)が報告したC/D比は,視神経乳頭のダメージを定量的に評価した最初の指標であり,非常に簡単で使いやすいために普及し,現在も広く用いられている.一般的にC/D比が大きいほど,緑内障が疑われるが,実際にはC/D比が大きくとも緑内障でない人もいれば,C/D比が大きくなくても緑内障の人もいる.正常人の平均C/D比は緑内障患者の平均C/D比より小さいが,C/D比は両群ともばらつきが大きくて,かなりの人がオーバーラップする3).よって垂直および水平C/D比のみでは,特に早期の緑内障診断は困難である.C/D比での緑内障診断を困難にしている原因はおもに①C/D比は中心を測定するので,乳頭陥凹の同心円性の拡大は正確に評価できるが,緑内障の場合は偏心して乳頭陥凹の変化を起こすことも多い,②notchingなどの局所的な変化を反映しない,③健常人において視神経乳頭線維の数が同じとすれば,リムの面積は同じになるが,視神経乳頭が小さければC/D比は小さくなり,視神経乳頭が大きくなればC/D比は大きくなる,以上の3点が考えられている.2.TheDiskDamageLikelihoodScale(DDLS)近年C/D比での問題点を解決すべく,TheDiskDamageLikelihoodScale(DDLS)というシステムが報告されている4).このシステムは少しずつ改変されており,9段階に分類されたバージョンに関する論文が最も多いが,10段階に分類される最新バージョン5)が最も単純でわかりやすい.このシステムは,いずれの部位であっても最も薄い幅のリム/乳頭比に基づいて決められ,さらにリムが消失している場合はリムの消失している角度で評価される.具体的には,視神経乳頭径が1.5mmから2.00mmの平均的な大きさの場合,DDLSのステージ1は最も狭いリム/乳頭比が0.4以上,同様にステージ2は最も狭いリム/乳頭比が0.3から0.39,ステージ3では最も狭いリム/乳頭比が0.2から0.29,ステージ4では最も狭いリム/乳頭比が0.1から0.19,ステージ5では最も狭いリム/乳頭比が0.1以下(0ではない)である.リム/乳頭比が0すなわち,いずれかの場所でリムが消失している場合はステージ6から10に分類される.リムが消失している角度が45?未満の場合はステージ6,46?から90?の場合はステージ7,91?から180?の場合はステージ8,181?から270?の場合はステージ9,270?以上の場合はステージ10に分類される.この際耳側のリムの評価には注意を要する.すなわち,傾斜しているリムを,リムの消失と誤らないようにしなければならない.さらに視神経乳頭の大きさを考慮して,小さい視神経乳頭(乳頭径<1.5mm)の場合ステージを1段階上げ,大きい視神経乳頭(乳頭径>2.0mm)の場合ステージを1段階下げる.ちなみに視神経乳頭径は,60Dから90Dのレンズを用いて測定し,レンズごとに決まった値の補正値を使用して求める.DDLSの欠点としては,リムが狭細化している場所が考慮されていない点および連続していないリムの狭細化■用語解説■C/D比(cup-to-discratio):通常視神経乳頭の中央は凹んでおり,乳頭陥凹とよばれる.乳頭陥凹の大きさをある経線上の端から端で計測(陥凹径)して,その同一線上での乳頭径に対する比である.Armalyの定義では,C/D比といえば横径を計測する水平C/D比であるが,初期の緑内障変化は陥凹の垂直方向の変化から起こることが多く,緑内障性変化を評価する際には縦径を計測する垂直C/D比が重要である.———————————————————————-Page4??あたらしい眼科Vol.24,No.1,2007(54)があった場合,狭い部位に関しては考慮されない点があげられる.また先天奇形を伴った視神経乳頭など分類が困難な視神経乳頭を,評価することは困難である.このシステムは,C/D比に比べてやや複雑であるが,基本的な考え方としては,緑内障を評価する際には,乳頭陥凹の大きさよりもむしろリムの厚みに注目し,視神経乳頭を観察するという原則や,緑内障性変化は小さい乳頭では過少評価され,大きい乳頭では過大評価されやすい点を考慮している点はわれわれが通常診療において常に気をつけている点と一致している.しかし,C/D比にしろDDLSにしろいずれの評価法においても,評価は主観的で観察者に依存する.その点を克服するために,画像解析装置が用いられてきている.IV最近の画像解析装置(HRTおよびOCT)視神経乳頭を定量的に評価して客観的に緑内障を診断し,経過観察を行うための手段として,近年Heidel-bergRetinaTomograph(HRT;HeidelbergEngineer-ing,Dossenheim,Germany)と光干渉断層計(OpticalCoherenceTomography:OCT;CarlZeissMeditec,Dublin,CA)などが用いられてきている(症例呈示:図3a~d).1.HeidelbergRetinaTomographII(HRTII)HRTは波長670nmのダイオードレーザーを使用した共焦点レーザー走査型顕微鏡で,優れた測定再現性および乳頭パラメータの信頼性をもつ画像解析装置である.近年HRTの普及型として解析部位を視神経乳頭に絞り,撮影画角のサイズを15?×15?に固定したHRTIIが導入された.HRTIIでは検査にあたって散瞳する必要はなく,内部固視灯を被検者が固視するとちょうど画面の中央に視神経乳頭が位置するように設定されている.検査眼のフォーカスを合わせて一度操作ボタンを押すだけでHRTIIは自動的にスキャン幅を決定し,その後3回連続して画像を取り込み,面倒な設定なしに短時間で平均画像を得ることができる.取り込んだ画像は16から64枚の連続的で等距離(1/16mm)の二次元のシリーズ画像で構成され,各二次元画像は384×384ピクセルの解像度をもつ.コンピュータがその画像を立体的に再構築し,三次元解析が可能となる.検者が測定画面上で視神経乳頭縁(コントアライン)を決定すると,自動的にコントアラインに沿った網膜表面の高さが得られる(図?図3左緑内障眼のステレオ眼底写真(a),HRTII解析結果(b),OCT3のOpticNerveHead解析画面(c)およびHumphrey視野(d)a:乳頭陥凹は拡大しており,5時から6時のリムは完全に消失している(白両矢印).明瞭ではないが,2時と5時に網膜神経線維層欠損(NFLD)(黒矢印で囲まれた部位)がみられる.b:ベースライン検査では,トポグラフィ画像(上段左),反射画像(上段右),Y軸高さプロファイル(上段中央),X軸高さプロファイル(中段左),コントアラインの高さ変化(中段右),立体計測パラメータ(下段左)およびMoor?elds回帰解析結果(下段右)が表示される.トポグラフィ画像は,各測定点における眼底表面の高さを表している.明部は凹部,暗部は凸部を表している.さらに乳頭には赤/青/緑のオーバーレイを表示.赤の領域は視神経乳頭の陥凹領域で,乳頭の残りのリム領域は,傾斜部(青)と平らな部分(緑)に分けられる.反射画像は,各測定点の反射率を表示.明るい部分はより多くの反射光がカメラに戻ってきた場所を示す.さらに視神経乳頭を6分割して各セクターのMoor?elds回帰解析判定結果を重ねて表示.Moor?elds回帰解析判定が“withinnormallimits”,“borderline”,“outsidenormallimits”であれば,それぞれ緑色のチェックマーク,黄色の感嘆符,赤い×印が表示される.コントアラインの高さは耳側,上側,鼻側,下側の順に展開した曲線として表示(中段右).この症例ではMoor?elds回帰解析は“Outsidenormallimits”(下段右).HRTIIで測定した視神経乳頭サイズ(DiskArea)2.234mm2,垂直C/D比(LinearCup/DiskRatio)は0.792(下段左).c:画面左にスキャン画像(この図では垂直方向のスキャン),その下に眼底画像が表示される.スキャン画像中のライトブルーの円内のライトブルーの2本の直線の交点(白矢印)が網膜色素上皮の終結する参照点.この2点の参照点間を結んだ直線が乳頭径と定義される.この直線に対して150?m前方に平行する赤点線(赤矢印)より高い位置がリム(赤の凝縮された部位),低い位置が陥凹とされる.画面右側の表示は視神経乳頭解析画像で,6本の放射状スキャン画像から構築される視神経乳頭の合成画像.赤線で囲まれた円の内部がDiskArea,緑線で囲まれた円の内部がCupArea.OCT3で測定した視神経乳頭サイズ(DiskArea)2.394mm2,垂直C/D比(Cup/DiskVert.Ratio)は0.885(下段右).d:Humphrey視野では,下方のリム消失に対応した上方の視野変化および2時のNFLDに対応すると思われる下方の視野変化(グレースケールでは,はっきりしないが,パターン偏差では明瞭となっている)がみられる.HfaFilesVer5(BeelineO?ceCo.Japan)によるプリントアウト.———————————————————————-Page5(55)あたらしい眼科Vol.24,No.1,2007??3b中段右).耳側350?~356?のセクターにみられる乳頭黄斑束部のコントアラインの平均の高さより50?m低い位置は,神経線維層の底の部分とほぼ同じ位置になり,その線がリファレンスプレーンの位置となる.リファレンスプレーンより上がリム,リファレンスプレーンより下が陥凹と定義される.HRTIIでは視神経乳頭に関する多くのパラメータが表示されるとともに,視神経乳頭の緑内障性変化の有無を判定する自動診断プログラムが付属されている.視神経乳頭を6セクターに分け,Wollsteinら6)が報告したMoor?eldsの回帰解析に基づき全体と各セクターでのリム面積と乳頭領域の面積比を評価することにより,“withinnormallimits”,“borderline”,“outsidenormallimits”の3段階で判定する(図3bの下段右).abcd図3左緑内障眼のステレオ眼底写真(a),HRTII解析結果(b),OCT3のOpticNerveHead解析画面(c)およびHumphrey視野(d)(図説明はp.54参照)———————————————————————-Page6??あたらしい眼科Vol.24,No.1,2007(56)2.OpticalCoherenceTomography3000(OCT3)近年OCTも,緑内障診断に用いられている.OCTは従来の超音波を用いた画像診断と類似の原理に基づく測定機器であり,超音波の代わりにダイオード光源による波長820nmの近赤外線低干渉光を用いるため,非侵襲的に高い解像度の画像が得られ,OCT3では縦断面,横断面ともに10?mの解像度が得られる.OCT3では,検査可能な被検者の最小瞳孔径が3.2mmとなったので,無散瞳でも検査可能になった.OCT3には,緑内障診断補助プログラムとして,RNFLThicknessAverage(網膜神経線維層厚解析),RNFLThicknessMap(網膜神経線維層厚マップ),OpticNerveHeadAnalysis(視神経乳頭解析)がある.そのなかで乳頭解析プログラムとしてはOpticNerveHeadAnalysis(視神経乳頭解析)があり,視神経乳頭を4mmの放射状ラインで6本スキャンして得られる結果から,水平・垂直C/D比,リム面積・体積,カップ径,陥凹の深さなどが自動的に計測解析される(図3c).この解析では反射輝度の特定の閾値を検索することによって神経線維層前面と網膜色素上皮を検出する.解剖学的に網膜色素上皮が終結する視神経乳頭の両端が解剖学的マーカー(参照点)として決定され,この2点が視神経乳頭の全解析の基本となる.視神経乳頭両端の2点の参照点間を直線で結ぶことにより乳頭径が求められる.この直線に対して150?m前方に平行する赤点線より高い位置がリム,低い位置が陥凹とされる.これらは客観的に自動的に計算されるが,手動で参照点を調整することができる.OCT3では,解像度は低いが6本のラインスキャンを1.92秒で一度に捉えることができるfastscansというシステムが導入された.通常の高解像度のスキャンでは1本のラインのスキャンに1.28秒かかり,これを少なくとも6本測定しなければならない.Kamppeterら7)は,正常人を通常のモード(OpticalDisc),fastscansモード(FastOpticalDisc)の2つのモードで測定し,それぞれにおいて自動で参照点を決めて計算した場合と,参照点を手動で修正した場合で再現性について検討し,通常のモードで修正しなかった場合はアーチファクトのため良いデータが得られず,fastscansモードで参照点を手動で修正した場合が最も再現性が高かったと報告している.その理由として,1本ずつ捉えるパターンでは全スキャンが終了するまで時間がかかり,その間患者の固視移動,スキャン部位の移動などで解析結果にばらつきが生じるためと思われる.3.HRTIIとOCT3の測定値の比較(図3)近年それぞれの測定値の関係について検討されてきている.HRTIIとOCT3で測定した視神経乳頭面積は高い相関があるが,HRTIIで測定した平均の視神経乳頭面積は,OCTで測定した乳頭面積よりいずれの視神経乳頭サイズでも常に小さい傾向にあるようだ8,9).Arthurら10)は,水平C/D比と垂直C/D比について,同時撮影ステレオ眼底写真,HRTII,OCT3で比較し,OCT3が水平C/D比と垂直C/D比ともに最も大きく,水平C/D比が最も小さかったのは同時撮影ステレオ眼底写真で,垂直C/D比が最も小さかったのはHRTIIであったと報告している.水平C/D比と垂直C/D比ともにOCTは陥凹の最長径に対する視神経乳頭最長径の比率を計算しているのに対して,HRTIIでは視神経乳頭の中心でC/D比を測定している.この点が,OCTのC/D比が,HRTIIのC/D比より大きい理由の一つと考察されている.各機器で測定された各パラメータはそれぞれよく相関しているが,それぞれの機器のデータの互換性は今のところないので,同一機種間での経過観察には使用できるが,各パラメータを比較する際には注意を要する.おわりにいかに画像解析装置が進歩しようとも,視神経乳頭を立体的に観察することは緑内障診療の基本であり,視神経乳頭を常に立体的に観察する習慣をつける必要がある.C/D比なり,DDLSなり自分なりの視神経乳頭変化の定量化システムをもつことは,緑内障の診断,病期分類および経過観察の際に重宝する.最新の画像解析装置は再現性も信頼性も高く,客観的に定量化することができ,診断および経過観察の心強い補助診断機器と思われる.———————————————————————-Page7(57)あたらしい眼科Vol.24,No.1,2007??6)WollsteinG,Garway-HeathDF,HitchingsRA:Identi-?cationofearlyglaucomacaseswiththescanninglaserophthalmoscope.?????????????105:1557-1563,19987)KamppeterBA,SchubertKV,BuddeWMetal:Opticalcoherencetomographyoftheopticnervehead:interindi-vidualreproducibility.??????????15:248-254,20068)Ho?mannEM,BowdC,MedeirosFAetal:Agreementamong3opticalimagingmethodsfortheassessmentofopticdisctopography.?????????????112:2149-2156,20059)SchumanJS,WollsteinG,FarraTetal:Comparisonofopticnerveheadmeasurementsobtainedbyopticalcoher-encetomographyandconfocalscanninglaserophthalmo-scopy.???????????????135:504-512,200310)ArthurSN,AldridgeAJ,DeLeon-OrtegaJetal:Agree-mentinassessingcup-to-discratiomeasurementamongstereoscopicopticnerveheadphotographs,HRTII,andStratusOCT.??????????15:183-189,2006文献1)IwaseA,SuzukiY,AraieMetal:Theprevalenceofpri-maryopen-angleglaucomainJapanese.?????????????111:1641-1648,20042)ArmalyMF:Theopticcupinthenormaleye.I.Cupwidth,depth,vesseldisplacement,oculartensionandout-?owfacility.???????????????68:401-407,19693)CaprioliJ,MillerJM:Videographicmeasurementsofopticnervetopographyinglaucoma.?????????????????????????29:1294-1298,19884)BayerA,HarasymowyczP,HendererJDetal:Validityofanewdiskgradingscaleforestimatingglaucomatousdamage:correlationwithvisual?elddamage.????????????????133:758-763,20025)SpaethGL,LopesJF,JunkAKetal:Systemforstagingtheamountofopticnervedamageinglaucoma:acriteriareviewandnewmaterial.???????????????51:293-315,2006コンタクトレンズフィッティングテクニック【著】小玉裕司(小玉眼科医院院長)CLの処方に必要な角膜・涙液・屈折矯正・その他の知識/CLの選択/ハードCLの処方/フルオレセインパターンの判定方法と注意点/レンズデザインと角膜形状/ベベル・エッジのチェック/SCLの処方・種類・選択/CLと定期検査・眼障害/HCLの修正/修正によるHCLの苦情処理-くもり・充血・異物感・視力/SCLの苦情処理-くもり・かすみ・視力低下・異物感・眼痛・流涙・充血/乱視に対するCLの処方/ドライアイ/ラウンドコルネア/カラーCL/治療用SCL/無水晶体眼・乳幼児と小児に対するCLの処方/光彩付きCL・義眼CLの処方/ハード・ソフトタイプバイフォーカルCLの処方/HCLのカスタムメイドの処方/CLと点眼薬/CLとケア用品/●ワンポイントB5判総152頁カラー写真多数収載定価8,400円(本体8,000円+税400円)メディカル葵出版〒113─0033東京都文京区本郷2─39─5片岡ビル5F振替00100─5─69315電話(03)3811─0544■内容目次■この本があれば,明日からのコンタクトレンズ診療は安心して出来る!株式会社