———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.6,2008837(87)0910-1810/08/\100/頁/JCLSこの本は50万部を超えるベストセラーになった.著者は100キロを超える肥満であった岡田さん.ところが奮起して“記録ダイエット”をすることだけで1年で50キロもやせたという嘘のような話である.しかし表紙の帯の写真がその事実を語っており,“おっ,これは何かあるな”と思わず手にしてみたくなった.軽い気持ちで読み始めたらあっという間に引き込まれて,気づいたら読み終えていた.最近はメタボリックシンドロームがさまざまな病気の根源にあると考えられるようになってきた.眼科でも糖尿病網膜症や静脈分枝閉塞症をはじめとして多数の眼科疾患に関連することがわかっている.眼科医にとってもメタボリックシンドロームは身近な問題である.そこで今回,僕のお勧めの一冊として紹介したい.最初の数十ページにわたって書かれているのは“なぜデブ(著者の表現に添っています)が損なのか”という話に尽きる.それは“デブの社会的意義”にまで踏み込んだ素晴らしい理論として展開されている.その中でも興味を引くのが“ファーストラベル”という概念.人にはそれぞれファーストラベルがあって,かっこいい人,かわいい人,センスのいい人,男らしい人,優しい人など,いろいろあるが,太っている人は社会からとりあえず“あの人はデブだから”というファーストラベルですべて論じられてしまう.ここから抜け出さないと,たくさん損をするというお話.そして,ダイエットや運動をしてやせるというローリスク・ハイリターンな“投資”がいかに価値があり理論的に正しいかと詳細に論じている.自分の生存確率を上げるためには,年収を増やす,良いセンスの洋服を着る,語学を身につける,良いポジションにつくなどたくさんあるが,一番効率的なのが“やせる”という行為だという.最終的には読者に「さあ,あなたもやせられますよ」と“記録ダイエット”を提唱するわけだが,何より“やせよう”というモチベーションがなければせっかくの方法論も使えない.このあたりは最近話題の勝間和代さんによる『お金は銀行に預けるな』にも似ている展開といえるだろう.勝間さんの本でも,まず最初に「金融リテラシーを持たないと大変なことになってしまう」という提言が本の半分以上にわたって理論的に解説されている.後半を読みすすむ時には読者の金融活動への意欲は満々になっているという構成だ.本書も同じように後半を読み始めるころには「デブっていたらまずい.何としてもやせるぞ」という気持ちにさせて,本気でダイエットをやる気にさせてくれる.さて,本書のメインテーマである記録ダイエットとは何か?これは単に毎日,毎日,食べた量を自分で記録していくというとっても簡単な方法なのだ.最初はやせようとか,デブはまずいとか思わずに単に記録していけばいいという.岡田理論によればデブでいることは大変なことであり,デブを維持するための秘密の食生活パターンを各人はもっており,それをこの記録ダイエットによって明らかにしていくのが第一ステップだという.岡田さんの経験でも記録をつけ始めて,“こんなに俺は食べていたのか”“こんなにデブを維持するための努力を続けていたのか?”と驚いたという.この段階を過ぎれば,次には目標を定めて介入することになる.満足度の低いものは食べない,夜寝る前は食べないなど,自分でやれるところからやる.そして記録する.岡田さんによればこれだけで確実にやせられるという.幸い僕はBMI(体重指数)が22で太っていないのだが,記録ダイエットはアルコールダイエットにもとても有効な方法だったので伝えておきたい.最近になって僕■6月の推薦図書■いつまでもデブと思うなよ岡田斗司夫著(新潮新書,新潮社)シリー82◆坪田一男慶應義塾大学医学部眼科———————————————————————-Page2838あたらしい眼科Vol.25,No.6,2008はガンマGTPが急激に上がり,肝臓専門の先生から“坪田先生,シャンパンの飲みすぎですよ!”と言われていたのだが,つい夜になるとシャンパン,ワインと飲みすぎてしまっていたのだった.そこで,いったい自分は1カ月にどのくらいの量のアルコールを飲んでいるのか記録することにしてみた.シャンパン1杯,ワイン1杯,ビール1本(350cc)はアルコール10gを含むと仮定して毎日記録をつけてみた.すると2008年1月は1,350g,2月は1,360gとなり,平均1日45g,ワインでいうと4,5杯飲んでいることがわかった.だいたいワイン1本で8杯だから毎日ワインをボトルで半分飲んでいる計算である.それも1日も休む日がないこともわかった.これでも記録するぞというプレッシャーから,つけていなかった2007年と比べればすでに格段に飲む量が減っていると思われる.記録ダイエットの威力はすごい.しかしそれでもどんどんガンマGTPが上がるのでまずいと思って“惰性で飲むのはやめよう”とか“アルコールフリーデーを作ろう”とか工夫しながら記録を続けたら3月には1,120g,4月は1,140gと1日平均38gまで減った.ガンマGTPのデータも改善してノーマルに復帰.これで記録ダイエットの信者になったのだった.この方法はなんにでも使えると思う.体重,アルコールだけでなく,運動量,勉強量,親切量(他の人にどのくらい親切にしたか),社会貢献量,睡眠時間など,自分のライフパターンで改善したいところがあったら記録をつけてみることをおすすめしたい.とりあえず,体重が少しでもオーバーだなと思う人がいたらぜひやってみるといいと思う.PS:2008年9月14日,15日に開催される『第8回抗加齢医学の実際』で岡田斗司夫さんの講演があります.興味のある方はhttp://www.mediproduce.jp/info/seminars/またはTel:03-5775-2075までお問い合わせください.☆☆☆(88)眼科領域に関する症候群のすべてを収録したわが国で初の辞典の増補改訂版!〒113-0033東京都文京区本郷2-39-5片岡ビル5F振替00100-5-69315電話(03)3811-0544メディカル葵出版株式会社A5判美装・堅牢総360頁収録項目数:509症候群定価6,930円(本体6,600円+税)眼科症候群辞典<増補改訂版>内田幸男(東京女子医科大学名誉教授)【監修】堀貞夫(東京女子医科大学教授・眼科)本書は眼科に関連した症候群の,単なる眼症状の羅列ではなく,疾患自体の概要や全身症状について簡潔にのべてあり,また一部には原因,治療,予後などの解説が加えられている.比較的珍しい名前の症候群や疾患のみならず,著名な疾患の場合でも,その概要や眼症状などを知ろうとして文献や教科書を探索すると,意外に手間のかかるものである.あらたに追補したのは95項目で,Medlineや医学中央雑誌から拾いあげた.執筆に当たっては,眼科系の雑誌や教科書とともに,内科系の症候群辞典も参考にさせていただいた.本書が第1版発行の時と同じように,多くの眼科医に携えられることを期待する.(改訂版への序文より)1.眼科領域で扱われている症候群をアルファベット順にすべて収録(総509症候群).2.各症候群の「眼所見」については,重点的に解説.3.他科の実地医家にも十分役立つよう歴史・由来・全身症状・治療法など,広範な解説.4.各症候群に関する最新の,入手可能な文献をも収載.■本書の特色■