———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLSな過蛍光を示し,造影時間とともに網膜下への旺盛な蛍光漏出を生ずるもの,occultCNVは造影早期には境界不明瞭で明らかな過蛍光を示さず(低蛍光を示す場合もある),造影時間とともに顆粒状過蛍光が出現し,造影510分の造影後期になって,oozingとよばれる緩慢な蛍光漏出をきたすものである.この造影態度の違いは,classicCNVでは網膜下にCNVが存在するため,それが直接造影され,網膜下に強い蛍光漏出を生ずるのに対し,occultCNVでは障害された網膜色素上皮(RPE)のはじめに加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)の診断・治療を行う際,蛍光眼底造影を読影するには一定の決まりとコツがある.本稿では,AMDの各病型とその関連疾患の蛍光眼底造影の読み方の基本と鑑別点について述べる.IAMDにおける蛍光眼底造影の読み方最近確定されたわが国におけるAMDの診断基準では,滲出型AMDには,通常のAMD(狭義AMD)のほか,ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV),網膜血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)の特殊病型2種が含まれると規定された1).このような特殊病型に対する各種治療の反応は異なるため,治療を行う前には,この3病型のいずれであるかを詳しく鑑別する必要がある.それにはフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)のみでは限界があるので,インドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)や光干渉断層計(OCT)を補助的に用いることによって,より正確な診断と治療適応決定,予後予測を行うことが重要である.1.脈絡膜新生血管(CNV)読影の基本パターンFAにおいて最も基本となる脈絡膜新生血管(CNV)の読影パターンはclassicCNVとoccultCNVである(図1).ClassicCNVは,FAの造影早期から境界鮮明(17)1205aniTaahashi:関方眼:5731191方231関方眼特集●加齢黄斑変性あたらしい眼科25(9):12051213,2008加齢黄斑変性および関連疾患の診断:蛍光眼底造影の読み方DiagnosisofAge-RelatedMacularDegenerationandRelatedDisease:ReadingofAngiographicFindings髙橋寛二*FA早期FA後期classicCNVFA早期FA後期図1脈絡膜新生血管のFA分類classicCNVは造影早期から境界鮮明な過蛍光を示し,後期には網膜下への旺盛な蛍光漏出を示す.この例では早期の過蛍光は網目状である.occultCNVは早期は境界不鮮明で,低蛍光を示すこともある.後期には顆粒状過蛍光の全体から滲むような蛍光漏出がみられる.———————————————————————-Page21206あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008(18)にマウンド状に隆起して線維血管組織の増殖をみるものは線維血管性色素上皮離(brovascularpigmentepi-thelialdetachment)とよばれる.2.FAにおける病変タイプ分類欧米では光線力学的治療法(PDT)をはじめとするAMDの治療を行う際,最も重要な所見としてFAによるCNVの病変タイプ分類が行われることが多い4).PredominantlyclassicCNV,minimallyclassicCNV,occultwithnoclassicCNVという分類がそれであり,病変内におけるclassicCNVの比率を基準に分類が行われている.すなわち,predominantlyclassicCNVとは病変の50%以上をclassicCNVが占めるもの(図2),minimallyclassicCNVとはclassicCNVが病変の50%未満であるもの(図3),occultwithnoclassicCNVとはclassicCNVをまったく含まないもの(図4)をいう.ただし,ここでいう「病変」とは,classicCNV,occultCNVのほかに,出血,漿液性網膜色素上皮離(漿液性PED),蛍光ブロックを生ずる病変(色素沈着,線維組織),瘢痕のすべてを含んだ領域をさす.この分類で注意を要するのは,FA所見のみによる分類であるため,読影の対象症例には狭義AMDだけでなく,PCVや下に隠れてCNVが存在するため,緩慢な蛍光漏出が起こると理解される2,3).OccultCNVは,さらに2種に分類され,CNVがRPE下に平面的に発育し,どこからともなく漏出を生ずるものは起源不明の後期漏出病巣(late-phaseleakageofundeterminedsource),RPE下IA網膜下高反射領域classicCNV網膜下出血によるブロック網目状新生血管FA早期FA後期図2狭義AMD,predominantlyclassicCNVFAでは病変の総面積中のclassicCNVの割合が50%以上である.IAでも明瞭な網目状の新生血管が検出され,OCTでは網膜下に突出する高反射領域がみられる(IA内黄矢印はスキャン部,以下同じ).IA網膜下高反射領域網目状新生血管doublelayersignclassicCNVoccultCNVFA早期FA後期図3狭義AMD,minimallyclassicCNV中心窩鼻側にclassicCNV,その下方にoccultCNVがみられ,classicCNVの割合は50%未満である.IAではoccultCNVの部にも網目状の新生血管が証明され,OCTではoccultCNVの部に色素上皮の反射のdoublelayersign,classicCNVの部では網膜下の高反射領域がみられる.IARPEのマウンド状隆起網目状新生血管で満occultCNVFA早期FA後期内部反射図4狭義AMD,occultwithnoclassicCNV(線維血管性網膜色素上皮離)FA上classicCNVはみられず,100%occultCNVで構成されている.IAではFAの過蛍光全域にわたって網目状新生血管が検出された.OCTでは色素上皮のマウンド状隆起と内部反射を認める.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081207(19)4.PCVの典型的造影像PCVはわが国では症例数が多く,狭義AMDよりもPDTの成績が良好で,視力改善が得られやすいこと,RAPの特殊病型もすべて含まれているということである.筆者らの施設でPDTを行った200眼の調査では,狭義AMDではpredominantlyclassicCNVとoccultwithnoclassicCNVが約40%ずつであり,PCVでは約60%がoccultwithnoclassicCNV,RAPでは50%がminimallyclassicCNVの造影パターンを示すという結果を得た(図5).3.狭義AMDの典型的造影像狭義AMDのFA像は基本的には先に述べたclassicCNV,occultCNVのとおりであるが,IA像にも特徴がある.網膜下に発育したclassicCNVでは,IA早期には明瞭な網目状血管が造影されることもあるが,細い毛細血管レベルの血管は早期の造影所見が不明瞭であることがある.陳旧化するとCNV周囲の網膜色素上皮の増殖のため,新生血管周囲に低蛍光(darkrim)を生ずることが多い.また網膜下で線維化を起こすと,低蛍光を示すこともある.造影後期には,classicCNVは強い過蛍光を示すものから不明瞭な過蛍光を示すものまでさまざまである.網膜色素上皮下に発育したoccultCNVでは,IAの造影早期には多くは明瞭な血管網が通常の脈絡膜血管よりも網膜側のレベルで検出される.造影後期になると,新生血管存在部はplaqueとよばれる面状過蛍光を呈する.狭義AMD(n=106)PCV(n=88)RAP(n=6)occult38%pred.cl40%mini.cl22%occult61%pred.cl15%mini.cl24%pred.cl33%mini.cl50%occult17%図5AMDの各病型におけるFAでの造影パターン(関西医大,200眼)狭義AMDはpredominantlyclassicとoccultwithnoclassicCNVが各4割,PCVではoccultwithnoclassicが6割と最も多かったが,classic成分をもつ症例も4割あった.RAPではminimallyclassicCNVが半数あった.occultCNV様顆粒状過蛍光IA色素上皮のポリープ状隆起(内部反射+)結節状過蛍光異常血管網PFA早期FA後期PP色素上皮の凹凸不整とdoublelayersign図6PCVFAでは面状の顆粒状過蛍光の端に結節状過蛍光がみられ(矢印),minimallyclassicCNVと判定できる.IAでは顆粒状過蛍光の部に異常血管網,結節状過蛍光の部にポリープ状病巣(P)が検出される.OCTではポリープ状病巣の部には内部反射を伴った色素上皮の急峻な隆起がみられる.異常血管網の部位にはdoublelayersignがみられる.旺盛な蛍光漏出IA色素上皮のポリープ状隆起網膜下高反射領域(フィブリン)結節状過蛍光顆粒状過蛍光oozingポリープ状病巣異常血管網doublelayersignFA早期FA後期図7PCV,偽クラシック病巣FAでは顆粒状過蛍光の周囲に結節状過蛍光のみられるパターンで,中心窩近傍でclassicCNV様の強い蛍光漏出を示している.FA上はminimallyclassicCNVと分類できる.IAでは異常血管網とポリープ状病巣がみられるPCVの典型所見を示している.OCTではポリープ状隆起とdoublelayersignの網膜側にフィブリンの高反射領域が検出される.———————————————————————-Page41208あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008(20)に存在し,FAではその部に円形のPEDの窪み(notchsign)(Gass)を示すことが多い.これは,RPE直下に異常血管がある部位ではRPEと異常血管の間に強い癒着があるためにPEDを生じず,その対側の健常な色素上皮の部位にPEDを生ずるためである.一方,PCVに抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)療法の有効性が狭義AMDのclassicCNVよりも低い可能性があることが最近判明してきた.このため,狭義AMDかPCVかを鑑別することはきわめて重要である.先に述べたように,PCVは基本的に網膜色素上皮下の病変であるから,FAではoccultCNVのパターンを示すことが多いが,実際にはclassicCNVの所見を示す例が約4割あることに注意を要する.PCVの典型例のFA所見では,occultCNV様の面状の顆粒状過蛍光がみられ,その辺縁部に1個数個の結節状の過蛍光がみられる(図6).この結節状の過蛍光からの蛍光漏出の程度はさまざまであり,classicCNV様の強い蛍光漏出を生ずるものもあれば,軽いoozing様の蛍光漏出を示すもの,そしてまったく漏出を示さないものもある.このなかで,あたかもclassicCNV様の強い蛍光漏出を示し,眼底において網膜下に灰白色の滲出斑(網膜下フィブリン)を伴う滲出の強い症例を,筆者らはPCVの「透過性亢進病巣」5)あるいは「偽クラシック病巣」6)とよび,狭義AMDにおける真のclassicCNV(網膜下新生血管)との鑑別を行う必要があることを提唱している(図7).PCVのIA所見では,造影早期にはFAの顆粒状過蛍光の領域に異常血管網,結節状過蛍光の部位には異常血管網の先端部のポリープ状に拡張した異常血管,すなわちポリープ状病巣が検出される.造影後期には異常血管網の部はplaqueとよばれる面状の過蛍光を示し,ポリープ状病巣は明瞭な円形の過蛍光を示すようになる.2005年に確定したわが国での「PCVの診断基準」7)では,PCV確実例の1項目として,「IAで特徴的なポリープ状病巣を認める」と規定されており,異常血管網はPCV確実例と診断するのに必須ではないことには注意を要する.また,ポリープ状病巣内部の造影パターンには,大きく分けて単房性,多房性,さらに多房性が多数集合して形成されるぶどうの房状の3種がある7).特殊な造影形態としてコイル状,輪状などの形態があるが,ぶどうの房状は網膜下血腫形成の危険性が高く,輪状は自然消退前の造影像として知られている(図8).漿液性網膜色素上皮離(漿液性PED)を伴うPCV症例では,異常血管はほとんどの症例でPEDの辺縁部コイル状ぶどうの房状(多房性が複数集合したもの)輪状単房性多房性図8ポリープ状病巣の内部構造IAでみると1個のポリープ状病巣の内部は決して単純な血管の瘤状拡張ではなく,血管塊数個からなる多房性,さらにそれが複数集合したぶどうの房状の異常血管塊がみられる.特殊な造影所見としてコイル状の血管,輪状の過蛍光を呈するものがある.classicCNVIA色素上皮のポリープ状隆起網膜下高反射領域結節状過蛍光occultCNV顆粒状過蛍光classicCNV部FA早期FA後期異常血管網図9PCV+classicCNVFAでは結節状過蛍光,顆粒状過蛍光とclassicCNVの所見が混在してみられるpredominantlyclassicCNVの所見を示している.IAでは異常血管網とポリープ状病巣(水色矢印),clas-sicCNVの過蛍光(白矢印)が混在してみられる.OCTでポリープ状病巣の急峻な隆起と網膜下高反射領域がみられる.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081209(21)るという説を唱えた9).本年,YannuzziらはこのGassの説をも取り入れ,網膜内だけでなく,脈絡膜新生血管からも発生しうるという拡大したRAPの概念を報告し,真のclassicCNVを合併する症例があり,そのような症例ではPCVと網目状を示すclassicCNVの所見が混在してみられる(図9).5.RAPの典型的造影像RAPは,2001年にYannuzziによって報告された新しい疾患概念である8).この報告においてRAPは,網膜内(網膜深層)に新生血管が発生し,その後,網膜下腔に進展するとともに網膜表層では網膜血管の拡張と吻合をきたし,最終的に脈絡膜新生血管との吻合を生じ,網膜全層に新生血管が発育する疾患として記載されている.Yannuzziらはこの疾患を3期に分け,stageIは網膜内新生血管(intraretinalneovascularization:IRN),stageIIは網膜下新生血管(subretinalneovasculariza-tion:SRN),stageIIIは脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)の時期としている.臨床的にはstageIIの色素上皮離(PED)を伴った時期(図10)に発見されることが多いが,しばしばstageIIとstageIIIの鑑別は困難である.Yannuzziらの疾患概念に対して,2003年Gassらはこのような網膜血管との吻合を示すAMDにおいても原発は脈絡膜新生血管であり,それが網膜内に発育し,最終的に網膜血管と連絡すCME結節状過蛍光stageⅠstageⅢstageⅡCME軟性ドルーゼンRAP病巣(瘤状サイン)漿液性PEDCME線維血管性PED(内部反射+)FAFAFAIAIAIA図11RAPの各stage別造影所見とOCTstageIでは,FAでは緩慢な漏出を示す結節状過蛍光,IAでは網膜血管と連続しない円形の鮮明な過蛍光,OCTでは軟性ドルーゼンによる色素上皮の反射の凹凸不正,網膜外層に胞様黄斑浮腫(CME).stageIIでは,FAで漿液性PEDの均一な過蛍光の内部,傍中心窩領域にスポット状の過蛍光(黒矢印2カ所),IAでは低蛍光を示すPED内部にRAP病巣と網膜血管との吻合(白矢印),OCTでは内部反射を伴わないRPEのドーム状隆起とその頂部の瘤状サイン.stageIIIではFAで網膜血管と連絡する面状過蛍光とPEDの高反射,IAでは網膜血管との吻合が明瞭で,OCTではPED内部に反射を伴う線維血管性PEDを示す.IAFA早期FA後期旺盛な蛍光漏出(hotspot)網膜表層出血によるブロック網目状新生血管網膜色素上皮?離bumpsign網膜内浮腫過蛍光領域(網膜血管と連続)色素上皮?離による過蛍光網膜血管との吻合図10RAPstageIIFA後期には中心窩を含んで漿液性網膜色素上皮離(漿液性PED)の均一な過蛍光がみられ,その中心部にhotspotを有するminimallyclassicCNVの所見を示している.網膜表層出血によるブロックがみられる.IAではhotspotの部の新生血管の網目が検出され,それが網膜血管と吻合している状態が明瞭である(黄色矢印).OCTでは色素上皮離の頂部に網膜色素上皮の高反射の断裂や瘤状所見(bumpsign),強い網膜内浮腫がみられる.———————————————————————-Page61210あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008(22)は認められない.c.RAPstageIIIの臨床所見(図11下段)眼底では多くは黄斑部に橙色橙黄色の線維血管性PEDとしてみられることが多い.この時期になると,病巣の血流は豊富になり,太い網膜血管の病巣内への直接流入がみられることが多い.狭義AMDの末期病変と区別がつきにくくなることがしばしばある.FAでは線維血管性PEDは円形の顆粒状過蛍光を示すが,新生血管は増大し面積が広くなるため,中央の強い過蛍光として検出されることは少なくなる.この時期になると,病巣の表層でRRAがしばしば発達した形でみられる.IAでは病巣面積が拡大することによって,病巣は面状の過蛍光を示すようになる.網膜血管との吻合やRRAはIAでさらに明瞭となる.脈絡膜新生血管の流入部が別個に検出される場合があるが,概して脈絡膜新生血管の全貌はIAでも検出しにくい.一部の症例では脈絡膜新生血管の網目の上にRAP病巣の網目が二重に重なったように検出される場合がある.OCTでは線維血管性PEDとなるので,RPEのドーム状隆起の内部反射が明瞭にみられるようになる,その表面に高い反射が検出されることもある.CMEは慢性的に強くみられる.IIその他の関連疾患(血管新生黄斑症)における眼底造影の読み方頻度の高い以下の3疾患に伴う血管新生黄斑症と加齢黄斑変性の鑑別点について述べる.1.高度近視に伴う血管新生黄斑症(図12)高度近視に伴う脈絡膜新生血管は,通常は網膜下に発育するが,発生初期には後部強膜ぶどう腫内の灰白色の新生血管は明らかでなく,網膜下出血のみがみられることも多い.経過とともに新生血管は色素沈着を帯びてくるが,概して扁平な新生血管としてみられる.FAでは造影パターンはほとんど100%近くclassicCNVパターンを示す.IAでは,新生血管が細いため造影早期には明瞭な網目状の過蛍光が観察されることが少なく,後期でも新生血管による過蛍光は不鮮明なことが多い.造影後期では,いわゆるひび割れ状のlacquercracklesionが低蛍光に造影され,その辺縁にCNVが検出されるこ“type3neovascularization”と命名した10).以下にステージ別に典型的所見を述べる.a.RAPstageIの造影所見(図11上段)眼底には多くは軟性ドルーゼンが集合した黄斑部傍中心窩領域の網膜内層中層に結節状の赤点がみられる.その周囲には少量の網膜表層出血がほぼ全例にみられる.病巣周囲の網膜内浮腫は必発である8).FAではこの時期には新生血管は小さい結節状の過蛍光と滲むような緩慢な蛍光漏出がみられる.FAでは約6割がoccultCNV,2割がclassicCNVとして検出される8).IAではhotspotとよばれる強い結節状過蛍光が網膜内新生血管の部位に検出され,網膜血管どうしの吻合(retinal-reti-nalanastomosis:RRA)が30%にみられる8).OCTでは軟性ドルーゼンによる網膜色素上皮(RPE)の反射の凹凸不整,ドルーゼン様色素上皮離と網膜深層あるいはRPEに連続する結節状高反射,網膜浮腫がみられる10).b.RAPstageIIの臨床所見(図10,11中段)眼底では黄斑部の漿液性網膜離,病巣周辺の網膜内または表層出血,網膜下出血,漿液性PEDが高頻度にみられる8).FAでは主としてoccultCNVの像を示し,その一部に強い網膜内あるいは網膜下漏出を示すclas-sicCNVを含むことが多い8).漿液性PEDが存在する場合,強い過蛍光を示す部位はPEDの中央であることが多い.これは病巣の端にポリープ状病巣が存在しやすいPCVと異なり,RAPの重要なサインである.RAPでPED中央に過蛍光がみられる原因は,RAPの発症早期には底部の色素上皮には癒着が少なく,RAP病変によって周囲の色素上皮が均等に感覚網膜側に牽引されるためと考えられる.IAでは漿液性PEDの低蛍光の内部に100%でhotspotが検出される8).この時期になるとRAP病巣と網膜血管との吻合が明瞭にみられることが多く,吻合部では網膜血管は途中で途絶えたようにみえる.OCTではstageIIのPEDを伴う時期には,RPEの反射のドーム状の隆起がみられ,通常はその中央(頂部)にRPEの断裂様所見と瘤状の反射(bumpsign)がみられる.この部に一致して網膜側にRAP病巣が存在しており,その周囲の感覚網膜には胞様黄斑浮腫(CME)が強くみられる.PEDは漿液性なので内部反射———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081211とが多い.近視性CNVではごくまれにPCVの造影パターンを取ることがある.近縁疾患として傾斜乳頭症候群では,しばしばPCVのパターンをとる場合がある.2.網膜色素線条に伴う血管新生黄斑症(図13)視神経乳頭周囲の萎縮帯と,そこから放射状に延びる色素線条がみられ,CNVは傍乳頭領域から中心窩鼻側に初発することが多い.FAでは,CNVは通常classic(23)lacquercracklesionCNVCNVCNVFA早期FA後期IA早期IA後期図12高度近視に伴うCNV強い豹紋状眼底の黄斑部に小出血がみられ,FAでは線状の過蛍光の中に蛍光漏出を示すCNVがみられる.IAではCNVの網目は明瞭に検出されず,後期にみられるlacquercracklesionの辺縁にCNVが発生していることが確認できる.OCTでは網膜下に突出したCNVがみられる.線条に一致する過蛍光乳頭周囲萎縮帯線条に一致する過蛍光CNV線条に一致する過蛍光FA早期FA後期IA後期CNVCNV網膜?離図13網膜色素線条に伴うCNV視神経乳頭周囲の輪状萎縮帯周囲に放射状に延びる数本の褐色の線条がみられる.FAでは線条に一致する過蛍光と中心窩鼻側に網膜下への蛍光漏出を示すCNV,IAでは梨地状眼底に一致する点状の低蛍光と過蛍光を示す線条付近にCNVが検出される.OCTでは網膜下に発育したCNVの高反射と網膜離がみられる.———————————————————————-Page81212あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008CNVパターンの造影像を示すが,過蛍光を示す色素線条に沿ってCNVの発生がみられることが多い.IAでは,色素線条はひび割れ状の明瞭な過蛍光を示す場合と低蛍光を示す場合があり,梨地状眼底に一致する低蛍光,すなわちmottledpatternが明瞭であり,CNVと色素線条の関係が明瞭に観察される.CNVが非常に進行拡大した症例では,CNVの先端部において橙赤色隆起病巣とIAでPCVのパターンを示すことがあることに注意を要する.3.特発性脈絡膜新生血管(図14)特発性CNVは軽度中等度近視の若年女性の黄斑部にみられ,眼底では病初期には網膜深層の硬い滲出斑,網膜下に発育したCNVは概して類円形の小型のCNVを示す.FAでは常にclassicCNVパターンの造影像を示し,陳旧化するとCNV周囲に低蛍光輪(darkrim)を生ずることが多い.IAでは倍率を上げて確認すると造影早期に細い網目状の過蛍光がみられることが多く,造影後期にはCNVの活動性によってさまざまな程度の過蛍光を示す.陳旧例では,IAにおいてもdarkrimが明瞭となる.特発性CNVでは背景の脈絡膜造影像には異常がみられないが,鑑別を要する疾患として点状内層脈絡膜症(punctateinnerchoroidopathy:PIC)では,CNV周辺に,FAでは点状の過蛍光,IAでは点状の低蛍光がみられることが多い.おわりにAMDと関連疾患におけるCNVの造影所見の読影にあたっては,その造影パターンから,いつもCNVがどのレベルにあるか(網膜下か網膜色素上皮下か)を考えつつ,特殊病型(PCVパターンかRAPパターンか)にも注意を払いながら読影を進めることが重要であることを述べた.文献1)厚生労働省網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班加齢黄斑変性診断基準作成ワーキンググループ:加齢黄斑変性の分類と診断基準.日眼会誌掲載予定2)髙橋寛二:滲出型加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管─蛍光眼底造影所見上の分類:クラシック型とオカルト型─.あたらしい眼科20:1487-1493,20033)髙橋寛二:脈絡膜新生血管の読影─JATstudy─.眼紀55:513-519,20044)Vertepornroundtable2000and2001participants,treat-(24)darkrim網目状過蛍光IA早期CNVFA早期FA後期IA後期darkrim網目状過蛍光IA早期図14特発性CNV軽度中等度近視を伴う眼底の黄斑部に小さい褐色の隆起(黄色矢印),FAでは類円形のCNVと網膜下への蛍光漏出,IAではdarkrimを伴う細い網目状過蛍光とわずかな蛍光漏出,OCTでは網膜下に突出した高反射領域がみられる.IAで周囲の脈絡膜蛍光には異常をみない.若年女性に多い.———————————————————————-Page9あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081213mentofage-relatedmaculardegenerationwithphotody-namictherapy(TAP)studygroupprincipalinvestigators,andverteporninphotodynamictherapy(VIP)studygroupprincipalinvestigators:Guidelinesforusingverteporn(VisudyneR)inphotodynamictherapytotreatchoroidalneovascularizationduetoage-relatedmaculardegenerationandothers.Retina22:6-18,20025)尾辻剛,津村晶子,髙橋寛二ほか:自然経過観察中にclassic脈絡膜新生血管の所見を示したポリープ状脈絡膜血管症の検討.日眼会誌110:454-461,20066)正健一郎,永井由巳,有澤章子ほか:偽クラシック所見を示すポリープ状脈絡膜血管症,厚生労働科学研究研究費補助金難治性疾患克服研究事業網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する研究.平成17年度総括・分担報告書,p193-195,20067)日本ポリープ状脈絡膜血管症研究会:ポリープ状脈絡膜血管症の診断基準.日眼会誌109:417-427,20058)YannuzziLA,NegraoS,IidaTetal:Retinalangiomatousproliferationinage-relatedmaculardegeneration.Retina21:416-434,20019)GassJDM,AgarwalA,LavinaAMetal:Focalinnerreti-nalhemorrhagesinpatientswithdrusen.Anearlysignofoccultchoroidalneovascularizationandchorioretinalanas-tomosis.Retina23:741-751,200310)YannuzziLA,FreundKB,TakahashiBSetal:Reviewofretinalangiomatousproliferationortype3neovasculariza-tion.Retina28:375-384,2008(25)新糖尿病眼科学一日一課初版から7年,糖尿病の治療,眼合併症の診断,治療の進歩に伴い,待望の改訂版刊行!【編集】堀貞夫(東京女子医科大学教授)・山下英俊(山形大学教授)・加藤聡(東京大学講師)本書の初版が出版されて7年余がたった.この間に糖尿病自体の治療や合併症の診断と治療が大きく変遷し進歩した.ことに糖尿病網膜症と糖尿病黄斑浮腫の発症と進展に関与するサイトカインの研究が進展し,病態の解明が大きく前進した.これを踏まえて,発症と進展に関与する薬物療法の可能性を追求する臨床試験が進んでいる.一方で,視機能,ことに視力低下に直接つながる糖尿病黄斑浮腫の治療は,現時点で最も論議が活発な病態となっている.硝子体手術やステロイド薬の投与の適応と効果について,初版が出版された頃に比べると大きく見解が変化している.そして,糖尿病黄斑浮腫の診断に大きな効果を発揮する画像診断装置が普及した.(序文より)〒113-0033東京都文京区本郷2-39-5片岡ビル5F振替00100-5-69315電話(03)3811-0544メディカル葵出版株式会社Ⅰ糖尿病の病態と疫学Ⅱ糖尿病網膜症の病態と診断Ⅲ網膜症の補助診断法Ⅳ糖尿病網膜症の病期分類Ⅴ糖尿病網膜症の治療Ⅵ糖尿病黄斑症Ⅶ糖尿病と白内障Ⅷその他の糖尿病眼合併症Ⅸ網膜症と関連疾患Ⅹ糖尿病網膜症による中途失明糖尿病眼科における看護Ⅸ■内容目次■B5型総224頁写真・図・表多数収載定価9,660円(本体9,200円+税460円)