角膜疾患の診療50年の軌跡The50-YearRoadofMedicalAdvancementsintheBasicUnderstandingandClinicalTreatmentofCornealDiseases木下茂*はじめに本稿では,角膜疾患の診断と治療がこのC50年ほどで,どのような変遷を経て現在につながっているのかを要約してみる.映画の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようなもので,記憶をたどることも多く,内容は雑駁であり,重要な内容が漏れている場合にはご容赦を願いたい.なお,角膜感染症,ドライアイそしてコンタクトレンズは別項目になっており,そちらもご参照いただきたい.また,1980年代頃に,角膜疾患の診療から角膜屈折矯正手術関連の話題が派生して出てきたため,これらの内容も一部含んでいることをご了解いただきたい.それでは,私が研修医を始めたC1970年代に戻って,そこからおよそC10年を一括りにして話を進めることにする.それぞれの年代を一言で表現するキャッチコピーも付記した.CI1970年代―近代的な角膜疾患の診断と治療の黎明期1970年代の眼科は現在のようなCwhiteCeyeclinicではなく,まだまだCredeyeclinicの様相が強く,多数の角結膜感染症患者が眼科を訪れていた.そして感染性角膜潰瘍,角膜混濁,角膜ジストロフィ,角膜化学腐食,周辺部角膜潰瘍,再発翼状片などが治療に難渋する疾患の主流を占めていた.手術としての角膜移植も技術的にはまだまだ黎明期であり,円錐角膜,血管侵入のない角膜混濁,そして角膜ジストロフィに対しての治療成績がようやく確立しはじめた頃であった.眼科用手術顕微鏡が導入されたのもこの頃であった.眼科全体の研究は白内障の発生機序などに対する眼生理学や生化学が中心であり,角膜の研究についても生理学,生化学が中心で,とくに,三島濟一(東京大学)は,米国での研究を通して,角膜生理学の進歩に大きく貢献した.ただし,生物学や免疫学による疾患病態の解明はほとんどなされていなかった.1960年代,1970年代における進歩として特筆すべきことは,1)涙液動態の理解,2)角膜の透明性にかかわる理論の確立1),3)角膜厚の測定の確立2,3),4)スペキュラーマイクロスコープのプロトタイプの登場,5)ocularsurfaceという概念の提唱4)などであった.このように俯瞰してみると,1970年代は角膜への生理学的アプローチの研究の全盛期であり,角膜の透明性,角膜の膨潤と混濁,角膜厚への理解が深まり,ついには角膜内皮細胞を直接観察するまでに至ったことが重要な発展といえる.ただし,診療については,「手術時に角膜内皮細胞を傷めないように注意する」程度であり,対処療法的な治療しか提供できていなかった.また,角膜ヘルペスに対する抗ウイルス薬であったCidox-uridine(IDU)の点眼薬がC1960年代にCKaufmanらにより開発されたが5),ウイルス非特異的かつ薬剤毒性が強く,角膜ヘルペス感染症の治療に難渋していた時代であった(角膜感染症の項を参照).1978年,京都で国際眼科学会が開催され,世界の多くの新しい医療技術に関する情報に触れ,感嘆したことを覚えている.すなわち,*ShigeruKinoshita:京都府立医科大学感覚器未来医療学〔別刷請求先〕木下茂:〒602-0841京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町C465京都府立医科大学感覚器未来医療学C0910-1810/21/\100/頁/JCOPY(11)C1375図11970年代の重症角膜疾患に対する外科的治療は不成功の連続重症の角膜化学腐食の例は角膜上皮幹細胞疲弊症であったが,当時はその理解はなかった.全層角膜移植は術後C3カ月で遷延性上皮欠損を生じて不成功に終わった.Mooren角膜潰瘍の例には口唇粘膜移植術で潰瘍を被覆しようと試みたが,むしろ悪化した.当時,Mooren潰瘍の病態は不明であった.胞にCcentripetalmovementが存在しそうなこと6),角膜創傷治癒における角膜上皮細胞の増殖と伸展・移動メカニズムについてのCXYZ理論の提唱7),そして角膜輪部に角膜上皮幹細胞が存在すること8,9)などの実証へとつながっていった.後年,角膜上皮幹細胞が角膜中央部にも存在することが示された10).化学腐食などの重症Cocularsurface疾患への病態の理解も乏しかったが,少なくとも実験動物レベルでの理解は深まった11).治療現場では,1984年のドナー角膜を用いたCkeratoepithelio-plasty角膜上皮形成術12)が,その臨床現場への応用,ひいては角膜上皮移植という外科的治療概念の確立などに生かされていった.本手術法を用いたCMooren潰瘍に対する根治治療の提唱がなされたのもこの頃である13,14).さらに,特筆すべきは,西田輝夫(大阪大学)による遷延性上皮欠損へのフィブロネクチン点眼の応用などの保存的治療の提唱があげられる15).この研究はペプチド点眼治療の治験へとつながっていった16).臨床的に応用できた知見は「角膜輪部に角膜上皮幹細胞が存在する」「palisadesCofVogtの存在は重要である17)」などである.この延長線上で,現在までに規制当局から承認を得た医薬品,医療機器,再生医療等製品に結びついたものは,培養上皮シート,epikeratophakia角膜,NGF点眼薬18)程度であり,規制当局のハードルの高さを実感する.話題は少しずれるが,アシクロビル眼軟膏の登場により,ヘルペス性角膜炎に起因する栄養障害性潰瘍の患者数が大きく減じたのは福音であった.C2.スペキュラーマイクロスコープの開発と角膜内皮細胞への理解の深化スペキュラーマイクロスコープによるヒト角膜内皮細胞の可視化という概念と理論はC1960年代に遡るが,この機器の開発には日本企業が大きく貢献した.そのプロトタイプが開発されたのはC1979年,そして実際の医療機器として甲南カメラ研究所(コーナン・メディカルの前身)から発表されたのはC1985年のことである.当初のスペキュラーマイクロスコープは接触型であり,角膜上皮にカメラのコーンレンズを接触させて角膜内皮画像を取得した.これは,おそらく医療の現場で生体細胞を直視下で観察した最初の経験であったと思われる.あのときの感動は今も強く覚えている.さらに,世界標準となるヒト角膜内皮細胞のデータの多くは日本人から発せられ,大原国俊(自治医科大学のちに日本医科大学)19),松田司(大阪大学)20)らによって確立された.正常人の角膜内皮は,細胞密度がC2,000個/mmC2以上であること,CV値C0.35以下,六角形細胞比率がC60%以上であることなどが示された.また,白内障手術後に角膜内皮細胞が減少することがスペキュラーマイクロスコープにより経時的に観察され21),角膜内皮細胞と角膜厚,さらには酸素透過性の悪いコンタクトレンズによる角膜内皮細胞減少22)に注目がされはじめたのもこの頃であった.例をあげれば,白内障手術におけるCBSSプラス眼内灌流液の有用性21),コンタクトレンズ装着早期における内皮ブレブ形成などがスペキュラーマイクロスコープ検査により示された23).1993年,非接触型スペキュラーマイクロスコープが臨床現場に登場すると,白内障手術の術前スクリーニング機器として汎用化し,国内ではコモディティ化した.しかし,現在でも米国では異なった状況であることは興味深い.C3.Epikeratophakia―その開発の功罪Epikeratophakiaはドナー角膜を切削して凸レンズを作製し,それを角膜上に載せて,角膜全体の屈折力を増加させるというものであった.今では想像できないかもしれないが,眼内レンズが日常的には使用されていなかった時代に,強い凸レンズのコンタクトレンズの代替として開発されたのである.Epikeratophakiaのためにドナー角膜を凍結させて切削するクライオレースという機器が開発され,精緻に計算して凸レンズの角膜実質片が作製された.サルを用いた実験が繰り返され,最後には医療用製品として日本でも輸入販売された.しかし,1985年,眼内レンズが厚生労働省により承認され,また,いくつかの細胞生物学的な問題が生じ,この製品は医療現場から消失した.およそC10年の歳月をかけて米国で開発されたが24,25),時代のアンメットニーズの変化により消え去った代表的な医療機器(クライオレース)と医療製品(角膜レンズ)である.われわれは,常に,最終ゴールの理念とイメージが正しいかどうかをしっか(13)あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021C1377りと考えておく必要があることを示した事象であった.ただし,epikeratophakiaやCkeratophakiaという一見乱暴にみえる角膜手術手技の開発から,角膜を切削するCphotorefractivekeratectomy(PRK),そしてClaserCinsitukeratomileusis(LASIK)といった角膜屈折矯正手術が発展してきたのも事実である.C4.RK手術からエキシマレーザー角膜屈折矯正手術へ放射状角膜切開(radialkeratotomy:RK)手術は,1940年代に佐藤勉(順天堂大学)により考案された円錐角膜に対する角膜後面一文字切開術,そして近視に対する角膜前後面放射状切開術,いわゆるCSatoC’sCopera-tionに由来する26).当時は角膜内皮細胞のもつ生理的ポンプ機能が理解されておらず,後年,多くの水疱性角膜症を発症した.しかし,佐藤の角膜扁平化による近視治療という発想は欧米で高く評価されている.1970年,旧ソ連邦のCFyodorovによって始められたCRK手術はCanteriorCradialkeratotomyと称され,角膜前面からの放射状切開であり,周辺部に向けてC8.16本の深い切開を施すものであった27).このためCRKは角膜内皮には安全と考えられた.当初はこの手術が近視矯正に有効であるかどうかが疑問視され,米国ではCNationalCEyeInstitute(NEI)の研究費により大規模な前向き試験(PERKStudy)が行われた.これが眼科領域で行われた最初の大規模なCprospectivestudyであったといわれている.この試験で近視矯正効果は実証されたが,その後の長期経過観察により継続的な遠視化が生じえること,日内の屈折変動が生じえることなどが明らかとなった28,29).このためCRKは徐々に衰退し,エキシマレーザー角膜矯正手術の開発に向かっていった.フッ化アルゴンを用いたC193Cnmのエキシマレーザーは,当初は角膜切開用として開発されたが,その後,角膜表面切削用のアルゴリズムが開発され,phototherapeuticCkeratecto-my(PTK),そしてCPRKとして用いられるようになっていった.近視患者にCPRKが世界で初めて行われたのはC1988年頃のことである.1980年代の日本では,mini-RKとエキシマレーザー治験が限定的に行われた程度であった.5.角膜形状解析の始まり角膜屈折矯正手術の本格的な始まりもあり,角膜前面カーブに焦点をあてた角膜形状解析装置の開発が始まった.その最初の頃の機器の作製には日本が大きく関与した.プラチドータイプの角膜形状解析としてフォトケラトスコープ,ビデオケラトスコープが開発され,円錐角膜の自動診断ツール(Klyce&Maeda)も搭載された30).ある意味の人工知能(arti.cialintelligence:AI)診断の走りといえるかもしれない.この開発には前田直之(大阪大学)が大きく貢献した.その後,現在まで続くスリットスキャン,Scheimp.ugによる角膜前後面形状解析への深化31),そして前眼部三次元光干渉断層計(opti-calcoherencetomography:OCT)画像解析装置の開発へとつながっていった.とくに,前眼部COCTは安野嘉晃,大鹿哲郎(筑波大学)らの研究による日本発の成果である32).C6.角膜保存液の開発角膜移植が臨床現場にもたらされたことと相まって,1960年代後半から角膜保存液の開発ブームが起こった.日本ではCEP-I,その後CEP-IIとよばれる液体保存液33)を用いた全眼球保存が行われていたが,米国ではC1974年CMKCmedium34),1978年Cmodi.edCMKCmedium35)という強角膜片保存液が開発された.いずれもC4℃保存であった.この保存液はデキストランで膠質浸透圧を調整することを特徴とし,ドナー強角膜片のおよそC1週間の保存が可能となったため,角膜移植は緊急手術から予定手術として対応できる手術となった.その後,1980年代になってCK-Sol36)そしてCOptisol37)というより優れた角膜保存液が開発された.これら角膜保存液のエッセンスは保存されたドナー角膜の膨潤を膠質浸透圧で調整するというところであり,Optisolはデキストランとコンドロイチン硫酸を含有している.このコンドロイチン硫酸を用いるというアイデアは眞鍋禮三(大阪大学)らが開発した角膜保存液33)から発していると聞き及んでいる.日本でこの保存液を使用した強角膜片保存が一般的に行われるようになったのはC1990年代になってからである.一方,欧州では,37℃の器官培養法による角膜保存が開発され,現在まで続いている.1378あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021(14)1960197019801990200020102020大角膜内皮移植この評価は筆者の私見である図2角膜疾患への外科的治療のブームそれぞれの時代における多くの医師・医学者が興味を示した手術方法を模式化した.これは興味の程度であって,手術件数を意味しているわけではない.評価は筆者の私見である.トの作製と,そのシートを用いたC2例の手術成績が報告された44).これをきっかけとして,国内外で培養角膜上皮シートの開発と移植が行われるようになった45,46).日本の角膜再生医療の夜明けでもあった(図2).C2.角膜ジストロフィの遺伝子解析1990年代まで,角膜ジストロフィの研究は表現型に関する考察が主流であり,金井淳(順天堂大学)らの眼病理研究者により数多くの角膜ジストロフィの病理所見が明らかになっていた.しかし,1996年,Munierらにより重要な角膜ジストロフィである顆粒状角膜ジストロフィ,Reis-Bucklers角膜ジストロフィ,格子状角膜ジストロフィのそれぞれのジストロフィがCTGFBI遺伝子の変異で生じていることが報告された47).これは角膜ジストロフィとして表現型が異なるものが同一遺伝子の変異の部位が異なるだけであるということを示したものであり,責任遺伝子の同定もさることながら,遺伝子と表現型の関係に衝撃を受けたことを覚えている.さらに顆粒状角膜ジストロフィでは,I型とCII型(Avellinoジストロフィ)の遺伝子変異部位が異なることが示された.一般にはCI型は欧米に多いが,日本人と韓国人の顆粒状角膜ジストロフィはCII型が大半であることが判明した.この事実は人類遺伝学としても非常に興味深いことであった.さらに,角膜上皮細胞を構成するケラチンがCK3とCK12であり,これらがCMeesmann角膜ジストロフィの原因遺伝子であること48),膠様滴状角膜ジストロフィの原因遺伝子がCTACSTD2であること49)などが次々と発見された.そしてCTACSTD2が角膜上皮細胞のバリア機能維持に大いに関係していることが明らかとなった50).しかし,これらの発見が角膜ジストロフィの新規治療法に必ずしも結びついたわけではなく,治療法としてはエキシマレーザーCPTK51),電気分解法52)そしてソフトコンタクトレンズ連続装用などが推奨されていた.時を経て,2008年,IC3Dとして角膜ジストロフィの包括的な医学情報が示された(2015年に改訂)53).蛇足になるが,分子生物学的診断法が臨床現場の診断に応用されはじめたのもこの頃である.ウイルス性角膜炎疑いの涙液や前房水を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PolymeraseCchainreaction:PCR)によるウイルスDNAの検出診断はその最たるものであるC3.角膜移植免疫についての理解の深化角膜移植における移植免疫の考え方は,動物実験を用いてであるが,1990年代に大きく進展した.とくにStreilein一派54)とCNiedercorn一派55),そしてそこに留学した日本人研究者たちにより,マウスを用いた角膜移植免疫の知識の蓄積がなされた.しかし,臨床へのフィードバックは多くなく,角膜移植の臨床は角膜層状移植の方向へと進展していった.C4.エキシマレーザーを用いた角膜治療世界的には,エキシマレーザーを用いたCPRKの開発と角膜形状解析が急激に進歩し,角膜切削用の多くのアルゴリズムが開発された.また,エキシマレーザー機器の特許紛争,さらにはCpillarpointの設定によるケースごとの使用料発生などが始まった.このことは医学の発展とは直接に関係しないかもしれないが,企業の眼科医療機器使用に対する考え方に大きな影響を与えた.マイクロケラトームで角膜を切開し,角膜実質をエキシマレーザーで切削するというCLASIKが本格的に登場したのもこの時期である.この手術手技が予想に反して角膜には負担が少ないことに驚きを感じたことを覚えている.国内ではC2000年にCPRKが厚生労働省により承認され,LASIKも本格的に始まった.CIV2000年代―角膜内皮移植の始まり2000年代は,一言でいえば,角膜内皮移植という新しい手術方法が登場した時代といえる.この大きな潮流は現在まで継続しており,Fuchs角膜ジストロフィを始めとする角膜内皮機能不全への有効な治療法がみえてきた時代ともいえる.レーザー虹彩切開術による水疱性角膜症の発症が取りざたされた時代でもある.OcularCsurfacereconstructionでは培養上皮シート移植や羊膜移植が注目され,Stevens-Johnson症候群などの重症Cocularsurface疾患にも外科的対応を行うようになってきた.Ocularsurfaceの炎症性疾患,とくにアレルギー疾患やマイボーム腺炎関連疾患にも新たな治療の考え方が提唱されはじめた時代でもあった.以下に各項目につ1380あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021(16)いて要約する.C1.Ocularsurfacereconstructionの発展1990年代に始動したCocularCsurfaceCreconstructionはさらに発展を遂げることになる.とくに,重症Cocularsurface疾患に対して,他家培養角膜上皮シート移植の作製とその応用にも目が向けられた46).一方,2000年初頭から自家口腔粘膜上皮細胞を用いた粘膜上皮シート移植が開発され,化学腐食のみならず,眼類天疱瘡,そしてCStevens-Johnson症候群にまで応用されるようになった56,57).従来,Stevens-Johnson症候群への外科的治療は禁忌と考えられていたこともあり,患者にはそれなりの福音をもたらした.また,重症Cocularsurface疾患に対しての疾患グレード分類なども提唱された58).C2.角膜内皮移植,深層角膜移植の始まり深層角膜移植(deepanteriorlamellarkeratoplasty:DALK)の概念の発展には日本が大きく関与した.まず,1990年代後半に,杉田潤太郎(杉田眼科病院)が円錐角膜に対するCDALKをリバイバルさせたことが大きなきっかけとなった.全層角膜移植(penetratingCkerato-plasty:PKP)とCDALKの手術後の角膜内皮細胞密度を長期に比較してCDALKの利点を示した59).島﨑潤,榛村重人(慶應義塾大学)らにより改良されたこの手術法は60),シンガポールそして欧州へと広がっていった60).そしてC1990年代から広く受け入れはじめられた角膜上皮移植などとともに,層別角膜移植という概念が確立していった.層別角膜移植のもっとも代表的なものは角膜内皮移植である.この技術開発は欧州から発された.とくに,CMelles61,62),Busin63)そしてCKruse64)らによる斬新な手術手技の確立,そしてそれと呼応するように米国のCTerry65),Price66),Gorovoy67)らの技術開発力が生かされて,大きな発展を遂げた.とくに米国と欧州ではFuchs角膜内皮ジストロフィの疾患頻度が非常に高く,このことが角膜内皮移植の発展の大きな推進力になったものと思われる.2006年,日本では小林彰(金沢大学)がCDescemetstrippingautomatedendothelialkera-toplasty(DSAEK)を国内でいち早く始め,国内の多くの角膜移植術者も水疱性角膜症の治療をCPKPから角膜内皮移植に変更していった.C3.レーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症わが国では,1990年代後半からレーザー虹彩切開術(laseriridotomy:LI)後に水疱性角膜症を生じる例が報告されはじめ,2000年に入るとその数は増加の一途をたどった.LI後に水疱性角膜症に陥る例は緑内障発作眼に限らず,予防的レーザー処置でもみられたことから,レーザー照射が直接に,あるいは間接に関与していることが明らかになった68).その発生機序としては,前房内炎症説69)や機械的ジェット流説70)などが提唱された.アジア,とくに日本に多く発症した,ある種の医原性疾患であり,エピデミックな状態が生じたことが想像される71).緑内障診療ガイドラインにCLIの方法が記載されてから発症頻度は激減した.現在では,狭隅角眼にはCLIよりは白内障手術で対応することが多くなってきている.確立されたと考えられていた治療法にも落とし穴があり得ることを喚起した事例であった.C4.Ocularsurface炎症性疾患の新たな考え方アトピー性角膜炎や春季カタルの治療法には難渋してきたが,2006年にC0.1%シクロスポリン点眼が72),そしてC2008年にC0.1%タクロリムス点眼が承認され,新たな治療方法が導入された.実際,シクロスポリン点眼やタクロリムス点眼が使用できるわが国は,重症アレルギー性疾患へのよりよい取り組みができるようになっており73).世界でもっとも進んだ診療ができているはずである.さらに,マイボーム腺炎との関連で角膜フリクテンなどが生じるマイボーム腺炎角結膜上皮症が報告され,難治な小児眼瞼角結膜炎の治療法に夜明けが訪れた74).C5.エキシマレーザー,フェムト秒レーザーの角膜への応用193nmのエキシマレーザーは,1998年にCPTK,2000年にCPRK,そしてC2006年にCLASIKに使用することが国内で承認され,角膜疾患や近視矯正に幅広く応用されるようになってきた.一方,近赤外線レーザーで角膜切開用のフェムト秒レーザーもC2010年,厚生労働省(17)あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021C1381OcularSurfaceへの上皮移植2014201520202021図3角膜層別移植から再生医療への道おもな手術方法が始められた年代を示した.青印は新規手術法,赤印は臨床研究として開始された再生医療,緑印は厚生労働省あるいはCEMAに承認された再生医療等製品.1960197019801990200020102020大この評価は筆者の私見である図4角膜基礎研究のブーム筆者の私見を表現した.角膜研究のブームは,大きくは生理学からはじまり,細胞生物学,分子遺伝学,分子生物学,そして再生医学へと移っているように思われる.角膜領域の免疫学はC2000年代をピークにするが,他領域と比べると必ずしも活発ではない.NEIの研究費配分に影響を受けるところが大きく,これからはCAI研究が大きく伸びる可能性がある.も発表された90,91)(図3).C4.マイボーム腺機能不全,マイボーム腺炎の治療Ocularsurface疾患の理解が深まるにつれて,MGD,そしてマイボーム腺炎のCocularsurface疾患に対する関与が着目されるようになってきた.すなわち,MGD,前部眼瞼炎,そして後部眼瞼炎(マイボーム腺炎)の的確な診断と治療,角結膜所見との対比が注目されるようになってきた92).欧米ではCintensepulsedClight(IPL)やClipi.owCTMに限らず,さまざまな対処療法が提案されており,さらにはアジスロマイシンをはじめとする抗菌薬治療など,新しい治療法が考案されている.2010年,天野史郎(東京大学)らを中心にしてマイボーム機能不全についての診断基準93)が作成された.現在,診療のガイドラインの作成が進行中である.C5.人工角膜最後に人工角膜である.おそらくC1970年代ごろから数多くの人工角膜が提案され,臨床研究もなされてきた.わが国で代表的なものは早野三郎(岐阜大学)らが開発した人工角膜である94).世界でみると,風雪に耐えて現在もある程度の信頼を勝ち得ている人工角膜としては,OOKP95)とCBostonCKeratoprosthesis96,97)がある.前者は,手術手技は複雑でむずかしいが,術後成績は安定しており重症疾患には有用とされている.後者はDohlmannが心血を注いで開発してきたものであり,それなりの有用性が示されている.とくにこのC10年間は安定した成績の報告がなされている.解決すべき問題は感染症と緑内障である.そもそも露出型の人工臓器には上皮との折り合いを解決する必要がある.術後長期にわたって成功する可能性があるとすれば埋め込み型であろうと私は考えている.その他,AlphaCorCTM,KeraKlearCTMなど新規の人工角膜も提唱されてきたが98,99),術後合併症を克服できていない.日本では,現在のところ,視力改善をめざした人工角膜で承認されたものはない.CVIこれからこれからの近未来,最先端の角膜診療として模索されていくものは,ocularsurface疾患と角膜内皮疾患に対する角膜再生医療,円錐角膜への新しい外科的治療,そしてマイボーム腺炎を含む眼瞼炎に対する新規治療法などであろうと予想している.いずれの治療法にも外科的アプローチと内科的アプローチが考えられる.外科的アプローチとしては角膜再生医療が88,100),内科的アプローチとしては新規薬剤開発が中心となりそうであるが,ここに遺伝子治療が絡まってくるかどうかは定かではない.日本の眼科医そして医学者が新規治療の開発に大きな期待をもって向かっていってほしいものである(図4).なお本稿では,100のヒストリックにキーとなりそうな論文,そして『日本眼科学会雑誌』に掲載された角膜関係の特別講演と宿題報告(評議員会指名講演)の論文リストを掲載した.その意図するところは,この項で記載したことを想い起こす糸口として価値のある,しかし,時間の経過とともに検索しにくくなる論文群の覚え書きである.総説も多く引用しているので,何かのときにご参照いただければ幸いである.文献1)MauriceD:TheCstructureCandCtransparencyCofCtheCcor-nea.CJPhysiolC136:263-286,C19572)MishimaCS,CHedbysBO:MeasurementCofCcornealCthick-nessCwithCtheCHaag-StreitCpachometer.CArchCOphthalmolC80:710-713,C19683)MishimaS:Clinicalinvestigationsonthecornealendothe-lium.AmJOphthalmol93:1-29,C19824)ThoftCRA,CFriendJ(eds):TheCocularCsurface.CInterna-tionalophthalmologyclinics,Vol19,Little,BrownandCo.,Boston,19795)KaufmanHE,NesburnAB,MaloneyED:IDUtherapyofherpessimplex.ArchOphthalmolC67:583-591,C19626)KinoshitaS,FriendJ,ThoftRA:SexchromatinofdonorcornealCepitheliumCinCrabbits.CInvestCOphthalmolCVisCSciC21:434-441,C19817)ThoftCRA,CFriendJ:TheCX,CY,CZChypothesisCofCcornealCepithelialCmaintenance.CInvestCOphthalmolCVisCSciC24:C1442-1443,C19838)SchermerCA,CGalvinCS,CSunTT:Di.erentiation-relatedCexpressionCofCaCmajorC64KCcornealCkeratinCinCvivoCandCinCcultureCsuggestsClimbalClocationCofCcornealCepithelialCstemCcells.CJCellBiol103:49-62,C19869)CotsarelisG,ChengSZ,DongGetal:Existenceofslow-cyclingClimbalCepithelialCbasalCcellsCthatCcanCbeCpreferen-tiallyCstimulatedCtoproliferate:implicationsConCepithelialC1384あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021(20)stemcells.CellC57:201-209,C198910)MajoF,RochatA,NicolasMetal:Oligopotentstemcellsaredistributedthroughoutthemammalianocularsurface.NatureC456:250-254,C200811)KinoshitaCS,CKiorpesCTC,CFriendCJCetal:LimbalCepitheli-umCinCocularCsurfaceCwoundChealing.CInvestCOphthalmolCVisSciC23:73-80,C198212)ThoftRA:Keratoepithelioplasty.CAmCJCOphthalmolC97:C1-6,C198413)KinoshitaS,OhashiY,OhjiMetal:Long-termresultsofkeratoepithelioplastyCinCMooren’sCulcer.COphthalmologyC98:438-445,C199114)木下茂,大橋裕一:Mooren潰瘍の病態と治療.眼紀C41:2055-2061,C199015)NishidaT,NakagawaS,ManabeR:Clinicalevaluationof.bronectinCeyedropsConCepithelialCdisordersCafterCherpeticCkeratitis.OphthalmologyC92:213-216,C198516)NishidaT,InuiM,NomizuM:Peptidetherapiesforocu-larCsurfaceCdusturbancesCbasedConC.bronectin-integrinCinteractions.CProgRetinEyeResC47:38-63,C201517)木下茂,切通彰,大路正人ほか:PalisadesofVogtの消失する角膜疾患.臨眼40:363-366,C198018)BoniniCS,CLambiaseCA,CRamaCPCetal:TopicalCtreatmentCwithCnerveCgrowthCfactorCforCneurotrophicCkeratitis.COph-thalmology107:1347-1351,C200019)大原国俊:ヒト生体角膜内皮の細部接合変化.日眼C92:C705-713,C198820)MatsudaM,YeeRW,EdelhauserHF:ComparisonofthecornealendotheliuminanAmericanandaJapanesepopu-lation.CArchOphthalmolC103:68-70,C198521)MatsudaCM,CKinoshitaCS,COhashiCYCetal:ComparisonCofCthee.ectsofintraocularirrigatingsolutionsonthecornealCendotheliuminintraocularlensimplantation.BrJOphthal-molC75:476-479,C199122)MacRaeCSM,CMatsudaCM,CShellansCSCetal:TheCe.ectsCofChardCandCsoftCcontactClensesConCtheCcornealCendothelium.CAmJOphthalmol102:50-57,C198623)ZantosCSG,CHoldenBA:TransientCendothelialCchangesCsoonafterwearingsoftcontactlenses.AmJOptomPhysi-olOptC54:856-858,C197724)WerblinCTP,CKaufmanCHE,CFriedlanderCMHCetal:ACpro-spectiveCstudyCofCtheCuseCofChyperopicCepikeratophakiaCgraftsforthecorrectionofaphakiainadults.Ophthalmol-ogyC88:1137-1140,C198125)McDonaldCMB,CKaufmanCHE,CAquavellaCJVCetal:TheCnationwidestudyofepikeratophakiaforaphakiainadults.AmJOphthalmol103:358-365,C198726)SatoT,AkiyamaK,ShibataH:Anewsurgicalapproachtomyopia.AmJOphthalmolC36:823-829,C195327)FyodorovCSN,CDurnevVV:OperationCofCdosagedCdissec-tionofcornealcircularligamentincasesofmyopiaofmildCdegree.AnnOphthalmolC11:1885-1890,C197928)WaringCGO,CLynnCMJ,CGelenderCHCetal:ResultsCofCtheCprospectiveevaluationofradialkeratotomy(PERK)studyoneyearaftersurgery.Ophthalmology92:177-198,C198529)WaringCGO,CLynnCMJ,CMcDonnellPJ:ResultsCofCtheCpro-spectiveevaluationofradialkeratotomy(PERK)study10yearsCafterCsurgery.CArchCOphthalmolC112:1298-1308,C199430)MaedaN,KlyceSD,SmolekMKetal:Automatedkerato-conusCscreeningCwithCcornealCtopographyCanalysis.CIOVSC35:2749-2757,C199431)FengMT,BelinMW,AmbrosioRetal:InternationalvalC-uesCofCcornealCelevationCinCnormalCsubjectsCbyCrotatingCScheimp.ugCcamera.CJCCataractCRefractCSurgC37:1817-1821,C201132)FukudaCS,CKawanaCK,CYasunoCYCetal:AnteriorCocularCbiometryCusingC3-dimensionalCopticalCcoherenceCtomogra-phy.OphthalmologyC116:882-889,C200933)水川孝,眞鍋禮三:角膜移植─とくに液体保存を主張する根拠について.眼紀19:1310-1318,C196834)McCareyCBE,CKaufmanHE:ImprovedCcornealCstorage.CIOVSC13:165-173,C197435)WaltmanCSR,CPalmbergPF:HumanCpenetratingCkerato-plastyusingmodi.edM-Kmedium.OphthalmicSurgC9:C48-50,C197836)KaufmanHE,VarnellED,KaufmanSetal:K-solcornealpreservation.AmJOphthalmol100:299-303,C198537)LindstromRL,KaufmanHE,DebraLetal:Optisolcorne-alstoragemedium.AmJOphthalmol114:345-356,C199238)GipsonIK:GobletCcellsCofCtheconjunctiva:aCreviewCofCrecent.ndings.ProgRetinEyeResC54:49-63,C201639)KenyonCKR,CTsengSC:LimbalCautograftCtransplantationCforCocularCsurfaceCdisorders.COphthalmologyC96:709-722,C198940)KimCJC,CTsengSC:TransplantationCofCpreservedChumanCamnioticmembraneforsurfacereconstructioninseverelydamagedrabbitcorneas.Cornea14:473-484,C199541)TsubotaK,SatakeY,KaidoMetal:Treatmentofsevereocular-surfaceCdisordersCwithCcornealCepithelialCstem-cellCtransplantation.NEnglJMedC340:1697-1703,C199942)ShimazakiCJ,CShimmuraCS,CTsubotaK:DonorCsourceCa.ectsCtheCoutcomeCofCocularCsurfaceCreconstructionCinCchemicalCorCthermalCburnsCofCtheCcornea.COphthalmologyC111:38-44,C200443)MovahedanCA,CCheungCAY,CEslaniCMCetal:Long-termCoutcomesofocularsurfacestemcellallografttransplanta-tion.CAmJOphthalmol184:97-107,C201744)PellegriniCG,CTraversoCCE,CFranziCATCetal:Long-termCrestorationCofCdamagedCcornealCsurfacesCwithCautologousCcultivatedcornealepithelium.LancetC349:990-993,C199745)TsaiRJ,LiLM,ChenJK:Reconstructionofdamagedcor-neasCbyCtransplantationCofCautologousClimbalCepithelialCcells.NEnglJMed343:86-93,C200046)KoizumiN,InatomiT,SuzukiTetal:Cultivatedcornealepithelialstemcelltransplantationinocularsurfacedisor-(21)あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021C1385ders.OphthalmologyC108:1569-1574,C200147)MunierCFL,CKorvatskaCE,CDjemaiCACetal:Kerato-epithe-linmutationsinfour5q31-linkedcornealdystrophiesNatGenet15:247-251,C199748)IrvineCAD,CCordenCLD,CSwenssonCOCetal:MutationsCinCcornea-speci.cCkeratinCK3CorCK12CgenesCcauseCMees-mann’sCcornealCdystrophy.CNatureCGenetC16:184-187,C199749)TsujikawaM,KurahashiH,TanakaTetal:Identi.cationofCtheCgeneCresponsibleCforCgelatinousCdrop-likeCcornealCdystrophy.NatGenetC21:420-423,C199950)NakatsukasaCM,CKawasakiCS,CYamasakiCKCetal:Tumor-associatedcalciumsignaltransducer2isrequiredforthepropersubcellularlocalizationofclaudin1and7.Implica-tionCinCtheCpathogenesisCofCgelatinousCdrop-likeCcornealCdystrophy.AmJPathol177:1344-1355,C201051)HiedaCO,CKawasakiCS,CYamamuraCKCetal:ClinicalCout-comesCandCtimeCtoCrecurrenceCofCphototherapeuticCkera-tectomyinJapan.Medicine(Baltimore)C98:e16216,C201952)MashimaCY,CKawaiCM,CYamadaM:CornealCelectrolysisCforCrecurrenceCofCcornealCstromalCdystrophyCafterCkerato-plasty.BrJOphthalmolC86:273-275,C200253)WeissJS,MollerHU,AldaveAJetal:IC3Dclassi.cationofCcornealCdystrophies-editionC2.CCorneaC34:117-159,C201554)StreileinJW:OcularCimmuneprivilege:therapeuticCopportunitiesCfromCandCexperimentCofCnature.CNatureImmunolC3:879-889,C200355)NiederkornJ:CornealCtransplantationCandCimmuneCprivi-lege.CIntRevImmunolC32:57-67,C201356)NakamuraCT,CInatomiCT,CSotozonoCCCetal:Transplanta-tionCofCcultivatedCautologousCoralCmucosalCepithelialCcellsCinpatientswithsevereocularsurfacedisorders.8:1280-1284,C200457)NishidaCK,CYamatoCM,CHayashidaCYCetal:CornealCrecon-structionCwithCtissue-engineeredCcellCsheetsCcomposedCofCautologousCoralCmucosalCepithelium.CNCEnglCJCMedC351:C1187-1196,C200458)SotozonoCC,CAngCLP,CKoizumiCNCetal:NewCgradingCsys-temCforCtheCevaluationCofCchronicCocularCmanifestationsCinCpatientsCwithCStevens-JohnsonCsyndrome.COphthalmologyC114:1294-1302,C200759)SugitaCJ,CKondoJ:DeepClamellarCkeratoplastyCwithCcom-pleteCremovalCofCpathologicalCstromaCforCvisionCimprove-ment.BritJOphthalmolC81:184-188,C199760)ShimazakiCJ,CShimmuraCS,CIshiokaCMCetal:RandomizedCclinicalCtrialCofCdeepClamellarCkeratoplastyCvsCpenetratingCkeratoplasty.AmJOphthalmolC134:159-165,C200261)MellesCGR,CEgginkCFA,CLanderCFCetal:ACsurgicalCtech-niqueforposteriorlamellarkeratoplasty.CorneaC17:618-626,C199862)MellesGR:PosteriorClamellarkeratoplasty:DLEKCtoCDSEKtoDMEK.CorneaC25:879-881,C200663)BusinCM,CBhattCPR,CScorciaV:ACmodi.edCtechniqueCforCdescemetmembranestrippingautomatedendothelialkera-toplastytominimizeendothelialcellloss.ArchOphthalmol126:1133-1137,C200864)KruseCFE,CLaaserCK,CCursiefenCCCetal:ACstepwiseCapproachCtoCdonorCpreparationCandCinsertionCincreasesCsafetyCandCoutcomeCofCDescemetCmembraneCendothelialCkeratoplasty.CorneaC30:580-587,C201165)TerryCMA,COusleyPJ:DeepClamellarCendothelialCkerato-plastyCinCtheC.rstCUnitedCStatespatients:earlyCclinicalCresults.CCorneaC20:239-243,C200166)PriceCFWCJr,CPriceMO:Descemet’sCstrippingCwithCendo-thelialkeratoplastyin50eyes:arefractiveneutralcorne-altransplant.JCRefractSurgC21:339-345,C200567)GorovoyMS:Descemet-strippingCautomatedCendothelialCkeratoplasty.CorneaC25:886-889,C200668)島﨑潤:レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症─国内外の状況―.あたらしい眼科24:851-853,C200769)HigashiharaCH,CSotozonoCC,CYokoiCNCetal:TheCblood-aqueousCbarrierCbreakdownCinCeyesCwithCendothelialCdecompensationafterargonlaseriridotomy.BrJOphthal-molC95:1032-1034,C201170)YamamotoCY,CUnoCT,CShisidaCKCetal:DemonstrationCofCaqueousCstreamingCthroughCaClaserCiridotomyCwindowCagainstCtheCcornealCendothelium.CArchCOphthalmolC124:C387-393,C200671)AngCLPK,CHigashiharaCH,CSotozonoCCCetal:ArgonClaserCiridotomy-inducedCbullousCkeratopathy-ACgrowingCprob-leminJapan.BritJOphthalmolC91:1613-1615,C200772)大橋裕一,大野重昭:抗アレルギー点眼薬が効果不十分な春季カタルに対するC0.1%CDE-076(シクロスポリン)点眼薬の臨床評価.あたらしい眼科24:1537-1546,C200973)MiyazakiCD,CFukushimaCA,COhashiCYCetal:Steroid-spar-ingCe.ectCof0.1%CtacrolimusCeyeCdropCforCtreatmentCofCshieldulcerandcornealepitheliopathyinrefractoryaller-gicoculardiseases.OphthalmologyC124:287-294,C201774)SuzukiCT,CMitsuishiCY,CSanoCYCetal:PhlyctenularCkerati-tisCassociatedCwithCmeibomitisCinCyoungCpatients.CAmJOphthalmol140:77-82,C200575)WenCD,CMcAlindenCC,CFlitcroftCICetal:PostoperativeCe.cacy,Cpredictability,Csafety,CandCvisualCqualityCofClaserCcornealrefractivesurgery:anetworkmeta-analysis.AmJOphthalmolC178:65-78,C201776)FautschMP,WiebenED,BaratzKHetal:TCF4-mediat-edCFuchsCendothelialCcornealdystrophy:InsightsCintoCaCcommonCtrinucleotideCrepeat-associatedCdisease.CProgCRetinEyeResC81:100883,C202177)BorkarCDS,CVeldmanCP,CColbyKA:TreatmentCofCFuchsCendothelialCdystrophyCbyCDescemetCstrippingCwithoutCendothelialkeratoplasty.CorneaC35:1267-1273,C201678)SpoerlCE,CMrochenCM,CSlineyCDCetal:SafetyCofCUVA-ribo.avinCcross-linkingCofCtheCcornea.CCorneaC26:385-389,C2007C1386あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021(22)79)DijkCVK,CLiarakosCVS,CParkerCJCetal:BowmanClayerCtransplantationCtoCreduceCandCstabilizeCprogressive,CadvancedCkeratoconus.COphthalmologyC122:909-917,C201580)AlioCJL,CBarrioCJLA,CZarifCMEICetal:RegenerativeCsur-geryCofCtheCcornealCstromaCforCadvancedkeratoconus:C1-yearoutcomes.AmJOphthalmolC203:53-68,C201981)KohS,AmbrosioRJr,MaedaNetal:Evidenceofcorne-alCectasiasusceptibility:aCnewCde.nitionCofCformeCfrusteCkeratoconus.JCataractRefractSurgC46:1570-1572,C202082)MeekKM,KnuppC:Cornealstructureandtransparency.ProgRetinEyeResC49:1-16,C201583)RamaCP,CMatuskaCS,CPaganoniCGCetal:LimbalCstem-cellCtherapyCandClong-termCcornealCregeneration.CNCEnglCJCMed363:147-155,C201084)OieCY,CNishidaK:CornealCregenerativeCmedicine.CRegenCTherC5:40-45,C201685)SotozonoCC,CInatomiCT,CNakamuraCTCetal:VisualCimprovementaftercultivatedoralmucosalepithelialtrans-plantation.OphthalmologyC120:193-200,C201386)KomaiCS,CInatomiCT,CNakamuraCTCetal:Long-termCout-comeCofCcultivatedCoralCmucosalCepithelialCtransplantationCforfornixreconstructioninchroniccicatrisingdiseases.BrCJCOphthalmoldoi:10.1136bjophthalmol-2020-318547,C202187)NakamuraT,InatomiT,SotozonoCetal:OcularsurfacereconstructionCusingCstemCcellCandCtissueCengineering.CProgRetinEyeResC51:187-207,C201688)KinoshitaCS,CKoizumiCN,CUenoCMCetal:InjectionCofCcul-turedcellswithaROCKinhibitorforbullouskeratopathy.NEnglCJMedC378:995-1003,C201889)BasuS,SurekaSP,ShanbhagSSetal:Simplelimbalepi-thelialtransplantation:long-termclinicaloutcomesin125casesCofCunilateralCchronicCocularCsurfaceCburns.COphthal-mologyC123:1000-1010,C201690)DengSX,BorderieV,ChanCCetal:Globalconsensusonde.nition,Cclassi.cation,Cdiagnosis,CandCstagingCofClimbalCstemcellde.ciency.CorneaC38:364-375,C201991)DengSX,KruseF,GomesJAPetal:GlobalconsensusontheCmanagementCofClimbalCstemCcellCde.ciency.CCorneaC39:1291-1302,C202092)SuzukiCT,CTeramukaiCS,CKinoshitaS:MeibomianCglandsCandCocularCsurfaceCin.ammation.COcularCSurfC13:133-149,C201593)天野史郎ほか:マイボーム腺機能不全ワーキンググループ.マイボーム腺機能不全の定義と診断基準.あたらしい眼科C27:627-631,C201094)早野三郎:人工角膜移植の臨床(長期成績).日眼会誌C75:C1404-1407,C197195)FalcinelliCG,CFalsiniCB,CTaloniCMCetal:Modi.edCosteo-odonto-keratoprosthesisCforCtreatmentCofCcornealCblind-ness:long-termCanatomicalCandCfunctionalCoutcomesCinC181cases.CArchOphthalmolC123:1319-1329,C200596)AhmadCS,CMathewsCPM,CLindsleyCKCetal:BostonCtypeC1Ckeratoprosthesisversusrepeatdonorkeratoplastyforcor-nealgraftfailure:asystematicreviewandmeta-analysis.Ophthalmology123:165-177,C201697)SrikumaranCD,CMunozCB,CAldaveCAJCetal:Long-termCoutcomesofbostontype1keratoprosthesisimplantation:CaCretrospectiveCmulticenterCcohort.COphthalmologyC121:C2159-2164,C201498)HicksCCR,CCrawfordCGJ,CDartCJKGCetal:AlphaCor:clini-caloutcomes.CorneaC25:1034-1042,C200699)AlioCJL,CAbdelghanyCAA,CAbu-MustafaCSKCetal:ACnewepidescemeticCkeratoprosthesis:pilotCinvestigationCandCproofCofCconceptCofCaCnewCalternativeCsolutionCforCcornealCblindness.BrJOphthalmolC99:1483-1487,C2015100)HayashiCR,CIshikawaCY,CSasamotoCYCetal:Co-ordinatedCoculardevelopmentfromhumaniPScellsandrecoveryofcornealfunction.Nature531:376-380,C2016参考文献(付録)『日本眼科学会雑誌』に掲載された角膜関係の特別講演と宿題報告(評議員会指名講演)の論文で本稿の内容に関係する可能性のあるものを列記した.いずれも先達とその関係者の研究の集大成であり,示唆に富む内容を多く含んでいる1)中村康:特別講演.角膜移植術の基礎的研究と其の臨床的応用に就いて.日眼会誌54:251-272,C19502)桑原安治:宿題報告.全層角膜移植のための長時間眼球保存に関する研究.日眼会誌69:1751-1840,C19653)筒井純:宿題報告.角膜移植における病的移植片の諸問題.日眼会誌69:1841-1870,C19654)早野三郎:宿題報告.人工角膜移植.日眼会誌C69:1871-1902,C19655)水川孝:特別講演.涙の生理.日眼会誌C75:1953-1973,C19716)国友昇:特別講演.人結膜の微小じゅんかん.日眼会誌C76:1344-1355,C19727)内田幸男:宿題報告.角膜ヘルペス─主として診断学的立場から.日眼会誌76:1391-1413,C19728)北野周作:宿題報告.角膜ヘルペス─主として形態学的立場から.日眼会誌76:1414-1434,C19729)小林俊策:宿題報告.角膜ヘルペス─主としてウイルス学的立場から.日眼会誌76:1454-1471,C197210)三島濟一:特別講演.角膜内皮細胞層の生理と病理.日眼会誌77:1736-1759,C197311)三井幸彦:特別講演.角膜感染症.日眼会誌C79:1651-1664,C197512)真鍋禮三:宿題報告.角膜上皮障害に対する新しい治療の試み-フィブロネクチンの基礎と臨床.日眼会誌C88:401-413,C198313)糸井素一:宿題報告.角膜疾患の診断と治療─円錐角膜を中心として─.日眼会誌88:414-423,C198314)谷島輝雄:宿題報告.角膜内皮細胞層の変性と再生─機能(23)あたらしい眼科Vol.38,No.12,2021C1387