写真セミナー監修/福岡秀記山口剛史滝陽輔469.Mycobacteriumchelone感染東京歯科大学市川総合病院眼科図2図1のシェーマ①角膜実質深層の浸潤②前房蓄膿図1初診時前眼部所見角膜中央実質深層に浸潤,endothelialplaque,浮腫,前房蓄膿を認めた.図3図1のフルオレセイン所見浸潤に一致して上皮欠損を認める.図4再発時前眼部所見角膜中央実質深層に白色病変を多数認める.(85)あたらしい眼科Vol.40,No.6,2023C7970910-1810/23/\100/頁/JCOPY症例は56歳の女性.Stevens-Johnson症候群のため左眼角膜穿孔ののち結膜化した既往がある.右眼の眼瞼角化と角膜上皮障害に対しヒアレインミニ点眼液とフルメトロン点眼液0.1%で治療中であった.外来通院中に右眼視力低下とともに角膜中央に上皮欠損と浸潤,endothelialplaque,前房蓄膿を認めたため入院加療となった(図1~3).真菌性角膜潰瘍の疑いで,ピマリシン眼軟膏C4回/日,ブイフェンド点眼液C6回/日,オフサロン点眼液C3回/日を開始した.入院時の培養検査でCMycobacteriumcheloneが検出されたが,浸潤は改善傾向であったため,点眼を漸減し退院となった.しかし,退院C2カ月後の外来通院中に角膜浸潤と上皮欠損を認めたため再度入院し(図4),角膜擦過培養でCM.Cche-loneが再び検出された.ベガモックス点眼液C5回/日,オフサロン点眼液C5回/日,エコリシン眼軟膏C3回/日を開始.改善傾向のため退院となったが,退院後も増悪寛解を繰り返している.Mycobacteriumは結核菌以外の培養可能な抗酸菌として非定型抗酸菌ともよばれる.コロニーの特徴に基づいてCRunyon分類CI~IVで分類されており,IVは発育が迅速であり,M.fortuitum,M.chelonae,M.abescessusが属する1).非定型抗酸菌角膜炎の原因のC83.5%がこれらC3種の菌である2).世界中の自然水や土壌に存在し,バイオフィルムを形成することができるため,手術室やプールなどの日常的な配水システムといった人工的な環境でも生存することができる.外傷,コンタクトレンズ,眼手術などがきっかけとなり,ステロイド点眼の使用もリスクとなる.また,屈折矯正手術の進歩に伴いLASIK後の非定型抗酸菌角膜炎の集団発生が報告されており,これらは手術で使用する水や器具の不適切な滅菌に関連しており,LASIK後角膜炎の原因菌のC47%を占める3).症状は視力低下,羞明,眼痛である.外傷から感染の発症まで数日から数週間かかるが,LASIK後の場合は数週間と経過が長くなる.細隙灯顕微鏡所見での角膜浸潤は多巣性のものや,多数の白色衛生病変に囲まれた単一の主病変などである.3分のC1の患者で初診時に上皮欠損を認めない.早期の段階では浸潤が放射状の突起をもつことがあり,crackedwindshieldという特徴的な所見である.LASIK後では病変はフラップ内かフラップ面にみられる.診断は感染病巣を擦過して抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen染色)や抗酸菌培養を行う.発育の早い種ではC1週間以内と比較的早くわかるが,遅い種の発育をみるためには培養期間をC8週間まで待つべきである.薬剤感受性はアミノグリコシド系薬(アミカシン,アルベカシン),マクロライド系薬,フルオロキノロン系薬があるといわれているが,近年キノロン系薬にも耐性の報告がある.これらをC2種類ないしそれ以上組み合わせて治療することが推奨されている.診断の遅れや,不十分な薬剤浸透性,治療への反応が緩徐であることなどから満足のいく治療ができず,数週間から数カ月の長期的な治療が必要である.難治例ではクラリスロマイシンなどの内服をすることもある.外用治療が効かない場合は外科的治療が必要である.菌量を減らし,薬剤浸透を促すために層状角膜切除が行われる.LASIK後の場合はフラップを持ち上げ,削り取り,抗菌薬で実質を洗浄する.難治例ではフラップを切除することもある.非定型抗酸菌角膜炎はC68~95%で外科的介入が必要であったという報告もある.外傷やCLASIK後などで難治性の角膜炎をみたら,非定型抗酸菌角膜炎も念頭におき,早期診断早期治療が重要である4).文献1)RunyonEH:Anonymousmycobacteriainpulmonarydis-ease.MedClinNorthAmC43:273-290,C19592)MoorthyCRS,CValluriCS,CRaoCNACetal:NontuberculousCmycobacterialocularandadnexalinfections.SurvOphthal-molC57:202-235,C20123)ChangCMA,CJainCS,CAzarCDTCetal:InfectionsCfollowingClaserCinCsitukeratomileusis:anCintegrationCofCtheCpub-lishedliterature.SurvOphthalmolC49:269-280,C20044)ChuHS,HuFR:Non-tuberculousmycobacterialkeratitis.ClinMicrobiolInfectC19:221-226,C2013