あたらしい眼科41(5):537.543,2024c第28回日本糖尿病眼学会特別講演(眼科)私の挑んだ糖尿病眼合併症への攻略MyChallengetoConquerDiabeticEyeComplications加藤聡*はじめに眼科医になり,糖尿病に起因するさまざまな眼合併症があることを,日常診療の患者から知り,それに対し,少しでもよりよい治療ができるように工夫してきたが,まだ道半ばというところである.今回,日本糖尿病眼学会で特別講演の機会をいただいた.これを今まで筆者が糖尿病眼合併症に対し,どのように対峙してきたかをまとめる機会と捉え,ここに記す.I糖尿病眼合併症とのかかわりのきっかけ筆者と糖尿病眼合併症とのかかわりは,1988年に東京大学眼科に導入されたレーザーフレアーメーターの糖尿病眼への臨床応用から始まった.網膜症の程度と前房内フレアー値は相関し1),あたかも網膜症の程度を定量しているかのようであった.その理由を探るべく,当時は糖尿病眼での白内障手術では周辺虹彩切除術を併用していたことを利用し,手術時に得られた虹彩血管の電子顕微鏡所見とフレアー値との関連の研究を行った.その結果,虹彩血管障害(図1)の程度がフレアー値に大きく影響していることが判明した2).そのような研究がきっかけで,多くの糖尿病患者を診察することとなっていった.IIさまざまな糖尿病眼合併症との闘いその後,糖尿病眼合併症の患者を多く診られるとのことで,東京女子医科大学糖尿病センター眼科に勤務することになった.そこではすべての患者が糖尿病であり,網膜症のみならず,さまざまな眼合併症を診ることとな図1虹彩血管の血液房水柵の破綻a:虹彩血管の内皮細胞の脱落.b:虹彩血管のtightjunctionから血液成分の漏出.った.網膜症についても多くの研究がなされていたが,糖尿病のよって引き起こされる角膜症3.7),続発緑内障8),視神経症,脈絡膜症9.10),眼筋麻痺を診察し,臨床研究も多く行うことができた.当時(1990年代後半)の糖尿病網膜症診療の問題点として,現在に比較して硝子体手術成績が低いことがあげられる.その理由として,当時用いられていた硝子体手術機器の未発達さや,手術の際に使用する補助剤が現在のようになかったことがある.それらと同程度に,実臨床で感じられることとして,硝子体手術術前の不完全な網膜光凝固術があり,それがその後の網膜光凝固術教育の原動力となっていった.また,当時はちょうど小切開白内障手術が爆発的な広*SatoshiKato:つつみ眼科クリニック〔別刷請求先〕加藤聡:179-0081東京都練馬区北町2-22-8サンテアネックス1Fつつみ眼科クリニック0910-1810/24/\100/頁/JCOPY(65)537がりをみせており,糖尿病網膜症を合併した症例に限れば白内障術後の網膜症の急激な悪化や血管新生緑内障の発症の症例に悩まされることが多かった.その原因の一つとして白内障手術後に極端な前.収縮(図2)や後発白内障(図3)により,十分な網膜光凝固が行えないことがあった.III糖尿病患者での白内障手術時の問題点への対応糖尿病患者における白内障手術時の問題点として,術中,術後の高血糖がある.当時の東京女子医科大学糖尿病センター眼科では,血糖コントロール不良例に対しても積極的に白内障手術を施行していた.しかし,手術当日の夜に高血糖をきたす患者もあり,その原因の一つとして当時ほぼ全例で行われていた白内障手術終了時のステロイド結膜下注射が関連することが考えられ,その必要性を検討することとなった.その結果,白内障手術そのものでも手術終了後は血糖値の上昇があり,とくにステロイド結膜下注射を行った場合は有意に上昇する(図4)が,フレアー値に対する効果は明らかでないこと(図5)が判明した11).以上のことにより,白内障手術終了時にステロイドの結膜下注射を行わないことが標準化されていった.次に注目したのは糖尿病患者で白内障術後に糖尿病網膜症が発症,進展する問題点の研究であった.当時はその評価方法が確立されておらず,研究方法に問題のあるさまざまな研究結果が散見されている状況であった.そこで,白内障術後の網膜症の悪化を「非術眼に比較して,術後1年時に福田分類で2段階以上悪化した症例」と定義して検討した.その結果,糖尿病症例で白内障術後1年で網膜症の発症,進展した症例が24%で,その悪化と術直前の血糖コントロール状況とは無関係であることを明らかにした12).この研究成果により,その後徐々に術直前の血糖コントロール状況が悪くても白内障手術が施行されるようになっていった.IV白内障術後に適切な網膜光凝固を施行するために―後発白内障を減らす前述したが,白内障術後の合併症の一つとして後発白内障があり,そのためとくに周辺部の網膜光凝固が完璧に行えないことがあった(図6).障術者の中には後発白内障はNd:YAGレーザーで切開すれば視力も回復するので,さほど大きな問題のある合併症と捉えられない向きもあったが,米国ではNd:YAGレーザーの治療費が年間2億5,000万ドルにも上り,医療経済上大きな問題となっていた.白内障術後の後発白内障の発生の評価法として,単にNd:YAGレーザーの施行率で評価する報告もあったが,術後矯正視力が不良なこともある糖尿病網膜症症例では明らかにその方法は不適切であった.また,さまざまな定量方法が開発されていたが,各方法に一長一短があった.そのため,糖尿病眼では非糖尿病眼に比較して後発白内障が多いとの報告がある一**50血糖値(mg/dl)40350300302502002015010010500pre361218240結注後の時間(時間)術前1日後2日後5日後7日後14日後図4糖尿病症例での白内障術後の血糖値への影響術後期間白内障手術そのものでも手術終了後は血糖値の上昇があり,と図5糖尿病症例での白内障手術のフレアー値の変化くにステロイド結膜下注射を行った場合は有意に上昇するといステロイド結膜下注射の有無により白内障術後のフレアー値にうことが判明した.差はなかった.図6Nd:YAGレーザーによる後発白内障切開いくら大きく切.しても周辺部の混濁は残り,網膜光凝固術の障害になる.方,逆に少ないとの報告もなされていた.そこで後発白内障を少なくするための手術方法を明らかにするために,まずはその定量法の研究のためにロンドンのCStCThomas’Hospital(世界で初めて眼内レンズを人眼に移植した病院)に留学することとなった.後発白内障を少なくする手術の手段として,眼内レンズの素材があり,当時は後発白内障を少なくするための素材として「アクリル≦シリコーン<PMMA(polymethylCmethacrylate)<ハイドロジェル」と考えられていたが,それ以上にCIOLのエッジ形状が重要であることが後発白内障を正しく定量することで判明していった13).そのため,エッジ効果が少なくなる眼内レンズのハプテクスの付け根から水晶体上皮細胞が迷入し後発白内障が起こることもが観察された(図7)14).眼内レンズのエッジ効果が得られない眼内レンズの.外固定だとその部位より線維性混濁が始まるが,確実に.内固定を行おうと小さな前.切開を行うと術後の前.収縮で眼底の光凝固が行いにくくなってしまうというジレンマがあった.エッジ効果が,レンズの素材より重要で,シャープエッジの眼内レンズを使用することは後発白内障を少な図7眼内レンズのエッジ効果白内障術後C19カ月でハプテクスの付け根から後発白内障が起こる.くするうえで不可欠と考えられた.また,水晶体上皮細胞の数そのものを少なくするのを目的として術中に前.磨きを行っても,後発白内障の発生を抑制する効果もみられなかった.さらに,後発白内障の定量化を厳密に行ったところ,後発白内障が起こりやすい病態として糖尿病眼15)が,また白内障硝子体同時手術16)があることも明らかにし,糖尿病眼および硝子体同時手術では非糖尿病眼に比較してより後発白内障の発生を防ぐことを意識した手術が必要であると考えられた.以上のことより,後発白内障の定量化から,後発白内障を起こしにくくする手術方法の開発につながっていった.CV適切な網膜光凝固を行うために前述したが,1990年代の硝子体手術の成績は低調で,その原因の一つとして術前の不完全な網膜光凝固が考えられた.当時,糖尿病網膜症に対する網膜光凝固術は誰が行うかについてアンケート調査を施行した矢島,浜中らの報告では,欧米では網膜専門医が行うのに対し,わが国では受け持ち医が行うとされていた.そのため,わが国では眼科医ならば網膜専門医でなくとも適切な網膜光凝固を施行できる技術を会得する必要があると考えられた.しかし,白内障手術では完成度が高い手術を施行できても,眼底の網膜光凝固が不十分なゆえに虹彩ルベオーシスから血管新生緑内障にまで進行させてしまっているケースをみるにつけ,白内障手術教育がすでに完成されているのに対し,網膜光凝固術教育が不十分であることを痛感させられていた.そこで,それを補うために日本臨床眼科学会や日本眼科手術学会で網膜光凝固をなるべくなら自分の経験則に依らずにエビデンスを用いて適切な網膜光凝固を教育するように臨んでいった.白内障手術の際に使用する眼内レンズとして黄色眼内レンズは有害な波長をカットするという宣伝文句で徐々に広まりつつあった.有害な波長として網膜光凝固に使用する波長が含まれているとしたならば,黄色眼内レンズが移植された白内障術後眼での網膜光凝固の際には工夫が必要なことが考えられた.そこで,実際に網膜光凝固の際に使用される波長で黄色眼内レンズの厚さごとに透過性を調べたところ,Blue-Greenの波長だと眼内レンズが厚くなるにつけ,レーザー光がカットされることが判明した.その結果,黄色眼内レンズが移植された眼に対して,Blue-Greenの波長で網膜光凝固を施行する際には,その分だけ出力を上げる必要があることがわかった17).筆者が眼科医になったころの網膜光凝固といえば,三面鏡の接触レンズを用いていたものだが,1990年代後半になってからは広視野倒像レンズを用いての網膜光凝固が一般的になっていた.しかし,広視野倒像レンズの特徴もよく理解せずに不用意に設定凝固径を大きくしたあげく,凝固斑を出すために不適切な凝固出力で凝固している症例が散見された.実際に適切な凝固径,凝固出力で網膜光凝固を行っても,広視野倒像レンズを用いると,前眼部への影響,とくに角膜内皮細胞への影響があることを示し18),広視野倒像レンズ使用の際に凝固装置上の最大許容設定凝固径を守るように網膜光凝固の教育講演の際には必ず話すことにした.通常の汎網膜光凝固を施行していても,糖尿病網膜症の虚血の状態が強く,虹彩ルベオーシスが発生することを経験する.通常の網膜光凝固斑の密度を文献的に調べると,凝固斑と凝固斑との間隔は,その凝固斑の直径以上の間隔を置くのを原則とし,正方形四つの中で凝固斑の占める面積はそのC1/4程度になることから網膜全体の19%程度になると記載されていた.そのような凝固密度で汎網膜光凝固を施行されていても虹彩ルベオーシスをきたしていた患者に追加でより密に網膜光凝固を追加し,虹彩ルベオーシスの活動性が鎮静化した患者の凝固密度を計測するとC50%程度にまで達することが判明した.すなわち,虹彩ルベオーシスを抑制するための汎網膜光凝固では,可能な限り大きな凝固径でより密に凝固40する必要があることを明らかにした19).糖尿病患者において,白内障手術と網膜光凝固の治療35の双方が必要となる場合を経験することがある.網膜光30凝固が行えないほどに進行した白内障がある場合は,迷わず白内障手術を先行させるが,そこまで進行していな25い白内障の症例の場合は,どちらを先行させるか迷うこ20とがある.白内障手術を先行した場合は,術後に急激な網膜症の進行や虹彩ルベオーシスの発症が心配である15が,それと同時に白内障手術後に極大散瞳させても瞳孔10径が減少して,周辺部の網膜光凝固が施行できにくくなることが危惧される.そこで,糖尿病症例で白内障術前5後に極大散瞳の瞳孔面積を定量的に計測したところ,白内障術後C3カ月が経過すれば術前と同様の瞳孔径が得られることが判明した.すなわち,術後早期に網膜光凝固が必要な場合を除き,白内障手術を施行してからC3カ月経過すれば,最周辺部までのレーザーが施行でき,網膜症の病態に合わせて白内障手術と網膜光凝固を計画すればよいことが示唆された20).そのほかに,網膜光凝固術の教育にエビデンスをもった内容を取り入れることに専念し,以下のことを明らかにしていった.それらは,パターンスキャンレーザーで使用される高出力短時間凝固では,凝固径の拡大は従来法に比較して小さいこと21),逆に眼内レーザーを用いた場合の凝固径の拡大は通常の経瞳孔的網膜光凝固に比較して大きいこと22),糖尿病黄斑浮腫に対して硝子体手術を行う際に,術前・術後に蛍光眼底撮影を行い,網膜血管床閉塞領域に対して確実に網膜光凝固を行えば,術後に血管新生緑内障を起こす患者がないこと23)を明らかにしていった.以上のように,網膜光凝固術の教育に力を入れることが,糖尿病網膜症による視覚障害が少なくなっていったことにつながっていたのではないかとも考えている.CVI糖尿病患者のロービジョンケア2000年代初頭に東京大学病院眼科外来でロービジョン外来を立ち上げることになった.そこでさまざまな眼科疾患で視覚障害になっている患者に対して,ロービジョンケアを行うこととなった.もちろん,糖尿病網膜症やそれに続発した血管新生緑内障により視覚障害をきたしている患者も紹介されてくることが多かった.しかし,視覚障害をきたしている糖尿病患者は,他の疾患,0図8糖尿病網膜症とそれ以外の疾患による重度視野障害者の特徴の比較糖尿病網膜症で重度視覚障害になった患者は他疾患と比較してメンタルヘルスが有意に障害されていた(VFQ-25)たとえば緑内障や網膜色素変性が原因で視覚障害になっている患者に比較して,ロービジョンケアに消極的であることをよく経験した.その原因を知るべく,重度視覚障害になっている患者を対象にして,NationalCEyeCInstituteC25-ItemCVisualCFunctionQuestionnaire(NEIVFQ-25)を用いて糖尿病患者と他の疾患の患者とを比較したところ,メンタルヘルスが有意に障害されていることが判明した(図8).そのことと関連して,うつ病患者は糖尿病を発症しやすく,2型糖尿病患者はうつになるリスクが高く,さらに視覚障害があるとうつになりやすく,糖尿病患者で視覚障害をきたしている場合は,眼科医の患者への言動にも注意が必要であることを認識させられた.CVIIマイクロパルス閾値下レーザーと偏光光干渉断層計糖尿病黄斑浮腫に対する治療は,とくにC2010年代に入るとレーザー治療,硝子体手術から抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)薬が主体となってきた.とくにレーザー治療は,局所性黄斑浮腫に対する治療以外では,凝固斑の拡大や癒合などの合併症があり,わが国ではあまり施行されなくなっていた.そのような中で閾値下レーザーの可能性が取り上げられるようになり,その方法としてマイクロパルス閾値下レーザー,EndpointCManagement,低出力モードなどが開発されてきた.その中でもマイクロパルス閾値下レーザーの機器が以前とは異なり,577Cnmの通常の網膜光凝固ができる波長で,そのうえパターンスキャン機能が付加され,注目されるようになってきた.しかし,その問題点として,黄斑浮腫が減少する奏効機序が不明なうえ,凝固斑が出ないために凝固の指標がなく,その記録が不正確になることがあげられていた.そこで筆者らはマイクロパルス閾値下レーザーの奏効機序の解明のために,マイクロパルスレーザーと従来のレーザーでの遺伝子の発現の比較を行った.その結果,従来法に比較してマイクロパルスレーザーでは,成長因子に起因する反応やCp53downstreamに関与する遺伝子の発現が低く,従来法よりも糖尿病黄斑浮腫やアポトーシスの抑制に有利であることが示唆された24).次に,マイクロパルス閾値下レーザーでは凝固斑に対する指標がないことに対して検討を行った.従来法では,レーザーにより照射瘢痕が確認され,光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)上でのCellipsoidzoneも乱れるとされている.その一方,マイクロパルス閾値下レーザーでは凝固斑が見えないばかりか,OCTでも自発蛍光所見でも変化がみられない.そこで近年開発された偏光COCTを用いてその評価を行った.偏光COCTとは一言でいうと,偏光乱雑性を計測できる次世代COCTであり,メラニンによる偏光解消性,偏光乱雑性(entropy)を計測して,その結果,組織特性を可視化するものである.実際に糖尿病黄斑浮腫に対するマイクロパルス閾値下レーザーによるエントロピーの評価を偏光COCTを用いて行ったところ,網膜色素上皮層ではマイクロパルス閾値下レーザーの照射セクターでエントロピーが低下し,術後C6カ月では網膜変化率と網膜色素上皮層のエントロピー変化率に正の相関が認められた.以上のことにより,偏光COCTによるエントロピー測定は,今まで直接評価できなかったマイクロパルス閾値下レーザーによる網膜色素上皮の機能の変化モニタリングできる新たな指標となりうることが示された25).CVIII新しい光凝固装置NAVILASへの期待近年になり発売されたCNAVILASは,以下のような特徴をもつ.すなわち,マイクロパルス方式と同様に閾値下レーザーが施行可能で,治療計画を事前にプランニングし,高性能アイトラッキング機能により正確に照射ができ,その照射サマリーを電子カルテ上に残すことができる.前述したマイクロパルス閾値下レーザーでは,浮腫領域にC7C×7のパターン照射が行えるものの照射瘢痕が見えないため,隙間なく照射を行うのはよほど熟練した術者でも困難であった.それ対し,NAVILASによる閾値下レーザーはあらかじめ浮腫部位にプランニングしたうえで自動照射するために,瘢痕が残らなくても確実に照射でき,そのうえ照射サマリーも記録として残すことができるなどの特長がある.しかし,その一方で,網膜毛細血管瘤を凝固する際には二次元的には確実に凝固でき,黄斑近傍でも短時間照射により照射部の網膜感度の低下を引き起こさず凝固できる26)ものの,あくまでも二次元的でCZ軸方向の焦点合わせが不確実なことが懸念された.ただし,プランニングさえ行えば,術者によるレーザーの効果の差がなくなり,レーザーの熟練が不要になることが期待される.短時間凝固や閾値下レーザーを用いることにより,今まで黄斑浮腫に対する凝固の合併症として問題視されてきた凝固斑の拡大や癒合が過去のものになることも併せて期待されている.おわりに筆者が糖尿病眼合併症に対してどのように対峙してきたかを述べた.とくに糖尿病網膜症に対する網膜光凝固治療には力を入れてきたつもりである.最近では糖尿病黄斑浮腫の治療においては,網膜光凝固治療に比較して抗CVEGF薬の注射はその熟練度にかかわらず,一定の効果が得られるという点で医療の質として凌駕している.今後はCOCTや眼底写真などの画像情報から網膜光凝固術前に凝固場所や凝固条件を入力しておけば,術者の熟練度にかかわらず一定の効果が得られる網膜光凝固システムが開発されることを期待している.謝辞稿を終えるにあたり,以下の諸氏に感謝いたします(敬称略).増田寛次郎,新家眞,天野史郎,相原一,澤充,宮田和典,沼賀二郎,大鹿哲郎,福田雅俊,堀貞夫,山下英俊,北野滋彦,船津英陽,海谷忠良,杉田元太郎,大塚慎一,湯口琢磨,松村美代,安藤伸朗,佐藤幸裕,高野雅彦,植木麻理,DavidSpalton,福嶋はるみ,重枝崇志,白矢智靖,荒木章之,池上靖子,廣瀬晶,善本三和子,小関義之,吉筋正雄,GalinaDimitrova,茂木豊,林佳枝,戸田淳子,出田隆一,椎橋美予,戸塚清人,外山琢,杉本宏一郎,上田高志,丹治なほみ文献1)加藤聡,大鹿哲郎,船津英陽ほか:糖尿病病期と前房蛋白濃度.1.網膜症病期との相関.臨眼C43:1005-1008,C19892)加藤聡,大鹿哲郎,船津英陽ほか:糖尿病と前房蛋白濃度5.前房蛋白濃度の上昇と虹彩血管障害の関係.日眼会誌96:1000-1006,C19923)InoueK,KatoS,OharaCetal:Ocularandsystemicfac-torsCrelevantCtoCdiabeticCkeratoepithliopathy.CCorneaC20:C798-801,C20014)InoueCK,COkugawaCK,CKatoCSCetal:OcularCfactorsCrele-vantCtoCkeratoepitheliopathyCinCglaucomaCpatientsCwithCandwithoutdiabetesmellitus.JpnJOphthalmol47:287-290,C20035)GekkaM,MiyataK,NagaiYetal:CornealepithelialbarC-rierfunctionindiabeticpatients.CorneaC23:35-37,C20046)InoueCK,COkugawaCK,CAmanoCSCetal:BlinkingCandCsuper.cialCpunctuateCkeratopathyCinCpatientsCwithCdiabe-tesmellitus.EyeC19:418-421,C20057)MiyataCK,CKatoCS,CNejimaCRCetal:In.uencesCofCopticCedgeCdesignConCposteriorCcapsularCopacityCandCanteriorCcapsuleCcontraction.CActaCOphthalmolCScandC85:99-102,C20078)InoueCK.COkugawaCK,CKatoCSCetal:OcularCfactorsCrele-vantCtoCanti-glaucomatousCeyedrop-relatedCkeratoepitheli-opathy.JGlaucomaC12:480-485,C20039)DimitrovaCG,CKatoCS,CTamakiCYCetal:ChoroidalCcircula-tionindiabeticpatients.EyeC15:602-607,C200110)DimitrovaG,TamakiY,KatoSetal:Retobulbarcircula-tionCinCmyopicCpatientsCwithCorCwithoutCmyopicCchoroidalCneovascularisation.BrJOphthalmolC86:771-773,C200211)FukushimaCH,CKatoCS,CKaiyaCTCetal:E.ectsCofCsubcon-junctivalCsteroidCinjectionConCpostoperativeCintraocularCin.ammationCandCbloodCglucoseClevelCafterCcataractCsur-geryCinCdiabeticCpatients.CJCCataractCRefractCSurgC27:C1386-1391,C200112)KatoCS,CFukadaCY,CTanakaCYCetal:In.uenceCofCphacoe-mulsi.cationCandCintraocularClensCimplantationConCtheCcourseCofCdiabeticCretinopathy.CJCCataractCRefractCSurgC25:788-793,C199913)MiyataCK,CKatoCS,CNejimaCRCetal:In.uencesCofCopticCedgeCdesignConCposteriorCcapsularCopacityCandCanteriorCcapsuleCcontraction.CActaCOphthalmolCScandC85:99-102,C2007C14)SugitaM,KatoS,SugitaGetal:Migrationoflensepithe-lialCcellsCthroughChapticCrootCofCsingle-pieceCacrylic-fold-ableCintraocularClens.CAmCJCOphthalmolC137:377-379,C200415)EbiharaCY,CKatoCS,COshikaCTCetal:PosteriorCcapsuleCopaci.cationaftercataractsurgeryinpatientswithdiabe-tesmellitus.CJCataractRefractSurgC32:1184-1187,C200616)TodaCJ,CKatoCS,COshikaCTCetal:PosteriorCcapsuleCopaci.cationCafterCcombinedCcataractCsurgeryCandCvitrec-tomy.JCataractRefractSurgC33:104-107,C200717)ShirayaT,KatoS,ShigeedaT:In.uenceofayellow-tint-edCintraocularClensConCbeamCtransmittance.CActaCOphthal-mologicaC89:37-39,C201118)MurataH,KatoS,FukushimaHetal:CornealendothelialcellCdensityreduction:ACcomplicationCofCretinalCphotoco-agulationCwithCanCindirectCophthalmoscopyCcontactClens.CActaOphthalmolScandC85:407-408,C200719)ShirayaCT,CKatoCS,CShigeedaT:OptimalCareaCofCretinalCphotocoagulationCnecessaryCforCsuppressingCactiveCirisCneovascularisationCassociatedCwithCdiabeticCretinopathy.CIntCOphthalmol34:1115-1117,C201420)TotsukaK,KatoS,ShigeedaTetal:In.uenceofcataractsurgeryConCpupilCsizeCinCpatientsCwithCdiabetesCmellitus.CActaOphthalmologica90:e237-e239,C201221)ShirayaT,KatoS,ShigeedaTetal:ComparisonofburnsizeCafterCretinalCphotocoagulationCbyCconventionalCandChigh-powerCshort-durationCmethods.CActaCOphtahlmologi-caC92:e585-e586,C201422)ShirayaCT,CKatoCS,CArakiCFCetal:ComparisonCofCburnCsizesCresultingCfromCphotocoagulationCusingCaCtranspupil-laryClaserCandCaCanCendolaser.CActaCOphtahlmologicaC93:Ce595-e596,C201523)Aoyama-ArakiCY,CArakiCF,CShirayaCTCetal:ThoroughCperioperativeClaserCphotocoagulationCinCpreventionCofCneo-vascularCglaucomaCafterCvitrectomyCforCdiabeticCmacularCedema.IntJOphthalmolClinResC5:1-3,C201824)ShirayaCT,CArakiCF,CNakagawaCSCetal:Di.erentialCgeneCexpressionCanalysisCusingCRNAsequencing:retinalCpig-mentCepithelialCcellsCafterCexposureCtoCcontinuous-waveCandsubthresholdmicropulselaser.JpnJOphthalmol2022C66:487-497,C202225)UedaK,ShirayaT,ArakiFetal:Changesinentropyonpolarized-sensitiveCopticalCcoherenceCtomographyCimagesCafterCsubthresholdCmicropulseClaserCforCdiabeticCmacularedema:apilotstudy.PloSOne16:e0257000,C202126)IkegamiCY,CShirayaCT,CArakiCFCetal:MicroperimetricCanalysisCofCdiabeticCmacularCedemaCafterCnavigatedCdirectCphotocoagulationCwithCshort-pulseClaserCforCmicroaneu-rysms.IntJRetinaandVitreous,inpressC☆☆☆