●連載104監修=安川力髙橋寛二84.開業医の加齢黄斑変性治療石川浩平石川眼科医院滲出型加齢黄斑変性(AMD)治療をとりまく環境はさまざまであり,病診連携が困難でマンパワーが不足する施設などでは,治療不足が生じていると考えられる.その治療不足を補い,治療回数を減らす方法のひとつとして,AMDの病型によって抗CVEGF薬治療の維持療法を変えることと,pachychoroid関連疾患には光線力学的療法を活用していく方法がある.はじめに加齢黄斑変性(age-relatedCmaculardegeneration:AMD)治療をとりまく環境はさまざまである.その環境により,AMD治療に対して抱える問題点は違う.ただどのような環境であっても,近年の治療方法が進歩したなか,視力,視機能低下を生じるような症例は,治療不足が大きなひとつの原因になっているのではないかと思われる.本稿ではさまざまな環境のなかで,開業医の立場でどのようにCAMD治療と相対するのか考えたい.CAMD治療をとりまく環境と問題AMD治療をとりまく環境を図1に簡単にまとめた.現在もっとも一般的で最良のCAMD治療は抗CVEGF薬の毎月連続C3回硝子体内注射で導入を行い,treatCandextend(TAE)法で維持療法を行う方法と考えられ,多数回の注射が必要である.この多数回の注射を,Aパターンのように拠点病院がCAMDの専門施設であれば,そこで治療方針を決め,拠点病院と紹介元の施設でその後の注射を手分けして行う,すなわち病診連携を行うことができる.もし紹介元の施設が抗CVEGF薬の注射を行っていなかったとしても,拠点病院は比較的マンパワーが豊富であることが多く,注射回数の増加に対する許容範囲は大きい.Bパターンでは,開業医がCAMDの専門施設であり,紹介元の施設が硝子体内注射を行っていないことも多く,すべてのCAMD患者を自院で治療,経過観察していかなくてはならないようなケースも多い.Bパターンではマンパワーが少ない施設で多数回の注射を行わなくてはならず,そのうち許容範囲を超えてくる.そこで生じやすいのがCTAE法での維持が必要である症例がCprorenata(PRN)法となり,治療不足に陥るという問題である.治療回数を減らす方法図1で示したCAMD治療をとりまく環境を変えることは困難である.BパターンのCAMD治療をする開業医に該当する当院では,治療不足にならないよう注意しながらできるかぎり注射回数を減らすことで,より多くのAMD患者を治療できるよう取り組んでいる.その取り組みとは,AMDのタイプ別に抗CVEGF薬の有効性を予想して維持方法を変えることと,光線力学的療法(photodynamicCtherapy:PDT)が有効な患者には積極的に早期から使用することである.実際の治療選択当院では,まずは光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)で比較的脈絡膜が薄い患者は抗VEGF薬を毎月C3回投与で導入し,脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)の多くが網膜色素上皮(retinalpigmentCepithelium:RPE)下の症例はTAE法で維持,CNVが網膜下まで至る症例はCPRN法で維持する.前者は再発時にCRPEが破壊され不可逆的A抗VEGF注射を行う病院・開業医抗VEGF注射を行わない病院・開業医B抗VEGF注射を行う病院・開業医抗VEGF注射を行わない病院・開業医図1AMD治療をとりまく環境(59)あたらしい眼科Vol.38,No.2,2021C1750910-1810/21/\100/頁/JCOPY図2Pachychoroidの1例a:カラー眼底写真で脈絡膜血管が見えにくく,橙赤色隆起病巣(ポリープ病巣)がみられる.Cb:OCT垂直断で脈絡膜厚がある程度厚く,脈絡膜CHaller総の血管拡張(pachy-vessel)と同部位の脈絡膜内層の菲薄化がみられ,ポリープ状病巣部位は網膜色素上皮の急峻な隆起がみられる.な視力低下となるリスクがあるため,後者はすでにRPEが破壊されており視力低下をきたしていることが多いため,このような方法を選択している.脈絡膜が厚いCpachychoroid関連疾患1)でCCNVを有する症例にはPDTと抗CVEGF薬の併用を考慮する.Pachychoroid関連疾患に対するCPDTの効果を検討した報告は少ないが,ポリープ状脈絡膜血管症に対してはCEVERESTCII試験で,早期からラニビズマブとCPDTの併用をすることの有効性が示されており,治療回数も少なくなる可能性が示唆されている2).CPDTをより有効に安全に行う方法まず症例選択が非常に大切である.Pachychoroidの定義とされている,脈絡膜厚がある程度厚く(200Cμm以上との報告あり),眼底検査で脈絡膜血管が見えにくく,脈絡膜CHaller層の血管拡張(pachy-vessel)と同部位の脈絡膜内層の菲薄化がある症例はCPDTを併用する候補となる(図2).このような症例であってもCPDTを照射する部位のCRPEの萎縮があったり,長年の漿液性C176あたらしい眼科Vol.38,No.2,2021網膜.離の存在で感覚網膜の菲薄化があるような症例は避ける.PDTを併用する時点でこれらの条件を満たした症例は,ポリープ状病巣の有無にかかわらず,また早期であっても,レスキュー治療であっても有効性と安全性は高いと考える.逆にこれらの条件を満たさない症例は有効性,安全性ともに不確実であり,PDTの併用は勧めない.次に大切なのは抗CVEGF薬を併用することである.PDTに抗CVEGF薬を併用するのは抗CVEGF薬によりCNVを抑える直接的な効果もある.いっぽうで以前筆者らが行った研究では,PDT単独では治療後早期に大きく網膜機能の障害が生じるが,ステロイドや抗VEGF薬を併用することにより網膜機能障害が緩和できることを電気生理学的に確認している3~5).中心性漿液性脈絡網膜症と違い,CNVを伴う症例に対するCPDTは,PDTそのものにより生じるCCNVの炎症を抑えるためにも抗CVEGF薬の併用は重要であると考える.おわりにAMDをはじめ,抗CVEGF薬治療が適応となる疾患は多くあり,硝子体内注射回数の増加は眼科診療にとって大きな問題である.その解決策として病診連携が重要とされているが,それができない施設も多く存在する.今回紹介した治療方法は解決策のひとつであるが,それを行える施設も限られる.今後,さらに有効性,持続性,安全性の高いCAMD治療薬が登場することが期待される.文献1)CheungCCGM,CLeeCWK,CKoizumiCHCetal:Pachychoroiddisease.Eye(Lond)C33:14-33,C20192)KohCA,CLaiCTYY,CTakahashiCKCetal:E.cacyCandCsafetyCofranibizumabwithorwithoutvertepor.nphotodynamictherapyforpolypoidalchoroidalvasculopathy:arandom-izedCclinicalCtrial.CJAMACOphthalmolC135:1206-1213,C20173)IshikawaCK,CKondoCM,CItoCYCetal:CorrelationCbetweenCfocalCmacularCelectroretinogramsCandCangiographicC.ndingsCafterCphotodynamicCtherapy.CInvestCOphthalmolCVisSci48:2254-2259,C20074)IshikawaCK,CNishiharaCH,COzawaCSCetal:FocalCmacularCelectroretinogramsCafterCphotodynamicCtherapyCcombinedCwithposteriorjuxtascleraltriamcinoloneacetonide.RetinaC29:803-810,C20095)IshikawaCK,CNishiharaCH,COzawaCSCetal:FocalCmacularCelectroretinogramsCafterCphotodynamicCtherapyCcombinedCwithCintravitrealCbevacizumab.CGraefesCArchCClinCExpCOphthalmolC249:273-280,C2011(60)