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写真:鉗子分娩による角膜外傷

2019年10月31日 木曜日

写真セミナー監修/島﨑潤横井則彦川端真理子425.鉗子分娩による角膜外傷京都市立病院眼科福岡秀記京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学図2図1のシェーマ①Descemet膜破裂②角膜浮腫図1前眼部写真垂直方向の多数のDescemet膜破裂を認める.図4CASIA画像角膜後面にDescemet膜破裂後の皺皮を認める.図3フルオレセイン染色角膜下方に限局した角膜上皮浮腫を認めるが,瞳孔領には及んでいない.(59)あたらしい眼科Vol.36,No.10,201912810910-1810/19/\100/頁/JCOPY出生時の鉗子分娩などによる眼球圧迫が原因となり,Descemet膜破裂を発症することがある.分娩時に鉗子の先端が眼窩下縁から眼球を垂直方向に圧迫するため,Descemet膜破裂の方向は垂直から斜め方向が多いが,しばしば三日月状線状や曲線的なものもある1).通常は片眼性であり,左方後頭位の場合が多いため左眼に生じることが多い.出生直後はDescemet膜の破裂部から角膜実質への前房水の流入により角膜浮腫を生じるが,生後数週間から数カ月で障害部周囲への角膜内皮細胞の移動により角膜浮腫は自然軽快する.その後,角膜実質に破裂のラインが瘢痕化し角膜は透明化するが,破裂したDescemet膜の影響により高度の角膜乱視を引き起こし,屈折異常性弱視を招くことが多い.症例は幼少期より右眼低視力を指摘されていた51歳の男性.細隙灯検査にて右眼下方に角膜実質浮腫と,中央部に垂直方向のDescemet膜断裂を認めた(図1,2).生後しばらくは右眼が白濁していたが,徐々に透明化したという既往がある.既報によると,角膜乱視は2D以上,視力は0.3以下となることが多く2,3),本症例でも4Dの角膜乱視を認め,右眼視力(0.2)と矯正視力不良であった.鑑別疾患として先天緑内障,先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ,後部多形性角膜ジストロフィ,Fuchs角膜内皮ジストロフィなどがあげられるが,先天緑内障は基本的に水平なDescemet膜破裂(Haab線)が認められることや,遺伝性や両眼発症の有無が鑑別の参考となる4).治療方針としては,角膜実質の透明度が保たれている場合は経過観察が基本であるが,加齢による角膜内皮機能低下により水疱性角膜症となった場合には角膜内皮移植が必要となる.本症例では現在のところ角膜下方の浮腫のみにとどまっており(図3),至急の治療は不要であるが,今後悪化の可能性が高いため注意深い経過観察が必要であり,瞳孔領に浮腫が及んだ際は内皮移植などが必要となる.文献1)AlobaidyR,SrinivasanS:Forceps-inducedbirthinjurytothecornea.BMJCaseRep2014.doi:10.1136/bcr-2013-2017862)AngellLK,RobbRM:VisualprognosisinpatientswithruptureinDescemet’smembraneduetoforcepsinjuries.ArchOphthalmol99:2137-2139,19813)矢野眞知子,神鳥高世:出生時デスメ膜破裂と角膜内皮細胞.臨床眼科36:605-609,19824)近間泰一郎,西田輝夫:鉗子分娩によるデスメ膜破裂.臨床眼科60:1566-1568,2006

不同視・眼位異常などにおけるコンタクトレンズ処方

2019年10月31日 木曜日

不同視・眼位異常などにおけるコンタクトレンズ処方ContactLensWearforAnisometropiaandOcularDeviation土至田宏*はじめにコンタクトレンズ(contactlens:CL)は眼光学的に眼鏡に勝る点が多く,屈折矯正に秀でているのが最大のメリットである.その有用性は不同視の矯正の際にも発揮される.本特集はCL装用に伴う眼精疲労をテーマに取り上げられており,ともすれば眼精疲労の原因がCLにあるという,見過ごされやすい領域にフォーカスをあてている.本稿ではそのなかでも,これまで掘り下げたことが少ない不同視・眼位異常などにおけるCL処方について述べる.I不同視とは不同視は,両眼の屈折値に差がある状態であり1),その差がおおむね2.00Dを超える状態をいう2).両眼で異なる視性刺激を受けることによって不等像視,眼位不同,調節障害などを引き起こし,それに伴う眼精疲労が誘発されうる.通常,小児では弱視が問題となり,成人では完全矯正による不等像視や眼精疲労による不快感が問題となる.以下,専門用語の解説とともに,解決策を検証することとする.II不等像視不同視の屈折矯正を眼鏡のみで行おうとすると,左右でものの大きさが異なって見えてしまうことがある.これを不等像視という.レンズによる拡大・縮小効果は,矯正しない状態で無限遠の物体を注視したときの網膜像の大きさと,レンズで矯正したときの網膜像の大きさの比で表される(図1a).通常,後述するCL装用ではその効果が減弱される.眼鏡による1Dあたりの矯正量で1~2.5%の像の大きさの変化が生じ,1D以上でも左右差で眼鏡装用困難者が出はじめるが,個人差は大きく,若年者では約4Dでも眼鏡装用可能との報告もある3).眼鏡装用困難な場合,一般にCL処方という選択肢が考慮される.III眼位不同眼鏡による屈折矯正のもう一つの弱点としてレンズのプリズム作用があげられ,Prenticeの法則とよばれ,レンズの光学中心からはずれるとプリズム作用が入ってくることによるもので(図2),そのプリズム量(Δ)=光学中心からのずれ(cm)×レンズの度数(D)として計算される.言い換えれば,レンズの光学中心からの1cmのずれは,レンズのパワー1Dにつき1プリズムジオプター分の光の偏位を生じる.とくに問題となるのは,第1眼位以外のときに生じるプリズム作用量が左右の眼で異なることにより斜位が誘発される眼位不同である.とくに下方視時に誘発される眼位異常には要注意である.IV眼鏡とCLの光学的な違い不同視例においても屈折矯正の第一選択は眼鏡であるが,CLの絶対的適応となるのは小児における不同視弱視を含む屈折性弱視の治療と,その後もCL装用を必要*HiroshiToshida:順天堂大学医学部附属静岡病院眼科〔別刷請求先〕土至田宏:〒410-2295静岡市伊豆の国市長岡1129順天堂大学医学部附属静岡病院眼科0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(53)1275a1.51.41.31.2b1.51.41.31.2CL眼鏡CL眼鏡拡大率拡大率1.11.11.01.00.90.90.80.80.70.7-20-15-10-505101520D-20-15-10-505101520D屈折力屈折力図1屈折性屈折異常の網膜像の変化率(a)と軸性屈折異常の網膜像の変化率(b)(文献12より引用)遠視眼近視眼光学中心光学中心凹レンズ凸レンズ図2Prenticeの法則視軸が光学中心からのズレ(h)が生じた場合,プリズム効果は=プリズム作用度数(Δ)=h(cm)×レンズの度数(D)で計算され,遠視眼で装用する凹レンズではbaseout効果が,近視眼で装用する凸レンズではbasein効果が生じる.前焦点a.眼鏡装用時b.コンタクトレンズ装用時図3Knappの法則軸性屈折異常に対する網膜像の大きさを矢印で示す.a:眼鏡レンズを前焦点の位置で装用した場合(レンズの厚さは無視),Knappの法則に則り,常に一定で不等像視は生じない.b:コンタクトレンズ装用時はKnappの法則に適合しないため,網膜像の大きさ(矢印)に変化が生じて,不等像視が生じる可能性がある.(D)876543210度数(D)図4眼鏡またはコンタクトレンズ装用時における近見時に必要な調節量=必要な調節量-20-16-12-8-4048121620くなって眼精疲労が出現または増加するといった結果につながることを理解しておくべきである.2.遠視矯正における調節量の変化遠視を矯正する場合は,近視矯正の場合とは反対に,CLによる矯正時よりも眼鏡矯正のほうが調節量が多く必要となる.このことから,成人における眼精疲労抑制のための屈折矯正手段としては,遠視眼に対してはCLのほうに軍配が上がるが,ソフトコンタクトレンズ(softcontactlens:SCL)では,市販され供給されている遠視矯正度数のラインナップの乏しさはいかんともしがたい現況である.VII小児における不同視例でのCL処方の留意点片眼の先天白内障術後無水晶体眼や片眼の強度近視眼,強度乱視眼ではCLの適応となる.よい適応となるのが酸素透過性ハードコンタクトレンズ(rigidgasper-meablecontactlens:RGPCL)であるが,小児へのCL装用には親の協力が必須である.具体的な配慮点に関しては筆者の既報を参照していただきたい5,6).視力発達時期は一般的に8~9歳前後で終了するといわれており,タイムリミットがあるため,なるべく早期から矯正しはじめることが重要である.小児の不同視弱視例では弱視眼が軸性の遠視であることが多く,その場合はできるかぎり弱視眼の完全矯正か,または日常的に遠方よりも近方のほうが見ている時間が長いため,近方にピントが合いやすい度数とするとよい.上述のように眼鏡矯正で不等像視が起こりにくいため,左右の屈折差が5Dくらいでも眼鏡装用可能なケースが多いとの報告もある4).その場合は眼鏡装用を優先するが,いずれの場合にせよ必ずあらかじめ調節麻痺下での他覚的屈折検査を含む,一通りの眼科的検査を行っておく必要がある.一方,小児の片眼の強度近視性不同視弱視例は一般に弱視治療に反応しにくく,とくに弱視眼の屈折が.6D以上,不同視差5D以上のものは弱視治療に抵抗することが多いとされている7).しかし白濱らは,弱視眼の屈折が.15D,乱視.7D,不同視差が17Dの軸性屈折異常による弱視の3歳児にSCLと眼鏡の併用と健眼遮蔽訓練によって矯正視力1.2が得られた症例を報告している.このことから,近視性不同視弱視といえども,親の協力の下で適切な時期に適切な屈折矯正と弱視訓練を行うことが重要と考えられる.HCLは小児にかぎらず装用当初の異物感が強く,軌道にのるまでが険しい道のりになることが少なくない.つい最近までは連続装用可能な従来型SCL(ブレスオーR)が絶大な支持を集めていたが,2020年春をもって終売となってしまうのは,弱視治療における大きな痛手である.VIII成人における不同視例でのCL処方の留意点梶田によれば,片眼の遠視例で矯正視力が出にくいために弱視と思われて,未矯正のまま成人になっても放置され,眼精疲労の原因となっている場合も少なくなく,その矯正手段は眼鏡よりもCLのほうが不等像視と歪曲収差が少ないため,CLによる矯正のほうが推奨されるとのことである8).IX眼位異常1.斜視明らかな斜視は手術適応であってCLのみで矯正できるものではないが,石田らは,近視のCL矯正目的で眼科を受診した症例に対して,網膜対応を考慮した斜視手術によって背理性複視を回避したという報告をしている9).斜視症例といえども,屈折矯正のみならず視機能全体を再確認することの重要性が読み取れる.症例によっては屈折矯正をCLで行い,斜視術後にも残余する軽微な斜視に対してプリズム眼鏡との併用を行うのが有効な場合もあるので,選択肢に含めるとよい.梶田は,眼鏡とCLの双方による矯正法をコンビネーション矯正処方とよんでいる10).2.斜位眼精疲労の原因の一つとして,近年急速にクローズアップされているのが斜位である.両眼で注視すれば眼位が正常となるために軽んじられがちだが,近視の過矯1278あたらしい眼科Vol.36,No.10,2019(56)

白内障術後眼における遠近両用コンタクトレンズ処方

2019年10月31日 木曜日

白内障術後眼における遠近両用コンタクトレンズ処方ThePrescriptionofMultifocalContactLensesforPostCataractSurgery塩谷浩*はじめに白内障術後の眼内レンズ挿入眼(intraocularlens挿入眼:IOL眼)の患者は,単焦点IOL眼では,完全矯正された場合には多焦点IOL眼と異なり不自由なく日常生活を送るために近方視の補助が必要となる.最近では若年時からコンタクトレンズ(contactlens:CL)を使用する生活をしてきた中高年への白内障手術が増加するのに伴い,白内障術後も術前と同様に眼鏡を使用しない生活スタイルを維持することを希望する患者が多く認められるようになってきている.また,白内障術後の残存屈折の状態や左右眼の屈折差,調節力を失うことによる見え方の変化などによって眼精疲労を訴えることがある.このような白内障術後眼に対して,眼鏡や単焦点CLでは対応が困難な場合に,遠近両用CLの装用が有効な場合がある.白内障術後眼は,一般的に遠近両用CLの処方対象となる有水晶体眼である老視とは異なり,調節力がほとんどない状態であるため,遠近両用CLの処方には工夫が必要となる.そこで本稿では白内障術後の単焦点IOL眼に対しての遠近両用(多焦点)ハードコンタクトレンズ(hardcontactlens:HCL)と遠近両用(多焦点)ソフトコンタクトレンズ(softcontactlens:SCL)の処方について解説する.I白内障術後眼への遠近両用コンタクトレンズ処方の可能性これまで遠近両用CLは,調節力のほとんどない白内障術後眼の近方視の補助をするためには,製品の規格にある加入度数は実効加入度数が不十分であると考えられており,患者の満足を得るように近方を見やすくすることは困難であると思われていた.そのため白内障術後眼の近方視への対応法は,近用眼鏡の使用,遠近両用眼鏡の使用,CLと眼鏡の併用が一般的であり,いずれの方法においても眼鏡を使用することが当然とされてきた1~4).最近は各メーカーからさまざまな光学部デザインの遠近両用HCL,遠近両用SCLの新製品が発売されており,筆者はこれらのいくつかの遠近両用CL製品を,調節力が著しく低下し,単焦点IOL眼のモデルに相当される70歳代後半から80歳代前半の高齢者に処方し,患者の満足が得られている.この臨床経験が白内障手術後眼に対して遠近両用CLを応用するきっかけとなり,実際の処方で白内障術後の単焦点IOL眼へも遠近両用CL処方が成功する可能性があることを確認している.II白内障術後眼への遠近両用コンタクトレンズ処方1.遠近両用コンタクトレンズの適応白内障術後眼における遠近両用CLの適応は,眼鏡を使用しない生活を希望している患者で,とくに白内障術前にCLの使用経験のある患者である.HCLの使用経験者には遠近両用HCLの処方を最初に考える.球面HCLが適応となっていた患者では遠近両用HCLを処方しようとした場合にフィッティング,残余乱視とも問題*HiroshiShioya:しおや眼科〔別刷請求先〕塩谷浩:〒960-8034福島市置賜町5-26しおや眼科0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(47)1269表1白内障術後眼への遠近両用コンタクトレンズ処方手順更する方法が,遠近両用SCL処方においては,最初から高い加入度数を選択する方法が,加入度数の決定の基本的な考え方として勧められる4).4.遠近両用コンタクトレンズの球面度数の決定老視に対する遠近両用CL処方においては,遠近両用HCL,遠近両用SCLとも球面度数は角膜頂点間距離補正後の完全屈折矯正度数より0.50~1.00D程度プラス側の度数から設定を開始し,患者の遠方の見え方が不十分であれば,マイナス側の球面度数を追加矯正していく処方方法が推奨される5).老視と比べ必要とされる調節補助の程度が大きい白内障術後眼に対する遠近両用CL処方においては,球面度数は,さらにプラス側の度数から設定する必要があると考えられる.後述するように遠近両用HCLにおいては,完全屈折矯正度数より2.00Dプラス側に球面度数を設定して処方が成功した症例を経験している.しかし,遠近両用SCLにおいては,老視への処方と同程度に球面度数を設定することで患者の不満がほとんどないことを処方経験している.そこで白内障手術後眼に対する遠近両HCL処方においては,球面度数は完全屈折矯正度数(角膜頂点間距離補正度数)より1.00~2.00D程度プラス側の度数から設定を開始し,遠近両用SCL処方においては,球面度数は0.50~1.00D程度プラス側の度数から設定を開始する方法が,患者の近方の見え方を確保しながら遠方の見え方に満足する度数が得やすい基本的な考え方となる4).以上の加入度数,球面度数の設定で患者の見え方の満足が得られない場合には,モディファイド・モノビジョン法を応用することで患者の満足度を上げることが可能である.すなわち,近方の見え方の調整は,まず非優位眼の球面度数を最初の設定よりプラス側に変更し,それで対応できない場合には両眼の球面度数をプラス側に変更し対応する.遠方の見え方の調整は,まず優位眼の球面度数をマイナス側に変更し,それで対応できない場合には両眼の球面度数をマイナス側に変更し対応するという方法が勧められる.III白内障術後眼への遠近両用コンタクトレンズ処方例1.遠近両用ハードコンタクトレンズ処方例症例は60歳の女性で,HCLの使用経験が19歳から白内障手術時までの38年間あり,白内障手術時の年齢は57歳であった.両眼の白内障手術(単焦点IOL挿入)の施行後6カ月となった58歳時に術後の状態が安定したため,手術を施行した眼科からHCLの処方を目的に紹介され受診した.受診時検査所見は,視力および自覚的屈折度数は右眼0.08(1.2×-3.50D(cyl-1.25DAx160°),左眼0.07(1.2×-3.50D(cyl-1.50DAx180°),優位眼は左眼,最良の近方視力が得られる最小の近方矯正加入度数は両眼とも+2.75Dであった.角膜曲率半径および角膜乱視は右眼(7.76mm/7.44mmcyl-1.75DAx167°),左眼(7.77mm/7.47mmcyl-1.75DAx6°)であった.細隙灯顕微鏡所見は,両眼のIOLは透明で,瞳孔は正円形で虹彩に運動制限はなく,眼内に炎症所見は認められなかった.角膜,結膜に異常が認められなかったため遠近両用HCLを処方することにした.両眼に遠近両用HCL(マルチフォーカルO2ノア,シード)を右眼7.75/-2.00add+1.00/9.3(ベースカーブmm/球面度数Dadd加入度数D/サイズmm),左眼7.80/-2.75add+1.00/9.3の規格で処方した.遠近両用HCLのフィッティングは,右眼は.at.tで角膜中央に停止し,左眼はparallel.tでやや角膜上方に停止しており,両眼レンズとも動きはnormalで,固着は認められなかった.本症例を経験するまで筆者は,白内障手術後眼に対する遠近両用HCL処方では,高加入度数であっても遠近両用HCLだけで対応することは困難であると考えていたが,実際には低加入度度数でモディファイド・モノビジョン法を応用する球面度数の設定で対応が可能であることがわかった.すなわち,本症例では加入度数は低加入度数の+1.00D(本レンズの加入度数は+1.00Dの1規格)を選択し,球面度数は非優位眼の右眼は完全屈折矯正球面度数(角膜頂点間距離補正度数)の等価球面度数-4.00Dより2.00Dプラス側となる-2.00D,優位眼(49)あたらしい眼科Vol.36,No.10,20191271の左眼は完全屈折矯正球面度数(角膜頂点間距離補正度数)の等価球面度数-4.00Dより1.25Dプラス側となる-2.75Dに設定し処方した.CL装用時の遠方視力は右眼0.5×HCL(1.0×HCL=-0.50D),左眼1.0×HCL(1.0×HCL=-1.00D),両眼1.2×HCL,近方視力は両眼0.6×HCLで,患者は遠方視,近方視ともに日常生活に問題がなく,HCL装用状態で普通自動車運転免許の更新ができた.近用眼鏡を併用することなく装用を継続している.2.遠近両用ソフトコンタクトレンズ処方例症例は57歳の女性で,従来型SCLの使用経験が20歳から白内障手術時まで34年間あり,白内障手術時の年齢は54歳であった.両眼の白内障手術(単焦点IOL挿入)後から1日使い捨てSCLを使用していたが,近方視時に近用眼鏡を使用する生活に不満を感じており,57歳時に遠近両用SCLの処方を希望して受診した.受診時検査所見は,視力および自覚的屈折度数は右眼0.05(1.2×-2.75D),左眼0.05(1.2×-4.00D),優位眼は左眼,最良の近方視力が得られる最小の近方矯正加入度数は両眼とも+2.50Dであった.角膜曲率半径および角膜乱視は右眼(7.49mm/7.42mmC-0.50DAx150°),左眼(7.35mm/7.25mmC-0.50DAx20°)であった.使用していたSCLは1日使い捨て単焦点SCLで,右眼は9.0/-2.50/14.2(ベースカーブmm/度数D/サイズmm),左眼は9.0/-3.25/14.2の規格であり,SCL装用時の近方視時には両眼+2.00Dの眼鏡を使用していた.両眼のIOLは透明で,瞳孔は正円形で虹彩に運動制限はなく,眼内に炎症所見は認められなかった.角膜,結膜に異常が認められなかったため遠近両用SCLを処方することにした.両眼に頻回交換遠近両用SCL(ボシュロム製・メダリストマルチフォーカル)を右眼9.0/-2.00add+1.50/14.5(ベースカーブmm/球面度数D加入度数D/サイズmm),左眼9.0/-3.00add+1.50/14.5の規格で装用させた.老視に対する処方方法4,6)と同様に,加入度数は低い加入度数の+1.50D(本レンズの加入度数は+1.50D,+2.50Dの2種類)を選択し,球面度数は,右眼は完全屈折矯正度数-2.75Dより0.75Dプラス側となる-2.00D,左眼は完全屈折矯正度数(角膜頂点間距離補正度数)-3.75Dより0.75プラス側となる-3.00Dの球面度数に設定した.フィッティングは両眼ともセンタリグは良好で,動きはnormal,固着はなかった.装用直後から近方が見づらいとの訴えが強かったため,両眼の加入度数を+2.50D,優位眼の左眼の球面度数を-3.50Dに変更し,右眼9.0/-2.00add+2.50/14.5,左眼9.0/-3.50add+2.50/14.5の規格でテスト装用を開始した.CL装用時の遠方視力は右眼0.4×SCL(1.2×SCL=-1.50D),左眼0.6×SCL(0.9×SCL=-0.75D),両眼0.8×SCL,近方視力は両眼0.6×SCLで,テスト装用1週間後,近方視に満足が得られたが,遠方視には不満の訴えがあった.そこで右眼の球面度数を-2.50Dに変更し,9.0/-2.50add+2.50/14.5の規格で処方した.CL装用時の遠方視力は右眼0.7×SCL(1.2×SCL=-1.00D),左眼0.6×SCL(0.9×SCL=-0.75D),両眼0.8×SCL,近方視力は両眼0.6×SCLとなり,遠方視,近方視ともに患者の満足が得られた.処方後,就寝前の数時間を除き眼鏡を使用していない生活を送っており,近用眼鏡を併用することなく装用を継続している.おわりに白内障術後眼への遠近両用CLの処方は,患者の生活の質を向上させる可能性があり,白内障手術時に多焦点IOL挿入する方法と比較すれば,どの施設でも処方ができる,やり直しの効く安全な方法である.残存する屈折がどういう状態であっても,調節力がほとんどないことにおいては共通である白内障手術後眼では,遠近両用CL処方が一般化しやすいと考えられ,本稿での処方方法は広く応用の効くものと思われる.白内障術後に眼鏡の使用を望まない患者に対して遠近両用CLは試みるべき有用な矯正方法であると考えられる.文献1)塩谷浩,梶田雅義:眼内レンズ挿入眼への遠近両用ソフトコンタクトレンズの処方例.日コレ誌57:164-167,20152)塩谷浩:私の処方私の治療第21回眼内レンズ挿入眼への遠近両用ソフトコンタクトレンズの処方例.日コレ誌1272あたらしい眼科Vol.36,No.10,2019(50)

コンタクトレンズ装用時のアレルギー

2019年10月31日 木曜日

コンタクトレンズ装用時のアレルギーAllergiesAssociatedwithContactLensWear宮本裕子*はじめに眼の疲れを訴えるコンタクトレンズ(contactlens:CL)装用者の中に乾燥感,掻痒感,異物感などを同時に感じているケースは多いと思われる.アレルギー性結膜炎やドライアイがあって,角膜中心部の瞳孔領にかかる上皮障害を認めたり,分泌物が増えそれがCCLに付着することでCCLが汚れやすくなるなど,それらがぼやけの原因となって眼精疲労を生じることもある.逆に,眼の疲れだけだと思い眼科を受診せずに放置している例で,CL処方希望で来院したところ,アレルギー性結膜炎を生じていることが判明する場合もある.また,花粉症の時期に,CLを装用してもよいかどうか患者に聞かれることがある.それとは逆に,CLやケア用品によってアレルギーを発症することもある.さらには,海外では抗ヒスタミン薬を徐放するCCLを用いて痒みを治療することがすでに行われている1)が,わが国においても,治療用CCLによってアレルギー性結膜炎を治療しようという試みも今後展開される可能性が考えられる.今回は,CL装用時にアレルギーを合併した症例を提示しながらCCL装用時のアレルギーについて,アレルギーのある眼にCCLを装用する場合とCCLやケア用品によってアレルギーを発症する場合とに分けて考えてみる.CIアレルギーとCL装用花粉症の時期やアレルギー性結膜炎を有する患者に対してCCLの装用をどうするか悩むことがある.春季カタ図1アレルギー性結膜炎(50歳,男性)円錐角膜でハードコンタクトレンズ(HCL)を使用中,当院を初診し上眼瞼を反転したところ,アレルギー性結膜炎を認めた.ルなどの重篤なアレルギー疾患の場合,屈折異常に対するCCL装用はお薦めできない.しかし,たとえば図1のようにアレルギー性結膜炎を合併するが,円錐角膜(keratoconus:KC)のために,ハードコンタクトレンズ(hardcontactlens:HCL)が必須となることはよくある.そのような場合は,アレルギーをコントロールしながらCHCLを装用し続けなければならない.KCにアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を合併することは多く,図1の症例もCKCでCHCLを使用中に当院を初診し,上眼瞼を反転するとアレルギー性結膜炎を生じていた.そのため抗アレルギー点眼液を併用しながらCHCL*YukoMiyamoto:アイアイ眼科医院〔別刷請求先〕宮本裕子:〒558-0023大阪市住吉区山之内C3-1-7アイアイ眼科医院C0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(41)C1263図2コンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(21歳,男性.右眼)他院で,診察を受けずに頻回交換型のシリコーンハイドロゲルレンズ(SHCL)を購入し使用していた.痒みがあり抗アレルギー薬を内服していたが,レンズのケアに問題があり,SHCLが汚れていた可能性を否定できない.Ca:右眼上眼瞼を反転したところコンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(CLPC)を認めた.Cb:フルオレセイン染色したところ,増殖した乳頭と結膜との間にフルオレセイン染色液が貯留し,増殖乳頭がよくわかる.図3図2の左眼a:左眼上眼瞼を反転したところ,コンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(CLPC)を認めた.Cb:フルオレセイン染色したところ,増殖した乳頭と結膜との間にフルオレセイン染色液が貯留し,増殖乳頭がよくわかる.図4図2の症例の点眼開始約1カ月後の右眼図5図2の症例の点眼開始約1カ月後の左眼コンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(CLPC)は軽快傾向でコンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(CLPC)は軽快傾向である.ある.図6コンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(16歳,女性)a:乾燥と痛みを主訴に来院.左眼の上眼瞼を反転したところ,コンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(CLPC)を認めた.b:SCLが上方にずれている.図7汚れたハードコンタクトレンズによるコンタクトレンズ関連乳頭結膜炎a:非常に汚れたHCL.Cb:HCLの汚れが原因と思われる広範囲のコンタクトレンズ関連乳頭結膜炎(CLPC).-

コンタクトレンズ装用時のドライアイと眼精疲労-VDT作業をふまえて-

2019年10月31日 木曜日

コンタクトレンズ装用時のドライアイと眼精疲労─VDT作業をふまえて─DryEyeSyndromeandAsthenopiaduringContactLensWear─BasedonVDTWork─藤田博紀*佐野研二**はじめにコンタクトレンズ(contactlens:CL)装用者がドライアイになってしまうことも,ドライアイ患者がCLを装用していて,オキュラーサーフェスに障害を起こしてしまうことも,臨床上よくみかけることである.CLが角結膜の生理に及ぼす影響を最小限にとどめるためには,その良好な水濡れ性とレンズ下の涙液層保持能力が欠かせない.この40年間,機能性高分子としてのCLDk値×10-11(cm2/sec)(ml/O2/ml×mmHg)7060504030201000102030405060708090100含水率(%)素材の酸素透過性能は至上命題とされ,酸素透過性能を稼ぐため,ソフトコンタクトレンズ(softcontactlens:SCL)では高含水化が進められ(図1)1),その一方で,高い含水率に起因する乾きやすさが問題となってきた.また,ハードコンタクトレンズ(hardcontactlens:HCL)素材,シリコーンハイドロゲル素材も飛躍的に酸素透過性が進歩したが,同時に撥水性も強くなり,CLの水濡れ性の悪化が指摘されてきた.酸素拡散係数の非常に高いシリコーン系素材1)や,酸素溶解係数の高いフッ素系素材2,3)が,不良な水濡れ性を引き起こしてしまったのである.CLは異物であるから,オキュラーサーフェスに装用させたときの水濡れ性の悪さに起因するメカニカルストレスもまた重要な角膜上皮障害の原因となる.本稿では,CLとドライアイ,そして特集のテーマである眼精疲労との関係について,高分子学的,機械的ストレスの視点から,また生活面,VDT作業との関連性から論じ,解決策を探っていきたいと思う.なお,重度図1含水性SCLにおける含水率と酸素透過係数の関係ハイドロゲル材料の含水率が上がると酸素透過係数も上昇する.のドライアイはもちろんCL装用の適応にはならないので,ここでは対象がCL装用可能な軽度のドライアイであることを前提に述べる.IHCLとドライアイ1.HCL素材の変遷と3時9時ステイニングHCL素材は,1970年前半くらいまでポリメチルメタクリレートが主として用いられてきた.ポリメチルメタクリレートは,安価なうえ,安定しており,さらに優れた光学特性を有するため,現在でも眼内レンズ素材として一定の需要があるのはご承知のとおりである.水に対する接触角が60~70°程度の水濡れ性を示し,親水性向上のための表面処理も必要としなかったため,レンズの研磨による屈折度数の調整やベベルの切削なども容易であったが,酸素透過性をほとんどもたないというCL素*HirokiFujita:藤田眼科**KenjiSano:あすみが丘佐野眼科〔別刷請求先〕藤田博紀:〒270-1132千葉県我孫子市湖北台1-1-3藤田眼科0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(33)1255図23時9時ステイニング図34時8時ステイニングHCL装用時,角膜上の3時9時の位置でレンズの動きとHCLのべベルを幅広くしてリフトを作ると,3時9時のともに涙液層が破綻し.角膜上皮障害が起きることがあ角膜上皮障害が改善した.しかも今度は動きがルーズになり,これを3時9時ステイニングとよんでいる.り,4時8時ステイニングが生じた症例.100液滴法*806040200*,**:p<0.01気泡法**グラフト処理処理なしグラフト処理水に対する接触角(度)処理なし図4親水性モノマーをグラフト重合させたHCL表面の水に対する接触角グラフト重合させた後の接触角は一気に低くなり,水濡れ性は改善される.グラフト重合なしグラフト重合あり図5親水性モノマーのHCLへのグラフト重合グラフト重合を施すとレンズ上の水濡れ性が改善され,はじかれていた涙がレンズ全体に広がる.図6HCLのべベル研磨HCLのベベル修正で,ある程度レンズ表面に涙液を誘導して乾きを抑制することもできる.写真はべベルチェックする黒石川誠先生(多摩なのはな眼科クリニック).図7Smilemarkstainning(左)とepithelialsplitting(右)Smilemarkstainningは,SCLの含水率が落ちると,角膜上の涙液を奪い引き起こされる.Epithelialsplittingは,SCLのエッジのメカニカルストレスによって惹起される.レンズと角膜上皮との界面に涙液層を作ることと,レンズの軟らかさが重要となる.図8モデルアイ上における各種含水性SCLからの水分蒸発量(最初の含水率-5分後の含水率)B&LBTO:ボシュロム社のバイオトゥルーC1Day(含水率C78%,主成分はポリビニルピロリドン)Dailies:アルコン社のデイリーズ(含水率C69%,主成分はポリビニルアルコール)CAcuvuemoist:J&J社のC1Dayアキュビューモイスト(含水率C58%,主成分はC2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体)各レンズを気温C23℃湿度C30%のクリーンルームのポリメチルメタクリレート製モデルアイ上でC5分放置した場合の含水率変化を,質量変化から割り出した.図9兎眼とシリコーンハイドロゲルSCL神経鞘腫術後から兎眼になってしまった患者である.シールド潰瘍に対し,ゴルフ刀でこれを除去し,角膜保護と水分蒸発の抑制の目的でトータルC1CRを用いた.レンズ含水率がC33%と,エアオプティクスCREXアクアに比べると高いが,1Dayユースなので,清潔を保つという意味ではメリットがある.ベースカーブは大きいほうのC8.8Cmmを使用し,経過良好である.C5.0■含水性SCL単独4.0■非含水性SCLで覆った場合3.0(n=3)2.01.00.00.511.522.53時間(分)図10含水性SCLからの水分蒸発の抑制非含水性CSCLでモデルアイ上の含水性CSCLを覆うと水分蒸発が防げる.意図的に閉瞼することにより,装用中の含水性CSCLからの涙液蒸発も抑制でき,眼精疲労を軽減できる可能性がある.水分蒸発量(mg)表1BWの定義100**VAS9080706050403020100眼の疲れ眼のかすみ図11BWによる自覚症状の改善BW(blindworking)施行時に,眼の疲れ,眼の乾き,眼のかすみについて,これまで経験したことのない程度を100として,VAS(VisualCAnalogScale)を実施したところ,すべての愁訴が軽減した.*:p<0.01,**:p<0.05.*N.S.121110瞬目間隔(秒)9876543210BW直後図12BWによるIBI(瞬目間隔)の変化通常時BW施行時IBIは,通常作業時とCBW(blindworking)施行時で有意差はなかったが,BW施行時のCBW直後のCIBIは,通常作業時と比較して有意に短かった.N.S.:有意差なし.*:p<0.05.-

乱視眼への遠近両用ソフトコンタクトレンズ処方

2019年10月31日 木曜日

乱視眼への遠近両用ソフトコンタクトレンズ処方ThePrescriptionofMultifocalSoftContactLensesforAstigmatism小玉裕司*はじめに遠近両用ソフトコンタクトレンズ(softcontactlens:SCL)は遠近の情報が一緒に入る同時視型のデザインであるため,単焦点のSCLに比較すると視力の質は追加度数が大きくなるほど落ちてくる.そのために,乱視眼にとってはさらに視力の質が低下し,満足する視力を提供できないことも多い.乱視を有する患者が遠近両用SCLを希望した場合,支障なく生活できる水準をめざすことをしっかりと伝えておくことが重要である.乱視がないユーザーに遠近両用SCLを処方するときにも,単眼での視力測定はせずに両眼にて遠近の視力を測定し,生活に支障のない度数を選定することが勧められているが,乱視を有するユーザーの場合にあっては,この方法を厳守しなければならない.I0.75D未満の乱視眼0.75D未満の乱視眼においては,経験的に比較的ユーザーに満足のいく視力を提供することができる.症例151歳,男性.事務職.球面SCLの度数を落として対応してきたが,遠近ともに見づらくなり,遠近両用SCLを希望して来院.完全矯正値優位眼(利き目)は右眼RV=(1.2×S-6.25D(C-0.50DAx170°)LV=(1.2×S-7.25D(C-0.25DAx165°)NBV=(0.7)(加入+1.25D)使用球面SCLRV=(0.7×880/-5.00/14.2)(1dayPureうるおいプラス)LV=(0.6×880/-5.75/14.2)(1dayPureうるおいプラス)NBV=(0.5×SCL)処方遠近両用SCLR:880/-5.50/14.2/+0.75(1dayPureマルチステージ)(表1)L:880/-6.50/14.2/+0.75(1dayPureマルチステージ)BV=(1.0)NBV=(0.6)このように,0.75D未満の乱視眼においては遠近とも表11dayPureマルチステージのスペックSCL分類グループIV(イオン性高含水レンズ)30×10-11(cm2/sec)・(mlO2/(mlmmHg))42.9×10-9(cm/sec)・(mlO2/(ml×mmHg))(-3.00D)+5.00D.-10.00D(0.25Dステップ)+0.75,+1.5058%ブルー0.07mm(-3.0D)8.80mm14.2mm1箱32枚入Dk値Dk/L値度数加入度数含水率レンズカラー中心厚ベースカーブ直径包装*YujiKodama:小玉眼科医院〔別刷請求先〕小玉裕司:〒〒610-0121京都府城陽市寺田水度坂15-459小玉眼科医院0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(29)1251==--==--===--=--表2メダリスト・マルチフォーカルのスペック表32WEEKMeniconプレミオ遠近両用のスペックSCL分類グループI9.5×10-11(cm2/sec)・(mlO2/(ml×mmHg))38.6%ライトブルー14.5mm0.10mm(-3.00D)8.7mm,9.0mm+5.00D.+4.50D(0.50Dステップ)+4.00D.-7.00D(0.25Dステップ)Low(.+1.50D),High(.+2.50D)6枚(片眼用約3カ月分)Dk値含水率レンズカラー直径(DIA)中心厚ベースカーブ球面度数加入度数枚数(1箱)SCL分類グループI129×10-11(cm2/sec)・(mlO2/(ml×mmHg))40%14.2mm0.08mm(-3.00D)8.6mm+5.00D.-6.00D(0.25Dステップ)-6.50D.-13.00D(0.50Dステップ)+1.00,+2.00D酸素透過係数含水率直径中心厚ベースカーブ球面度数加入度数=--=--====-===--=--==表4バイオフィニティ・マルチフォーカルのスペックSCL分類グループI128×10-11(cm2/sec)・(mlO2/(ml×mmHg))48%アクアブルー14.0mm0.10mm(-3.00D)8.6mm+5.00D.-6.00D(0.25Dステップ)-6.50D.-10.00D(0.50Dステップ)+1.00D,+1.50D,+2.00D酸素透過係数含水率レンズカラー直径中心厚ベースカーブ球面度数加入度数-==-==-表52WEEKMeniconプレミオ遠近両用トーリックのレンズデザイン老視矯正乱視矯正プログレッシブコンセントリックトーリック光学部デザインレンズ前面レンズ後面マーキングガイドマーク上下ドット(レンズ上下に各1本線)=--=---==表62WEEKMeniconプレミオ遠近両用トーリックの製作範囲球面度数0.00.-6.00(0.25Dステップ)-6.00D.-10.00D(0.50Dステップ)加入度数+1.00D円柱度数-0.75D,-1.25D軸180°,90°==

コンタクトレンズ装用における老視

2019年10月31日 木曜日

コンタクトレンズ装用における老視PresbyopiaAssociatedwithContactLensWear月山純子*はじめに少子高齢化が進む日本では,コンタクトレンズ(con-tactlens:CL)処方時に老視の問題を考える機会が多い.人口を年齢順に並べたときに,その中央で人口を二等分する境界点にあたる年齢を中位年齢というが,2020年に日本は48.9歳となり,世界平均の30.9歳を大きく上回る1).単純に考えて,人口の半分以上が老視世代といえる.また,平均寿命が伸び続けており,2007年に生まれた子供の半数以上が107歳より長く生きるという予測2)もあり,人生100年時代が現実味を帯びてきた.人生の半分以上を老視の状態で過ごさなければいけないことになり,CL処方において老視の問題は避けられない.スマートフォン(以下,スマホ)などのデジタルデバイス時代においては,老視の問題にうまく対処できないと,眼精疲労を生じるだけでなく,仕事の生産性の低下や,頭痛や肩こりなど身体的な辛さを助長してしまうことになる.そこで,本稿ではCL装用における老視の問題について,さまざまな角度から述べる.ICLと眼鏡の違い(表1)1.見かけの調節力(spectacleaccommodation)の影響CLは,眼鏡と比較してレンズの位置が約12mm眼球寄りとなる.この眼鏡とCLの距離を頂点間距離という.この12mmの距離があるために眼鏡とCLでは,近方視するときに必要な調節力に差が生じる.遠視と近視では異なるために意識する必要がある.基礎的なことではあるが,おさらいをしておきたい.眼鏡装用時の調節力をspectacleaccommodationというが,日本語訳では「見かけの調節力」という.見かけの調節力の間便な算出方法を以下に示す.B(D):見かけの調節力Acc(D):物体までの距離の逆数L(D):眼鏡レンズ度数k(m):頂点間距離AccB≒1.2kLたとえば,.4.0Dの眼鏡を角膜頂点から12mm(0.012m)の位置に装用して,25cm(0.25m)にある物体を見たときの見かけの調節力B(D)は,B≒1/0.25=3.65D1.2×〔0.012×(.4.0)〕となる.眼鏡であれば,25cmのところを見るのに3.65Dの調節力ですむのに,CLであれば4.0D必要なので,より多くの調節力を要する.逆に+2.0Dの遠視であれば*JunkoTsukiyama:社会医療法人博寿会山本病院眼科〔別刷請求先〕月山純子:〒648-0072和歌山県橋本市東家6-7-26社会医療法人博寿会山本病院眼科0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(21)1243表1CLと眼鏡の違い近視遠視見かけの調節力の影響眼鏡と比べてCLでは,近くのものを見るときに必要な調節力が多くなる.眼鏡のほうが有利眼鏡と比べてCLでは,近くのものを見るときに必要な調節力が少なくてすむ.CLのほうが有利輻湊眼鏡のほうがレンズのプリズム効果により,近方視時の輻湊が少なくてすむ.眼鏡のほうが有利眼鏡のほうがレンズのプリズム効果により近方視時に余分な輻湊が必要.CLのほうが有利視野の歪みの自覚眼鏡のほうが自覚しやすいが,像が縮小して見える分,遠視ほどは歪みを自覚しにくい.CLのほうが有利眼鏡のほうが自覚しやすいとくに遠視では像が拡大して見えるので視野の歪みを自覚しやすい.CLのほうが有利整容面眼鏡では眼が小さく見えるが,眼の周りのシミやシワも縮小して見える.CLのほうが有利?眼鏡では眼が大きく見え,眼の周りのシミやシワも一緒に拡大される.CLのほうが有利遠視の場合と近視の場合.それぞれの特性を理解して処方することが大切である.=図1SCLの表と裏表か(Ca),裏か(Cb),レンズの種類にもよるが,SCLの表と裏はわかりにくいため,老視が進行する前にSCLの扱いに慣れてもらいたい.患者「先生,最近疲れやすいんです.」「スマホを長時間見てるととくに…」医師「それは老眼だから当然です.」「遠近両用CLにしましょう.医学的には正しいが,受け入れていただきにくい….「スマホなど,近くのものを見るときに疲れやすいのですね.」「最近は,近くを見やすくするCLがありますよ.」「一度試してみませんか?」受け入れていただきやすい.図2遠近両用CLの勧め方最初に共感の言葉をいってから問題解決フレーズを使うと,遠近両用CCLを受け入れてもらいやすい.HCLSCL同時視型+交代視型同時視型遠方視時下方視したときにレンズが上に上がる近方視時図3遠近両用SCLとHCLの違いHCLは同時視型であるが交代視型の要素もある.SCLでは同時視型.非優位眼の優位眼の加入度数を変える加入度数を変えるLow→Med→HighにHigh→Med→Low→単焦点レンズ図5近くが見えにくい場合,遠くが見えにくい場合のフローチャート眼鏡の加入度数=CLの加入度数収差がどれくらい?どれくらいボケている?図4加入度数の考え方交代視型である眼鏡と,基本的に同時視型であるCCLの加入度数は異なる.両眼開放片眼遮蔽片眼遮蔽時よりも縮瞳する・焦点深度が深くなる・収差が減少図6両眼開放下と片眼遮蔽時の瞳孔径の違い両眼開放により,少し縮瞳することで焦点深度が深くなり,収差が減少する.-

デジタルデバイス時代

2019年10月31日 木曜日

デジタルデバイス時代DigitalDeviceUsageintheModernEra東原尚代*山岸景子**はじめに眼精疲労は眼の病的な疲労であり,休息によっても容易に回復しないのが特徴である.鈴村は眼精疲労の発症要因を外環境要因〔visualdisplayterminal(VDT)作業,冷暖房などによる刺激〕,視器要因(屈折異常や輻湊障害,斜位などの眼科的異常),内環境要因・心的要因(人間関係や仕事へのプレッシャーなどさまざまなストレス)の3者のバランスの崩れとして説明した1).近年,デジタルデバイスは急速に普及しており(図1)2),眼にまつわる諸問題として「IT(informationtechnolo-gy)眼症」「VDT症候群」「テクノストレス眼症」などとよばれ注目されている.なかでもスマートフォン(以下,スマホ)使用は低年齢化し(図2),あらゆる年代においてデジタルデバイスによる視覚への影響が懸念される.ここでは,デジタルデバイスの歴史や視覚に及ぼす影響を考え,デジタルデバイス時代を乗り切る対策についてまとめた.Iデジタルデバイス普及の歴史1995年にパーソナルコンピューター(以下,パソコン)基本ソフトWindows95に初めてインターネット接続機能が搭載され,これが日本でも急速にインターネットが普及するきっかけとなった.2000年にはノートブックパソコンがデスクトップパソコン出荷台数を追い越し,それに伴いインターネットでの検索エンジンやネットショッピングが普及して,FacebookやLINEなどsocialnetworkingservice(SNS)が若い世代を中心に広く浸透した.一方,携帯電話については1994年頃の普及率は1.7%程度だったが,1995年にはコードレス電話としてpersonalhandy-phonesystem(PHS)のサービスが始まり,1996年に着メロやメールといったサービスが付加されてPHSの普及率は21.5%に上昇した.さらに2001年に日本で世界初の第三世代携帯電話(いわゆるフューチャーフォン)が発売され,パソコンと同じポータルサイトでWEB検索ができるようになり,携帯電話の普及率は2005年に70.5%と飛躍的に上昇した.その後,iPhoneが日本に上陸した2008年から一気にスマホユーザーが増えていく.スマホの個人保有率は2011年には14.6%であったが,2016年には56.8%を超え,なかでも20代,30代は90%以上がスマホを個人所有するようになった3).2010年にはiPadも発売され,現在,タブレット型端末は教育現場でも取り入れられるほどになった(表1).IIデジタルデバイスの使用環境平成28年の総務省情報通信政策研究所の調査によると,全世代を通してインターネットの平日平均利用時間は2012年の76分から2016年は103分へ,休日平均使用時間は2012年の88分から2016年は123分へと増加した.とくにモバイル端末の利用時間が増加傾向にあり,10代,20代の休日のモバイル利用時間の平均は*HisayoHigashihara:ひがしはら内科眼科クニック**KeikoYamagishi:かしはら山岸眼科クリニック〔別刷請求先〕東原尚代:〒621-0861京都府亀岡市北町57-13ひがしはら内科眼科クリニック0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(15)1237(%)10090固定電話携帯電話・PHS(スマートフォンを含む)8070パソコン60スマートフォン72.0%50パソコンとスマホの保有割合の差は大幅に縮小タブレット型端末4033.3%3020タブレット型端末は10着実に伸びており26.3%→33.3%に0平成22平成23平成24平成25平成26平成27年末年末年末年末年末年末固定電話85.883.879.379.275.575.6パソコン83.477.475.881.778.076.8スマートフォン9.729.349.562.664.272.0携帯電話・PHS93.294.594.594.894.695.8タブレット型端末7.28.515.321.926.333.3※当該比率は,各年の世帯全体における各情報通信機器の保有割合を示す.図1おもな情報通信機器の保有状況(世帯)(平成22年~27年)スマートフォンを保有している世帯の割合は上昇を続け,パソコンを保有している世帯との差が縮小している.タブレット型端末の保有割合も上昇している.(文献C2より引用)図2小中高生でのスマートフォン・携帯電話の所有・利用状況(内閣府調べ)中高生だけでなく小学生でもスマホの所有・利用率が高くなっている.表1デジタルデバイスの歴史年表パソコン携帯タブレット端末ゲーム機1989年ゲームボーイ発売1995年Windows95発売PHSサービス開始1996年Yahoo!Japanサービス開始着メロブーム到来1997年楽天市場サービス開始ドコモメールサービス開始1999年携帯番号の桁数がC11桁に初のカメラ搭載携帯発売2000年ノート型がデスクトップを超えるGoogle日本語検索サービス開始AmazonJapanサービス開始2002年ブログの普及写真付きメールサービス開始タッチパネルCPC発売2004年mixi・Facebook誕生,Youtube設立ドコモおサイフケータイ開始任天堂CDS,ソニーCPSP発売2007年iPhone発売AmazonKindle発売2010年iPad発売2011年LINE登場任天堂C3DS発売表2デジタルデバイス環境での眼精疲労対策(AAOのホームページより改変引用)表3低加入度遠近両用SCLの製品特徴2週間交換1日使い捨て商品名2WEEKメニコンCDUOバイオフィニティアクティブプライムワンデースマートフォーカスシードC1dayPureうるおいプラスCFLEX製造元メニコンクーパービジョンアイレCSEEDFDA分類グループCIIグループCIグループCIVグループCIV物性Dk値C含水率3472%12848%2858%3058%製作範囲CBC度数直径加入度数その他8.6CmmC.0.25D.C.6.00D(C0.25Dステップ)C.6.50D.C.10.0D(C0.50Dステップ)14.5CmmC0.50Dガイドマーク入り8.6CmmCC5.00D.C.6.00D(C0.25Dステップ)C.6.50D.C.10.0D(C0.50Dステップ)14.0CmmC0.25Dシリコーンハイドロゲル素材8.8CmmC1.00D.C-7.00D(C0.25Dステップ)14.2CmmC0.50Dレギュラーパック(3C0枚)ミニパック(5枚),UVカット機能8.8CmmC5.00D.C.10.0D(C0.25Dステップ)C.10.50D.C.12.0D(C0.50ステップ)14.2Cmm0.50DUVカット機能,3C2枚入り光学イメージ図株式会社メニコンより提供クーパービジョン・ジャパン株式会社より提供シード株式会社より提供パッケージ外観株式会社メニコンより提供クーパービジョン・ジャパン株式会社より提供株式会社アイレCHPより引用シード株式会社より提供各製品のスペック,特性をまとめた.レンズの中心は遠用で周辺が近用タイプとなっている.梶田ら21)は,眼の疲れを自覚する近見作業従事者を対象に,低加入度遠近両用CSCL(2WEEKメニコンCDUO)とC2週間交換単焦点CSCLをC2週間ごとに両眼にクロスオーバーで装用させ,自覚症状とCAA-1で調節微動の高周波成分出現頻度(highCfrequencyCcomponent:HFC)を計測した.両CSCLで装用前後のCHFCに有意差はなかったものの,夕刻に測定されたC7名はメニコン2WEEKメニコンCDUO装用でCHFCが有意に低下したことより,近見作業で生じる調節緊張の緩和に有効と示唆している.調節力が十分ある若い年代であっても,単焦点CSCLを装用してデジタルデバイスを長時間使用し続ければ調節に負荷がかかる.患者の症状や生活環境を丁寧に問診してうまく低加入度CSCLへ切り替えできれば,デジタルデバイスによる眼性疲労の緩和に寄与できる可能性がある.おわりにデジタルデバイスの浸透により今後さらに眼精疲労を訴える患者の増加が懸念される.デジタルデバイスが視覚に及ぼす影響を考慮し,環境整備を配慮するだけでなく低加入度遠近両用CSCLを含めた対策が求められる.SCL装用はドライアイのリスクファクターであるため,慎重な適応の見きわめや必要に応じて点眼の併用も検討しなければならない.文献1)鈴村昭弘:主訴からする眼精疲労の診断.眼精疲労(三島済一編),眼科CMOOK23,p1-9,金原出版,19852)総務省:平成C27年通信利用動向調査の結果(URL:http://Cwww.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html)3)総務省:通信利用動向調査.スマートフォン個人保有率の推移Chttp://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/Cstatistics05.html4)総務省情報通信政策研究所:平成C28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書.p96,20175)BababekovaY,Rosen.eldM,HueJEetal:FontsizeandviewingCdistanceCofChandheldCsmartCphones.COptomCVisCSci88:795-797,C20116)野原尚美,松井康樹,説田雅典ほか:携帯電話・スマートフォン使用時および書籍読書時における視距離の比較検討.あたらしい眼科32:163-166,C20157)YoshimuraCM,CKitazawaCM,CMaedaCYCetal:SmartphoneCviewingdistanceandsleep:anexperimentalstudyutiliz-ingCmotionCcaptureCtechnology.CNatCSciCSleepC9:59-65,C20178)JenniferCL,CReneCC,CSimonCDCetal:ViewingCdistanceCandCeyestrainCsymptomsCwithCprolongedCviewingCofCsmart-phones.ClinExpOptomC100:133-137,C20179)原直人:デジタル機器により生じる視機能の弊害.2019/2/19日本眼科医会記者懇談10)小野里規子,原直人,新井田孝裕ほか:スマートフォン長時間利用による高校生の調節機能への影響:第C56回日本神経眼科学会11)厚生労働省:平成C20年技術革新と労働に関する実態調査.VDT作業における身体的な疲労や症状をもつ労働者の割合12)UchinoCM,CYokoiCN,CUchinoCYCetal:PrevalenceCofCdryCeyeCdiseaseCandCitsCriskCfactorsCinCvisualCdisplayCterminalusers:theOsakastudy.AmJOphthalmol156:759-766,C201313)PortelloJK,Rosen.eldM,ChuCA:Blinkrate,incompleteblinksandcomputervisionsyndrome.OptomVisSci90:C482-487,C201314)ChuCCA,CRoawn.eldCM,CPortelloJK:Blinkpatterns:Creadingfromacomputerscreenversushardcopy.OptomVisSciC91:297-302,C201415)GowrisankaranCS,CSheedyCJE,CHayesJR:EyelidCsquintCresponsetoasthenopia-inducingconditions.OptomVisSci84:611-619,C200716)Miyake-KashimaM,DogruM,NojimaTetal:Thee.ectofCantire.ectionC.lmCuseConCblinkCrateCandCasthenopicCsymptomsCduringCvisualCdisplayCterminalCwork.CCornea24:567-570,C200517)文部科学省:児童生徒の健康に留意してCICTを活用するためのガイドブック.文部科学省生涯学習政策局,2018Chttp://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/Cmicro_detail/_icsFiles/a.eld.le/2018/08/14/1408183_5.Cpdf18)HirotaM,KandaH,EndoTetal:BinocularcoordinationandCreadingCperformanceCduringCsmartphoneCreadingCinCintermittentCexotropia.CClinCOphthalmolC12:2069-2078,C201819)Salmero-CampillRM,JaskulskiM,Lara-CanovasSetal:CNovelmethodofremotelymonitoringtheface-devicedis-tanceCandCfaceCilluminanceCusingCmobiledistance:aCpilotCstudy.CHindawiCJournalCofCOphthalmologyC2019:ArticleCID1946073,C201920)AAOホームページChttps://www.aao.org/eye-health/tips-prevention/computer-usage21)梶田雅義,山崎愛,入道香澄ほか:調節緊張を緩和する新デザインコンタクトレンズの評価.日コレ誌C54:27-30,C2012C1242あたらしい眼科Vol.36,No.10,2019(20)

コンタクトレンズ装用における残余乱視と持ち込み乱視

2019年10月31日 木曜日

コンタクトレンズ装用における残余乱視と持ち込み乱視ResidualAstigmatismandBringing-inAstigmatismWhenWearingContactLenses糸井素純*I残余乱視,持ち込み乱視とはコンタクトレンズ(contactlens:CL)装用時の残余乱視とは,CLを装用した状態で残っている(矯正しきれていない)乱視である.残余乱視にはCCL装用で完全に矯正しきれなかった乱視のみならず,CL装用による持ち込み乱視も含まれる1).持ち込み乱視とはCCLを装用することにより,これまでなかった乱視が出現したり,乱視の状態が変化することをいう1).典型的にはハードコンタクトレンズ(hardcontactlens:HCL)を装用したときに角膜前面の乱視が矯正されるため,水晶体乱視が表面化し,これまでなかった乱視が出現したり,乱視の状態が変化することをいう.乱視用ソフトコンタクトレンズ(softcontactlens:SCL)装用でも,レンズが回転し,静止位置が不適切であると,持ち込み乱視が出現する.CII残余乱視と眼精疲労残余乱視があると視界のブレを自覚し,それが眼精疲労の原因と考え,眼科を受診する人が少なくない.実際にはそのような症例の多くは,見にくくなったという理由で過矯正のCCLを使用していることが多い.残余乱視に伴う眼精疲労を治療するためには,単に度数を強くするのではなく,残余乱視の発生機序を理解し,残余乱視が最小限になるようなCCLを選択し,適正な度数で処方する必要がある.代表的な残余乱視のパターン別に症例を紹介し,解説とその対策を述べる.C1.残余乱視①(持ち込み乱視):HCL装用による水晶体乱視の表面化症例C1:18歳,女性.HCLをCCL量販店で購入したが,手持ちの眼鏡よりも見にくいという主訴で来院した.初診時の裸眼視力は右眼C0.06,左眼C0.09,矯正視力は右眼C1.2,左眼C1.2,眼鏡視力(右CS.5.0D,左CS.4.25D)は右眼C1.0,左眼C1.0.他覚的屈折値は右眼CS.6.5D(C.0.25DAx105°,左眼CS.5.5D,自覚的屈折値は右眼CS.5.25D(C.0.25DCAx100°,左眼S.4.25D,角膜曲率半径値は右眼C7.75mm(61°)/7.83mm(151°)角膜乱視C0.5D,左眼C7.75mm(103°)/7.84mm(13°)角膜乱視C0.5Dであった.図1は前眼部光干渉断層計(anteriorCsegmentCopticalCcoherencetomography:AS-OCT,CASIA)による角膜形状解析の結果である.手持ちCHCLは右眼C7.90Cmm/.5.50D/8.8Cmm,左眼C7.90Cmm/.4.75D/8.8CmmでCCL視力は右眼C0.7,左眼C0.8であった.手持ちレンズを装用した状態でオートレフラクトメータで屈折状態を確認したところ,右眼CS+1.0D(C.1.5DAx90°,左眼CS+1.25D(C.1.5DCAx90°とHCL装用により倒乱視が生じ,過矯正にもかかわらず,CL矯正視力はC1.0未満であった.当院でC1日使い捨てシリコーンハイドロゲルCCL(右眼C9.0Cmm/.4.25D/14.2mm,左眼C9.0Cmm/.3.5D/14.2mm)を処方し,CL矯正視力は右眼C1.2,左眼C1.2であ*MotozumiItoi:道玄坂糸井眼科医院〔別刷請求先〕糸井素純:〒150-0043東京都渋谷区道玄坂C1-10-19道玄坂糸井眼科医院C0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(9)C1231図2乱視用ソフトコンタクトレンズ装用時の軸ずれ10時半方向に軸マークがみられる.図1前眼部光干渉断層計(CASIA)の角膜前面のaxial表示角膜前面の乱視はC0.5Dと非常に少ない.図3従来型ソフトコンタクトレンズ装用による角膜変形前眼部光干渉断層計(CASIA)による解析画面.上段:ソフトコンタクトレンズ装脱C1週間後(初診時),下段:ソフトコンタクトレンズ中止C4カ月後.初診時に角膜前面中央部のスティープ化と角膜下方の菲薄化を認め,ソフトコンタクトレンズ中止C4カ月後には正常に回復している.図5レンズ前面周辺部の溝加工(MZ加工)MZ加工により上眼瞼によるハードコンタクトレンズ保持図4プラチドリング式角膜形状解析装置(KeratronScout)がされやすくなり,レンズの安定性が向上する.のinstantenousradius表示(trueradius像)2週間頻回交換ソフトコンタクトレンズ装用による角膜変形.

ソフトコンタクトレンズ装用に伴う乱視

2019年10月31日 木曜日

ソフトコンタクトレンズ装用に伴う乱視AstigmatismAssociatedwithSoftContactLensWear樋口裕彦*(%)はじめに402018年の国別ソフトコンタクトレンズ(softcontact35lens:SCL)処方におけるトーリック(乱視用)レンズの30割合を図1に示す1).日本におけるトーリックSCLの処25方割合は17%と台湾についで低く,世界平均(32%)を20大きく下回っている.この傾向はガス透過性ハードコン15タクトレンズ(hardcontactlens:HCL)に関しても同105様であり,例年同じような状態が続いている.トーリックSCLの処方率が低い原因としては,処方者側の要因としてトーリックレンズの処方は通常の球面レンズに比べてやや手間がかかり,経験と時間が必要であること0と,装用者側の要因としてトーリックレンズが経済的にやや高価であることなどが推測される.しかしながら,わが国のコンタクトレンズ(contactlens:CL)装用者の未矯正の乱視による不良な視機能や,結果として生じうる眼精疲労などの弊害をこのままにしておいてよいのであろうか?CL装用に伴う乱視には,正乱視眼に対して球面SCLを装用したときの残余乱視,トーリックSCLを装用したときの円柱度数不足に伴う残余乱視や軸ずれによって生じる乱視(残留屈折値),不正乱視眼に対して球面SCLやトーリックSCLを装用したときに残存する不正乱視,水晶体乱視が存在する正乱視眼や全乱視を認めない眼に対してHCLを装用したときに生じる持ち込み乱視,円錐角膜などの不正乱視に対してHCLを装用したときの角膜後面形状に由来する残余(不正)乱視などが図1国別SCL処方におけるトーリックレンズの割合(2018年)日本におけるトーリックレンズの処方割合は,世界平均を大きく下回っている.ある.本稿では,SCL装用に伴う乱視について述べる.I乱視の種類とその問題点乱視とは眼の経線によって屈折力が異なるため,外界の1点から出た光線が眼内で1点に結像しない状態をいい,正乱視と不正乱視に大別される.正乱視眼では直交する強い屈折力をもつ経線(強主経線)と弱い屈折力をもつ経線(弱主経線)が存在し,無限遠の1点から出た光線は,それぞれの経線方向で前焦線と後焦線に結像する.前焦線と後焦線の間を焦域とよび,正乱視眼では焦*HirohikoHiguchi:ひぐち眼科〔別刷請求先〕樋口裕彦:〒180-0004東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-3ダイヤガイビル4Fひぐち眼科0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(3)1225表1全乱視の強さと選択すべきCLの関係全乱視の強さ軽度(.C0.75D)中等度(C1.00D.2.75D)強度(C3.00D.5.75D)最強度(C6.00D.)球面CSCL○.C△C×××トーリックCSCLC×.C◯C○○.C××HCLC○C○C○C○乱視矯正効果から考えた全乱視の強さと選択すべきCCLの関係を示す.○:適応,△:比較的適応,×:非適応.表2日本で処方可能な代表的なトーリック(乱視用)SCL軸度C120°C160°C170°C180°*3)C10°C20°C60°C80°C90°C100°C20°C90°C160°C180°*3)170°C180°C10°C20°C90°C160°C20°C90°C160°C180C90°C180°*4)90°C180°*4)C90°C180°20°C90°C160°C180C20°C90°C160°C180*3)*4)C160°C170°C180°*4)C10°C20°C60°C90°C120°C170°C180°*3)C10°C20°C90°C160°C20°C90°C160°C180*3)C90°C180°*4)180°C160°C170°C180°10°C20°C80°C90°C100°C160°C170°C180°10°C20°C80°C90°C100°C(1C0°間隔)C10°.C180°(1C0°間隔)C10°.C180°(5°間隔)5°.C180°円柱度数.1.75,C.2.25*3)C.0.75,C.1.25,C.1.75*3)C.0.75,C.1.25,C.1.75,C.2.25C.0.75,C.1.25,C.0.75,C.1.25,C.1.75C.0.75,C.1.25,C.1.75C.0.75,C.1.25,C.1.75C.0.75,C.1.25,C.1.75C.1.75,C.2.25C.0.75,C.1.25,C.0.75,C.1.25,C.1.75C.1.75,C.2.25C.0.75,C.1.25,C.1.75,C.2.25*3)C.0.75,C.1.25,C.1.75,C.2.25C.0.75,C.1.25,C.0.75,C.1.25,C.1.75C.0.75C.1.75,C.2.25C.0.75,C.1.25,C.1.75,C.2.25,C.2.75C.0.75,C.1.25,(0C.25間隔).0.75.C.2.75(0C.50間隔).0.75.C.3.25(0C.50間隔).0.50.C.6.00球面度数+4.00.C.9.00C±0.00.C.10.00C±0.00.C.10.00C+4.00.C.8.00C±0.00.C.10.00C±0.00.C.10.00C±0.00.C.9.00C±0.00.C.9.00C+2.00.C.10.00C±0.00.C.9.00C+5.00.C.10.00C+6.00.C.10.00C±0.00.C.10.00C±0.00.C.10.00C±0.00.C.9.00C±0.00.C.9.00C.1.50.C.8.00C+2.00.C.10.00C+5.00.C.20.00CデザインASD*2)プリズムバラストCプリズムバラストCダブルスラブオフド・トーリック・デザインCモディファイド・ハイブリップリズムバラストCプリズムバラストCプリズムバラストCプリズムバラストASD*2)プリズムバラスト8/4デザインプレシジョンバランスク・デザインCハイブリッド・トーリッダブルスラブオフCプリズムバラストCプリズムバラストCプリズムバラストCプリズムバラストプリズムバラストDk値*1)2819.78019.7224230103128110129349132341112素材ハイドロゲルCハイドロゲルCハイドロゲルCシリコーンハイドロゲルCハイドロゲルCハイドロゲルCハイドロゲルCハイドロゲルCシリコーンハイドロゲルCシリコーンハイドロゲルCシリコーンハイドロゲルCシリコーンハイドロゲルCハイドロゲルCシリコーンハイドロゲルCハイドロゲルCハイドロゲルCハイドロゲルCレンズ名ワンデーアキュビューCRRモイストC乱視用トーリックワンデーバイオメディックスCR1日使い捨てAlconハイドロゲルC26コンフォートプラスTMトーリックシリコーン1DAYメニコンプレミオトーリック64ハイドロゲルCMeniconRマイデイCトーリックRデイリーズCアクア1DAYメニコントーリックRメダリストCワンデープラス<乱視用>RバイオトゥルーCワンデートーリックシードC1dayPureうるおいプラス乱視用RRアキュビューCオアシスC乱視用RバイオフィニティーCトーリック2RAlconエアオプティクスC乱視用週間頻回交換2WEEKメニコンプレミオトーリックMenicon2WEEKメニコンレイトーリックRコンフォートモイストC<乱視用>RRメダリストCフレッシュフィットCRメダリストC66トーリックメニコンソフトC72トーリックプレノ(トーリック)アイミーソフトII・トーリックメーカーJ&JVisionCooperB&LSEEDJ&JVisionCooperB&LMeniconHOYAAimeレンズタイプ従来型*4)円柱度数により制作範囲は異なる*3)球面度数により制作範囲は異なる*2)AcceleratedStabilizationDesign用意されている.1日使い捨てトーリックSCLの円柱度数は最大C.2.25D,2週間交換トーリックSCLの円柱度数は最大C.2.75D,従来型のトーリックSCLの円柱度数は最大C.6.00DまでC.*1)酸素透過係数:C1011(cm2/sec)・(mlO2/mlmmHg)××限界がある.当院では従来型のトーリックCSCLは安全性の問題などから処方していない.したがって,現在発売されているC1日使い捨てトーリックCSCLまたはC2週間交換トーリックCSCLを用いた場合,角膜頂点間距離補正後の全乱視のうち円柱度数で.0.75D.4.00D程度までが矯正の限界と考えている.また,正乱視であっても斜乱視の場合は処方できるCSCLが限られており,円柱度数が強くなくても,処方が困難な場合が少なくない.トーリックCSCLで矯正困難な正乱視眼の場合には,装用感の改善のために径の大きいレンズを用いたり,必要があればCpiggybagsystemを用いるなどの工夫を行い,HCLの処方を積極的に勧めるべきと考えている.トーリックCSCLを処方する場合には,球面CSCLを処方する場合以上にレンズのフィッティングを慎重に行う必要がある.瞬目とともにC30°(もっとも安定する位置から±15°)以上変動するような場合は安定した良好な視力は得られにくいので,トライアルレンズを変更する.瞬目に伴うレンズの回転がC30°以内であっても,トーリックCSCLが軸ずれを起こして,ガイドマークが所定の位置からC15°以上回転して安定している場合には,回転している角度に合わせて円柱軸を補正し処方する必要がある.補正する方向については,時計回り方向に回転している場合には乱視軸に回転分の角度を加えて処方する円柱軸とし,逆に反時計回り方向に回転している場合には乱視軸から回転分の角度を減じて処方する円柱軸とする(正加半減則).レンズの規格上,円柱軸の補正が不可能な場合はトライアルレンズの種類を変更する.一般的には.0.75Dの円柱レンズはC.1.00.1.50D,C.1.25Dの円柱レンズはC.1.75D.2.25D,C.1.75Dの円柱レンズは.2.25D.2.75D,C.2.25Dの円柱レンズは.2.75D.3.25D,C.2.75Dの円柱レンズはC.3.25D.4.00Dの全乱視に対して用いるのが一つの目安となる.ただし,実際の処方にあたっては乱視の方向(直乱視や倒乱視)や年齢なども考慮する必要がある.C3.トーリックSCLの軸ずれによって生じる乱視(残留屈折値)処方したトーリックCSCLが軸ずれを起こしたときに生じる乱視(残留屈折値)について考えてみる.C.2.00Dの直乱視に対してC.1.00DCAx180°のトーリックCSCLで矯正した場合にC.1.00Dの直乱視が残ることは容易に理解ができる.それではトーリックCSCLで軸ずれが発生した場合にはどうなるだろうか?一般に完全矯正値CD1に対して,D2のレンズを装用した場合の残留屈折値CD3は図2に示すような公式で求められる3).この公式から.1.00Dの直乱視にC.1.00DCAx180°のトーリックCSCLを装用してCa°軸ずれをした場合の残留屈折値を求めると,表34)のような結果となる.この表から軸ずれがC0すなわちCa=0°であればC.1.00Dの直乱視は完全に矯正されるが,Ca=15°で残留乱視は.0.518D(軸度C142.5°)と矯正効果は半減し,Ca=30°でC.1.00D(軸度C150°)と,軸が変化するだけで乱視の矯正効果はまったく消失してしまうことがわかる.円柱度数が小さい場合には軸ずれの残留乱視への影響は小さいが,円柱度数が大きい場合には少しの軸ずれで残留乱視が大きく増えることが知られている4).したがって,トーリックCSCLを処方する場合に,瞬目によるレンズの回転が少なく,また軸ずれがない場合にはある程度強い円柱度数を処方することが可能である.逆に瞬目によるレンズの回転が比較的大きい場合には,トライアルレンズを変更するか,円柱度数を弱めに処方する必要がある.トーリックCSCLは,軸ずれを起こした場合の視機能に対する影響が大きいので,処方に際してはスリットで軸の回転がないかを十分に確認することはもちろん,レンズ装用状態で残余屈折値の有無について,オーバーレフを用いて確認し,矯正効果を確認しておくとよい.CIII不正乱視に対するSCL装用円錐角膜,角膜移植後,屈折矯正術後合併症,外傷や感染症後の角膜瘢痕,角膜変性などによる角膜表面の不規則性によって生じた不正乱視を有する症例では,いずれも高次収差が大きく,通常CSCLを処方しても良好な矯正視力が得られないか,仮に得られたとしてもコントラスト感度が低下するなど,装用者が満足するような視機能が得にくいため,HCLを処方するのが原則である.不正乱視眼にCHCLを装用した場合には,眼球の第一屈折面がCHCL前面となり,HCL後面と不正な角膜前面の1228あたらしい眼科Vol.36,No.10,2019(6)残留屈折値Ca(°)Sph(D)Cyl(D)Ax(°)C0C0C0C0C5C0.087C.0.174C137.5C10C0.174C.0.347C140C15C0.259C.0.518C142.5C20C0.342C.0.684C145C25C0.423C.0.845C147.5C30C0.5C.1C150C35C0.574C.1.147C152.5C40C0.643C.1.286C155C45C0.707C.1.414C157.5C50C0.766C.1.532C160C55C0.819C.1.638C162.5C60C0.866C.1.732C165C65C0.906C.1.813C167.5C70C0.94C.1.879C170C75C0.966C.1.932C172.5C80C0.985C.1.97C175C85C0.996C.1.992C177.5C90C1C.2C180C95C0.996C.1.992C2.5C100C0.985C.1.97C5C105C0.966C.1.932C7.5C110C0.94C.1.879C10C115C0.906C.1.813C12.5C120C0.866C.1.732C15C125C0.819C.1.638C17.5C130C0.766C.1.532C20C135C0.707C.1.414C22.5C140C0.643C.1.286C25C145C0.574C.1.147C27.5C150C0.5C30C155C0.423C.0.845C32.5C160C0.342C.0.684C35C165C0.259C.0.518C37.5C170C0.174C.0.347C40C175C0.087C.0.174C42.5図3症例の右眼トポグラフィー所見典型的な円錐角膜を認める.