あたらしい眼科36(6):757~770,2019c第23回日本糖尿病眼学会総会特別講演Ⅱ(眼科)糖尿病網膜症の病態と治療─臨床と基礎研究の接点─PathophysiologyandTreatmentofDiabeticRetinopathy:ClinicalandBasicResearch池田恒彦*共同研究者:奥英弘*1杉山哲也*1植木麻理*1小嶌祥太*1喜田照代*1小林崇俊*1柴田真帆*1佐藤孝樹*1福本雅格*1森下清太*1糸井恭子*1中泉敦子*1細木安希子*1西川優子*1堀江妙子*1中村公俊*2宮崎瑞夫*3高井真司*4はじめに筆者の専門は網膜硝子体手術であるが,筆者自身が硝子体手術を手がけ始めた昭和60年頃は硝子体手術の黎明期で,当時の糖尿病網膜症(diabeticretinopathy:DR)に対する手術成績は決して良好なものではなかった.その後,硝子体手術はめざましい進歩を遂げ,最近では高速回転カッターを用いたmicro-incisionvitrecto-mysurgery(MIVS)やワイドビューイングシステムの普及で,手術成績は著しく向上した1).しかし,増殖糖尿病網膜症(proliferativediabeticretinopathy:PDR)に対する硝子体手術後には再増殖,再.離,血管新生緑内障,視神経萎縮などの併発症をきたす頻度が高い.手術成績を向上させるには病態解明が重要であるが,当時は硝子体中のサイトカインを測定するという臨床研究2~6)や,網膜の主要なグリアであるMuller細胞に関する基礎研究7~10)などを行った.しかし,DRの臨床像はきわめて多彩であり,病態解明にはPDRのみを対象とするのではなく,各病期で総合的に研究する必要性を感じた.そして,日常臨床で感じる素朴な疑問を出発点として,分子生物学,生化学,病理学などの手法を用いながら病態を解明する研究をライフワークにしてきた.本稿では,筆者らのDRに関する病態研究のうち「DRの7不思議」ともいえる次の七つの項目について述べる.I.糖尿病黄斑浮腫(diabeticmacularedema:DME)はなぜ黄斑部に生じるのか,II.硬性白斑が中心窩に徐々に集積するのはなぜか,III.急激な血糖コントロールでDRが悪化するのはなぜか,IV.局所性浮腫で硬性白斑はなぜ輪状になるのか,V.DMEに硝子体手術が奏効するはなぜか,VI.PDRでもDMEをまったく認めない症例があるのはなぜか,VII.DRでしばしば血管の白鞘化を認めるのはなぜか.IDMEはなぜ黄斑部に生じるのかDRに限らず網膜浮腫は,なぜ黄斑部にしばしば生じるのであろうか.網膜浮腫は血管透過性亢進によって生じるが,なぜ無血管である中心窩に浮腫が生じやすいのかという素朴な疑問が湧いてくる.黄斑部に特異的に生じる疾患は黄斑上膜,黄斑円孔,DMEをはじめとして多くの疾患がある.黄斑部には中心窩陥凹および無血管野があり,網膜の構造が他の部位とは大きく異なる.1.特発性黄斑円孔の閉鎖機序DRから少し話は外れるが,黄斑部の特殊性を解明するため,筆者らは特発性黄斑円孔(idiopathicmacularhole:IMH)の発症および硝子体手術後の閉鎖機序について研究してきた.IMHの発症機序としては,Kishiらが提唱した後部硝子体皮質ポケット後壁の硝子体ゲルによる牽引の関与が知られており,IMHの閉鎖はこの牽*1TsunehikoIkeda,HidehiroOku,TetsuyaSugiyama,MariUeki,ShotaKojima,TeruyoKida,TakatoshiKobayashi,MahoShibata,TakakiSato,MasanoriFukumoto,SeitaMorishita,KyokoItoi,AtsukoNakaizumi,AkikoHosoki,YukoNishikawa,TaekoHorie:大阪医科大学眼科学教室*2KimitoshiNakamura:中村眼科*3MizuoMiyazaki:大阪医科大学薬理学教室*4ShinjiTakai:大阪医科大学創薬医学教室〔別刷請求先〕池田恒彦:〒569-8686大阪府高槻市大学町2-7大阪医科大学眼科学教室2522.52017.51512.5107.552.50黄斑部B黄斑と赤道の赤道部A,C周辺部D中間E図1サル眼網膜の各部位におけるネスチン陽性細胞ネスチン陽性細胞は黄斑部にもっとも多く,周辺にいくに従い減少し,最周辺部でまた少し増加していた.(文献25より引用)引が解除されることによるとされてきた11).しかし,IMHの病態にはこのようなメカニカルな機序のみではなく,中心窩網膜には網膜再生能力をもつ細胞が存在し,それがIMHの閉鎖機序に関与するのではないかという仮説のもとに研究を行ってきた12).その一つの根拠として,IMHに対する硝子体手術後の光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)所見を見ると,中心窩網膜の層状構造が徐々に修復し,それに平行して視力が改善してくる.近年普及しているinverted.ap法13)施行例でも,最初は蓋をした中心窩網膜にみられる空洞が時間の経過とともに徐々に埋まっていき,最終的には層状構造をもった中心窩網膜が復活する.胎児皮膚のような未分化で幼弱な組織は,傷をつけても再生して瘢痕を残さずに治癒するが,その現象をscarlesswoundhealingとよび,その修復には組織幹細胞が関与するとされている14,15).IMHの術後OCTにおける中心窩網膜の修復過程をみたときに,この現象と共通するものを感じた.2.中心窩網膜と組織幹細胞かつては脳のような中枢神経は再生しないと考えられてきたが,最近の研究で脳の海馬や脳室下帯には神経幹細胞が存在することが証明されている16,17).海馬は記憶や学習に関与する組織で,ストレスを受けやすい部位である.また,全身のほとんどの臓器に組織幹細胞が存在することが知られているが,小腸の陰窩や毛胞のバルジなどはいずれも組織が陥凹した部位に組織幹細胞が存在する18,19).また,組織幹細胞は生涯を通して未分化な状態を維持する必要があり,普段は眠っていて必要に応じて組織を構成する細胞に分化するため,骨髄造血幹細胞のendostealnicheや心臓幹細胞のnicheのように低酸素の環境が必要とされている20).脳と同じ中枢神経の一部である網膜にも毛様体との境界部(ciliarymarginalzone)に組織幹細胞が存在し,とくに魚類では一生を通じ神経細胞,グリア細胞,視細胞に分化していることが知られている21).最近,成体哺乳類でも周辺部網膜に再生能力をもつ細胞が存在することが報告されている22).ストレスを受けやすい脳の海馬と同様に,中心窩は常に光のストレスを受け続けている.また,中心窩は陥凹しており,無血管で低酸素状態にある.このような他の組織幹細胞にみられるような特徴を有していることから,中心窩網膜には組織幹細胞が存在するのではないかという仮説を立てた.Fisherらは,Muller細胞が脱分化して網膜前駆細胞になることを報告し23),Takahashiらも,傷害を受けたMuller細胞が網膜を構成する種々のニューロンに分化することを報告した24).これらの研究によりMuller細胞と神経再生の関連が注目されるようになった.筆者らは,サル眼を使用して中心窩を含む黄斑部組織切片を作製し,神経幹細胞のマーカーであるネスチンで染色してみた.その結果,ネスチン陽性細胞が黄斑部にもっとも多く,周辺に行くに従い減少し,最周辺部でまた少し増加するといった興味深い結果を得た(図1)25).遺伝子発現をrealtime-polymerasechainreaction(PCR)で分析した結果も同様に,黄斑部にもっとも高いネスチンの発現がみられた26).黄斑部にはほかの網膜部位とは異なりネスチン陽性の未分化な細胞が多く,幼若性を有する可能性が考えられる.3.DMEとヒアルロン酸ここで話をDRに戻す.DMEの発症機序を考えるう図2Muller細胞におけるヒアルロン酸結合蛋白(CD44)の発現bFGFとインスリンを培養上清中に添加することで,培養Muller細胞を脱分極させたところ,CD44の発現が増加した.(文献28より引用)えで,ヒアルロン酸という分子に着目した.一般に幼弱な組織にはヒアルロン酸が多く,組織幹細胞や癌幹細胞はヒアルロン酸を産生することが知られている27).また,ヒアルロン酸は,多数の水酸基を有し親水性で保水作用があることが知られている.そこで筆者らは,培養Muller細胞を用いてヒアルロン酸結合蛋白の発現を調べた.その結果,bFGFおよびインスリンで培養Muller細胞を脱分化させると,ヒアルロン酸結合蛋白の一つであるCD44の発現が増加した(図2)28).PDRの硝子体中にはbFGFやインスリンと受容体を共有するIGF-1などのサイトカイン濃度が上昇することが知られている29,30).これらのサイトカインが中心窩に存在する.Muller細胞を脱分化させ,CD44の発現を高めることで,中心窩にヒアルロン酸が蓄積される.その結果としてヒアルロン酸が周囲から水を引き寄せ,黄斑浮腫が生じるのではないかと考えられる(図3a,b).II硬性白斑が中心窩に徐々に集積するのはなぜかヒアルロン酸は保水作用に加えて,脂質の特徴である図3DMEと中心窩硬性白斑集積の発症機序(仮説)中心窩におけるヒアルロン酸結合蛋白の発現増加により,ヒアルロン酸が増加し,周囲から水が引き寄せられてDMEが生じる(a,b).また,ヒアルロン酸の疎水部分と脂質が複合体を形成することで中心窩に硬性白斑が集積する(c).疎水領域も有し,脂質と複合体を形成することが知られている31).硬性白斑の主成分はリポ蛋白であり,中心窩で産生が増加したヒアルロン酸が脂質と複合体を形成し,これが中心窩に蓄積するために硬性白斑の中心窩集積が生じるのではないかと考えられる(図3c).III急激な血糖コントロールでDRが悪化するのはなぜか急激な血糖コントロールでDRが悪化する原因としては,網膜血流量の増加,浸透圧の変化などが指摘されている32,33).また,治療前のHbA1cが高値あるいは長期間HbA1cが高値であった症例では,血糖コントロールaインスリン投与b相対値1.21.110.90.80.70.6controlinsulinglucose(25mM)+Insulin図4摘出網膜血管におけるインスリンのNO合成能ラットの摘出網膜血管におけるNO合成能はインスリンの投与により増加した(a).一方,高グルコース下ではインスリンによりNOの産生はむしろ減少した(b).(文献39より引用改変)後にDR増悪例が多いとされている.さらに,食事療法よりもインスリンによるHbA1cの急激な低下によってDMEが悪化しやすいとする報告があり34),インスリンが浮腫の発症に関与している可能性が示唆される.1.インスリンと一酸化窒素インスリンは血管内皮細胞から一酸化窒素(nitricmonoxide:NO)を遊離させることで血管を拡張し,血流を増加させることが知られている35).また,一酸化窒素合成酵素(nitricoxidesynthase:NOS)のうちの誘導型(inducible)NOS(iNOS)がDRにおける血液網膜関門の破綻に関与するとする報告36)や,血管内皮型(endothelial)NOS(eNOS)遺伝子が2型糖尿病の黄斑浮腫と関連するという報告がみられる37).また,脳や網膜のような中枢神経系ではニューロン,グリア細胞,血管がneurovascularunitという構造を介して,相互に干渉し合っていることが注目されているが,これにもNOSが関与している38).そこで筆者らは,tissueprint法という手法を用いてラットの摘出網膜血管におけるインスリンのNO合成能をみてみた.その結果,インスリン投与によりNOの蛍光強度が増加した(図4a).一方,高グルコース下ではインスリンによりNO産生はむしろ減少した(図4b)39).これらの病態は複雑であるが,iNOSやeNOS,および活性酸素によるNOの消去とのバランスが,インスリン治療導入直後のDRの一時的な悪化の一因となる可能性が考えられる.2.DMEとaquaporin4DMEの成因に血管透過性亢進作用を有する血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)が関与することはよく知られており,近年,DMEの治療法として抗VEGF療法が普及している.筆者らは,VEGF以外の網膜血管透過性亢進の原因として,aqua-porin4(AQP4)に着目した.AQP4は水チャンネルとして発見され,脳浮腫の発症に関与することが知られて赤:AQP4,緑:GFAPcontrolSTZratGFAPmerge20μm図5ラット網膜におけるアクアポリン4(AQP4)とGFAP免疫組織染色STZラットの網膜において,AQP4の発現は健常ラットより増強していた(a,b).また,AQP4の発現はGFAPと共染色した(c).(文献43より引用)abcount200AddTGN-020VEGF100TGN-020+VEGF001020304050celldiameter(μm)TGN-020:AQP4阻害薬図6培養Muller細胞における細胞容積変化(FACS解析)VEGFに暴露したMuller細胞の細胞容積は増大し(a,b),AQP4の阻害薬であるTGN-020によりその増大は抑制された(c).いる40)が,Muller細胞やアストロサイトなどのグリア細胞で発現がみられるとする報告がある41).また,低酸素条件下のアストロサイトでは低酸素誘導因子1(hypox-ia-induciblefactor-1:HIF-1)を介してVEGFおよびAQP4の発現が増強し,血管透過性が亢進することが知られている42).筆者らは,ラット網膜切片を用いてAQP4とglial.brillaryacidicprotein(GFAP)免疫組織染色を行ったところ,糖尿病モデルであるstreptozotocin(STZ)ラットの網膜におけるAQP4の発現は健常ラットより増強(文献43より引用)していた.また,AQP4の発現はGFAPと共染色した(図5)43).このことは,糖尿病における網膜内のMuller細胞がAQP4やVEGFをより多く発現し,浮腫の一因になっていることを示している.次に,培養Muller細胞における細胞容積の変化を.uorescenceactivatedcellsorter(FACS)解析で調べた.その結果VEGFに暴露したMuller細胞の細胞容積は増大し,AQP4の阻害薬であるTGN-020によりその増大は抑制された(図6)43).つまり,DMEはMuller細胞がVEGFやAQP4の作用により,細胞そのものが図7硬性白斑の疾患による発現パターンの違い局所性DMEでは毛細血管瘤周囲に硬性白斑が輪状に沈着(輪状網膜症)することが多い(a).一方でCoats病では血管に接して硬性白斑が漏出しリング状にならないことが多い(b).膨化することも浮腫の一因になっている可能性が考えられる.細胞容積調節の分子メカニズムには,膨化した細胞を元の大きさに戻そうとするregulatoryvolumedecreaseと,その逆のregulatoryvolumeincreaseがある.また,その調節がうまくいかなかった場合には,細胞がアポトーシスやネクローシスに陥ることが知られている44).このようなメカニズムが中心窩網膜細胞で働いているとしたら,抗VEGF療法の経過中にDMEが寛解増悪することや,遷延するDMEでは視力予後が不良となることの説明になるかもしれない.IV局所性浮腫で硬性白斑はなぜ輪状になるのかDMEの病型の一つに,毛細血管瘤周囲に硬性白斑が輪状に沈着するいわゆる輪状網膜症があり,日常臨床でしばしば遭遇する.しかし,硬性白斑はなぜ輪状になるのかについては明確な答えがない.同じ硬性白斑が網膜に漏出するCoats病では,血管に接して硬性白斑が生じてリング状にならないのとは対照的である(図7).1.DRと炎症DRの病態に炎症が関与することは,現在では広く受け入れられている.その根拠として,糖尿病患者の網脈絡膜での白血球接着分子の発現亢進45),脈絡膜毛細血管での多核白血球浸潤46),糖尿病ラットの微小循環系における白血球捕捉現象47),慢性炎症を亢進させる作用のあるレニン・アンジオテンシン系との関連48)などが報告されている.われわれが日常臨床で行っているステロイドの硝子体注射やTenon.注射は,ステロイドの抗炎症作用を利用していると考えられる.2.DRと自己免疫近年,炎症に加えて,DRと自己免疫の関連が注目されている.自己免疫疾患には組織適合抗原(humanleu-kocyteantigen:HLA)の多様性が関与しており,その発症や進展には個体差が大きい.DRもその発症や進展に大きな個体差が認められるが,HLAクラスII分子であるHLA-DRやHLA-DQの多型(polymorphism)がDRの進展に関与することが報告されている49).また,DR患者の血清中に周皮細胞に対する自己抗体がみられたとする報告50)や,シクロスポリンなどの免疫抑制薬がDMEの治療に有効であったとする報告51)が散見される.糖尿病を発症して長期間経過してもDRにならない症例は,DRを引き起こすような免疫反応が起きにくい体質であると考えられる.3.DRとII型コラーゲン炎症と自己免疫が病態に関与する代表的な疾患に関節リウマチ(rheumatoidarthritis:RA)がある.RAは関節腔に炎症をきたし新生血管を生じる疾患で,この関節腔には硝子体と同様にヒアルロン酸が,関節軟骨にはII型コラーゲンが豊富に存在する.RAの初期では,血清および関節液の抗II型コラーゲン抗体価の上昇がみられることが報告されており52),関節内でII型コラーゲンに対するIII型アレルギー反応が生じて関節軟骨の破壊が生じるとされている.この関節腔と硝子体腔の解剖学的構造および構成要素(II型コラーゲンとヒアルロン酸)が類似していることに着目した.DR患者ではすべての病期において血清および涙液中の抗II型および抗IV型コラーゲン抗体が陽性であるとする報告53)があり,筆者らもDR患者の血清中抗II型コラーゲン抗体価を測定してみたところ,同様にDR患者では,血清中の抗体価がコントロールに比較して有意に上昇しているという結果を得た54).興味深いことに,非糖尿病網膜症(nondiabeticretinopathy:NDR)群のほうが網膜症をすでに発症している群よりも高値であった(図8).DR発症以前の早期から抗II型コラーゲン抗体価が上昇しているということは,DR発症にII型コラーゲンを介した免疫反応が関与していることを示唆している.一方,内耳にもII型コラーゲンを含む軟骨が存在し,蝸牛の中央階の内リンパ液にはヒアルロン酸が豊富に含まれている.この部位が侵されるメニエール病,耳硬化症などの耳鼻科疾患でも抗II型コラーゲン抗体価が血清中で上昇していることが報告されている55).これらの関節腔,内耳,硝子体にはいずれもII型コラーゲンとヒアルロン酸が存在し,それぞれ関節液,リンパ液,硝子体液で満たされている.興味深いことにこれらの組織は,いずれもblood-joint-barrier56),blood-labyrinth-barrier57),blood-ocular-barrier58)といったバリアー機構が存在し,II型コラーゲンが血液中の免疫細胞から隔絶された状態にある.そしてこのバリアー破綻によってもともと存在していた免疫寛容が失われ,関節水腫を伴うRA,内リンパ水腫を伴うメニエール病,黄斑浮腫を伴うDRが発症するのではないかと考えられる.4.輪状網膜症の発症機序抗原と抗体の両者をほぼ等量で混合したときに抗原抗体複合体が凝集して沈降物を作ることを応用したOuchterlony法という検査法がある.ゲル内を移行中の抗体が抗原蛋白と遭遇するとそれぞれが等量濃度になった時点で免疫沈降線を形成するが,これと同様のことが輪状網膜症で生じている可能性がある.すなわち毛細血管瘤から漏出した抗II型コラーゲン抗体価の高い血漿成分が周囲に拡散するに従い希釈され,硝子体中(もしくは網膜中)のII型コラーゲンと等量になった時点で免疫複合体を形成し,フィブリンとともに沈着することにUnits/ml140120100806040200ControlDRNDR図8DR症例の血清中抗II型コラーゲン抗体価DR患者の血清中の抗II型コラーゲン抗体価はコントロールに比較して有意に上昇していた.(文献54より引用)よって輪状網膜症を形成するのではないかと推測される.RAを含む膠原病ではフィブリノイド変性を組織学的特徴とするが,フィブリノイド変性では免疫複合体がフィブリンと共に沈着しており,抗II型コラーゲン抗体が関与するDRの硬性白斑はフィブリノイドである可能性がある.VDMEに硝子体手術が奏効するはなぜかLewisら59)やTachiら60)の報告以来,硝子体手術はDME治療の一つの選択肢になった.手術無効例はあるものの,大半の症例では硝子体を切除することで血管透過性は低下する.DMEに対する硝子体手術の奏効機序としては,硝子体腔内のサイトカインの除去,網膜硝子体牽引の除去などが推測されているが,上記の仮説がもし事実なら,免疫反応の原因となっているII型コラーゲンという抗原そのものを除去することが奏効機序の一つとして考えられる.DRにしばしばみられる硬性白斑が単なるフィブリンではなく,免疫複合体を含むフィブリノイドの沈着だとすると,硝子体を除去するだけで徐々に網膜内(あるいは網膜下)の硬性白斑が減少する機序の説明になるかもしれない(図9).VIPDRでもDMEをまったく認めない症例があるのはなぜか網膜無灌流域を認めない単純糖尿病網膜症(simplediabeticretinopathy:SDR)でもDMEをきたす症例がある一方で,著明な新生血管を認めるPDRでもDME図9硝子体手術後の硬性白斑の減少(a:術前,b:術後)著明な網膜内(網膜下)の硬性白斑は硝子体を除去するのみで,術後徐々に減少していく.図10DRの重症度とDMEの乖離網膜無灌流域を認めないCSDRでもCDMEをきたす症例(Ca)がある一方で,著明な新生血管を認めるCPDRでもDMEをまったく認めない症例(Cb)もあり,DMEの程度はCDRの重症度に必ずしも比例しない.をまったく認めない症例もある(図10).この乖離はなぜ生じるのであろうか.前述したように,DRの進行にはCHLA遺伝子多型の関与が大きいことが知られており61),免疫状態の違いが血管新生を生じるか,浮腫を生じるかを分ける一因となっている可能性がある.C1.糖尿病黄斑浮腫とTh1.Th2バランスTリンパ球には,細胞性免疫に関与し自己免疫疾患や遅延型アレルギーを引き起こすCTh1細胞と,液性免疫に関与し即時型アレルギーを引き起こすCTh2細胞がある.このCTh1細胞とCTh2細胞が産生するサイトカインのバランスが,種々の疾患の病態に関与することはよく知られている62).Th2細胞から産生されるインターロイキンC4やインターロイキンC13などのサイトカインは,肥満細胞の成熟分化を促進させ,血管透過性亢進に関与する種々のケミカルメディエータの産生につながる.そこで筆者らは,DMEの重症度でCTh1/Th2バランスに差がないか調べてみた.その結果,DMEが重症なほど,Th1/Th2バランスがCTh2にシフトしていることがわかった(図11)63).このような体質の違いがCDRの重症度とCDMEの乖離に関与している可能性がある.近年,DRとCTh1/Th2バランスの関連を検討した報告も増加している64~66).C2.Th1.Th2バランスと衛生環境仮説衛生環境仮説(hygieneChypothesis)とは,非衛生的環境ではCTh1細胞が優位となり,衛生的環境ではCTh2ることが知られており,このような現象を免疫修飾(immunomodulation)とよぶ70).DMEが経過観察中に特別な治療なしで自然寛解することは日常臨床でしばしば経験する.図12は左眼のみ硝子体手術を施行し,DMEの推移をみていた症例で,9年という長い経過中に硝子体手術を施行した左眼だけでなく,無治療の右眼細胞が優位となるというものである67~68).正確な疫学的統計はないが,日本人は欧米人に比較してCDMEが多いとされている.その原因の一つに,日本ではCTh2優位の体質の人が増加している可能性が考えられる.かつC30て,ぶどう膜炎のなかで最多であったCBehcetC’s病が最近かなり減少しているのは,BehcetC’s病がCTh1優位の疾患である69)ことに起因している可能性がある.さらTh1/Th220に,即時型アレルギーの代表的疾患である花粉症の著しC10い増加も,現在の日本人がCTh2優位の状態になっている傍証となる.浮腫あり浮腫あり矯正視力0.2以上矯正視力0.1以下3.Th1.Th2バランスと免疫修飾図11DMEとTh1.Th2バランスTh1/Th2バランスは同一症例でも長い経過で変化すDMEが重症であるほど,Th1/Th2バランスがCTh2にシフトしていた.(文献C63より引用改変)2007年1月(29歳)2008年4月(30歳)2016年11月(38歳)RV=(0.08)RV=(0.15)RV=(0.5)LV=(0.06)LV=(0.1)LV=(0.5)図12DMEの自然寛解左眼のみ硝子体手術を施行しCDMEの推移をみていた症例で,9年という長い経過中に硝子体手術を施行した左眼だけでなく,無治療の右眼のCDMEも軽快した.図13透析中のDRにおける網膜動脈の白鞘化視神経乳頭周囲の網膜動脈に沿って白鞘化した部分がまだらにみられる.のCDMEも軽快している.このような症例はCDMEの自然寛解にCTh1/Th2バランスなどの免疫状態の変化が関与している可能性が考えられる.DRも糖尿病という全身疾患の一部ととらえて,免疫状態を含む全身的な因子にも目を向けるべきであろう.CVIIDRでしばしば血管の白鞘化を認めるのはなぜか図13は透析中のCDR症例であるが,視神経乳頭周囲の網膜動脈に沿って白鞘化した部分がまだらにみられる.このような所見は日常臨床でしばしば遭遇する.同じような血管の白鞘化が心臓の冠状動脈や腎臓の血管にも認められ,これらは血管の石灰化であることが報告されている71).網膜動脈のような細動脈と心臓や腎臓のような比較的太い動脈との違いはあるものの,これらの所見が非常に類似していることに着目した.C1.低酸素により誘発される網膜血管の白鞘化これが網膜血管の石灰化であることを示唆するきっかけになった症例を提示する.症例はC65歳の女性.コントロール良好の糖尿病,軽度の脂質異常症,高血圧があり,初診時には網膜血管の白鞘化は認めなかった(図14a).両眼ともに硝子体出血と牽引性網膜.離をきたしたため,硝子体手術を施行したが術後に再.離をきたした.そのときに網膜動脈の著明な白鞘化を認めた(図14b).再手術でシリコーンオイルタンポナ-デを行い,シリコーンオイル下で網膜は復位したが,血管の白鞘化は持続していた(図14c).フルオレセイン蛍光眼底検査では,網膜の血流は保持されており(図14d),OCTで白鞘化した血管部位に通常の網膜血管よりもはるかに強いCacousticshadowを認めた(図14e)72).C2.血管周囲細胞の形質転換血管周囲には,骨細胞,軟骨細胞,脂肪細胞などに分化する能力のある間葉系幹細胞が存在し,低酸素状態で骨細胞に分化しやすいことが知られている73).血管壁細胞や血管平滑筋細胞も間葉系幹細胞の性格があり,骨芽細胞に分化する能力を有する74,75)ため,図14の症例はDRというもともとの循環障害があったうえに,網膜再.離によって虚血状態がさらに増悪し,網膜動脈周囲の間葉系幹細胞などの細胞が骨細胞に分化し,石灰化が生じたのではないかと推測される.C3.DRと血管石灰化DRでは,網膜動脈の平滑筋細胞において骨化を促進する作用のあるCreceptorCforCadvancedCglycationCend-products(RAGE)の発現が増加しているとする報告76),RAGEのCligandであるAGE,highmobilitygroupbox1(HMGB1),S100蛋白質がCDRの増殖膜で認められたとする報告77),骨形成サイトカインである骨形成蛋白(boneCmorphogeneticCprotein2:BMP2)がCDR患者のd図14低酸素により誘発されると考えられる網膜動脈の白鞘化硝子体手術前には網膜動脈の色調は正常であった(Ca)が,術後の再.離時に著明な白鞘化を認めた(Cb).再手術後,シリコーンオイル下で網膜は復位したが,血管の白鞘化は持続していた(Cc).フルオレセイン蛍光眼底検査では,網膜の血流は保持されており(Cd),OCTで白鞘化した血管部位には強いCacousticshadow(赤で囲った部分)を認め,血管壁が石灰化している可能性が考えられた(Ce).眼内で増加しているとする報告78,79)などもあり,この網膜動脈の白鞘化が血管の石灰化であるという推測を裏付けている.CVIIIDRに対する新治療の可能性項目I~IIIの結果から,DMEの新治療の可能性としてヒアルロン酸合成酵素阻害薬などヒアルロン酸をターゲットとした治療法が考えられる.ヒアルロン酸合成酵素阻害薬は,すでに膵臓癌の領域では臨床応用に向HTC研究が進んでいる80).また,NOS阻害薬などのNOをターゲットとした治療法や,AQP4阻害薬などAQP4をターゲットとした治療法の可能性も考えられる.また,項目CIVとCVの結果から,DMEの治療として免疫抑制薬が一つの候補として考えられ,すでにいくつかの報告が出ている51).最近では,抗CVEGF療法がDME治療の主流となっているが,従来行われていた硝子体手術がもう一度見直されてもいいのではないかと思われる.項目CVIの結果からは,Th1/Th2バランスを整えるといった体質改善がCDME治療の候補の一つになるかもしれない.実際,Th1/Th2バランスをCTh1側にシフトさせる薬剤はいくつかあり81),今後の検討課題と考えられる.(文献C72より引用)おわりに以上,DRの日常臨床で疑問に感じる所見を出発点とした筆者らの病態解明研究について述べた.これらの内容はまだまだ発展途上であり,今後さらに検討しなければならないことが数多く残されている.これらはあくまでも問題提起ということで,今後の若い世代の先生方のDR研究の一助となれば幸いである.われわれ臨床医は,日頃何気なく通りすぎていく大切な臨床所見を見逃すことなく,そこから得られる素朴な疑問を大切にしながら,いろいろな研究のアプローチを駆使して病態解明をしていく必要がある.これは臨床医にしかできない研究手法であり,今後も日々の診察を大切にしながら,重要な所見を見逃すことなく病態解明に結びつけていきたい.謝辞:稿を終えるにあたり,昭和C59年からC9年間にわたり硝子体手術をご指導いただいた田野保雄先生(大阪大学眼科学教室前教授,故人),20年以上の長きにわたり基礎研究のご指導をいただいた中村公俊先生(長野県松本市,中村眼科院長)に心より御礼申し上げます.また,第C23回日本糖尿病眼学会における特別講演の機会をお与えいただきました今泉寛子先生(市立札幌病院眼科部長),座長の労をおとりいただきました小椋祐一郎先生(日本糖尿病眼学会理事長,名古屋市立大学医学部眼科学教室教授),日本糖尿病眼学会の理事の先生方,いつも筆者の研究に深いご理解と励ましの言葉をいただいております三宅養三先生(愛知医科大学理事長),岸章治先生(群馬大学眼科学教室前教授)にもこの場をお借りして厚く御礼申し上げます.最後に本研究に尽力してくれた教室員,とくに奥英弘准教授,喜田照代講師に深謝致します.文献1)FujiiCGY,CDeCJuanCECJr,CHumayunCMSCetal:ACnewC25-gaugeinstrumentsystemfortransconjunctivalsuture-lessvitrectomy.OphthalmologyC109:1807-1812,C20022)HirataC,NakanoK,NakamuraNetal:Advancedglyca-tionendproductsinduceexpressionofvascularendotheli-alCgrowthCfactorCbyCretinalCMullerCcells.CBiochemCBiophysCResCommunC236:712-715,C19973)HiraseCK,CIkedaCT,CSotozonoCCCetal:TransformingCgrowthfactorbeta2inthevitreousinproliferativediabet-icretinopathy.ArchOphthalmolC116:738-741,C19984)NishimuraCM,CIkedaCT,CUshiyamaCMCetal:IncreasedCvit-reousCconcentrationsCofChumanChepatocyteCgrowthCfactorCinCproliferativeCdiabeticCretinopathy.CJClinCEndocrinolCMetabC84:659-662,C19995)OkuCH,CKidaCT,CSugiyamaCTCetal:PossibleCinvolvementCofCendothelin-1CandCnitricCoxideCinCtheCpathogenesisCofCproliferativeCdiabeticCretinopathy.CRetinaC21:647-651,C20016)InokuchiN,IkedaT,ImamuraYetal:Vitreouslevelsofinsulin-likeCgrowthCfactor-ICinCpatientsCwithCproliferativeCdiabeticretinopathy.CurrEyeResC23:368-371,C20017)IkedaT,PuroDG:Nervegrowthfactor:amitogenicsigC-nalCforCretinalCMullerCglialCcells.CBrainCResC649:260-264,C19948)IkedaT,PuroDG:Regulationofretinalglialcellprolifera-tionbyantiproliferativemolecules.ExpEyeResC60:435-443,C19959)IkedaCT,CWaldbilligCRJ,CPuroDG:TruncationCofCIGF-ICyieldsCtwoCmitogensCforCretinalCMullerCglialCcells.CBrainCResC686:87-92,C199510)IkedaCT,CHommaCY,CNisi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mplicationCofCVEGFCandCaquaporin4mediatingMullercellswellingtodiabeticreti-naledema.GraefesArchClinExpCOphthalmolC255:1149-1157,C201744)OkadaY:CellCvolume-sensitiveCchloridechannels:phe-notypicpropertiesandmolecularidentity.ContribNephrolC152:9-24,C200645)McLeodDS,LeferDJ,MergesCetal:Enhancedexpres-sionofintracellularadhesionmolecule-1andP-selectininthediabetichumanretinaandchoroid.AmJPatholC147:C642-653,C199546)LuttyCGA,CCaoCJ,CMcLeodDS:RelationshipCofCpolymor-phonuclearCleukocytesCtoCcapillaryCdropoutCinCtheChumanCdiabeticchoroid.AmJPatholC151:707-714,C199747)MiyamotoCK,CHiroshibaCN,CTsujikawaCACetal:InCvivoCdemonstrationCofCincreasedCleukocyteCentrapmentCinCreti-nalmicrocirculationofdiabeticrats.InvestOphthalmolVisSciC39:2190-2194,C199848)SatofukaS,IchiharaA,NagaiNetal:(Pro)reninrecep-tor-mediatedCsignalCtransductionCandCtissueCrenin-angio-tensinCsystemCcontributeCtoCdiabetes-inducedCretinalCin.ammation.DiabetesC58:1625-1633,C200949)AwaWL,BoehmBO,RosingerSetal:HLA-typing,clini-cal,andimmunologicalcharacterizationofyouthwithtype2CdiabetesCmellitusCphenotypeCfromCtheCGerman/AustrianCDPVdatabase.PediatrDiabetesC14:562-574,C201350)NayakRC,AgardhCD,KwokMGetal:Circulatinganti-pericyteCautoantibodiesCareCpresentCinCTypeC2CdiabeticCpatientsandareassociatedwithnon-proliferativeretinop-athy.DiabetologiaC46:511-513,C200351)DugelCPU,CBlumenkranzCMS,CHallerCJACetal:ACrandom-ized,dose-escalationstudyofsubconjunctivalandintravit-realinjectionsofsirolimusinpatientswithdiabeticmacu-laredema.OphthalmologyC119:124-131,C201252)TeratoCK,CShimozuruCY,CKatayamaCKCetal:Speci.cityCofCantibodiesCtoCtypeCIICcollagenCinCrheumatoidCarthritis.CArthritisCRheumC33:1493-1500,C199053)BalashovaCLM,CZa.tsevaCNS,CTeplinskaiaCLECetal:Anti-bodiestotypesIIandIVcollagens,tumornecrosisfactor-alphaCandCcirculatingCimmuneCcomplexesCinClacrimalC.uidCandCserumCofCpatientsCwithCdiabeticCretinopathyCandCdi.erentstages.VestnOftalmolC116:31-34,C200054)NakaizumiCA,CFukumotoCM,CKidaCTCetal:MeasurementCofserumandvitreousconcentrationsofanti-typeIIcolla-genantibodyindiabeticretinopathy.ClinOphthalmolC9:C543-547,C201555)YooCTJ,CStuartCJM,CKangCAHCetal:TypeCIICcollagenCautoimmunityCinCotosclerosisCandCMeniere’sCDisease.CSci-enceC217:1153-1155,C198256)LevickJR:PermeabilityCofCrheumatoidCandCnormalChumanCsynoviumCtoCspeci.cCplasmaCproteins.CArthritisCRheumC24:1550-1560,C198157)JuhnCSK,CHunterCBA,COdlandRM:Blood-labyrinthCbarri-erand.uiddynamicsoftheinnerear.IntTinnitusJC7:C72-83,C200158)StreileinJW:ImmunologicalCnon-responsivenessCandCacquisitionoftoleranceinrelationtoimmuneprivilegeintheeye.Eye9:236-240,C199559)LewisCH,CAbramsCGW,CBlumenkranzCMSCetal:Vitrecto-myCforCdiabeticCmacularCtractionCandCedemaCassociatedCwithposteriorhyaloidaltraction.OphthalmologyC99:753-759,C199260)TachiN,OginoN:Vitrectomyfordi.usemacularedemainCcasesCofCdiabeticCretinopathy.CAmCJCOphthalmolC122:C258-260,C199661)AwaWL,BoehmBO,RosingerSetal:HLA-typing,clini-cal,andimmunologicalcharacterizationofyouthwithtype2CdiabetesCmellitusCphenotypeCfromCtheCGerman/AustrianCDPVdatabase.PediatrDiabetesC14:562-574,C201362)ZhangCY,CZhangCY,CGuCWCetal:Th1/Th2Ccell’sCfunctionCinimmunesystem.AdvExpMedBiolC841:45-65,C201463)ItoiCK,CNakamuraCK,COkuCHCetal:RelationshipCbetweenCdiabeticmacularedemaandperipheralTh1/Th2balance.OphthalmologicaC222:249-253,C200864)ChenH,WenF,ZhangXetal:ExpressionofT-helper-associatedcytokinesinpatientswithtype2diabetesmel-lituswithretinopathy.MolVisC18:219-226,C201265)KaviarasanCK,CJithuCM,CArifCMullaCMCetal:LowCbloodCandCvitrealCBDNF,CLXA4CandCalteredCTh1/Th2CcytokineCbalancearepotentialriskfactorsfordiabeticretinopathy.MetabolismC64:958-966,C201566)CaoCYL,CZhangCFQ,CHaoFQ:Th1/Th2CcytokineCexpres-sionCinCdiabeticCretinopathy.CGenetCMolCResC15:doi:C10.4238/gmr.15037311,C201667)YazdanbakhshM,KremsnerPG,vanReeR:Allergy,par-asites,andthehygienehypothesis.ScienceC296:490-494,C200268)StiemsmaCLT,CReynoldsCLA,CTurveyCSECetal:ThehygieneChypothesis:currentCperspectivesCandCfutureCtherapies.ImmunotargetsTherC4:143-157,C201569)KoaradaCS,CHarutaCY,CTadaCYCetal:IncreasedCentryCofCCD4+TcellsintotheTh1cytokinee.ectorpathwaydur-ingCT-cellCdivisionCfollowingCstimulationCinCBehcet’sCdis-ease.Rheumatology43:843-851,C200470)MartinoCM,CRocchiCG,CEscelsiorCACetal:Immunomodula-tionCmechanismCofantidepressants:InteractionsCbetweenCserotonin/norepinephrineCbalanceCandCTh1/Th2Cbalance.CCurrNeuropharmacolC10:97-123,C201271)ChenNX,MoeSM:Vascularcalci.cation:pathophysiolo-gyCandCriskCfactors.CCurrCHypertensCRepC14:228-237,C201272)NishikawaCY,CMorishitaCS,CNakamuraCKCetal:TwoCcasesCofCproliferativeCdiabeticCretinopathyCwithCmarkedCsheath-ingCofCtheCretinalCarteriesCfollowingCvitrectomy.CCaseCRepOphthalmolC8:40-48,C201773)WangCW,CLiCC,CPangCLCetal:MesenchymalCstemCcellsCrecruitedbyactiveTGFbcontributetoosteogenicvascu-larcalci.cation.StemCellsDevC23:1392-1404,C201474)SchorCAM,CAllenCTD,CCan.eldCAECetal:PericytesCderivedCfromCtheCretinalCmicrovasculatureCundergoCcalci.cationinvitro.JCellSciC97:449-461,C19907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