ドライアイ点眼薬の進化AdvancementsinEyeDropMedicationsforDryEyeDisease鄭有人*はじめにドライアイ研究会によると,「ドライアイはさまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり,眼不快感や視機能異常を生じ,眼表面の障害を伴うことがある」と定義され,その診断基準は「フルオレセイン染色によるCBUT5秒以下かつ自覚症状(眼不快感または視機能異常)を有する」とされる1).ドライアイの有病率は日本でのC40歳以上の住民を対象とした大規模疫学調査(KoumiStudy)によると,男性C12.5%,女性C21.6%であった2).また,ほかの日本の疫学調査をまとめると,女性のほうがC1.73.2.34倍多いとされる.難治性ドライアイのなかには,neuropathicCocularpainやCcornealCneuropathicpainとよばれる神経障害性疼痛や痛覚変調性疼痛がかかわる病態の存在も指摘されている3).visu-alCdisplayterminal(VDT)作業が多くなり,超高齢社会となった現代日本においては,ドライアイ患者数も増加しており,生活の質(qualityoflife:QOL)に関与するドライアイの治療的意義も重要になった.また,マイボーム腺機能不全(meibomianglandCdysfunction:MGD)との連関を指摘され,より複合的な治療も求められている.わが国においてドライアイはおもに点眼治療によりなされてきた.その「ドライアイ点眼薬の進化」について解説し,現時点でのもっとも望ましいドライアイ点眼薬の使用方法を考え,将来的な点眼治療についても紹介する.Iわが国におけるドライアイ点眼薬の開発史わが国においてドライアイは涙液動態の改善を重要視して開発された.わが国におけるドライアイ点眼治療薬の年表を,発売年を基に示す(表1).まずは,ドライアイが「乾性角結膜炎」と呼称されていた時代においては涙液減少が原因と考えられ,涙液補充を成す「人工涙液」による治療が開始された.そののち,角膜保護の観点からコンドロイチン硫酸ナトリウム点眼薬が発売された.そして,保水力により治療が可能となるヒアルロン酸ナトリウム点眼薬が発売され,ドライアイ治療の転機となった.そして,ジクアホソルナトリウム点眼薬,レバミピド点眼薬が続けざまに発売され,病態メカニズムに基づく,いわゆる涙の量や質に対するアプローチが可能となり,ドライアイ治療の変革点となった.また,塩化ベンザルコニウム(benzalkoniumchloride:BAK)など防腐剤による点眼毒性にも配慮した製剤について開発が進み,防腐剤無添加点眼薬として使い切りのCunitdose(UD)製剤やフィルターが付いているCpreservativefree(PF)製剤が開発された.このような開発歴史を経て,日本は世界に先んじて,先進的なドライアイ治療が可能となっている.CIIドライアイ点眼薬ドライアイ点眼は生理食塩水と同程度の浸透圧(約300CmOsm)かつ中性付近(pH6.8)に調整されている.*YutoTei:東邦大学医療センター大森病院眼科〔別刷請求先〕鄭有人:〒143-8541東京都大田区東京都大田区大森西C6-11-1東邦大学医療センター大森病院眼科(1)(41)C14050910-1810/25/\100/頁/JCOPY表1わが国の代表的なドライアイ点眼薬の発売年1965年1970年人工涙液(人工涙液マイティア)コンドロイチン硫酸ナトリウム点眼(アイドロイチン点眼)1978年1995年OTC薬・防腐剤無添加人工涙液(ソフトサンティア)ヒアルロン酸ナトリウムC0.1%点眼(ヒアレイン点眼液C0.1%)防腐剤フリーのCUD製剤(ヒアレインミニC0.1%)2010年ジクアホソルナトリウム点眼液3%(ジクアス点眼)ヒアルロン酸ナトリウムC0.3%点眼2011年2012年2020年ヒアルロン酸ナトリウムC0.1%点眼防腐剤無添加CPF製剤レバミピド点眼(ムコスタ点眼液)OTC薬・ヒアルロン酸ナトリウムC0.1%点眼(ヒアレインS)2022年2023年ジクアホソルナトリウム点眼液3%(ジクアスCLX点眼)レバミピド点眼(レバミピド点眼液ディンプルボトル)表2TFODおよびTFOTに基づいて使用されるドライアイ点眼治療薬点眼種類診療ガイドラインの実施推奨治療メカニズムよい適応注意点人工涙液点眼「する」ことを提案ヒトの涙液の塩に近い,水分補充ウォッシュアウト目的頻回点眼に注意,防腐剤無添加の使用推奨ヒアルロン酸点眼「する」ことを推奨保水性,上皮障害改善CRandombreak涙液中の有害物質の滞留や盗涙現象に注意ジクアホソルナトリウム点眼「する」ことを推奨水分分泌,ムチン発現増加CAreabreak以外のすべてのCTFODしみる・眼脂の副作用,点眼回数に注意レバミピド点眼「する」ことを推奨ムチン発現増加,抗炎症,抗摩擦Spot/dimplebreak,炎症性白い・苦いの副作用,涙道閉塞に注意***表3TFODBreakupパターン分類CAreaCLineCSpotCDimpleLine(L)CorRandom(R)CwithRapidExpansion(RE)CRandomフルオレセイン染色で認められるCbreakupパターン病態涙液減少(重症)涙液減少(軽症.中等症)角膜表面の水濡れ性低下角膜表面の水濡れ性低下LwithRE:角膜表面の水濡れ低下RwithRE:涙液蒸発亢進+角膜表面の水濡れ低下涙液蒸発亢進ドライアイサブタイプ涙液減少型ドライアイ水濡れ性低下型ドライアイLwithRE:水濡れ性低下型ドライアイRwithRE:蒸発亢進型+水濡れ性低下型ドライアイ蒸発亢進型ドライアイTFODに基づく治療(TFOT)上・下類天プラグ(+人工涙液)ジクアホソルナトリウムジクアホソルナトリウムand/Corレバミピドジクアホソルナトリウムand/Corレバミピドジクアホソルナトリウムand/Corレバミピドヒアルロン酸Na,人工涙液,ジクアホソルナトリウム,レバミピド,眼軟膏(兎眼),マイボーム腺機能不全治療(YokoiCN,CGeorgievGA:InvestCOpthalmolCVisCSci59:DES13-DES22,C2018CYokoiCN,CGeorgievGA:JpnCJCOpthalmol63:127-136,2019改変渡辺仁,横井則彦作成.を改変引用)薬についてフォローするのは現実的ではないものの,治療歴や内服の有無は確認すべきである.また,UD製剤(ヒアレインミニ)は「シェーグレン症候群またはスティーブン・ジョンソン症候群にともなう角結膜上皮障害の患者に使用した場合に限り算定する」と記載されており,処方する際には病名に注意が必要である.そのため,ヒアルロン酸点眼を防腐剤無添加で処方したい場合はCPF製剤を処方する.ただし,点眼が出るまでに数秒かかるため,高齢者やリウマチ患者など,指が悪い人には配慮が必要である.なお,2020年に「要指導医薬品」として薬剤師のカウンセリングのもと,いわゆるCOTC医薬品として薬局で直接入手可能となった.ドライアイ診療ガイドラインではヒアルロン酸点眼の推奨は「強い」であり,「実施する」ことを推奨する」とされる.以上のことをまとめると,ヒアルロン酸点眼はCrandombreakの症例では第一選択となりうるが,それ以外では第二選択として使用することが望ましい.Cc.ジクアホソルナトリウム点眼薬ジクアホソルナトリウム点眼薬には,ジクアス点眼液3%などがある.ジヌクレオチド誘導体であるジクアホソルナトリウムが,ヌクレオチド受容体の一つであるP2Y受容体のアゴニストとして作用する.簡単に分子メカニズムをあげると,P2Y2受容体⇒CG蛋白⇒ホスホリパーゼ⇒イノシトールC3リン酸⇒小胞体CCa2+動員C⇒CCa2+増加がおきる.結果,杯細胞ではCMUC5AC(分泌型ムチン)の発現を増加させる9).角膜上皮においてはCMUC16(膜型ムチン)の発現を増加させるため10),水濡れ性低下型ドライアイのよい適応となる.また,結膜上皮細胞ではCCl2.やH2Oが分泌され,30分以上眼表面の水分を増加させる.その作用は涙腺非依存性であるため,Sjogren症候群においても治療効果が期待できる11).TFOD/TFOTを考えると,ジクアホソルナトリウム点眼はほとんどのドライアイ症例において第一選択となりうる.第CII相臨床試験,第III相臨床試験において,有用性を示し12),発売されてから現在C15年近くが経過した.2019年のランダム化比較試験(randomizedCcontrolledtrial:RCT)メタアナリシスでは,Schirmer値の増加,フルオレセイン染色スコアの改善,BUTの延長を示した13).また,10年と長い経過についても,7症例のコホート研究で有用性と安全性に問題ないとされている14).2020年に実施された大規模CWEB調査研究において,ジクアホソルナトリウム点眼液のC6回点眼の順守率はC8.3%と極端に低かった15).しかし,2022年に基材としてポリビニルピロリドン(poly-vinylpyrrol-idone:PVP)を含み,1日C3回点眼を可能としたジクアホソルナトリウム点眼薬(ジクアスCLX点眼液)が利用できるようになった.副作用については,12カ月投与の臨床研究では約C11%で認め,「しみる」「目やにが増える」の頻度が多かった16).「しみる」は特徴的な感覚であり,数日から数週間感じることがあるので,あらかじめ伝えるのがアドヒアランス向上に大切である.また,ムチンの増加を伴うため,ムチン性眼脂の副作用が出現する.べたべたする,白く伸びる目やにが出るなどを訴えることが多い.防腐剤無添加の人工涙液でウォッシュアウトさせる,もしくはクロルヘキシジンが含んだ目の周りの拭き綿(眼瞼清拭でも使用するもの)の案内をするとよい.2019年のドライアイ診療ガイドラインには,それまでに発表されたC6編のCRCTを対象にシステマティックレビューが実施され,ジクアホソルナトリウム点眼は従来の人工涙液・ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬に比べて自覚症状,上皮障害を優位に改善させ,治療の選択枝として推奨するとまとめられた.推奨の強さは「強い」であり,「実施する」ことを推奨するとされる.また白内障術後ドライアイ,laserinsituCkeratomi-leusis(LASIK)術後ドライアイ,コンタクトレンズ(contactlens:CL)装用関連ドライアイCcontactClensdiscomfort(CLD)などにも有用とされる17).以上のことをまとめると,基本的にどのタイプのドライアイに対してもジクアホソルナトリウム点眼は第一選択となる.涙液量を増加させる非常に有益な点眼であり,CL装用患者への処方にも効果的である.Cd.レバミピド点眼薬レバミピド点眼薬には,ムコスタ点眼液C2%などがある.胃潰瘍・胃炎の内服治療薬としてC1990年に発売された.粘膜保護や抗炎症のメカニズムに着目し,ムチンを発現する粘膜をもつ眼表面のドライアイにも有効であるとの仮説に基づき開発された.培養細胞,ラットやウサギでの基礎実験,そして臨床研究を経て,ドライアイ(45)あたらしい眼科Vol.42,No.11,20251409点眼治療薬としてドラッグリポジショニングにて創薬された.結膜における杯細胞の増加によりCMUC5AC(分泌型ムチン)の産生を促進し18),角膜上皮細胞におけるMUC1,4,16(膜型ムチン)発現を促すため19),水濡れ性低下型ドライアイのよい適応となる.このほかに,微絨毛の回復や上皮細胞間のタイトジャンクションの早期回復効果やインターロイキン(interleukin:IL)C-6,CIL-8,腫瘍壊死因子(tumorCnecrosisCfactoralpha:TNF-a)などの炎症性サイトカインの抑制の基礎研究報告がある.実際にCStevens-Johnson症候群(SJS)や眼類天疱瘡のステロイド点眼離脱の際の使用において有効性が報告されている20).これはレバミピドが眼表面の炎症性疾患に保護的に働くことを示唆している.また,ジクアホソルナトリウムの分泌促進作用とはメカニズムが異なるため,同時に使用した場合の相乗効果も期待される.大規模な臨床研究として二つのCRCTと長期投与試験があり,角結膜のフルオレセイン染色スコアの改善が報告されている.また,1年間の長期投与試験においても角結膜のフルオレセイン染色スコアの改善およびCBUTの延長が維持を認めた21).レバミピド点眼は水分分泌を介さずにムチン発現を増加させることにより,摩擦軽減効果や自覚症状の改善に効果的であることを示す.筆者は,流涙症になりそうな結膜弛緩症などのドライアイ合併例に対して涙液量を増やさないで加療できるため重宝している.また,併存疾患として上輪部角結膜炎,リッドワイパー上皮症,糸状角膜炎に対してとくに有効であることが報告されている22).副作用としては,懸濁液であるために一時的に見えにくくなる以外に,苦味がある(約10%).症例報告レベルでは涙道閉塞に注意が必要とされ,添付文書にも記載された.診療ガイドラインではレバミピド点眼の推奨は「強い」であり,「実施する」ことを推奨するとされる.TFOD/TFOTを考えると,レバミピド点眼はCspotbreakそしてCdimplebreakなどにおいて第一選択となる.C2.ドライアイ診療ガイドラインに掲載されているその他の点眼治療薬(表4)欧米のドライアイ病態の考え方に基づき,海外では炎症性疾患として免疫抑制薬点眼などが使用されてきた.日本においても炎症が病態にかかわっていること自体はコンセンサスを得ているものの,保険適用の治療までには至っていない.TFOD/TFOT以外にもドライアイ治療として使用される点眼薬について紹介する.Ca.副腎皮質ステロイド点眼薬/非ステロイド性抗炎症薬点眼薬低力価の副腎皮質ステロイド(0.1%フルオロメトロン点眼)1日C2回点眼は,抗炎症や自覚症状の増悪時に使用すると効果があると報告されている.ただし,長期間のステロイド点眼は易感染性や眼圧上昇など副作用に注意が必要であるため,使用は消炎されるまでのC2週間.1カ月程度の短期間がよいとされる.ドライアイ診療ガイドラインでは,使用推奨は「弱い」であり,「実施する」ことを提案するに分類されている.一方,非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidalCanti-in.ammatorydrugs:NSAIDs)点眼薬はドライアイに対して有効であるエビデンスはなく,角膜知覚低下による瞬目回数や涙液量の減少を起こしうるため,ドライアイ診療ガイドラインでは使用しないことが弱く提案されている.Cb.シクロスポリン製剤IL-6,IL-12,IL-17などの炎症性サイトカインやCmatrixmetalloproteinase(MMP)-9の低下などの抗炎症効果が報告されている23).2003年にC0.05%シクロスポリン点眼が米国食品医薬品局(FoodCandCDrugCAdmin-istration:FDA)で承認され,海外で処方されている点眼である.システマティックレビューでは,自覚症状・上皮障害の改善には有効とされている.わが国ではドライアイに対して未承認薬であり,ドライアイ診療ガイドラインでは使用しないことが弱く提案されている.Cc.血清点眼自由診療として,血清点眼や多血小板血漿(platelet-richplasma:PRP)点眼が使用されることがある.角膜知覚神経が障害されるような病態には有効性が期待されている.血清点眼は具体的に,上皮成長因子(epidermalgrowthfactor:EGF),ビタミンA,トランスフォーミング増殖因子(transformingCgrowthfactor:TGF)C-b,フィブロネクチン,神経成長因子(nerveCgrowthCfac-tor:NGF)などにより有効性を発揮すると考えられている.自覚症状の改善が報告されていることに加え,基1410あたらしい眼科Vol.42,No.11,2025(46)表4ドライアイ診療ガイドラインに掲載されているその他の点眼治療薬点眼種類診療ガイドラインの実施推奨治療メカニズムよい適応注意点副腎皮質ステロイド点眼「する」ことを提案抗炎症炎症,自覚症状増悪時に一時的使用易感染性,眼圧上昇に注意非ステロイド性抗炎症薬点眼「しない」ことを提案抗炎症ドライアイには適応なし瞬目・涙液量減少に注意シクロスポリン点眼「しない」ことを提案抗炎症炎症,自覚症状や上皮障害改善?日本で保険適応外血清点眼「しない」ことを推奨上皮障害を改善させうる各種因子SJSなどの炎症を伴う重症ドライアイ自由診療,点眼汚染に注意合には,ドライアイの診断に必須であるフルオレセイン染色を必ず行う必要がある.TFOD/TFOTでは,ほとんどの症例で第一選択がジクアホソルナトリウム点眼薬,次にレバミピド点眼薬の適応であることがわかる.もちろん,必要時にヒアルロン酸ナトリウム点眼薬を追加で処方検討することも大切である.CIVドライアイ点眼薬のアドヒアランスドライアイ点眼の点眼順守率がC10.2%と,実はとても低いことが報告された15).また,用法どおりの点眼回数を医師または薬剤師から指示されていた患者はC18.3%と,こちらも低値である.ドライアイ患者が用法どおりに点眼できていないおもな理由は,「症状があるときに点眼している」「外出時に点眼薬を持ち歩くのを忘れた」「面倒だから」であった.処方する医師側と患者の認識にかなり差があることが改めて示された結果であり,アドヒアランスの向上も重要な治療ファクターとなる.また,点眼瓶は使用開始したらC1カ月しかもたない,複数点眼するときの順番や,点眼間隔をC5分あけることなどの基本情報も適宜伝えるのが大切である.そして,指が悪い患者はCUD製剤やCPF製剤が使用しにくい場合があるため,本人が使用しやすい点眼瓶のメーカーで処方する配慮もアドヒアランス向上には重要である.また,そもそも点眼経験が少ないと点眼がうまくいかないことが多いため,こぶし法などの点眼指導も重要である.おわりに本稿ではドライアイ点眼の進化についてその歴史や各種点眼薬について紹介した.わが国においては,ドライアイを訴える患者には原則フルオレセイン染色を実施し,TFOD,TFOTに基づいて治療する.現時点でのドライアイ第一選択はジクアホソルナトリウム点眼薬やレバミピド点眼薬となる.そして,症例や病態を踏まえて,人工涙液,ヒアルロン酸点眼薬,副腎皮質ステロイド点眼薬などを併用するのが望ましい.現在では,他覚的所見(フルオレセイン染色など)の改善に関する治療は成熟しつつある.ただし,ドライアイの診断基準に自覚症状が含まれるように,今後は自覚症状へのアプローチも重要となってくる.現在はCdryeye-relatedqualityofClifescore(DEQS)やCocularCsurfaceCdiseaseCindex(OSDI)などの質問表での定量評価が試みられている.ドライアイ点眼治療においても,今後は個別化治療・精密医療の導入が重要となるはずである.免疫学的・神経学的なアプローチからも創薬された点眼が,さらなる症状の改善に寄与し,患者のCQOL向上につながることに期待したい.文献1)島﨑潤,横井則彦,渡辺仁ほか:日本のドライアイの定義と診断基準の改定(2016年版).あたらしい眼科C34:C309-313,C20172)UchinoCM,CNishiwakiCY,CMichikawaCTCetal:PrevalenceCandCriskCfactorsCofCdryCeyeCdiseaseCinJapan:KoumiCstudy.OphthalmologyC118:2361-2367,C20113)WatsonCSL,CLeDT:CornealneuropathicCpain:aCreviewCtoinformclinicalpractice.EyeC38:2350-2358,C20244)YokoiCN,CKatoCH,CKinoshitaS:FacilitationCofCtearC.uidCsecretionCbyC3%CdiquafosolCophthalmicCsolutionCinCnormalChumaneyes.AmJOphthalmolC157:85-92,C20145)大竹雄一郎,山田昌和,佐藤直樹ほか:点眼薬中の防腐剤による角膜上皮障害について.あたらしい眼科C8:1599-1603,C19916)YokoiCN,CKomuroCA,CNishidaCKCetal:E.ectivenessCofChyaluronanConCcornealCepithelialCbarrierCfunctionCinCdryCeye.BrJOphthalmolC81:533-536,C19977)MurakamiJ,NishidaT,OtoriT:CoordinatedappearanceofCbetaC1CintegrinsCandC.bronectinCduringCcornealCwoundChealing.JLabClinMedC120:86-93,C19928)横井則彦:ドライアイ診療のフローチャート.日本の眼科C68:729-734,C19979)ShigeyasuC,HiranoS,AkuneYetal:Diquafosoltetraso-diumincreasestheconcentrationofmucin-likesubstancesinCtearsCofChealthyChumanCsubjects.CCurrCEyeCResC40:C878-883,C201510)GeorgievGA,EftimovP,YokoiN:ContributionofmucinstowardsCtheCphysicalCpropertiesCofCtheCtear.lm:aCmod-ernupdate.IntJMolSciC20:6132,C201911)YokoiCN,CKatoCH,CKinoshitaS:TheCincreaseCofCaqueousCtearCvolumeCbyCdiquafosolCsodiumCinCdry-eyeCpatientsCwithCSjogren’ssyndrome:apilotCstudy.CEye(Lond)C30:C857-864,C201612)TakamuraCE,CTsubotaCK,CWatanabeCHCetal:ACran-domised,Cdouble-maskedCcomparisonCstudyCofCdiquafosolCversusCsodiumChyaluronateCophthalmicCsolutionsCinCdryCeyepatients.BrJOphthalmolC96:1310-1315;201213)NamK,KimHJ,YooA:E.cacyandsafetyoftopical3%diquafosolCophthalmicCsolutionCforCtheCtreatmentCofCmulti-factorialCdryCeyedisease:meta-analysisCofCrandomizedCclinicaltrials.OphthalmicResC61:188-198,C20191412あたらしい眼科Vol.42,No.11,2025(48)