260裂孔原性網膜.離の術前光干渉断層計所見(初級編)池田恒彦大阪回生病院眼科●はじめに裂孔原性網膜.離の術前光干渉断層計(opticalcoher-encetomography:OCT)画像を見ると,しばしば網膜外層が高度に屈曲して波うち,その間に網膜分離様の所見が観察される.これはCouterCretinalCcorrugations(ORC)とよばれ,網膜外層に生じる浮腫がその一因と考えられている1,2).C●症例提示60歳,女性.右眼の上耳側やや深部に弁状裂孔を認め,黄斑部にかけて胞状の網膜.離が生じていた(図1a).術前の眼底写真で黄斑部から裂孔周囲にかけて,同心円状の白色の網膜浮腫と思われる所見,いわゆる鮫肌様パターン(shagreenCpattern)を認めた(図1b).OCTでこの部位を撮影すると,網膜の外層は高度に屈曲して波うつような所見を呈し,その間に網膜分離様の所見が観察された(図1c).また,この網膜分離部位がCshagreenpatternに一致していた.硝子体手術による網膜復位後,このCORCは軽快し,矯正視力もC0.1から0.9に改善したが,復位後早期ではCORCが存在した部位のCellipsoidzoneに濃淡が認められた(図2).C●裂孔原性網膜.離のOCT所見裂孔原性網膜.離のCOCT所見については視力経過との関連について多くの報告がなされているが,術前のOCTを評価した報告は比較的少ない.MuniらはCORCの発症リスクとして,網膜.離の進行が早く急速に網膜下腔が液化硝子体に暴露されること,網膜.離がC2日以上継続すること,網膜.離が広範囲であることをあげている.またCORCの発症機序として,網膜外層の弾性率の低下が起こり,網膜外層の浮腫(hydration)と側方拡張性の低下がCORCを引き起こすとしている1).検眼鏡(91)C0910-1810/25/\100/頁/JCOPY図1右眼の術前眼底写真(a,b)とOCT画像(c)上耳側やや深部に弁状裂孔を認め,黄斑部にかけて胞状の網膜.離が生じていた(a).網膜面には同心円状にCshagreenCpat-ternを認めた(b).OCTで網膜外層に波うち所見が観察され,ORCと考えられた.またCORCの網膜外層肥厚部位は白色病変に一致していた(c).図2右眼の術後OCT画像ORCが存在した部位のCellipsoidzoneに濃淡が認められた.的にめだった網膜皺襞を認めなくても,このCORCが術後に残存し視機能の回復が遅延することがあるので3,4),OCTによる経過観察が適宜必要である.文献1)MuniCRH,CDarabadCMN,COquendoCPLCetal:OuterCretinalCcorrugationsCinCrhegmatogenousCretinaldetachment:theCretinalCpigmentCepithelium-photoreceptorCdysregulationCtheory.AmJOphthalmolC245:14-24,C20232)MeloCIM,CBansalCA,CNaiduCSCetal:MorphologicCstagesCofCrhegmatogenousCretinalCdetachmentCassessedCusingCswept-sourceOCT.COphthalmolRetina7:398-405,C20233)FukuyamaCH,CYagiriCH,CArakiCTCatal:QuantitativeCassessmentCofCouterCretinalCfoldsConCenfaceCopticalCcoher-enceCtomographyCafterCvitrectomyCforCrhegmatogenousCretinaldetachment.SciRepC9:2327,C20194)白木暢彦,白木彰彦,若林卓:網膜.離の画像解析の進歩:OCTによる特徴を踏まえて.眼科65:797-806,C2023あたらしい眼科Vol.42,No.1,202591