●連載◯284監修=福地健郎中野匡284.ブリモニジン,リパスジルによる永山幹夫永山眼科クリニック薬剤アレルギー●はじめに1.0近年,ブリモニジン,リパスジルといったアレルギーを生じやすい緑内障治療薬の使用が増加している.ブリモニジン,リパスジルによるアレルギーは,発症の仕方,所見に特徴があり発症の際,適切に対処するためにあらかじめそれらを念頭に置いておくことが望ましい.緑内障治療では,通常長期にわたる点眼継続が必要と0.8なる.治療薬による薬物アレルギーは,投与中止を余儀なくされるため,大きな問題となる.ブリモニジン酒石酸塩(以下,ブリモニジン),リパスジル塩酸塩水和物(以下,リパスジル)は双方有用な緑内障治療薬であるが,副作用として眼局所のアレルギー反応を生じる頻度が高い.2022年12月,リパスジル・ブリモニジン配合0.2点眼液(以下,グラアルファ)が上市された.グラアルファは眼圧下降効果に優れ,b遮断薬を含まない数少ない配合点眼薬の一つであることから,今後使用が多くなることが予想される.したがって,点眼アレルギー発症のさらなる増加に注意が必要である.●アレルギー発症率自験例ではブリモニジンのアレルギー発症率は1年で13.1%,2年で20.7%.リパスジルでは1年で発症率19.7%であった1)(図1).過去の報告をみても,双方ともに2年での発症率は2~3割程度である2~4).●鑑別に役立つ臨床所見視診と問診が重要である.①眼瞼腫脹,眼瞼発赤,結膜充血,流涙を伴う.②(当然であるが)点眼している眼にのみ症状がある.(ただし両眼に点眼していても左右の所見に差があることも多い)③眼脂は漿液性であり,膿性眼脂は認めない.④通常患者は点眼が原因であることを自覚していない.(ブリモニジンでは点眼直後に一過性に充血が軽減するため,患者自身がむしろ使用に前向きであることも多い)●治療まずは早急な原因薬剤の特定とその中止を考える.原(71)0910-1810/24/\100/頁/JCOPY累積生存0.60.40.0投与期間(日)図1ブリモニジン,リパスジルのアレルギー発症率ブリモニジン群(n=370)は観察期間508.7±407.5日(平均±標準偏差)で53例に発症し,発症率は1年で13.1%(2年で20.7%)であった.リパスジル群(n=117)は観察期間254.0±122.0日でアレルギーは16例に発症し,1年での発症率は19.7%であった.発症率はリパスジル群でやや高い傾向を認めたが,有意な差はなかった(Wilcoxon検定,p=0.119).因薬剤を継続したままステロイド点眼などの追加を行っても,長期的には必ず増悪傾向となる.その結果,患者の不安が増し医師への信頼を損ねる危険もあるため,投与継続は避けるべきである.原則的には,まず投与中の全点眼薬を中止する.緑内障が進行している患者などで,完全な休薬が困難な場合には,比較的アレルギーを生じにくい点眼を残す(プロスタノイド受容体関連薬<b遮断薬<炭酸脱水酵素阻害薬の順に生じる頻度は高くなる),もしくは炭酸脱水酵素阻害薬内服を用いる.4週程度経過をみて症状が改善すれば,点眼アレルギー確定と判断する.その後,多剤点眼がなされていた場合は原則としてアレルギーを生じる頻度の低い点眼から1成分ずつ点眼再開を試み,原因薬剤を調べる.患者には誘発試験となることをよく説明し,納得を得たうえで行う.この場合,あたらしい眼科Vol.41,No.2,202418102004006008001,0001,2001,400図2ブリモニジンによる結膜濾胞図4リパスジルによる眼瞼皮膚炎基本的には片眼トライアルとし,場合によっては左右眼で違う点眼をトライアルすることも有用である(使用されていた点眼数が少なく,疑いのある薬剤なしで眼圧コントロールが可能な場合は,誘発試験を行う必要はない).ブリモニジン,リパスジル両剤,もしくはグラアルファが使用されている場合の鑑別については,以下の症状,所見が有用である.ブリモニジンでは瞼結膜や球結膜に比較的大きめの濾胞を生じ,掻痒感よりも結膜充血や流涙の訴えが多い(図2,3).一方リパスジルでは眼瞼に皮膚炎による発赤腫脹を伴い,掻痒感を訴える頻度が高い5)(図3,4).●アレルギー発症の危険因子過去に他の点眼薬に対してアレルギーを発症した患者は,他剤でも起こしやすいことが知られている2~4).自験例でもブリモニジンにアレルギーを発症した既往のあ182あたらしい眼科Vol.41,No.2,2024(%)100806040200眼瞼発赤結膜濾胞図3ブリモニジン,リパスジルの眼所見眼瞼発赤の頻度は,リパスジル群68.8%,ブリモニジン群24.5%で,リパスジル群で有意に多かった(|二乗検定,p<0.05).結膜濾胞はリパスジル群12.5%,ブリモニジン群69.8%で,ブリモニジン群で有意に多かった(p<0.05).る患者にリパスジルへの切替を行った場合,リパスジルでも1年で49.3%にアレルギーを生じた1).こういった変更は臨床の現場でしばしば行われるが,その際は患者に再度アレルギーを発症する可能性についてあらかじめ説明し,異常があればすぐに受診してもらうように指示しておくことが望ましい.●おわりにブリモニジン,リパスジルによるアレルギーは遅発性に生じることが多いことから,通常,患者本人は原因を自覚していない.さらに診察医も気づかないまま投与が継続され遷延化しているケースも見受けられる.眼瞼の発赤腫脹や結膜充血を呈する患者に遭遇したら,まず使用中の点眼薬にブリモニジン,リパスジルが含まれていないかを確認することをルーチンとしたい.文献1)永山幹夫,永山順子,齋藤かおりほか:リパスジルによる点眼アレルギーの検討第二報ブリモニジンとの交差反応.第70回日本臨床眼科学会発表,20162)永山幹夫,永山順子,本池庸一ほか:ブリモニジン点眼によるアレルギー性結膜炎発症の頻度と傾向.臨眼70:1135-1140,20163)TaniharaH,KakudaT,SanoTetal:Long-termintraocu-larpressure-loweringe.ectsandadverseeventsofripa-sudilinpatientswithglaucomaorocularhypertensionover24months.AdvTher39:1659-1677,20224)SaitoH,KagamiS,MishimaKetal:Long-termsidee.ectsincludingblepharitisleadingtodiscontinuationofripasudil.JGlaucoma28:289-293,20195)永山幹夫,永山順子,齋藤かおりほか:リパスジルによる点眼アレルギーの検討第一報ブリモニジンとの比較.第27回日本緑内障学会,2016(72)リパスジルブリモニジンリパスジルブリモニジン