———————————————————————-Page10910-1810/09/\100/頁/JCLS本稿でのOCT画像は白黒表示としたが,高反射領域はより黒く,低反射領域はより白く表示されている.正常網膜では,硝子体は白色系,神経線維層や網膜色素上皮は黒色系で表わされている.【AMDのOCT読影ポイント】わが国の新しいAMDの分類と診断基準1)(表1,2)に沿ってOCT読影ポイントをあげる.AMDは,おもに網膜色素上皮レベルに病巣の起源があることより,まず網膜色素上皮のラインを確認し,主要所見となる網膜色素上皮と付近の形態変化を読影し診断をつける.ついで随伴所見となる二次的に生じる網膜の形態変化を読影する.網膜色素上皮と付近の形態変化1.前駆病変前駆病変として軟性ドルーゼン,網膜色素上皮異常がはじめに加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)の診断および治療法の選択,治療効果の判定には従来から行われているフルオレセイン蛍光眼底造影(FA),インドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)に加えて光干渉断層法(OCT)は必須の検査となっている.AMDに罹患している患者は,高齢者であることから可能な限り侵襲性の低い検査を行うことが望ましい.最近のスペクトラルドメインOCTは分解能が高まり,高速に鮮明な画像所見を得ることが可能となり,造影剤を静脈注射する侵襲性の検査であるFAやIAを施行しなくてもOCTだけで病態が把握でき診断が可能となる症例も多くなっている.滲出型AMDの新しい治療法である血管内皮増殖因子阻害薬(マクジェンR,ルセンティスR)の硝子体内注射は,初回治療後の長期間,追加治療の可否を決めるために定期的に頻回の診察を行う必要があるが,従来のように造影検査は毎回施行せず,OCTが補助診断として重要視されており,OCTの正確な読影が必要となる.しかし,OCTだけでなくFA,IAの所見を合わせたほうがAMDの病態の解釈がしやすい.本稿で,提示するOCT画像は,SpectralisRHRA+OCT(HeidelbergEngineering社)の機種で撮影されたものである.このSpectralisRHRA+OCTはスペクトラルドメインOCTを装備した共焦点走査型眼底検査装置で,FA,IAの造影画像とOCTの画像とが位置がずれることなく同時に得られる.(33)613RyabM10183091813特集●光干渉断層計(OCT)はこう読む!あたらしい眼科26(5):613623,2009加齢黄斑変性はこう読むOpticalCoherenceTomographyinAge-RelatedMacularDegeneration森隆三郎*表1加齢黄斑変性の分類1.前駆病変1)軟性ドルーゼン2)網膜色素上皮異常2.加齢黄斑変性1)滲出型加齢黄斑変性*2)萎縮型加齢黄斑変性*滲出型加齢黄斑変性の特殊型①ポリープ状脈絡膜血管症②網膜血管腫状増殖(文献1より)———————————————————————-Page2614あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009(34)eration:RAP)は,滲出型AMDの特殊型に含まれている.a.滲出型AMD主要所見には,脈絡膜新生血管(choroidalneovasuc-ularization:CNV),漿液性PED,出血性PED,線維性瘢痕があげられ,少なくとも1つを満たせば確診例となる.CNV網膜色素上皮のラインに接して存在するCNVを示唆する反射領域が網膜色素上皮のどの位置に認められるのかを確認する.病理組織学的な分類ではあるがCNVの存在が網膜色素上皮の下に認めるものをType1CNV,網膜色素上皮の上に認めるものをType2CNVとするGass分類がある2).Type1CNVが20%,Type2CNVが30%,網膜色素上皮の上下にCNVを認めるType1+2CNVが50%と報告されている3).Type2CNVは網膜色素上皮のライン上に高反射塊として捉えやすい(図3).Type1CNVでは,網膜色素上皮により測定光が減弱して,CNVの反射を捉えにくいが,網膜色素上皮のラインが不整に隆起していればCNVの存在が示唆される(図4).Type1+2CNVでは,網膜色素上皮とType2CNVによりその範囲はさらに測定光が減弱するのでType1CNVは捉えにくい(図5).あげられている.軟性ドルーゼン直径63μm以上の大きさと定義されている.OCTでは網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管板の間に認める均一な高反射を示し,網膜色素上皮を押し上げる.癒合したドルーゼンでは網膜色素上皮は不規則なラインを示す(図1).滲出型AMDへ移行する可能性が高いので注意が必要である.網膜色素上皮異常色素脱出,色素沈着,色素むらに加え小型の漿液性網膜色素上皮剥離(retinalpigmentepithelialdetach-ment:PED)(直径1乳頭径未満)をさす.色素沈着部位はFA,IAではブロックによる低蛍光となり,OCTではその部位に一致してRPEの高反射が周囲より増強する(図2).小型の漿液性PEDでは網膜色素上皮がドーム状に隆起するが,軟性ドルーゼンとの鑑別はドーム内が液成分で満たされるので内部反射がみられない低反射となることである.2.AMD滲出型AMDと萎縮型AMDに分類され,ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)と網膜血管腫状増殖(retinalangiomatousprolif-表2加齢黄斑変性の診断基準年齢50歳以上の症例において,中心窩を中心とする直径6,000μm以内の領域に以下の病変がみられる.1.前駆病変軟性ドルーゼン,網膜色素上皮異常が前駆病変として重要である.2.滲出型加齢黄斑変性主要所見:以下の主要所見の少なくとも1つを満たすものを確診例とする.①脈絡膜新生血管②漿液性網膜色素上皮剥離③出血性網膜色素上皮剥離④線維性瘢痕随伴所見:以下の所見を伴うことが多い.①滲出性変化:網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン),硬性白斑,網膜浮腫,漿液性網膜剥離②網膜または網膜下出血3.萎縮型加齢黄斑変性脈絡膜血管が透見できる網膜色素上皮の境界鮮明な地図状萎縮を伴う.4.除外規定近視,炎症性疾患,変性疾患,外傷などによる病変を除外する.(文献1より)———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009615(35)図1軟性ドルーゼン上左:黄斑部に軟性ドルーゼンが多発している.上右:IA早期.ドルーゼンに一致した部位に低蛍光がみられる.下左:OCT水平断.下右:OCT拡大.ドルーゼンは網膜色素上皮(矢印①)と脈絡膜毛細血管板の間に認める均一な高反射を示す(矢頭).癒合したドルーゼン上の網膜色素上皮は不規則なラインを示す(矢印①).IS/OS(矢印②),外境界膜(矢印③).図2色素沈着上左:IA早期.黄斑部に色素沈着のblockによる低蛍光がみられる(矢印).上右:OCT垂直断.下右:OCT拡大.低蛍光部位に一致してRPEの高反射が周囲より増強している(矢頭).———————————————————————-Page4616あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009(36)図3Type2CNVと随伴所見(胞様黄斑浮腫,漿液性網膜剥離,網膜下出血)上左:FA早期.上右:FA後期.矢印で挟まれた範囲に早期から境界鮮明な過蛍光を示し,後期には増強するclassicCNVの造影パターンがみられる.中心の過蛍光(矢頭)は,胞内への色素のpoolingによるものである.網膜下出血の範囲は,blockによる低蛍光を示している(※).下:OCT垂直断.矢印(FA後期と同じ位置)で囲まれ範囲に網膜色素上皮上のCNVを示唆する高反射塊がみられる.CNVの随伴所見である胞様黄斑浮腫(矢頭),漿液性網膜剥離(◎),網膜下出血(※)がみられる.網膜下出血は高反射を示し,CNVとの境界が不鮮明である.図4Type1CNV上左:FA早期.上中:FA後期.PED内は時間の経過とともにpool-ingによる過蛍光を示すが,CNVを示唆する過蛍光は中心窩周囲にはみられない.上右:IA4分.PED内は下液のblockによる低蛍光がみられ,その中央の矢印で挟まれた範囲に網膜色素上皮下のCNVを示唆する過蛍光を認める.下:OCT垂直断.矢印(IAと同じ位置)で囲まれ範囲の網膜色素上皮が不規則な隆起を示し網膜色素上皮下のCNVの存在を示唆するが,その直下のCNVの反射は強くない.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009617(37)膜毛細管板がより明瞭にみられる(図7).b.萎縮型AMD脈絡膜血管が透見できる程度の網膜色素上皮の地図上萎縮であるが,OCTでは,網膜色素上皮の高反射のラインが周囲よりも薄くなる.その範囲に一致して視細胞内節外節接合部(photoreceptorinnerandouterseg-ments:IS/OS)の欠損を認める場合がある(図8).3.二次的に生じる網膜の形態変化フィブリン,硬性白斑,網膜浮腫,漿液性網膜剥離の滲出性変化が滲出型AMDの随伴所見としてあげられ,網膜または網膜内出血もCNVに伴う二次的な所見として随伴所見に含まれている.治療によりCNVの活動性が低下すれば滲出や出血も減弱もしくは消失するので網膜の形態変化は治療効果と追加治療の判定に用いられる.診断基準には含まれないが,中心窩陥凹や視細胞外節内節接合部(IS/OS)の消失もAMDの二次的な所見でありOCTで捉えることができる所見である.漿液性PED診断基準では,1乳頭径未満は,前駆病変となり,CNVを伴わなくても1乳頭径以上であれば主要所見となる.PEDは網膜色素上皮のラインが後述するポリープ病巣のような急峻な立ち上がりではなくドーム状の隆起所見として認め,ドーム内は下液により低反射を呈する.時間が経過したPEDでは網膜色素上皮に色素沈着が生じていて,その部位に一致して網膜色素上皮の高反射が周囲より増強している(図6).出血性PED診断基準では,大きさは問われない.ドーム状の隆起所見として認めドーム内は血液成分により漿液性PEDよりも高反射を呈する.線維性瘢痕線維性瘢痕部位は高反射塊として認める.網膜色素上皮裂孔(診断基準以外の所見)網膜色素上皮のラインが断裂して認められる.ロールした網膜色素上皮は,内層側に隆起した高反射所見として認める.網膜色素上皮の欠損部位は,Bruch膜と脈絡図5Type1+2CNV上左:FA早期.上右:FA後期.ClassicCNV(矢頭)とoccultCNV(brovascularPED)(矢印)の造影パターンがみられる.耳側のPED(※)はpoolingによる過蛍光を示す.中左:IA早期.中右:IA後期.早期にFAのoccultCNV範囲には血管網が明瞭にみられる(矢印),後期は面状の過蛍光を示す(矢印).ClassicCNVの範囲は強い漏出を認めない(矢頭).PEDはblockによる低蛍光を示す(※).下:OCT水平断.網膜色素上皮上のCNVを示唆する高反射塊がみられる(矢頭).網膜色素上皮は隆起しその直下は網膜色素上皮下のCNVを示唆する反射がみられる(矢印).平坦なPEDもみられる(※).———————————————————————-Page6618あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009(38)図7網膜色素上皮裂孔〔RAPに対するbevacizumab(AvastinR)硝子体内注射併用光線力学的療法前後〕上:治療前.上左:IA.網膜内新生血管を示唆する過蛍光(矢頭)がみられる.PEDの範囲は下液のblockによる低蛍光がみられる.上右:OCT垂直断.網膜色素上皮がドーム状に隆起し,内部は下液により低反射となる.網膜浮腫(矢印),漿液性網膜剥離(※)がみられる.下:治療3カ月後.下左:IA.網膜色素上皮裂孔部位は脈絡膜中大血管が明瞭にみられる(矢印で挟まれた範囲).ロールした網膜色素上皮による低蛍光がみられる(矢頭).下右:OCT垂直断.矢印(IAと同じ位置)で囲まれた範囲に網膜色素上皮は認めず,Bruch膜と脈絡膜毛細管板がより明瞭に認められる.ロールした網膜色素上皮が隆起している(矢頭).網膜浮腫,漿液性網膜剥離は認められない.図6漿液性PED上左:FA早期.上中:FA後期.PED内は時間の経過とともにpoolingによる過蛍光を示す.色素沈着のblockによる低蛍光がみられる(矢印).上右:IA2分.PED内は下液と色素沈着のblockによる低蛍光がみられる(矢印).下:OCT水平断.網膜色素上皮がドーム状に隆起し,内部は下液により低反射となる.色素沈着を伴う部位は高反射が増強している(矢印).———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009619フィブリン検眼鏡的には,網膜下灰白色病巣として認めるが,OCTではCNVやポリープ状病巣に隣接する高反射所見として認める(図9).硬性白斑網膜内に高反射所見として認め,それより直下の外層の反射は減弱する.網膜浮腫軽度な網膜浮腫から,胞を形成する胞様黄斑浮腫(cystoidmacularedema:CME)(図3)まで形態はさまざまである.漿液性網膜離網膜色素上皮と感覚網膜の間の均一な低反射所見として認める(図3).(39)図8萎縮型AMD上:IA10分.網膜色素上皮の地図上萎縮は境界鮮明な円形な範囲である(矢印で挟まれた範囲).下:OCT垂直断.矢印(IAと同じ位置)で囲まれた地図上萎縮の範囲は網膜色素上皮の高反射のラインが周囲より薄くなっている.またその範囲に一致してIS/OSの欠損を認める.中心窩の陥凹は認めるが網膜厚は薄い(矢頭).図9フィブリンを伴うPCV上左:FA早期.上右:FA後期.早期から後期にかけてIAのポリープ状病巣に一致して過蛍光を示す(矢印).IAの異常血管網の範囲はwin-dowdefectの過蛍光を示す(小矢頭).後期に拡大する過蛍光はフィブリンのstainingである(大矢頭).中左:IA早期.中右:IA後期.ポリープ状病巣は瘤状の過蛍光を示す(矢印).異常血管網は小矢頭で囲まれた範囲に認める.フィブリンのblockによる低蛍光が見られる(大矢頭).下:OCT垂直断.ポリープ状病巣は,網膜色素上皮が急峻な立ち上がりを示す隆起性高反射所見として認められる(矢印).その上方にポリープ状病巣から析出したフィブリンは高反射所見として認める(矢頭).Type2CNVの高反射塊との鑑別はFA所見を参考にする.———————————————————————-Page8620あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009(40)図10ポリープ状病巣と異常血管網上左:IA早期.上右:IA後期.ポリープ状病巣は,早期には,細血管の形態を示し,後期に瘤状の過蛍光を示す(矢印).異常血管網は口径不同,拡張,蛇行などの走行異常が認められ,後期は面状の過蛍光を示す(矢頭).下左:水平断.下右:拡大像.ポリープ状病巣は,網膜色素上皮が急峻な立ち上がりを示す隆起性高反射として認められる(大矢頭).内部の血管構造は点状の高反射として認める(矢印).異常血管網の範囲は網膜色素上皮を示す高反射帯とそれより外層にみられる高反射帯の間に間隙が認められ,その所見はdouble-layersignとよばれる(小矢頭).図11網膜下出血によりIAで検出できないポリープ状病巣上左:網膜下出血と出血性色素上皮剥離を認める.上右:IA7分.出血によるblockのためポリープ状病巣が検出できない.下:OCT水平断.網膜色素上皮の急峻な立ち上がりを示す隆起性病巣はポリープ状病巣を示唆する(矢頭).網膜剥離内に認める網膜下出血は高反射を呈する(※).矢印はIAの矢印と同一部位.———————————————————————-Page9あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009621網膜下出血網膜剥離内に認める出血は高反射所見を呈する(図11).FA,IAで出血によりblockされる場合にCNVの大きさはOCTで判断するが,Type2CNVに伴う出血の場合,反射が同程度でCNVとの判別がしにくい症例もある(図3).中心窩陥凹(診断基準以外の所見)中心窩への滲出が軽度であれば中心窩陥凹は保たれる.一旦消失した中心窩陥凹が治療により回復することもあり,治療効果の判定に用いられる. 視細胞外節内節接合部(IS/OS)(診断基準以外の所見)網膜色素上皮のラインより内層に認めるIS/OSラインの欠損の有無は,病態の進行度や治療効果の判定の指標となる(図8).4.滲出型AMDの特殊型PCVPCVのポリープ状病巣や異常血管網は網膜色素上皮より下に存在するので網膜色素上皮のラインから確認する.ポリープ状病巣は網膜色素上皮が急峻な立ち上がりを示す隆起性高反射として認められる4,5).ポリープ状病巣内の血管構造は点状の高反射として認められる場合がある(図10).異常血管網は網膜色素上皮とそれより外層にみられるBruch膜を示唆する高反射帯の間に間隙(double-layersign)を認める6)(図10).ポリープ状病巣がフィブリンに覆われる場合には網膜色素上皮の隆起性高反射の上に厚い高反射の所見がみられるが,網膜色素上皮の上に認めるType2CNVとの鑑別がむずかしいことがある7)(図9).網膜下出血によりIAでポリープ状病巣が検出できない場合でも,出血下の網膜色素(41)外境界膜図12RAPStage1網膜内新生血管(対側眼はRAPStage3)上:FA早期.周中心窩毛細血管の鼻側(A)と耳側(B)に網膜内新生血管を示唆する瘤状過蛍光を認める.下左:OCTAの垂直断.下右:OCTBの水平断.A(黒矢頭:FAの矢印と同じ位置)とB(白矢頭:FAの矢印と同じ位置)の網膜内新生血管は高反射所見を示すが,外境界膜に達していない.———————————————————————-Page10622あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009上皮の急峻な立ち上がりを示すポリープ状病巣を捉えることができることもある(図11).RAPOCTでは網膜内新生血管は,高反射所見として描出される.網膜内新生血管(図12)が網膜外層に伸展し網膜下新生血管と一体となり高反射所見としてみられる(図13).その下の網膜色素上皮は断裂している場合がある8).網膜色素上皮下のCNVは,網膜内および網膜下新生血管と網膜色素上皮により測定光が減弱して捉えにくいのでIA所見と合わせて読影する(図14).胞様浮腫,網膜剥離,PEDもOCTで確認する.Yannuzziらは3つの病期を提唱している9).Stage1は,網膜内新生血管である(図12).Stage2は,網膜内新生血管が下方に伸展し,網膜下新生血管を伴うもので,PEDを伴わない場合と伴う場合がある(図13).Stage3は,さらに伸展してCNVを伴うものである(図14).しかし,Gassらは,このStage1および2の時点で,すでにCNVが存在していると考え,異なった病期分類をしている10).最近ではYannuzziが,RAPをType3neovascularizationと命名し,CNVに起因するもの,網膜内新生血管に起因するもの,および網膜内新生血管とCNVが同時に起因するものがあると報告している11,12).TruongらのフーリエドメインOCTによるRAP5眼の検討では,4眼では網膜内新生血管はPEDに接し網膜色素上皮の断裂を通して網膜色素上皮の前後に認めたがCNVは認められないことより新生血管は網膜内から発生,1眼のみ網膜下および網膜色素上皮下新生血管を認めたことから新生血管は網膜色素上皮下から発生したと報告している8).(42)図13Stage2(PEDを伴わない)網膜内および網膜下新生血管上左:FA早期.上中:FA後期.網膜血管と吻合する網膜内および網膜下新生血管を示唆する瘤状過蛍光を認める(矢印).上右:IA早期.網膜内および網膜下新生血管を示唆する瘤状過蛍光を認める(矢印).下:OCT垂直断.網膜内新生血管が網膜外層に伸展し網膜下新生血管と一体となり高反射所見としてみられる.その下の網膜色素上皮は断裂している(矢印).網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管板の間に認める均一な高反射はドルーゼンである(※).———————————————————————-Page11あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009623おわりに本稿では,新しいAMDの分類と診断基準に沿って読影ポイントをあげた.これはAMDの分類と診断基準にはOCT所見は含まれていないが,OCT所見を含めることでより正確に診断できると考えたからである.AMDは主要所見と随伴所見にさまざまなバリエーションがあり,OCT所見の解釈もむずかしい場合がある.今後は,さらに高速で高解像度の画像が得られるOCTが登場し,より詳細な病態が把握できるようになるが,これまでの解釈とは異なるものがでてくると思われる.文献1)髙橋寛二,石橋達朗,小椋祐一郎,湯澤美都子(厚生労働省網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班加齢黄斑変性診断基準作成ワーキンググループ):加齢黄斑変性の分類と診断基準.日眼会誌112:1076-1084,20082)GassJDM:Biomicroscopicandhistopathologicconsider-ationsregardingthefeasibilityofsurgicalexcisionofsub-fovealneovascularmembranes.AmJOphthalmol118:285-298,19943)GreenRW,EngerC:Age-relatedmaculardegenerationhistopathologicstudies.Ophthalmology100:1519-1535,19934)IijimaH,ImaiM,GohdoTetal:Opticalcoherencetomographyofidiopathicpolypoidalchoroidalvasculopa-thy.AmJOphthalmol127:301-305,19995)IijimaH,IidaT,ImaiMetal:Opticalcoherencetomogra-phyoforange-redsubretinallesionineyeswithidiopathicpolypoidalchoroidalvasculopathy.AmJOphthalmol129:21-26,20006)SatoT,KishiS,WatanabeGetal:Tomographicfeaturesofbranchingvascularnetworksinpolypoidalchoroidalvasculopathy.Retina27:589-594,20077)尾辻剛,津村晶子,高橋寛二ほか:自然観察中にclassic脈絡膜新生血管の所見を示したポリープ状脈絡膜血管症の検討.日眼会誌110:454-461,20068)TruongSN,AlamS,ZawadzkiRJetal:HighresolutionFourier-domainopticalcoherencetomographyofretinalangiomatousproliferation.Retina27:915-925,20079)YannuzziLA,NegraoS,IidaTetal:Retinalangiomatousproliferationinage-relatedmaculardegeneration.Retina21:416-434,200110)GassJD,AgarwalA,LavinaAMetal:Focalinnerretinalhemorrhagesinpatientswithdrusen:Anearlysignofoccultchoroidalneovascularizationandchorioretinalanas-tomosis.Retina23:741-751,200311)YannuzziLA,FreundKB,TakahashiBS:Reviewofreti-nalangiomatousproliferationortype3neovascularization.Retina28:375-384,200812)FreundKB,HoIV,BarbazettoIAetal:Type3neovas-cularization:theexpandedspectrumofretinalangioma-tousproliferation.Retina28:201-211,2008(43)図14RAPStage3網膜内,網膜下新生血管およびCNV上左:FA早期.上中:FA後期.網膜血管と吻合する網膜内および網膜下新生血管を示唆する過蛍光を認める.後期に蛍光色素の強い漏出を認める(矢印).OccultCNV(小矢印)の所見がみられる.上右:IA3分.網膜内および網膜下新生血管を示唆する瘤状過蛍光を認める(矢印).PED内は下液のblockによる低蛍光がみられる(矢頭).網膜色素上皮下のCNVを示唆する過蛍光がみられる(小矢印).下:OCT水平断.網膜内および網膜下新生血管は一体となり高反射所見としてみられ(矢頭).その下の網膜色素上皮に接する.その部位の網膜色素上皮は断裂しCNVを示唆する反射所見がみられる(矢印).PEDを認める(※).