———————————————————————-Page10910-1810/09/\100/頁/JCLS病期として順を追って進行するROPをI型とし,これに対して,わずか12週のうちに急速に網膜離に進む劇症型をII型と名付けて注意を喚起していた13).最初に作成された国際分類では,このII型が通常とは全く異なる病態をもつという考えに理解が得られず,重症兆候として,眼底後方の網膜血管が拡張・蛇行する虚血所見に対し,stage記載の後に+の文字を加えてplusdiseaseと称するに止まった10,11).しかしその後,欧米でもわが国の考えが認識され,2005年に改訂された国際分類では,II型の概念を全面的に取り入れて,AP-ROPと規定した4).これは,1)眼底の後方で起こり,2)網膜血管は顕著に拡張・蛇行し,シャントを形成,3)通常のstage1から3への段階的な進行は示さず,急速に悪化してstage5の網膜離に至ることが特徴である.森実は,1976年にすでにII型(後のAP-ROP)の特徴を詳述している3).(1)耳側血管の先端は黄斑部外輪予定部付近,鼻側は乳頭から23乳頭径の範囲にある.(2)網膜動脈は4象限すべての方向で蛇行し,さらに静脈も拡張・蛇行する.(3)有血管帯と無血管帯との境界部に新生血管が叢状をなし吻合形成を多数に認め,所々に出血斑も存在する.これら3所見が揃えば診断が確定する.しかし,すべてが揃えばすでに相当進んでしまっており,以降は急速に進行する.したがって,3所見が揃ってII型の確証を得てから治療を開始するのでは,時期を失しかねない.はじめに未熟児網膜症(ROP)のなかで,劇症の厚生省分類II型/国際分類aggressiveposteriorROP(AP-ROP)は急速に網膜離に進み,失明に至ることが多い14).以前は,光凝固治療が奏効せず網膜離が起これば,stage5(全離)まで進行してから硝子体手術が行われてきた.その場合,増殖組織内の血管の活動性が高いと,術中に大出血を起こして術中操作を妨げ,術後は不十分な切除部や血液塊に沿って再増殖を起こすので,増殖組織内の血管が退縮するのを待ってから,硝子体手術を行わなければならない.網膜ががれてから通常12カ月を要し,この間に網膜の変性が進んでしまうので,手術で復位が得られても,視力は大部分が光覚手動弁にとどまる5,6).やがて,良好な視力予後を求めて,stage4の早期に手術が行われるようになり,I型/classicROPではバックリング7)や水晶体温存硝子体手術(lens-sparingvit-rectomy)8)の良好な成績が報告されてきたが,II型/AP-ROPの増殖や網膜離の程度は強く,進行も急速なので,これらの術式はほとんど無効である.この重症ROPに対して,早期硝子体手術が開発され,良好な成果が得られるようになった9).本稿では,この早期硝子体手術の適応と時期について述べる.III型/APROPの眼底検査と初期兆候わが国の「未熟児網膜症厚生省分類」では,活動期の(41)473oriiAa15785352101特集●未熟児網膜症診療―最近の考え方あたらしい眼科26(4):473479,2009II型/AggressivePosteriorROPに対する硝子体手術の適応と時期IndicationsandTimingofVitrectomyforAggressivePosteriorRetinopathyofPrematurity東範行*———————————————————————-Page2474あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009(42)熟性であり,在胎週数が短いほど,出生時体重が少ないほど重篤である12,13).II型/AP-ROPの発生では,網膜血管成長がごくわずかであることが要因なので,体重の極端に小さい超低出生体重児の生存率が向上している現在,急速に増加している14,15).したがって,眼底検査の開始時期も重要で,以前の米国のCRYO-ROPStudy16)に比べて,最近のEarlyTreatmentforROP(ETROP)Studyでは,早期にROPを発見し治療するようになり,出生時在胎28週未満であれば修正在胎31週から,出生時在胎28週以上であれば生後4週に初回検査を行うよう勧めている17,18).しかし,II型/AP-ROPを発症する超低出生体重児に対してはこれでは不足であり,筆者らは発症を初期から把握するために,出生時在胎26週未満なら修正在胎29週から,出生時在胎26週以上ならさらに,ごく初期の特徴を記載しているのが参考になる3).初め(修正在胎29週頃)は,乳頭とその周囲に辛うじて血管を追跡できるが,それ以上の末梢では血管が途絶えて追えない.血管は全体に色調が淡く,狭細化が著明で,周囲網膜との色のコントラストがきわめて悪い.鼻側の血管先端がコイル状,あるいはちぢれ毛状で,環状に走行するものや,吻合形成するものもみられる.約1週間後(修正3031週頃),鼻側にうっすらと境界線形成の兆しが認められ,乳頭から伸びる動脈がわずかに蛇行してくる.これらの所見の出現をもって発症と定義している.発症から約1週間後に鼻側に細い境界線を形成し,数個の発芽や出血がみられ,その数日後には特徴的な後極部の拡張・蛇行が現れると述べている.ROPの病態に最も大きく関与するのは網膜血管の未ACBD1II型/aggressiveposteriorROPの初期像と光凝固後の経過(22週,470gで出生,脳内出血後水頭症)A:生後13週,網膜血管はzoneIで視神経乳頭より56乳頭径程度しか伸びていない.静脈の拡張はないが,動脈に軽度の蛇行があり,血管末端が一部コイル状になっている.多数の網膜内出血があり,網膜内で血管新生が始まっている証拠である.この段階でただちに光凝固を行った.B:生後13週,Aの2日後に血管の拡張と蛇行が顕著となったので,後方まで密に光凝固を追加した.C:生後16週では,一過性にROPが落ち着いたようにみえる.D:生後18週に凝固斑のなかから増殖組織が立ち上がり,この後急速に網膜離が進行した.(文献9より,許可を得て,一部改変掲載)———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009475(43)る.ひとたび増殖が始まると,予想をはるかに超えて急速に進行し,12週間で高度な網膜離になることが多い.これを予測して,ただちに準備を開始しなければならない.出生時の週数や体重が少ない超低出生体重児では,全身状態が悪かったり,硝子体混濁,硝子体血管の遺残などのために十分に光凝固できないこともある.このような状態で増殖が進めば,早期硝子体手術を行っても再増殖となり,良好な結果は得られない.III早期硝子体手術の概念と方法II型/AP-ROPでは,増殖組織が後方でほぼ全周にわたって立ち上がるので,バックリング手術はほとんど無効である.Lens-sparingvitrectomyを行っても,水晶体後面や硝子体基底部の硝子体は切除できないので,高度な増殖がこれに沿って伸展し,網膜離に至る.したがって,ここの有形硝子体を十分に切除するためには,水晶体切除が必要である.手術では,増殖組織周囲と,水晶体後面あるいは硝子体基底部までの硝子体線維を広汎に切除して(図2A,B),増殖の伸展する足場を除去する.血管を含む増殖組織は極力手をつけない9).25ゲージの硝子体手術システムと未熟児用にデザインした観察用コンタクトレンズを用いて,毛様体皺襞部アプローチで,まず水晶体を切除する.硝子体切除は,増殖が進行する方向の増殖組織周囲,ことに前方と硝子体基底部を丁寧に行う必要がある.後極の硝子体切除も生後3週には初回検査を行うのが適切と考えている19).II光凝固光凝固は,血管新生因子を産生している場所を広汎に凝固し,新生血管の発生を抑制することが目的である.I型/classicROPの治療開始時期は,CRYO-ROPStudy16)の基準では有用な視力を得るには遅すぎるとの考えから,EarlyTreatmentforROP(ETROP)Study17)が行われ,早期へ移った.その凝固部位は無血管領域を広汎に行っておけば十分なことが多く,plusdiseaseが顕著であれば,蛍光眼底造影で血管先端部後方の有血管領域にも無血管部位が少し存在している20)ので,12列後方に凝固を行うこともある.しかし,II型/AP-ROPの循環動態はI型/classicROPとまったく異なる.後方の網膜にも広汎に無血管領域が存在し,眼底全体から大量の血管新生因子が放出されると推測される21).したがって,初期兆候が発見されればただちに,無血管領域のみならず有血管領域にまで数列踏み込んで密に凝固を行うべきである.初回凝固を行っても,後極血管の拡張・蛇行が増加し,糖尿病網膜症の汎光凝固のように後極を残して広く凝固しなければならないことも多い(図1).このような広汎かつ密な光凝固を行って,いったんは落ち着いたようにみえても,初回凝固から1カ月ほど経って,凝固瘢痕のなかの血管先端部から増殖が立ち上がってくることがある.この段階が早期硝子体手術の最も良い手術適応時期であAB図2早期硝子体手術の術中所見A:水晶体切除後,25ゲージカッターで増殖組織周囲の硝子体を切除.B:強膜を圧迫しつつ,硝子体基底部を切除.———————————————————————-Page4476あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009(44)IV早期硝子体手術を行うべき時期手術の成否は,網膜離の範囲より,増殖組織の進行程度に強く左右される.一般に,網膜から立ち上がった増殖組織は,硝子体線維の走行に沿って,水晶体後面に向かう(図3A).その後,増殖は硝子体密度が最も高い周辺部(硝子体基底部)へ向かう(図3B)が,対側組織に接着すれば把持部を得て牽引力が非常に強くなり,網膜離は急速に進行する(図3C).早期硝子体手術では,水晶体後面と硝子体基底部の硝子体線維構築を除去し,この接続を断つことが重要なので,ひとたび増殖組織が硝子体基底部に強く接着してしまえば,術後予後は非常に悪くなる(図3D).増殖組織が硝子体基底部に強く接着してしまえば,血管の二次侵入が始まって出血が多く,癒着が強く安全に解除することはできず,その奥で行わなければならないが,小児では後部硝子体離を起こすことは困難である.しかし,後述するような光凝固が不足している状態でなければ,後極網膜上の残存硝子体に沿って,増殖が後方に反転し進行することはまれである.体重の少ない未熟児では全身麻酔をかけての手術時間には制限があり22),無駄な手術操作を極力排する必要がある.医原性裂孔を作ることは厳に戒めるべきで,止血や光凝固の追加を行う時間もない.増殖組織は粘性があって切除しにくく,これを積極的に切除すれば出血や医原性裂孔を起こしやすい.あくまでも増殖の足場である硝子体の除去だけにして,余計な操作は一歩手前で止まることが大切である.手術前手術後ABCDE図3II型/aggressiveposteriorROPの進行と早期硝子体手術の結果〔術前〕A:増殖組織の伸展と牽引網膜離の開始(国際分類stage4A初期),B:網膜離は黄斑に及びはじめ(stage4A後期stage4B初期),線維組織は周辺部へ向かう,C:Stage4B,増殖線維組織の一部が硝子体基底部に接着,D:Stage4後期,線維組織が広汎に硝子体基底部に接着,E:網膜全離(stage5).早ければ1週間ほどでAからEへ進行する.〔術後〕A,Bでは網膜は復位し,黄斑が形成されているが,Cでは一部網膜襞を残して黄斑は形成されず,Dでは網膜離が治癒しない.Eは進行し過ぎており,もはや早期硝子体手術の適応ではない.従来どおり血管の退縮を待って手術するが,網膜変性が進んでしまう.(文献9より,許可を得て,一部改変掲載)———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009477(45)増殖組織は強く収縮して,後の除去がむずかしくなる.進行した増殖組織から大量な出血や裂孔形成が起これば予後が悪くなる.増殖が進行してしまえば,早期手術を行うことはやめ,しばらくは経過をみて,従来の後期硝子体手術を行うしかない.V早期硝子体手術の成績と術前の光凝固の関係国立成育医療センターでは2004年7月2008年3月の期間に38例58眼〔男児18例,女児20例,出生週数2230週(平均25週),出生体重3661,676g(平均737g)〕に早期硝子体手術を行った.手術時の修正在胎週数は3446週(平均38週),体重は1,0502,602網膜がどのようにがれているのかを透見できないので網膜裂孔を形成しやすい.網膜は強く伸展され黄斑が形成されないので視力予後は不良となる.したがって,早期硝子体手術は,増殖組織が硝子体基底部に接着していない前の段階で行うべきで,きわめて短期間に限られる(図3A,B).II型/AP-ROPは急速に進むので,この手術が有効な時期は増殖が立ち上がり始めてから1週間程度にすぎない.かなり進んだ状態であれば(図3E),増殖組織内の血管が枯れるのを待って,従来の後期硝子体手術を行うことになる.この手術に備え,状態を少しでも良くしておく目的で,早期手術をしておく選択も考えられるが,これは勧められない.ひとたび硝子体手術を行うと,残存ACBD4術前の光凝固範囲による早期硝子体手術結果の違いA:24週800gで出生,修正44週に手術.増殖の立ち上がりは図3のA程度であり,光凝固は有血管領域の後方まで行われている.増殖が立ち上がっている部位が本来の網膜血管先端部にあたる.B:術後,ROPの活動性は低下し,網膜は復位している.C:26週980gで出生,修正34週に手術.増殖の立ち上がりは図3のA程度であり,光凝固は無血管領域(増殖組織の前方)のみに行われている.D:術後,残存硝子体に沿って再増殖が起こり,網膜は全離となった.———————————————————————-Page6478あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009(46)目安としている.抜管後に声帯や気管の浮腫,無呼吸を生じやすいため,短期間のくり返し麻酔は極力避けたいので,両眼で増殖と網膜離が急速に進行する可能性がある場合には,両眼同時手術を行うこともやむをえない.体重1,500gで両眼に手術を行う場合には,片眼を45分以内で終える必要がある.VII手術眼の選択II型/AP-ROPは大部分が両眼に起こる.両眼ともに早期手術の適応と判断された場合,短期間のくり返し麻酔ができないので,増殖と網膜離の急速な進行を考慮して,両眼同時手術を行うことが多い.優先順位は,増殖と網膜離が軽度で,手術時間が短く,視力予後が期待できるほうの眼を先に行う.万一,全身状態の急変によって手術を早期に切り上げなければならない場合や,最初の眼の手術が長引いて麻酔の許容時間を使い果たしてしまう場合があるので,状態の良い片眼を優先して救うためである.2回の機会に分けて手術を計画するときも,全身状態の急変で2回目の麻酔がかけられない可能性もあるので,症状が軽度な眼を優先している.片眼が光凝固で落ち着いていて有用な視力が期待でき,生活には支障がないと推測される一方で,他眼がかなり網膜離へ進んでいる場合は,積極的には治療を勧めない.手術によってわずかの視力が得られても使うことがなく,良いほうの眼が万一失明した場合のspareeyeにすぎない.また,小眼球となるので後に整容的にコンタクト義眼を装用することも多い.しかし,網膜離が始まるごく初期(図3A,B)であれば,水晶体を除去して術後のコンタクトレンズ装用や視能訓練の労があっても,ある程度の視力が期待でき,手術を勧めてよいと考える.VIII病院や診療科間の連携と家族への説明早期硝子体手術の適応は,先に述べたROPの状態のみならず,全身状態が大きく関与する.移送ができなかったり,全身麻酔がかけられない状態であれば,適応とはならない.移送前に,各病院の眼科間ではROPの状態について,新生児科,麻酔科間では全身状態の情報を十分に共有して,連携をとらねばならない.また,転院g(平均1,939g)であった.術前に無血管領域だけでなく後方の有血管領域まで十分な光凝固が行われていた47眼では,網膜全復位42眼(90%),部分復位5眼(10%)で,黄斑の保存が35眼(74%)ときわめて良好な結果が得られた.しかし,光凝固が無血管領域のみに行われていた11眼では,網膜全復位1眼(9%),部分復位5眼(45%),非復位5眼(45%)で,いずれも黄斑形成が障害された(図4).したがって,術前に後方を含めて十分な光凝固が行われていることが手術の成否に大きく関わる.この光凝固は増殖が立ち上がる前に行われていなければならない.ひとたび増殖膜が硝子体腔に立ち上がり始めれば,ごく初期であっても,その下にすでに牽引網膜離が生じている.かなり離れた不足部位ならまだしも,この付近に光凝固を追加することは,増殖膜の牽引・癒着増強や網膜裂孔形成を惹起するので,禁忌である.II型/AP-ROPが疑われれば,最初から後方まで十分な光凝固を行っておくことが重要である.VI時間的制約早期硝子体手術には,さまざまな時間的制約がある.まず,AP-ROPは23日の遅れであっても,増殖組織が硝子体基底部に接着し,網膜離もstage4Bまたは5へ急速に進行する恐れがある.ROPの硝子体手術を専門とする施設は限られているので,患児の迅速な移送が必要となる.新生児科医が付き添って,比較的近隣なら救急車のみでも可能だが,遠方であれば飛行機・救急車や新幹線・救急車の連携,あるいはヘリコプターによる移送を考えねばならない.この移送に準備を含めて12日かかるうえに,転院後も全身麻酔の術前評価のために最低1日は要する.手術を行って良好な視力が期待できる期間は,網膜離が起こり始めてからごくわずかにすぎない.程度の差はあるが,おおむね1週間も猶予はないと考えるべきである.手術自体にも時間制限があり,超あるいは極小低出生体重児はストレス障害に陥りやすいので可及的速やかに行う必要がある22).国立成育医療センターでは,全身合併症の有無にもよるが,通常は手術時体重が2,000gであれば2時間,1,500gであれば1時間半を手術時間の———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009479後も全身状態が変わって,しばらく麻酔がかけられない状況となり,その間に増殖・網膜離が進行してしまうことがある.麻酔の挿管を試みても,気道狭窄で行えないこともある.実際に手術をどのくらいの時間・回数で行えるかは,その時になってみないと予測がつかない.術後も,抜管できず長期にNICU(新生児集中治療室)やICU(集中治療室)管理となることもある.インフォームド・コンセントでは,新生児科医・麻酔科医とともに,保護者に眼と全身の状態や手術,麻酔の内容と推定予後,リスクを十分に説明する.早期硝子体手術は確かに効果があるが,手術を行える時期が限られ,全身状態にも制限があるので,予想どおりに手術が終わり,十分な結果が得られるとは限らない.II型/AP-ROPは,依然失明の恐れをもつ疾患であることを前提にして話すべきである.おわりに早期硝子体手術に導入によって,II型/AP-ROPの予後は飛躍的に改善し,治療適応は大きく変わった.しかし,手術の適応となる時期は短期間に限られる.また,前もって十分な光凝固が行われており,適切な時期に専門施設に移送でき,全身麻酔がかけられるなど,手術が奏効するまでには多くの前提がある.この手術によって,すべての予後が改善するわけではない.II型/AP-ROPは,これまで比較的まれであったが,体重が極端に少ない超低出生体重児の生存率が上昇するにつれ,今後急速に増加することが危惧される.従来のI型/classicROPとII型/AP-ROPでは,初期像も光凝固に対する反応も大きく異なっており,ある時に急激な変化が起こるので,適切な診断法と治療法を理解しておくことが重要である.文献1)植村恭夫,塚原勇,永田誠ほか:未熟児網膜症の診断および治療に関する研究─厚生省特別研究費補助金昭和49年度研究報告.日本の眼科46:553-559,19752)植村恭夫,馬嶋昭生,永田誠ほか:未熟児網膜症の分類(厚生省未熟児網膜症診断基準,昭和49年度報告)の再検討について.眼紀34:1940-1944,19833)森実秀子:未熟児網膜症第II型(劇症型)の初期像及び臨床経過について.日眼会誌80:54-61,19764)AnInternationalCommitteeforClassicationofRetinopa-thyofPrematurity:TheInternationalClassicationofRetinopathyofPrematurityRevised.ArchOphthalmol123:991-999,20055)ChongLP,MachemerR,deJuanE:Vitrectomyforadvancedstagesofretinopathyofprematurity.AmJOph-thalmol102:710-716,19866)東範行:未熟児網膜症の硝子体手術.眼科手術9:135-140,19957)GrevenC,TasmanW:Scleralbucklinginstage4Band5retinopathyofprematurity.Ophthalmology97:817-820,19908)TreseMT,DrostePJ:Long-termpostoperativeresultsofaconsecutiveseriesofstage4and5retinopathyofpre-maturity.Ophthalmology105:992-997,19989)AzumaN,IshikawaK,HamaYetal:Earlyvitreoussur-geryforaggressiveposteriorretinopathyofprematurity.AmJOphthalmol142:636-643,200610)TheCommitteefortheClassicationofRetinopathyofPrematurity:Aninternationalclassicationofretinopathyofprematurity.ArchOphthalmol102:1130-1134,198411)TheCommitteefortheClassicationoftheLateStageofRetinopathyofPrematurity:Aninternationalclassica-tionofretinopathyofprematurity.II.Theclassicationofretinaldetachment.ArchOphthalmol105:906-912,198712)FlynnJT,PhelpsDL(eds):RetinopathyofPrematurity:ProblemandChallenge.AlanRLiss,NewYork,198813)FlynnJT,TasmanW(eds):RetinopathyofPrematurity,AClinician’sGuide.Springer-Verlag,NewYork,199214)園田和孝,井上和彦,梶原眞人:超低出生体重児にかかわる疫学.周産期31:1273-1278,200115)大川原潔,香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