———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLSVEGF165,VEGF189,VEGF206という4種の主要なアイソフォームが存在していることがわかっている.このうちVEGF121,VEGF165の2つが網膜で認められるアイソフォームである.これらのVEGFと複合体を形成してVEGF受容体結合を抑制する作用機序をもつ薬剤が続々と開発され,これらを硝子体内に投与する治療法が最近主流となってきている.これらの薬剤のなかには,完全ヒト型の可溶性VEGF受容体フュージョン蛋白であるaibercept(VEGFTrap-EyeTM)などこれから治験が始まるものもある.本稿では,わが国で,すでに使用されているbevacizumab,今後承認される予定のranibizumab,pegaptanibについて紹介する.1.Bevacizumab(AvastinR,Genentech)VEGF阻害薬の一つであるbevacizumab(AvastinR;Genentech,Inc.,SouthSanFrancisco,CA)は米国のFDA(FoodandDrugAdministration)に転移性大腸癌の治療薬として承認された全長ヒトモノクローナル抗体である.薬物の作用機序より,眼科疾患においてはAMDをはじめ,網膜静脈閉塞症やDRによる黄斑浮腫,PDR(図1)に対して有効であるという報告が2006年以降数多くみられる.内外ともにo-labelの使用であり,各医療機関でIRB(治験審査委員会;InstitutionalReviewBoard)や倫理委員会などの組織で承認を得る必要がある.糖尿病黄斑浮腫(diabeticmacularedema:DME)にはじめに近年,加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegenera-tion:AMD),糖尿病網膜症(diabeticretinopathy:DR),網膜静脈閉塞症に続発した黄斑浮腫や,増殖糖尿病網膜症(proliferativediabeticretinopathy:PDR)などの網膜硝子体疾患に対し,薬物治療がさかんに行われるようになった.従来は,これらの疾患に対してレーザー光凝固,硝子体手術などの治療がおもに行われていたが,侵襲が大きいうえに満足のいく治療成績が得られない症例も多く,薬物治療が現在脚光を浴びている.本稿では,現在使用されているもの,治験中の薬物について,さらに,どのような疾患に対して有効であるか,過去の報告に基づいて述べる.I抗血管内皮増殖因子薬血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfac-tor:VEGF)は,眼内では主として網膜色素上皮によって分泌されるポリペプチドで,血管内皮細胞に特異的で強力な細胞分裂促進作用を示す.VEGFは,AMDにおける脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)をはじめ,DRなどの網膜血管閉塞性疾患における網膜新生血管にも強く関与している.また,網膜血管の透過性を亢進させて網膜浮腫の発生に関わっている.これらのことより,VEGFを抑制させる薬物は,血液網膜柵の破綻や血管新生に起因する眼科疾患においても有効である.VEGFはヒトにおいてはVEGF121,(35)309*ChiekoShiragami&FumioShiraga:香川大学医学部眼科学教室〔別刷請求先〕白神千恵子:〒761-0793香川県木田郡三木町大字池戸1750-1香川大学医学部眼科学教室特眼科薬物治療トレンド2008あたらしい眼科25(3):309315,2008網膜硝子体疾患に対する最新の薬物治療NewPharmacologicTreatmentforVitreoretinalDiseases白神千恵子*白神史雄*———————————————————————-Page2310あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008(36)で,有害事象は認めなかった4).また,predominantlyclassicCNVに対してIVBを32眼,光線力学的療法(photodynamictherapy:PDT)を30眼に施行し,6カ月目の効果を比較したところ,平均視力,中心窩網膜厚ともにIVB群のほうが有意に改善したという報告もある5).RAPに対するIVBの報告では,23眼に対してIVB1.25mgを行い,13カ月と短期経過観察では,視力,中心窩網膜厚ともに有意に改善したとされている6).しかし,RAPに対するIVBの報告は観察期間が短期のものだけで,今後中長期的な効果についての検討が必要である.ポリープ状脈絡膜血管症に対するIVBは,短期的な滲出の軽減には有効であるが,網膜色素上皮下の病変を消失させる根本的な治療にはならないとされている7).AMD1,455眼に対してIVB1.25mgを施行した症例のうち,投与後4日目から8週目の間に網膜色素上皮裂孔が発生したという報告があり,全症例,漿液性網膜色素上皮離の辺縁に起こったとされている.原因は不明で,頻度としては多くないが,網膜色素上皮離のある症例に対しては注意を要する8).その他,近視性CNV(図2)9),網膜色素線条に続発したCNV10),ぶどう膜炎に続発した黄斑浮腫11)に対してもIVBが有効であるという報告があるが,いずれも対するbevacizumab硝子体内注射(intravitrealbevaci-zumab:IVB)に関する過去の報告では,DME78眼に対してIVB1.25mg,あるいは2.5mgを行い,6カ月経過をみたところ,再投与を1回行ったものが20.5%,2回行ったものは7.7%で,投与前と最終受診時を比較すると平均視力は有意に改善し,光干渉断層検査(OCT)にて中心窩網膜厚が有意に減少したとされている1).そのほかにも経過観察期間が6週から24週と短期間でDMEにIVBが有効であるという報告がある2).さらに,DME26眼に対して,IVBと1回のトリアムシノロンの硝子体内注射(IVTA)を比較した報告では,投与後12週目の中心窩網膜厚と,投与後4週目の視力はIVTA群で有意に改善していたという報告があり3),IVBの効果については長期成績を含めて今後さらなる検討が必要である.AMDに対するIVBの報告では,まず,網膜血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)を除くAMD60眼に対してIVB2.5mgを行い,滲出が残存する症例には1カ月ごとに再投与を行った臨床研究では,12カ月経過観察できた51眼において,治療前と12カ月後を比較すると,平均視力,中心窩網膜厚ともに有意な改善がみられたという結果で,平均投与回数は3.4回図1増殖糖尿病網膜症に対するbevacizumab硝子体内注入(IVB)a:IVB前フルオレセイン蛍光造影写真(FA).網膜新生血管から広範囲に蛍光漏出を認める.b:IVB後翌日のFA.新生血管からの蛍光漏出が消失している.ab———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008311(37)zumabは48kDで約1/3と小さいため(図3)硝子体内投与後に網膜深層にまで効率的に移行することができる12).また,Fcフラグメントが欠損していることより,眼内投与によるぶどう膜炎の合併症は少なくなるものと考えられている.Ranibizumabは2006年6月に米国FDAの認可を受けているが,わが国においては,中心窩下脈絡膜新生血管を伴うAMDに対して第I/II相臨床試験が現在実施中であり,日本人に対する安全性,有効性はまだ不明である.以下,海外にて現在までに行われた大規模スタディについて説明する.a.MARINA(MinimallyClassic/OccultTrialoftheAnti-VEGFAntibodyRanibizumabintheTreat-mentofNeovascularAge-relatedMacularDegen-eraion)Study13,14)中心窩下にminimallyclassicCNVまたはoccultwithnoclassicCNVを伴うAMD716眼を対象とし,ranibi-zumab0.3mgを238眼,0.5mgを240眼,shaminjection(擬似注射)を238眼に月(4週)1回24カ月行い,視力,FA(フルオレセイン蛍光造影)所見,OCT(光干渉断層計)所見を比較した多施設無作為プラセボ対照二重盲検試験である.1年目の結果では,視力がETDRS(EarlyTreatmentDiabeticRetinopathyStudy)視力にて15字未満の低下だったものが,ranibi-zumab0.3mg投与群では94.5%,0.5mg投与群では94.6%であり,それに対してsham群では62.2%であり,短期経過による結果である.2.Ranibizumab(LucentisR)Ranibizumabは,マウスのモノクローナル抗VEGF抗体(MAbVEGFA.4.6.1)に由来し,特定の抗原結合領域をMAbから全ヒト抗体のアミノ酸配列,および構造にスプライシングし,この修飾したMAbをFabフラグメントとFcフラグメントに分割している.Fabフラグメントのほうをranibizumabとよんでおり,VEGFへの親和性は全長ヒトMAb(bevacizumab)よりも高く,分子量も全長ヒトMAbが149kDに対し,ranibi-図2高度近視に続発した脈絡膜新生血管(CNV)に対するbevacizumab硝子体内注入(IVB)a:IVB前フルオレセイン蛍光造影写真(FA).黄斑部のCNVから蛍光漏出を認める.b:IVB後1カ月目のFA.CNVからの蛍光漏出がほぼ消失している.ab図3Ranibizumabの生成過程(文献26より引用,一部改変)ヒト化FabフラグメントRanibizumab(Lucentis?)FcBevacizumab(Avastin?)FcLightchainHeavychain親和性の向上選択的変異ヒト化抗体Fabフラグメント(約48kD)全長ヒト化抗体(約149kD)ヒト化Fabフラグメントマウスモノクローナル抗VEGF抗体(約150kD)ヒト化抗体の構築———————————————————————-Page4312あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008(38)行7日後から毎月ranibizumab0.5mg投与を106眼,shaminjectionを56眼に24回行う第I/II相多施設無作為単盲検試験である.PDTは通常どおり,3カ月ごとにFAを行って蛍光漏出を認めた症例はPDTの再治療を行った.12カ月目の結果では,15文字未満の視力低下だったものが,ranibizumab投与併用群で90.5%,PDT単独群で67.9%とranibizumab投与併用群で有意に視力低下を抑制できた(p<.001)(図6).PDT再治療回数に関しては,ranibizumab投与併用群ではほとんどが最初の1回のみであったのに対して,PDT単独群のほぼ3分の1は4回のPDTを施行した.Ranibizum-ab投与群で最も頻度の多い有害事象は,ぶどう膜炎などの重篤な眼内炎症(11.4%)と,細菌性眼内炎(1.9%)で,PDT単独群ではみられなかった.しかし,眼内炎症が起こった症例でも,平均視力はPDT単独群と比較すると良好であった.ranibizumab投与群で有意に視力低下を抑制できた.12カ月目に平均視力は,0.3mg投与群で6.5字,0.5mg投与群で7.2字改善したのに対し,sham群は10.4字悪化していた(図4).b.ANCHOR(Anti-VEGFAntibodyfortheTreatmentofPredominantlyClassicChoroidalNeovascularizationforAge-relatedMacularDegeneration)Study15,16)PDTとranibizumabの効果の比較試験(多施設無作為二重盲検試験)として,中心窩下にpredominantlyCNVを有するAMD423眼に対して,ranibizumab0.3mg注射+shamPDT(ベルテポルフィンを投与せずレーザー照射),ranibizumab0.5mg注射+shamPDT,shaminjection+PDTの3群に均等に分け,注射は月1回12カ月行い,PDTはFA所見より必要時に3カ月おきに行った.視力が15字未満の低下に抑えられたものは,ranibizumab0.3mg群で94.3%,ranibizumab0.5mgで96.4%であったのに対し,PDT単独群では64.3%であり,ranibizumab投与群で有意に視力低下を抑制できた.平均視力はranibizumab0.3mg群で8.5字上昇,ranibizumab0.5mgで11.3字上昇したのに対し,PDT単独群では9.5字低下した(図5).また,多変量解析の結果,治療前視力が不良なもの,CNVが小さいもの,年齢が若いものが,ranibizumab群の視力改善とPDT群の視力低下の抑制に有意に関連していた.c.FOCUS(RhuFabV2OcularTreatmentCombiningtheUseofVisudynetoEvaluateSafety)Study17)PredominantlyCNVに対するrenibizumab硝子体内投与とPDTの併用療法の安全性と効果を調べた研究で,病変部の最大直径が5,400μm未満のAMDにPDT施図4MARINAStudyにおける平均視力の変化(文献14,Figure2より引用,一部改変)(月)平均視力の変化(文字数)1050-5-10-1503691215182124:Ranibizumab0.5mg:Ranibizumab0.3mg:Shaminjection図5ANCHORStudyにおける平均視力の変化(文献15,Figure2より引用,一部改変):Ranibizumab0.5mg:Ranibizumab0.3mg:Vertepor?n(月)平均視力の変化(文字数)151050-5-10-150369121245781011図6FOCUSStudyにおける平均視力の変化(文献17,Figure1より引用,一部改変)(月)7日369121245781011+4.9-8.2平均視力の変化(文字数)1050-5-10:Ranibizumab+PDT(n=105):PDTAlone(n=56)———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008313(39)マーで,VEGFの主要なアイソフォームであるVEGF165にきわめて特異的かつ高い親和性で結合するPEG化したオリゴヌクレオチドである.VEGF165は滲出型AMDの病態に関与する主要な血管新生増殖因子と考えられている21,22).Pegaptanibは他のVEGF阻害薬と異なり,165のアイソフォームと特異的に結合してVEGFを不活化するアプタマーなので,免疫学的に寛容で,全身への副作用などの影響が少ないと考えられている.実際,AMD147眼にpegaptanib1,3mgを6週ごとに54週投与した1年の経過では,血液検査,心電図,バイタルサインなど全身への影響はなかったという報告がある23).日本における臨床試験では,pegaptanibsodiumを6週間ごとに54週硝子体内投与するというもので,治験が終了し,厚生労働省に申請中である.以下,海外での臨床試験V.I.S.I.O.N.Studyの結果を述べる.V.I.S.I.O.N.(VEGFInhibitionStudyinOcularNeovas-cularization)Study24,25)米国,カナダ,ヨーロッパ,イスラエル,オーストラリアと南アメリカの117施設で行われた前向き無作為二重盲検多施設用量設定試験である.中心窩下CNVを有する50歳以上のAMDで,視力が20/40から20/320の症例1,186眼を,pegaptanib0.3mg群(294眼),pegaptanib1.0mg群(296眼),pegaptanib3.0mg群(296眼)とshaminjection群(296眼)の4群に無作為に分け,6週ごとに9回投与を行い54週までの結果をd.PIER(APhaseIIIb,Multicenter,Randomized,Double-Masked,ShamInjection-ControlledStudyoftheEcacyandSafetyofRanibizumabinSubjectswithSubfovealChoroidalNeovasularizationwithorwithoutClassicCNVSecondarytoAMD)Study18)中心窩下にCNVを有するAMDに対し,ranibizum-ab0.3mg(n=60),ranibizumab0.5mg(n=61),shaminjection(n=63)の3群に分けて,最初の3カ月は毎月,その後は3カ月おきに硝子体内注射あるいはshaminjectionを行い,12カ月経過をみた多施設無作為プラセボ対照二重盲検試験で,治療回数を減らすことが可能であるかどうかを検討した試験である.12カ月目の平均視力は,ranibizumab投与群では治療前視力を維持できており,sham群と比較すると有意に効果がみられた.しかし,MARINAStudyやANCHORStudyで行われた毎月の投与を続ける治療に比較すると視力改善の面で劣っており(図7),ranibizumabの効果を最大に生かすためには毎月の投与が必要であるという結果であった.e.DMEに対するranibizumabの効果Ranibizumabは,VEGF-Aのほぼすべてのアイソフォームに対する抗体であるため,DMEに対しても有効であると報告されている19,20).3.Pegaptanibsodium(MacugenR)Pegaptanibsodiumは血管新生を伴うAMDおよびDMEの治療を目的とした血管内皮増殖因子アンタゴニスト,抗VEGF;PEG(polyethyleneglycol)化アプタ図7PIERStudyにおける平均視力の変化(文献18,Figure1より引用,一部改変)平均視力の変化(文字数)1050-5-10-15:Sham(n=63):Ranibizumab0.3mg(n=60):Ranibizumab0.5mg(n=61)(月)36912124578101116.1文字差14.7文字差-0.2-1.6-16.3図8V.I.S.I.O.N.Studyにおける平均視力の変化(文献24,Figure1より引用,一部改変)(週)平均視力の変化(文字数)0-1-2-3-4-5-6-7-8-9-10-11-12-13-14-15-16-17061218243036425448ShaminjectionPegaptanib1.0mgPegaptanib0.3mgPegaptanib3.0mg———————————————————————-Page6314あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008(40)が,徐放製剤である点で期待されている.2.Triamcinoloneacetonide現在使用可能なケナコルトRは,眼科疾患には適応外であり,また溶媒を含んでいることから眼内使用には問題がある.そこで,複数の会社が,眼科疾患に適応のあるtriamcinoloneacetonideを開発している.そのうち,TriesenceTMは,米国FDAの認可を最近受け,ぶどう膜炎以外に硝子体手術中の可視化にも適応を取得している.日本でも開発されて現在治験中の薬剤があり,近い将来眼科適応のあるtriamcinoloneacetonideが使用可能になることが期待される.3.その他Anecortaveacetate(RetanneTM)は,AMDに対するステロイド薬として開発され,現在,滲出型への進行の予防薬として米国で臨床治験中である.またわが国で開発されたステロイドのマイクロスフェア製剤が,糖尿病黄斑浮腫に対する後部Tenon下注入薬として現在治験中である.おわりにRanibizumabは,眼内投与用に開発された薬剤で,AMDに対しては臨床試験を行って眼内投与における安全性と有効性が欧米では確立されている.また,beva-cizumabよりも血中半減期が短く,抗VEGF抗体の最も重篤な副作用とされる心筋梗塞や脳梗塞など全身の血管閉塞性疾患などの発症が理論的には少ないとされている.一方,bevacizumabの長所は,価格が1回の投与で$17$50ときわめて安価である点である(ranibi-zumabは1回の投与で$1,950)26).しかしながら,適応外使用の現状では,重篤な有害事象の発生の可能性を考えると,慎重に投与されるべきである.特にAMDにおいては,今後わが国でもranibizumabやpegaptanibが承認された場合,臨床試験を行って安全で有効であると立証されたこれらの薬剤が選択されるべきであろう.今後,抗VEGF薬のAMD以外の疾患への適応拡大,さらに,ステロイド薬を含めた新薬の開発,特にDMEに対する強力で持続効果のある新薬が望まれる.最初に報告している.Pegaptanib投与群は用量に関係なくsham群に比較すると有意に効果がみられた(図8).54週目に視力が15字未満の低下に抑えられたのは,pegaptanib0.3mg群で70%,1.0mg群で71%,3.0mgで65%であったのに対し,sham群は55%と,pegap-tanib投与群で有意に視力低下を抑制できた.また,FA所見よりpredominantlyclassicCNV,minimallyclas-sicCNV,occultwithnoclassicCNVに分けてpegap-tanibの効果を比較したところ,CNVのタイプにかかわらずほぼ同様の効果があることがわかった.54週目以降で,再度,pegaptanib投与継続と投与中止を1対1で無作為にグループ化を行い,102週目に効果を検討したところ,pegaptanib0.3mg投与を継続した群が54週目に投与を中止した群よりも視力維持率が高いという結果であった.4.抗VEGF薬硝子体内注入の有害事象微量の硝子体内投与であっても一部は全身の血管に移行するため,全身合併症として高血圧,深部静脈閉塞,脳梗塞,月経異常などが起こる可能性があることは忘れてはならない.また,眼局所の合併症として,虹彩炎,ぶどう膜炎,硝子体炎などのほか,最も重篤なのは硝子体注射手技によって起こりうる細菌性眼内炎,水晶体損傷,裂孔原性網膜離,硝子体出血などである.IIステロイド薬1.PosurdexTMデキサメタゾンなどのコルチコステロイドはVEGFの増加やプロスタグランジンの分泌を抑制し,フィブリン沈着,毛細血管からの漏出,貪食細胞の遊走などの炎症反応に関わる主要な因子を抑え,浮腫を抑制するといわれている.PosurdexTM(デキサメタゾン後眼部送達製剤)は,有効成分のデキサメタゾンに乳酸,グリコール酸共重合体を添加物として混合した生体内分解性高分子製剤であり,硝子体内に投与することによってデキサメタゾンを持続的に放出する後眼部送達製剤である.わが国では,網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)とDRに続発した黄斑浮腫に対して現在第I/II相試験が進行中で,その効果や安全性については現在のところは不明である———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.25,No.3,200831514)RosenfeldPJ,BrownDM,HeierJSetal;MARINAStudyGroup:Ranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1419-1431,200615)BrownDM,KaiserPK,MichelsMetal;ANCHORStudyGroup:Ranibizumabversusvertepornforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1432-1444,200616)KaiserPK,BrownDM,ZhangKetal:Ranibizumabforpredominantlyclassicneovascularage-relatedmaculardegeneration:subgroupanalysisofrst-yearANCHORresults.AmJOphthalmol144:850-857,200717)HeierJS,BoyerDS,CiullaTAetal;FOCUSStudyGroup:Ranibizumabcombinedwithvertepornphotody-namictherapyinneovascularage-relatedmaculardegen-eration:year1resultsoftheFOCUSStudy.ArchOph-thalmol124:1532-1542,200618)RegilloCD,BrownDM,AbrahamPetal;ThePIERStudyGroup:Randomized,Double-Masked,Sham-Con-trolledTrialofRanibizumabforNeovascularAge-relatedMacularDegeneration:PIERStudyYear1.AmJOph-thalmol145:239-248,200819)ChunDW,HeierJS,ToppingTMetal:Apilotstudyofmultipleintravitrealinjectionsofranibizumabinpatientswithcenter-involvingclinicallysignicantdiabeticmacu-laredema.Ophthalmology113:1706-1712,200620)NguyenQD,TatlipinarS,ShahSMetal:Vascularendothelialgrowthfactorisacriticalstimulusfordiabeticmacularedema.AmJOphthalmol142:961-969,200621)KvantaA,AlrevePV,BerglinLetal:Subfovealbrovas-cularmembraneinage-relatedmaculardegenerationexpressvascularendothelialgrowthfactor.InvestOphthal-molVisSci37:1929-1934,199622)LeungDW,CachianesG,KuangW-Jetal:Vascularendothelialgrowthfactorisasecretedangiogenicmito-gen.Science246:1306-1309,198923)MacugenAMDStudyGroup,ApteRS,ModiMetal:Pegaptanib1-yearsystemicsafetyresultsfromasafety-pharmacokinetictrialinpatientswithneovascularage-relatedmaculardegeneration.Ophthalmology114:1702-1712,200724)GragoudasES,AdamisAP,CunninghamJrETetal:andVEGFInhibitionStudyinOcularNeovascularizationClini-calTrialGroup:Pegaptanibforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed351:2805-2816,200425)VEGFInhibitionStudyinOcularNeovascularization(V.I.S.I.O.N.)ClinicalTrialGroup,ChakravarthyU,AdamisAP,CunninghamETJretal:Year2ecacyresultsof2randomizedcontrolledclinicaltrialsofpegap-tanibforneovascularage-relatedmaculardegeneration.Ophthalmology113:1508.e1-1525,200626)SteinbrookR:Thepriceofsight─ranibizumab,bevaci-zumab,andthetreatmentofmaculardegeneration.NEnglJMed355:1409-1412,2006文献1)ArevaloJF,Fromow-GuerraJ,Quiroz-MercadoHetal;Pan-AmericanCollaborativeRetinaStudyGroup:Prima-ryintravitrealbevacizumab(Avastin)fordiabeticmacularedema:resultsfromthePan-AmericanCollaborativeRet-inaStudyGroupat6-monthfollow-up.Ophthalmology114:743-750,20072)DiabeticRetinopathyClinicalResearchNetwork,ScottIU,EdwardsARetal:AphaseIIrandomizedclinicaltrialofintravitrealbevacizumabfordiabeticmacularedema.Oph-thalmology114:1860-1867,20073)PaccolaL,CostaRA,FolgosaMSetal:Intravitrealtriam-cinoloneversusbevacizumabfortreatmentofrefractorydiabeticmacularoedema(IBEMEstudy).BrJOphthal-mol92:76-80,20084)BashshurZF,HaddadZA,SchakalAetal:IntravitrealBevacizumabforTreatmentofNeovascularAge-relatedMacularDegeneration:AOne-yearProspectiveStudy.AmJOphthalmol145:249-256,20085)BashshurZF,SchakalA,HamamRNetal:Intravitrealbevacizumabvsvertepornphotodynamictherapyforneovascularage-relatedmaculardegeneration.ArchOph-thalmol125:1357-1361,20076)MeyerleCB,FreundKB,IturraldeDetal:Intravitrealbevacizumab(Avastin)forretinalangiomatousprolifera-tion.Retina27:451-457,20077)GomiF,SawaM,SakaguchiHetal:Ecacyofintravit-realbevacizumabforpolypoidalchoroidalvasculopathy.BrJOphthalmol92:70-73,20088)RonanSM,YoganathanP,ChienFYetal:Retinalpig-mentepitheliumtearsafterintravitrealinjectionofbeva-cizumab(avastin)forneovascularage-relatedmaculardegeneration.Retina27:535-540,20079)ChanWM,LaiTY,LiuDTetal:Intravitrealbevacizum-ab(Avastin)formyopicchoroidalneovascularization:six-monthresultsofaprospectivepilotstudy.Ophthal-mology114:2190-2196,200710)RinaldiM,Dell’OmoR,RomanoMRetal:Intravitrealbevacizumabforchoroidalneovascularizationsecondarytoangioidstreaks.ArchOphthalmol125:1422-1423,200711)CorderoComaM,SobrinL,OnalSetal:Intravitrealbev-acizumabfortreatmentofuveiticmacularedema.Oph-thalmology114:1574-1579,200712)MordentiJ,CuthbertsonR,FerraraNetal:Comparisonsoftheintraoculartissuedistribution,pharmacokinetics,andsafetyof124I-labeledfull-lengthandFabantibodiesinrhesusmonkeysfollowingintravitrealadministration.Tox-icolPathol27:536-544,199913)KaiserPK,BlodiBA,ShapiroHetal:MARINAStudyGroup:AngiographicandopticalcoherencetomographicresultsoftheMARINAstudyofranibizumabinneovascu-larage-relatedmaculardegeneration.Ophthalmology114:1868-1875,2007(41)