———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.5,20086750910-1810/08/\100/頁/JCLS努め,ときには手術をやらせてもらえることもあります.それ以外にも搬入・搬出,全身麻酔の導入,覚醒待ちなどの手術以外の時間もあり,担当が重なると時間に追われる日となります.増殖硝子体網膜症手術などの重症例では,毎回術中にさまざまな局面があり勉強になりますが,部屋が暗いときなどはつい日頃の疲れが出てしまって顕微鏡を揺らしてしまうこともあります.最近電子カルテの導入に伴い,術中の画像をそのまま電子カルテ上に残すことができるようになりました.これらが将来学会などに使用されるときのことを考えるとちょっとワクワクします.症例は重症例に偏ったものでなく,全身麻酔が必要な軽症例など1年間を通していろいろな経験をすることができました.(鍋島崇寛)当直編日中の業務が終わっても仕事は終わりではありません.当直があります.現在は月に3日程度(1日の日当直含む)自分の担当の日があります.4月は眼科医になりたてということで上級医が一緒に当直をしてくださいましたが,5月からは自分たち1人でやることになりました.日頃診る病棟の患者さんとはまた種類が異なり,(99)九州大学医学部眼科学教室では,昨年4月から後期研修医5名が眼科医としての新しいスタートを切りました.大学病院特有の忙しさに時折音をあげそうになることもありましたが,同期みんなでお互い助け合い励まし合いながら,1日1日が新鮮でとても有意義で充実した日々を送ることができました.今回はそんな九大眼科の現状を一部紹介したいと思います.病棟および外来業務編私たちの主な仕事場は九大病院最上階の南11階病棟です.窓の外に広がる博多の街の美しさに癒されながら日々仕事に勉強に励んでいます.眼科医1年目の4月から主治医として働かせていただいていますが,まだまだわからないことだらけです.しかしどんなことでも上級医・主任・病棟医長の各先生方が相談にのってくださり,素晴らしい指導体制のなかで安心して働くことができます.眼科は入退院が目まぐるしく手術日も症例数が多いため,日々こなさなければならない雑用も多いのですが,スタッフ一同励まし合いながら乗り越えていくことができます.また毎週金曜日は糖尿病で外来経過観察中の患者さんを診察する機会が与えられています.そのときには外来の先生方が,1日200人に達することもある外来診療をこなしながら,慣れない外来に戸惑う私たちを優しく指導してくださいます.忙しければ忙しいほど助け合いの精神が生まれ,時折開かれる飲み会では更なる結束を強めることのできる,そんな1年間を送ることができたように思います.(園田倫子)手術編火曜,木曜は手術日で3つの部屋で並列して手術をしております.1日平均12~13例で,多いときは18例という日もありました.実際に私たちは顕微鏡を見ながらの硝子体手術の助手,白内障手術・外眼部手術の助手を後期臨床研修医日記●シリーズ⑤九州大学医学部眼科学教室安里良金海美和園田倫子高木健一鍋島崇寛▲仲良し同期の5人(左から鍋島,金海,園田,高木,安里)———————————————————————-Page2676あたらしい眼科Vol.25,No.5,2008(100)できるとても有用な会です.自分で英語の論文をしっかりと読む,とてもいい機会にもなります.さらに冬頃には,学内外の経験を積んだ先生方による勉強会があり,ここでは各先生方が勤務されている病院の特徴や,今行っている研究の成果,手術の実際などについて,わかりやすく発表してくださいます.臨床から基礎まで範囲は幅広く,普段私たちが触れることの少ない,研究や一般病院の臨床などを垣間見ることができます.さらに病棟では週に1回ほど,上級の先生方とのディスカッションの場を設け,普段の診療や各症例における疑問点を解決したり,手術ビデオを見てその術中操作の意味についてさまざまな方がいらっしゃいます.鉄片や角膜びらんなど軽症例から,ときには角膜潰瘍や眼内炎,眼球熱傷,網膜中心動脈閉塞症など重症例までバリエーションに富んだ疾患の方が来られます.あるとき,救急部から呼ばれて行ってみたら日本語がほとんどしゃべれない外国の方が来られていたこともありました.その時は心の中で途方に暮れながら,顔では慌てず騒がず英語で症状や必要な検査などの説明をしました.患者さんに安心していただくには技術はもちろん,演技力も必要だな,と痛感しながら毎晩当直をやっていました.(高木健一)症例カンファ・勉強会編学内の勉強会として,夏に抄読会を行っています.学内にいる全員が週に1回のペースで順に発表していきます.テーマは問わず,各人が興味のある題材を選び,その内容を皆に発表することで,知識の共有を図ることが?プロフィール?安里良(あさとりょう)昭和55年11月30日生まれ.B型.埼玉医科大学卒業後,大分県立病院・九州大学病院での初期研修を終え平成19年度九州大学眼科へ入局.趣味は体を動かすこと全般.沖縄で鍛えた無尽蔵なスタミナを誇り,冬でも半袖のまま多忙な大学病棟の仕事を効率よくフル回転させるが,早すぎて周りがついてこれていないという噂も….金海美和(かなうみみわ)昭和56年1月30日生まれ.O型.鹿児島大学医学部卒業後,九州大学病院・福岡赤十字病院での初期研修を経て平成19年度九州大学眼科へ入局.快活な性格で一見すると運動が得意そうだが実は趣味は読書全般というインドア派.その強気な発言から同期に恐れられることもあるが,意外に気を遣う女性の一面も….園田倫子(そのだのりこ)昭和56年2月24日生まれ.B型.長崎大学医学部卒業後,九州労災病院・九州大学病院での初期研修を経て平成19年度九州大学眼科へ入局.常に冷静沈着.動揺してもそれを表に出さない.福岡市内でよく似た顔のアルコールの入った某君の目撃情報があるが真相は闇の中である.食いしん坊万歳!!!高木健一(たかきけんいち)昭和55年12月24日生まれ.AB型.九州大学医学部卒業後,九州大学病院・国立病院機構小倉医療センターでの初期研修を終え平成19年度九州大学眼科へ入局.趣味は作詞・卓球.人見知りするため人の目を見て話せと指導を受けることもしばしば.最近細隙灯で人の目を「診」ながらだったら話せるようになった.Nのつく某街での目撃談も多数あるが真相は定かではない.鍋島崇寛(なべしまたかひろ)昭和54年8月9日生まれ.AB型.福岡大学医学部卒業後,北九州市立医療センター・九州大学病院での初期研修を経て平成19年度九州大学眼科へ入局.趣味は音楽鑑賞.病棟のムードメーカーで担当の患者さんに笑顔が絶えることはない.同期のなかで最も福岡での生活が長く毎回同期にさまざまな店を紹介している.彼に紹介されたお店をデートで使用する同期もいるとかいないとか?▲週1回ある勉強会の1コマ自分の受け持ちで興味ある症例をみんなの前で発表します.▲月1回あるウェットラボの1コマ指導医の先生が熱心に教えてくださいます.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.5,2008677医局対抗野球を数試合,フットサルを月2~3回練習(部活並み?)しており,また毎月研修医の先生の歓送迎会などの飲み会があります.昨年の医局旅行は1泊2日で温泉で有名な大分県湯布院に行きました.毎年お決まりの新入局員による芸をしなくてはならず,診察や電子カルテ入力,退院サマリーの記載を終えた夜11時頃からポツポツ集まりだし,深夜4時近くまで練習したのを覚えています.おかげで連日睡眠不足で通常業務をこなすこととなり,芸の道の厳しさを知りました.こうした仕事以外でのいろいろな思い出もまた今の私たちの宝物となっております.九大眼科は仕事以外でもこうして医局員同士の交流を深めることのできる恵まれた環境にあると思います.(安良良)(101)皆で考えて理解を深めたりしていました.また,今期は大学全体で電子カルテが導入されました.眼科でも,特別な画像システムを用いるようになり,初めは戸惑うこともありましたが,使い慣れると大変便利で,今では毎日の診療に欠かすことはできません.(金海美和)レクリエーション編九大眼科では年間の恒例行事がいろいろあります.春はお花見から始まり,6月に医局旅行,夏はビアガーデンに秋は同門会,冬は忘年会など定期的に行っております.そういう場で,上の先生方に普段なかなか聞けないことや,診療のノウハウなど公私ともどもいろいろなアドバイスをいただいています.また,夏から秋にかけて教授からひとことあっという間の1年だったと思いますが,みんなよく頑張りました.今でも自分が新人のときのことはよく覚えています.すべてのことが目新しく戸惑うことばかりでしたが,体力に任せて乗り切った気がします.みんなそんなものです.そして一緒に過ごした同級生とは,これからも助け合って切磋琢磨して頑張ってください.大学病院は珍しい病気や難症例が集まるところです.大学で学んだことはきっとこれからの眼科医人生の大きな糧となるでしょう.また,今のフレッシュな気持ちとともに,病気を診たときに感じた素直な感想を大事にしてください.将来,既成概念を打ち破る新しい治療につながるかも知れません.九州大学大学院医学研究院眼科学分野・教授石橋達朗☆☆☆