———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.12,200716370910-1810/07/\100/頁/JCLS加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)は先進国,特に西欧諸国の失明の主要な原因で,全世界に約2,500~3,000万人の患者が存在し,アメリカ合衆国だけでも約1,700万人の患者が存在し,毎年約15.5万人が新たに罹患しています.特にアメリカ合衆国では約116,000人がすでに法律的に失明し,毎年約1,600人が新規に失明しています.欧米人(白色人種)はAMDに罹患した患者のほとんどが,地図状萎縮といわれるdrytypeのAMDに罹患し,10%が,より視力予後の悪い,脈絡膜新生血管(choroidalneovasculari-zation:CNV)を伴うwettypeのAMDに罹患します1).それに対して,日本人は多くがCNVを伴うwettypeのAMDに罹患します.日本人のAMDの疫学調査(久山町スタディ)では,wettypeの罹患率は0.67%,drytypeの罹患率は0.2%と全人口のうち約1%弱にAMDの患者を認めました.AMDの眼底所見における危険因子に関しても欧米人ではドルーゼン(特に軟性)の集積が重要な危険因子であるのに対し,日本人ではドルーゼンの集積(18%)よりも漿液性網膜色素上皮離(58%)のほうがより主要な危険因子となっています2).このように,欧米人と日本人においては一口にAMDといってもその表現型に大きな違いをみるわけです.世界の加齢黄斑変性の遺伝的特家族や双児を対象とした研究などにより,以前からAMDは網膜視細胞,網膜色素上皮,Bruch膜が環境因子に加えて遺伝的異常にも影響を受けて発症する疾患と考えられてきました1).近年の統計的な解析手法の進歩により,染色体上の1番長腕31(1q31),3番短碗13(3p13),4番長腕32(4q32),9番長腕33(9q33),10番長腕26(10q26)が遺伝的危険因子の候補部位とされ3),その後の研究で,そのなかでも特に,1q31と10q26にAMDとの強い相関がみられることがわかり,ついに2005年,1q31に位置し,補体経路に関与するcomplementfactorH(CFH)のY402H遺伝子多型が白色人種のAMDの危険因子として報告されました4).この事実は,現在までdrytypeとwettype双方のAMDにおいて12以上の異なった白色人種で確認されています.続いて2006年DeWanらが香港人において10q26に位置し,humanhigh-temperaturerequirementfactorA1(HTRA1)のプロモーター部位に存在するHTRA1-512(HTRA1の512b上流)とその近傍のLOC387715の一塩基多型をwettypeのAMDの危険因子として報告し5),ほぼ同時期にYangらは,白色人種でも同様の事実を確認し6),加えて,同遺伝子多型が地図状萎縮の危険因子でもあることを報告しました.日本人における加齢黄斑変性の遺伝的特一方,日本人においてCFHY402H遺伝子多型は,リスクアレル(C)をもつホモ個体(2%),ヘテロ個体(9%)はわずかにしか存在せず,AMDとの関連性は証明されませんでしたが,2007年,筆者らは,日本人においてもHTRA1-512とLOC387715の遺伝子多型をwettypeのAMDの危険因子として報告し7),それ以降,多施設で同様の報告が続いています.Humanhigh-temperaturerequirementfactorA1(HTRA1)HTRA1は10q26に存在するheatshockserinepro-teasesの一つで,1~4まで確認されているHTRAfamilyの一員です.細胞ストレスで惹起され,発生段階でtransforminggrowthfactor(TGF)bのシグナルを阻害し,妊娠および卵巣や子宮の腫瘍にも関与が示唆されており,その蛋白は比較的ユビキタスに,全身に発現しています5,7).ヒトとマウスの網膜への発現も確認されていますが,眼の発生や機能との関係はほとんど知られていません.DeWanらはHTRA1-512の遺伝子変異がHTRA1の転写活性を増強するとも報告しています5)が,それが,網膜および脈絡膜でどのような生理活性をもつかは不明です.(87)シリー第84回◆眼科医のための先端医療監修=坂本泰二山下英俊(東京医療センター感覚器センター)日本人における加齢黄斑変性の遺伝的特徴———————————————————————-Page21638あたらしい眼科Vol.24,No.12,2007まとめと今後も,たとえば,さまざまな施設で行われているDNAチップを用いた新しい原因遺伝子の探索法の導入などにより,CFHY402H,HTRA1-512遺伝子多型に続き,新たな遺伝的危険因子が報告される可能性は高いと思われます.それは,たとえば,早期の遺伝子診断により疾患の発生を予測し,経過観察を行うことにより,適切な時期での治療が可能になるなどのメリットをわれわれに供与することになるかも知れません.同様にまた,それはAMDという難治性の疾患に対して,疾患原因遺伝子に対する遺伝子治療など,新たな治療法の可能性も切り開くことになるかも知れません.余談になりますが,CFHに続いて,factorB(BF)やcomplementcomponent2および3(C2,C3)などの補体経路の諸因子がAMDに関与しているという報告を受けて,筆者らの研究施設では,遺伝的に黄斑部にドルーゼンが集積し,drytypeのAMDに類似した病態を起こすカニクイザルに対し,霊長類において補体経路(C3)を,特異的に抑制する薬剤を硝子体に投与し,その病態に対する影響を評価中です.文献1)SchollHP,FleckensteinM,CharbelIssaPetal:Anupdateonthegeneticsofage-relatedmaculardegenera-tion.MolVis13:196-205,20072)UyamaM,TakahashiK,IdaNetal:ThesecondeyeofJapanesepatientswithunilateralexudativeagerelatedmaculardegeneration.BrJOphthalmol84:1018-1023,20003)MajewskiJ,SchultzDW,WeleberRGetal:Age-relatedmaculardegeneration─agenomescaninextendedfami-lies.AmJHumGenet73:540-550,20034)KleinRJ,ZeissC,ChewEYetal:ComplementfactorHpolymorphisminage-relatedmaculardegeneration.Sci-ence308:385-389,20055)DewanA,LiuM,HartmanSetal:HTRA1promoterpolymorphisminwetage-relatedmaculardegeneration.Science314:989-992,20066)YangZ,CampNJ,SunHetal:AvariantoftheHTRA1geneincreasessusceptibilitytoage-relatedmaculardegeneration.Science314:992-993,20067)YoshidaT,DeWanA,ZhangHetal:HTRA1promoterpolymorphismpredisposesJapanesetoage-relatedmacu-lardegeneration.MolVis13:545-548,2007(88)白色人種Drytype>Wettype日本人Drytype<Wettype表現型ドルーゼンの形成を認めることが多く,地図状萎縮(geographicatrophy:GA)をきたすdrytypeのAMD患者が多い.ドルーゼンが少ないもしくはまったくない“wet”typeAMDに罹患する.ドルーゼンは脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)発生の中等度リスク(18%)でしかないが,漿液性網膜色素上皮離は高いリスクである(58%).民族によって,表現型に加え,遺伝的リスクも大きな違いがある.ComplementfactorH(CFH)Y402H遺伝子多型と加齢黄斑変性(AMD)CFHY402H遺伝子多型とAMD=地図状萎縮(GA)および脈絡膜新生血管(CNV)との関連が12以上の異なった白色人種で示されている.CFHY402H遺伝子多型とAMDの関連性は証明されず,リスクアレル(C)をもつホモ(2%),ヘテロ(9%)はわずかにしか存在しなかった.Humanhigh-temperaturerequire-mentfactorA1(HTRA1)近傍のHTRA1-512およびLOC387715遺伝子多型と加齢黄斑変性(AMD)HTRA1のプロモーター部位に存在するHTRA1-512とその近傍のLOC387715の一塩基多型がwettype(CNV),drytype(GA)のAMDの危険因子として報告された.HTRA1のプロモーター部位に存在するHTRA1-512とその近傍のLOC387715の一塩基多型がwettype(CNV)のAMDの危険因子として報告された.図1加齢黄斑変性(AMD)の表現型と遺伝的リスク<complementfactorH(CFH)1q32およびhumanhightemperaturerequirementfactorA1(HTRA1512)10q26>***———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.24,No.12,20071639(89)☆☆☆■「日本人における加齢黄斑変性の遺伝的特徴」を読んで加齢黄斑変性のに的に本文にるよに人と日本人で(表現)遺伝るとま特に人で遺伝型と加齢黄斑変性ののに日本人で遺伝と加齢黄斑変性とののよとま加齢黄斑変性とのる遺伝のとま現まで遺伝にのののまま遺伝ま遺伝と遺伝けでのにるのと人まの人に遺伝「遺伝にびとる世のにのでにおまでの性る性る」とま本でる()まに「遺伝によるの」のので現吉田統彦をにるによる加齢黄斑変性のにると遺伝の性のとに遺伝にとまののでのるののよで坂本泰二