———————————————————————-Page10910-1810/09/\100/頁/JCLSで修正32.5週,光凝固の時期は修正35.7週であった.一度の光凝固で活動性が低下しなければさらに追加を要するが,それでも未熟児網膜症を鎮静化することができない場合,自施設での対応が困難ならば以降の手術治療が可能な施設への速やかな転院計画を立てる必要がある.光凝固後の診察でまだ活動性が高く,増殖膜による牽引が生じてきた場合,網膜離の出現は1週間以内に生じてくる可能性が高い.当院にて2007年2月から2年間でバックリングまたはエンサークリングを行ったstage4(15眼)の手術時期を調べると,修正37~45週(39.4±2.6週)であった.特に最近は修正37~38週での手術が多い.しかし,この時点ではまだ週数が早く体重も小さいことが多いため,搬送,転院による体調変化を最小限にするよう態勢を整えなければならない.眼の状態だけでなく他の合併症などの情報も,術式選択や許される手術時間に影響を与えるため重要である.Stage5では,2004年8月から2006年10月までの期間で13例20眼に初回の硝子体手術(すべて水晶体-硝子体切除術)を行っているが,このときの児の修正在胎週数は修正38~67週(平均49.7±7.3週)であった.2007年以降は手術時期が早まる傾向にあり,2007年1月から2009年2月まで15眼で修正41~52週(平均45.3±3.6週)であった.このうち3眼(手術時期は41,41,43週)は抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)薬であるベバシズマブを術前4はじめに未熟児網膜症(retinopathyofprematurity:ROP)についての知識が新生児集中治療室(neonatalintensivecareunit:NICU)に携わる医師,看護師などに広がり,眼科診察開始時期や重症型の概念が随分普及してきた.しかし,より早期に生まれた超低出生体重児が救えるようになり,網膜血管の伸びが極端に短い例や定型的でない重症例にも遭遇する機会が増えた.このような未熟性の高い児ほど全身状態の悪さや合併症の処置のために眼科診察,治療が遅れがちになることもあり,このような場合,光凝固を行っても網膜離に進行してしまう症例がある.これまで日本で通常I型とよばれてきた,stage1からstage5へと順を追って進行する未熟児網膜症の網膜離に対しては,バックリング,エンサークリング,lens-sparingvitrectomy,水晶体-硝子体切除などがstageや活動性に応じて行われている.以前は白色瞳孔となってから行っていた硝子体手術も,最近はII型に対する早期硝子体手術1)の概念が普及したこともあって,I型であっても紹介時期が早まり非常に活動性の高い時期での治療方針の選択を迫られる例が増えている.そこで本稿では,I型に対する術式選択や治療時期などについて当院での方針を述べる.I手術時期平岡ら2)の東京都多施設研究によると,1,000g未満の超低出生体重児の場合,未熟児網膜症の発症時期は平均(35)467baa466806特集●未熟児網膜症診療―最近の考え方あたらしい眼科26(4):467~471,2009手術の適応時期と方法─I型に対してIndicationsandProceduresforSurgeryinClassicRetinopathyofPrematurity野々部典枝*寺崎浩子*———————————————————————-Page2468あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009(36)位が残ることもあるが,偏心固視で日常生活を送っている児の視機能がかなり高い場合もあり,バックリングは試みてよい方法と考えられる.また,活動期のstage5に対しても,網膜下出血がある例などで一刻も早く網膜下出血を除去したい場合などには一次手術としてエンサークリングと出血のドレナージを行うこともある.一方,stage4Bでも増殖がかなり後極から発生している場合や活動性の低下したstage5では水晶体-硝子体切除を行っている.Lens-sparingvitrectomyは特にstage4Aに対してよい結果が報告されている4,5)が,小児は水晶体の眼球に占める割合が大きく,水晶体を残して手術を行うには後極部の操作に限定されてしまい,周辺部の増殖膜処理はできないため適応は限定される.III手術の実際〔症例1〕在胎27週0日,988gにて出生.修正35週より網膜離が出現し,修正37週で当院NICUへ転院となった.初診時の眼底写真を示す(図1a).右眼はstage4A,左眼はstage4Bであり,修正37週で右眼にバックリング,左眼にエンサークリングを行い,両眼に光凝固の追加を行った(図1b).両眼とも瘢痕期3度となっている(図1c)が,1歳の時点でご飯粒が拾えるほどの視力が獲得できている.〔症例2〕在胎28週5日,1,130gにて緊急帝王切開にて出生.修正在胎週数34週より両眼に光凝固が行われるも増殖の進行がみられ,全網膜離となったため修正45週で当院紹介となった.前房はきわめて浅く,増殖膜で押し上げられている(図2).修正47週に右眼の水晶体-硝子体切除術,修正50週に左眼の水晶体-硝子体切除術を行った.手術は角膜輪部からのアプローチで,前房灌流針,25ゲージカッター,23ゲージ剪刀と鑷子を用いた(図3).術後6カ月が経過し,両眼とも一部増殖膜が残存しているものの後極の復位が得られているが,全離,網膜下出血が生じる前の手術が望ましいと考えられる.本症例ではすでに漏斗の後極部は閉じ,網膜下出血が生じていることが超音波B-modeでわかる(図4).現在屈折矯正,視能訓練を行っている.~7日前に投与して血管の活動性を低下させてから手術を行っているが,その他の例も紹介時期が早まっているため,血管の活動性が低下するタイミングを見計らって手術の予定を立てておき,増殖膜が軟らかい比較的早い段階で手術を行っている.II術式選択当院では,I型で徐々に進行してきた離の場合,活動性が高い時期,瘢痕期に向かっていく時期やzoneIIで増殖膜が周辺部にみられるような症例では増殖膜の広がりに応じてバックリングまたはエンサークリング,そのタイミングを逸し,すでに全離となってしまってから紹介された例は活動性が低下し瘢痕期となるまで待ち,水晶体-硝子体切除術のように選択していることが多い.増殖膜は周辺にいくほど固く,zoneIIの例では眼球は比較的大きいがむしろ難易度が高い.周辺部の増殖膜切除の際に裂孔が形成されるリスクも高く,バックリングでの対処が必要となることもある.最近では活動性の高い例でもバックリングとベバシズマブ投与を併用したり,ベバシズマブを硝子体手術前投与し,全身状態と両親の承諾が得られればより早期の手術が行える3).この場合十分な光凝固が行われていることが術後の再増殖を防ぐため必須である.発見が遅く,前房が消失し,角膜が混濁しているようなstage5の例ではopenskyvitrectomyも考えられるが,この段階での手術で得られる視機能は長期間の網膜離による網膜色素上皮のダメージにより非常に限られており,手術適応自体が検討を要する.また,最近はより早い段階で紹介されることが多いため,ここまで進行してから手術となることは少ない.当院では眼底検査のほかに,手術前の超音波B-modeを参考にし,網膜離の範囲や漏斗の形状,網膜下出血の有無なども検討して術式を選択している.Stage4A,stage4Bに対しては,可能な限りバックリング,エンサークリングを第一選択としているが,それは小児の硝子体が手術で完全に取りきることができず術後合併症のリスクが高いこと,硝子体手術では網膜神経機能が障害されやすいことや視機能的には水晶体を温存するのが有利なことによる.バックリングでは術後に黄斑の外方偏———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009469(37)図1a術前の眼底写真右眼はstage4A,左眼はstage4Bで,血管の活動性が高い.図1b術式のシェーマ右眼に#506スポンジによるバックリング,左眼に#40によるエンサークリングを行った.図1c術後6カ月の眼底写真両眼とも瘢痕期3度となっているが,網膜の色調はよい.図2白色瞳孔となった眼の手術時水晶体が前方に押し出され,前房が非常に浅くなっている.水晶体と虹彩が癒着している.図3硝子体手術時の周辺部増殖膜切除の様子助手がコンタクトレンズの上からライトガイドで眼内を照らし,術者は双手法で左手に23ゲージの鑷子,右手に23ゲージの剪刀を持ち増殖膜を切除している.———————————————————————-Page4470あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009(38)あるが,離してから手術までの期間が短くなってきているので,視力予後の改善が期待される.おわりに適切な時期の十分な光凝固で網膜症が鎮静化するのが最も良いが,一旦離の兆候がみえ始めたら一刻も早くつぎの手段を検討し,児がより良い視力を獲得できるよう準備を進めるのが良い.I型の場合は特に増殖膜が周辺部に近く,硝子体手術を選択すると水晶体切除が必要になってしまう.現状のバックリングの成績や視機能発達の面からみても,バックリングのタイミングを見逃さないようにすることが重要である.術前の光凝固のみでなく,バックリング後も光凝固の追加を行うと活動性の低下に有効なことがある.全体的に手術を早期に行う傾向にあるが,全身麻酔のリスクや,術後合併症などの可能性も念頭に置き,児の全身状態,両眼のバランスを考慮して手術適応を検討することが重要である.文献1)AzumaN,IshikawaK,HamaYetal:Earlyvitreoussur-geryforaggressiveposteriorretinopathyofprematurity.IV治療成績当院において2007年2月から2年間にバックリングまたはエンサークリングを行ったstage4の復位率をみてみると,全体では15眼中12眼(80%),stage4Aでは9眼中8眼(89%),stage4Bでは6眼中4眼(67%)であった.このうち,stage4Aはバックリングのみが3眼,エンサークリングのみが6眼,バックリングとエンサークリングの併用が1眼であった.Stage4Bはすべてエンサークリングを選択していた.このうちベバシズマブ投与を併用したものが2眼あり,いずれも進行は停止し復位を得ている.視力については,精神発達遅滞などがあり測定できない児もあるが,短期間の結果としては0.1が最高視力であった.しかし,まだ視力の発達途上でもあり,適切な屈折矯正を行って訓練を行うことで,前述のようにご飯粒を拾ったり,風船のひもをつかむなど日常生活に役立つ視力が得られていることも多い.2007年1月から2009年2月までに初回硝子体手術を行ったstage5では,復位しているものが15眼中9眼(60%,このうちシリコーンオイル下での復位は2眼),離が残存しているものが15眼中6眼(40%)であった.復位率はこれまでの報告とほぼ同様6)の結果で図4網膜下出血を伴う全網膜離の例超音波B-modeで増殖膜(→)や出血(※)は高輝度に描出される.この例では網膜下出血(※)がニボーを形成している.ZoneIの例と比較して,trough(網膜が谷のようになっている部分)はなく,増殖膜と網膜は隙間なく癒着している(▼).———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.26,No.4,2009471(39)prematurity.Ophthalmology111:2274-2277,20045)HartnettME,MaguluriS,ThompsonHWetal:Compari-sonofretinaloutcomesafterscleralbuckleorlens-spar-ingvitrectomyforstage4retinopathyofprematurity.Retina24:753-757,20046)Mintz-HittnerHA,O’MalleyRE,KretzerFL:Long-termformidenticationvisionafterearly,closed,lensectomy-vitrectomyforstage5retinopathyofprematurity.Oph-thalmology104:454-459,1997AmJOphthalmol142:636-643,20062)平岡美依奈,渡辺とよ子,川上義ほか:超低出生体重児における未熟児網膜症:東京都多施設研究.日眼会誌108:600-605,20043)KusakaS,ShimaC,WadaKetal:Ecacyofintravitrealinjectionofbevacizumabforsevereretinopathyofprema-turity:apilotstudy.BrJOphthalmol92:1450-1455,20084)PrennerJL,CaponeAJr,TreseMT:Visualoutcomesafterlens-sparingvitrectomyforstage4Aretinopathyof