———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLS結果に影響する可能性がある.ステロイド内服治療が必要となる場合には,治療を始める前に全身的な問題がないかをチェックするための血液検査が必要となる.また,ステロイドやその他の免疫抑制薬などを内服治療中は,定期的に全身的な副作用がないかをチェックするための血液検査が必要である.II血液検体の取り扱い溶血しないように採血し,各検査にあった専用の容器に分注する.採取した血液中の細胞は生きて代謝をするため,室温に放置する時間によって検査結果に影響がでる場合がある.よって原則として検体はできるだけ早く提出することが望ましい.特殊な検査では,受付曜日や時間に制限があったり,予約が必要な場合がある(例:結核のクオンティフェロン検査)ので注意が必要である.ウイルス抗体価のペア血清での測定など,後の確認検査や追加検査のために血清を保存しておく場合は,採血して20分室温放置後3,000rpmで5分間遠心し,分離した血清を別の容器に移して凍結保存する.III検査項目の選択問診,視診と眼科学的検査からある程度診断を推測して,何を検査すべきかを決める.スクリーニング検査と称して,どんな症例にも画一的にたくさんの検査を行うことは勧められない.すべてのぶどう膜炎に行う基本検査に,推測される疾患に合わせて表1に示すような検査はじめに血液検査をする目的は,(1)診断のため,(2)病態把握のため,(3)重症度・活動性判定のため,(4)治療効果判定のため,(5)薬物副作用チェックのため,(6)経過観察のためなどである.これらの検査の目的を意識したうえで検査計画をたてて,医学的にも医療経済面にも効率の良い感度・特異度の高い検査,すなわち患者の病態にあった最小限でかつ最適な検査を施行することが望まれる.I検査する症例の選択と検査のタイミングすべてのぶどう膜炎患者で診断のための血液検査をする必要はない.軽い片眼性の非肉芽腫性前部ぶどう膜炎で,潜在的な疾患を疑わせる全身的症候や所見のない症例では,血液検査を行う必要はほとんどない.このようなぶどう膜炎では血液検査で異常がみられることはほとんどなく,点眼治療ですぐに治癒する.また,問診と眼所見から十分に診断を予測できる症例にも,診断のための血液検査をあえて行う必要はない.たとえば,術後や外傷後のぶどう膜炎,眼所見や眼外症状などから原田病と診断できる場合,またはサルコイドーシスやBehcet病などの全身性疾患がすでに判明している場合などでは,診断のための血液検査は不要である.診断のための血液検査は,基本的には治療をはじめる前に施行するほうがよい.ステロイド点眼治療ではほとんど問題ないが,ステロイド全身投与は種々の血液検査(3)1473Naa52351特集●ぶどう膜炎検査の正しい使い方あたらしい眼科25(11):14731478,2008血液検査BloodTests中尾久美子*———————————————————————-Page21474あたらしい眼科Vol.25,No.11,2008(4)ではHTLV-1(humanT-lymphotropicvirustype1)関連ぶどう膜炎やトキソプラズマ症が比較的多いという特徴があり,HTLV-1関連ぶどう膜炎は眼所見だけでは診断ができないので,HTLV-1抗体をすべてのぶどう膜炎で検査している.トキソプラズマ抗体は眼所見から疑われる症例で検査していたが,典型的な病像を呈しない場合もあると報告されてからは,念のためすべての症例で検査している.これらの疾患の少ない地域では,これらの検査を基本検査に入れる必要はないかもしれない.一つの検査項目に対して複数の検査方法がある場合,どの検査法を選ぶかが問題となる.まずスクリーニングとなる検査法で検査して,陽性になったら精密検査を行うのが基本である.確認検査や追加検査が必要になる場合,深追いはせずにあとは専門の内科に依頼するのもよい方法と思われる.また,保険診療のルールにのっとっ項目を加えて検査するとよい.基本検査をどこまでやるかは個人の考え方で変わるし,ぶどう膜炎には地域差があるので,それによっても基本検査は変わってくると思われる.表2に示したのは鹿児島大学病院眼科で行っているぶどう膜炎の診断のための基本検査である.鹿児島表1ぶどう膜炎の診断の参考になる血液検査所見ぶどう膜炎血液検査所見サルコイドーシスアンギオテンシン変換酵素↑原田病HLA-DRB1*0405,DRB1*0410Behcet病CRP↑,白血球↑,HLA-B51梅毒RPR陽性,TPHA陽性結核クオンティフェロン陽性サイトメガロウイルス網膜炎サイトメガロウイルス抗原陽性,CD4↓,CD4/CD8↓HTLV-1関連ぶどう膜炎HTLV-1抗体陽性Epstein-Barrウイルス関連ぶどう膜炎EA抗体,VCA抗体,EBNA抗体の異常高値トキソプラズマ症トキソプラズマ抗体陽性トキソカラ症トキソカラ幼虫に対する抗体陽性,好酸球増多ネコひっかき病Bartonellahenselae抗体陽性内因性真菌性眼内炎b-D-グルカン陽性若年性関節リウマチ抗核抗体陽性,RF陽性関節リウマチRF陽性強直性脊椎炎HLA-B27HLA-B27関連急性前部ぶどう膜炎HLA-B27全身性エリテマトーデスに伴う網膜血管炎抗核抗体陽性,抗DNA抗体陽性,CRP↑糖尿病性虹彩毛様体炎血糖↑,HbA1c↑CRP:C-反応性蛋白,RPR:急速血漿レアギン試験,TPHA:梅毒トレポネーマ赤血球凝集反応,HTLV-1:humanT-lymphotropicvirustype1,EA:earlyantigen,VCA:viruscapcidantigen,EBNA:Epstein-Barrnuclearantigen,RF:リウマトイド因子,HbA1c:ヘモグロビンA1c.表2鹿児島大学病院におけるぶどう膜炎の基本的血液検査・末梢血液一般検査赤血球数白血球数血色素測定ヘマトクリット値血小板数・末梢血液像・CRP定量・アンギオテンシン変換酵素・梅毒定性検査RPRTPHA・HTLV-1抗体(PA)・トキソプラズマ抗体(LA)CRP:C-反応性蛋白,HTLV-1:humanT-lymphotropicvirustype1,RPR:急速血漿レアギン試験,TPHA:梅毒トレポネーマ赤血球凝集反応,PA:粒子凝集試験,LA:ラテックス凝集試験.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.11,20081475(5)する.白血球の増加,減少がみられる場合には必ず分画を確認し,白血球数×分画(%)でどの白血球の絶対数に異常があるかをみる.好中球の絶対数が500/μl以下になると易感染性となる.好酸球が500600/μlを超えると好酸球増多症で,寄生虫感染やアレルギー疾患が疑われる.リンパ球が減少して免疫不全が疑われる場合にはT細胞,B細胞分画を調べる必要がある.c.赤血球沈降速度(赤沈)急性および慢性感染症,自己免疫性疾患,悪性腫瘍,心筋梗塞,熱傷,貧血,白血病,肝硬変などで促進する.2.生化学的検査a.アンギオテンシン変換酵素(ACE)ACEはサルコイドーシスの類上皮細胞肉芽腫に多量に存在していることから,サルコイドーシスの補助診断や病態把握,経過観察に用いられ,活動性サルコイドーシス患者の80%以上で高値を示すといわれる.ただし,サルコイドーシスでも病変が両側肺門リンパ節腫脹のみである場合には,ACEは軽度上昇ないし基準範囲内にとどまることがある.肝硬変,腎不全,Gaucher病,糖尿病,甲状腺機能亢進症などでも高値を示すが,サルコイドーシス以外の疾患でのACE値上昇は通常軽度である.ステロイド内服治療を開始すると速やかにACEが低下することがあるので,ステロイド治療開始前に測定する必要がある.b.免疫グロブリン免疫異常(自己免疫や慢性炎症疾患,免疫不全)が疑われる場合に検査する.通常は血中濃度が高く,さまざまな病態との関連が示されているIgG,IgA,IgMの3種を調べる.アレルギー疾患や寄生虫感染症を疑う場合はIgEを測定する.慢性感染症(結核,亜急性心内膜炎,慢性気管支炎など),膠原病,慢性肝炎,悪性腫瘍,IgA腎症で多クローン性に増加し,多発性骨髄腫,原発性マクログロブリン血症,本態性M蛋白血症で単クローン性に増加する.リンパ増殖性疾患,急性ウイルス感染症,後天性免疫不全症候群(AIDS),蛋白漏出性疾患,免疫抑制療法施行時,内分泌異常で減少する.c.C反応性蛋白(CRP)炎症マーカーの代表で,細菌感染症,膠原病などの炎た検査をすることも必要である.ぶどう膜炎の血液検査として保険適用となる検査は地域によって多少異なるので,確認したうえで検査する.IV検査結果の解釈各検査には基準値・基準範囲があり,それを参考に異常があるかを判定する.基準範囲とは,定量検査について基準個体が示す基準値のうち,95%を含む中央部分の上限値と下限値の間に含まれる測定値範囲をいう1).よって,基準範囲に入っていても病的でないとはいえないし,基準範囲から外れていても病的であるとはいえないことに留意する必要がある.感染症に関する検査では,血液検査は全身的な感染を証明しても,ぶどう膜炎の原因であることを証明することはできない.感染初期に上昇するIgM抗体が検出されるか,発症初期と23週間後の回復期のペア血清でIgG抗体が有意に上昇すれば,急性感染または感染の活動性が高いことが推測されるが,あくまでも全身的な状況を示しているのであり,必ずしも眼の状態を反映しているわけではない.感染によるぶどう膜炎の診断には,眼内液での抗体率や病原微生物のDNAの検索が必要となることが多い.以下に,ぶどう膜炎に関連する検査項目の臨床的意義や検査結果の解釈について概説する.また,表3におもな検査の基準値・基準範囲と臨床的意義をまとめ1),参考として各検査の保険点数を併記した2).検査を依頼する際にコストがいくらかかるかを意識することはほとんどないと思うが,意外に点数の高い検査もある.1.血液学的検査a.赤血球減少(貧血)と増多(多血症)とに分けられる.貧血はぶどう膜炎の原因となる感染,炎症,腫瘍などに伴って二次的にひき起こされることがある.b.白血球白血球減少(3,000/μl以下)がみられる場合は,易感染性がないかと,使用している薬剤をチェックする.増加(10,000/μl以上)がみられる場合は,喫煙歴,使用薬剤をチェックし,発熱の有無と体重減少の有無を確認———————————————————————-Page41476あたらしい眼科Vol.25,No.11,2008(6)表3ぶどう膜炎に関連するおもな検査項目検査項目基準値・基準範囲1)臨床的意義保険点数2)末梢血液一般検査白血球数4,00010,000/μl感染症,ステロイド薬で増加22赤血球数男性450610×104/μl女性380530×104/μl感染,炎症,腫瘍で貧血を伴うことがある血小板1335×104/μlウイルス感染で一過性に減少末梢血液像好中球桿状核球215%分葉核球4060%増加:感染症,炎症,ステロイド投与,急性出血,悪性腫瘍減少:血液疾患,ウイルス感染症,薬剤,放射線照射,膠原病18好酸球15%増加:寄生虫症,薬剤,アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患,血管炎,悪性腫瘍好塩基球02%単球210%リンパ球2050%増加:ウイルス感染症,リンパ系増殖疾患減少:SLE,リンパ腫,AIDS,薬剤赤沈男性210mm女性315mm急性および慢性感染症,自己免疫性疾患,悪性腫瘍,心筋梗塞,貧血,白血病,肝硬変などで促進9CRP0.3mg/dl以下細菌感染症,膠原病などの炎症性疾患,心筋梗塞,悪性腫瘍で増加.赤沈に先立って陽性化し,赤沈値改善の前に陰性化16アンギオテンシン変換酵素7.729.4IU/l活動性サルコイドーシスの80%で上昇160梅毒脂質抗原試験RPR,VDRL,陰性感染後46週間に陽性となる梅毒以外の疾患でも陽性に出ることがある(生物学的偽陽性)15梅毒トレポネーマ抗原試験TPHA陰性(60倍未満)梅毒第2期以降は陽性.治癒しても一生陽性が続く32トキソプラズマ抗体PHA<160倍LA<6不顕性感染が多い.急性感染かを調べるにはIFAでIgG抗体,IgM抗体を調べる27ネコひっかき病抗体IFAIgG<128倍,IgM<20倍IgM抗体の上昇は活動性感染を意味するb-D-グルカン比色法(ファンギテックGテスト)陽性:20pg/ml以上,要経過観察:1020pg/mlカンジダ症,アスペルギルス症,ニューモシスチス症などの深在性真菌感染症で陽性220ウイルス抗体価HI<8倍,NT<4倍EIAIgG<4.0IgM<2.0ペア血清でIgM抗体の出現やIgG抗体の4倍以上の上昇は,急性感染や感染の活動性が高いことを示唆する1項目80グロブリンクラス別ウイルス抗体価1項目230HTLV-1抗体PA陰性抗体陽性者の大部分はキャリアで,白血病や脊髄疾患を発症するリスクは低い85サイトメガロウイルス抗原アンチジェネミア法陽性細胞数0個陽性の場合は全身的にウイルス活性化がある410抗核抗体IFA40倍未満陽性になる疾患は膠原病であるが,健常者の1020%が陽性120抗DNA抗体10IU/ml未満SLEで陽性.薬剤により陽性になることがある180リウマトイド因子(RF)RAテスト陰性RAHA<40倍慢性関節リウマチで陽性になるが,その他の膠原病,慢性肝疾患,慢性感染症,サルコイドーシスでも陽性になることがある30免疫グロブリンIgG8701,700mg/dl増加:慢性感染症,慢性肝障害,自己免疫性疾患,悪性腫瘍低下:免疫不全症,免疫抑制薬の投与,リンパ増殖性疾患,急性ウイルス感染症38IgA110410mg/dl38IgM男性35190mg/dl女性45260mg/dl38IgD11.5mg/dl以下38血糖下限5070mg/dl上限空腹時110mg/dl高値:糖尿病,膵疾患,肝疾患,内分泌疾患,薬剤(ステロイド,経口避妊薬など)低値:薬剤,膵疾患,肝疾患,内分泌疾患,先天代謝異常11HbA1c4.35.8%過去1,2カ月の平均血糖値を反映50基準値・基準範囲は最新臨床検査のABC(日本医師会雑誌)から引用.基準範囲は検査施設により多少異なる.CRP:C-反応性蛋白,HTLV-1:humanT-lymphotropicvirustype1,HbA1c:ヘモグロビンA1c,RPR:急速血漿レアギン試験,VDRL:米国性病研究所試験,TPHA:梅毒トレポネーマ赤血球凝集反応,PHA:受身赤血球凝集試験,IFA:間接蛍光抗体法,HI:赤血球凝集抑制試験,NT:中和試験,EIA:酵素免疫測定法,PA:粒子凝集試験,RA:関節リウマチ,RAHA:関節リウマチ赤血球凝集反応,SLE:全身性エリテマトーデス,AIDS:後天性免疫不全症候群.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.11,20081477(7)で陽性になる場合がある.間接蛍光抗体法による抗核抗体(FANA)は核の不溶性・可溶性成分との反応をすべてカバーしうるので,一次スクリーニングとして適している.40倍をカットオフ値とすると健常者の1020%が陽性を示す.しかし健常者の抗体価は通常80倍以下であり,疾患標識自己抗体が検出されることはない.健常者のANA陽性率は性別と年齢層によっても異なり,10歳代の女性で最も高い.抗核抗体価が高い場合(160倍以上)は二次スクリーニングとして疾患特異的自己抗体の検査を行う.c.抗DNA抗体SLEにおいてDNAと反応する自己抗体が比較的特異的に産生されることから,SLEの診断に際して測定される.活動期SLEの70%程度で高値となる.薬剤により陽性となることがある(薬剤性ループス).4.感染症検査a.梅毒血清反応梅毒の血清学的診断法には脂質抗原による梅毒血清反応(STS)〔米国性病研究所試験(VDRL),急速血漿レアギン試験(RPR)など〕と梅毒トレポネーマ特異的血清反応〔蛍光トレポネーマ抗体吸収試験(FTA-ABS),梅毒トレポネーマ赤血球凝集反応(TPHA)など〕の2種類がある.梅毒感染後約4週以後に両者が陽性となる.感染初期でSTSのみが陽性になる場合もまれにあるが,STSのみが陽性の場合ほとんどは生物学的偽陽性であり,SLE,関節リウマチなどの膠原病,Epstein-Barrウイルス,マイコプラズマなどの感染,妊婦などでみられる.晩期の潜伏梅毒やIII期梅毒ではFTA-ABSやTPHAは陽性でもSTSが陰性となる場合が約25%ある.定性検査で陽性の場合はVDRLとTPHAの抗体価を測定する.STSで16倍以上,TPHAで1,280倍以上であれば梅毒の活動性が高く,ぶどう膜炎の原因として考慮する.VDRLが32倍以上の場合は中枢神経梅毒の有無をみるため髄液検査を行う.治療効果の判定は約3カ月ごとにVDRL抗体価,TPHA抗体価を測定して行う.VDRL抗体価が6カ月後にはじめの1/4以下にならない場合,4倍以上上昇する場合は治療無効または神経梅毒を考えて再評価と再治療を行う.TPHA症性疾患,心筋梗塞,悪性腫瘍で増加する.炎症性疾患のなかでウイルス感染症や膠原病での上昇は軽微で,明らかな上昇時には細菌感染などの合併を考える.赤沈上昇に先立ち陽性化し,赤沈値改善の前に陰性化する.d.グルコース(血糖)糖尿病の有無がはっきりしない場合は検査する必要がある.早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上,または随時血糖値が200mg/dl以上であれば糖尿病型と判定できる.明確な判定ができない場合,75g経口ブドウ糖負荷試験が診断の助けになる.血糖コントロール不良な例で急性の線維素性虹彩炎が発症することがある.e.ヘモグロビンA1c(HbA1c)過去1,2カ月の平均血糖値を反映するので,血糖コントロールの良否の判定に有用な臨床的指標となる.日本糖尿病学会ではHbA1c値により血糖コントロールを優(5.8未満)・良(5.86.5未満)・不十分(6.57.0未満)・不良(7.08.0未満)・不可(8.0以上)の5段階に区分している.偽高値を示す場合として,腎不全,アルコール多飲,アスピリンやビタミンCの大量服用などがある.3.免疫学的検査a.リウマトイド因子(RF)RFは関節リウマチの80%で陽性となるが,RFは関節リウマチ以外のさまざまな疾患でも陽性となるため,診断的特異度は低い.RFが陽性となる疾患として関節リウマチ,膠原病,慢性肝疾患,慢性感染症(結核,梅毒,Hansen病),サルコイドーシスがある.健常者にも数%の陽性者があり,高齢者ほど陽性率は上昇する.b.抗核抗体(ANA)ANAはさまざまな細胞核成分と反応する自己抗体の総称である.膠原病の免疫学的検査として行われるが,特定の疾患の診断やフォローアップのための検査ではない.ANA陽性を示す疾患は全身性エリテマトーデス(SLE)(95100%),混合性結合組織病(100%),全身性硬化症(強皮症)(8090%),多発性筋炎/皮膚筋炎(5070%),Sjogren症候群(6070%),関節リウマチ(4060%)である.若年性関節リウマチやchroniciridocyclitisinyounggirlsなど,若年性のぶどう膜炎———————————————————————-Page61478あたらしい眼科Vol.25,No.11,2008(8)のである.NTは感度・特異性ともに最も優れ,型特異抗体の検出に最も適している.EIAはIgG,IgM,IgA抗体の分別測定を高感度で行うことができる.ぶどう膜炎の原因としてウイルスの関与を想定した場合に,血清抗体価の測定を行うが,実際には血清抗体価の測定のみでは病因ウイルスを同定できない.抗体陰性の場合にはそのウイルスの関与を否定することができる.e.HTLV1抗体スクリーニング検査法としてPAやEIA,確認検査としてウエスタンブロット法がある.スクリーニング検査を行って陽性であった場合には確認検査を行う.感染率には地域差があり,九州・沖縄に感染者が多い.f.サイトメガロウイルス抗原サイトメガロウイルス(CMV)感染症の早期診断および治療の効果判定に用いる.ウイルス抗原陽性細胞が末梢血多形核白血球中に何個あるかの定量が可能なため,一定量以上で検出された場合には抗ウイルス薬の適応があるとされる.ただし,あくまで全身のCMVの活性化の指標と考えるべきで,CMV網膜炎があっても必ずしも陽性にはならない.g.トキソカラ抗体一部の施設でELISA(enzyme-linkedimmunosor-bentassay)によるイヌ回虫幼虫に対する抗体価の測定が行われている.また,イヌ回虫幼虫排泄物抗体を検出する迅速診断キット(ToxocaraCHEK)は検査時間が短く,スクリーニングに有用である.抗寄生虫抗体スクリーニングは12種類の寄生虫の抗体を検出するスクリーニング検査で,このなかにイヌ回虫も含まれるが,成虫に対する抗体を検査するので,幼虫移行症であるトキソカラ症の検査としては適切ではない.健常人でも犬の飼育歴の長い人には抗体価の上昇がみられることがある.文献1)橋本信也(編):最新臨床検査のABC.日医師会誌135〔特別号(2)〕57-354,20062)医科点数表の解釈平成20年4月版.p218-250,社会保険研究所,2008とFTA-ABSは治癒しても生涯陽性が続く.b.トキソプラズマ抗体スクリーニング検査として受身赤血球凝集試験(PHA)やラテックス凝集試験(LA)を用い,陽性の場合,初感染かどうかを判断するためにIgG,IgM別に測定できる間接蛍光抗体法(IFA)や酵素免疫測定法(EIA)を用いる.IgG抗体は感染後12週以内で出現し,12カ月以内にピークとなり,以後徐々に低下するが,一般的には生涯残存する.IgM抗体は感染後1週以内に出現し,23カ月以内に消失するのが一般的であるが,感染から数年間にわたって抗体陽性が持続することもあり,偽陽性もみられるので注意を要する.不顕性感染が多いため,血清抗体陽性が必ずしも治療の必要な感染症を意味しない.3週間以上間隔をあけたペア血清でIgG抗体,IgM抗体の新規の出現あるいは4倍以上の抗体価上昇,単回採取の血清IgG抗体(IFA)の1,024倍以上の血清抗体価は急性感染を示唆する所見とされる.典型的な浸出性網脈絡膜炎にIgM抗体の上昇がみられれば後天性眼トキソプラズマ症が示唆され,ペア血清で確認する.c.(1→3)bDグルカン細胞壁にb-D-グルカンを豊富に保有する真菌(カンジダ,アスペルギルス,ニューモシスチスなど)の深在性真菌感染症のスクリーニングに有用である.真菌性眼内炎を疑った場合に血清学的補助診断として検査する.カンジダ症で感度は約90%,特異度7080%,アスペルギルス症で感度6080%,特異度7080%,ニューモシスチス感染症での感度は約90%,特異度は約80%とされている.透析中の患者,一部の抗腫瘍薬を使用した癌患者,高gグロブリン血症の患者などに測定値に影響する因子がみられる.d.ウイルス抗体価・グロブリンクラス別ウイルス抗体価測定ウイルス抗体検査法には補体結合試験(CF),赤血球凝集抑制試験(HI),中和試験(NT),蛍光抗体法(FAT),EIA,粒子凝集試験(PA)と種々の検査法があり,その特性を理解して目的にあわせて測定する.CFはウイルス抗体の検出に用いられる最も基本的なも