‘記事’ カテゴリーのアーカイブ

光線力学的療法(PDT):治療の実際:ポリープ状脈絡膜血管症

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???0910-1810/07/\100/頁/JCLSポリープ状脈絡膜血管症(PCV)は日本人に多く,滲出型加齢黄斑変性(AMD)と診断されてきた症例にかなりの頻度で含まれていると考えられる.Chanら1)はPCVに対する光線力学的療法(PDT)に対する前向きな検討をしており,照射範囲をフルオレセンイ蛍光眼底造影(FA)を用いるのでなく,インドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)で決めるIA-guidedPDTを施行し,12カ月の観察で良好な成績を報告した.しかし,臨床の場では必ずしも経過が良好な症例だけではない.今回Chanら1)の方法に準じたIA-guidedPDTを施行して,異なる経過をたどった2症例を提示して,その臨床像を検討する.●PDTに奏効しなかった症例患者:68歳,男性.主訴:1カ月前からの左眼視力低下.既往歴:特記すべきことなし.右眼PCVで瘢痕化視力不良.PDT照射前矯正視力0.8.眼底所見:黄斑部に約3乳頭径大の網膜色素上皮?離(PED)内に出血によるニボーがあり,下方に鮮赤色のポリープ状病巣2)がある(図1左上).FA所見:下方出血にブロックされたPED内に色素貯留している(図1右上).IA所見:拡張した異常血管網(矢頭)の先端のブドウの房状のポリープ3)(矢印)から旺盛な蛍光漏出をしている.この病巣を含む範囲IA-guidedで病巣径3,484?mとした(図1右下).光干渉断層計(OCT)所見:背の高いPEDとその周囲に漿液性網膜?離が検出されている(図1左下).他眼が同様の経過で視力不良になったことより,病変50%以上の出血,大きなPEDがあったが他に有効な治療法がなく,照射径4,500?mでPDTを施行した.PDT照射後1週間矯正視力0.4.眼底所見:血管アーケイドを超える網膜出血が増加している.上方に網膜色素上皮裂孔が生じている(図2左上).OCT所見:PEDの背が低くなり,網膜色素上皮裂孔(矢頭)部は網膜色素上皮の高反射帯が欠損(矢印)している(図2左下).PDT照射後12カ月矯正視力0.1.眼底所見:上方の網膜色素上皮裂孔(矢頭)が明瞭になり,黄斑部は瘢痕化してきている(図2右上).(63)佐藤拓群馬大学医学部眼科光線力学的療法(PDT)セミナー監修/石橋達朗湯沢美都子10.治療の実際:ポリープ状脈絡膜血管症ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対する光線力学的療法(PDT)の治療効果は狭義の加齢黄斑変性症(AMD)に対するものより有効性が高いとの報告が多数ある.しかし,視力予後不良例も存在し,治療の適応には慎重を要する.今回経過の異なる2症例を提示し治療のポイントをまとめる.提供図1PDTに奏効しなかった症例(1)(図説明は本文参照)nim5nim51TCOAFAITCOTCO図2PDTに奏効しなかった症例(2)(図説明は本文参照)———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007OCT所見:扁平なPED上に?胞様黄斑浮腫(矢印)が生じている(図2右下).PDT照射直後に出血の増大,網膜色素上皮裂孔が生じ,1回の照射で病巣の沈静化が得られたが,視力予後不良となりPDTが奏効しなかった症例であった.<PDTが奏効しなった症例のポイント>?照射前視力0.8と良好.?大きなPEDや出血が主体であり,鮮赤色ポリープ2)がある.?IAで太い異常血管網と旺盛な漏出を示すブドウの房状ポリープ3)が存在する.●PDT奏効症例患者:64歳,男性.主訴:2カ月前から視力低下.既往歴:特記すべきことなし.PDT照射前矯正視力0.4.眼底所見:約2乳頭径大の漿液性網膜?離内に2個の橙赤色隆起病巣(矢印)網膜下出血がある(図3左上).FA所見:橙赤色病巣部が淡い顆粒状蛍光漏出している(図3右上).IA所見:2個のポリープ状病巣(矢印)が検出され,この病巣を含む範囲IA-guidedで病巣径3,470?mとした(図3右下).光干渉断層計(OCT)所見:ポリープ部が急峻な隆起性病変として検出されている(図3左下).以上より活動性のあるPCVとして照射径4,500?mでPDTを施行した.PDT照射後12カ月矯正視力1.2.眼底所見:橙赤色病巣や出血,網膜?離が消失してい(64)る(図4上).OCT所見:退縮したポリープが軽度の隆起病変として検出されている(図4下).PDT照射1回にて眼底病変の沈静化を得られ,12カ月間で再発なく経過良好のPDT奏効例であった.<奏効例のポイント>?照射前視力0.5近辺.?漿液性網膜?離主体であり,鮮赤色ポリープがなくPEDや出血が少ない.?IAでブドウの房状ポリープや太い異常血管網がない.PCVに対するPDTは,多くの報告で狭義のAMDより効果的であるとされ,臨床の現場でも実感されるところであるが,ときに今回の奏効しなかった症例のように術後大量網膜下出血などがあった場合は必ずしも良好な予後を得られないこともある.照射前の臨床所見でPDTの効果を予測することは現時点では困難であるが,照射前の眼底所見の広範な出血,大きなPED,鮮赤色ポリープ,IA所見でのブドウの房状のポリープや拡張した異常血管網がPCVに対するPDTの予後不良因子である可能性があると考えられ,これらの所見がみられた場合は注意が必要である.文献1)ChanWM,LamDS,LaiTYetal:Photodynamictherapywithvertepor?nforsymptomaticpolypoidalchoroidalvas-culopathy:one-yearresultofaprospectivecaseseries.?????????????111:1576-1584,20042)高橋牧,佐藤拓,萩村徳一ほか:ポリープ状脈絡膜血管症における巨大血腫の前兆としての鮮赤色ポリープ.臨眼58:741-746,20043)UyamaM,WadaM,NagaiYetal:Polypoidalchoroidalvasculopathy:NaturalHistory.???????????????133:639-648,2002図3PDT奏効症例(1)(図説明は本文参照)nim5nim7TCOAFAITCO図4PDT奏効症例(2)(図説明は本文参照)

緑内障:緑内障の動物モデル(1)-霊長類モデル,ラットモデル-

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???0910-1810/07/\100/頁/JCLSはじめに動物モデルの利点は,隅角や視神経・網膜における変化を発症過程に沿って詳細に解析できること,さらに新薬の評価を行えることである.これまでにも複数の哺乳類やその他の種で動物モデルの探索や開発が行われてきた1).利用目的に応じて1)ヒトとの視覚形態の類似性,2)発症までの時間,3)遺伝子操作の可能性,4)モデル動物作製に必要な技術,5)眼球の大きさ,6)解析に必要な技術,7)モデル動物の有効性,8)動物の維持費用などの検討が必要である.これまでにも異なる種で自然発症した緑内障モデル動物が紹介されているが,一般的には手術的あるいは遺伝子改変によって作製されたモデル動物が利用されている.●霊長類モデルすべての動物モデルのなかで隅角や視神経乳頭の構造がヒトと最も類似する霊長類モデルが研究に適していることはいうまでもないことである.特に房水流出機構に関する研究においては貴重な存在である.しかし,1頭当たりの維持費用がマウスの約100倍かかることや,飼育・管理に高度な知識・技術が必要であることから,多くの研究では利用されていない.房水流路の遮断にはおもに線維柱帯の光凝固が利用される2,3).この手法によって手術後数日間で25~60mmHgの眼圧上昇が期待できる.その他の手法としては前房内に赤血球4),ラテックス5),ポリアクリルアミドゲル6),ステロイド7)を注入することによって眼圧上昇を促す方法が報告されているが,光凝固によって最も安定した眼圧上昇が得られている8).霊長類における眼圧上昇は視神経乳頭,網膜神経線維,網膜神経節細胞層に障害9)をもたらし,ヒトと同様な病理学的所見が再現されることが確認されている.また,霊長類モデルを利用した,光凝固後30日における網膜内の遺伝子発現の研究も報告されており10),この情報は新しい治療薬の開発にも利用されている.●ラットモデル動物モデルを用いて薬効評価を行う場合,実験には多数の動物が必要になる.このような場合にラットは有効である.ラットは簡単に飼育でき,性質もおとなしく,眼球も手ごろな大きさであることから,市販の機器を使って麻酔なしで眼圧測定ができる11).ラットの眼球には緑内障に関係する部位がすべて存在する.ラットにおける眼圧上昇は強膜静脈への生理食塩水の注入12),インドインクを使った線維柱帯の光凝固13),線維柱帯の光凝(61)●連載?緑内障セミナー監修=東郁郎岩田和雄85.緑内障の動物モデル(1)─霊長類モデル,ラットモデル─岩田岳独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター(感覚器センター)分子細胞生物学研究部門緑内障研究において動物モデルの存在はきわめて重要である.現在はおもに霊長類に加えてラットやマウスなどの齧歯(げっし)類が利用されている.本セミナーでは緑内障で利用されている動物モデルについて,2回シリーズで紹介したい.AB図1カニクイザルとマウスの視神経乳頭の比較カニクイザル(A)の視神経乳頭の構造はヒトときわめて類似しており,マウス(B)のそれとは大きく異なる.———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007固14),強膜静脈の焼灼15)などの方法が用いられるが,研究者には高い技術が求められる.この方法によって最大約2倍眼圧上昇を急激に起こすことができる.眼圧上昇は通常数週間持続し,さらに2回目の光凝固が行われると,3週間以上の持続も可能である.眼圧上昇によってヒトに類似する網膜神経線維の萎縮や視神経乳頭の変化が観察できる16,17).ラットモデルの登場によって,眼圧上昇に伴う電気生理学的な研究や神経保護薬の開発,豊富な網膜の材料を使った遺伝子解析なども可能になった.眼圧が25~45mmHgに上昇するRCS(RoyalCol-legeofSurgeons)ラットも発見されており,網膜神経節細胞死や視神経乳頭陥凹などが観察されている.しかし残念ながらRCSラットにはチロシンキナーゼ遺伝子に変異があり,視細胞の変性が起こることから,緑内障モデルとしては敬遠されている.次回は,マウスモデルとその他の動物モデルについて述べる.文献1)RitchR,ShieldsMB,KrupinT:Animalmodelsofglauco-ma.TheGlaucomas(2nded),p55-69,Mosby-YearBook,StLouis,19962)GaasterlandD,KupferC:Experimentalglaucomaintherhesusmonkey.??????????????????????????13:455-457,19743)QuigleyHA,HohmanRM:Laserenergylevelsfortra-becularmeshworkdamageintheprimateeye.??????????????????????????24:1305-1307,19834)QuigleyHA,AddicksEM:Chronicexperimentalglauco-mainprimates.I.Productionofelevatedintraocularpres-surebyanteriorchamberinjectionofautologousghostredbloodcells.?????????????????????????19:126-136,19805)WeberAJ,ZelenakD:Experimentalglaucomainthepri-mateinducedbylatexmicrospheres.???????????????????111:39-48,20016)KaufmanPL,L?tjen-DrecollE,HubbardWCetal:Obstructionofaqueoushumorout?owbycross-linkedpolyacrylamidemicrogelsinbovine,monkey,andhumaneyes.?????????????101:1672-1679,19947)ArmalyMF:Aqueousout?owfacilityinmonkeysandthee?ectoftopicalcorticoids.?????????????????3:534-538,19648)RasmussenCA,KaufmanPL:Primateglaucomamodels.??????????14:311-314,20059)QuigleyHA,NickellsRW,KerriganLAetal:Retinalgan-glioncelldeathinexperimentalglaucomaandafteraxoto-myoccursbyapoptosis.?????????????????????????36:774-786,199510)MiyaharaT,KikuchiT,AkimotoMetal:Genemicroar-rayanalysisofexperimentalglaucomatousretinafromcynomologousmonkey.?????????????????????????44:4347-4356,200311)MooreCG,MilneST,MorrisonJC:Noninvasivemeasure-mentofratintraocularpressurewiththeTono-Pen.?????????????????????????34:363-369,199312)MorrisonJC,MooreCG,DeppmeierLMetal:Aratmodelofchronicpressure-inducedopticnervedamage.???????????64:85-96,199713)UedaJ,SawaguchiS,HanyuTetal:Experimentalglau-comamodelintheratinducedbylasertrabecularphoto-coagulationafteranintracameralinjectionofIndiaink.????????????????42:337-344,199814)Levkovitch-VerbinH,QuigleyHA,MartinKRetal:Translimballaserphotocoagulationtothetrabecularmeshworkasamodelofglaucomainrats.??????????????????????????43:402-410,200215)ShareefSR,Garcia-ValenzuelaE,SaliernoAetal:Chron-icocularhypertensionfollowingepiscleralvenousocclu-sioninrats[letter].???????????61:379-382,199516)Garcia-ValenzuelaE,ShareefS,WalshJetal:Pro-grammedcelldeathofretinalganglioncellsduringexperi-mentalglaucoma.???????????61:33-44,199517)JohnsonEC,MorrisonJC,FarrellSetal:Thee?ectofchronicallyelevatedintraocularpressureontheratopticnerveheadextracellularmatrix.???????????62:663-674,1996(62)☆☆☆

屈折矯正手術:夜間視機能とその評価-ナイトビジョンテスターを中心として-

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???0910-1810/07/\100/頁/JCLS●屈折矯正術後の夜間視機能とその評価検査法Laser???????keratomileusis(LASIK)などの角膜屈折矯正手術の術後は,日中は良好な視力にもかかわらず夜間の見えにくさを訴える症例にしばしば遭遇する.グレアやハローなどの光のにじみのほか,コントラストの低下など「何となく見えにくい」「人影がわかりにくい」といったものもある.その原因としては,矯正により非生理的な角膜形状になることによる高次収差の増大が指摘されている.夜間瞳孔が大きくなるとこの収差の影響をより受けやすい1).また,照射の中心がずれた場合,特に夜間の見えにくさを生じることが多い.この夜間の見えにくさを定量・評価する装置としては視機能検査であるコントラスト視感度やpointspreadfunction(PSF),メゾテストⅡなどがあり,特に夜間グレアを評価するものとしてはこれらに加えてBAT(BrightnessAcuityTest)はよく用いられる1~4).しかし,これらはあくまでも視標やシミュレーションであり,グレアを測定する際も光源を周辺に置き測定するものなので,実際の見え方,見えにくさにどの程度一致しているか疑問が残る.それに対し小島らが開発したナイトビジョンテスターは,中心の光源により夜間の光のにじみ具合や広がりを鋭敏に検出し,またビジュアル化し定量することができる検査法として,角膜屈折矯正手術の術後評価に有用であると思われる.●ナイトビジョンテスター(図1)中心に3段階に照度を変えられる白色LED(発光ダイオード)光源である固視灯を置き,そこから上下左右に均等に配された16個の赤色LED光源灯を視標として,白色光の広がり(ハロー,スターバースト)を自覚に基づきどの視標まで広がっているかを答えさせる.明所と暗所,薄暮の状況下でそれぞれ記録する.解析方法としては,8方向の広がりを面積の近似値として求めス(59)屈折矯正手術セミナー─スキルアップ講座─●連載?監修=木下茂大橋裕一坪田一男86.夜間視機能とその評価─ナイトビジョンテスターを中心として─中村友昭名古屋アイクリニック屈折矯正術後の問題として夜間視機能の低下があげられる.その評価法はいくつかあるが,標準化されたものやその基準値というものはない.ナイトビジョンテスターは自覚症状を定量化することができるものとして期待できる.また,夜間視機能を左右するものとして瞳孔の位置の影響は大きく,それを補正するプログラムが開発されている.図1ナイトビジョンテスター2ルクスの暗所下で2m先にある中心の白色固視灯(最高2,760cd)を見させ,その光の広がりを自覚に基づき,どの赤色の視標まで広がっているかを答えさせる.その広がりを面積としてスコア化する.A2+B2+C2+D2+E2+F2+G2+H2NightVisionTestScore=────────────────8———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007コア化している.●Irisregistration現在レーザー角膜屈折矯正手術の注目されている進歩のなかに,irisregistrationすなわち,瞳孔の位置補正や回旋補正の技術がある.瞳孔は明所と暗所では中心がずれることはよく知られている5,6).一般に縮瞳すると瞳孔中心は上鼻側へシフトすることが多い.そこで,あらかじめ瞳孔の紋理や明所・暗所での瞳孔中心の位置を認識し,そのデータをレーザー装置に入力しておき,レーザー照射中にこれらを照合することにより,回旋運動を補正し正確な乱視矯正とともに,暗所での瞳孔中心への照射が可能となった.これにより偏心照射が減少し,暗所の視機能が改善されるようになった.●Topography-guidedablation角膜形状解析のデータから目標とする照射パターンを構築し,屈折矯正とともに理想的な角膜形状へと補正するTopography-guidedablationが可能となり,追加矯正により偏心照射を改善させることが可能となった.追加矯正前後の角膜形状とコントラスト視感度,PSF,ナイトビジョンテスターの変化の一例を示す(図2,3).瞳孔を中心とした角膜形状の改善とともに高次収差は0.67?mから0.37?mへと減少し,コントラスト視感度,PSF,ナイトビジョンテストによる夜間視機能が改善しているのがわかる.●瞳孔位置の重要性このように,夜間の視機能は瞳孔の位置に密接に関連していることが示唆される.今後,夜間の視機能を考えた場合,ウェーブフロントを使用した収差を改善させる照射をしたり,照射径や瞳孔の大きさに着目することも重要ではある6)が,夜間の瞳孔の位置を認識し,これを中心とした照射を心がける必要があるのではないかと考える.文献1)HolladayJT,DudejaDR,ChangJ:Functionalvisionandcornealchangesafterlaserinsitukeratomileusisdeter-minedbycontrastsensitivity,glaretesting,andcornealtopography.???????????????????????25:663-669,19992)PopM,PayteeY:RiskfactorsfornightvisioncomplaintsafterLASIKformyopia.?????????????111:3-10,20043)安田佳守臣,稗田牧,寺井和都ほか:LASIK術後の夜間視機能.眼科手術16:231-234,20034)TuanKA,ChernyakD,FeldmanST:Pedictingpatients?nightcomplaintswithwavefronttechnology.????????????????141:1-6,20065)廣島康二,市川一夫,小島隆司ほか:瞳孔中心偏位のためLaserinsitukeratomileusisにおいて照射ずれが生じた1例.????????19:51-55,20056)CamellinM,GambinoF,CasaroS:Measurementofthespatialshiftofthepupilcenter.????????????????????????31:1719-1721,2005(60)☆☆☆図2偏心照射・低矯正へのTopography-guidedLASIKによる追加矯正前後のナイトビジョンテスターの変化瞳孔を中心として照射領域が広がり,視力とともに夜間視機能も改善したことがわかる.0.7(1.5×S-0.25DC-0.5DAx160°)Score:2.11.5(2.0×S+0.5DC-0.5DAx55°)Score:0追加前追加後StrehlRation:0.014追加前追加後(PSF)10¢StrehlRation:0.036(PSF)10¢図3Point-spreadfunction追加前後で明らかな改善を認める.

眼内レンズ:ベーラー瞳孔拡張器

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???0910-1810/07/\100/頁/JCLS(57)原岳原眼科病院眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎251.ベーラー瞳孔拡張器小瞳孔の白内障手術においてベーラー瞳孔拡張器は,手術時切開創より短時間に確実に瞳孔の拡大が得られる有用な方法である.術中,十分に前房の操作空間を保持することが重要である.図3瞳孔拡張前房は粘弾性物質で十分に空間確保,3本のフックで瞳孔を十分に拡張する.図4拡張後の瞳孔粘弾性物質を再度注入し,瞳孔を広げ,CCCを行う.図2上方の瞳孔拡張下鈎を使用して上方に瞳孔を引っ張る.図1水晶体と癒着した小瞳孔とベーラー拡張器拡張器には下鈎がついている.———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007(00)小瞳孔症例は,高齢者,偽落?(pseudoexfoliation:PEX),レーザー虹彩切開(laseriridotomy:LI)後,ぶどう膜炎などに多く,これらの対策として直接虹彩切開や,アイリスリトラクター,糸を用いた拡張方法などがある.ベーラー(B?hler)拡張器を用いた本方法は,手術切開創以外に切開や針,器具の刺入創の作製が不要な点がメリットである(図1~6).筆者はほとんどの症例を点眼麻酔で行っているが,虹彩の接触は手術時の頭痛を伴う場合があるので,Tenon?麻酔を用いたり,操作前に「触る感じがしますよ」と声かけすることも重要である.操作には前房の操作空間の確保が不可欠なので,空間保持性の高い粘弾性物質の併用が望ましい.Continuouscurvilinearcapsulorrhexis(CCC)は拡張した瞳孔とほぼ同様の大きさに作製するとよい.炎症既往のある小瞳孔例は,Zinn小帯の脆弱例が少なくないので,Zinn小帯にかかる手術操作時のストレスを最小にとどめるためにも,CCCを大きめに作製し,ハイドロダイセクションを確実に行うことが重要である.本方法で拡張した瞳孔は超音波操作時間の延長とともに徐々に縮小してくる傾向があるため,20分,30分と手術時間を要するようであれば,アイリスリトラクターや糸を用いた拡張法を用いたほうが安心である.虹彩切開を併用するときは,CCC後に瞳孔領切開を行うと,CCCを破損してしまうことがあるため,必ずCCCの前に行うことが重要である.炎症既往のある小瞳孔例は,術中の(あるいは術前からの)Zinn小帯断裂合併もしばしば経験するのでその可能性を念頭において,capsulartensionringや,cap-suleexpanderなども用意しておくと心強い.図5外来・術前瞳孔(前頁の図1~4症例と同じ)LI後で,ピロカルピン長期使用のため,瞳孔が水晶体と癒着しており,前房も浅い.図6外来・術後瞳孔(図5と同一症例の術後1週)術後,前房が深くなり,ピロカルピンも不要となった.瞳孔は円形を保ちつつ術前よりもやや拡大している.

コンタクトレンズ:ドライアイに対するコンタクトレンズ処方(1)-ハードコンタクトレンズのデザイン-

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???ンされたHCLは,ドライアイに関係する軽度の違和感,乾燥感を解消するのに有用であると考えている.●乾燥感の訴えに対して,レンズの縁を削り磨くデザイン調整の有用性普通のデザインのHCLを処方し最初は問題なく,ある程度期間が経過したあと乾燥感の訴えが出てくることがある.その場合,レンズの縁を削り磨いてドライアイ用デザインに近づけるデザイン調整(図3)で対応して0910-1810/07/\100/頁/JCLS昨年サンコンタクトレンズ社から機械的ストレス低障害性材料1)ハードコンタクトレンズ(HCL),サンコンマイルドEpiTMが発売された.発売と同時にこのHCLを試用し,ドライアイ患者を含むHCL装用者の軽度の自他覚症状改善に有効であることを確認し報告した2).この機会に,ハマダ眼科(当院)におけるドライアイに対するHCL処方の考え方を,デザイン,材質に関して述べたい.当院のコンタクトレンズ外来を,平成18年4月1日から19年3月31日の1年間に受診した患者は442名で,来院時の装用レンズはHCL85名(19%),ワンデー使い捨てコンタクトレンズ(DSCL)357名(81%)であった.また,SchirmerテストI法で5mm以下の患者がHCL装用者のなかで40名(47%),DSCL装用者のなかで92名(26%)であった.HCL装用者の50%近くがドライアイの患者であることからもわかるとおり,当院ではドライアイの患者にHCLを積極的に処方し,良好な結果を得ている.●ドライアイの患者にHCLを積極的に処方する理由1)HCL装用者はSCL装用者より乾燥感を訴える比率が小さいこと3).2)当院では約10年前からサンコンタクトレンズ社製のドライアイ用デザインのHCLを採用していることである.このデザインは,涙液量が少ない状態でエッジリフトが通常の高さであれば,ベベル部分の下に涙液を引き込んでしまい,ベベルから少し離れた部位の涙液層が破綻し乾燥感,充血,stainにつながるという吉川の理論(図1)に基づいている.通常よりエッジリフトを下げたドライアイ用デザインのHCL(サンコンタクトレンズ社製,ラブユーデザインタイプ:図2)への変更で,充血・乾燥感の改善率は72%(13名23眼/19名32眼)4)であった.涙液量を考慮に入れて個別の患者用にデザイ(55)濱田恒一ハマダ眼科コンタクトレンズセミナー監修/小玉裕司渡邉潔糸井素純TOPICS&FITTINGTECHNICS277.ドライアイに対するコンタクトレンズ処方(1)─ハードコンタクトレンズのデザイン─図2ドライアイ用デザイン通常よりエッジリフトを下げたドライアイ用デザイン.IC:中間カーブ,PC:周辺カーブ.エッジリフトPCコンタクトレンズ涙液角膜ICフロントベベル図1吉川の理論涙液量が少ない状態でエッジリフトが通常の高さであれば,ベベル部分の下に涙液を引き込んでしまい,ベベルから少し離れた部位の涙液層が破綻し乾燥感,充血,stainにつながる.———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007(00)いるが,ドライアイ用デザインと同じくドライアイに伴う軽度の違和感,乾燥感を軽減するのに有用である.サンコンタクトレンズ社製のドライアイ用デザインのHCLは,過去5年間,年間約1,000枚がコンスタントに製造され処方されている.また,HCLのデザイン調整も乾燥感対策に有用で,患者の状態に対応する選択肢の一つである.ドライアイ患者に対して,ドライアイ用にデザインされたHCLの処方や,HCLのデザイン調整による対応を,一度試されたらいかがだろうか.次回は,ドライアイの患者に処方するHCLのレンズ素材について述べてみたい.文献1)IguchiI,KamiyamaK,ImamichiMetal:In?uenceondynamiccontactofhardcontactlensmaterialsoncornealepithelialcellsexaminedbyrosebengalstaining.????????????15:647-652,19962)濱田恒一,喜多健一,有馬勇一ほか:軽い自・他覚所見のあった症例への機械的ストレス低障害性材料HCL(サンコンマイルドEpiTM)の試用.日コレ誌49:108-111,20073)濱野孝,光永サチ子,小谷摂子:コンタクトレンズ装用と乾燥感.臨眼53:1053-1056,19994)濱田恒一,神田真和,根釜佐代子ほか:ドイアイに対するハードコンタクトレンズ(カスタムCLDE)の試作.日コレ誌37:289-291,1995図3ドライアイ用デザインに近づけるデザイン調整HCLのフロントベベルを削り磨き薄くする,かつICブレンド(ベースカーブとICのつなぎ目)を研磨して,エッジリフトを小さくすることによりドライアイ用のデザインに近似したデザインに調整する.具体的には図の2カ所の黒い部分を研磨する.ICPCエッジリフトエッジフロントベベル内面非球面部(ベベル)

写真:Elshnig’s pearls

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???0910-1810/07/\100/頁/JCLS(53)黒坂大次郎岩手医科大学眼科写真セミナー監修/島﨑潤横井則彦278.Elshnig?spearlsElschnig’spearls図2図1のシェーマ図1Elshnig?spearlsこの症例では,スリット光でも眼内レンズ光学部下と後?との間に皮質が存在することがわかるが,平面状に展開したものはわかりにくいことも多い.図3Elshnig?spearls(徹照像)徹照させると眼内レンズ光学部下と後?との間にある皮質の再生がよくわかる.図4前?切開縁から眼内レンズ光学部前面に張り出したElshnig?spearls(矢印)多くの場合には自然に脱落してしまうが,前?切開窓の小さな症例では,ときに視力障害の原因となる.Elshnig?spearlsを吸引除去しただけでは,再発する場合が多く,予防には前?切開縁を広げる必要がある.———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007(00)Elshnig?spearlsは,後発白内障の1型である.後発白内障は,前?切開縁が白く濁る線維性混濁(水晶体上皮細胞が筋線維芽細胞に変化することによる),前後?が存在する水晶体周辺部(虹彩下でスリットではそのままでは見にくい)に生じるSommerring?sringと,本稿のElshnig?spearlsに分けられる.通常水晶体では,前?直下に存在する水晶体上皮細胞が毛様体近傍の赤道部で分裂分化し水晶体線維となる.この線維は,新しくできた線維に押されるように中央部に押しやられ,脱核し,最終的には核をつくり水晶体となる(タマネギのようなイメージを考えるとわかりやすい).白内障術後水晶体前?周辺部に残った水晶体上皮細胞が増殖遊走し水晶体?を覆う.その結果,水晶体前後?に囲まれる周辺部では,術前と同じように赤道部で分裂分化が起こり,水晶体線維がつくられつづける.この線維は術前と同様に新しくできた線維に押されて,中央へ移動する.ただ,前?切開縁や眼内レンズ光学部周囲にできた線維性混濁で前後?が癒着するため周辺部のドーナツ状の部分に線維は閉じ込められ,術直後は扁平だった水晶体周辺部は,徐々に厚みを増し膨れSommerring?sringとなる.Sommerring?sringの内圧が高まると,一部の前後?癒着部に破綻を生じ,そこから水晶体線維が押し出されてくる.これがElshnig?spearlsである.眼内レンズ後面と後?の間に押し出されれば,視力障害の原因となるし(図1,3),ときには,眼内レンズ前面と前?の間に押し出され,前?切開縁からはみ出してくることもある1)(図4).Nd:YAGレーザーにより,後?切開を行うと,前?切開縁にはみ出したときと同じように切開縁に沿って線維が膨隆することがある(図5).著しい場合には,再閉鎖となり視力が低下する.ただし,前?切開縁側も後?切開縁側も長期的には,時間をかけて脱落消退していく2).文献1)KatoK,KurosakaD,Bissen-MiyajimaHetal:Elschnigpearlformationalongtheposteriorcapsulotomymarginafterneodymium:YAGcapsulotomy.???????????????????????231556-1560,19972)KurosakaD,KatoK,KurosakaHetal:Elschnigpearlformationalongtheneodymium:YAGlaserposteriorcapsulotomymargin.Long-termfollow-up.???????????????????????28:1809-1813,2002図5Nd:YAGレーザー後の所見図4のような現象はNd:YAGレーザー後の後?切開縁にも生じやすい.切開線を光学部いっぱいにまで広げると視力障害を治療・予防できる.

レーザー虹彩切開術後に生じた水疱性角膜症に対する角膜移植

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page10910-1810/07/\100/頁/JCLS前房形成に問題を生じる可能性が高く危険であり,原則として白内障手術を併用することになる.また,術後裸眼視力の向上は必須であり,眼内レンズ挿入を前提としたtripleprocedureを施行することになる.眼軸長の短い,大きな核白内障をもった眼に対して,確実にtripleprocedureを施行することが要求されるのである.しかも,虹彩後癒着による縮瞳や緑内障発作後の虹彩萎縮や不正な散瞳などを生じていることが多く,ときにはZinn小帯の一部断裂もありうるわけである.さらには,虹彩血管から蛋白漏出が高頻度に認められるため,何も対処しなければ,術中および術後にフィブリンが前房内に析出してくる可能性が高い.この疾患の患者は,角膜移植を契機として,視力を大幅に改善して普通に社会復帰ができるか,あるいは浅前房から周辺部虹彩前癒着,続発緑内障,そしてトラベクレクトミーから再移植,と徐々に失明への道をたどるかの瀬戸際に立たされているのである.しかも高齢者で両眼性のことが多く,角膜移植医は,患者の人生の結びを幸せにできるかどうかをまかされているのである.II術前の病態把握まず,緑内障発作を生じた眼なのか予防的レーザー虹彩切開術を受けた眼なのかを問診し,角膜浮腫の範囲,レーザー虹彩切開術の部位,前房の深度,周辺部虹彩前癒着の有無,白内障の程度,phacodonesisの有無,眼はじめにレーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症が,日本では“流行”ともいうべき状態になっている.発生頻度は,日本が断然多く,アジア諸国ではわずか,英国では皆無である1).このため,レーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症の発生機序については,数多くの仮説あるいは推論がなされており,この特集でも取り上げられている.しかし,高齢者で眼痛を訴えるこの疾患の患者の治療に関しては,つまるところ角膜移植以外には方法はなく,この疾患の特徴を上手く捉えながら手術を遂行することが大切となる.手術という観点からすると,同じような水疱性角膜症にみえても,Fuchs角膜内皮ジストロフィなどの他の原因によるものとは大きく異なっているのである.本稿に記載している手術方法などは,筆者らがこの疾患に対する長年の臨床経験から生み出した安全で確実なものと考えているものであり,その原理原則に従えば,かなり普遍的に良い手術成績が得られることと思われる.術前の病態把握,術前の薬剤選択,手術手技の詳細,そして術後管理について要点を記載したので参考にしていただければ幸いである.I角膜移植における基本的な考え方レーザー虹彩切開術は,本来であれば,閉塞隅角緑内障あるいは閉塞隅角症に対して行われているはずである.したがって,角膜移植単独手術を行うことは,術後(49)???*ShigeruKinoshita:京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学〔別刷請求先〕木下茂:〒602-0841京都市上京区河原町広小路上ル梶井町465京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学特集●レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症を解剖する!あたらしい眼科24(7):897~900,2007レーザー虹彩切開術後に生じた水疱性角膜症に対する角膜移植??????????????????????????????????????????????????????????????-????????????????????????????木下茂*———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007圧などをチェックすることになる.視神経乳頭のチェックと動的量的視野検査も可能であれば行うことが望ましい.術前の散瞳検査はできない場合もある.術前に眼圧が高いことはまれであるが,高い場合には,薬剤投与で眼圧が安定してから角膜移植を行う.緑内障発作の重症例でない限りは,手術に関するインフォームド・コンセントが変わることはない.なお,眼内レンズの選択では,眼軸長を測定し,角膜屈折力は自分の経験値(筆者は42D)で置き換えてSRK-Tを用いて計算する.III角膜移植の基本手技(図1,2)以下に手術に関するいくつかのポイントを列記する.1.手術直前の注意点まず,術中フィブリンの析出防止のために,手術当日にコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(ソル・メドロール?)125mgの静脈注射を行う.つぎに,tripleprocedureを行うために,手術1時間前からトロピカミド・塩酸フェニレフリン(ミドリン?P)点眼を行うが,虹彩後癒着のために散瞳しないことが50%程度ある.この疾患の患者は,眼軸長が短く眼内圧が高いことが多く,手術中にオープンスカイになるために,眼内圧および眼窩圧をできる限り下げておくことが望ましい.このため,可能な限り全身麻酔を選択する.ただし,オープンスカイ時に深い麻酔状態を保つこと,バッキングを生じないことを麻酔医に説明しておく必要がある.局所麻酔であれば,十分な球後麻酔を行い,マーキュリーバッグで眼窩圧も下げることがポイントになる.眼瞼圧の影響の少ない開瞼器を選ぶ.マンニトール点滴や硝子体切除を行う術者もいるが,筆者は行わない.この疾患の患者は,高齢者であり,マイボーム腺機能不全や結膜?細菌叢が変化している可能性がある.したがって,術野が清潔に保たれるようにドレーピングを綺麗に行い,睫毛や眼瞼縁が完全に被覆されるようにする.さらに,手術直前に,眼表面を十分量の人工房水で洗浄する.2.ホスト角膜の切除白内障手術と同様に,前房操作がしやすくなるようにサイドポートを作製する.制御糸,リングの縫着,移植片コントロール糸を用いるかどうかは術者の好みによるが,筆者は原則として使用しない.ホスト角膜中心部,そして縫合部となる八方向をマーク,角膜の縦径・横径を測定し,ホスト角膜用のトレパンサイズを選択する.通常は7.5mm径を採用する.吸引式トレパンを用いてトレパネーションを行い前房水が漏れるところで止め,残りのホスト角膜の虹彩を傷つけないように切除する.3.前?切開と水晶体摘出前?切開では,spiralcurvilinearcapsulorhexisという方法でcontinuouscurvilinearcapsulorhexis(CCC)を行うように試みる2).これは蚊取り線香のように小さなCCCの始まりを少しずつ大きくしていく方法である.オープンスカイであっても切開線がコントロールしやすく,CCCを完結できる頻度がきわめて高くなる.もしも流れたときには,大きなcanopener法に変更する.CCCが完成されていれば,超音波を用いた通常の白内障手術と同様な手術,そして眼内レンズを?内固定することは容易である.Positivepressureの眼のオープン(50)図1手術前後の前眼部写真A:術前.角膜上皮浮腫と浅前房を認める.虹彩切開を上方に認める.B:術後3日.移植片は透明で.前房は深くなっている.フィブリンは認めない.AB———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???(51)図2レーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症に対するtripleprocedureA:術前.B:ホスト角膜の切開.C:オープンスカイにおけるCCC.虹彩切開が6時の位置にすでになされている.D:オープンスカイにおける超音波乳化吸引.E:眼内レンズの?内挿入.F:虹彩の縫合.G:ドナー角膜の連続縫合.H:手術終了時.AGFHEDCB———————————————————————-Page4???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007(52)スカイにおいて通常のCCCを行うことはきわめてむずかしい.眼内レンズは?内固定するが,一部Zinn小帯が断裂している場合には?外固定する.瞳孔が小さな場合は,虹彩を切開し,眼内レンズ挿入後に10-0プロリン糸で縫合することがある.結紮部はできれば虹彩裏面になるように配慮することが望ましい.4.ドナー角膜の移植ホスト角膜より0.25mm大きな径でドナー角膜を内皮側から打ち抜く.つぎに,ホスト角膜周囲と虹彩面上にヒアルロン酸を塗布し,その上にドナー移植片を静置し,端々縫合を行う.その後,4~8糸の端々縫合を置き,それから連続縫合を行う.連続縫合の始まりは角膜実質内とし,結紮部位が角膜実質内におさまるようにする.できるだけ二等辺三角形になるように斜めの通糸を心がける.縫合の強さは,締め付けすぎず,弱すぎず,ここが微妙なところである.5.最終チェック虹彩前癒着がないことを確認し,サイドポートから人工房水注入,ヒアルロン酸吸引をくり返し,前房内からヒアルロン酸の反射がなくなるまで行う.ホストはかつて前房内炎症を生じた可能性が高く,術後高眼圧になりやすいので,細心の注意をはらってこの作業を行う.最後に連続縫合を結紮して断端部を埋没,端々縫合の結紮部も埋没し,創部からの前房水の漏れがないことを確認して手術を終了する.IV術後管理この疾患では,術後のフィブリン析出と高眼圧への対応がポイントである.このため,術後は,ソル・メドロール?125mgを2日に1回,3回程度静脈注射し,抗菌薬と0.1%ベタメタゾン程度の強さのステロイド点眼を1日4回処方する.術後1週間以内に前房内にフィブリン析出がみられる場合には,ステロイド眼軟膏の追加とミドリン?P点眼で対応する.術後6カ月からは0.1%フルオロメトロン(フルメトロン?)点眼1日4回に変更する.高齢者でもあり,拒絶反応の発生頻度は少ない.眼圧管理では,塩酸カルテオロール(ミケラン?)点眼を第一選択とし,ときに,虹彩前癒着を抑えるために2%ピロカルピン点眼を併用する.第二選択をラタノプロスト(キサラタン?)点眼としている(キサラタン?は炎症との関連などで推奨されていないが,経験上,副作用を生じていないため使用している).これでもダメな場合には隅角癒着解離術あるいはトラベクロトミーとなる.トラベクレクトミーはできる限り行わない.なお,手術を行う場合には,シクロスポリン(ネオーラル?)100mg程度の内服を一定の期間追加する.角膜移植後の感染症としては,当初は細菌感染症,術後1年を過ぎれば真菌感染症に注意すること,というのが今までのデータが示していることである.この患者の多くは高齢者であり,細菌感染症はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌),真菌感染症は酵母型真菌を考慮してみていくことが大切である.この疾患に対する角膜移植眼では,抜糸は積極的には行わない.高齢者の水疱性角膜症であることが大きな理由である.むすびレーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症に対する角膜移植は,原理原則を守れば,良い術後成績が得られる.第一のポイントは白内障手術の併用が必須なこと,今一つはフィブリン析出のことである.今後,この疾患にDesce-met?sstrippingendothelialkeratoplasty(DSEK)で対応するのが適切なのか否かはいずれ議論となると感じているが,現状では,角膜移植前に行う白内障手術のむずかしさがバリアーになるものと思われる.文献1)AngLPK,HigashiharaH,SotozonoCetal:Argonlaseriridotomy-inducedbullouskeratopathy─Agrowingprob-leminJapan.???????????????(inpress)2)木下茂:角膜混濁眼の白内障手術.臨眼58(増刊号):187-190,2004

レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の発症機序 角膜内皮創傷治癒説

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page10910-1810/07/\100/頁/JCLSIIIレーザー虹彩切開術後の房水動態の変化LIに伴う最も顕著な変化は,後房水が前房に至る際に,瞳孔を経由せずにLIの穴を経由する成分が増えることである.この房水動態の変化は愛媛大学の山本・宇野らによって詳細に検討されている5).では,毎分1~2??程度で噴出される房水は,角膜内皮細胞を?離させるに十分な力をもつのだろうか?IV房水動態解析のむずかしさLIに伴う房水動態の変化を調べることには困難を伴う.山本・宇野らの方法のように,???????の系を用いて房水を可視化させることは房水動態の大局的変化をつかむことには有用である5)が,LIの穴を通して噴出された房水が角膜内皮面に衝突する際の急激な房水動態の変化や,角膜内皮細胞への影響を知るには十分とは言えない点がある.一方,????????モデルで房水の流体力学的解析を行うことは,隅角の広さ,房水産生量,LIの位置,周辺虹彩前癒着の有無など考慮すべきパラメータが多すぎて不可能である.そこで筆者らは最も単純な系を用いて房水動態の変化を流体力学的に解析し,角膜内皮細胞に対する影響を????????の系を用いて解析した6).I欧米では少ないレーザー虹彩切開術(LI)の水疱性角膜症LIを行い,数年以上経過した後に水疱性角膜症になる場合がありうることはよく知られている1~4).ところが欧米では「LIを行う際のレーザーのパワーが大きすぎるための例外的合併症」として症例報告されるにすぎない2~4).それに対して日本では,島?ら日本角膜学会水疱性角膜症スタディグループの調査によって,角膜移植の適応となる患者の23.1%がLI後であることが判明し,LIは水疱性角膜症の危険因子の一つであることが明らかになった1).IIレーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症の特徴LI後に生じる水疱性角膜症には不思議な点がいくつもある.一つはLIを行ってから数年を経過して発症することである.よってレーザーの直接作用で水疱性角膜症が生じるのではない.さらに,閉塞隅角緑内障発作に対する治療的LIだけではなく,予防的LI後にも生じることがある.加えて,水疱性角膜症はLI施行部位だけではなく,遠く離れた部位から発生することや,LIによって生じた虹彩の穴が大きくても(かえって大きいほど)水疱性角膜症が生じやすいような臨床的な印象がある.これらを説明するメカニズムは何だろうか.(43)???*1YuichiKaji&TetsuroOshika:筑波大学大学院人間総合科学研究科機能制御医学専攻眼科学分野*2JunSakakibara:筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻〔別刷請求先〕加治優一:〒305-8575つくば市天王台1-1-1筑波大学大学院人間総合科学研究科機能制御医学専攻眼科学分野特集●レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症を解剖する!あたらしい眼科24(7):891~895,2007レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の発症機序─角膜内皮創傷治癒説─“?????????????????????????????????”???????加治優一*1榊原潤*2大鹿哲郎*1———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007Vレーザー虹彩切開術後の房水動態解析モデル筆者らは,以下の条件を満たすモデルをLI後の房水動態の解析に用いた.?すべての房水がLIの穴を通って前房に達する.?LIの穴は円形である.?房水はLIの穴から噴出され,その方向と垂直に位置する平面(角膜内皮面)に向かう.このモデルは,ロケットが地面に向かってジェットを噴出する場合や,インクジェット式プリンターの印字面に応用されている.VI噴出された房水が角膜内皮面に生み出す2種類の力角膜内皮面に噴出された房水は,角膜内皮面に「圧力」と「剪断応力」という2種類の力を生み出す(図1).圧力については,ホースから噴出された水を体に受けることを考えると理解しやすい.それに対して剪断応力とは何だろうか?車のボンネットの上に水をかけると,水が流れるにつれてボンネットの汚れも落ちてゆく.その理由は,水のような粘性の高い物質が平面の上を流れるときに,平面からの距離によって流速が異なる結果,水の流れに速度勾配が生じ,平面上の物質を?離させるような力の原動力となるためである.これが剪断応力である(図2).筆者らはLI後の房水動態解析モデルを用いて,角膜内皮面で生じる圧力と剪断応力を計算した.VII房水の噴出で生じる圧力はわずか図1に示したモデルにおいて,房水の産生量を毎分1.5??と設定した際に,噴出された房水がどのような動態をするかについて流体力学によって解析をした6).そ(44)図1房水の噴出流が生み出す2つの力虹彩から噴出された房水が角膜内皮面に向かうに伴い,角膜内皮面には圧力と剪断応力という2つの異なった力が生じる.虹彩面角膜内皮面圧力剪断応力図2細胞?離の原因としての剪断応力剪断応力は平面の上を粘性のある物質が動く際に生じる速度勾配によって生じる.この力は平面状の物質(細胞など)を?離させる力となる.?離速度勾配→剪断応力図3LIの擬似モデルにおける角膜内皮面に生じる圧力LIの穴が小さいほど,LIの穴と角膜内皮面が近接するほど,角膜内皮面に生じる圧力が大きくなる.しかし,大きく見積もっても圧力は0.007mmHgとわずかである.圧力(mmHg)10-210-310-410-510-610-710-810-910-1010-1100.250.50.7511.251.51.752LIの穴から角膜内皮までの距離(mm)LIの直径50μm100μm200μm400μm最大でも0.007mmHg———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???の結果をもとに,角膜内皮面に生じる最大の圧力を計算した結果を図3に示す.当然のことながら,LIの穴の直径が小さいほど,LIの穴から角膜内皮面までの距離が短いほど圧力が大きい.しかし,どんな条件であったとしても角膜内皮面に生じる圧力は0.007mmHg程度であり,角膜内皮細胞を押しつぶして殺してしまうほどの力にはなりえないと考えられた.VIII房水の噴出で生じる剪断応力は大きくなりうる虹彩の穴から噴出された房水の動態から,角膜内皮面で生じうる剪断応力を計算した結果を図4に示す.房水の噴出で生じる剪断応力は,圧力と同様にLIの穴の直径が小さいほど,LIの穴から角膜内面までの距離が短いほど大きな値となる.特に距離が短くなれば無限大に大きな値となりうる点が圧力と異なる.臨床的には0.01~1.0dynes/cm2程度の剪断応力になりうると思われる.この剪断応力は,圧力(mmHg)と違って,大きい値なのか小さい値なのかピンとこない.この剪断応力は角膜内皮細胞を?離させるような力なのだろうか?IX剪断応力は角膜内皮細胞を?離させるだけの力をもつか?理論式から考えられたLI後に角膜内皮面に生じうる剪断応力が,角膜内皮細胞を?離させるだけの力をもつかどうか????????で検討した.スライドグラスに人工基底膜であるマトリジェルを塗布することで,擬似Descemet膜を作製した.そのスライドグラスの上にブタ由来の培養角膜内皮細胞を撒き,一定の剪断応力をかけた.スライドグラス全体に一様の剪断応力をかけるためには,2枚のスライドグラスを平行に並べ,その間を一定の流速で培養液を流すことによって得られる.剪断応力をかける前後で撮影した写真を図5に示す.角膜内皮細胞を培養皿に撒いて,すぐに剪断応力をかけると,細胞は基底膜にほとんどくっついていないので,剪断応力によって容易に?離してしまう.それに対して,細胞を撒いて3時間経過して,細胞が基底膜に付着するようになると,細胞は容易に?離されなくなる.もちろんさらに長い時間をかけて細胞を接着させると,大きな剪断応力をかけたとしてもほとんど?がれることはない(図6).「しっかりくっついていない細胞が?離しやすいとは,当たり前ではないか」と思われるかもしれないが,以上の結果は重要なことを示唆している.すなわち,角膜内皮細胞がDescemet膜にしっかり付着していれば,LI後に房水が噴出しようとも内皮細胞はびくともしないのである.図5に示すように,臨床的にLI後に生じうる(45)図5剪断応力前後における角膜内皮細胞角膜内皮細胞を培養皿に撒いた直後では,剪断応力によって角膜内皮細胞は容易に?離する.しかし接着後3時間もたてば,角膜内皮細胞は基底膜にしっかり接着し,容易に?離しなくなる.剪断応力なし剪断応力あり接着直後接着後3時間図4LIの擬似モデルにおける角膜内皮面に生じる剪断応力LIの穴が小さいほど,LIの穴と角膜内皮面が近接するほど,生じる剪断応力は大きくなる.理論的には無限大にまでなりうるが,臨床的にはどんなに大きく見積もっても0.01~10dynes/cm2程度を考慮すればよい.剪断応力(dynes/cm2)10000.250.50.7511.251.51.752LIの穴から角膜内皮までの距離(mm)LIの直径50μm100μm200μm400μm1010.10.010.001———————————————————————-Page4???あたらしい眼科Vol.24,No.7,20070.01~1.0dynes/cm2という剪断応力は,細胞を撒いて24時間後という,角膜内皮細胞と基底膜がしっかりと付着しているような状態ではまったく細胞?離の原因とはならない.しかし,角膜内皮細胞と基底膜の接着が不良のときには,内皮細胞の減少の原因となるだけの剪断応力であるといえる.以上のことを考慮すると,LI後に角膜内皮細胞が持続的に減少する患者においては,角膜内皮細胞とDes-cemet膜の接着不良という問題が隠れているのではないかと考えられる.X角膜内皮細胞の創傷治癒説さて,LI後の房水動態の変化によって生じる剪断応力と,剪断応力が角膜内皮細胞に与える影響の2つの実験を加味すると,LI後に生じる水疱性角膜症の発症機序をどのように説明できるのだろうか.まず,水疱性角膜症につながらないような,良いLIを考えてみる(図7).これは「LI直後にDescemet膜や内皮に熱凝固が生じていない」状況である.特にYAGレーザーを用いて,ピントを適切に合わせれば,角膜内皮への影響はごく軽微なはずである.このように良いLI後においては,Descemet膜と角膜内皮細胞がしっかりと接着しているはずである.このような角膜内皮細胞面に向かってLIの穴から噴出された房水が吹きかけられたとしても,角膜内皮細胞はびくともしない.すなわち,LI後の角膜内皮細胞減少は生じないと考えられる.つぎに水疱性角膜症につながるLIを考えてみる(図8).これは「LI直後にDescemet膜や内皮に熱凝固が生じている」状況である.このように痛んだ場所をめがけて房水が噴出されてくるのである.すると,熱によって死んでしまった,あるいは死にかけた角膜内皮細胞はDescemet膜との接着が不良のために,房水の噴出流が生じる剪断応力によって容易に?離してしまうはずであ(46)図6剪断応力と細胞?離率角膜内皮細胞の接着が悪ければ,0.01~10dynes/cm2で細胞は消失してしまう.細胞を撒いて24時間経過すれば,内皮細胞が基底膜にしっかり付着し,0.01~10dynes/cm2程度の剪断応力にはびくともしない.細胞?離率(%)10000.010.030.10.31310剪断応力(dynes/cm2)接着直後3時間後24時間後806040200図7水疱性角膜症につながらないLILI後に角膜の熱傷が少なく,内皮細胞とDescemet膜の接着が不良な場合には,剪断応力がかかろうとも内皮細胞はびくともしない.よって,LI後に持続的な減少を認めることもない.内皮とDescemet膜の接着が良好→房水の噴出流が生じる剪断応力で?離せず→その後の内皮減少なし房水の噴出流角膜内皮細胞水疱性角膜症につながらないLI図8水疱性角膜症につながるLILI後に角膜内皮細胞やDescemet膜の熱傷が生じた場合,内皮細胞とDescemet膜の接着が不良となる.この弱った場所めがけて房水の噴出流が衝突すると,内皮細胞が?離する.すると内皮細胞の創傷治癒機転によってさらに周囲の内皮細胞が遊走してくるが,Descemet膜が傷んでいるので,やはり接着が悪く?離してしまう.この悪循環が生じると,水疱性角膜症につながりうる.足場の悪いDescemet膜を遊走:内皮接着不良→房水の噴出流が生じる剪断応力で?離→周囲の内皮遊走→内皮細胞?離房水の噴出流角膜内皮細胞水疱性角膜症につながるLI悪循環,OO遊走遊走?離———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???る.しかし,これだけでは角膜内皮細胞のごく一部が消失するだけで,水疱性角膜症にはつながらない.問題はその後の「内皮細胞の創傷治癒機転」である.LIの穴の近傍で内皮細胞が脱落してしまった場合,その周囲の角膜内皮細胞が遊走して,内皮の欠損部を覆う「内皮細胞の創傷治癒」が生じる.遊走している内皮細胞は通常の扁平な角膜内皮細胞と異なり,アメーバ状でコロコロした形状を取り,Descemet膜との接着がそれほど強固ではない.さらに遊走した先のDescemet膜は熱により変性しているために,内皮細胞が接着しようとしてもできない.このような状況で,さらに房水が吹きかけられるため,遊走してきた内皮細胞もまた?離してしまう.すると,さらに周囲から内皮細胞が遊走→足場の悪いDescemet膜の上にさしかかる→房水の噴出流で?離,という悪循環が生じ,長い時間の経過とともに水疱性角膜症に至ると考えられる.すなわち,「終わりなき角膜内皮細胞の創傷治癒機転が水疱性角膜症につながる」と言っても良い.Descemet膜は変性したとしても,角膜内皮細胞が分泌する基底膜成分によって再生するはずである.しかし,水疱性角膜症につながるLI後においては,内皮細胞が変性したDescemet膜の上を覆うことがないために,傷んだDescemet膜がそのままの状態で表面に露出し続けると思われる.このことも,永年にわたって「終わりなき角膜内皮細胞の創傷治癒機転」が生じる原因の一つとなっている.XI角膜内皮の終わりなき創傷治癒機転が働かないようにするための工夫LI後に水疱性角膜症を生じにくくするためには,どのようなLIを心がければよいのだろうか.ポイントは「Descemet膜と角膜内皮の熱凝固を減らす」ことに尽きる.すなわち,アルゴンレーザーよりもYAGレーザーを活用すること,角膜が真っ白になるまでLIを行わないこと,ピントを手前(角膜側)に合わせないこと,アルゴンレーザーだけでLIを行うことが困難な際には,YAGレーザーを有する施設を紹介する,あるいは周辺虹彩切除術を行うなどの工夫が必要となろう.すなわち,今まで経験的に語り継がれてきた先人たちの教えを守り,角膜に優しいLIを行うことこそ,遅発性の水疱性角膜症を減らすことにつながると考えられる.謝辞:角膜内皮細胞の培養には東京大学眼科臼井智彦先生のお力をお借りした.この場をお借りして御礼申し上げます.文献1)ShimazakiJ,AmanoS,UnoT,MaedaN,YokoiN:TheJapanBullousKeratopathyStudyGroup:NationalsurveyonbullouskeratopathyinJapan.??????26:274-278,20072)KalninsLY,MandelkornRM,MandelkornRM:Cornealdecompensationafterargonlaseriridectomy.????????????????107:792,19893)ZabelRW,MacDonaldIM,MintsioulisG:Cornealendo-thelialdecompensationafterargonlaseriridotomy.????????????????26:367-373,19914)WilhelmusKR:Cornealedemafollowingargonlaseriri-dotomy.???????????????23:533-537,19925)YamamotoY,UnoT,ShisidaKetal:Demonstrationofaqueousstreamingthroughalaseriridotomywindowagainstthecornealendothelium.???????????????124:387-393,20066)KajiY,OshikaT,UsuiTetal:E?ectofshearstressonattachmentofcornealendothelialcellsinassociationwithcornealendothelialcelllossafterlaseriridotomy.??????24(8Suppl):S55-S58,2005(47)

レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の発症機序 マクロファージ説

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page10910-1810/07/\100/頁/JCLSす.この時点では角膜中央やや耳側に角膜浮腫を認めた程度であったが,角膜内皮細胞密度が少なかったため不可逆的内皮細胞数減少と判断し全層角膜移植手術となる.手術時に得られた角膜をデスメ(Descemet)膜ごと?離し,位相差顕微鏡にて観察した角膜内皮細胞面の所見を示す(図2).図2Aの内皮面のパノラマ写真に示すように角膜内皮面に無数の細胞が付着し,一部には内皮細胞が残存し(図2B),変性した組織に集まる細胞が帯状に伸び,その周辺の内皮細胞は存在しない所見が観察された(図2C).このデスメ膜状の細胞は組織学的に白血球の中の単核球が主体で(図3A),免疫染色では多くの細胞がマクロファージマーカーのCD68陽性細胞であった(図3B,C,D).またこれら細胞はCD163というスカベンジャーレセプター(清掃屋受容体)ももつことから(未公開データ),マクロファージ系細胞の角膜内皮面への浸潤であると考えられた.この症例をきっかけに角膜移植時に得られた角膜内皮面を検討したところ,LI後の角膜ではその後検討した4例中2例にCD68陽性細胞が検出されたのに対し,LI以外が原因の水疱性角膜症では,CD68陽性細胞の検出ができなかった(n=7).観察中の印象としては,LI以外が原因の水疱性角膜症の内皮細胞は細胞と細胞の細かい隙間ができているものが多いのに対し(図4A),LI後の角膜内皮は広い面積の内皮細胞がまとまって消失しており,内皮細胞が島状に残っているものが多かった(図4B).はじめにレーザー虹彩切開術(laseriridotomy:LI)後の水疱性角膜症は,1.わが国やアジアの国々では問題となっているが,アングロサクソンなど白人ではほとんど起きないためその存在さえ認識されていない,2.アルゴンレーザーでかなりの照射数に及んだ場合に多いが,YAGレーザー後では発症しないとされる,3.予防的なLI後でも発症するが,緑内障発作発症眼での頻度が高く,水疱性角膜症に至らない症例でも内皮細胞数が減少していることが多い,ことが知られており,これらの特徴は,LI後の水疱性角膜症発症機序を考えるうえでも何らかの手掛かりとなる可能性がある.本稿では,少数症例ながら患者角膜内皮から得られたエビデンスや傾向に加え,上記の特徴に基づいて仮説をたて検討した実験データをもとに,LI後の水疱性角膜症の発症機序について自説を述べる.ILI後内皮面にマクロファージ浸潤を認めた症例症例は,76歳,女性.平成7年,右眼LI施行.平成14年3月右眼超音波水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術施行.平成15年10月全層角膜移植施行となる.図1に全層角膜移植術施行1カ月前の前眼部写真を示(37)???*1SatoruYamagami&SeiichiYokoo:東京大学大学院医学系研究科角膜組織再生医療寄附講座(アルブラスト株式会社)*2MarikoSuzuki,TomohikoUsui&ShiroAmano:東京大学大学院医学系研究科眼科・視覚矯正科〔別刷請求先〕山上聡:〒113-8655東京都文京区本郷7-3-1東京大学大学院医学系研究科角膜組織再生医療寄附講座特集●レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症を解剖する!あたらしい眼科24(7):885~890,2007レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の発症機序─マクロファージ説─?????????????????山上聡*1鈴木真理子*2横尾誠一*1臼井智彦*2天野史郎*2———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007以上から何らかの前房内環境の変化(京都府立医大・東原尚代先生が報告している血液・房水柵の破綻による前房水の組成の変化,炎症惹起物質の前房水への混入1))が基礎にあり,そこにダメージを受け変性したデスメ膜,内皮細胞,その他の組織が存在するとマクロファージが浸潤する.このマクロファージは変性蛋白を含んだ細胞・組織を貪食するなどして活性化し,さらに多くのマクロファージの浸潤を促すのではないかと考えた.(38)図1全層角膜移植術施行1カ月前の前眼部写真瞳孔領に一部かかる局所的角膜浮腫を認める.図2LI後水疱性角膜症に対する全層角膜移植時に得られた角膜の内皮面の位相差顕微鏡所見A:角膜内皮面のパノラマ写真.角膜内皮面に多数の細胞浸潤を認める.B:Aの拡大写真.多数の細胞浸潤に加え,写真右下には残存する内皮細胞が認められる.C:線維化した組織(おそらく線維化した内皮細胞)に集簇する細胞.細胞の周辺に内皮細胞の残存はない.図3LI後水疱性角膜症に対する全層角膜移植時に得られた角膜内皮断面の組織所見A:ヘマトキシリンによる核染色.デスメ膜上に単核球を中心とする多数の細胞が重層化している.B,C,D:白血球の細胞表面マーカーによる免疫染色の結果を示す.Bはサイバーグリンによる核染色(緑色),CはマクロファージマーカーのCD68による染色結果(赤色),DはB,Cの融合写真.角膜内皮面に付着する多くの細胞はCD68陽性細胞である.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???また京都府立医大・外園千恵先生は,LI後の水疱性角膜症の全層角膜移植時に前房水や虹彩がネバネバした感じになっていることがあると述べておられるが,筆者らも同様の所見を経験しており,これもマクロファージ系細胞の多数の浸潤が関与している可能性もあるものと考えている.II活性化マクロファージのヒト角膜内皮細胞に対する影響そこで図5に示すような検討を行った.口つきの培養用フラスコに培養ヒト角膜内皮細胞をコンフルエントになるまで培養した.フラスコに各400万個の5種類のヒト白血球(全白血球,T細胞,B細胞,好中球,単球・マクロファージ)を入れ,図5Aに示すように立てた磁気スターラーにフラスコを貼り付けた.白血球の分離には,magneticcellsorting(MACS)注1)を用いた.前房内の温流にあたる培養液のフローを起こすためにフラスコ内でスターラーを回転させ,3日間培養し〔培養条件は,RPMI-1640培地+10ng/m?interleukin(IL)-1a+10ng/m?tumornecrosisfactor(TNFa)+1%fetalbovineserum(FBS),37℃インキュベーター5%CO2〕,内皮面を観察した.結果として全白血球を入れた培養ヒト内皮細胞(図5B)をはじめ,T細胞,B細胞,好中球を入れたフラスコの培養ヒト内皮細胞も,サイトカイン刺激のため線維芽細胞様の形態をとっている以外に変化はなかった.しかしこれと対照的に,単球・マクロファージ注2)を入れたフラスコの培養ヒト角膜内皮細胞は,細胞が?離しており,単球・マクロファージにより傷害された可能性が高いと考えられた.また残存している細胞に単球・マクロファージと考えられる細胞が集簇している所見が得られた.この所見は図2Cで示(39)注1)Magneticcellsorting(MACS):磁気ビーズのついた抗体で目的細胞を特異的に標識し,強力な永久磁石に設置された分離カラムにアプライする.分離カラムは強力な磁場が生じ,磁気標識した細胞はカラムに保持され,標識されていない細胞はカラムを通過する.分離カラムを強磁場から外すと磁気標識により保持されていた細胞は溶出される.これにより磁気標識細胞のフラクションと非標識細胞のフラクションが完全に分離できるシステムで以下のサイトで紹介されている.http://www.miltenyibiotec.co.jp/intro/prcpl/prcpl1.htm注2)単球・マクロファージ:磁気ビーズのついた抗体のカクテルでヒトの白血球を分離しても,もともと多くが起源を同一にする血液中の単球とマクロファージは完全には分離できない.図4全層角膜移植時に得られた内皮面の代表的な写真A:LI後水疱性角膜症以外の全層角膜移植時に得られた角膜の内皮面.内皮細胞の小さい隙間があちこちにできている(矢印).B:LI後水疱性角膜症に対する全層角膜移植時に得られた角膜の内皮面.内皮細胞が島状に残り(矢印),他はデスメ膜が広く露出している.図5活性化マクロファージのヒト角膜内皮細胞に対する影響A:培養用フラスコに培養ヒト角膜内皮細胞をコンフルエントになるまで培養し,フラスコに各400万個の5種類のヒト白血球(全白血球,T細胞,B細胞,好中球,単球・マクロファージ)を入れた.立てた磁気スターラーにフラスコを貼り付け,培養液のフローを起こすためにフラスコ内でスターラーを回転させ,3日間培養した後(培養条件は,RPMI-1640培地+10ng/m?IL-1a+10ng/m?TNFa+1%FBS,37℃インキュベーター5%CO2),内皮面を観察した.B:フラスコ内に全白血球を入れた結果を示す.炎症性サイトカインの影響で,内皮細胞は線維性変化を示している以外変化はなかった.T細胞,B細胞,好中球,を入れたものもこの結果とほぼ同様であった.C:単球・マクロファージを入れたフラスコでは培養ヒト角膜内皮細胞は局所的に?ぎ取られており,残存内皮細胞に単球・マクロファージが浸潤を起こしている所見がみられた(矢印).この所見は,図2Cで示したLI後水疱性角膜症の内皮面にみられた所見と酷似していた.全白血球T細胞B細胞好中球単球・マクロファージ培養角膜内皮細胞約60°培養用フラスコスターラー———————————————————————-Page4???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007したLI後水疱性角膜症角膜の内皮面にみられた所見に酷似していた.前房内を模したこのシステムでは,かなり高濃度の炎症性サイトカインを添加してあるため,内皮細胞のみならずマクロファージもかなり活性化した状態になっていると考えられる.活性化したマクロファージは,マクロファージの産生する活性酸素,酸化窒素(NO)により正常内皮細胞に傷害を与えうる.マクロファージはもともと体の清掃屋として働いているので,傷害を受け変性した細胞・組織を自己,非自己の区別なく変性した蛋白として認識し貪食するためにこのような現象を起こすものと思われる.このマクロファージのもつ機能は,アロ抗原の認識といった高次の免疫能とは異なるより原始的な機能によるもので,本実験では,仮に白血球と培養ヒト角膜内皮細胞が同一人由来であったとしても同じことが起こるものと考えられる.III虹彩に対する熱凝固は単球・マクロファージを刺激するのか?前述したように,欧米ではLI後の水疱性角膜症はきわめてまれで,その病態自体認識されていないことから考えた仮説は,東洋人の虹彩に存在する色素がマクロファージ浸潤のきっかけをつくる.YAGレーザーで治療を行った場合は,水疱性角膜症を発症することはなく,アルゴンレーザーで治療を行いかつかなりのショット数に及んだ場合に起こることが多いことから考えた仮説は,アルゴンレーザーの熱により虹彩色素が変性し,単球・マクロファージ系細胞に対し,異物と認識されやすくなるというものである.前者の仮説に関しては白人の虹彩を得る機会がなかったために検討できなかった注3)が,後者については虹彩を用いて以下の検討を行った.まず線維柱帯切除術時に採取された虹彩を2つに分け,片方はYAGレーザ-にて粉砕し,もう一方はアルゴンレーザーにて処理した.これらの虹彩を別々に平底96ウェルに入れ,1ウェル当たり50万個の単球・マクロファージと混合し,経過を観察した.培養(RPMI-1640培地+1%FBS,37℃インキュベーター5%CO2)後,虹彩存在部に細胞が集積しコロニーを形成し始めたため,9時間後に各コロニーの面積を測定した.図6に示すようにYAGレーザーにて粉砕したもの(図6A)に比べてアルゴンレーザーで処理した虹彩(図6B)に対し細胞は有意に大きなコロニーを形成した(図6C).このことはアルゴンレーザーで焼?した虹彩に対し,より多くの単球・マクロファージが強く反応することを示しており,アルゴンレーザーで焼?した虹彩がマクロファージ浸潤のきっかけをつくる可能性を示唆している.IV急性緑内障発作に対するLI後の一過性角膜浮腫ここで通常の水疱性角膜症に至る経過とは異なるLI後の角膜浮腫の症例を提示する.症例は,78歳,女性.主訴は右眼視力低下で,経過は平成8年右眼急性緑内障発作を発症.両眼にLI施行(40)注3)BALB/cなどの白いマウスの虹彩とC57BL/6などの黒いマウスの虹彩に対して,マウスの単球・マクロファージがどのように反応するかを調べることで検討可能かもしれない.図6アルゴンレーザーおよびYAGレーザーで処理した虹彩に対する単球・マクロファージの反応各レーザーで処理した虹彩を96穴に置き,50万個の単球・マクロファージを入れ反応を観察した.時間の経過に伴って虹彩片の周りに単球・マクロファージが集合し,コロニーを形成し始めた.培養9時間後にYAGレーザーで処理した虹彩片のコロニー(A)とアルゴンレーザーで処理した虹彩片のコロニー(B)の代表的な写真を示す.コロニーの外側を白線で囲んだ.アルゴンレーザーで処理した虹彩片のBのコロニーがAのコロニーより大きい傾向を示した.C:これらのコロニーの平均面積を算出したところ,アルゴンレーザーで処理した虹彩片のコロニーの面積が,YAGレーザーで処理した虹彩片のコロニーの面積に比べて有意に大きかった.(Mann-WhitneyU-test,p<0.01)(1×104μm2)*p<0.013.02.01.00YAGアルゴンレーザーコロニー面積———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???される.平成12年12月視力低下し近医受診.右眼は中央部から耳下側にかけて角膜浮腫の状態であった(図7A).平成14年2月全層角膜移植の登録を目的に当院初診となり,右眼矯正視力(0.05)であった.その後数回連絡をするも家族の都合で入院できず,平成15年3月の受診時に角膜浮腫は軽減していたが,角膜中央部の内皮細胞密度は326/mm2と少なかったため角膜移植の登録は継続とした(図7B).この時点でも角膜浮腫のため内皮細胞密度の測定ができなかった1~2年前と比べてかなり細胞密度は回復していたものと推察された.平成16年3月に全層角膜移植を目的に入院となったが,入院後の診察で角膜は透明性を回復し,内皮細胞密度は500/mm2であったため,全層角膜移植は行わずそのまま退院として経過観察を行うこととした.平成16年10月右眼内皮細胞密度613/mm2(図7C),平成17年2月右眼内皮細胞密度644/mm2と,測定のたびに角膜中央部の内皮細胞密度が増加していった.その後白内障手術を施行し,平成19年4月の時点で角膜は透明性を維持している.本症例の解釈は以下のようである.急性緑内障発作に対するLI後眼で血管透過性が亢進していた眼で,何らかの変性蛋白に対しマクロファージが浸潤,貪食.貪食したマクロファージが活性化し,角膜中央部の内皮細胞を傷害し,部分的な水疱性角膜症の状態へ移行.周辺部の内皮細胞は保たれていたため内皮細胞の再配列が進み,臨床的に水疱性角膜症は治癒したのではないかと考えている.VLI後の水疱性角膜症発症機序のまとめ以上の結果から考えられるLI後の水疱性角膜症発症に関して想定される機序をシェーマに示す(図8).A.急性緑内障発作によりまたは過剰なアルゴンレーザー照射により,虹彩血管の透過性が亢進する.これにより単球・マクロファージが前房内へ直接浸潤しやすくなるだけでなく,浸潤を促すケミカルメディエーターが前房内へ漏出しやすい前房内環境となる.アルゴンレーザー照射部位のデスメ膜,内皮細胞は熱変性を受け,また焼?された虹彩色素が角膜内皮面に付着する.これらは変性蛋白であるため自己の組織由来であっても異物として認識されやすくなる.B.変性したデスメ膜,内皮細胞,アルゴンレーザーで焼?された色素を含んだ虹彩に対し,マクロファージがこれらを異物と認識し貪食する.貪食によりマクロファージは活性化し,炎症性サイトカイン(IL-1,IL-12,IL-18)を産生し,さらに活性化を促進し,ケモカイン(monocytechemotacticprotein:MCP-1/CCL2)産生によりマクロファージを前房内へ呼び込む.ヒト角膜内皮細胞も炎症刺激によりMCP-1/CCL2を産生することから2),内皮細胞自体もマクロファージの遊走を促進する注4).C.貪食により活性化したマクロファージは,さらに貪食能を亢進するほか,活性酸素,NO産生により周辺の正常内皮細胞に傷害を与え,傷害を受けた内皮細胞やデスメ膜は,再び異物としてマクロファージに認識され(41)注4)マクロファージ系の細胞は,CCR2というケモカインレセプターを発現しており,これはMCP-1/CCL2というケモカインに走化性を示す.このMCP-1/CCL2はマクロファージ自体が産生するほか,ヒト角膜内皮細胞も産生しうる.図7急性緑内障発作に対するLI後の一過性角膜浮腫A:LI後4年目の前眼部写真.角膜中央部から耳下側にかけて部分的な浮腫の状態.B:Aの時点から2年4カ月後の角膜中央部の内皮細胞所見.角膜浮腫は軽減しており,内皮細胞密度の測定が可能となっていた.細胞はかなり大きく,角膜中央部の内皮細胞密度は326/mm2である.C:Bからさらに1年7カ月目の角膜中央部の内皮細胞所見.細胞面積は一見して小さくなっており,613/mm2となっている.部分的な内皮細胞減少が周辺部の内皮細胞により代償されたものと考えられる.———————————————————————-Page6???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007貪食を受けるという悪循環を起こす.これにより自己の組織であるにもかかわらず自己のマクロファージにより傷害されることになる.D.角膜内皮細胞全体のびまん性の細胞数減少でなく部分的な虫食い状の内皮細胞減少と部分的な角膜浮腫が起こり,内皮細胞のmigrationにより代償できれば再び角膜は透明性を回復するが,透明性を維持可能な閾値を超えて内皮細胞が傷害されると水疱性角膜症に至る.以上のような機序によるとすれば,LI直後ではなく数年後に水疱性角膜症が発症するのは,きっかけになる変性蛋白の存在とそれに対するマクロファージの浸潤はいつでも起こりうることであるため説明がつく.また切開孔のある上方ではなく下方から発症することがある理由は,切開部位の変性蛋白に加えてアルゴンレーザーで焼?された虹彩色素がきっかけを作り細胞浸潤が起きると考えれば,どの部位の内皮細胞も減少する可能性があるからと考えられる.おわりにいくつかのエビデンスに加えて,マクロファージや角(42)膜内皮細胞の一般的な性質を考慮して想定されるLI後の水疱性角膜症の発症機序について自説を述べた.LI後の水疱性角膜症の発症機序は一つとは限らず,個々の症例によって全く異なった原因で起こっている可能性も否定できないため,今回示したマクロファージが関与する機序は,全症例にあてはまるものとまでは考えていない.しかしLI後の水疱性角膜症のなかのある一定の症例に関しては,部分的な一致であるにせよかなりこれに近い機序が関与しているのではないかと考えている.謝辞:本研究の一部は,京都府立医科大学の外園千恵先生,木下茂先生との共同研究によって行われました.ここに感謝申し上げます.文献1)東原尚代:レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の病態─前房・房水柵破綻説─.あたらしい眼科24:871-878,20072)YamagamiH,YamagamiS,InokiTetal:Thee?ectsofproin?ammatorycytokinesoncytokine-chemokinegeneexpressionpro?lesinthehumancornealendothelium.?????????????????????????44:514-520,2003図8LI後の水疱性角膜症発症で想定される機序のシェーマA:虹彩血管の透過性亢進が存在.アルゴンレーザー照射部位のデスメ膜,内皮細胞は熱変性を受け,また焼?された虹彩色素などの変性蛋白が角膜内皮面に付着.B:変性蛋白をマクロファージが異物と認識し貪食.貪食によりマクロファージは活性化し,炎症性サイトカイン(IL-1,IL-12,IL-18)を産生しさらに活性化を促進し,ケモカイン(MCP-1/CCL2)産生によりマクロファージを前房内へ誘導促進.C:活性化マクロファージは,さらに貪食能を亢進するほか,活性酸素,酸化窒素(NO)産生により周辺の正常内皮細胞に傷害.傷害を受けた内皮細胞やデスメ膜は,異物としてマクロファージに認識され貪食.D:内皮細胞の部分的な虫食い状の減少が起こり水疱性角膜症へ.ACDBアルゴンレーザーによるLI内皮細胞,デスメ膜の損傷炎症性サイトカイン・ケモカイン産生変性内皮,デスメ膜にマクロファージ浸潤虹彩血管の透過性亢進

レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の病態 房水ジェット噴流説

2007年7月31日 火曜日

———————————————————————-Page10910-1810/07/\100/頁/JCLS房水ターンオーバー不全による角膜内皮障害の可能性について解説したい.ILI後の前房水の流れの可視化可視化とは目に見えない事象を視覚的に表現する技術である.筆者らは,有色家兎の前房内に平均粒径30?m,比重0.98のシリコーンパウダー粒子を注入し,この粒子を房水の流れのトレーサーとして観察する手法により,LI後の前房水動態を可視化することに成功した.たとえば,スリット光幅0.3mmに固定した細隙灯顕微鏡で前房内の粒子を観察すると,角膜内皮側で下降し,水晶体前面で上昇する『温流』がみられる.このとき,虹彩切開窓付近や瞳孔付近では後房から前房へ動く粒子は観察されないが,引き続いて,スリット光の幅を0.3mmから2mmに広げて対光反射を惹起させると,縮瞳と同時に,粒子が後房から虹彩切開窓を通して前房に噴出し,角膜内皮細胞に衝突するのが観察できた.さらに,スリット光の幅を0.3mmに戻すと,今度は,散瞳と同時に前房から後房へ粒子が吸い込まれた(図1).これらの噴出と吸い込みは各対光反射のたびにくり返された.すなわち,LI後眼では前後房間の圧較差がないため,縮散瞳に伴う後房容積の変化が駆動力となり,房水が虹彩切開窓から出入りするようになると考えられる1).II噴出流の速度定量比較可視化により観察した噴出流の方向や勢いは対象眼にはじめにレーザー虹彩切開術(LI)は,房水が後房から前房へ流れ込むバイパスを作る手技としてよく知られているが,術後の房水動態についてはいまだ不明であった.前房への生理的な房水流入は瞳孔を通じて行われるが,その方向性は虹彩裏面から瞳孔中心に向かうものであり,ダイレクトに角膜内皮面に向かうものではない.この場合,角膜内皮細胞はその流入部位から最も遠いところに位置し,体位変動,虹彩運動や房水産生排出量の変化などによる影響はあるとしても,原則として温流という一定の熱対流に接しているのみであり,きわめて静かな環境内に存在している.しかしながら,LI眼においては,瞳孔ブロックの解除を得た代償として,房水動態の大きな変動が角膜内皮細胞にとって恒常性維持に不利な住環境を生み出しているかもしれない.LI後の水疱性角膜症において最も注目すべき臨床的な特徴は,処置から発症までの期間が数年~10年を経ることが多いという事実である.こうした長期経過,すなわちlateonsetで発症する理由として,長い年月にわたって持続する内皮障害メカニズムが存在していることがあげられる.筆者らは,こうした背景から,lateonsetなLI後の水疱性角膜症の発生メカニズムには,非生理的な術後房水動態が関わっているのではないかと考え,房水の流れを可視化し,これを定量,解析する実験を開始した.本稿では,その結果をもとに,房水ジェット噴流説および(31)???*YasuakiYamamoto:愛媛大学大学院感覚機能医学講座視機能外科学分野(眼科学)〔別刷請求先〕山本康明:〒791-0295愛媛県東温市志津川愛媛大学大学院感覚機能医学講座視機能外科学分野(眼科学)特集●レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症を解剖する!あたらしい眼科24(7):879~883,2007レーザー虹彩切開術後水疱性角膜症の病態─房水ジェット噴流説─?????????????????????山本康明*———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007よって異なり,これには,虹彩切開の大きさや形,切開位置の違いが関係していることが予想される.そこで,定量的な比較を行うため,有色家兎に対して,アルゴンレーザー虹彩切開術(ALI),YAGレーザー虹彩切開術(YAG-LI),LIに模した用手的小虹彩切開術(small-PI),周辺部虹彩切除術(large-PI)をさまざまな切開窓サイズで施行し,同様の可視化手法で房水噴出流をビデオ撮影し,粒子の位置座標変化をもとに噴出速度を算出した.このため,虹彩切開窓の正面撮影画像から切開縁をトレースして開窓サイズを算出し,噴出速度との関係をグラフ化した.一般に,有色家兎はヒトに比べて術中術後の炎症が強く生じやすく,消炎後にも虹彩後癒着や前癒着が残る例があり,そうした場合には噴出流が形成されないこともあった.このことは,虹彩運動の低下が噴出流を減弱させる要因であることを示唆しており,今回の検討からは虹彩癒着例を除外した.結果として,ALI5眼,YAG-LI3眼,small-PI4眼,large-PI5眼で噴出流が認められ,ALI,YAG-LI,small-PIのいずれの術式でも粒子が角膜内皮へ衝突していたが,large-PIでは噴出の勢いは小さく,衝突像は観察されなかった.噴出開始から0.1秒間での平均噴出速度は0.12~9.39mm/sと幅広く分布しており,虹彩開窓サイズが小さいほど噴出速度が速くなった(図2).平均噴出速度,平均開窓サイズともに,large-PI眼以外の3種(32)図1シリコーンパウダー粒子が縮瞳時に噴出し(左),散瞳時に吸い込まれる様子(右)スリット光の幅を0.3mmから2mmに広げると,縮瞳と同時に,粒子が後房から虹彩切開窓を通して前房に噴出し,角膜内皮細胞に衝突する.スリット光の幅を0.3mmに戻すと,散瞳と同時に後房へ粒子が吸い込まれる.白点=トレーサー(流れに追随するシリコーンパウダー粒子),白揺線=トレーサーを追跡した軌跡線,矢印=角膜内皮に噴出流が衝突した地点.(文献1より改変)図2各眼虹彩切開面積と噴出流速度24681010864200平均噴出流速度(mm/s)虹彩切開窓面積(mm2):アルゴンレーザー虹彩切開(ALI):用手的小虹彩切開(small-PI):YAGレーザー虹彩切開(YAG-LI):周辺部虹彩切除術(large-PI)9.395.325.013.83.463.262.411.961.781.681.530.880.40.240.140.19———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???類の術式間では明らかな違いはなかった(図3).今回の検討では,最大の噴出流速度は虹彩開窓サイズが0.24mm2のときに平均9.39mm/sと,生理的温流の流速(0.18~0.28mm/s:第29回,31回角膜カンファランスにて発表)の40倍以上に達しているが,臨床的なLIの虹彩切開サイズは0.2mm2(開窓直径500?mに相応)以下であることも多いため,噴出流はさらに速くなる可能性もある.III房水ジェット噴流説以上のように,LI後眼では,縮瞳と同時に房水がジェット流のごとく前房内に噴出し,角膜内皮細胞に衝突するケースがあることがわかるが,この噴出流の角膜内皮面へ向かう方向も速度も生理的な環境ではありえないものである.おそらく,この噴出流は長年にわたってくり返され,角膜内皮細胞にストレスを与え続けているものと想定される.このように,房水噴出流による内皮細胞への慢性ストレスは,LI後の水疱性角膜症の持続的な内皮障害の原因となりうるのではないかと思われる.虹彩運動が障害されていない限りにおいて,今回観察されたような噴出流が,大なり小なりすべての症例に生じていると考えられる.一方,臨床的に数多くのLIが施行されているにもかかわらず,内皮障害をきたすのは一部に限られる.この理由の一つとして,虹彩開窓サイズが大きくなると,噴出流の流速が急激に小さくなる点があげられる.さらに,周辺部虹彩切除後のように大きな切開窓であれば,角膜内皮に直接衝突する粒子はない.実際,ALIの普及以前に広く行われていた観血的周辺部虹彩切除術において角膜内皮障害が問題とされたことはなく,今回の結果とよく一致している.もう一つの理由として,ジェット噴流の勢いが急速に減衰するという点もあげられる.すなわち,切開窓から内皮までの距離が長くなればなるほど,内皮に及ぼす影響は小さくなるのである.流体解析ソフトを用いて,角膜内皮細胞へ加わるshearstressの強さを,今回測定した噴出流速度を代入して計算したところ,中心前房深度2.8mm眼では最大0.12dyne/cm2であったが,中心前房深度1.0mmの浅前房眼では最大0.68dyne/cm2に達していた(第31回角膜カンファランスにて発表).LI施行症例は浅前房眼であることが多いが,LI後にも周辺部の前房深度が浅いままの場合,内皮障害の危険が高まることが示唆される.加治らはshearstressによる角膜内皮細胞の?離の可能性について報告している2).彼らの結果を,筆者らの提唱する噴出流の流体解析結果と比較して考察すると,LI後に浅前房で強い噴出流が長年くり返して持続する場合に限ればshearstressによって内皮細胞の?離が発生しうると考えられる.ただし,このshearstressは,噴出領域に限局しており,周辺部では大きく減衰するた(33)図3各術式における平均開窓面積と噴出流速度各眼5粒子,噴出開始から0.1秒間の平均速度.平均開窓面積0246810YAG-LISmall-PILarge-PIALIYAG-LISmall-PILarge-PIALImm2平均噴出流速度02468mm/s術式ALI(5眼)YAG-LI(3眼)Small-PI(4眼)Large-PI(5眼)平均開窓面積(mm2)0.95±0.31*0.80±0.20*0.86±0.53*5.85±2.12平均噴出流速度(mm/s)2.97±1.32**3.33±13.2*4.49±2.95**0.36±0.30Kruskal-Wallis検定(Large-PIを除く)*:有意差なし**:有意差なし.———————————————————————-Page4???あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007め,細胞?離をきたす領域は限定されることは否めない.また,メカニカルな細胞?離だけがLI後の水疱性角膜症の発症メカニズムであるとは考えにくく,加治らの指摘にもあるように創傷治癒障害などの続発する何らかのイベントが発生していると考えるべきである.たとえば,血流から受けるshearstressによって血管内皮細胞が細胞骨格を変化させたり,増殖因子の発現が亢進したりすることが知られているが,筆者らは,持続するストレスによるアポトーシスの誘導などを通じて,何らかの細胞応答が起きている可能性を考えている.IV房水ターンオーバー不全LI後においては,縮瞳時における房水の噴出に引き続き,散瞳時に後房へ吸い込まれる現象が生じていた.このことは,いったん前房に流入した新鮮な後房水が,すぐに引き戻され,房水のターンオーバー不全をきたしていることを示唆している.この現象がLI後にくり返し発生すれば,前房内の慢性的な低酸素,あるいは低栄養状態をひき起こすかもしれない.事実,LI後の水疱性角膜症の症例のなかにはレーザー照射部位とは遠くかけ離れた下方角膜周辺部に浮腫を生じるものも散見される.これは従来のレーザー照射による直接障害や,虹彩切開窓からの噴出流の衝突による機械的障害だけでは説明しにくい現象である.いまだ推測の域はでないが,一連の房水の引き戻しが,対側位置の下方において房水のよどみを形成するのではないかと想像している.流体解析ソフトにて前房深度の異なる眼前房形状を作製し,生理的温流をシミュレーションする実験を行うと,前房深度が浅いほど温流速度が小さくなることがわかる(第31回角膜カンファランスにて発表,データは今回掲載していない).すなわち,浅前房眼では,LIの有無にかかわらず角膜内皮障害を起こす可能性があり,この要因に温流の停滞が関与しているのかもしれない.したがって,LI後眼において浅前房が改善しない場合には,温流停滞と房水の引き戻しが複合することになり,前房内全体,もしくは局所的な房水ターンオーバー不全が助長されている可能性が考えられる.(34)VLI後水疱性角膜症の発症メカニズム房水ジェット噴流説を用いれば,従来より不明であったLI後の水疱性角膜症の臨床的特徴のかなりの部分が説明可能となる.しかし,現実には,個々の臨床例の発症パターンを房水動態異常のメカニズムだけで一元的に考えることには無理がある.ここで,内皮障害の要因を作用時期別に整理すれば,以下の3つに分けられる(図4).第1はLI以前から持ち合わせた要因である.すなわち,基礎疾患であるが,これらはLIの有無にかかわらず慢性的な角膜内皮障害が生じうる疾患群でもあり,内皮障害を持続させる要因ともなりうる.第2は,術直前あるいは直後の要因で,急性緑内障発作,アルゴンレーザーによる過剰エネルギー,術後の一過性の炎症などであり,これらは内皮細胞数を急激に減少させる.もちろん,急性期が過ぎれば影響はなくなるため,持続的な内皮障害メカニズムとはならないが,術後の内皮細胞残存数すなわち閾値が低くなるため,水疱性角膜症の発症時期を早めることとなる.第3は,術後後期まで持続する要因であり,筆者らの提唱する房水ジェット噴流および房水ターンオーバー不全がこれにあたる.結果的には,これらの各要因が相加的に作用した,きわめて限られた症例のみがLI後のlateonsetな水疱性角膜症を発症するのではないだろうか.図4LI後水疱性角膜症発症メカニズム③が持続②①水疱性角膜症LI角膜内皮障害要因の作用時期別分類①術前からの要因=角膜内皮のもともとの脆弱性?滴状角膜,Fuchs角膜内皮変性症,糖尿病,緑内障その他の基礎疾患②手術時~術後早期の要因=手術自体や術後の短期間の角膜内皮障害?緑内障発作?アルゴンレーザーによる過剰エネルギー?術後炎症③術後後期の要因=術後炎症が消退してもなお持続する角膜内皮障害?噴出流によるメカニカルストレス?房水の引き戻しによるターンオーバー不全———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.24,No.7,2007???(35)おわりに房水動態の異常がどのように角膜内皮細胞を障害するかは今後の研究課題ではあるが,本来,清澄な温流のほとりに存在する角膜内皮細胞に対して,房水ジェット噴流や房水のよどみによる低酸素などの負荷が加わり続けることで,角膜内皮細胞がアポトーシスや創傷治癒障害などに陥る可能性が考えられる.いずれにしても,多種類の要因が複雑に絡み合って病態が形成されていると考えられる.文献1)YamamotoY,UnoT,OhashiYetal:Demonstrationofaqueousstreamingthroughalaseriridotomywindowagainstcornealendothelium.???????????????124:387-393,20062)KajiY,OshikaT,SakakibaraJetal:E?ectofshearstressonattachmentofcornealendothelialcellsinassocia-tionwithcornealendothelialcelllossafterlaseriridotomy.??????24(Suppl1):S55-S58,2005