———————————————————————-Page1読者からの手紙あたらしい眼科Vol.24,No.6,2007???0910-1810/07/\100/頁/JCLS?読者から貴誌「あたらしい眼科」24巻1号(p107-110)の原著「Artisan有水晶体眼内レンズの光学径の違いが視機能に与える影響」1)を大変興味深く拝読いたしました.結果のコントラスト感度に関する記述と図1および2の表現に矛盾が認められる.結果の記述(Ⅱ結果の最終行から前3行分)では5mm群が6mm群に比してコントラスト感度が低いとあるが,図1および2のコントラスト感度の結果は矛盾し,5mm群で術後高くなっている.縦軸のスケールは,コントラスト感度なのかコントラスト閾値なのか?また,その数値は特別に変換した値なのか?縦軸がコントラスト閾値(あるいは感度)としても,その数値は腑に落ちない値である.コントラスト感度(あるいは閾値でも)であれば,縦軸の下限の値はゼロではなく1となるべきである.なお,コントラスト感度(あるいは閾値)を対数値(常用対数のべき指数)で表示する場合は,下限の値はゼロとなる(図1).通常コントラスト感度の表現には,横軸に空間周波数(cycles/degree),縦軸にコントラスト感度(コントラスト閾値の逆数)を両対数スケールで表示するのが一般的である2).この研究では,コントラスト感度測定装置としてタカギセイコーのCGT-1000を使用したとある(「Ⅰ対象および方法」の最後から前7行目~)が,視標として正弦波状の縞視標ではない特殊な同心円状のリング視標を用いているため,横軸の空間周波数の代わりに視標視角(degofarc)を使用し,縦軸にはコントラスト閾値を用いているはずである.表1の瞳孔径の結果については,どのような状態での値なのか?術前における明所での瞳孔径検査であれば,平均瞳孔径が6mmを超える対象に5mmのPIOL(Artisan有水晶体眼内レンズ)を挿入するのは無理があると思われる.PIOLの位置異常(偏心や傾き)がないとしても,明所でも瞳孔径が光学径を超えており,薄暮や暗所では,さらにその開きが大きくなることは必然である.今回の測定はグレアオフの条件で実施されているため,PIOLの光学径よりも瞳孔径が大きくなっても,良好な中心視力が得られていたものと考えられるが,コントラスト感度への影響は無視できなくなる.また,周辺視への影響やグレア・ハローの影響はさらに大きくなるものと思われる3).グレア光源をオンにすると,瞳孔径は縮瞳するためレンズエッジなどによるグレア・ハローの影響は少なくなり,コントラスト感度も上昇する.眼内レンズ径5mmに相当する角膜面上での光学領は約5.7mmに,6mmレンズでは約6.8mmに相当するため(入射瞳径に相当),LASIK(laser???????ker-atomileusis)などの角膜屈折矯正手術を行う場合には,眼内レンズ径よりも相当大きな切除域(あるいはopticalzone)が必要となる4,5).その意味で,PIOLは光学径の大きさから考えて有利である.今回の記述あるいは図が誤りであれば,もちろん著者の責任ではあるが,査読段階でも指摘できたはずである.改善を期待するとともに貴誌の発展を祈ります.魚里博北里大学大学院医療系研究科眼科学・視覚情報科学(107)本誌24巻1号に掲載の原著論文,「Artisan有水晶体眼内レンズの光学径の違いが視機能に与える影響」について空間周波数(cycles/degree)高低コントラスト縞幅大小コントラスト感度Contrastsensitivityfunction(CSF)可視領域(白色部)不可視領域(グレー部)視力限界視力1.00.0010.11.030(0.01ゼロではない!30図1コントラスト感度の結果表示例———————————————————————-Page2読者からの手紙???あたらしい眼科Vol.24,No.6,2007文献1)土田展生,辻一夫,荒井宏幸ほか:Artisan有水晶体眼内レンズの光学径の違いが視機能に与える影響.あたらしい眼科24:107-110,20072)魚里博:低コントラスト視力.????????15:200-205,20013)魚里博,清水公也:屈折矯正の実際とプロセス(水流忠彦監修),金原出版,19984)魚里博:瞳孔不同の眼光学的考察.神経眼科10:89-92,19935)UozatoH,GuytonDL:Centeringcornealsurgicalprocedures.???????????????103:264-275,1987?著者よりの返事このたびは原著「Artisan有水晶体眼内レンズの光学径の違いが視機能に与える影響」について,貴重なコメントをいただきましてありがとうございました.ご指摘のとおり,図1,2のコントラスト感度の数値の違い,表1の瞳孔径の詳細な記載につき不備がありました.それに伴い図1,2につきましては,「コントラスト感度に関する図1および図2の表現ですが,ご指摘のごとく縦軸の記載を訂正させていただきます.0.0,2.0,4.0,6.0,8.0,10.0,12.0は,下から順に1.0,3.12,6.25,12.5,25,50,100と訂正させていただきます.瞳孔径ですが,カルバードピューピロメーターを使用しており,暗所視状態の瞳孔径を測定しております.表1では暗所視状態で瞳孔径に両群間において有意差がないことを示しております.土田展生公立昭和病院眼科むずかしい統計がよくわかる!眼科での新薬開発の臨床治験データを例に解説!統計学米虫節夫(近畿大学農学部教授)【編著】寺嶋達雄(参天製薬株式会社臨床開発本部)・榊秀之(千寿製薬株式会社前臨床グループ)【著】A4変型総172頁図表243点定価(本体6,000円+税)Ⅰ序説1.症例報告から法則性の発見へ/2.臨床試験実施時のポイント/3.統計解析ソフトについてⅡデータのまとめ方1データの4尺度/2誤差の4条件/3中心的傾向の示し方/4ばらつきの数量的示し方/5ヒストグラムと分布Ⅲ検定と推定の考え方1計量値の分布:正規分布/2検定と推定の考え方/3母平均に関する検定と推定Ⅳ2つの平均値の比較12つの平均値に関する検定と推定(パラメトリック法)/22つの平均値に関する検定(ノンパラメトリック法)Ⅴ3つ以上の平均値の比較13つ以上の平均値に関する検定(パラメトリック法)/23つ以上の平均値に関する検定(ノンパラメトリック法)Ⅵ計数値1計数値の分布/2計数値に関する検定と推定Ⅶ多重比較13つ以上の平均値に関する多重比較-多重比較の考え方-/23つ以上の平均値に関する多重比較(パラメトリック法)-分散分析後の検討-/33つ以上の平均値に関する多重比較(ノンパラメトリック法)-KruskalーWallis検定後の検討-Ⅷ2つの変量間の関係1相関分析/2単回帰分析Ⅸ練習問題(問題1~11)【付録】統計的方法に関するJISとISOの動向■内容■医学におけるわかりやすい〒113-0033東京都文京区本郷2-39-5片岡ビル5F振替00100-0-69315電話(03)3811-0544メディカル葵出版株式会社(108)———————————————————————-Page3読者からの手紙あたらしい眼科Vol.24,No.6,2007????読者から貴誌2007年Vol.24,No.2,249-252に掲載された谷口香織氏らの論文「光干渉断層計で経過が追えた自然閉鎖した特発性黄斑円孔の2症例」1)を興味深く拝読させていただきました.われわれの論文を引用していただいており谷口氏らに感謝いたします.内容の一部について確認したい箇所があり,筆を取った次第です.論文で紹介されている症例はstage3の黄斑円孔とされています.「はじめに」の部分でGass分類について触れているので,いわゆるGass新分類2)を用いたのではないかと考えますが,明確な引用の記述はなく,また,参考文献にもありません.井上らの論文3)でも紹介されているようにGass新分類では,Weissringのない全層黄斑円孔はstage2またはstage3であり,両者の違いは円孔径の違いです.円孔径400?m未満であればstage2,400?m以上であればstage3に分類されるはずです.Gassの新分類を用いているのであれば,今回の2症例ともWeissringがなく円孔径が400?m未満であることから,stage2になります.(「考按」で引用されているTaday-oniらの論文4)自体がGass新分類を正確に用いておらず,OCT所見を加えて分類しています.)症例の分類は論文の根幹をなす部分であると考えますので,著者に確認していただけたら幸いに存じます.今澤光宏山梨大学医学部眼科学教室文献1)谷口香織,福島聡,三井あやほか:光干渉断層計で経過が追えた自然閉鎖した特発性黄斑円孔の2症例.あたらしい眼科24:249-252,20072)GassJD:Reappraisalofbiomicroscopicclassi?cationofstagesofdevelopmentofamacularhole.???????????????119:752-759,19953)井上由希,中馬智巳,中島秀樹ほか:Stage分類を用いた特発性黄斑円孔の手術予後の検討.臨眼60:2055-2058,20064)TadayoniR,MassinP,HaouchineBetal:Spontane-ousresolutionofsmallstage3and4full-thicknessmacularholesviewedbyopticalcoherencetomogra-phy.??????21:186-189,2001?著者よりの返事われわれの論文1)での症例における黄斑円孔の分類についてご指摘をいただき,どうもありがとうございました.先生のご指摘のとおり,今回報告させていただきました2症例は円孔径が400?m以下であり,Gassの新分類2)に従えばstage2になります.しかし論文でも引用していますように,われわれはGassの旧分類3)に準じて今回の2症例の黄斑円孔はstage3と分類いたしました.円孔径は小さいですが,OCT所見では両症例ともに円孔周囲で後部硝子体?離が起こっており,旧分類のstage3であることが確認されています.Gassの新分類については,矛盾点も指摘されており4),今回もあえて旧分類を用いております.今回の報告の趣旨は黄斑円孔周囲で後部硝子体?離が起こっていても,円孔径が小さい症例では自然閉鎖することがあり得るという点であり,後部硝子体?離の観点からするとstage3と分類したほうが妥当であると考えます.谷口香織名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学文献1)谷口香織,福島聡,三井あやほか:光干渉断層計で経過が追えた自然閉鎖した特発性黄斑円孔の2症例.あたらしい眼科24:249-252,20072)GassJD:Reappraisalofbiomicroscopicclassi?cationofstagesofdevelopmentofamacularhole.???????????????119:752-759,19953)GassJD:Idiopathicsenilemacularhole.Itsearlystagesandpathogenesis.???????????????106:629-639,19884)KishiS,TakahashiH:Three-dimentionalobserva-tionofdevelopingmacularhole.????????????????130:65-75,2000(109)本誌24巻2号に掲載の原著論文,「光干渉断層計で経過が追えた自然閉鎖した特発性黄斑円孔の2症例」について