———————————————————————-Page10910-1810/09/\100/頁/JCLSI対象および方法1.対象(図1)1996年9月,アイスランド統計局によって年代別,男女別に人口の6.4%を無作為抽出したレイキャビック在住の50歳以上の一般住民1,700名のうち,死亡や引っ越しによる65名を除外した1,635名に眼科総合検診受診希望者を呼びかけ,連絡が取れた1,379名のうち,これに応じた1,045名(男性:464名,女性:581名,受診率:75.8%)を対象に第1回眼疫学調査を行った(表1).人種は全症例において白人であった.2001年9月に,第1回参加者1,045名のうち,死亡例87名を除いた958名を対象に呼びかけ,845名(男性:375名,女性:470名,受診率[対1996年対象者数]:80.9%,受診率[対生存者数]:88.2%)について第2回調査を行った.2008年8月には,第1回参加者1,045名のうち,死亡例243名を除いた802名中573名(男性:252名,女性:321名,受診率[対1996年対象者数]:54.8%,受診率[対生存者数]:71.4%)を対象に第3回調査を行った.2.問診眼科検診前にあらかじめ26項目にわたる問診票を受診予定者に配布し,受診前に回答可能な範囲で質問事項を満たしたものを検査当日持参させた.検診前にトレーはじめに筆者らは以前より紫外線と眼疾患の関連を調査するため,気象条件の異なる国内外の地域での疫学調査を行ってきた1).石川県輪島市門前町をメインフィールドとし,1996年に鹿児島県奄美地区およびアイスランド・レイキャビック,1997年にシンガポール,2003年に中国遼寧省,2005年に中国海南省および山西省での調査を行っている.このうち,石川県では5年目の調査が終了し,現在10年目の縦断的調査が進行中で,本稿で紹介するアイスランドの調査は2001年,2008年に縦断的調査を終了している.アイスランドは先進国のなかでは紫外線レベルが最も低い地域の一つであり,転居することなく国内に居住している住民が多いことから,紫外線による眼健康障害を評価するには非常に適している対象であるといえる.金沢医科大学グループの行ってきた眼疫学調査のおもな対象疾患は,紫外線との関連が報告されている白内障,翼状片であるが,それ以外の疾患についても同時に検査を行い,日本人,中国人などと比較を行ってきた.本稿では,アイスランド大学と共同の縦断的眼疫学調査ReykjavikEyeStudyについて,その方法と結果の一部を紹介する.2008年8月に12年目の調査が終了したが,今回は5年目までの調査で明らかになった結果について,白内障を中心に,緑内障,落屑症候群,加齢黄斑変性症,滴状角膜,屈折異常などに関しての報告を紹介したい.(17)17:():920029311()特集●わかりやすい眼科疫学あたらしい眼科26(1):1724,2009観察(コート):レイキャビック・アイ・スタディObservationalCohortStudy:TheReykjavikEyeStudy佐々木洋*———————————————————————-Page218あたらしい眼科Vol.26,No.1,2009(18)散瞳後の前眼部スリット像と徹照像の撮影,水晶体所見の観察,眼底観察,視神経乳頭部所見および黄斑部所見の写真撮影を行った.水晶体の所見は,混濁・透明にかかわらず,全症例でスリット像と徹照像の撮影を行った.混濁水晶体の3主病型(核,皮質,後下混濁)はWHO白内障分類2)に従って程度03に分類し,瞳孔領3mm以内の皮質混濁についてはcentral(CEN)(+/)で判定した.2001年調査からは,3主病型以外の6つの水晶体混濁副病型(Retrodots,Waterclefts,Focaldots,Vacuoles,Fiberfolds,Coronarycataract)についても併せて評価した.水晶体所見の診断は同一検者(筆者)がすべて行った.最終診断は撮影画像を解析することによって行ったが,画像の解像度不良症例や散瞳不良例については肉眼で判定した.4.検討項目屈折状態,瞼裂斑,翼状片,老人環,滴状角膜,水晶体所見,落屑症候群,後部硝子体離,緑内障,加齢黄斑変性症,糖尿病網膜症,前眼部の生体計測について検討を行った.また,水晶体混濁と生活習慣,戸外生活歴ニングを受けた問診担当者がこれをチェックし,受診者とともに未回答項目を埋めた.使用した問診票は,基本的に他の疫学調査で使用したものと変わりないが,本疫学調査では戸外活動歴をより具体的に把握するために,この項については詳細な聞き取り調査を行った.3.眼科検査検査の内容は,屈折検査,裸眼・矯正視力測定,眼圧測定,スペキュラーマイクロスコープ,眼軸長測定,前眼部細隙灯顕微鏡検査,前眼部解析システムによる散瞳前の前眼部スリット撮影,散瞳可能症例については極大表11996年参加者の詳細年齢無作為標本*(人数=1,700)検診対象者参加者男/女合計男/女合計男/女合計50代262/265527216/224440167/19436160代220/283503182/259441146/21035670代181/206387160/186346119/13425380歳以上68/15021861/9115232/4375合計731/9041,635619/7601,379464/5811,045*死亡,引っ越しなどによる65人は除外.レイキャビック在住50歳以上の一般住民を年齢層別に無作為抽出:1,700名(死亡・引っ越しなどによる不在65名および連絡不能者256名を除外:321名)検診対象者:1,379名不参加者:334名1996年眼科総合検診受診希望者の呼びかけに応じた対象者:1,045名(受診率[対検診対象者]:75.8%)2001年眼科総合検診受診者:845名(受診率[対1996年生存者数]:88.2%)19962001年死亡者:87名不参加者:113名2008年眼科総合検診受診者:573名(受診率[対1996年生存者数]:71.4%)19962008年死亡者:243名不参加者:229名図11996~2008年レイキャビック・アイ・スタディ参加者チャート———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.1,200919(19)れた.シンガポール人は50代から核白内障がみられ,他の2人種に比べ著しく多い.熱帯地区の特徴的な所見と考えてよく,シンガポール人における核混濁の高有所見率は人種の特異性よりも環境によるものと考察される.筆者らは水晶体の透明度をLensTransparencyProp-erty(LTP)という指標で表している4).LTPは加齢との相関が最も高い前,前成人核,中心間層の散乱光強度とその層間厚から算出し,透明水晶体では加齢に伴いほぼ直線的に増加する.LTPが高い水晶体は白内障発のなかでの太陽光被曝歴の関係についても検討した.II結果1.白内障人種別水晶体混濁有所見率について,アイスランドの第1回調査結果およびシンガポールと石川県輪島市門前町で行った疫学調査結果とを比較した(表2)3).アイスランド人では皮質白内障が最も多く,ついで核,後下白内障の順であった.他人種との比較では,日本人に比べ皮質白内障はやや少なく,核白内障が多い傾向がみら50代60代男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性レイキャビックレイキャビックシンガポールシンガポール石川石川300400500600700800平均LTP(±SD)NSNSNS**************NSNS413.8(55.3)423.7(64.0)578.5(76.7)578.1(72.9)422.4(74.9)395.7(64.1)558.2(74.4)538.8(72.3)660.9(85.5)672.6(81.4)502.3(70.6)465.3(70.1)*:p<0.05,**:p<0.01,***:p<0.005.図2レイキャビック,シンガポール,石川における対象者の平均LTP(±SD)表2白内障有所見率の比較(WHO白内障分類程度1以上)年齢地域皮質白内障(%)核白内障(%)後下白内障(%)男性女性全体男性女性全体男性女性全体50代レイキャビック7.95.86.71.81.61.70.01.60.8シンガポール11.020.016.411.36.68.46.01.63.4石川8.57.67.90.00.00.01.40.00.560代レイキャビック20.416.818.311.39.110.02.11.41.7シンガポール39.638.939.341.243.942.611.87.99.7石川22.843.334.72.61.92.23.32.83.070歳以上レイキャビック46.054.050.233.342.838.24.35.34.8シンガポール48.663.355.474.482.877.948.630.040.3石川55.759.057.522.418.320.25.74.45.0*:p<0.05,**:p<0.01.*******************************———————————————————————-Page420あたらしい眼科Vol.26,No.1,2009(20)この傾向は,太陽南中高度の高い低緯度地域の住民でより顕著にみられた.皮質白内障と太陽紫外線被曝の関係を間接的に支持する結果と考えたい.2.緑内障第1回調査において,42名(男性:22名,女性:20名)が開放隅角緑内障と診断された(図5)7).50歳以上での全体の有所見率は4.0%(95%CI:2.85.2)で,加齢とともに増加傾向にあった(オッズ比:1.10/年,95%CI:1.071.13,p=0.000).また,視神経乳頭径を測定し,緑内障眼(垂直径0.206±0.029インチ)では正常眼(0.189±0.018インチ)に比べ有意に大きく,大きなサイズの視神経乳頭は緑内障の危険因子の一つと考えられる8).3.落屑症候群アイスランドを含め,北欧では落屑症候群の有所見率が高いことが知られている.今回の第1回調査においても,108名(10.7%)に落屑症候群がみられた9).50代症リスクが高いことがわかっている.アイスランド人,日本人,シンガポール人におけるLTPの比較では,白内障有所見率が最も高いシンガポール人でのLTPが有意に高く,LTPが水晶体加齢変化の評価,白内障発症リスク予測に有用であることを示唆する結果と考える(図2).白内障発症危険因子について,第1回調査の結果,2030代および4050代の週末に1日4時間以上戸外で過ごした対象者には重度皮質混濁がみられ,1日の戸外生活時間が4時間未満の者に対する皮質混濁グレードII以上の相対危険度はそれぞれ2.80(95%信頼区間;CI:1.017.80),2.91(95%CI:1.139.62)であった5).その他,全身副腎皮質ステロイド投与,虹彩の色調,屈折状態,食物摂取状況,飲酒と皮質白内障に有意な相関がみられた(表3).皮質白内障の混濁部位について,第1回調査結果とそれ以前に行ったシンガポールやメルボルンでの疫学調査結果と比較し,皮質混濁はいずれの地域でも水晶体の鼻側下部に高率で局在していることがわかった(図3,4)6).表3皮質白内障の危険因子StudyI─グレードI〔相対危険度(95%CI)〕StudyII─グレードII&III〔相対危険度(95%CI)〕薬物治療(有/無)副腎皮質ステロイド局所0.95(0.511.75)1.35(0.473.89)全身0.92(0.263.23)3.70(1.439.56)*ビタミン0.97(0.701.35)0.87(0.461.65)虹彩色グレー/ブラウン0.82(0.491.36)0.50(0.181.35)混合/ブラウン0.67(0.401.10)0.37(0.510.92)*眼疾患(有/無)遠視0.68(0.480.96)*0.65(0.311.36)食物摂取(現在)ニシン,イワシ,エビ頻繁+度々/めったにない+一度もない0.49(0.290.83)**0.27(0.110.71)**時々/めったにない+一度もない0.81(0.561.20)0.30(0.150.62)植物油頻繁+度々/めったにない+一度もない1.15(0.761.76)0.41(0.180.95)*時々/めったにない+一度もない1.12(0.691.18)0.61(0.251.49)アルコール摂取中程度/禁酒0.56(0.350.91)*0.52(0.211.27)*:p<0.05,**:p<0.01.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.26,No.1,200921(21)1,021例と左眼1,020例を評価した10).右眼と左眼には統計的な有意差は認められなかった.50代の片眼において,大きさ63125μmの中型軟性ドルーゼンが4.8%(95%CI:2.67.0),125μm超の大型軟性ドルーゼンが1.2%(95%CI:0.02.3),結晶状もしくは半固体状の大型軟性ドルーゼンが0.6%(95%CI:0.01.4)にみられた.80歳以上においては,それぞれ18.2%(95%CI:9.826.6),10.9%(95%CI:4.017.8),25.5%(95%CI:18.432.6)であった.また,萎縮型は,での有所見率は2.5%だったが,80歳以上では40.6%に増加した(図6).女性(12.3%)は男性(8.7%)より顕著で,年齢調整後解析でも統計的に有意であった(p<0.001).落屑眼は非落屑眼に比べ,眼圧が高かった(p<0.05).しかし,多変量解析において,落屑症候群は角膜中央厚,前房深度,水晶体厚,水晶体核混濁,乳頭形態との有意な相関はなかった.4.加齢黄斑変性症第1回調査において,黄斑部画像で解析可能な右眼耳側78.2鼻側89.9上部耳側上部鼻側下部耳側下部鼻側上部70.6下部90.952.854.868.478.845.781.570.680.732.528.155.470.614.118.537.073.946.886.127.291.3レイキャビック(64?08¢N,21?58¢W)メルボルン(37?46¢S,144?58¢E)シンガポール(0?17¢N,103?51¢E)図4皮質白内障の局在の比較(%)01020男性女性全体有所見率(,95CI)12.8(5.521.2)9.1(0.217.9)7.4(2.911.9)2.9(0.65.1)1.2(0.02.9)2.8(0.15.5)8.6(3.413.8)17.6(4.131.1)0.08.0(4.611.3)2.8(1.14.6)0.6(0.01.3):50代:60代:70代:80歳以上図5開放隅角緑内障有所見率性性有所見率(,)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)(~)図6落屑症候群の頻度図3皮質白内障の局在反帰照明デジタル画像において,07mmの同心円および8本の放射線状直線によって分割された56部位に局在する水晶体混濁部位を判定.瞳孔径は7mm以上.上部下部耳側鼻側———————————————————————-Page622あたらしい眼科Vol.26,No.1,2009(22)14.4),70代の25.7%(95%CI:18.433.0)にみられた(表5)11).後期加齢黄斑変性症は50代での発症はなく,70歳以上において萎縮型が4.6%(95%CI:1.27.9)にみられたが,滲出型はみられなかった.アイスランドでは,萎縮型は加齢黄斑変性症の最多型であり,70歳以上の片眼において9.2%,80歳以上においては25.0%にみられ,滲出型はそれぞれ2.3%,9.8%にみられた(表4).第2回調査結果では,5年間における色素脱失発症が,ベースライン時の年齢50代の10.7%(95%CI:6.9表4加齢黄斑変性症の萎縮型および滲出型の有所見率萎縮型滲出型後期黄斑変性男性女性全体男性女性全体男性女性全体50代0.0%0.6%0.3%0.0%0.0%0.0%0.0%0.6%0.3%60代1.5%1.0%1.2%0.0%0.0%0.0%1.5%1.0%1.2%70代4.0%6.5%5.3%1.0%0.0%0.5%5.1%6.5%5.8%80歳以上21.7%27.6%25.0%8.7%10.7%9.8%21.7%34.5%30.8%全体2.7%3.5%3.2%0.7%0.7%0.7%2.9%3.9%3.5%表55年間の加齢黄斑変性症の発症率─累積的発症率(95%CI).年代グループはベースライン時の年齢─50代60代70代80歳以上63125μm軟性ドルーゼン5.0%(2.47.7)10.8%(6.814.8)22.7%(15.330.0)6.7%(0.021.0)125μm超境界明瞭軟性ドルーゼン1.1%(0.02.4)2.0%(0.33.8)3.6%(0.56.8)6.7%(0.021.0)125μm超境界不明瞭軟性ドルーゼン1.1%(0.02.4)6.7%(3.69.8)12.8%(7.018.5)28.6%(1.555.6)63μm以上色素脱失10.7%(6.914.4)11.4%(7.415.4)25.7%(18.433.0)23.5%(1.046.0)63μm以上色素沈着1.9%(0.23.5)4.7%(2.17.3)9.2%(4.414.1)17.7%(0.037.9)色素異常9.9%(6.313.6)13.2%(8.917.5)26.5%(19.034.0)31.3%(5.756.8)早期加齢黄斑変性症14.8%(10.419.2)17.6%(12.722.5)43.9%(33.953.9)50.0%(12.387.7)後期加齢黄斑変性症0%(n.a.)0.4%(0.01.1)4.4%(0.97.9)5.9%(0.018.4)表65年間の加齢黄斑変性症発症の危険因子―年齢・性別・喫煙調整オッズ比(95%CI)―63125μm軟性ドルーゼン125μm超大型境界明瞭ドルーゼン125μm超大型境界不明瞭ドルーゼン色素脱失色素沈着色素異常早期加齢黄斑変性症アルコール摂取なし1.001.001.001.001.001.001.00月1回未満0.47*(0.220.98)0.45(0.063.54)0.53(0.251.14)1.09(0.572.06)1.93(0.874.29)1.37(0.772.43)1.65*(1.062.56)それ以上0.40*(0.150.98)0.69(0.067.68)0.28*(0.090.94)1.10(0.502.42)2.52(0.827.78)1.42(0.692.91)1.98*(1.133.49)婚姻状態離婚・死別者1.001.001.001.001.001.001.00独身者0.72(0.261.99)0.90(0.0810.09)1.58(0.524.77)0.34*(0.150.80)0.96(0.233.97)0.39*(0.180.88)0.82(0.451.52)既婚者0.45*(0.230.86)0.79(0.173.65)0.82(0.361.86)0.82(0.421.58)0.84(0.342.07)0.83(0.461.51)1.34(0.882.04)*:p<0.05.———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.26,No.1,200923類似人種と比較すると,萎縮型の滲出型に対する比率がより高いことが特徴であった.加齢黄斑変性症の危険因子についても検討した.現在のアルコール摂取はドルーゼン発症リスクを減少させる(表6)12).また,既婚者は離婚者や死別者よりも軟性ドルーゼン発症リスクが減少しており,独身者は離婚者や既婚者よりも色素沈着発症リスクが減少していた.食物繊維の豊富な野菜や肉および肉製品を週一度の摂取もしくは摂取頻度が低い場合,軟性ドルーゼンの発症危険因子となるが,色素異常リスクを減少させる.年間20箱以上の喫煙者は,禁煙者に比して5年間での生存率が減少していたため(オッズ比:0.46,95%CI:0.270.80,p=0.006),加齢黄斑変性症に対する有意な影響は検出できなかった.5.滴状角膜滴状角膜は角膜中央にみられる微細なDescemet膜の疣状隆起で,加齢とともに数を増す角膜変性であり,Fuchs角膜内皮ジストロフィの前段階と考えられることもある.これまでPopulation-basedStudyでの本所見に関する報告はない.50歳以上のアイスランド一般住民における両眼での滴状角膜の有所見率は,女性11%,男性7%,全体で9.2%であった13).石川県門前町50歳以上での滴状角膜の有所見率は男性0.6%,女性2.5%,全体で1.7%であり,アイスランドでは日本人に比べ滴状角膜が非常に多いことが明らかになった.高体重や高BMI(bodymassindex)値は滴状角膜減少と相関があった(図7).年間喫煙20箱以上の滴状角膜発症リスクは2倍となった(p<0.02).また,性別においては,男性より女性により多くみられた.6.屈折異常ベースライン時の年齢50歳以上の757名の右眼を対象に屈折変化分析を行った14).5年間での屈折変化に関して,50代と60代においてはそれぞれ0.41Dと0.34Dの遠視化,70歳以上においては0.02Dの近視化,全右眼においては0.29Dの遠視化がみられた(図8).そのうち,ベースライン時に核混濁グレードII以上であった眼は平均0.65Dの近視化がみられた.加齢に伴いすべての年代で倒乱視化がみられた.5年で50代が0.09D,60代が0.13D,70歳以上では0.21D倒乱視化していた.眼軸長は2001年の検診でのみ測定し,50代の平均眼軸長は23.56mm(SD:1.08mm),60代は23.40mm(SD:1.01mm),70歳以上は23.23mm(SD:1.27mm)であり,加齢に伴い眼軸長は短縮する傾向がみられた.加齢に伴う屈折の遠視化は,水晶体屈折力の変化,水晶体形状と前房深度の変化,眼軸長の変化が関連してい(23)1.023(0.9941.052)1.606(0.9612.685)0.978(0.9511.007)0.975(0.9570.994)*0.931(0.8700.995)*0.907(0.5981.377)0.945(0.6261.428)0.954(0.6351.435)1.329(0.6782.605)2.198(1.1794.098)*0.989(0.4882.007)0.453(0.1701.911)0.682(0.3441.352)0.978(0.9261.032)1.000(0.5891.697)00.511.522.5年齢性別身長体重BMIUV被曝(20代)UV被曝(30代)UV被曝(40代)喫煙(年間20箱未満)喫煙(年間20箱以上)アルコール摂取落屑症候群前房深度前房隅角加齢黄斑変性症*p<0.05図7滴状角膜の危険因子(右眼)単変量ロジスティック回帰分析:オッズ比(95%CI).00.20.40.60.811.21.41.61.8等価球面(D)0.271.211.440.681.5550代60代70歳以上:1996年:2001年1.42図85年間の屈折変化50歳以上(ベースライン時)の参加者757名の有水晶体眼(右眼)における平均等価球面値.———————————————————————-Page824あたらしい眼科Vol.26,No.1,2009る可能性が考えられる.屈折の加齢変化に関するこれらの結果は,加齢に伴う視機能の長期予測,片眼白内障手術時のレンズパワー決定,屈折手術後の長期予測などに有用であると考えられる.おわりにアイスランドで行ったReykjavikEyeStudyについて,その結果の一部を紹介した.国外での疫学調査の実施は容易ではないが,日本人と異なる人種の眼をみることができたことは非常に意義深いものであった.水晶体一つをとっても混濁病型は日本人とは異なり,白内障発症に遺伝的な要因が密接に関与していることを強く実感することができた.今後も,眼疾患への環境因子の影響,疾患の遺伝的背景を明らかにすることを目的に,積極的に国内外での眼疫学調査を継続していきたい.文献1)SasakiK,SasakiH,KojimaMetal:Epidemiologicalstud-iesonUV-relatedcataractinclimaticallydierentcoun-tries.JEpidemiol9:S33-38,19992)ThyleforsB,ChylackLTJr,KonyamaKetal:Asimpli-edcataractgradingsystem.OphthalmicEpidemiol9:83-95,20023)SasakiK,SasakiH,JonassonFetal:Racialdierencesoflenstransparencypropertieswithagingandprevalenceofage-relatedcataractapplyingaWHOclassicationsys-tem.OphthalmicRes36:332-340,20044)SasakiH,HockwinO,KasugaTetal:Anindexforhumanlenstransparencyrelatedtoageandlenslayer:comparisonbetweennormalvolunteersanddiabeticpatientswithstillclearlenses.OphthalmicRes31:93-103,19995)KatohN,JonassonF,SasakiHetal:CorticallensopacicationinIceland.Riskfactoranalysis─ReykjavikEyeStudy.ActaOphthalmolScand79:154-159,20016)SasakiH,KawakamiY,OnoMetal:Localizationofcorti-calcataractinsubjectsofdiverseracesandlatitude.InvestOphthalmolVisSci44:4210-4214,20037)JonassonF,DamjiKF,ArnarssonAetal:Prevalenceofopen-angleglaucomainIceland:ReykjavikEyeStudy.Eye17:747-753,20038)WangL,DamjiKF,MungerRetal:IncreaseddisksizeinglaucomatouseyesvsnormaleyesintheReykjavikEyeStudy.AmJOphthalmol135:226-228,20039)ArnarssonA,DamjiKF,SverrissonTetal:Pseudoexfoli-ationintheReykjavikEyeStudy:prevalenceandrelatedophthalmologicalvariables.ActaOphthalmolScand85:822-827,200710)JonassonF,ArnarssonA,SasakiHetal:Theprevalenceofage-relatedmaculopathyiniceland:ReykjavikEyeStudy.ArchOphthalmol121:379-385,200311)JonassonF,ArnarssonA,PetoTetal:5-yearincidenceofage-relatedmaculopathyintheReykjavikEyeStudy.Ophthalmology112:132-138,200512)ArnarssonA,SverrissonT,StefanssonEetal:Riskfac-torsforve-yearincidentage-relatedmaculardegenera-tion:theReykjavikEyeStudy.AmJOphthalmol142:419-428,200613)ZoegaGM,FujisawaA,SasakiHetal:PrevalenceandriskfactorsforcorneaguttataintheReykjavikEyeStudy.Ophthalmology113:565-569,200614)GudmundsdottirE,ArnarssonA,JonassonF:Five-yearrefractivechangesinanadultpopulation:ReykjavikEyeStudy.Ophthalmology112:672-677,2005(24)