———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLSアイの定義が決まった.この定義をもとに日本でもドライアイ研究会からドライアイの定義が発表されていた.世界のドライアイの定義には“眼が疲れるなどの自覚症状が必須”であったにもかかわらず,日本のドライアイの定義には“自覚症状の有無は問わない”とあり,ここに大きな隔たりがあった.これはStevens-Johnson症候群などの重症ドライアイにおいては眼表面が皮膚のようになってしまい,痛みも症状もなくなってしまうので,もし自覚症状を必須とすると,これら最重症のドライアイが定義からもれてしまうので整合性がとれないという意見があったためである.このワークショップの報告書は,ドライアイの分野において10年以上,確たるリソースとして利用されたが,その間に,基礎と臨床研究の双方において情報が急増したことで,再度前述のプロセスを行う必要が生じた.坪田一男教授の提案とMichaelA.Lemp教授の支持により,そうしたタスクを実行するために,ドライアイ専門家による国際委員会を募集するという構想が提起され,2001年に予備会議が開かれた.参加者の選択は,ピアレビューによる出版物の経験,過去のドライアイ会議への参加レベル(NEI/業界のワークショップを含む),同分野の著名な専門家との協力に基づいて行われた.タスクの大きさはすぐに明らかになり,そのタスクの規模の大きいことからTearFilm&OcularSurfaceSociety(涙液と眼表面に関する臨床学会)(TFOS)に連携協力が要請された.TFOSの代表であるDavidA.はじめにわが国のドライアイ推定患者数は約800万人,アメリカでは1,000万人以上とされており,その数は年々増加している.このような状況にあるにもかかわらず,以前はドライアイの定義や診断基準が曖昧なため,不定愁訴とともに点状表層角膜炎を認めればドライアイである,というような漠然とした診断をし,人工涙液を処方するという治療が行われていたように思える.ドライアイは,一般的でありながら十分に認知されていない臨床状態であり,その病因と管理は,臨床医にとっても研究者にとってもむずかしいものとなっている.しかし,この疾患については,疫学,病原論,臨床徴候,ならびに考えられる治療法の分野において,この10年間で理解が進んでいる.I世界ドライアイワークショップの経緯1)19941995年,NationalEyeInstitute(NEI,米国国立眼科研究所)が支援者となり,業界が支持したワークショップに,ドライアイに関心のある科学者,臨床医,研究者が集まり,ドライアイの定義および特徴の明確化,ならびにドライアイ疾患に関する臨床研究の実施および臨床試験の実施について,信頼できるパラメータの提示を行った.そして1995年の世界ドライアイワークショップ(DEWS)にワシントンのMichaelA.Lemp教授を中心に,日本からは坪田一男教授と,当時ボストンに留学していた戸田郁子医師も参加して世界のドライ(3)1611ド152新35特集●ドライアイ最近の考え方あたらしい眼科25(12):16111617,2008新ドライアイ世界診断基準TheNewInternationalDryEyeDiagnosticCriteria村戸ドール*———————————————————————-Page21612あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(4)IIドライアイの定義1)ドライアイとは,“さまざまな要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり,眼不快感や視力障害を伴う”と定義される(2005年日本ドライアイ研究会).当時の世界の定義は“ドライアイは涙液の量的,質的異常,蒸発亢進,眼表面上皮障害ならびに自覚症状を有する疾患である”という定義になっていた.今回の新しい世界ドライアイワークショップの委員会は,ドライアイにおける涙液の高浸透圧性と眼表面の炎症の役割,ならびに視覚機能に対するドライアイの影響に関する新しい知識に照らし,この定義は改正可能であるという点で合意した.まず,2つの定義が作成され,ワークショップのメンバーに提示された.これらの「全般的」で「実務的な」定義は,ある程度重複するため,2007年の最終報告書では,これらのバージョンを組み合わせて,下記の定義を作成した:“ドライアイは,不快感,視覚障害,涙液層の不安定性を有し,眼表面ダメージに至る涙液および眼表面の多因子疾患である.ドライアイでは,涙液層の浸透圧が上昇し,眼表面に炎症が起こる.”IIIドライアイ疾患の分類1)Aqueous-decient(涙液欠乏性)ドライアイとevapo-rative(蒸発性)ドライアイの区別は,定義から除外されたが,原因・病理論的分類では維持されている.分科委員会により作成された病因・病理学的分類は,NEI/業界ワークショップ報告書で提示された分類の更新バージョンであり,ドライアイ疾患に関するより新しい知識を反映している(図1).図1の左側のボックスは,ドライアイを発症する個人リスクに対する環境の影響を示している.Environment(環境)という用語は,個人間の生理学的差(内部環境),ならびに各個人が遭遇する周囲条件(外部環境)を含む言葉として広く使用されている.内部環境とは,ドライアイのリスクに影響を与える各個人に特異的な生理学的条件を指す.たとえば,正常な人では,自然瞬目率が低い,あるいは行動学的または生理学的理由で瞬目率が低下することがある.瞬目率が低Sullivan,PhDは,TFOSの組織的・管理的サポートを担当し,DEWSを推進するために,国際企業から幅広い資金援助を確保した.DEWSの取り組みは,イギリス・オクスフォード大学眼科学教室のAnthonyJ.Bron教授が議長となり,許容できるエビデンスのレベルおよびそのエビデンスを裏付ける文書化の方法を決めるガイドラインを提案した運営委員会によって指揮された.第1段階として,コミュニケーション・業界連絡委員会に加え,つぎの分科委員会の結成が行われた.すなわち,定義と分類;疫学;診断;調査;臨床試験,ならびに管理と治療.科学分野の分科委員会には,ドライアイの諸相に関する最新かつエビデンスに基づいた情報の特定,ならびに文書による十分な裏づけと参考文献がある概念的な形式においてデータを要約する責任が与えられた.分科委員会の議長たちは,各作業委員会について目標を設定し,業務の調整に責任を負うことになった.第2段階では,3日間の会議が開かれ,その際にグループ全体に対して委員会の報告が行われ,公開討論会における議論では,すべての参加者に意見の発表や,報告書への追加提案が促された.最終段階として,報告書を審査し,提示された情報とコンセプトの発表内容および相互参照を調整する目的で,執筆チームが結成された.審査および検討のプロセスは,数年間かけて行われた.参加者全員が閲覧を行ったり,意見を述べたりできるように,報告書はインターネットのウェブサイトに掲載され,受理されたコメントは,評価と対応を求めて分科委員会の議長に提出された.報告書案は,最終審査と承認のため,運営委員会に提出された.参加者は全員,財源の内容と利害の衝突を開示するよう求められ,その情報はウェブサイト(www.tearlm.org)に掲載され,同報告書の巻末で発表された.TheOcularSurfaceの特別号で発表された報告書に加え,TFOSのウェブサイトではDEWSの結果を拡大版として電子形式で閲覧できるようになった(www.tearlm.org).各章は,ドライアイの理解に関する話題に対応しており,これらを組み合わせた発行により,臨床医,疫学研究者,基礎・臨床科学者,および製薬業界関係者にとって有用なものになると考えられる.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081613(5)イアイの重要なリスク因子であり,早期卵巣機能不全の女性は,涙液の生成が影響を受けていないにもかかわらず,ドライアイの症状と徴候に悩まされることになる.涙腺からの涙液分泌は,いくつかの全身薬により減少するが,こうした影響は,内部環境の障害とみなされる.加齢により,涙液量および流量の減少,浸透圧の亢進,涙液層の安定性の低下,マイボーム腺脂質の組成の変化など,ドライアイにかかりやすくなる生理学的変化が生じる.外部環境には,ドライアイ発症のリスク因子になりうる職業的および外的環境が含まれる.異なる地理的位置,あるいは空調,飛行機旅行などの人工的な環境により作られる特殊な状況下で生じる相対湿度が低い条件下では,眼からの水分蒸発量が増加する.同様に,強風に曝露した場合にも蒸発量が増加するが,この機序は,ドライアイの新しい実験モデルの一部に取り入れられてい下すると,瞬目間隔,および瞬目と瞬目の間の蒸発損失時間が延長する.ドライアイの原因論において,性ホルモンの役割を裏付けるエビデンスが多数存在し,一般的に,アンドロゲン濃度が低く,エストロゲン濃度が高いことがドライアイのリスク因子になるとされる.生物学的に活性なアンドロゲンは,涙腺およびマイボーム腺の機能を促進する.アンドロゲン欠乏症はドライアイと関連しており,局所的あるいは全身的なアンドロゲン治療により予防できると考えられる.ドライアイは,前立腺癌治療で抗アンドロゲン剤に曝露する患者に起こり,また,完全アンドロゲン不応症候群の女性では,マイボーム腺および杯細胞の機能障害のエビデンスとともに,ドライアイの徴候と症状に進行がみられる.マイボーム腺機能不全(MGD)に伴う「非自己免疫性」ドライアイでは,アンドロゲンプールの著しい枯渇が報告されている.また,女性および閉経後のエストロゲン療法もドラ図1ドライアイの原因疾患による分類(TheOcularSurface,Vol.5,No.2,2007より)Aqueous-decientDYEYESjgrenSyndromeDryEyePrimaryEectoftheEnvironmentleutereurLowblinkratebehavior,VTU,microscopyWidelidaperturegaepositionAgingLowandrogenpoolSystemicDrugs:antihistamines,beta-blockers,antispasmodics,diuretics,andsomepsychotropicdrugsleutereurLowrelativehumidityHighwindvelocityOccupationalenvironmentSecondaryNon-SjgrenDryEyeLacrimalDeciencyLacrimalGlandDuctObstructioneeBlockSystemicDrugsDrugActionAccutaneLowBlinkateDisordersofLidApertureMeibomianOilDeciencyVitaminA-DeciencyTopicalDrugsPreservativesontactLensWearOcularSurfaceDiseaseeg,AllergyEtrinsicIntrinsicEvaporative———————————————————————-Page41614あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(6)る水分喪失,そして潤滑液の喪失と表面の炎症による症状の原因になることがあげられる.ドライアイの特徴を長期的に誘発,増幅,変化させうるドライアイ・プロセスの中心として,特定の中心的機序が予見できる.それらは,tearhyperosmolarity(涙液の高浸透圧性)とtearlminstability(涙液の不安定性)である.涙液の高浸透圧性は,眼表面の炎症,損傷,症状を誘発する中心的メカニズム,ならびにドライアイにおける代償的イベントの開始とみなされている.涙液の高浸透圧性は,涙の流量が少ない場合に,露出した眼表面からの水分蒸発の結果として,または過剰な蒸発の結果として,あるいはこれらのイベントの組み合わせとして生じる.ドライアイの中心的なメカニズムとして浸透圧説は欧米では好まれているようであるが臨床上,涙液の浸透圧を簡便に測定できる器具が普及していないため,他国では浸透圧説はいまだにドライアイの診断過程に利用されていない.ドライアイの一部のタイプでは,以前の涙液の高浸透圧性とは無関係に,涙液層の不安定性が最初のイベントになることがある.早期涙液層の破壊という形での明らかな涙液層の不安定性がドライアイの要素として容認されるのに対し,より微妙な涙液層の不安定性も,眼表面のストレスに反応したドライアイ合併症の誘因と考えられる.涙液層の不安定性が,瞬目間隔内で生じる涙液層破壊の場合,露出表面の局所的乾燥および高る.職業的因子が瞬目率の低下の原因になると考えられるが,これはビデオディスプレイ端末を使って働く人のドライアイリスクの代表的なものである.瞬目率の低下,上方注視に伴うものも含めた眼瞼幅の増加に伴うその他の活動が,ドライアイ症状の発生リスクになることが報告されている.1995年のワークショップ1で示されたように,ドライアイのおもな種類は,現在もaqueous-decientdryeye(涙液欠乏性ドライアイ:ADDE)とevaporativedryeye(蒸発性ドライアイ:EDE)となっている.ADDEのカテゴリは,おもに涙腺からの分泌不足を指しており,このアプローチは維持されている.ただし,結膜からの水分分泌不全もaqueous-deciencyに寄与することを認識すべきである.EDE分類は,眼瞼および眼表面の内因性の状態,ならびに外因性の影響から生じる状態それぞれに依存する原因を区別できるよう,下位分類されてきた.ドライアイは,これらのクラスのいずれかとして発生すると考えられるが,それらは相互排他的ではない.主要な下位グループで発生した疾患が,別の主要な機序によってドライアイを誘発するイベントと共存したり,それを誘発する可能性があると考えられている.これは,ドライアイの重症度を増幅する相互反応の悪循環の一部である.その例として,どのタイプのドライアイにおいても杯細胞の喪失が起こり,これがつぎに,涙液層の安定性喪失,表面の損傷および蒸発によ表1ドライアイの重症度による分類重症度レベルレベル1レベル2レベル3レベル4違和感・頻度軽度・たまに中程度・慢性重症重症視覚症状なし/軽度気になる気になるいつも結膜の充血なし/軽度なし/軽度+/+/++結膜上皮障害なし/軽度軽度中程度中程度重症角膜上皮障害なし/軽度軽度中程度中央部重症角膜所見なし/軽度Debris,TMH↓糸状炎糸状炎潰瘍MGDの有無なし/軽度なし/軽度よくあり角化・消耗乱性涙液層破壊時間さまざま≦10≦5即座に乾くSchirmer値さまざま≦10≦5≦2MGD:マイボーム腺機能不全,Debris:涙液中の老廃物,TMH:涙液メニスカス高.(TheOcularSurface,Vol.5,No.2,2007より)———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081615(7)類を採用することには,大きな臨床的有用性があると考えた(表1).本委員会はドライアイ重症度による治療方針についても提案している(表2).IVわが国では2006年よりDEWSの方向性もかなり固まってきたことでその流れを参考にしながら日本ドライアイ研究会の協力のもとでわが国の新しい定義と基準も見直して作成することになった.2006年度より日本のドライアイの定義は“ドライアイとはさまざまな要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり,眼不快感や視覚障害を伴う”という“自覚症状ならびに視覚障害”の概念が含まれるものに変わった.ここ10年間ドライアイの不定愁訴が中心となる新しいタイプのドライアイ(コンピュータ作業によるものなど)が非常に多くなってきているといわれている.DEWSで日本におけるドライアイの頻度に関する疫学調査や研究が非常に少ないことや大規模の疫学調査がほとんどなされていないことが指摘されている.新ドライアイ定義に自覚症状が含まれたことで疫学調査もアンケートのみによって行うことが十分可能となり,ドライアイの頻度やドライアイにおけるリスクファクターをより容易に評価できるようにもなったと思われる.わが国におけるドライアイ診断基準は以下のようである2)(表3).①自覚症状ドライアイ症状の根拠は完全に解明されていないが,ドライアイの原因論,機序,ドライアイ治療の反応の検討から推測できる.症状の発生は,眼表面における侵害受容を促進する感覚神経の活性化を示唆している.候補として,瞬目間の涙液層破壊,涙液量の減少による眼瞼と眼球の剪断応力,および/または眼表面でのムチン発現の低下,眼表面の炎症メディエーターの存在,ならびに侵害受容感覚神経の過敏性など,涙液および眼表面の浸透圧性,表面上皮の損傷,グリコカリックスと杯細胞ムチンの異常が誘発されると考えられる.結果的に,後者は,イベントの悪循環の一部として,涙液層不安定性を悪化させる.眼表面のムチンの異常が涙液層の不安定性の原因になっている臨床結果の2つの例として,眼球乾燥症とアレルギー性眼疾患がある.ビタミンA欠乏症における初期の涙液安定性喪失は,眼表面におけるムチン発現の減少と杯細胞の喪失が原因である.季節性アレルギー性結膜炎やvernalkeratoconjunctivitisでは,眼の表面におけるムチン発現の異常は,初期にはアレルゲン曝露への反応として炎症性メディエーターの放出を誘発する,IgE-媒介1型過敏症の機序が原因となっている.その他の例として,局所薬,特に眼表面での炎症性細胞マーカーの発現を促進し,上皮細胞の損傷,アポトーシスによる細胞死,杯細胞密度の低下を誘発する防腐剤使用点眼薬などの保存料の作用が含まれる.今回のDEWSの定義・分類委員会は重症度に基づく疾患の分表2ドライアイ重症度による治療方針レベル1:患者の生活習慣・職場環境の変更について指導ドライアイの原因になる薬剤の中止人工涙液点眼眼瞼縁のマネジメント(温罨法など)レベル2:レベル1の治療は不十分であればプラスで:抗炎症剤点眼薬テトラサイクリン/ミノサイクリン全身投与(マイボーム腺炎の場合)涙点プラグ涙液分泌亢進剤ドライアイ保護用カバーモイスチャーエイドレベル3:レベル2の治療は不十分であればプラスで:血清点眼ボストンスクレラルコンタクトレンズなど涙点焼灼レベル4:レベル3の治療は不十分であればプラスで:抗炎症剤・免疫用製剤の全身投与外科的治療(羊膜移植,眼瞼形成術,唾液腺移植,粘膜移植など)(TheOcularSurface,Vol.5,No.2,2007より)表3ドライアイの診断基準①自覚症状○○○②涙液検査○×○③角結膜上皮検査○○×ドライアイの診断確定疑い疑い———————————————————————-Page61616あたらしい眼科Vol.25,No.12,2008(8)研究会は世界ドライアイ診断基準の制定に合わせ,2006年に日本での定義・診断基準を改訂.診断基準に「自覚症状を有すること」を加えた.これらの診断基準の妥当性を検証するために,2つのスタディが2006年から2年間実施された.米国でのスタディとの比較・評価がしやすいように,米国での大規模疫学調査で用いた質問票で行われた.一つは日本初の大規模な自覚症状の起きる疫学調査で,大企業に勤めるVDT作業者4,393人を対象に実施された.その結果,4時間以上のVDT作業や,コンタクトレンズ使用がリスクファクターであることが判明した.また,対象症例の多くには重症のドライアイの自覚症状があることも確認された3).もう一つは若者におけるドライアイの自覚症状についてはあまりわかっていないため,世界初の「日本人高校生におけるドライアイの出現頻度」をテーマに,3,433人を対象に調べた.その結果,重症ドライアイの自覚症状を有するものは男子が20%,女子が24.4%と頻度が高かった.その大きな理由として,コンタクトレンズ使用がリスクファクターであることがわかった4).この2つのスタディで,ドライアイの起きる自覚症状が問題になっているということは一応,評価できたのではないかと思われる.日本でも自覚症状を評価できるわが国ならではの適切な問診票を試案・作成することは今後の課題である.今回のDEWSレポートと並行して,日本においてドライアイ研究会では独自のドライアイの定義と診断基準の見直しが進められ,発表された〔島﨑潤(ドライアイ研究会):2006年ドライアイ診断基準2)〕.これらの診断基準が本当に正しいかどうかについては,横井則彦先生と村戸ドールが中心になって現在前向き試験を遂行中である.細かいところでは日本とDEWSの定義や診断基準に違いがある(日本の定義には炎症という概念が含まれていないなど)が,ほぼDEWSの報告書の内容は日本においても認められるべきものと考えられており,2007年DEWSのレポートをTFOSといっしょにドライアイ研究会として発刊することになった.謝辞:今回の世界ドライアイワークショップの活動に際してのドライアイ研究会世話人の先生方のご協力に心から感謝申し上げ高浸透圧性が含まれる.ドライアイの確定診断には,自覚症状を有することが必須である.自覚症状としては,異物感などの慢性眼不快感のほか,視力障害も含まれる.自覚症状はあるが,涙液異常,角結膜上皮障害のいずれかを有しないものは,現在の検査で検出しえない異常がある可能性を考え,ドライアイ疑い例と考えるのが適当である.②涙液検査SchirmerⅠ法で5mm以下,または涙膜破壊時間(BUT)が5秒以下の場合に涙液異常と判断する.Schir-mer試験は点眼麻酔を使用せずに,自由瞬目状態で行うことを基本とする.BUT測定は,患者に自発的に開眼させた状態で行い,角膜全体のどこかに涙膜破壊が生じるまでの時間を正確に測定し,3回の平均値で判定することが望ましい.③角結膜上皮検査フルオレセイン染色検査では,鼻側・耳側球結膜,および角膜をそれぞれ3点満点でスコア化し(全体で9点満点),3点以上を陽性とする.ローズベンガルもしくはリサミングリーン染色試験も同様に,鼻側・耳側球結膜,および角膜をそれぞれ3点満点でスコア化し(全体で9点満点),3点以上を陽性とする.いずれかの試験で陽性の場合に角結膜上皮障害ありと判定する.日本のドライアイ診断基準は表3のように具体化しており,症例を確定例,疑い例と分け,さらに検査のカットオフ値も明確となっている.欧米では上述したように原因やメカニズムによって疾患をADDEかEDEという形で分け,重症度に応じて治療を段階的に行う考えが普及している.おわりに今回のDEWS報告書では,ドライアイの診断方法や臨床試験の進め方,疫学調査の方法など幅広く網羅されており,臨床医や疫学研究者,製薬業界関係者にとっても有用で力になるものであると思われる.日本での応用に関してはドライアイ研究会としてさらに検討を重ねて固めていく必要があるが,一応,ドライアイの定義と分類に関しては世界との統一性が得られたと思われる.同———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.25,No.12,20081617ます.木下茂先生,大橋裕一先生,島﨑潤先生,下村嘉一先生,高村悦子先生,田川義継先生,濱野孝先生,横井則彦先生,渡辺仁先生,本当にありがとうございました.文献1)世界ドライアイワークショップ2007年報告書:ドライアイ疾患の定義および分類.TheOcularSurface5:12-28,20072)島﨑潤(ドライアイ研究会):2006年ドライアイ診断基準.あたらしい眼科24:181-184,20073)UchinoM,SchaumbergDA,DogruMetal:PrevalenceofdryeyediseaseamongJapanesevisualdisplayterminalusers.Ophthalmology.2008Aug15.[Epubaheadofprint]4)UchinoM,DogruM,UchinoYetal:JapanMinistryofHealthStudyonprevalenceofdryeyediseaseamongJapanesehighschoolstudents.AmJOphthalmol.2008Aug22.[Epubaheadofprint](9)お申方法:おとりつけの書,また,その便のない場合は直あてご注文ください.メディカル葵出版あたらしい眼科Vol.26月刊/毎月30日発行A4変形判総140頁定価/通常号2,415円(本体2,300円+税)(送料140円)増刊号6,300円(本体6,000円+税)(送料204円)年間予約購読料32,382円(増刊1冊含13冊)(本体30,840円+税)(送料弊社負担)最新情報を,整理された総説として提供!眼科手術Vol.22(本体2,400円+税)(送料160円)年間予約購読料10,080円(本体9,600円+税)(4冊)(送料弊社負担)日本眼科手術学会誌特集】毎号特集テーマと編集者を定め,基本的事項と境界領域についての解説記事を掲載.【原著】眼科の未来を切り開く原著論文を医学・薬学・理学・工学など多方面から募って掲載.【連載】セミナー(写真・コンタクトレンズ・眼内レンズ・屈折矯正手術・緑内障・眼感染アレルギーなど)/新しい治療と検査/眼科医のための先端医療他【その他】トピックス・ニュース他毎号の【特集】あらゆる眼科手術のそれぞれの時点における最も新しい考え方を総説の形で読者に伝達.【原著】査読に合格した質の高い原著論文を掲載.【その他】トピックス・ニューインストルメント他社〒1130033東京都文京区本郷2395片岡ビル5F振替00100569315電話(03)38110544://www.medical-aoi.co.jp