———————————————————————-Page10910-1810/06/\100/頁/JCLScalactivityscore(表1)6)が治療適応決定の参考になる.しかし視神経障害と結膜充血を同じ1点として扱ってよいものか疑問もある.また自然緩解も非常に多く,著明に重症化するのは15%程度であり(図4)1,7),このようなものが入院治療の対象となるI進行因子喫煙8)が悪化因子であることがランダム化比較試験で示されている.Basedow病ではヨード分が含まれる海藻摂取を控えるように勧める一般書が多いが,ヨード摂取によるBasedow病の悪化は低ヨード地域での報告であり,海洋国であるわが国で根拠はない.IIステロイド治療1.効果抗浮腫作用をもつとともに免疫担当リンパ球に働いてサイトカイン,免疫グロブリン,炎症メディエーターの産生を抑える.軽症例に対するステロイド内服投与は,短期的には消炎効果および抗浮腫作用による自覚症状の軽減があるとしても,無治療群とのランダム化比較試験がなく現在のところ長期的効果に自然治癒との有意差は明らかにされていない.一方,内服投与よりもパルス療法が有効であることはランダム化比較試験で証明され9,10)広く用いられている.なお,現在のところ施設によってステロイドパルス療法を行うかベタメタゾン(リンデロはじめに甲状腺眼症は,重症化すると複視による業務障害,顔貌の変化による引きこもりなど患者のQOL(qualityoflife)が著しく悪化する.しかし急性期の治療法はいまだに見解の統一をみていない(図1).近年は科学的なランダム化比較試験randomizedcontrolledtrialスタイルの論文がいくつか発表されており,本稿で治療に関する現時点でのEBM(evidence-basedmedicine)を極力まとめてみたい.甲状腺眼症のEBMの確立のむずかしさの一つは疾患の多様性(図2)1~3)で,若年者に眼球突出が多く高齢者では眼球運動制限が前面に出ることが多いが,症例によって病像はきわめて変化に富んでいる.報告されているランダム化比較試験でもこれらの症状を正確にマッチングさせることなく2群に分けているのが実情である.多様な症状のなかで,特に重篤である視神経症もまれではなく1,3),眼圧上昇や角膜障害などの視機能にかかわる頻度も高く3),眼科医が主導的役割を担う疾患であると考えられる.治療する際に必要条件はこれら症状が発症して間もない急性期にあることで,固定期に至ると治療は有意な効果が期待できない(図3).急性期にあることを知るためには,最近の顔写真を持参して頂くのが判定に便利であり,客観的にはMRI(磁気共鳴画像)のT2緩和時間4,5)が指標となる.重症度の評価はかつてはNOSPECS分類が用いられたが,最近は活動性に力点を置いたclini-(37)???*MineoTakagi&AtsushiMiki:新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野〔別刷請求先〕高木峰夫:〒951-8510新潟市旭町通一番町754新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野特集●もっと知りたい,斜視・弱視あたらしい眼科23(6):735~742,2006甲状腺眼症治療のEBM????????-??????????????????????????????????????????高木峰夫*三木淳司*———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006(38)球後の炎症に対して軽症眼瞼腫脹,涙腺腫脹ときに軽度の眼球突出に対して重症中等度1g1g1g1g1g1g施設Aリンデロン?(点滴→内服)リンデロン?(点滴→内服)……反応をみて漸減反応をみて2mgずつ漸減8mg反応をみて漸減12mg必要に応じて放射線15Gy反応をみて漸減反応をみて漸減反応をみて2mgずつ漸減8mg反応をみて漸減12mg反応をみて漸減放射線15Gy(1.5Gy×10日)リンデロン?球後注射片眼5~7回リンデロン?球後注射片眼5~7回ステロイドパルス3クールステロイドパルス3クール図15施設の治療プロトコール急性期の治療法は現時点でも施設によってさまざまであるが,各施設で長年真摯に取り組んで編み出した方法であり,いずれも現時点でのevidenceに反しておらず,それぞれの考え方に一理ある.CAS:clinicalactivityscore6).施設B施設C施設D施設Eリンデロン?(点滴→内服)……………………8mg12mgMRIで眼筋炎症残存(T2high)のとき放射線20Gy(2Gy×10日)放射線20Gy(2Gy×10日)離脱困難には放射線併用パルス間にステロイド内服しない施設と30mg程度の内服を行う施設がある必要あれば2クール目を行う放射線を同時に開始適応は施設C同様CAS3:PLS30mg内服3カ月で減量中止CAS4以上・最近の眼球運動制限・視力の悪化:ステロイドパルス療法→内服3カ月で減量中止8mg4mg4mg2mg2mg1mg1mg0.5mg0.5mg12mg1g1g1g1g1g1gステロイドパルス3クールステロイドパルス3クール1g1g1g1g1g1gステロイドパルス3クールステロイドパルス3クール1g1gステロイドパルス1クールステロイドパルス1クール漸減→漸減→約1カ月で漸減→———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006???ン?)大量漸減投与を行うか見解の相違があるが,その比較検討はまだなされていない.ベタメタゾンは抗炎症効果が強く血中半減期も長いので経過の長い炎症を抑えるのには向いているが,満月様顔貌が出やすい欠点もある.ステロイド球後注射に関しては,ステロイド大量漸減投与と比較して効果は劣るので11),行う場合は全身投与との併用が基本であり,単独ではステロイド全身投与禁忌例に放射線照射と併用で用いる3).リンデロン?1アンプル(=4mg/1m?)注射がよく用いられてきたが,最近では薬効の長いトリアムシノロン使用の報告も散見する.2.副作用と禁忌ステロイドの副作用と禁忌は他疾患と同様であり,自(39)図2甲状腺眼症の臨床兆候Prummel1)やBartley2)の多数例のデータとともに,当院での最近3年間の入院治療例の臨床兆候3)を示す.かなり似た頻度分布を示すため,PrummelやBartleyの施設は重症例が比較的多いものと思われる.軟部組障織害眼球突出眼球運動制限視神経症角膜障害高眼圧100806040200(%):Prummel(2003,n=152):Bartley(1996,n=120):高木(2006,n=50)重症度活動性治療治療重症度活動性重症度活動性ABC図3治療時期と治療効果A:軽症例では治療を行わなくてもある程度自然治癒する.B:重症例では活動性が高く眼症が重症化する前に治療を行うと効果的である.C:治療が遅れて活動性が低くなってから開始すると治療効果は少なく種々の症状が固定化してしまう.:無治療の場合,:治療を行った場合.著明改善軽度改善不変悪化403020100(%)図4甲状腺眼症の自然経過Perrosら7)が,初診時以降の自然経過を調べたもので,論文のデータからグラフ化した.自然回復がかなりあり,強力な治療を要するのは一部の症例であることがわかる.表1Clinicalactivityscore(CAS)痛み球後痛01眼球運動痛01発赤眼瞼充血01結膜充血01浮腫結膜浮腫01涙丘浮腫01眼瞼浮腫01眼球突出01(>?????????????)機能異常視力低下01(>?段階?????????)眼球運動制限01(>?度?????????)Mouritsら6)の提案した治療の適応を判断するための活動性の評価スコア.10症状の有無により10点満点で点数化.施設によって3点以上でステロイド内服,4点以上でステロイドパルス療法,など治療法の選択に利用されている.———————————————————————-Page4???あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006然回復傾向のある症例では安易な投与はすべきではない.当科ではステロイド大量投与の3分の1に血糖上昇を認め,それらは40歳以上の症例であった3).最近特に問題視されているのはステロイド性骨粗鬆症で,5mg以上を3カ月以上投与した場合には必発とされ,予防薬併用が推奨される(図5:ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン12)).ほかに甲状腺眼症特有の精神医学的背景もあり,ステロイド投与時に考慮しなければならない.3.代替療法これにもいくつかランダム化比較試験があり,ソマトスタチン誘導体の臨床応用が期待されたが,有効性は証明されなかった13).ほとんど用いられないが,免疫グロブリン療法14)はステロイド投与と差がなく,免疫抑制剤は効果が劣る15)ことが過去に報告されている(表2).III放射線治療1.方法かつてはコバルトガンマ線照射を行ったが,現在ではX線照射を左右対向2門から行う.近年照射装置や治療計画装置の性能が向上し,周囲の正常組織への照射を最大限に抑えた低侵襲的治療が可能となった.照射方法のランダム化比較試験16,17)もあるが,ドイツ・ワーキング・グループの良性疾患の放射線治療ガイドライン18)では20Gy/10回/2~3週を推奨している.2.効果放射線は免疫担当リンパ球を破壊するだけでなく眼窩線維芽細胞にも奏効してglycosaminoglycan産生を抑制するともいわれる9).これまでの多くの対照群のない報告で有効率は総じて過半数であり,眼瞼浮腫,視神経症に有効,眼球運動制限にやや有効,眼球突出にはほぼ無効とされていた19).近年はランダム化比較試験がいくつか提出され論議を呼んだ.Mourits(2000)20)は改善率は照射群で60%に対して偽照射群は31%(=自然回復)で,眼球運動制限に効果があるが眼球突出には無効とした.Kahaly(2000)17)の放射線照射法を比較した論文も放射線照射が効果があることを示している.一方で物議をかもしたのは,Gorman(2001)21)が患者の一側の眼窩に放射線照射を行い対側には偽照射を行い比較したところ,何ら有意差を認めないと報告したことである.このデータは放射線無効の根拠として引用されることが多いが,急性期を過ぎた症例が数多く含まれ45%がステロイド治療後であるなど問題があり,多くの反論が投稿された.このデータはむしろ「固定期に至ると放射線照射は奏効しない」と解釈するほうが妥当なようである.その後のPrummel(2004)22)のデータも改善率は照射群で52%に対して偽照射群は27%と有意な有効性を示している.総じてランダム化比較試験から放射線照射の有効性が確認されたと考えて良いだろう23).(40)図5ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン12)経口ステロイドを3カ月以上使用中あるいは使用予定既存脆弱性骨折2)あるいは治療中新規骨折なしあり一般的指導と経過観察6)一般的指導と治療骨密度測定3)%YAM≧80骨密度測定3)%YAM<80プレドニゾロン換算4)<5mg/日プレドニゾロン換算4)≧5mg/日5)YAM:若年成人平均値(20~44歳)注1)本ガイドラインは18歳以上を対象とする.注2)脆弱性骨折の定義は原発性骨粗鬆症と同一である.注3)骨密度測定は原発性骨粗鬆症(2000年度改訂版)に準ずる.注4)1日平均投与量注5)1日10mg以上の使用例では骨密度値が高くても骨折の危険性がある(骨折閾値%YAM90).注6)高齢者では骨折の危険性が高くなる.?一般的指導生活指導,栄養指導,運動療法は原発性骨粗鬆症のものに準ずる.?経過観察骨密度測定と胸腰椎X線撮影を定期的(6カ月~1年毎)に行う.?薬物治療1.ビスフォスフォネート製剤を第1選択薬とする.2.活性型ビタミンD3,ビタミンK2は第2選択薬とする.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006???3.安全性放射線による二次性癌の発症率は理論的に1~1.2%とする論文24)が出されたがこの計算には強い反論が出され25),また現在のところ長期観察でも二次性癌の報告はない26~29).しかし発癌は被曝後5~30年もの潜伏期を経るため可能性をまったく否定することはできず,若年者の照射を避け35歳以上を適応とする意見がある28).若年者は脂肪組織型による眼球突出が多く,放射線があまり効果的でないことも考えると一考に値する.4.禁忌糖尿病網膜症30),高血圧性網膜症30,31),抗甲状腺剤によるANCA陽性血管炎32)などの網膜血管病変を有する症例で網膜症の悪化,放射線網膜症の報告があり,放射線照射の禁忌である.(41)表2これまでの甲状腺眼症治療のランダム化比較試験報告者治療法有効率有意差A群B群A群B群ステロイド・放射線照射Bartalena(1983)34)経口ステロイド??~?????から?????週で漸減コバルトガンマ線照射?????経口ステロイド??~?????から?????週で漸減72%33%p<0.05Marcocci(1987)11)コバルトガンマ線照射?????経口ステロイド??~?????から?????週で漸減コバルトガンマ線照射?????ステロイド球後注射????????~??日×?カ月60%30%p<0.05Marcocci(1991)35)X線照射?????ステロイド????????週間から漸減X線照射?????69%38%p=0.043Prummel(1993)33)経口ステロイド???????週間~X線照射?????50%47%NSMourits(2000)20)X線照射?????偽照射60%31%p=0.04Marcocci(2001)9)X線照射?????ステロイド点滴静注??????????クール→???????????クール~X線照射?????経口ステロイド????????週間~88%63%p<0.02Gormann(2001)21)片側にX線照射?????対側に偽照射?????NSOhtsuka(2003)36)ステロイドパルス3クール後にX線照射24Gy追加ステロイドパルス3クールNSPrummel(2004)22)X線照射?????偽照射52%27%p=0.02Kahaly(2005)10)ステロイド点滴静注??????→??????×?週経口ステロイド?????から?????週で漸減77%51%p<0.01ステロイドの代替法Prummel(1989)15)経口ステロイド???????週間~シクロスポリン????????~66%22%p=0.02Kahaly(1996)14)経口ステロイド????????週間~免疫グロブリン??????~63%62%NSDickinson(2004)13)ソマトスタチン誘導体(octreotide)??????筋注??週×??週①偽薬投与??週→②ソマトスタチン誘導体??????筋注??週×??週NSp:有意差水準,NS:有意差なし.———————————————————————-Page6???あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006IVステロイドと放射線照射の併用Prummel(1993)はプレドニゾロン内服3カ月間投与(60mg2週間~)+放射線偽照射群と偽薬内服+放射線照射20Gy群とを比較し,ステロイド内服と放射線照射の効果はほぼ同等であったとしている33).この二者,すなわち放射線照射とステロイドはそれぞれ単独で用いるよりも同時併用したほうが効果が高い34,35).放射線照射側からは単独で行うと眼窩の浮腫が著明となるためステロイドを併用したほうが好ましく,ステロイドの側からは投与量が少なければ放射線照射併用の効果は証明されているが,ステロイドパルス療法ほどの大量の投与を行う場合放射線をどう用いるのかが論点となる.Ohtsukaらによれば,ステロイドパルス療法3クールの後療法としての放射線照射に関して,ランダムに放射線を追加した群と行わない群との間で比較すると1年程度の経過では有意差はない36).したがって一律に放射線照射による後療法を行う必要はなく,ステロイドパルス療法で炎症が抑え切れずMRIで眼筋のT2値が依然高値を示す,あるいは離脱困難や再燃傾向を示す症例を選択して放射線照射追加を行うのが良い37).なお,この論点が「放射線無効」と誤解されている場合があり,注意を要する.VEBMのむずかしさ図1に示したように各施設で急性期甲状腺眼症の治療方法は異なるが,多施設トライアルを行い治療法を統一するには多くの困難がある.一番大きな点は自己免疫疾患として自然緩解が高い頻度でみられることである7).これまでおびただしい治療成績の論文があるが,対照群のないstudyは自然治癒の要素が多々混入しておりEBMとして扱うことはできない.また図2のように種々の器官が異なる程度に障害され病像が一様でなく,軟部組織は治療感受性が高く眼瞼浮腫は良く改善する一方で,脂肪組織は感受性が低く眼球突出の改善は一般に悪い,など評価する対象によって治療成績は異なってくる.正確な評価には,きめ細かく臨床兆候と重症度の完全なマッチングを行うか,万人が認める効果の評価パラメータが必要となる.しかしこれまで長年蓄積されたデータはステロイドと同様に放射線照射も有効な方法であることを証明していると考えて良い.また個々の例の実際では,治療適応の判断と開始時期のほうが方法論よりも大きなファクター(図3)となる.問題は2つの方法をどのように使い分けるかという点である.ステロイド治療はくり返し行えるが副作用が多いのに対して,放射線照射はリスクが少ないが線量の蓄積効果のため一生に1回しか行えない.そのため放射線照射を,①副作用が少ないことから最初の段階で軽症例に対して用いる,②感受性ある重症例を選択してステロイドと併用して集中的に1回の治療で最大の効果を上げる,③ステロイド主体で治療を行い,離脱困難・再燃例・ステロイド投与禁忌例に対して放射線を補助的に用いる,と考え方の相違があり,これが各施設独自の責任で行われているというのが実態である.科学的なstudyに照らし合わせて,各施設の方法はいずれもevidenceに反してはいないのである.最近,ヨーロッパで多施設トライアルTheEuropeanGrouponGraves?Orbitopa-thy(EUGOGO)が立ち上がっており38),今後その結果に注目していきたい.なお,欧米人に比べて日本人では眼球突出型よりも眼筋型の比率が高いとされ,欧米のデータをそのまま日本人に適応できるかは不明である.VI眼球運動制限の治療固定期に至り正面視で眼位ずれが明らかに残存した症例には,複視除去のため眼筋手術を行う.罹患筋の後転を主体とするが,通常の後転術よりも眼位への効果が大きく,河野ら39)の矯正効果(?)=2.7×下直筋後転量(mm)など40)のデータがある.急性期に治療を行って眼球運動制限が改善しても複視が残存するならQOLに意味をなさない22)という意見もあるが,最も頻度の高い下直筋肥厚による上転制限では,5mm以上下直筋を後転すると眼瞼下垂を合併する可能性がある.急性期において十分な治療を行い斜視の手術を不要にする,あるいは手術量を軽減できる意味は大きいだろう.VII眼瞼後退の治療最も頻度の高い症状である眼瞼後退に対しては,初期にはa-blocker点眼が有効で,かつて硫酸グアネチジン(42)———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006???(イスメリン?)が用いられていたが現在市販されておらず,眼圧下降剤で代用してときに有効なことがある.最近よく用いる方法がボツリヌスA型毒素の上眼瞼注入41)で,1~2カ月の効果ではあるが満足感が得られる症例があるので,上眼瞼の線維化が完成する前にまず試みてよい方法と思われる.しかし顕著な眼瞼後退に対しては手術加療が必要で,経皮的眼瞼挙筋後転術,上眼瞼挙筋腱膜?離術,経結膜的眼瞼挙筋延長術,経結膜的M?ller筋切断術,下直筋後転術などいくつかの術式が提案されている40,42~44).ここでも適切な急性期治療により観血的治療を避けるか軽減できることが重要なのは同様である.おわりに甲状腺眼症は,多種多様の病態,症状を有しており,これらを完全にマッチさせたランダム化比較試験の結果はまだ十分に集積されていない.しかしながら,急性期でのステロイド剤全身投与および放射線治療は有効であることが示されている.謝辞:本稿をご校閲のうえご意見下さいましたオリンピア眼科病院・前田利根先生,手稲渓仁会病院眼窩・神経眼科センター・鈴木康夫先生,新潟大学放射線科・笹井啓資教授,眼科・阿部春樹教授に厚く御礼申しあげます.文献1)BartleyGB,FatourechiV,KadrmasEFetal:Long-termfollow-upofGravesophthalmopathyinanincidencecohort.?????????????103:958-962,19962)PrummelMF,BakkerA,WiersingaWMetal:Multi-cen-terstudyonthecharacteristicsandtreatmentstrategiesofpatientswithGraves?orbitopathy:the?rstEuropeanGrouponGraves?Orbitopathyexperience.?????????????????148:491-495,20033)高木峰夫,松田英伸,植木智志ほか:急性期甲状腺眼症の治療.神経眼科(印刷中)4)OhnishiT,NoguchiS,MurakamiNetal:ExtraocularmusclesinGraves?ophthalmopathy:usefulnessofT2relaxationtimemeasurements.?????????190:857-862,19945)UtechCI,KhatibniaU,WinterCetal:MRT2relaxationtimefortheassessmentofretrobulbarin?ammationinGraves?ophthalmopathy.???????5:185-193,19956)MouritsMP,KoornneefL,WiersingaWMetal:ClinicalcriteriafortheassessmentofdiseaseactivityinGraves?ophthalmopathy:anovelapproach.???????????????73:639-644,19897)PerrosP,CrimbieAL,Kendall-TaylorP:Naturalhistoryofthyroid-associatedophthalmopathy.????????????????42:45-50,19958)BartalenaL,NarcocciC,TandaNLetal:Cigarettesmok-ingandtreatmentoutcomesinGravesophthalmopathy.??????????????129:632-635,19989)MarcocciC,BartalenaL,TandaMLetal:Comparisonofthee?ectivenessandtolerabilityofintravenousororalglucocorticoidsassociatedwithorbitalradiotherapyintheman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