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imo vifa とHumphrey 視野計の比較

2024年6月30日 日曜日

《第12回日本視野画像学会原著》あたらしい眼科41(6):703.706,2024cimovifaとHumphrey視野計の比較栗岡恵坂本麻里島内深希荒井実奈高野史生上田香織和田友紀中西裕子中村誠神戸大学医学部附属病院眼科CComparisonoftheimovifaandtheHumphreyFieldAnalyzerMegumiKurioka,MariSakamoto,MikiShimauchi,MinaArai,FumioTakano,KaoriUeda,YukiWada,YukoNakanishiandMakotoNakamuraCDepartmentofOphthalmology,KobeUniversityHospitalC目的:imovifa(imoV)とCHumphrey視野計(HFA)の結果を比較検討すること.対象および方法:神戸大学附属病院眼科に通院中の,imoVによる視野検査を受けたC18歳以上の患者を対象とした.imoVはCAmbientCInteractiveZippyEstimatedSequentialTesting(AIZE)の単眼測定を右眼から左眼の順に施行し,測定プログラムは前回のCHFAと同じプログラムを採用した.対象者のCimoVと前回のCHFACSwedishCInteractiveCThresholdAlgorithm(SITA)Standardの検査時間およびCmeandeviation(MD)値をCWilcoxon符号順位検定およびCBland-Altmanplotを用いて比較した.結果:33例C66眼の視野検査を解析した.患者の年齢の中央値(四分位範囲)はC61(52.70)歳で,疾患内訳は,緑内障がC18例,非緑内障がC15例であった.検査時間はCimoV右眼:303(247.359)秒,左眼:316(262.363)秒,HFAは右眼:415(368.474)秒,左眼:429(379.487)秒で,imoVがCHFAより有意に短かった(p<0.0001).imoVとCHFAのCMD値は左右眼ともに統計学的有意差はなく,Bland-Altmanplotで固定誤差および比例誤差は認めなかった.結論:imoVではCHFAより短い検査時間で同等の視野検査を行うことができる可能性がある.CPurpose:ToCcompareCtheCresultsCofCtheCimovifa(CREWTCMedicalSystems)(IMOV)andCtheCHumphreyFieldAnalyzer(HFA;CarlZeissMeditec)C.SubjectsandMethods:Thisstudyinvolvedpatientsaged18yearsorolderseenattheDepartmentofOphthalmology,KobeUniversityHospitalwhounderwentvisual.eld(VF)testingwithCtheCimoCvifa.CimoCvifaCwasCperformedCbyCAmbientCInteractiveCZippyCEstimationSequentialCTesting(AIZE)CmonocularCmeasurementCfromCtheCrightCeyeCtoCtheCleftCeye,CandCtheCmeasurementCprogramCwasCtheCsameCasCtheCpreviousHFASwedishInteractiveThresholdAlgorithm(SITA)Standardprogram.Ineachsubject,theexamina-tiontimeandmeandeviation(MD)wascomparedbetweentheimovifaandthesubject’spreviousHFA.ndingsusingtheWilcoxonsigned-ranktestandBland-Altmanplotanalysis.Results:VFexaminationsof66eyesin33patientswereanalyzed.Themedianage(interquartilerange)ofthepatientswas61(52to70)years.Therewere18glaucomapatientsand15non-glaucomapatients.Fortherighteyeandlefteye,respectively,themedianexam-inationtime(seconds,interquartilerange)forimovifawas303(247-359)and316(262-363)C,whilethatforHFAwas415(368-474)and429(379-487)(p<0.0001)C.CThereCwasCnoCsigni.cantCdi.erenceCinCMDCbetweenCimoCvifaCandHFAfortherightandlefteyes,andBland-Altmanplotanalysisrevealedno.xedorproportionalbias.Con-clusions:imovifaCmayallowforcomparableVFtestinginashortertestingtimethanHFA.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C41(6):703.706,C2024〕Keywords:imovifa,ハンフリー視野.imovifa,Humphreyvisual.eld.はじめにの負担軽減を目指して開発された小型軽量の自動静的視野計視野検査は検者・被検者双方にとって負担が大きい検査でである1).imoは暗室不要で,両眼開放下で視野検査を行うあり,imo(クリュートメディカルシステムズ)は視野検査ことができ,また独自の閾値決定アルゴリズムにより検査時〔別刷請求先〕坂本麻里:〒650-0017兵庫県神戸市中央区楠町C7-5-2神戸大学医学部附属病院眼科Reprintrequests:MariSakamoto,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,KobeUniversityHospital,7-5-2Kusunoki-cho,Chuou-ku,Kobe,Hyogo650-0017,JAPANC間が短縮されるため,患者に好評であると報告されている2,3).また,緑内障や脳疾患において従来の自動視野計よりも短時間に,かつ同等の視野測定が可能であることが報告されている2.5).imoは当初ヘッドマウント型視野計として開発されたが,より小型化した据え置き型のCimovifaが登場した.頭部装着がなくなったことにより,被検者は従来型の検査時の圧迫感がなくなり,また検者は検査中の被検者の状態(眼の位置や眼瞼の状態など)を確認しやすくなった.また,非測定眼を遮閉して測定する従来の自動視野計と異なり,imoは両眼開放下で,左右眼で独立した光学系を覗いて検査を行うため,検査開始前に瞳孔間距離や左右眼の位置を正しく調整する必要がある.ヘッドマウント型の場合,顔や頭の形,大きさや被検者の眼の状態によっては,この検査前の調整に時間を要することが問題であった.imovifaではこの点が改善され,また正しい頭部の位置がわかるように液晶画面に表示されるため,被検者自身が画面を見ながら頭部の位置を調整することができ,検査前の調整が容易になった.Cimovifaの登場により,視野検査の負担がさらに軽減されることが期待されるが,imovifaを用いた視野検査の報告はまだ少ない6.8).本研究の目的は,imovifaとCHumphrey視野計(Hum-phreyC.eldanalyzer:HFA)(CarlCZeissMeditec,Inc.)の結果を比較検討することである.CI対象および方法本研究は診療録の後ろ向き調査研究である.2022年C10.11月に神戸大学医学部附属病院眼科を受診した患者のうち,Cimovifaによる視野検査を受けたC18歳以上の患者を対象とした.imovifaによる視野検査と前回の視野検査との間に内眼手術を受けた者は除外した.imovifaは,AmbientInter-activeCZippyCEstimatedSequentialCTesting(AIZE)による単眼視野検査を,両眼開放下で右眼から左眼の順に行った.背景輝度は検査眼,非検査眼ともにC31.5Casbで,視標最大輝度はC10,000Casb,標準視標提示時間はC0.2秒,視標サイズはCGoldmannIIIで行った.テストプログラムは,同患者の前回のCHFA視野検査と同じプログラムを採用した.つまり,前回CHFAがC30-2だった者はCimovifaもC30-2,前回CHFAがC24-2だった者はCimovifaもC24-2で測定した.HFAはCSwedishCInteractiveCThresholdAlgorithm(SITA)Stan-dardを用いて,右眼から左眼の順に測定された.HFA測定時には非測定眼はアイパッチで遮閉された.imovifaと前回HFAの検査時間およびCmeandeviation(MD)値を,Wil-coxon符号順位検定およびCBland-Altmanplotを用いて比較した.有意水準はCp<0.05とし,統計解析はCMedCalcCSta-tisticalSoftware19.3.1(MedCalcSoftwareLtd)を用いた.本研究は臨床研究に関する倫理指針を遵守し,ヘルシンキ宣言に則り行われ,院内の倫理委員会の承認を受けて第C12回日本視野画像学会学術集会において報告した.CII結果33例C66眼の視野検査を解析した.年齢の中央値(四分位範囲)はC61(52.70)歳で,16例(48%)が男性だった.測定プログラムはC30-2がC29例,24-2がC1例,10-2がC3例であった.対象者の過去のCHFA歴の中央値(四分位範囲)はC7(5.15)回で,前回のCHFAからの期間はC8(6.12)カ月であった.対象者の疾患の内訳は,緑内障がC18例,高眼圧症がC3例,視神経低形成がC1例,脳腫瘍がC6例,視神経炎がC3例,その他がC2例であった.CimovifaとCHFAの検査時間とCMD値の結果を表1に示す.検査時間の中央値(四分位範囲)はCimovifaの右眼は303(247.359)秒,左眼はC316(262.363)秒,HFAの右眼はC415(368.474)秒,左眼はC429(379.487)秒で,imovifaがCHFAより有意に短かった(p<0.0001).一方,imovifaとCHFAのCMD値は左右眼ともに差はなかった.imovifaとCHFAのCMD値のCBland-Altmanplotを図1に示す.CimovifaとCHFAの平均差(95%信頼区間,p値)とC95%ClimitsCofagreement(LoA)は,右眼C.0.6CdB(C.1.3.0.1,0.07)とC.4.4.3.1CdB,左眼C.0.5CdB(C.1.1.0.1,0.12)とC.3.9.3.0dBであった.右眼,左眼ともに,imovifaとHFAのCMD値には固定誤差および比例誤差は認めなかった.CIII考按本研究において,imovifaにより検査時間はCHFAの約C27%短縮され,これは従来のヘッドマウント型Cimoを用いた既報と矛盾しなかった2.5).imovifaを用いたCNishidaらの報告では,imovifaで検査時間がCHFAのC39%短縮したが,彼らの研究では検査時間短縮プログラムであるCAIZE-RapidとCHFASITA-Fastが採用されている.筆者らが過去にヘッドマウント型CimoのCAIZE(両眼ランダム測定)とCHFAのSITA-standardを比較した研究では,緑内障眼でCHFAの約25%3),脳疾患患者においてはCHFAの約C20%5)検査時間が短縮された.本研究では両眼ランダム測定ではなく単眼検査を行ったが,単眼検査でも両眼ランダム測定と同様に検査時間が短縮されることがわかった.AIZEはベイズ推定により測定毎に刺激強度を決定し,最尤法を用いて最終的な網膜感度閾値を決定するもので,各検査点における応答を隣接する周囲の検査点に反映し事前の予測精度を高め,閾値決定までの試行回数を低減する.既報と同様に,本研究におけるCimoの検査時間の短縮は,アルゴリズムの違いによるものと考えられる.また,この検査時間には,測定前の設定に要する時間や休憩時間は含まれない.imovifaでは,前述のようにヘッドマウント型Cimoに比べ測定開始前の設定が容易とな表1imovifaとHFAの測定時間およびMD値検査時間(秒)C右眼左眼imovifaC303(C247.C359)316(C262.C363)HFAC415(C368.C474)429(C379.C487)pvalue<C0.0001<C0.0001MD(dB)C右眼C左眼CimovifaC.1.8(C.8.4.C.0.1)C.4.3(C.9.3.C.1.1)CHFAC.1.3(C.7.0.0)C.2.3(C.8.3.C.1.3)Cpvalue0.140.40HFA:humphrey.eldanalyzer,MD:meandeviation.Dataarepresentedasmedian(interquartilerange)C,Wilcoxontest.4左眼MD値(dB)右眼MD値(dB)4322imovifaR.HFAimovifaR.HFA10-10-2-2-3-4-5-4-6-25-20-15Meano-6-10-505-30-25-20-15fimovifaRandHFAMeanofimovifaR-10-5andHFA05図1imovifaとHFAのMD値のBland-AltmanplotimovifaとCHFAの平均差(95%信頼区間,p値)とC95%一致限界は,右眼C.0.6CdB(C.1.3.0.1,0.07)とC.4.4.3.1CdB,左眼C.0.5CdB(C.1.1.0.1,0.12)とC.3.9.3.0CdBで右眼,左眼ともに固定誤差および比例誤差は認めなかった.ったため,設定時間も含めた総検査時間は従来型Cimoよりもさらに短縮される可能性がある.検査時間の短縮は,被検者のみならず検者にも有益であり,imovifaの臨床的有用性を考えるうえで,今後,設定に要する時間も含めた検討が必要と考える.今回の対象において,MD値はCimovifaとCHFAで差を認めなかった.従来型Cimo(両眼ランダム検査)とCHFAを比較した過去の研究では,両者のCMD値の差の平均値(95%LoA)は緑内障3)でC0.4(C.3.3,4.1)dB,脳疾患5)でC0.1(.3.6,3.9)dBで,本研究の結果と同様であった.また,CimovifaとCHFAを比較した既報6,8)でも両者のCMD値には差がなく,Nishidaらの報告では両者の差の平均値(95%LoA)はC.0.1(C.3.8,3.5)dBで,本研究と同様であった.よって,imovifaでも,ヘッドマウント型と同様に,従来の自動視野計と同等の視野検査ができる可能性がある.本研究の問題点として,少数の対象者における後ろ向き解析であり,事前にサンプルサイズを設定していないことがある.今後,必要な症数例における追試験が必要である.また,対象者はCHFAの経験は十分あるものの,imoの経験者はC1名のみで,全例がCvifaは初回であったことが結果に影響した可能性がある.今後,imoの経験を増やした対象で追試験が必要である.また,本研究の対象者には選択バイアスがある.今回対象となった患者は,病状が安定しCHFAで視野結果が安定しており,HFAからCimovifaに変更しても問題がないと判断された患者のみで,病状が進行している症例は対象には含まれていない.対象者は病状が安定しているため,頻回の視野検査はされておらず,本研究でCimovifaの結果と比較した前回CHFAは約半年からC1年前に測定されたものであった.病状が安定しているとはいえ,前回CHFAとCimovifaの期間が開いているため,前回から視野障害が進行した可能性はあり,結果に影響をおよぼした可能性がある.結果としては,全例が視野障害は概ね変化なしと判断され,引き続き経過観察されている.結論として,imovifaは,短い検査時間でCHFAと同様に視野検査を行うことができた.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)MatsumotoC,YamaoS,NomotoHetal:Visual.eldtest-ingCwithChead-mountedCperimeter‘imo’.CPLoSCOneC11:Ce0161974,C20162)北川厚子,清水美智子,山中麻友美:アイモC24plus(1)の使用経験とCHumphrey視野計との比較.あたらしい眼科C35:1117-1121,C20183)林由紀子,坂本麻里,村井佑輔ほか:緑内障診療におけるアイモ両眼ランダム測定の有用性の検討.日眼会誌C125:C530-538,C20214)KimuraCT,CMatsumotoCC,CNomotoH:ComparisonCofChead-mountedperimeter(imoCR)andCHumphreyCFieldCAnalyzer.ClinOphthalmolC13:501-513,C20195)SakamotoCM,CSawamuraCH,CAiharaCMCetal:AgreementinCtheCdetectionCofCchiasmalCandCpostchiasmalCvisualC.eldCdefectsCbetweenCimoCbinocularCrandomCsingle-eyeCtestCandCHumpheryCmonocularCtest.CJpnCJCOphthalmolC66:C413-424,C20226)NishidaT,EslaniM,WeinrebRetal:Perimetriccompar-isonbetweentheIMOvifaandHumphreyFieldAnalyzer.JGlaucomaC1:32:85-92,C20237)FreemanSE,DeArrigunagaS,KangJetal:Participantexperienceusingnovelperimetryteststomonitorglauco-maprogression.JGlaucomaC32:948-953,C20238)KangJ,DeArrigunagaS,FreemanSEetal:ComparisonofCperimetricCoutcomesCfromCaCtabletCperimeter,CsmartCvisualCfunctionCanalyzer,CandCHumphreyC.eldCanalyzer.COphthalmolGlaucomaC6:509-520,C2023***

広義・原発開放隅角緑内障眼の中心窩閾値と矯正視力,傍中心窩視野感度閾値の相関

2017年11月30日 木曜日

《原著》あたらしい眼科34(11):1617.1621,2017c広義・原発開放隅角緑内障眼の中心窩閾値と矯正視力,傍中心窩視野感度閾値の相関本間友里恵栂野哲哉宮本大輝坂上悠太五十嵐遼子福地健郎新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻感覚統合医学講座視覚病態学分野CRelationshipbetweenFovealThresholdandVisualAcuityorParacentralVisualFieldSensitivityinEyeswithPrimaryOpen-angleGlaucomaYurieHonma,TetsuyaTogano,DaikiMiyamoto,YutaSakaue,RyoukoIgarasiandTakeoFukuchiCDivisionofOphthalmologyandVisualScience,GraduatedSchoolofMedicalandDentalSciences,NiigataUniversity目的:広義・原発開放隅角緑内障(POAG)眼の中心窩閾値(FT)と矯正視力との相関,Humphrey視野(HFA)10-2プログラムの傍中心窩測定点視野感度閾値(PFT)との相関について調べた.対象および方法:対象はCHFA10-2測定を行ったCPOAG眼C103例C103眼である.年齢はC54.4C±9.7(23.70)歳,等価球面度数C.4.5±3.9(+2.0.14.5)ジオプトリー,病型は狭義CPOAG56眼,正常眼圧緑内障C47眼である.FTは直近C3回のCHFA24/30-2もしくはC10-2測定時の測定値を平均し,矯正視力(logMAR)は直近C2回の測定値を平均した.FTと矯正視力の相関,またCFTとHFA10-2傍中心C4点の実測感度閾値(PFT)との相関を調べた.結果:FTと矯正視力は統計学的に有意に相関した(r2=0.537,p<0.001).FTとCPFTは単回帰分析ではC4点とも有意に相関し,その程度は耳側上方(rC2=0.481,p<0.001),耳側下方(rC2=0.443,p<0.001),鼻側下方(rC2=0.210,p<0.001),鼻側上方(rC2=0.055,p=0.017)の順であった.FTとCPFTの重回帰分析では,耳側上方と下方,鼻側下方のC3点が有意に相関した.結論:広義CPOAG眼においてCFTと矯正視力は有意に相関し,FT測定は広義CPOAG眼の矯正視力推定に有用な可能性がある.FT低下とHFA10-2における傍中心視野障害のパターンには関連があると考えられた.CPurpose:Correlationsbetweenfovealthreshold(FT)andcorrectedvisualacuityinprimaryopen-angleglau-coma(POAG)eyesandbetweenFTandparacentralvisual.eldsensitivitiesofHumphreyVisualFieldAnalyzerII(HFA)10-2wereexamined.SubjectsandMethods:Includedinthisstudywere103POAGeyesfrom103cases.HFA10-2Cage:54.4C±9.7(23-70)years;equivalentCsphericalCpower:+2±.14.5(C.4.5-±3.9)diopters;diseasetype:POAGC56Ceyes,Cnormal-tensionCglaucomaC47Ceyes.CFTCisCtheCaverageCmeasuredCvalueCofCtheCmostCrecentthreeCHFA24/30-2CorC10-2Cmeasurements,CcorrectedCvisualCacuity(logMAR)isCtheCaverageCofCtheClastCtwoCmea-surements.CForCFTCandCcorrelationCofCcorrectedCvision,CweCalsoCexaminedCtheCcorrelationCbetweenCtheCmeasuredsensitivitythresholdofFTandHFA10-2nearcenterfourpoints(PFT)C.Result:FTandcorrectedvisualacuityshowedstatisticallysigni.cantlycorrelation(rC2=0.537,p<0.001)C.FTandPFTisalsocorrelatedwithafour-pointsigni.cantlyinsingleregressionanalysis,theextentofearsideupward(rC2=0.481,p<0.001),earsidedown(rC2=0.443,p<0.001),nosesidedown(rC2=0.210,p<0.001),andwasintheorderofthenosesideupper(rC2=0.055,Cp=0.017)C.InmultipleregressionanalysisofFTandPFT,earsideaboveandbelow,arethreepointsonthenosesidedownCshowedCsigni.cantCcorrelation.CConclusions:SinceCFTCandCcorrectedCvisualCacuityCinCglaucomaCshowedCsigni.cantCcorrelation,CFTCisCpotentiallyCusefulCforCestimatingCcorrectedCvisualCacuityCinCglaucoma.CTheCpatternCofCparacentralvisual.elddefectsobservedwiththeHFA10-2mightpredictFTreduction.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C34(11):1617.1621,C2017〕Keywords:広義・原発開放隅角緑内障,ハンフリー視野,中心窩閾値,矯正視力,傍中心窩感度閾値.primaryopen-angleglaucoma(POAG)C,Humphrey.eldanalyzer,fovealthreshold,correctedvisualacuity,parafovealCthresholdsensitivity.C〔別刷請求先〕本間友里恵:〒951-8510新潟市中央区旭町通C1-757新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻感覚統合医学講座視覚病態学分野Reprintrequests:YurieHonma,DivisionofOphthalmologyandVisualScience,GraduatedSchoolofMedicalandDentalSciences,NiigataUniversity,1-757Asahimachidori,Chuo-ku,Niigata-shi,Niigata951-8510,JAPANはじめに視力は生活の質(qualityoflife:QOL)や視覚の質(quali-tyCofCvision:QOV)にとってもっとも重要な視機能の一つであるが,緑内障においても疾患の進行に伴って視力低下をきたす1).緑内障は視神経が障害され,その領域に応じた視野閾値感度が低下する疾患であり,緑内障による視力低下は視神経障害および視野障害が進行することによって生ずる.光干渉断層計(opticalCcoherenceCtomography:OCT)の高性能化と普及によって,一般臨床の場で緑内障眼の黄斑部解析が可能となった2).その結果,緑内障眼における黄斑部の障害は従来考えられていたよりもはるかに早期から生じていることが明らかになった3,4).緑内障の一般的な診断と経過観察に使われるCHumphrey視野(HFA)24-2では異常の検出されない症例のC16%に,すでにCHFA10-2で異常が検出されたとの報告がある5).緑内障による黄斑部の障害は古くから知られていたにもかかわらず,その進行過程や背景因子などについて,十分に解明されていない.また,黄斑部の障害が先行する症例では近視と関連していることが多いとの報告がある6).緑内障による黄斑部,とくに傍中心視野欠損を伴う症例は周辺部視野欠損から始まる症例に比較して無治療時眼圧が低く,乳頭出血の頻度が高いとの報告がある7).さらには,どのような黄斑部の障害をもつ症例で,どのような過程を経て視力が低下していくのかについては明らかにされていない.これらの問題は緑内障患者のCQOL/QOVを守るという緑内障治療の本来の目的から,重要な意味を持っている8.10).そこで,この研究では広義・原発開放隅角緑内障(prima-ryCopen-angleCglaucoma:POAG)眼における視力低下と視野障害の関連について検討することを目的として,中心窩閾値(fovealCthreshold:FT)と矯正視力の相関について調べた.さらに,FTと中心C10°内視野測定における傍中心窩測定点の視野感度閾値との相関について調べた.CI対象および方法対象は2013年1.4月にHumphreyCFieldCAnalyzer(HFA;CarlCZeissCMeditec)の中心C10-2CSITACstandardプログラムによる視野測定を行った症例のうち,以下の条件を満たしたC103例C103眼である.広義CPOAGの診断,HFA24/30-2SITACstandardプログラムによる測定で緑内障性視野障害(Anderson&Patellaの基準)11)を伴う,HFA24/30-2SITAstandard,10-2CSITACstandardのいずれの結果も信頼性の指標,固視不良<20%,疑陽性/偽陰性<15%を満たす,年齢はC20歳以上C70歳未満である.広義CPOAGの診断は「緑内障診療ガイドライン」第C3版12)に準じて行った.両眼とも対象となった場合にはランダムに左右を選択した.以下の症例は対象から除外した.すなわち,矯正視力C0.2未満,屈折異常(C.15D以下の近視,3D以上の乱視),白内障手術,緑内障手術を含む内眼手術の既往,黄斑牽引症候群,網膜前膜などの黄斑部疾患を伴う,視野,視力に影響を及ぼす可能性のある白内障,視神経炎,視神経低形成などの視神経疾患を伴う症例である.本研究はヘルシンキ宣言および厚生労働省の定める臨床研究に関する倫理指針に基づき,新潟大学医学部倫理委員会で承認されている.また,インフォームド・コンセントのうえ,同意が得られた症例を対象とした.FTはCHFA24/30-2CSITACstandardプログラム,10-2SITAstandardプログラムによる測定の際に得られた直近C3回の測定値を平均した.3回の測定はC6カ月以内とし,3回の測定結果がC5CdB以上異なる症例は対象から除外した.一方,矯正視力はCHFA10-2測定の前後C1カ月以内の視力検査の結果を用いた.少数視力はClogMAR値に換算し,2回の測定結果を平均して統計に用いた.この研究ではまずCFTと矯正視力の相関について調べた.つぎにCFTとCHFA10-2測定点のうち中心窩にもっとも近い4つの測定点における実測感度閾値(傍中心窩感度閾値:PFT)との相関を調べた.統計学的分析としてCSPSSStatis-ticsCver.20.0.0(日本CIBM)を用いて単回帰および重回帰分析を行った.いずれも有意水準はp<0.05とした.CII結果症例の平均年齢はC54.4C±9.7歳(平均C±標準偏差,以下同様).男性C48例,女性C55例,緑内障病型の内訳はCPOAG56例,正常眼圧緑内障(NTG)47例.等価球面度数はC.4.5±3.9(+2..14.5)ジオプトリーであった.HFAC30/24-2SITACstandardプログラムによるCmeanCdeviation(MD)値は.15.1±8.0CdB,VFI(visualC.eldCindex)値はC52.1C±26.0%,HFA10-2SITAプログラムによるCMD値はC.17.6±8.6dBであった.FTと矯正視力の散布図および単回帰直線を図1に示した.FTと矯正視力は統計学的に有意な負の相関がみられた(回帰直線:logMAR=.0.033×FT+1.079,決定係数CrC2=0.537,p<0.0001,以下同様).FTとCPFTの散布図および単回帰直線を図2に示した.単回帰分析の結果,鼻側上方(FT=0.070×PFT+30.2,rC2=0.055,p=0.017),耳側上方(FT=0.235×PFT+26.2,rC2=0.481,p<0.0001),鼻側下方(FT=0.151×PFT+27.9,rC2=0.210,p<0.0001),耳側下方(FT=0.237×PFT+25.5,rC2=0.443,p<0.0001)とC4点いずれのCPFTともCFTと統計学的に有意に相関した.鼻側上方の相関は著しく弱かった.FTを目的変数,PFTを説明変数とした重回帰分析の結果(表1)では,耳側上方(標準偏回帰係数:0.539,p<0.0001,以下同様),鼻側下方(0.239,p=0.0007),耳側下方(0.304,n=103r2=0.537,p<0.001矯正視力(logMAR)10.80.60.40.20-0.21.01.22025303540中心窩閾値(dB)図1中心窩閾値と矯正視力(logMAR)の相関A:鼻側上方B:耳側上方傍中心窩閾値感度(dB)傍中心窩閾値感度(dB)403020100傍中心窩閾値感度(dB)傍中心窩閾値感度(dB)40302010020253035402025303540中心窩閾値(dB)中心窩閾値(dB)C:鼻側下方D:耳側下方40302010040302010020253035402025303540中心窩閾値(dB)中心窩閾値(dB)図2中心窩閾値と傍中心窩閾値感度の単回帰分析による相関p=0.0001)のC3点で統計学的に有意な相関がみられた.鼻表1中心窩閾値と傍中心窩閾値感度の重回帰分析による相関側上方(C.0.033,p=0.1073)では有意な相関はみられなかった.CIII考按この研究では広義CPOAG症例におけるCHFAにおけるCFTと矯正視力の相関,FTとCPFTの相関について検討した.FTによって矯正視力の推定が可能かどうかということ,PFTの障害パターンとCFTの低下との関連について検討す傍中心窩閾値感度中心窩閾値(dB)(dB)偏回帰係数(標準誤差)Cp=鼻側上方C鼻側下方耳側上方耳側下方.0.033(C0.029)C0.1073C0.239(C0.023)C0.0007C0.539(C0.026)<C0.0001C0.304(C0.027)C0.0001FTは光覚であり,白色光に対する感度閾値として測定さることが目的である.その結果,FTと矯正視力は強く相関れている.一方,視力は形態覚でありC2点の分離能で測定さし,PFTでは測定点C4点のうち耳側上下,鼻側下方のC3点れている.つまり,根本的には両者は視覚のうちの異なったでCFTと有意に相関した.機能である.しかし,緑内障の疾患としての本態は網膜神経節細胞の障害と脱落に伴う視野障害であり,視力低下も視野障害の進行と関連づけて考える必要がある.HFAによるCFTと矯正視力の関連についてはすでにいくつかの報告がある13.15).Flaxelら13)は対象に緑内障眼だけでなく黄斑疾患も含まれているが,中心窩閾値と視力は有意な相関があるため中心窩閾値を測定することは視力低下を予測するのに有用である,と報告している.Bobakら14)はさまざまな視神経症を対象にした報告のなかで,視力予測には中心窩閾値が有用,としている.朝岡ら15)は進行した緑内障眼を対象に,視力と視野感度の間には強い相関があり傍中心の視野感度を保つことは視力の維持に重要であると報告している.本研究でもCFTと矯正視力には有意な強い相関がみられた.加えて,今回の症例の結果では,矯正視力C1.2(log-MAR値C.0.08)にはCFT29dB以上,同じくC1.0(logMAR値0)にC25CdB以上が必要であると考えられた.FTの測定は広義CPOAG眼における矯正視力を推定するための一つの方法として有用であると考えられた.しかし,FT25CdB以上であっても矯正視力C0.6やC0.4の症例など,個々の症例でみるとCFTと矯正視力の間に大きな解離がみられる.その理由としてはいくつか考えられる.矯正視力もCFTのいずれの測定も自覚検査であり,とくに障害された症例では測定機会ごとの変動が大きく生じている可能性がある.また,いずれの測定値も屈折や眼表面の状態に影響されると考えられ,その影響が個々の症例によって異なっている可能性も考えられる.また,HFAによるCFT測定では,中心窩で正確に固視しているのかどうかを確認することはできない.今後,さらに検討の必要がある.さらに,FTと中心窩周囲の視野感度の関連について明らかにすることを目的に,FTとCPFTの相関を検討した.その結果,HFA10-2の傍中心測定点C4点のうち鼻側上方を除くC3点で有意な相関がみられ,とくに耳側C2点での相関が高かった.おそらくこのパターンには乳頭・黄斑線維束の分布と走行が関係していると考えられる.一般に視神経乳頭は黄斑部より上方に位置しており,網膜神経線維束の乳頭・黄斑線維は黄斑部からやや耳側下方に向かって走行する16).傍中心C4点のうち耳側上下と鼻側下方のC3点は乳頭・黄斑線維束に含まれ,鼻側上方は含まれていない可能性がある.網膜神経線維と視神経乳頭の構造は個体差があるが,耳側傍中心の視野領域は比較的保たれやすいとの報告がある17).この結果から,HFA10-2測定による傍中心C4点の異常を検出することでもCFTの低下を推定することができる可能性がある.OCTによる黄斑部解析が可能となったことから,従来考えられていたよりもはるかに緑内障の早期の段階から,多くの症例で黄斑部障害を伴っていることが明らかになってきた3,4).緑内障眼における黄斑部機能評価としてはCHFAのほかに,マイクロペリメータ,電気生理学的検査を用いた研究が報告されている18,19).マイクロペリメータにおける網膜感度低下と固視不良との間には相関があると報告されている18).また,多局所網膜電図における振幅と黄斑部網膜厚やHFA10-2測定の閾値との間には有意な相関があるとの報告がみられる19).OCTによる黄斑部解析の領域はCHFAやオクトパス視野では中心C10°内の領域に相当する.中心10°内視野障害の検出の重要性について再認識されている一方で,この領域の視野障害がどのようなパターンで生じ,進展していくのか,進行した緑内障眼でどのような過程を経て中心窩の視野障害,それに伴う視力低下が生ずるのかについては今後さらに検討される必要がある20).まれではあるが緑内障の症例のなかには他の領域に先行して乳頭・黄斑領域が障害され,FTと矯正視力の低下が生ずる例がある.そのような症例ではどのような視野のパターンを呈し,どのように進展していくのかについても検証する必要がある.今回の研究の方法では,矯正視力,FTが低下した症例で,正確に中心窩で固視しているかについて検証することはむずかしい.また,測定中,測定回ごとの固視ずれが原因によるHFA10-2における測定誤差については検討がされていない.今後,方法を変えて新たに検討の予定である.本稿の一部は第C24回日本緑内障学会(東京,2013年)で口頭発表した.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)DeCMoraesCCG,CLiebmannCJM,CMedeirosCFACetCal:Man-agementCofCadvancedCglaucoma:CharacterizationCandCmonitoring.SurvOphthalmolC61:597-615,C20162)TanO,ChopraV,LuATetal:Detectionofmaculargan-glionCcellClossCinCglaucomaCbyCFourier-domainCopticalCcoherenceCtomography.COphthalmologyC116:2305-2314,C20093)HoodCDC,CRazaCAS,CdeCMoraesCCGCetCal:GlaucomatousCdamageofthemacula.ProgRetinEyeResC32:1-21,C20134)HoodCDC,CSlobodnickCA,CRazaCASCetCal:EarlyCglaucomaCinvolvesCbothCdeepClocal,CandCshallowCwidespread,CretinalCnerve.berdamageofthemacularregion.InvestOphthal-molVisSciC55:632-49,C20145)TraynisI,DeMoraesCG,RazaASetal:Prevalenceandnatureofearlyglaucomatousdefectsinthecentral10°Cofthevisual.eld.JAMAOphthalmolC132:291-297,C20146)AraieM:Patternofvisual.elddefectsinnormal-tensionandChigh-tensionCglaucoma.CCurrCOpinCOphthalmolC6:C36-45,C19957)ParkSC,DeMoraesCG,TengCCetal:Initialparafovealversusperipheralscotomasinglaucoma:riskfactorsandvisualC.eldCcharacteristics.COphthalmologyC118:1782-1789,C20118)SumiCI,CShiratoCS,CMatsumotoCSCetCal:TheCrelationshipCbetweenCvisualCdisabilityCandCvisualC.eldCinCpatientsCwithCglaucoma.OphthalmologyC110:332-339,C20039)SawadaH,FukuchiT,AbeH:Evaluationoftherelation-shipCbetweenCqualityCofCvisionCandCtheCvisualCfunctionCindexCinCJapaneseCglaucomaCpatients.CGraefesCArchCClinCExpOphthalmolC249:1721-1727,C201110)QuarantaL,RivaI,GerardiCetal:Qualityoflifeinglau-coma:Areviewoftheliterature.AdvTherC33:959-981,C201611)AndersonCDR,CPetellaCVM:AutometedCStaticCPerimetry.C2ndCedition,Mosby,St.Louis,p121-190,1999C12)日本緑内障学会:緑内障診療ガイドライン(第3版).日眼会誌C116:5-46,C201213)FlaxelCCJ,CSamplesCJR,CDustinCL:RelationshipCbetweenCfovealCthresholdCandCvisualCacuityCusingCtheCHumphreyCvisualC.eldCanalyzer.CAmCJCOphthalmolC143:875-877,C200714)BobakCSP,CGoodwinCJA,CGuevaraCRACetCal:PredictorsCofCvisualCacuityCandCtheCrelativeCa.erentCpupillaryCdefectCinCopticneuropathy.DocOphthalmolC97:81-95,C199915)AsaokaCR:TheCrelationshipCbetweenCvisualCacuityCandCcentralvisual.eldsensitivityinadvancedglaucoma.BrJOphthalmolC97:1355-1356,C201316)JonasCRA,CWangCYX,CYangCHCetCal:OpticCdisc-foveaangle:TheCBeijingCeyeCstudyC2011.CPLoSCOneC10:Ce0141771,C201517)HoodCDC,CRazaCAS,CdeCMoraesCCGCetCal:GlaucomatousCdamageofthemacula.ProgRetinEyeResC32:1-21,C201318)KamedaT,TanabeT,HangaiMetal:Fixationbehaviorinadvancedstageglaucomaassessedbythemicroperim-eterMP-1.JpnJOphthalmolC53:580-587,C200919)ParisiV,ZiccardiL,CentofantiMetal:Macularfunctionineyeswithopenangleglaucomaevaluatedbymultifocalelectrotinogram.CInvestCOphthalmolCVisCSciC53:6973-6980,C201220)HoodCDC,CRazaCAS,CdeCMoraesCCGCetCal:IntitialCarcuateCdefectCwithinCtheCcentralC10CdegreesCinCglaucoma.CInvestCOphthalmolVisSciC52:940-946,C2011***