《原著》あたらしい眼科33(11):1666?1672,2016c光干渉断層計を用いて網膜神経節細胞複合体厚の経時的変化を観察できたVogt-小柳-原田病の3例荒木俊介*1,2後藤克聡*1,2三木淳司*1,2,3水川憲一*4山下力*1,3桐生純一*1*1川崎医科大学眼科学1教室*2川崎医療福祉大学大学院医療技術学研究科*3川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科*4医療法人明世社白井病院ThreeCasesofVogt-Koyanagi-HaradaDiseaseinwhichRetinalGanglionCellComplexThicknessWasObservedUsingOpticalCoherenceTomographySyunsukeAraki1,2),KatsutoshiGoto1,2),AtsushiMiki1,2,3),KenichiMizukawa4),TsutomuYamashita1,3)andJunichiKiryu1)1)DepartmentofOphthalmology1,KawasakiMedicalSchool,2)GraduateSchoolofHealthScienceandTechnology,KawasakiUniversityofMedicalWelfare,3)DepartmentofSensoryScience,FacultyofHealthScienceandTechnology,KawasakiUniversityofMedicalWelfare,4)ShiraiEyeHospital目的:Vogt-小柳-原田病(VKH)において,スペクトラルドメイン光干渉断層計(RTVue-100R,OptovueInc.)を用いて神経節細胞複合体(GCC)厚および乳頭周囲網膜神経線維層(cpRNFL)厚の経時的変化を観察できた3症例を報告する.症例:症例1は42歳,女性で後極部の病変を認めない乳頭浮腫型VKH,症例2は65歳,男性で乳頭の炎症所見を伴わない後極型VKH,症例3は61歳,男性で乳頭の炎症所見を伴った後極型VKHであった.症例1および症例2は,経過を通じてGCCおよびcpRNFLの菲薄化を認めなかった.一方で,症例3は網膜外層の萎縮部位に対応した領域でGCCの菲薄化を認めた.結論:乳頭炎症所見が顕著であった乳頭浮腫型VKHは,乳頭の炎症を認めないVKHと同様にGCCおよびcpRNFLの菲薄化がみられなかった.VHKにおける乳頭浮腫は続発性の視神経障害をきたさないことが示唆された.Purpose:Wereport3casesofVogt-Koyanagi-Haradadisease(VKH)inwhichthetimecoursesofganglioncellcomplex(GCC)andcircumpapillaryretinalnervefiberlayer(cpRNFL)thicknesswereobservedusingspectral-domainopticalcoherencetomography(SD-OCT).Cases:Patient1,a42-year-oldfemale,wasdiagnosedwithperipapillaryedematypeVKH.Patient2,a65-year-oldmale,wasdiagnosedwithposteriortypeVKHwithoutopticdiscedema.Patient3,a61-year-oldmale,wasdiagnosedwithposteriortypeVKHwithopticdiscedema.Patients1and2didnotshowthinningoftheGCCorcpRNFLthroughoutthecourse.Patient3,however,showedthinningoftheGCCintheareacorrespondingtoatrophyoftheretinalouterlayer.Conclusion:VKHwithopticdiscedemadidnotexhibitthinningoftheGCCandcpRNFLsimilarlytoVKHwithoutopticdiscedema.ItissuggestedthattheopticdiscswellinginVHKdoesnotcauseopticnervedysfunction.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)33(11):1666?1672,2016〕Keywords:Vogt-小柳-原田病,乳頭浮腫,光干渉断層計,網膜神経節細胞複合体,乳頭周囲網膜神経線維層.Vogt-Koyanagi-Haradadisease,opticdiscedema,opticalcoherencetomography,ganglioncellcomplex,circumpapillaryretinalnervefiberlayer.はじめにVogt-小柳-原田病(Vogt-Koyanagi-Haradadisease:VKH)は,ぶどう膜炎を主とする眼症状および白髪,難聴,髄膜炎などの眼外症状を呈する全身性疾患で,メラノサイト特異的自己免疫疾患が本態と考えられている1).VKHの急性期では,眼底所見としてぶどう膜炎に伴う漿液性網膜?離や視神経乳頭浮腫を呈するが,まれに前眼部炎症を伴わず,乳頭浮腫以外の眼底病変が欠落するもの(乳頭浮腫型VKH)がある2).そのような場合,視神経炎などの乳頭の炎症所見を伴う疾患との鑑別が困難となる.近年,スペクトラルドメイン光干渉断層計(spectral-domainopticalcoherencetomography:SD-OCT)の登場で,網膜厚の精細な定量的評価が可能となった.緑内障では視神経の障害を神経節細胞複合体(ganglioncellcomplex:GCC)厚や乳頭周囲網膜神経線維層(circumpapillaryretinalnervefiberlayer:cpRNFL)厚の減少としてとらえることができる3).また,特発性視神経炎4)や虚血性視神経症5),外傷性視神経症6)などの視神経疾患においても視神経障害に伴うGCCやcpRNFLの菲薄化が報告されている.以前,筆者らは視神経乳頭炎において,治療によって乳頭浮腫および視機能が改善した後もGCCおよびcpRNFLの菲薄化が進行したことを報告した4).VKHの急性期においてもしばしば視神経乳頭炎に類似した乳頭の発赤や浮腫を伴うが,これまでVKHにおいてGCC厚およびcpRNFL厚の測定により網膜神経節細胞の障害を検討した報告は筆者らの知る限りない.今回,GCC厚およびcpRNFL厚の経時的変化を観察することができた乳頭浮腫型VKH,乳頭の炎症所見を認めなかった後極型VKH,および乳頭の炎症所見を伴った後極型VKHの3症例を報告する.なお,本研究は本学倫理委員会の承認を得ており,また,患者の同意を得て実施した.I症例〔症例1〕42歳,女性.主訴:両眼の充血と霧視.既往歴,家族歴:特記事項なし.現病歴:2011年1月中旬,両眼の充血と霧視を自覚し,近医を受診した.その3日後,VKH疑いで,川崎医科大学附属病院眼科(以下,当科)を紹介受診となった.初診時所見:視力は右眼1.2(1.5×cyl?0.50DAx100°),左眼1.5(矯正不能),眼圧は右眼18mmHg,左眼19mmHgであった.ハンディフリッカHFR(NEITZ)による中心フリッカー(criticalflickerfrequency:CFF)値は右眼36Hz,左眼37Hzで,相対的瞳孔求心路障害(relativeafferentpupillarydefect:RAPD)は陰性であった.前眼部は両眼の豚脂様角膜後面沈着物および前房内細胞遊出を認めた.眼底は両眼の視神経乳頭の発赤と浮腫がみられ,フルオレセイン蛍光眼底造影検査(fluoresceinangiography:FA)では両眼の視神経乳頭からの蛍光漏出を認めた(図1).髄液検査では,髄液細胞数が113.7/3mm3と増多していた.以上の結果から乳頭浮腫型VKHと診断された.経過:即日入院とし,ソルメドロール1,000mgによるステロイドパルス療法を1クール施行後,プレドニゾロン内服50mg/dayから漸減療法を行った.前眼部の炎症所見および乳頭浮腫は軽快傾向にあったが,治療開始後2.5カ月で視神経乳頭の浮腫が再燃したため,再度ステロイドパルス療法を1クール施行し,プレドニゾロン内服40mg/dayから漸減療法を行った.その後,前眼部の炎症所見および乳頭浮腫は軽快し,治療開始から約2年間の経過観察を行ったが再発はなく,視力は経過を通じて良好であった.SD-OCT(RTVue-100R,softwareversion4.0;OptovueInc.)による平均GCC厚(右眼/左眼)は治療開始後2.5カ月で96.17/92.63μm,6カ月で89.82/95.60μm,12カ月で93.99/96.31μmであった(図4).また,平均cpRNFL厚(右眼/左眼)は治療開始後2.5カ月で194.64/145.70μm,6カ月で106.72/100.31μm,12カ月で112.38/106.23μmであった(図5).両眼の平均GCC厚は経過を通じて明らかな変化を認めず,平均cpRNFL厚は治療開始6カ月後で減少し,6カ月後と12カ月後では明らかな変化はなかった.また,平均GCC厚および平均cpRNFL厚の確率的評価では,両眼ともに経過を通じて,正常データベースと比較して有意な減少はみられなかった(p>0.05).なお,GCC厚は内蔵のGCCスキャンプログラム用い,中心窩から耳側1mmの部位を中心とした直径6mmの範囲を解析した.cpRNFL厚はONHスキャンプログラムを用い,乳頭中央を中心とした直径3.45mmの円周上の厚みを解析した.また,それぞれの解析に用いたデータは,SignalStrengthIndexが50以上得られ,セグメンテーションエラーのないものを採用した.〔症例2〕65歳,男性.主訴:両眼の視力低下.既往歴:40年前,右耳に溶接の火花が入り,難聴あり.現病歴:2013年3月初旬,両眼の視力低下を自覚し,近医を受診した.VKHを疑われ,翌日に当科を紹介受診となった.初診時所見:視力は右眼0.7(0.8×?0.50D),左眼0.1(0.9×+1.50D),眼圧は右眼15mmHg,左眼12mmHgであった.前眼部の炎症所見は明らかでなかった.眼底は両眼性の漿液性網膜?離が散在していたが,視神経乳頭の発赤および浮腫はなかった.FAでは,両眼の漿液性網膜?離に一致した網膜下への蛍光貯留を認めたが,視神経乳頭からの蛍光漏出はなかった(図2).髄液検査では,髄液細胞数の増多は認めなかったが,典型的な眼底所見からVKHと診断された.経過:即日入院とし,ソルメドロール1,000mgによるステロイドパルス療法を3クール施行後,プレドニゾロン内服50mg/dayから漸減療法を行った.視力は治療後2.5カ月で右眼(1.2),左眼(1.2)と改善がみられた.両眼の漿液性網膜?離は治療開始後1カ月の時点で消失し,12カ月後では両眼ともに夕焼け状眼底を呈していた.平均GCC厚(右眼/左眼)は治療開始後2.5カ月で94.59/95.14μm,6カ月で93.86/93.24μm,12カ月で93.01/94.37μmであった(図4).また,平均cpRNFL厚(右眼/左眼)は治療開始後2.5カ月で106.21/97.81μm,6カ月で108.23/102.31μm,12カ月で104.86/100.10μmであった(図5).両眼の平均GCC厚および平均cpRNFL厚は,経過を通じて明らかな変化がなかった.また,平均GCC厚および平均cpRNFL厚の確率的評価では,両眼ともに経過を通じて,正常データベースと比較して有意な減少はみられなかった(p>0.05).〔症例3〕61歳,男性.主訴:両眼の変視症.既往歴:2013年11月中旬に抜歯.現病歴:2013年11月下旬,約1カ月前からの変視症を自覚し,近医を受診した.両眼後極部の網膜下液と右眼の乳頭黄斑間の網膜膨化を認め経過観察を行っていたが,増悪したため12月初旬に当科を紹介受診となった.初診時所見:視力は右眼0.4(1.2×-1.00D(cyl?1.00DAx100°),左眼0.3(1.0×+1.25D(cyl?0.50DAx90°),眼圧は右眼15mmHg,左眼19mmHgであった.CFF値は右眼33Hz,左眼21Hzで,RAPDは陰性であった.前眼部の炎症所見は明らかでなかった.眼底は両眼性の漿液性網膜?離および視神経乳頭の発赤と浮腫がみられた.さらに,右眼黄斑部下方および左眼黄斑部耳側に網膜色素上皮の変性を認めたが,夕焼け状眼底や明らかな網脈絡膜萎縮病巣は認めなかった.FAでは,両眼の漿液性網膜?離に一致した網膜下への蛍光貯留,視神経乳頭からの蛍光漏出,網膜色素上皮の変性部位に一致したwindowdefectを認めた(図3).髄液検査では,髄液細胞数が54.0/3mm3と増多していた.以上の結果からVKHと診断された.経過:3日後に当科入院し,翌日からソルメドロール1,000mgによるステロイドパルス療法を1クール施行した.1クール終了後の視力は右眼(1.5),左眼(0.7)で左眼の漿液性網膜?離は残存していた(図6a).患者の都合により長期間の入院が困難であったため,ステロイドパルス療法2クール目を施行後に退院し,その1週間後から3クール目を施行した.その後,プレドニゾロン内服40mg/dayから漸減療法を行った.治療開始から約1カ月後には,左眼の漿液性網膜?離は軽快傾向にあり,乳頭の発赤と浮腫は両眼ともに改善していた.治療開始後約3カ月には,視力は右眼(1.5),左眼(1.5)と改善し,両眼の漿液性網膜?離は消失したが,左眼の耳側領域で網膜外層の菲薄化を認めた(図6b).平均GCC厚(右眼/左眼)は治療開始後1カ月で100.04/85.22μm,2カ月で98.02/84.67μm,3カ月で99.83/86.10μmであった(図7a).また,平均cpRNFL厚(右眼/左眼)は治療開始後1カ月で126.25/118.22μm,2カ月で119.54/111.88μm,3カ月で117.04/111.16μmであった(図7b).平均GCC厚および平均cpRNFL厚は,両眼ともに経過を通じて明らかな変化がなかったが,治療開始後1カ月で左眼の平均GCC厚は右眼に比して減少していた.しかし,平均cpRNFL厚は右眼と左眼で明らかな差がみられなかった.平均GCC厚および平均cpRNFL厚の確率的評価は,治療後3カ月で両眼ともに正常範囲内(p>0.05)であった.しかし,左眼のGCCsignificancemapでは,網膜外層の菲薄化部位に一致した耳側領域に菲薄化(p<0.01)を認め,局所的なGCC厚の減少を示すfocallossvolume(FLV)は11.50%と異常値(p<0.01)を示した(図6c).II考按乳頭浮腫型VKHの症例1,および乳頭の炎症所見を伴わない後極型VKHの症例2は,ともに経過を通じてGCCおよびcpRNFLの菲薄化を認めなかった.一方で,経過観察中に網膜外層の萎縮を呈した症例3では,網膜外層の萎縮部位に応じた領域でGCCの菲薄化がみられた.今回の3症例は,いずれも眼外傷や内眼手術の既往はなく,症例1および症例3はVKHの国際診断基準7)を満たしていた.症例2は診断基準に必要な眼外所見がなかったが,病後期に夕焼け状眼底となり,典型的な眼底所見からVKHと診断された.症例1の乳頭浮腫型VKHにおいて,cpRNFL厚は治療開始6カ月後に減少したが,乳頭浮腫改善後のcpRNFL厚は経過を通じて正常範囲内であった.乳頭浮腫を有する眼ではcpRNFL厚が正常眼に比べ肥厚するとされている8).したがって,症例1でみられたcpRNFL厚の減少は,炎症による軸索輸送障害によって誘発されたcpRNFLの肥厚が,治療による消炎に伴い改善したものであり,炎症による神経線維障害の進行を反映したものではなかったと考えられる.症例1と症例2において,GCCおよびcpRNFLは経過を通じて明らかな菲薄化を認めなかった.VKHはメラノサイトに対する自己免疫疾患であり,メラノサイトはくも膜にも存在するため,VKHでは髄膜炎が生じる.そのためVKHでは髄鞘内に炎症が留まっている状態であり,視神経の直接障害はない2)とされている.また,VKHでは0.1未満に視力が低下していても,CFF値は軽度低下に留まる9)ことが知られており,ぶどう膜炎の視神経の障害は特発性視神経炎などと比較して軽微であるとされている10).しかし,筆者らの知る限りVKHにおけるGCC厚およびcpRNFL厚の経時的変化を検討した報告はない.今回,乳頭浮腫を伴うVKHでは治療後,明らかな神経節細胞の障害はきたさないことが他覚的に評価できたと考えられる.治療により視機能が改善した後にも神経節細胞や神経線維の障害が進行する視神経疾患4?6)とは異なる病態を示した.症例3では,治療開始後早期から右眼に比して左眼のGCC厚が減少していた.しかし,網膜神経節細胞の軸索を評価しているcpRNFL厚は右眼と左眼で明らかな差を認めなかった.cpRNFLに菲薄化がみられなかった理由としては,GCCの障害部位が限局していたためcpRNFL厚の減少として反映されなかったと考えられる.左眼GCC厚の減少については,GCCが菲薄化した部位に一致して網膜外層が萎縮を呈したことより,網膜下液の遷延もしくは炎症性変化に伴った視細胞のアポトーシスが生じ,順行性に網膜神経節細胞萎縮を生じた可能性がある.また,初診時のFAで左眼黄斑部耳側にwindowdefectがみられており,過去に何らかの疾患による滲出性変化が生じたことで網膜外層の菲薄化や網膜色素上皮障害がすでに存在していた可能性も否定できない.そのため,左眼GCCの菲薄化は,過去の網膜外層や網膜色素上皮の障害を反映した結果かもしれない.VKHによる漿液性網膜?離とGCC菲薄化の関連性について,今後症例数を増やしての検討が必要である.一方で,これまで乳頭浮腫を伴うVKHで虚血性視神経症を合併した症例がいくつか報告されている11,12).虚血性視神経症では,GCCおよびcpRNFLが経時的に菲薄化する5)ため,網膜外層の萎縮に関連した網膜神経節細胞萎縮との鑑別に注意が必要であると思われる.今回,急性期に乳頭の炎症所見を呈する乳頭浮腫型VKHと乳頭の炎症所見を伴わない後極型VKHにおいて,GCC厚およびcpRNFL厚の経時的変化を観察した.VKHにおける乳頭浮腫は,続発性の視神経障害をきたさないことが示唆されたが,一方で網膜外層の萎縮に関連した網膜神経節細胞萎縮を認めた症例も経験した.乳頭浮腫を伴ったVKHにおいてGCC厚やcpRNFL厚を評価することは,病態の把握に有用であると考えられる.文献1)杉浦清治:Vogt-小柳-原田病.臨眼33:411-424,19792)中村誠:乳頭が腫れていたら.あたらしい眼科24:1553-1560,20073)KimNR,LeeES,SeongGJetal:Structure-functionrela-tionshipanddiagnosticvalueofmacularganglioncellcomplexmeasurementusingFourier-domainOCTinglaucoma.InvestOphthalmolVisSci51:4646-4651,20104)後藤克聡,水川憲一,三木淳司ほか:神経節細胞複合体の急激な菲薄化を認めた小児視神経炎の2例.日眼会誌117:1004-1011,20135)GotoK,MikiA,ArakiSetal:Timecourseofmacularandperipapillaryinnerretinalthicknessinnon-arteriticanteriorischemicopticneuropathyusingspectral-domainopticalcoherencetomography.NeuroOphthalmology40:74-85,20166)荒木俊介,後藤克聡,水川憲一ほか:光干渉断層計を用いて神経節細胞複合体厚および乳頭周囲網膜神経線維層厚の経時的変化を観察できた小児外傷性視神経症の1例.あたらしい眼科31:763-768,20147)ReadRW,HollandGN,RaoNAetal:ReviseddiagnosticcriteriaforVogt-Koyanagi-Haradadisease:reportofaninternationalcommitteeonnomenclature.AmJOphthalmol131:647-652,20018)MenkeMN,FekeGT,TrempeCL:OCTmeasurementsinpatientswithopticdiscedema.InvestOphthalmolVisSci46:3807-3811,20059)三村康男:ブドウ膜炎の診断,治療と医原性の問題について,第4章各疾病の診断と治療,IIVogt-小柳-原田病.日本の眼科48:190-194,197610)毛塚剛司:視神経炎をみたら.あたらしい眼科30:731-737,201311)YokoyamaA,OhtaK,KojimaHetal:Vogt-Koyanagi-Haradadiseasemasqueradinganteriorischemicopticneuropathy.BrJOphthalmol83:123,199912)NakaoK,MizushimaY,AbematsuNetal:AnteriorischemicopticneuropathyassociatedwithVogt-Koyanagi-Haradadisease.GraefesArchClinExpOphthalmol247:1417-1425,2009〔別刷請求先〕荒木俊介:〒701-0192倉敷市松島577川崎医科大学眼科学1教室Reprintrequests:SyunsukeAraki,DepartmentofOphthalmology1,KawasakiMedicalSchool,577Matsushima,Kurashiki701-0192,JAPAN図1症例1の初診時眼底所見a:蛍光眼底造影所見.両眼に視神経乳頭からの蛍光漏出を認めた.b:黄斑部OCT所見(水平断).両眼ともに黄斑部の滲出性変化は認めなかった.c:乳頭部OCT所見(水平断).両眼ともに乳頭浮腫を認めた.OCT:opticalcoherencetomography.図2症例2の初診時眼底所見a:蛍光眼底造影所見.両眼の漿液性網膜?離に一致した網膜下への蛍光貯留を認めたが,視神経乳頭からの蛍光漏出は認めなかった.b:黄斑部OCT所見(水平断).両眼ともに黄斑部の漿液性網膜?離を認めた.c:乳頭部OCT所見(水平断).両眼ともに乳頭浮腫は認めなかった.OCT:opticalcoherencetomography.図3症例3の初診時眼底所見a:蛍光眼底造影所見.両眼の漿液性網膜?離に一致した網膜下への蛍光貯留と視神経乳頭からの蛍光漏出を認めた.また,右眼黄斑部下方および左眼黄斑部耳側にwindowdefectを認めた.b:OCT所見(水平断).両眼ともに黄斑部の漿液性網膜?離および乳頭浮腫を認めた.OCT:opticalcoherencetomography.あたらしい眼科Vol.33,No.11,201616671668あたらしい眼科Vol.33,No.11,2016(130)図4症例1および症例2の平均GCC厚の経時的変化症例1,症例2の平均GCC厚は両眼ともに経過を通じて明らかな変化がなかった.また,乳頭の炎症所見の有無にかかわらず両症例の最終的な平均GCC厚に明らかな差はなかった.GCC:ganglioncellcomplex.図5症例1および症例2の平均cpRNFL厚の経時的変化平均症例1の平均cpRNFL厚は治療開始6カ月後で減少し,その後は一定であった.症例2の平均cpRNFL厚は両眼ともに経過を通じて明らかな変化がなかった.また,乳頭の炎症所見の有無にかかわらず両症例の最終的な平均cpRNFL厚に明らかな差はなかった.cpRNFL:circumpapillaryretinalnervefiberlayer.(131)あたらしい眼科Vol.33,No.11,20161669図6症例3のOCT所見a:治療後3日のOCT所見.右眼の乳頭黄斑間の網膜膨化および左眼黄斑部の漿液性網膜?離の残存を認めた.b:治療後3カ月のOCT所見.右眼の網膜膨化が改善した.左眼の漿液性網膜?離は改善したが,耳側領域(矢頭で示した部位)で網膜外層の萎縮が認められた.c:治療後3カ月のGCCmap.左眼のGCCsignificancemapにおいて,耳側に異常領域が認められ,FLVは11.50%と異常値を示した.右眼のFLVは1.45%で正常範囲内であった.FLV:focallossvolume,GCC:ganglioncellcomplex,OCT:opticalcoherencetomograph1670あたらしい眼科Vol.33,No.11,2016(132)図7症例3の平均GCC厚および平均cpRNFL厚の経時的変化a:症例3の平均GCC厚の経時的変化.左眼の平均GCC厚は経過を通じて右眼に比して減少していた.b:症例3の平均cpRNFL厚の経時的変化.平均cpRNFL厚は両眼ともに経過を通じて明らかな変化がなかった.cpRNFL:circumpapillaryretinalnervefiberlayer,GCC:ganglioncellcomplex.(133)あたらしい眼科Vol.33,No.11,201616711672あたらしい眼科Vol.33,No.11,2016(134)