《原著》あたらしい眼科30(2):276.281,2013c光線力学的療法を施行したラニビズマブ反応不良ポリープ状脈絡膜血管症7例井尻茂之杉山和久金沢大学医薬保健研究域視覚科学(眼科学)PhotodynamicTherapyforPolypoidalChoroidalVasculopathyRefractorytoRanibizumabShigeyukiIjiriandKazuhisaSugiyamaDepartmentofOphthalmologyandVisualScience,KanazawaUniversityGraduateSchoolofMedicalScience目的:ラニビズマブ硝子体内投与(IVR)に反応不良であったポリープ状脈絡膜血管症(PCV)7例に対し光線力学的療法(PDT)を施行したので治療経過を報告する.対象および方法:対象は,IVR単独治療を施行するも光干渉断層計(OCT)上反応不良にてPDTを施行し,PDT後6カ月以上経過観察できたPCV7例7眼である.6例は,導入期の連続3回投与後もOCTにて滲出性変化が悪化または残存したためIVR反応不良と判断した.1例は,維持期に再発した滲出性変化が計3回の投与後も残存したためIVR反応不良と判断した.7例ともポリープ状病巣は残存し,初回IVR時から視力またはOCT所見が経時的に悪化したためPDTを施行した.PDT後の平均観察期間は11.0±2.0カ月であった.PDT前後の視力,OCT所見,蛍光眼底造影所見,再治療,合併症について検討した.結果:7例中6例は,ポリープ状病巣が閉塞しPDT後6カ月までに滲出性変化の消失または改善を認めた.6例中3例は滲出性変化が再発し,3例中2例は残存異常血管網からの漏出に対しIVR単独で再治療を行い,2例とも1カ月後に滲出性変化は消失した.もう1例は,中心窩外に再発したポリープ状病巣に対し光凝固を施行し,光凝固3カ月後で滲出性変化は消失した.7例中1例は,ポリープ状病巣が閉塞せず滲出性変化も悪化した.再治療としてIVR併用PDTを施行したが,ポリープ状病巣および滲出性変化は残存した.本症例のみ,視力はPDT後3カ月までに悪化したが,最終的には全症例が維持または改善した.合併症については,1例のみPDT後に1乳頭径未満の出血性網膜色素上皮.離を生じたが,出血は自然吸収され最終観察時まで再治療なく視力を維持できた.結論:解剖学的にIVRに反応不良なPCVに対するPDTは有効であった.Purpose:Toreport7casesofpolypoidalchoroidalvasculopathy(PCV)thatunderwentphotodynamictherapy(PDT)becausetheywererefractorytointravitrealranibizumab(IVR)monotherapy.SubjectsandMethods:Weinvestigated7casesofPCVthatunderwentPDTbecausetheywererefractorytoIVRmonotherapy.Exudativechangesasevaluatedbyopticalcoherencetomography(OCT)increasedorremainedunchangedinallcases,despite3consecutivemonthlyIVRinjections.Themeanfollow-upperiod(±standarddeviation)afterPDTwas11.0±2.0months.Patientdataretrievedincludedbest-correctedvisualacuity(BCVA),OCTfindings,fluoresceinangiographicfindings,indocyaninegreenangiographic(IA)findings,re-treatmentsandcomplications.Results:IAperformedat3-monthintervalsafterPDTrevealeddisappearedpolypoidallesionsin6of7cases.ExudativechangesasevaluatedbyOCTdisappearedorresolvedby6monthsafterPDTinthese6cases,butrecurredin3ofthe6.In2ofthose3,recurringexudationswerethecauseofresidualbranchingvascularnetworkvessels.These2caseswerere-treatedwithIVR;theexudativechangeshadcompletelydisappearedat1monthafterre-treatment.Theothercasewasre-treatedwithphotocoagulation(PC)forrecurrentextrafovealpolypoidallesions;theexudativechangeresolvedby3monthsafterPC.Inoneofthe7cases,polypoidallesiononIAdidnotdisappearandexudativechangeonOCTgraduallyincreasedafterPDT.Thiscasewasre-treatedwithPDTcombinedwithIVR.Thepolypoidallesiondidnotdisappearafterre-treatment,andexudativechangeremained.BCVAdeterioratedat3monthsafterPDTin1casewithoutthepolypoidallesiondisappearing,butimprovedorwasmaintainedatfinalvisitsinall7cases.Hemorrhagicretinalpigmentepithelialdetachmentsmallerthan1discdiameter〔別刷請求先〕井尻茂之:〒920-8641金沢市宝町13番1号金沢大学医薬保健研究域視覚科学(眼科学)Reprintrequests:ShigeyukiIjiri,M.D.,DepartmentofOphthalmologyandVisualScience,KanazawaUniversityGraduateSchoolofMedicalScience,13-1Takara-machi,Kanazawa-shi920-8641,JAPAN276276276あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013(142)(00)0910-1810/13/\100/頁/JCOPYwasseenat1monthafterPDTin1case.Thehemorrhagedisappearednaturally,andvisualacuitywasmaintainedatfinalvisitwithoutre-treatment.Conclusion:PDTwaseffectiveforcasesofPCVthathadpooranatomicresponsetoIVRmonotherapy.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)30(2):276.281,2013〕Keywords:光線力学的療法,ラニビズマブ,ポリープ状脈絡膜血管症,滲出型加齢黄斑変性,光干渉断層計.photodynamictherapy,ranibizumab,polypoidalchoroidalvasculopathy,exudativeage-relatedmaculardegeneration,opticalcoherencetomography.はじめに滲出型加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)に対する抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)抗体であるラニビズマブ(ルセンティスR,ノバルティスファーマ)硝子体内注射(intravitrealranibizumab:IVR)は,2009年に臨床使用が開始され,現在AMD治療の主要な治療法として確立されている.国内外の臨床試験では,平均視力は投与開始後から急速に改善し,1カ月毎連続3回の導入期終了までにプラトーに達するという良好な結果である1.3).しかしながら,AMDに対するIVR単独治療には,約3割で解剖学的反応不良例が存在することが報告されており4,5),抗VEGF単独治療に抵抗性を示すAMDにはポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)や網膜色素上皮.離(retinalpigmentepithelialdetachment:PED)主体のoccult脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)例が多いことが報告されている6.8).実際の臨床でも導入期の投与に解剖学的に反応しない症例や,導入期の投与には反応したものの維持期での追加投与に反応が不良になってくる症例を経験し,近年,このようなIVR単独治療に抵抗性を示すAMD症例への対応が問題となってきている.IVR以外のAMDに対する治療としては,ベルテポルフィン(ビスダインR,ノバルティスファーマ)を用いた光線力学的療法(photodynamictherapy:PDT)があり,2004年にわが国で臨床使用が可能となっている.PDTは,IVR治療と比較し視力に関してはその長期成績は劣るものの1),解剖学的所見の改善や視力維持効果が多数報告されており,特にPCVで有効とされている9.12).近年,抗VEGF抗体の硝子体内注射単独治療に抵抗性を示すAMDに対するPDTの有効性が報告されている7).今回,筆者らはIVR単独治療を行うも光干渉断層計(OCT)にて解剖学的に改善が得られないためPDTを施行し,PDT後6カ月以上経過観察できたPCV7例の経過を報告する.I対象および方法対象は,2009年3月から2011年3月の間に,金沢大学附属病院眼科で初回治療としてIVR単独治療を施行するもOCT上反応不良にてPDTを施行し,PDT後6カ月以上経過観察できたPCV7例7眼である.PDT後の平均観察期間は11.0±2.0カ月であった.PCVの診断は,日本ポリープ状脈絡膜血管症研究会による診断基準の確実例を満たすものとした13).症例2を除く6例は,ラニビズマブ0.5mg/0.05mlを導入期として1カ月毎連続3回投与したにもかかわらず,OCTにて網膜下液(subretinalfluid:SRF)または漿液性PEDが悪化または残存したためIVR反応不良と判断した.症例2は,導入期の連続3回投与にてSRFは消失したが,維持期に再発したSRFが計3回の投与でも消失しなかったためIVR反応不良と判断した.7例ともインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyaninegreenangiography:IA)でIVR開始前に認めたポリープ状病巣はPDT前に増減なく残存し,初回IVR時から視力またはOCT所見が経時的に悪化したためPDTを施行した.各症例の治療前の背景を表1に示す.PDTは,標準の条件で施行した(ベルテポルフィンを体表面積当たり6mg/m2で10分かけて点滴静注,エネルギー50J/cm2,波長689nm,照射時間83秒).最大病変直径はIAで決定し,照射径は,病変最大直径に1mm(周囲に500μm)の縁取りをつけたものとした.全症例,PDT前とPDT後1カ月毎に小数視力(3mまたは5mで測定)とOCT(トプコン社製,3DOCT-1000MARKII)を測定し,PDT前とPDT後3カ月以降にフルオレセイン蛍光眼底造影(fluoresceinangiography:FA)およびIA(ハイデルベルグ社製,ハイデルベルグスペクトラリスHRA+OCTで撮影)を施行した.再治療は,初回PDT後3カ月以降にOCTにて滲出性変化の残存または悪化を認めた場合に施行した.再治療は,中心窩下にポリープ状病巣を認める場合にはPDTを施行し,中心窩外にポリープ状病巣を認める場合は網膜光凝固を施行した.ポリープ状病巣を認めず異常血管網のみから漏出している場合は,IVRを施行した.検討項目は,①視力およびOCT所見(PDT前,PDT1カ月後,3カ月後,6カ月後,最終観察時),②ポリープ状病巣閉塞の有無(PDT前とPDT3カ月以降に施行したIAを比較し評価),③再治療について,④合併症について,である.(143)あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013277表1各症例のPDT前背景IVR前IVR前IVR最終IVR.PDT前PDT前PDT前のPDT前PDT前ポリPDT照射症例年齢(歳)・性BCVACFT(μm)回数PDT期間(月)BCVACFT(μm)OCT所見FA分類ープ状病巣径(μm)166・男性1.02403170.5295SRF,sPEDOccultsub4,800283・男性0.327862.50.5224SRFOccultsub6,000362・女性0.619336.00.8193sPEDOccultextra4,000466・男性0.823933.00.3557SRF,sPEDOccultsub,extra3,850573・男性0.635833.80.15422SRF,sPEDOccultsub4,200680・男性0.730632.30.7424SRFOccultsub,extra5,500767・女性0.817034.10.5147SRFOccultsub2,700PDT:photodynamictherapy,IVR:intravitrealranibizumab,BCVA(小数視力):bestcorrectedvisualacuity,CFT:centralfovealthickness,OCT:opticalcoherencetomography,SRF:subretinalfluid,sPED:serousretinalpigmentepithelialdetachment,FA:fluoresceinangiography,Occult:occultwithnoclassic,sub:subfovea,extra:extrafovea.表2各症例のPDT後の経過症例PDT前1MBCVA3M6M最終PDT前CFT(μm)1M3M6M最終ポリープ状病巣再治療合併症観察期間(月)10.50.60.30.50.7295*352*355*221*238*残存IVR併用PDTなし820.50.50.50.60.6224*175*153137132閉塞なしhPED1030.80.80.81.01.0193126107104135閉塞なしなし1240.30.30.30.70.6557*305*238215*241*再発光凝固なし1150.150.70.90.91.0422*173*188*151152閉塞IVR1回なし1360.70.80.90.90.7424*165*196166160閉塞IVR1回なし1370.50.60.70.90.9147*139150176156閉塞なしなし13PDT:photodynamictherapy,IVR:intravitrealranibizumab,BCVA(小数視力):bestcorrectedvisualacuity,CFT:centralfovealthickness,hPED:hemorrhagicretinalpigmentepithelialdetachment.*:光干渉断層計にてsubretinalfluidを認めるもの.II結果各症例のPDT後の経過を表2に示す.7例中6例(症例2,3,4,5,6,7)は,IAでポリープ状病巣が閉塞した.ポリープ状病巣が閉塞した6例のうち,PDT前にSRFのみを認めた3例(症例2,6,7)はPDT後3カ月までにSRFが消失した.PDT前に漿液性PEDのみを認めた症例3はPDT後1カ月で漿液性PEDは消失した.PDT前にSRFと漿液性PEDの両者を認めた2例のうち,症例5はPDT後1カ月までに漿液性PEDが,PDT後2カ月までにSRDが消失した.もう1例の症例4は,PDT後2カ月で一旦SRFは消失したが,PDT後6カ月でSRFが再発し,漿液性PEDは残存した.本症例は,IAでPDT前に認めた中心窩下のポリープ状病巣は閉塞していたが,中心窩外(異常血管網の末端)にポリープ状病巣が再発していた.再発したポリープ状病巣に対し光凝固を施行したところ3カ月後までにSRFは消失した.再治療については,症例5がPDT後3カ月で,症例6がPDT後11カ月でSRFが再発したが,IAではポリープ状病巣の再発は認めず異常血管網のみであった.2例ともIVRで再治療を行い,IVR1カ月後にSRFは消失した.症例1278あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013は,PDT後もSRFおよび漿液性PEDは悪化し,IAでもポリープ状病巣が残存した.再治療として初回PDTから4カ月後にIVR併用PDTを施行した(PDT7日前にIVR1回,PDT後2カ月後にIVRを2回連続施行).再治療後,SRFは減少し漿液性PEDは縮小したがいずれも残存し,ポリープ状病巣も閉塞しなかった.症例2,3,7は,初回PDT後SRFの再発は認めず,再治療は施行しなかった.視力については,ポリープ状病巣が残存しOCT所見が悪化した症例1のみPDT後3カ月までに悪化したが,最終的には全症例が維持または改善した.小数視力をlogarithmicminimumangleofresolution(logMAR)値に換算し,logMAR値0.3以上の変化を改善または悪化とすると,7眼中2眼(28.6%)が改善,7眼中5眼(71.4%)が不変であった.合併症については,症例2がPDT後1カ月時に中心窩下に1乳頭径未満の出血性PEDを認めた.PDT後6カ月までに出血は吸収され,ポリープ状病巣は閉塞し,最終観察時まで再治療なく視力を維持できた.全身的合併症は1例も認めなかった.代表例(症例7)を図1に示す.67歳女性で,中心窩下に橙赤色隆起性病巣を認め,IAで異常血管網とポリープ状病(144)BCDABCDA図1症例7(67歳,女性)A:PDT前のFA・IA同時撮影像(後期像).IAで中心窩下に異常血管網とポリープ状病巣を認めた.点線丸で病変最大長径を,実線丸で照射径(2,700μm)を示した.FAでは点状の漏出点を2カ所認めた.B:PDT前のOCT所見.中心窩下にノッチサインを伴う網膜色素上皮の隆起とSRFを認めた.C:PDT3カ月後のFA・IA同時撮影像(後期像).IAで異常血管網の縮小とポリープ状病巣の閉塞を認め,照射野に一致して低蛍光領域を認めた.FAでは蛍光漏出点は消失していた.D:PDT3カ月後のOCT所見.網膜色素上皮の隆起とSRFの消失を認めた.(145)あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013279巣を認めた.導入期に連続3回のIVRを施行したがSRFは残存し,視力が徐々に低下するため最終IVRから4カ月後にPDTを施行した.PDT1カ月後の時点でSRFは完全に消失し,PDT3カ月後のIAで異常血管網の縮小とポリープ状病巣の閉塞を認めた.PDT後観察期間13カ月でOCT上滲出性変化の再発は認めず,視力は0.5から0.9に改善した.III考按AMDに対するIVR反応不良の治療前因子として,正らは61眼のAMD例を対象に検討を行い,年齢,男女比,治療歴,視力,病変最大直径,病型,FAによる病変タイプのすべての項目について滲出消失群(69%)と残存群(31%)に有意差を認めなかったと報告している5).一方,抗VEGF単独治療に抵抗性を示すAMDにはPCV例やPED主体のoccultCNV例が多いことが報告されている6.8).また,Koizumiらは,PCVに対するIVR反応不良の治療前因子として大きなポリープ状病巣とPEDの存在を報告している4).本報告におけるIVR反応不良PCV7例も,全例がFAでocculttypeのCNVであり,7例中4例で漿液性PEDを認めた.PCVでは抗VEGF単独治療よりも,PDTを併用したほうがポリープ状病巣の閉塞が得られやすいことが報告されている.Choらは,抗VEGF単独治療が無効のPCV9例に抗VEGF療法併用PDTを行い,8例(89%)がIAとOCTで完全寛解が得られたと報告している7).また,EVERESTstudyによると,PCVにおけるポリープ状病巣の完全閉塞率はIVR単独では28.6%,PDTを併用すれば77.8%,PDT単独でも71.4%である14).本報告でもPDTを施行することで,IVR単独では閉塞が得られなかったポリープ状病巣が7例中6例(85.7%)で閉塞した.AMDに対するPDTは長期的には再発が多いことが報告されている11,12,15).本報告でも7例中3例が再発し,再治療を必要としなかったのは2例のみであった.また,症例1は初回PDTが無効のため再治療としてIVR併用PDTを施行したが,ポリープ状病巣は閉塞せず滲出性変化が残存した.症例1は,PDT前の中心窩網膜厚や病変面積が他症例と比較し著しく大きくはなかったが,最終IVRからPDTまでの期間が顕著に長かった(症例1は17カ月,他症例は6カ月以内).今後は,長期的な再発を減らせるような治療法や,症例1のようなIVR単独にもPDT単独にもIVR併用PDTにも抵抗性を有するAMD例の治療法が課題である.PCVに対するPDT後の残存異常血管網からの漏出に対しては抗VEGF薬単独治療が有効との報告がある16,17).Saitoらは,残存異常血管網からの漏出に対する治療でIVR単独治療を施行した群はPDT単独を施行した群よりも視力予後が良好であったと報告している17).本報告でも,症例5と症280あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013例6はポリープ状病巣が閉塞したが,PDT後3カ月以降に異常血管網からの漏出によるSRFの再発を認め,IVRを施行した.2例ともIVR後1カ月でSRFは完全に消失し,良好な視力を維持できた.PDT後に約4.5%の割合で重篤な視力低下をきたすという報告9)や,PDT後にVEGF産生が亢進するとの報告があること18)から,ポリープ状病巣が閉塞したあとの残存異常血管網からの漏出に対する再治療は,PDTではなく抗VEGF単独治療を行うべきと考えられる.AMDに対するPDTの国内臨床試験の結果に基づいて作成された日本版PDTガイドラインでは,治療前視力が0.5よりも良好な患者は12カ月後の視力が有意に低下していたという結果から,視力が0.5よりも良好な症例には「推奨」または「モニタリング」とされている19).本報告では,PDT前視力が0.5よりも良好な症例は2症例存在した(症例3が0.8,症例6が0.7).症例3は,中心窩下の漿液性PEDにより強い歪視の訴えがあったためPDTを施行した.症例6は,導入期中も最終IVR後も比較的急速にSRFが増加したため速やかにPDTを施行した.本報告のまとめとして,IVR反応不良PCV例にPDTを施行した.その結果,7例中6例はポリープ状病巣が閉塞し,OCT上滲出性変化の消失と視力の改善を認めた.解剖学的にIVRに反応不良なPCVに対するPDTは有効であった.文献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