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プロスタグランジン/β遮断薬配合点眼液による単回点眼の視神経乳頭血流に及ぼす影響

2019年8月31日 土曜日

《第29回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科36(8):1074.1077,2019cプロスタグランジン/b遮断薬配合点眼液による単回点眼の視神経乳頭血流に及ぼす影響芳賀聡*1,2篠原和哉*1山名智志*1清水瑞己*1海津美穂*1能美典正*1武田憲治*1藤澤公彦*1*1地域医療機能推進機構九州病院眼科*2福岡歯科大学医科歯科総合病院眼科CIn.uenceonOpticNerveHeadBloodFlowofSingleDoseInstillationofBeta-blockerAdditiontoProstaglandinSatoshiHaga1,2),KazuyaShinohara1),SatoshiYamana1),TamamiShimizu1),MihoKaizu1),NorimasaNoumi1),KenjiTakeda1)andKimihikoFujisawa1)1)DepartmentofOphthalmology,JapanCommunityHealthCareOrganizationKyushuHospital,2)DepartmentofOphthalmology,FukuokaDentalCollegeC目的:視神経乳頭の血流に及ぼす影響についてわが国で使用可能な抗緑内障薬のうち,プロスタグランジン製剤とCb遮断薬の合剤C4種類について単回点眼の効果について前向きな研究を行う.眼圧下降効果,視神経乳頭血流への影響,点眼による自覚的副作用について調べる.対象および方法:眼疾患を有しない健常者C21例・42眼(平均年齢C40.6歳±10.5歳)を対象として,プロスタグランジン/b遮断薬配合点眼液(A群:ラタノプロスト/カルテオロール塩酸塩配合点眼液,B群:ラタノプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,C群:トラボプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,D群:タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液)を片眼にC1剤,他眼に別剤を点眼し,点眼C1,2時間後に血圧・脈拍数・眼圧を測定,視神経乳頭血流量をレーザースペックル法で測定した.結果:トラボプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液(A群)において点眼前と点眼C2時間後の間に眼圧の有意な低下を認めた(p=0.02CTurkeytest).タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液(D群)において点眼前と点眼後C1,2時間ともに眼圧の有意な低下を認めた(p=0.01,Cp=0.01Turkeytest).眼灌流圧・視神経乳頭血流量に関しては点眼後C1,2時間ともに有意な変化を認めなかった(眼灌流圧:p=0.89,C0.61,C0.59,0.49,視神経乳頭血流:p=0.64,C0.99,C0.42,0.92).点眼後C1,2時間後の眼灌流圧と視神経乳頭血流量の相関は少ない結果となった(相関係数:1時間後A群:C0.240,B群:0.075,C群:0.090,D群:0.020,2時間後A群:0.002,B群:0.007,C群:0.018,D群:0.184).結論:プロスタグランジン/b遮断薬配合点眼液による単回点眼の視神経乳頭血流に及ぼす血流変化は示さなかった.CPurpose:Weconductedaprospectivestudyregardingthein.uenceonopticnerveheadblood.owofsingledoseinstillationof4kindsofbeta-blockersaddedtoprostaglandin.Patientsandmethods:Subjectscomprised42eyesCofC21Chealthyvolunteers(meanage:40.6±10.5years).COpticCnerveCbloodC.owCwasCmeasuredCbyCtheClaserspecklemethod;bloodpressure,pulserateandintraocularpressureweremeasuredat1and2hoursafterprosta-glandin/bblocker(latanoprost/carteololhydrochloridecombination,latanoprost/timololmaleatecombination,travo-prost/timololCmaleateCcombination,Cta.uprost/timololCmaleatecombination)inConeCeye,CandCotherCeye.CResults:CMeaningfuldropinintraocularpressurewasdetectedtwohoursafterinstillationoftimololmaleatecombination(p=0.02CTurkeytest),CandCtwoChoursCafterCinstillationCofCta.uprost/CtimololCmaleatecombination(p=0.01,Cp=0.01Turkeytest).Intraocularpressureandopticnerveblood.owdidnotincreaseforoneortwohours(eyeperfusionpressure:p=0.89,C0.61,C0.59,0.49;opticCnerveCblood.ow:p=0.64,C0.99,C0.42,0.92).CNoCsigni.cantCcorrelationCwasobservedbetweenintraocularpressureandopticnerveblood.owforoneortwohours(Correlationcoe.cient:CAfterC1ChourA:0.240,B:0.075,C:0.090,D:0.020,CAfterC2ChoursA:0.002,B:0.007,C:0.018,D:0.184).CConclusion:Resultsindicatethatsingledoseinstillationofbeta-blockeradditiontoprostaglandinhasnoin.uence〔別刷請求先〕芳賀聡:〒814-0193福岡市早良区田村C2-15-1福岡歯科大学医科歯科総合病院眼科Reprintrequests:SatoshiHaga,DepartmentofOphthalmology,FukuokaDentalCollege,2-15-1Tamura,Sawara-ku,Fukuoka-shi,Fukuoka814-0193,JAPANC1074(104)0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(104)C10740910-1810/18/\100/頁/JCOPYonopticnerveheadblood.ow.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C36(8):1074.1077,C2019〕Keywords:レーザースペックルフローグラフィー(LSFG),視神経乳頭血流,ラタノプロスト/カルテオロール塩酸塩配合点眼液,ラタノプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,トラボプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,前向き研究.laserspeckle.owgraphy(LSFG)C,opticnerveheadblood,latanoprost/carteololhydrochloridecombination,latanoprost/timololmaleatecombination,travo-prost/timololmaleatecombination,ta.uprost/timololmaleatecombination,prospectivestudy.Cはじめに緑内障の進行には眼圧の影響がもっとも大きい.そのため眼圧下降においてプロスタグランジン製剤,Cb遮断薬を第一選択として使用することが多い.眼圧以外の進行にかかわる要素の一つとして眼循環が指摘1)されている.プロスタグランジン製剤点眼が視神経乳頭の血流に及ぼす影響2),b遮断薬が視神経乳頭の血流に及ぼす影響3.5)に関しての報告はあるが,合剤に関しての報告は少ない.筆者らは,Cb遮断薬との合剤C4種類について視神経乳頭血流を検討した.CI対象および方法全身疾患および眼疾患・眼手術歴を有しない健常者C21人・42眼(平均年齢C40.6歳C±10.5歳)を対象としてプロスタグランジン/Cb遮断薬配合点眼液(A群:ラタノプロスト/カルテオロール塩酸塩配合点眼液,B群:ラタノプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,C群:トラボプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液,D群:タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液)を片眼にC1剤,他眼にC1剤点眼し,点眼C1,2時間後に血圧・脈拍数・眼圧を測定,視神経乳頭血流量をレーザースペックル法で測定した.右眼へ点眼CA,左眼へ点眼CBをC11人へ,右眼へ点眼CC,左眼へ点眼CD10人へ点眼した.視神経乳頭血流測定不能眼に関してはこれを除外し,38眼となった.血圧,脈拍測定は自動血圧計(エレマーノ,テルモ),眼圧測定はノンコンタクトトノメーター(NT-530,ニデック)を用い,視神経乳頭血流速度測定にはレーザースペックルフローグラフィー(LSFG-NAVI,ソフトケア)を用いた.視神経乳頭の血管血流(meanCvesselCblood.ow:MV)についてCmeanCblurCrate(MBR)の値を求めた.全例に対して無散瞳下で測定した.平均血圧は拡張期血圧+1/3(収縮期血圧C.拡張期血圧),眼灌流圧は(2/3平均血圧C.眼圧)とした.すべての測定は同一検者が施行した.統計学的検討にはCanalysisCofCvari-ance(ANOVA)を用い,ANOVAで群間に有意差がある場合はCTurkeyの多重比較を施行した.p<0.05を統計学的に有意とした.また,今回の研究では点眼施行後にアンケート調査を行った項目は結膜充血,眼刺激症状,眼痛,霧視,掻痒感,眼脂,結膜浮腫,羞明,眼重感,乾燥感で,各項目についてC0:なし,1:軽度,2:重度で評価してもらい,平均値を比較した.当臨床試験は地域医療機能推進機構九州病院倫理委員会の承認(申請番号C555)を得たあとに,試験参加全員からの文書での参加同意を得て施行した.本研究はヘルシンキ宣言に従って施行され,被験者に対して本研究の趣旨・内容に関して説明し同意を得たうえで施行した.CII結果被験者の内訳を表1に示した.4群の点眼前の年齢・平均血圧・脈拍・眼圧・MVに有意差を認めなかった(p=0.90,Cp=0.99,Cp=0.86,Cp=0.61,Cp=0.45ANOVA).C1.眼圧点眼前の眼圧はCA群C15.7C±3.7CmmHg(meanC±SD)であった.点眼C1時間後はC12.8C±3.7mmHg,点眼2時間後はC13.1±3.2CmmHgとなった(p=0.19).B群では点眼前C15.9C±4.1CmmHg,点眼C1時間後C13.4C±3.4CmmHg,点眼C2時間後でC12.0C±3.4CmmHgとなった(p=0.07).C群では点眼前C14.3±2.3mmHg,点眼C1時間後C10.4C±2.3mmHg,点眼C2時間後はC9.5C±2.9CmmHgとなった(p=0.01).C群点眼前に表1内訳とその背景A群B群C群D群p値(ANOVA)9C10C9C10年齢(歳)C39.6±9.8C39.6±9.3C40.5±12.5C40.9±9.9C0.90平均血圧(mmHg)C96.7±12.4C96.1±11.8C95.9±7.3C97.3±6.7C0.99脈拍(/min)C80.4±14.6C81.4±14.1C80.2±9.1C76.9±10.4C0.86眼圧(mmHg)C15.7±3.7C15.9±4.1C14.3±2.6C14.2±3.2C0.61CMVC47.0±7.3C43.6±6.0C47.6±7.2C45.9±6.9C0.45C(105)あたらしい眼科Vol.36,No.8,2019C10751.61.41.41.21.211眼灌流圧変化比眼圧変化比眼灌流圧変化比眼圧変化比0.80.80.60.60.40.40.20.20A群0.82B群0.84C群0.82D群0.680A群0.84B群0.75C群0.84D群0.71点眼施行群(眼圧変化比平均値)点眼施行群(眼圧変化比平均値)図1点眼前に対する点眼1時間後の眼圧変化比図2点眼前に対する点眼2時間後の眼圧比1.41.41.21.2110.80.80.60.60.40.40.20.20A群1.02B群1.00C群1.03D群1.060A群1.04B群1.07C群1.05D群1.04点眼施行群(眼灌流圧変化比平均値)点眼施行群(眼灌流圧変化比平均値)図3点眼前に対する点眼1時間後の眼灌流圧変化比図4点眼前に対する点眼2時間後の眼灌流圧変化比1.61.6視神経血流量変化比1.41.210.80.60.40.2視神経血流量変化比1.41.210.80.60.40.20A群0.98B群1.01C群1.02D群0.92点眼施行群(視神経血流量変化比平均値)図5点眼前に対する点眼1時間後の視神経血流量変化比対して点眼C1時間後で有意に下降した.(p=0.02CTurkeytest).D群では点眼前C14.2C±3.2mmHg,点眼C1時間後C9.3C±2.7mmHg,点眼C2時間後C9.6C±2.1mmHgとなった(p=0.01).D群点眼前に対して点眼C1時間後・2時間後で有意に下降した.(p=0.01,Cp=0.01Turkeytest).点眼前に対する眼圧比は点眼C1時間後ではCA群:0.82,CB群:0.84,C群:0.82,D群:0.68,点眼C2時間後ではCA群:0.84,CB群:0.75,CC群:0.84,CD群C0.71となった(図1,2).C2.血圧点眼前の平均血圧はCA群C96.7C±12.4CmmHgであった.点眼C1時間後はC93.7C±15.2mmHg,点眼C2時間後はC95.7C±0A群0.99B群0.99C群1.00D群1.02点眼施行群(視神経血流量変化比平均値)図6点眼前に対する点眼2時間後の視神経血流量変化比17.7mmHgとなった(p=0.91).B群では点眼前C96.1C±11.8mmHg,点眼C1時間後C92.9C±14.5mmHg,点眼C2時間後でC95.0±16.8mmHgとなった(p=0.88).C群では点眼前C95.9C±7.3mmHg,点眼C1時間後C93.7C±4.8CmmHg,点眼C2時間後はC94.0C±5.2mmHgとなった(p=0.71).D群ではC97.3C±6.7mmHg,点眼C1時間後C95.5C±6.2CmmHg,点眼C2時間後C94.5±5.6mmHgとなった(p=0.60).C3.眼.灌.流.圧点眼前の眼灌流圧はCA群C48.8C±5.2mmHgであった.点眼C1時間後はC49.7C±8.7CmmHg,点眼C2時間後はC52.0C±10.1mmHgとなった(p=0.89).B群では点眼前48.1C±5.5mmHg,(106)点眼C1時間後C48.1C±8.9mmHg,点眼C2時間後でC51.4C±8.8mmHgとなった(p=0.61).C群では点眼前49.7C±7.2mmHg,点眼C1時間後C51.3C±3.1mmHg,点眼C2時間後はC52.1C±4.9mmHgとなった(p=0.59).D群ではC51.4C±6.7CmmHg,点眼C1時間後C53.4C±4.6mmHg,点眼C2時間後C52.6C±4.6CmmHgとなった(p=0.49).点眼前に対する眼灌流圧比は点眼C1時間後ではCA群:1.02,B群:1.00,C群:1.03,D群:1.06,点眼2時間後ではA群:1.04,B群:1.07,C群:1.05,D群1.04となった(図3,4).C4.視神経乳頭血流点眼前に対する視神経乳頭血流比は点眼C1時間後ではCA群:0.98,B群:1.01,C群:1.02,D群:0.92(図5),点眼C2時間後ではCA群:0.99,CB群:0.99,CC群:1.00,CD群C1.02(図6)となった.MVについてCMBRは点眼前CA群:47.0C±8.7,B群:43.6C±6.0,C群:47.6C±7.2,D群:45.9C±6.9,点眼C1時間後ではCA群:44.3C±7.1,B群:43.6C±5.8,C群:44.1C±5.1,D群:47.3C±8.2,点眼C2時間後ではCA群:43.7C±7.0,CB群:43.5C±5.5,C群:44.8C±5.1,D群:46.9C±8.8となった.点眼C1・2時間後ともに有意な変化を認めなかった(p=0.64,C0.99,C0.42,0.92).眼灌流圧比と視神経乳頭血流量比の相関関係に関して,相関係数はC1時間後CA群:0.240,B群:0.075,C群:0.090,CD群:0.020,C2時間後CA群:0.002,CB群:0.007,C群:0.018,D群:0.184であった.いずれにおいても相関係数はC0.0.0.25の間となった.プロスタグランジン/Cb遮断薬配合点眼液による副作用に関してはCA群・B群・C群・D群で結膜充血(0.3,C0.6,C0.7,0.3)(平均値),眼刺激症状(0,C1.0,C0.1,0.2),眼痛(0,0.1,0,0),霧視(0,0,0,0),掻痒感(0.1,C0.1,C0.1,0.1),眼脂(0,0,0,0),結膜浮腫(0,0,0,0),羞明(0,C0,C0,0),眼重感(0.2,C0.3,C0.1,0.1),乾燥感(0.2,0.4,C0.3,C0.3)となった.CIII考按b遮断薬とプロスタグランジン製剤の合剤はC4種類いずれも視神経乳頭血流への影響はなかった.眼灌流圧が上昇すれば理論的には視神経乳頭血流は上昇すると考えられるが,症例ごとの眼灌流圧の変化と視神経乳頭血流量の間に明らかな相関関係はなかった.このことから視神経乳頭血流量は眼灌流圧に依存しないような調節機能6)があるか,または点眼薬の視神経乳頭血流に対する直接の減少作用6)で打ち消されているかいずれかであろうと推察された.今回の研究では点眼施行後の視神経乳頭血流の有意な増加は認めなかったが,正常眼と緑内障眼では結果が異なる可能性がある7,8).正常眼に比較してすでに視神経乳頭血流量が減少している緑内障眼では異なる結果2)が起こりうる.Cb遮断薬としてカルテオール塩酸塩では視神経乳頭血流比のC2時間後にばらつきが多かった.カルテオール塩酸塩とチモロールマレイン酸塩では視神経乳頭血流に対する違いが指摘されているが4),カルテオール塩酸塩には内因性交感神経刺激様作用(intrinsicsympa-thomimeticactivity:ISA)があり,末梢血管抵抗を減少9,10)させ,眼血流への影響があったためにばらつきが大きくなった可能性も考えられた.点眼による副作用に関してはラタノプラスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液で眼刺激症状が他よりも多く,既報の(13例/473例)11)に比べて刺激症状が多い結果となった.今回の検討結果では健常人に対してCb遮断薬とプロスタグランジン製剤の合剤はC4種類いずれも視神経乳頭血流への影響を示さなかった.今後症例数を増やし,また緑内障症例での検討も必要である.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)内藤哲郎,伊藤浩幸,安樂礼子ほか:プロスタグランジン関連薬点眼治療介入前後における視神経乳頭変化と乳頭周囲脈絡網膜萎縮との関連の解析.あたらしい眼科C34:734-739,C20172)梅田和志,稲富周一郎,大黒幾代ほか:正常眼におけるカルテオール塩酸塩(ミケランCRLA2%)の眼血流への影響.あたらしい眼科C30:405-408,C20133)TamakiY,AraieM,TomitaKetal:E.ectoftopicalcar-teololConCtissueCcirculationCinCtheCopticCnerveChead.CJpnJOphthalmol42:27-32,C19984)TamakiCY,CAraieCM,CTomitaCKCetal:E.ectCofCtopicalCbeta-blockersConCtissueCbloodC.owCinCtheChumanCopticCnervehead.CurrEyeRes16:1102-1110,C19975)TamakiCY,CAraieCM,CTomitaCKCetal:E.ectCofCtopicalCtimololontissuecirculationinopticnervehead.JpnJOph-thalmol41:297-304,C19976)酒井麻夫,橋本りゅう也,出口雄三ほか:健常者におけるRhoキナーゼ阻害薬リスパジル塩酸塩水和物による視神経乳頭血流への影響.あたらしい眼科33:1226-1230,C20167)杉山哲也,柴田真帆,嶌祥太ほか:緑内障眼・視神経乳頭血流の波形変化:LSFG-NAVICTMによる解析.あたらしい眼科29:984-987,C20128)笠原正行,庄司信行,森田哲也ほか:緑内障治療薬配合剤の単回点眼による健常者視神経乳頭血流に及ぼす影響.あたらしい眼科29:1136-1140,C20129)柴田真帆,杉山哲也,小嶌祥太ほか:ラタノプロスト・Cb遮断持続性点眼液併用による原発開放隅角緑内障の視神経乳頭血流の変化.あたらしい眼科28:1017-1021,C201110)JanczewskiCP,CBoulangerCC,CIqbalCACetal:Endothelium-dependente.ectsofcarteolol.JPharmacolExpTherC247:C590-595,C198811)吉田愛,森政美香,板東説也ほか:ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩(ザラカム配合点眼液)の使用実態下における安全性と有効性-特定使用成績調査中間解析結果報告.臨眼C68:574-580,C2014(107)あたらしい眼科Vol.36,No.8,2019C1077

ラタノプロストからタフルプロストへの切り替えによる長期効果

2010年12月31日 金曜日

0910-1810/10/\100/頁/JCOPY(95)1727《原著》あたらしい眼科27(12):1727.1730,2010cはじめに現在,プロスト系プロスタグランジン点眼薬は緑内障治療の第一選択薬である.初のプロスト系製剤であるラタノプロスト(キサラタンR,ファイザー)は10年以上の臨床使用経験を有し,効果・安全性が確立されている1).タフルプロスト(タプロスR,参天製薬)は,ラタノプロストよりFP受容体親和性が強く2),ベンザルコニウム塩化物(以下,BAC)濃度が低い.ディンプルボトルR3)によるアドヒアランス向上も期待される.両者は薬理学的に類似しているが,プロスト系プロスタグランジン製剤に対する反応には個人差を含む差異が指摘されている4).眼圧には季節変動5)があるとされるが,ラタノプロストとタフルプロストの長期経過を,季節変動を考慮してprospectiveに観察した報告はほとんどない.今回筆者らは,プロスタグランジン点眼薬単剤治療患者と他〔別刷請求先〕中野聡子:〒879-5593大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1大分大学医学部眼科学講座Reprintrequests:SatokoNakano,M.D.,DepartmentofOphthalmology,OitaUniversityFacultyofMedicine,1-1Idaigaoka,Hasama-machi,Yufu-shi,Oita879-5593,JAPANラタノプロストからタフルプロストへの切り替えによる長期効果中野聡子*1,2久保田敏昭*1*1大分大学医学部眼科学講座*2公立おがた総合病院眼科Long-TermEfficacyofTafluprostafterSwitchingfromLatanoprostSatokoNakano1,2)andToshiakiKubota1)1)DepartmentofOphthalmology,OitaUniversityFacultyofMedicine,2)DepartmentofOphthalmology,MunicipalOgataGeneralHospital緑内障・高眼圧症患者71例71眼を対象とした.ラタノプロストを1年間使用後,タフルプロストに切り替え,さらに1年間経過観察し,眼圧下降効果,安全性,使用感をprospectiveに比較した.季節変動を考慮し比較した結果,単剤治療群およびチモロール併用群の両者で,ラタノプロストとタフルプロストの眼圧下降効果は同等で,いずれも1年間にわたり有意に眼圧が下降し,視野も維持されていた.ラタノプロスト単剤治療31眼中,未治療時眼圧からの下降率が20%未満の眼圧下降不良例が11眼あったが,タフルプロスト変更後,眼圧下降不良例の割合が有意に減少した.ラタノプロストとタフルプロストの副作用として軽度の球結膜充血と角膜上皮障害があった.球結膜充血の程度はほぼ同等で,角膜上皮障害はタフルプロストでやや少ない傾向であった.点眼容器の利便性,差し心地に対する患者評価は,ラタノプロストよりタフルプロストが優れていた.Aprospectivestudywasperformedtoevaluatethelong-termefficacyandsafetyoftafluprost(TaprosR)afterswitchingfromlatanoprost(XalatanR).Subjectscomprised71eyesof71patients(21primaryopen-angleglaucoma,46normal-tensionglaucomaand4ocularhypertension)thatwetreatedwithlatanoprostfor1year,thenswichedtotafluprostfor1year.Every3monthsweevaluatedintraocularpressure(IOP),adversereactionsandfacilityofadministeringtheeyedrops.TafluprosthadahypotensiveeffectsimilartothatoflatanoprostandsignficantlydecreasedIOPatalltimepoints,ascomparedtoIOPwithoutmedication.Tafluprostwaseffectiveaswellasinlatanoprostnonresponders(IOPhaddecreasedbylessthan20%).Latanoprostandtafluproststabilizedthevisualfieldfor1year.Adverseeffectsrelatingtolatanoprostandtafluprost,suchasconjunctivalhyperemiaandsuperficialpunctatekeratitis,wereobservedinafewpatients,butthefindingsweremild.Manypatientspreferredtafluprosttolatanoprostbecauseoftheeaseofadministeringtheeyedrops.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)27(12):1727.1730,2010〕Keywords:タフルプロスト,緑内障,眼圧,長期経過,前向き研究.tafluprost,glaucoma,intraocularpressure,long-term,prospectivestudy.1728あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010(96)剤併用患者について,まずラタノプロストを1年間使用し,季節変動を含めた効果と安全性を検討した後に,タフルプロストに切り替え,さらに1年間観察し両者を比較したので報告する.I対象および方法1.対象対象は,公立おがた総合病院眼科外来にて3カ月以上ラタノプロストを使用し,アドヒアランスが良好で眼圧が安定している緑内障・高眼圧症患者71例71眼である.このうち,ラタノプロスト単剤治療群は38例38眼,チモロール(チモプトールR点眼液0.5%,参天製薬)併用群は28例28眼,チモロールとドルゾラミド(トルソプトR点眼液1%,萬有製薬)併用群は5例5眼であった.除外基準は,3年以内にレーザー治療を含む内眼手術の既往を有する症例,活動性の眼感染症,炎症性眼疾患や,眼乾燥症,角膜ヘルペスを含む角膜疾患を有する症例,コンタクトレンズ装用,角膜屈折矯正手術の既往がある症例,正確な眼圧測定を妨げる疾患を有する症例,視野に影響する他の疾患を有する症例,炭酸脱水酵素阻害薬全身投与,副腎皮質ステロイド薬投与などの眼圧に影響する薬剤使用している症例,使用薬剤にアレルギーがある症例とした.対象眼は,未治療時の眼圧が高い眼とし,同値の場合は右眼とした.試験は公立おがた総合病院の倫理規定に従い行い,対象患者には試験の内容を口頭で十分に説明し同意を得た.2.方法2008年1月に被験者を選定後,まず1年間ラタノプロストを使用し,1カ月後,3カ月後,6カ月後,9カ月後,12カ月後に問診,眼圧測定,細隙灯顕微鏡検査を行った.タフルプロストへの変更を承諾した被験者について,2008年12月にwashout期間なしでタフルプロストに変更し,変更1カ月後,3カ月後,6カ月後,9カ月後,12カ月後に同様に検査を行った.他剤併用群では,併用薬は継続とした.眼圧は同一検者がGoldmann圧平眼圧計で測定し,測定時刻は午前中,症例ごとに同一時間帯とした.試験開始前とラタノプロスト継続12カ月後,タフルプロスト変更12カ月後に静的視野検査(HumphreyFieldAnalyzer,CarlZeissMeditec)中心30-2プログラムを行った.副作用について,球結膜充血の程度を4段階(なし,軽度,中等度,重度)で評価し,角膜上皮障害の程度をAD(AreaDensity)分類7)で評価した.試験終了時に容器の利便性と差し心地についてアンケート調査を行った.容器の利便性は容易に点眼瓶を把持し滴下できること,差し心地は刺激感がないことを評価基準として,優れている点眼薬を回答させた.3.検討項目単剤治療群とチモロール併用群,チモロール・ドルゾラミド併用群について,それぞれラタノプロスト点眼時の眼圧と,1年後同月のタフルプロスト変更後の眼圧をpaired-ttestで比較した.季節変動について,1カ月後,3カ月後,6カ月後,9カ月後,12カ月後の測定値をSteel-Dwass多重比較で検討した.視野について,試験開始前とラタノプロスト継続12カ月後,タフルプロスト変更12カ月後のmeandeviation(MD)値をSteel-Dwass多重比較法で比較した.続いて,単剤治療群について,平均眼圧下降率が20%未満を眼圧下降不良例8)とし,その割合をFisher’sexacttestで検討した.副作用の頻度をFisher’sexacttestで検討し,球結膜充血と角膜上皮障害の程度をWilcoxonmatched-pairssigned-ranktestで比較した.最後に,容器の利便性と差し心地をFisher’sexacttestで検討した.各統計学的手法は正規検定後に選択し,p<0.05(両側検定)を有意とした.II結果被験者71例のうち,10例が観察期間中に脱落した.脱落理由はタフルプロスト変更の承諾が得られなかったものが4例,受診自己中止が6例であった.すべての試験を完了した61例のうち,単剤治療群31例の内訳は,男性15例,女性16例,年齢74.6±10.9(平均値±標準偏差)歳,原発開放隅角緑内障(POAG)6眼,正常眼圧緑内障(NTG)22眼,高眼圧症(OH)3眼,未治療時3回の平均眼圧は17.4±3.2mmHgであった.チモロール併用群25例の内訳は,男性6例,女性19例,年齢77.0±8.0歳,POAG8眼,NTG16眼,OH1眼,未治療時眼圧は18.3±5.4mmHg,チモロール・ドルゾラミド併用群5例の内訳は,男性4例,女性1例,年齢76.8±6.5歳,POAG3眼,NTG2眼,未治療時眼圧は17.4±4.7mmHgであった.1.眼圧の年間推移a.単剤治療群ラタノプロスト点眼時は13.7±2.6mmHg(2008年1月),13.4±2.7mmHg(3月),13.0±2.5mmHg(6月),13.3±2.9mmHg(9月),13.8±2.6mmHg(12月)で,すべての測定時点で未治療時眼圧から有意に眼圧が下降していた(p<0.001).タフルプロスト変更後は13.0±2.3mmHg(2009年1月),12.7±2.9mmHg(3月),13.1±2.9mmHg(6月),13.4±2.6mmHg(9月),14.0±2.6mmHg(12月)で,同様に未治療時眼圧から有意に下降していた(p<0.001).両者の同じ月の眼圧を比較すると有意差はなく,眼圧下降効果は同等であった(図1).ラタノプロスト点眼時,タフルプロスト変更後とも季節変動は有意でなかった.b.チモロール併用群ラタノプロスト点眼時は14.4±3.4mmHg(2008年1月),14.4±4.0mmHg(3月),14.2±4.1mmHg(6月),15.2±4.1mmHg(9月),15.0±4.9mmHg(12月)で,すべての測定(97)あたらしい眼科Vol.27,No.12,20101729時点で未治療時眼圧から有意に眼圧が下降していた(1,3,6月p<0.001,9,12月p<0.01).タフルプロスト変更後は14.0±3.5mmHg(2009年1月),14.5±3.5mmHg(3月),13.4±3.2mmHg(6月),14.0±3.8mmHg(9月),14.7±3.4mmHg(12月)で,同様に未治療時眼圧から有意に下降していた(p<0.001).両者の同じ月の眼圧を比較すると有意差はなく,眼圧下降効果は同等であった(図2).ラタノプロスト点眼時,タフルプロスト変更後とも季節変動は有意でなかった.c.チモロール・ドルゾラミド併用群ラタノプロスト点眼時は13.4±3.8mmHg(2008年1月),14.0±2.8mmHg(3月),14.0±4.1mmHg(6月),14.6±3.9mmHg(9月),14.6±3.8mmHg(12月)で,6,9,12月で未治療時眼圧から有意に眼圧が下降していた(9月p<0.05,6,12月p<0.01).タフルプロスト変更後は12.4±4.3mmHg(2009年1月),12.6±4.3mmHg(3月),11.4±4.3mmHg(6月),13.4±6.3mmHg(9月),11.6±3.4mmHg(12月)で,3,6,12月で未治療時眼圧から有意に眼圧が下降していた(p<0.05).両者の同じ月の眼圧を比較すると,6月のみタフルプロストで有意に眼圧が低値であった(p<0.01)(図3).ラタノプロスト点眼時,タフルプロスト変更後とも季節変動は有意でなかった.2.視野単剤治療群の試験開始前MD値は.4.79±4.48dB,ラタノプロスト継続12カ月後.5.05±4.69dB,タフルプロスト変更12カ月後.4.39±4.46dBと有意な変化はなかった.同様に,チモロール併用群の試験開始前MD値は.7.93±6.47dB,ラタノプロスト継続12カ月後.7.66±5.94dB,タフルプロスト変更12カ月後.8.35±7.55dB,チモロール・ドルゾラミド併用群の試験開始前MD値は.11.60±10.28dB,ラタノプロスト継続12カ月後.11.42±10.14dB,タフルプロスト変更12カ月後.11.87±10.52dBと有意な変化はなかった.3.ラタノプロスト眼圧下降不良例単剤治療群31眼中,ラタノプロスト眼圧下降不良例は11眼(35.4%)あった.このうち4眼でタフルプロスト変更後20%以上の眼圧下降が得られ,眼圧下降不良例の割合が有意に減少した(p<0.05).逆に,タフルプロスト眼圧下降不良例は8眼(25.8%)あり,このうち1例はラタノプロストのほうが眼圧が低値であった.4.副作用単剤治療群31眼中,球結膜充血の頻度はラタノプロスト8眼(25.8%),タフルプロスト7眼(22.6%),程度はラタノプロスト0.4±0.8点,タフルプロスト0.4±0.7点といずれも有意差はなかった.角膜上皮障害の頻度はラタノプロスト6眼(19.4%),タフルプロスト2眼(6.5%)で,程度は密度・範囲ともラタノプロスト0.2±0.4点,タフルプロスト0.1±0.2点といずれも有意差はなかったが,タフルプロストで軽度の傾向にあった.副作用による投与中止例はなかった.5.使用感全患者61例中,点眼容器の利便性が良いとした点眼はラ2520151050:ラタノプロスト(2008年1月~12月):タフルプロスト(2009年1月~12月)眼圧(mmHg)1月3月6月9月12月NSNSNSNSNS図2眼圧の年間推移(チモロール併用群)(paired-ttestNS:Statisticallynotsignificant,n=25)2520151050:ラタノプロスト(2008年1月~12月):タフルプロスト(2009年1月~12月)眼圧(mmHg)1月3月6月9月12月NSNSNSNSNS図1眼圧の年間推移(単剤治療群)(paired-ttestNS:Statisticallynotsignificant,n=31)2520151050:ラタノプロスト(2008年1月~12月):タフルプロスト(2009年1月~12月)眼圧(mmHg)1月3月6月9月12月NSNS**NSNS図3眼圧の年間推移(チモロール・ドルゾラミド併用群)(paired-ttest**:p<0.01,NS:Statisticallynotsignificant,n=5)1730あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010(98)タノプロストが1.6%,タフルプロストが23.0%で,両者を比較するとタフルプロスト選択患者が多かった(p<0.001).差し心地が良いとした点眼はラタノプロストが3.3%,タフルプロストが11.5%で,タフルプロスト選択患者が多かった(p<0.05).他の患者は両者は同等に良いと評価した.III考按点眼薬切り替え試験では,被験者選定でアドヒアランスが向上し,薬効が過大評価されるHawthorne効果6)が生じるとされる.Swichback試験が有用であるが,眼圧の季節変動5)に注意を要する.今回筆者らはこれらを考慮し,被験者を選定後,1年間ラタノプロストを使用し季節変動を含めた経過観察を行った後にタフルプロストに変更し,同様に1年間経過観察を行った.単剤治療群において,ラタノプロストとタフルプロストはいずれも,1年間有意に眼圧が下降し,視野も維持されていたことから,両者は同等の効果をもつ有用な薬剤と考えられる.近年,各種プロスト系プロスタグランジン点眼薬とチモロールとの合剤が発売されている.今回のチモロール2回点眼併用群の検討では,ラタノプロストとタフルプロストいずれとの併用でも効果は同等であった.チモロール・トルソプト併用群では症例数は少ないが,未治療時眼圧から有意に眼圧が下降していない月もあり,3剤併用が必要となる症例では手術を含めた他の治療を考慮する必要があると考えられる.今回の検討では有意な季節変動はなかったが,既報5)と同様,冬季にやや高値となる傾向にあった.ラタノプロスト眼圧下降不良例で,薬理学的に類似するタフルプロスト変更後に眼圧が下降した.これはタフルプロストのFP受容体親和性の強さやディンプルボトルRによるアドヒアランス向上の影響と考えられる.しかし,タフルプロストの球結膜充血は,FP受容体親和性が強いにもかかわらずラタノプロストと同等であった.プロスト系製剤間の切り替え時は充血が目立たないとされるが,眼圧下降不良例への反応と考え合わせると,両者の薬理学的機序に微妙な差がある可能性もある.プロスト系プロスタグランジン(PG)点眼薬はおもにFP受容体を介して作用する9)が,ほかにPGD210)やPGE211)による作用や,matrixmetalloproteinase活性化による房水流出抵抗低下が関与12)する可能性が指摘されており,点眼薬間の反応の差は,各経路に対する反応の複雑なバランスに起因する可能性も考えられる.角膜上皮障害については,有意差はないもののタフルプロストで軽度であった.これはタフルプロストのBACや基剤の濃度が低いことが影響していると考えられる.2010年からタフルプロストのBAC濃度はさらに低減されており,さらなる安全性の向上が期待できる.わが国の緑内障の有病率は高く,ほとんどが慢性に経過することから,使用感の良さはアドヒアランスを向上させる重要な因子である13).対象者に高齢者が多く積極的にいずれかの点眼を選択する症例は少なかったが,選択した患者のなかでは点眼容器の利便性,差し心地のいずれもタフルプロストの評価が高かった.以上から,特にラタノプロスト眼圧下降不良例で,タフルプロスト切り替えを試みる価値があると考えられる.ただし,タフルプロスト眼圧下降不良例の存在には注意を要すると考えられた.文献1)北澤克明,ラタノプロスト共同試験グループ:ラタノプロスト点眼液156週間長期投与による有効性および安全性に関する多施設共同オープン試験.臨眼60:2047-2054,20062)TakagiY,NakajimaT,ShimazakiAetal:PharmacologicalcharacteristicsofAFP-168(tafluprost),anewprostanoidFPreceptoragonist,asanocularhypotensivedrug.ExpEyeRes78:767-776,20043)兵頭涼子,溝上志朗,川崎史朗ほか:高齢者が使いやすい緑内障点眼容器の検討.あたらしい眼科24:371-376,20074)YildirimN,SahinA,GultekinS:Theeffectoflatanoprost,bimatoprost,andtravoprostoncircadianvariationofintraocularpressureinpatientswithopen-angleglaucoma.JGlaucoma17:36-39,20085)KleinBE,KleinR,LintonKL:IntraocularpressureinanAmericancommunity.TheBeaverDamEyeStudy.InvestOphthalmolVisSci33:2224-2228,19926)FrankeRH,KaulJD:TheHawthorneexperiments:Firststatisticalinterpretation.AmSociolRev43:623-643,19787)宮田和典,澤充,西田輝夫ほか:びまん性表層角膜炎の重症度の分類.臨眼48:183-188,19948)DuBinerHB,MrozM,ShapiroAMetal:Acomparisonoftheefficacyandtolerabilityofbrimonidineandlatanoprostinadultswithopen-angleglaucomaorocularhypertension:athree-month,multicenter,randomized,doublemasked,parallel-grouptrial.ClinTher23:1969-1983,20019)OtaT,AiharaM,NarumiyaSetal:TheeffectsofprostaglandinanaloguesonIOPinprostanoidFP-receptordeficientmice.InvestOphthalmolVisSci46:4159-4163,200510)WoodwardDF,HawleySB,WilliamsLSetal:StudiesontheocularpharmacologyofprostaglandinD2.InvestOphthalmolVisSci31:138-146,199011)WangRF,LeePY,MittagTWetal:Effectof8-isoprostaglandinE2onaqueoushumordynamicsinmonkeys.ArchOphthalmol116:1213-1216,199812)OhDJ,MartinJL,WilliamsAJetal:Analysisofexpressionofmatrixmetalloproteinasesandtissueinhibitorsofmetalloproteinasesinhumanciliarybodyafterlatanoprost.InvestOphthalmolVisSci47:953-963,200613)KosokoO,QuigleyHA,VitaleSetal:Riskfactorsfornoncompliancewithglaucomafollow-upvisitsinaresidents’eyeclinic.Ophthalmology105:2105-2111,1998