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フルオレセイン染色法の違いによる涙液メニスカス高への影響

2013年12月31日 火曜日

《原著》あたらしい眼科30(12):1750.1753,2013cフルオレセイン染色法の違いによる涙液メニスカス高への影響金谷芳明堀裕一村松理奈出口雄三柴友明前野貴俊東邦大学医療センター佐倉病院眼科ComparisonofTearMeniscusHeightafterDifferentMethodsofFluoresceinStainingYoshiakiKanaya,YuichiHori,RinaMuramatsu,YuzoDeguchi,TomoakiShibaandTakatoshiMaenoDepartmentofOphthalmology,TohoUniversitySakuraMedicalCenter緒言:オキュラーサーフェスの診察において生体染色は必要不可欠であり,さまざまな染色方法が知られているが,染色をする際は,できるだけ涙液貯留量を変化させないことが重要であるとされている.対象および方法:2006年ドライアイ診断基準に基づき,ドライアイを認めていない正常眼8例16眼に対し,フルオレセイン染色前後における,下方の涙液メニスカス高(TMH)をDR-1(興和)および涙液メニスカス解析ソフト(MeniscusProcessor,トーメーコーポレーション)を用いて測定した.染色方法は,フルオレセイン試験紙に生理食塩水を点眼後よく振って行う方法(フルオレセイン染色),1%フルオレセインをマイクロピペットにて2μl,8μl,15μl点眼する方法(マイクロピペット),硝子棒の先に1%フルオレセインを浸けて点眼する方法(硝子棒),1%に希釈したフルオレセインを点眼瓶から1滴点眼する方法(フルオレセイン点眼)の6種で行った.結果:フルオレセイン試験紙およびマイクロピペット2μlでは点眼前に比べて点眼後でTMHの有意な変化はみられなかったが(p>0.05,paired-ttest),硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μlおよびフルオレセイン点眼では,有意なTMHの増加がみられた(p=0.0001,0.000002,0.003,0.00002,paired-ttest).染色前後でのTMHの差はフルオレセイン試験紙が最も小さく,以下マイクロピペット2μl,硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μl,フルオレセイン点眼の順に小さく,フルオレセイン試験紙との比較において,硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μlおよびフルオレセイン点眼では,有意差を認めた(p=0.0004,0.000008,0.005,0.000005,Studentのt検定).考按:フルオレセイン試験紙に生理食塩水を点眼後よく振って少量の染色を行う方法は,最もTMHを変化させない染色方法であり,本方法とマイクロピペットにて2μlを点眼する方法は,TMHを変化させにくいフルオレセイン染色方法として推奨されうると考える.Purpose:Tocomparetearmeniscusheight(TMH)afterdifferentmethodsoffluoresceinstaining.Methods:Enrolledinthisstudywere16eyesof8normalsubjects.TMHwasmeasuredbyDR-1(KOWA)beforeandafterfluoresceinstainingusingafluoresceinstrip;2μl,8μl,and15μlof1%fluoresceinsolutionusingamicropipette;eyedropsof1%fluoresceinsolution,oraglassstickdippedin1%fluoresceinsolution.Results:Therewerenosignificantdifferencesbetweenbeforeandafterfluoresceinstainingwithafluoresceinstriporwith2μlof1%fluoresceinsolutionbymicropipette(p>0.05,paired-ttest).Fluoresceinstainingwithaglassstick;8μland15μlof1%fluoresceinsolutionusingamicropipette,andeyedropsof1%fluoresceinsolutionchangedTMHsignificantly(p<0.05,paired-ttest).Conclusion:Wefoundthatminimalfluoresceinstainingwithastripandinstillationof2μlof1%fluoresceinsolutiondidnotinfluenceTMH.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)30(12):1750.1753,2013〕Keywords:フルオレセイン染色,涙液メニスカス高(TMH:tearmeniscusheight),DR-1,フルオレセイン試験紙,マイクロピペット.fluoresceinstaining,tearmeniscusheight(TMH),DR-1,fluoresceinstrip,micropipette.〔別刷請求先〕金谷芳明:〒285-8741千葉県佐倉市下志津564-1東邦大学医療センター佐倉病院眼科Reprintrequests:YoshiakiKanaya,DepartmentofOphthalmology,TohoUniversitySakuraMedicalCenter,564-1Shimoshizu,Sakura,Chiba285-8741,JAPAN175017501750あたらしい眼科Vol.30,No.12,2013(102)(00)0910-1810/13/\100/頁/JCOPY はじめにオキュラーサーフェスの診察においてはフルオレセイン染色,ローズベンガル染色,リサミングリーン染色などの生体染色が必要であり,染色することにより,数多くの情報を得ることができるが,その染色方法にはさまざまな方法がある.一般には,フルオレセイン試験紙に生理食塩水を滴下し,下眼瞼結膜に触れる方法が取られており,わが国で最も広く用いられている染色方法とされている1).特に,できるだけ涙液量を変えずに最小限の量を点眼することが重要とされており,横井は,フルオレセイン試験紙に1.2滴生理食塩水を滴下し,よく振って水分を切ってから下眼瞼の端に少しふれる方法を提唱している1).他に,治験などでは1%に希釈したフルオレセイン注射液をマイクロピペットにて2μl点眼する方法があり,一定の濃度と量を滴下することにより,涙液量に影響を与えない方法として推奨されている2).その理由としては,涙液量を変化させてしまうと,涙液メニスカス高(TMH:tearmeniscusheight)や涙液層破壊時間(BUT:tearfilmbreakuptime),角結膜上皮障害の程度が変化してしまい,正確なドライアイ診断ができなくなることがあげられる.眼表面の染色をする際は,できるだけ涙液貯留量を変化させないことが重要であるとされている1,2).横井は,ドライアイ診療アンケート20111)において,フルオレセイン染色方法についての眼科医725名にアンケートを行ったところ37.9%において「フルオレセイン試験紙に点眼液を滴下し,よく振って投与」していると報告している.また,その他の染色方法としては,「フルオレセイン希釈液を点眼」や,「フルオレセイン希釈液を硝子棒にて投与」といった方法も行われている.涙液量を変化させずにフルオレセイン染色を行うことは重要であるが,実際に染色方法の違いにより,涙液量がどう変化するかを検討した報告は筆者らの知る限りない.本検討では,さまざまな染色方法を用いてフルオレセイン染色前後のTMHの変化を測定し,検討した.I対象および方法対象は2006年ドライアイ診断基準3)に基づき,ドライアイを認めていない正常眼8例16眼である.フルオレセイン染色前後における,下方のTMHをDR-1(興和)および涙液メニスカス解析ソフト(MeniscusProcessor,トーメーコーポレーション)を用いて測定した4).フルオレセイン染色方法は,以下のとおりに行った.フルオレセイン試験紙(フローレスR試験紙0.7mg,昭和薬品化工株式会社)に生理食塩水を2滴たらし,試験紙を3回振って十分に水分を切り,眼瞼縁に少し試験紙を触れる方法(フルオレセイン試験紙),生理食塩水にて1%に希釈したフルオレセイン注射液(フルオレサイトR静注500mg,日本アルコン)をマイクロピペットにて2μl,8μl,15μlを点眼する(103)方法(それぞれマイクロピペット2μl,8μl,15μl),同液に硝子棒の先端を浸けてから,下眼瞼結膜鼻側1/3の部分に触れる方法(硝子棒),ベノキシールR0.4%点眼液(5ml,参天製薬)にフルオレセイン注射液(フルオレサイトR静注500mg)を0.05ml混ぜ,1%の濃度にしたものを,1滴点眼する方法(フルオレセイン点眼)の6通りで行った.測定は各方法をすべて別の日にそれぞれ16眼について行った.すべてのフルオレセイン染色は同一検者が行い,染色後5秒以内にDR-1にて下方のTMHの撮影を行い,動画撮影を別の同一検者が行った.DR-1測定後は細隙灯顕微鏡で眼表面が染色されていることを全例確認した.DR-1で撮影した動画からビットマップファイルとして取り込み,DR-1画像のTMHを測定するために開発された涙液メニスカス解析ソフト(MeniscusProcessor,トーメーコーポレーション)4)を用いてTMHの測定を行った.TMHの測定は既報どおり,DR-1を用いて,下眼瞼縁付近の像がモニターのほぼ中央に位置するようにし,倍率12倍で明確な輝線が観察されるように焦点を合わせて撮影を行った.解析ソフトはDR-1画像の明瞭な輝線と,その下方の眼瞼縁反射像上縁を自動認識して,両者間の距離を計測するソフトである.今回の検討においては,誤って自動認識された領域は手動で除外し,残りの自動認識された領域の距離を平均化した4).統計学的検討は,各染色方法における染色前後のTMHの値(paired-ttest)および,染色前後のTMHの差について,フルオレセイン試験紙法と比較(Studentのt検定)し,p<0.05%を有意水準として検定した.II結果フルオレセイン試験紙およびマイクロピペット2μlでは点眼前(それぞれTMH0.22±0.03mm,0.24±0.05mm)に比べて点眼後(それぞれTMH0.22±0.04mm,0.25±0.05mm)でTMHの有意な変化はみられなかったが(p>0.05,paired-ttest),硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μlおよびフルオレセイン点眼では,点眼前(それぞれTMH0.23±0.06mm,0.25±0.03mm,0.27±0.04mm,0.23±0.06mm)に比べて点眼後(それぞれTMH0.29±0.05mm,0.31±0.04mm,0.35±0.09mm,0.37±0.11mm)と有意なTMHの増加がみられた(p=0.0001,0.000002,0.003,0.00002,paired-ttest)(図1).染色前後でのTMHの差はフルオレセイン試験紙,マイクロピペット2μl,硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μl,希釈したフルオレセイン注射液を点眼の順に小さく,フルオレセイン試験紙との比較において,硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μlおよびフルオレセイン点眼では,有意差を認めた(p=0.0004,0.000008,0.005,0.000005,Studentのt検定)(図2).また,染色前後でTMHが増加した症例はフルオレセインあたらしい眼科Vol.30,No.12,20131751 せないことが重要であるとされているが1,2),その染色方法はさまざまであり,実際にそれぞれの染色方法における00.7:染色前■:染色後****フルオレセイン試験紙マイクロピペット2μl硝子棒マイクロピペット8μl15μlフルオレセイン点眼00.7:染色前■:染色後****フルオレセイン試験紙マイクロピペット2μl硝子棒マイクロピペット8μl15μlフルオレセイン点眼0.6TMHの変化を比較,検討した報告はない.本検討では,フTMH(mm)0.50.40.30.20.1ルオレセイン試験紙とマイクロピペット2μlにおいて染色前後のTMHに有意な変化は認めず,染色前後のTMHの差は,フルオレセイン試験紙に生理食塩水を2滴点眼してよく振ってから染色する方法(フルオレセイン試験紙)が最も小さかった.また,フルオレセイン試験紙とマイクロピペット2μlとの間に有意差は認めなかったが,その他の染色方法で図1各フルオレセイン染色法による染色前後のTMHの変化フルオレセイン試験紙,マイクロピペット2μlではそれぞれ点眼前に比べて点眼後でTMHの有意な変化はみられなかったが(p>0.05,paired-ttest),硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μlおよびフルオレセイン点眼では,有意なTMHの増加がみられた(*p<0.05,paired-ttest).0.3は,染色前後およびフルオレセイン試験紙との差の比較において有意にTMHが増加していた.ドライアイ診療アンケート2011では,フルオレセイン染色において「フルオレセイン試験紙に点眼液を滴下し,よく振って投与」の回答が,第5報では「23.8%に留まっていたが,今回37.9%と倍増した」ことについて,「よく振って投与することで,涙液貯留量を変化させることなく,BUTやその場の涙液量の情報をより正確に評価できるという考え方が浸透しつつあることによると思われる」,と報告しており,フルオレセイン試験紙を用いて水分を十分に切ってから染色する方法が推奨されている.本検討では,実際に推奨されている染色方法とその他の染色方法での染色前後のTMHの変TMHの差(mm)0.250.20.150.10.050*化を比較することで,その有用性を検討した結果,本検討で*もフルオレセイン試験紙とマイクロピペットにて2μl点眼する方法が染色前後でのTMHに有意な変化を認めなかった**が,実際の診療の場において,マイクロピペットを用いて染色することはむずかしいと考える.フルオレセイン試験紙を用いて染色する方法は簡便であり,よく振って水分を切るこ-0.05とで,涙液貯留量に影響を与えにくくすることができると考える.また硝子棒を使用し染色する方法は簡便であり,低刺激であるが染色後のTMHを変化させてしまう傾向にあることを理解したうえで施行すべきである.今回の検討では,フルオレセイン試験紙法が染色前後でのTMHの差が最も小さく,マイクロピペットにて2μl点眼す図2各フルオレセイン染色法による染色前後のTMHの差フルオレセイン試験紙,マイクロピペット2μl,硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μl,フルオレセイン点眼の順に小さく,フルオレセイン試験紙との比較において,硝子棒,マイクロピペット8μl,マイクロピペット15μlおよびフルオレセイン点眼では,有意差を認めた(*p<0.05,Studentのt検定).試験紙では16眼中9眼(56.3%),マイクロピペット2μlでは16眼中11眼(68.8%),マイクロピペット8μlでは16眼中16眼(100%),マイクロピペット15μlでは16眼中13眼(81.3%),硝子棒では16眼中14眼(87.5%),フルオレセイン点眼では16眼中16眼(100%)であった.III考按眼表面の染色をする際は,できるだけ涙液貯留量を変化さ1752あたらしい眼科Vol.30,No.12,2013る方法よりもTMHの差が小さく,ばらつきも小さかった.マイクロピペットを使用すると毎回同じ量のフルオレセインが点眼できるが,この方法は,マイクロピペットが眼に近づいてくるのが被検者に見えてしまい,恐怖心を与える恐れがある.さらに,手技の慣れない検者では,マイクロピペットの先端が結膜.に当たってしまう可能性がある.今回,マイクロピペットのほうがばらつきが大きかったのは,これらの影響が関係しているように思われた.TMHの測定方法は過去にも涙液メニスカスを画像解析する方法5)やフルオレセイン染色写真を画像解析する方法6),スリットランプにスケールを装着する方法7),前眼部OCTを用いる方法8),TearscopePlusを用いる方法9),などが報告されているが,近年坂根らにより,DR-1(興和)を用いる方法4)が報告されている.DR-1はもともと,涙液の油層を観察する装置であるが,撮影時に焦点を下眼瞼縁に合わせる(104) と輝度の弱い反射像と,その上方に明瞭な輝線が現れ,輝線が涙液メニスカスからの反射像と考えられ,輝線と下眼瞼縁反射像の上縁の距離がTMHに相当すると考えられている4).DR-1によるTMHの撮影は染色せずに短時間で施行することが可能である.しかしながら,TMHの測定は画像をパソコンに取り込み,解析ソフトを使用する必要があるため,今後はDR-1にTMH解析ソフトが搭載されることが望まれる.DR-1は涙液油層やNI-BUT(non-invasiveBUT:非侵襲的涙液層破壊時間)を評価し,ドライアイのスクリーニングに用いることが可能な装置である.専用の解析ソフトを使用しなければならないが,涙液油層,NI-BUTに加え,TMHも評価することでより多くの情報を得ることができ,スクリーニングにおける感度,特異度の向上につながると考える.また,前眼部OCTも同様に非侵襲的にTMHの評価が可能であり,今後は前眼部OCTを使用したTMHの評価やDR-1との比較をしていく必要があると思われる.本研究には限界がいくつかある.まず一つは,涙液のターンオーバーについてである.涙液の涙小管への排出は瞬目を繰り返すことで行われるが,本研究では,自由瞬目下で測定を行っている.今回,フルオレセイン染色後ただちに機械に顎をのせてもらい,染色から5秒以内にDR-1にて涙液メニスカスの撮影を行ったが,それでも少なくとも1回は瞬目しており,症例によっても測定までの瞬目回数が異なっている.よってこの瞬目回数の違いで涙液メニスカス高への影響がある可能性がある.しかしながら,同一被検者で1回の瞬目で涙液メニスカス高が大きく変わっている印象はなく,今回の結果にあまり大きな影響を与えてはいないのではないかと考える.また,今回は,事前に通水検査を行っていないため,涙道通過障害が全例になかったかどうかの証明は行っていない.しかしながら今回の検討では点眼前から極端に涙液メニスカスが高かった例はなく,涙道通過状態は正常であったと考えている.二つ目は,フルオレセイン点眼において他の染色法と比較しても有意にTMHの増加が認められたが,ベノキシールR0.4%点眼液を使用しているため,BAC(塩化ベンザルコニウム)による刺激性涙液分泌が生じている可能性がある.また,点眼後,時間が経過している場合には麻痺性涙液分泌減少も生じる可能性があるが,ベノキシールR0.4%点眼液の麻酔効果発現時間は平均16秒と報告されており10),本検討では全例染色後5秒以内にTMHの測定を行っているため,麻痺性涙液分泌減少はきたしていないと考える.三つ目は本研究では,TMH解析ソフトで解析ができない症例があり,その場合はパソコンに取り込んだ動画から再度,静止画像をキャプチャーする必要がある.また,解析ソフトで解析された範囲の平均値をTMHとして表示しているが,解析範囲が狭い症例があり,その場合も再度,静止画像をキャプチャーする必要があると考える.他のTMH測定方法はTMHを1カ所で測定,評価しているのに対し,DR-1では,下眼瞼のほぼ全範囲におけるTMHを測定し,平均値として表示することが可能であり,取り込んだ画像のタイミングや写りが不鮮明であった場合に解析範囲が狭くなってしまうと考えられる.この点が,DR-1を使ったTMH測定の欠点となるわけであるが,1点だけを測定するのではなく,TMHをできる限り広範囲で解析することで,より正確にTMHを評価することができると考える.涙液貯留量やTMHの評価においては,染色の際にできるだけ涙液量に影響を与えない染色方法が望ましく,フルオレセイン試験紙を用いて少量の染色を行う方法およびマイクロピペットにて2μlを点眼する方法は,TMHを変化させにくい染色方法であることが確認できた.今回の検討は正常人で行ったが,ドライアイ症例などもともと涙液メニスカス高が異常な症例においては,染色方法による差がさらに大きくなる可能性があると考えられ,今後の検討課題にしたいと考える.謝辞:本研究において,DR-1画像のTMHを測定するための解析ソフト(MeniscusProcessor,トーメーコーポレーション)をご提供いただいた山口昌彦先生(愛媛大学医学部眼科学教室)に対し,心から感謝申し上げます.文献1)横井則彦:ドライアイ診療アンケート.FrontiersinDryEye6:90-98,20112)鎌尾知行,山口昌彦:ドライアイの生体染色.あたらしい眼科29:1607-1612,20123)島.潤:2006年ドライアイ診断基準.あたらしい眼科24:181-184,20074)坂根由梨,山口昌彦,白石敦ほか:涙液スペキュラースコープDR-1を用いた涙液貯留量の評価.日眼会誌114:512-519,20105)MainstoneJC,BruceAS,GoldingTR:Tearmeniscusmeasurementinthediagnosisofdryeye.CurrEyeRes15:653-661,19966)KawaiM,YamadaM,KawashimaMetal:Quantitativeevaluationoftearmeniscusheightfromfluoresceinphotographs.Cornea26:403-406,20077)OguzH,YokoiN,KinoshitaS:Theheightandradiusofthetearmeniscusandmethodsforexaminingtheseparameters.Cornea19:497-500,20008)XiaodiQ,LanG,YiLuetal:ThediagnosticsignificanceofFourier-domainopticalcoherencetomographyinSjogrensyndrome,aqueousteardeficiencyandlipidteardeficiencypatients.ActaOphthalmol90:e359-e366,20129)UchidaA,UchinoM,GotoEetal:NoninvasiveinterferencetearmeniscometryindryeyepatientswithSjogrensyndrome.AmJOphthalmol144:232-237,200710)岡村治彦:新しい点眼麻酔薬Novesineの効果について.日眼会誌66:557,1962(105)あたらしい眼科Vol.30,No.12,20131753