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未治療滲出型加齢黄斑変性に対するファリシマブの導入期治療成績

2024年11月30日 土曜日

《原著》あたらしい眼科41(11):1372.1377,2024c未治療滲出型加齢黄斑変性に対するファリシマブの導入期治療成績切石達範永井由巳植村太智中山弘基大中誠之木村元貴髙橋寛二関西医科大学眼科学教室CShort-TermOutcomesofIntravitrealFaricimabforTreatment-NaiveNeovascularAge-RelatedMacularDegenerationTatsunoriKiriishi,YoshimiNagai,TaichiUemura,HirokiNakayama,MasayukiOhnaka,MotokiKimuraandKanjiTakahashiCDepartmentofOphthalmologyofKansaiMedicalUniversityHospitalC目的:未治療滲出型加齢黄斑変性(nAMD)に対するファリシマブの治療成績について検討する.方法:関西医科大学附属病院でC2022年C7月.2023年C1月にファリシマブによる治療を開始した未治療CnAMD症例のうち,ファリシマブをC3回またはC4回,1カ月ごとに投与する導入期治療を行い,治療後C1カ月まで経過を観察できたC45例C45眼を対象に,ファリシマブ投与時と導入期治療後C1カ月のClogMAR視力および中心網膜厚(CRT),中心脈絡膜厚(CCT)を計測し,その変化を後ろ向きに検討した.結果:症例は45例45眼(男性25例25眼,女性20例20眼)で全体の平均年齢はC76.6歳,病型の内訳はCtype1MNVがC15眼(33.3%),type1とCtype2MNVの合併例がC5眼(11.1%),type3MNVがC4眼(8.9%),PCVがC21眼(46.7%)であった.導入期治療においてCdryになるまでの投与回数の中央値はC1(1.4)回で,1回投与後がC24眼C53.3%,2回投与後がC14眼C31.1%,3回投与後がC3眼C6.7%,4回投与後がC1眼C2.2%,導入期治療後も滲出性変化が消退しなかった症例はC3眼C6.7%で,92.3%で導入期治療により滲出性変化を抑制できた.logMAR視力,CRT,CCTは治療前および導入治療後で,0.38±0.37CμmおよびC0.38±0.43Cμm,321.1±131.3CμmおよびC185.8±93.0Cμm,215.9±120.5CμmおよびC189.8±113.8Cμmであった.有害事象としてC2眼(4.4%)に網膜色素上皮裂孔を認めた.結論:ファリシマブは未治療CnAMDに対する導入期治療の選択肢の一つとして考慮してもよい薬剤である.CPurpose:ToCevaluateCtheCtreatmentCoutcomesCofCfaricimabCforCuntreatedCnAMD.CSubjectsandMethods:Inthisretrospectivestudy,weexaminedthemedicalrecordsof45treatment-naivenAMDpatients(n=45eyes)inwhomCtreatmentCwithCfaricimabCwasCinitiatedCatCKansaiCMedicalCUniversityCHospitalCfromCJulyC2022CtoCJanuaryC2023.CAllCpatientsCreceivedC3CorC4CmonthlyCinjectionsCofCfaricimabCasCtheCinductionCphase,CandCwereCobservedCforC1-monthposttreatment.LogMARvisualacuity(VA),centralretinalthickness(CRT),andcentralchoroidalthick-ness(CCT)weremeasuredatthetimeofadministrationandat1monthaftertheinductionphase.Changeswereexaminedfortheentirecohort,andseparatelyforcaseswithtype1macularneovascularization(MNV),combinedtype1andtype2MNV,type3MNV,andpolypoidalchoroidalvasculopathy.Results:Posttreatment,therewasnoCchangeCofClogMARCVA,CyetCbothCCRTCandCCCTCimproved.CAsCforCadverseCevents,CretinalCpigmentCepithelialCtearsCwereCobservedCinC2Ceyes.CConclusion:FaricimabCmayCbeCconsideredCaCsuccessfulCandCusefulCtherapeuticCoptionforcasesoftreatment-naivenAMD.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)41(11):1372.1377,C2024〕Keywords:滲出型加齢黄斑変性,ファリシマブ,導入期治療,治療成績,有害事象.neovascularage-relatedmaculardegeneration,faricimab,inductionphasetreatment,treatmentresult,adverseevent.C〔別刷請求先〕切石達範:〒573-1191大阪府枚方市新町C2-5-1関西医科大学眼科学教室Reprintrequests:TatsunoriKiriishi,DepartmentofophthalmologyofKansaiMedicalUniversityHospital.2-5-1Shinmachi,Hirakata,Osaka573-1197,JAPANC1372(102)I緒言と目的新生血管を伴う滲出型加齢黄斑変性(neovascularCage-relatedCmaculardegeneration:nAMD)は,黄斑部新生血管(macularneovascularization:MNV)からの出血や滲出液により網膜構造の不整を引き起こし視機能を低下させる疾患である.その標準的な治療は,抗血管内皮増殖因子(vas-cularCendothelialCgrowthfactor:VEGF)薬の硝子体内注射により滲出性変化を抑制することである.現在までにいくつかの薬剤が上梓されているが,2022年C3月にファリシマブが新たに承認された.ファリシマブはこれまでの薬剤とは異なり,抗CVEGF-A抗体と抗Cangiopoietin-2(Ang-2)抗体を有する眼科初のバイスペシフィック抗体である.VEGF-A阻害による血管新生および血管漏出の抑制と,Ang-2阻害による血管壁の安定化および抗炎症作用により,nAMDの病態抑制が期待されている.また,Fc領域が改変されているため,胎児性CFc受容体,免疫細胞のCFc受容体と結合せず,全身曝露量の低下や炎症誘発の抑制が期待されている1).実臨床において未治療CnAMDに対して行われた第CIII相臨床試験であるCTENAYA試験(NCT0382328)およびCLUCERNE試験(NCT0382330)でも,投与開始後C48週間の時点でC16週間の投与間隔で滲出性変化を抑制できていた症例の割合はそれぞれC46%とC45%,12週間隔とC16週間隔を合わせた割合はそれぞれC80%とC78%となっており,8週間間隔でアフリベルセプトを投与した場合と比較して最高矯正視力が非劣性であることが示されている2).しかし,上梓されて間もないことから,その臨床的な治療成績についてはまだ不明な点が多い.今回筆者らは,実臨床においてファリシマブを使用した短期的な治療成績を報告する.CII対象と方法対象症例は,関西医科大学附属病院眼科黄斑外来を受診し未治療CnAMDと診断され,2022年C7月.2023年C1月にファリシマブによる治療を開始した患者のうち,ファリシマブを3回またはC4回,1カ月ごとに投与する導入期治療を行い,治療後C1カ月まで経過を観察できたC45例C45眼を対象とした.診断は細隙灯顕微鏡検査,フルオレセイン蛍光造影(トプコンCTRC-50DX),インドシアニングリーン蛍光造影および光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT,Heidelberg社スペクトラリスCHRA+OCT)にて行った.検討項目は,logMAR視力,中心網膜厚(centralCretinalthickness:CRT),中心脈絡膜厚(centralCfovealCchoroidalthickness:CCT),滲出性所見〔網膜内液(intraretinal.uid:IRF),網膜下液(subretinal.uid:SRF)〕の変化,滲出性所見消失までの投与回数および合併症とした.CRTとCCCTはスペクトラリス機器に内蔵されているキャリパーを用いてCBスキャン画像上で計測した.CRTの測定は,中心窩における内境界膜から網膜色素上皮の表層までで行い,IRFやCSRFも含めた.CCTの測定は,Bruch膜から脈絡膜と強膜の境界部までとした.測定は筆者および共著者(M.O)のC2人で行った.導入期の投与回数は,2回目の投与までに滲出性変化が消失した状態(dry)になった症例ではC3回,それ以外ではC4回の投与を行った.Dryになるまでのファリシマブの投与回数と,logMAR視力,CRT,CCTに関して,全体およびCtype1MNV/type1+2MNVとポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)に分類し,統計学的検討を行った.統計はCMicrosoftCO.ceCHomeCandCBusinessPremiumに付属するCExcel(バージョンC2311)を用いてCWilcoxonの符号順位検定にて検討し,p値がC0.05未満の場合を有意差ありとした.また,有害事象については後ろ向きに検討を行った.CIII結果対象症例C45例C45眼の内訳は,男性C25例C25眼,女性C20例C20眼,平均年齢はC76.4歳であった.また,nAMDの病型別の内訳は,typeC1MNVがC15眼(33.3%),typeC1CMNVにtype2MNVを合併したものが5眼(11.1%),type3MNVがC4例C8.9%,PCVがC21眼(46.7%)であった.ファリシマブ投与C1回後にCdryになった症例はC24眼(53.3%),2回後が14眼(31.1%),3回後が3眼(6.7%),4回後がC1眼(2.2%)であり,導入期治療で最終的にC42眼(93.3%)においてCdryが得られた.4回投与後にもCdryが得られなかった症例はC3眼(6.7%)であった.logMAR視力の変化(図1)は,全体(45眼)では投与前がC0.38C±0.37,投与後がC0.38C±0.43であり,有意差は認めなかった(p=0.61).投与回数がC3回の群(41眼)とC4回の群(4眼)に分けた場合では,3回投与群で投与前がC0.38C±0.38,投与後がC0.39C±0.45であり,有意差は認めなかった(p=0.49).4回投与群で投与前がC0.31C±0.11,投与後がC0.20C±0.10であり,有意差は認めなかった(p=1).CRTの変化(図2a)は,全体では投与前がC321.1CμC±131.3μm,投与後がC185.8C±93.0Cμmであり,有意に減少を認めた(p<0.0001).3回投与群で投与前がC321.6C±137.2Cμm,投与後がC183.4C±96.1μmであり,有意に減少を認めた(p<C0.0001).4回投与群で投与前がC316.3C±42.6Cμm,投与後がC208.0±62.3Cμmであり,有意差は認めなかった(p=0.11).CCTの変化(図2b)は,全体では投与前がC215.9C±120.5μm,投与後がC189.8C±113.8Cμmであり,有意に減少を認めた(p<0.0001).3回投与群で投与前がC222.0C±122.6Cμm,logMAR視力0.450.40.350.30.250.20.150.10.050治療前1カ月2カ月3カ月4カ月3回投与群4回投与群(n=41)(n=4)図13回投与群と4回投与群のlogMAR視力の推移a350300250CRT(μm)200150100500治療前1カ月2カ月3カ月4カ月3回投与群4回投与群*p<0.05(n=41)(n=4)**p<0.01b250200150153.8100500CCT(μm)治療前1カ月2カ月3カ月4カ月3回投与群4回投与群(n=41)(n=4)図23回投与群と4回投与群のCRT(a)およびCCT(b)の推移0.60.50.40.30.20.10logMAR視力a350300250200150CRT(nm)100500bCCT(nm)300250200150100500治療前治療後type1MNV/1+2MNV群PCV群*p<0.05(n=20)(n=21)**p<0.01図4病型別のCRT(a)およびCCT(b)の治療前後の推移表1治療前後でlogMAR視力が0.3以上悪化した症例の詳細病型治癒前視力(小数視力)治癒後視力(小数視力)治癒前CCRT[Cμm]治癒後CCRT[Cμm]治癒前CCCT[Cμm]治癒後CCCT[Cμm]dryを得るまでの投与回数備考症例C1CPCVC0.40(0C.4)C1.00(0C.1)C720C447C148C143C3症例C2Ctype1CMNVC0.70(0C.2)C1.30(C0.05)C268C130C152C152C3CRPEtear症例C3Ctype1CMNVC0.30(0C.5)C1.00(0C.1)C643C619C130C123C4CPCVrupture症例C4CPCVC0.52(0C.3)C0.82(C0.15)C279C119C183C159C3CPCVrupture症例C5Ctype1CMNVC0.70(0C.2)C1.00(0C.1)C461C332C71C76C3C投与後がC195.0C±116.3Cμmであり,有意に減少を認めた(p<0.0001).4回投与群で投与前がC153.8C±84.3Cμm,投与後がC139.3C±87.9Cμmであり,有意差は認めなかった(p=0.10).また,病型別の検討としてCtypeC1MNVおよびCtypeC1MNVとCtype2MNV合併症例C20例C20眼と,PCV症例C21例C21眼に分けて検討を行った.logMAR視力の変化(図3)は,typeC1MNVおよびCtypeC1MNVとCtypeC2MNV合併症例で投与前がC0.49C±0.43,投与後がC0.53C±0.42であり,有意差は認めなかった(p=0.05).PCV症例で投与前がC0.27C±0.27,投与後がC0.25C±0.31であり,有意差は認めなかった(p=0.89).CRTの変化(図4a)は,typeC1MNVおよびtypeC1MNVとtypeC2MNV合併症例で投与前が320.3C±134.8μm,投与後がC200.2C±116.8Cμmであり,有意に減少を認めた(p=0.001).PCV症例で投与前がC321.0C±136.3Cμm,投与後がC179.7C±72.5μmであり,有意に減少を認めた(p=0.001).CCTの変化(図4b)は,typeC1MNVおよびtypeC1MNVとCtype2MNV合併症例で投与前がC252.7C±64.9Cμm,投与後がC225.4C±59.9Cμmであり,有意に減少を認めた(p=0.002).PCV症例で投与前がC160.7C±130.2Cμm,投与後がC141.0±129.1Cμmであり,有意に減少を認めた(p=0.0008).また,logMAR視力がC0.3以上変化したものとそれ以外の症例に分けてみると,改善した症例がC5眼(11.1%,3回投与群C3眼,4回投与群C1眼),悪化した症例がC5眼(8.9%,3回投与群C4眼,4回投与群C1眼),それ以外(維持)がC36眼(80.0%,3回投与群C33眼,4回投与群C3眼)であった.有害事象については,RPEtearをC2眼(4.4%)で認めた.眼内炎症および全身的な副作用は認めなかった.IV考察ファリシマブの導入期治療において,本検討ではC93.3%と高率にCdryが得られた.nAMDの治療に関して,抗VEGF薬による導入期治療に対する反応性が良好な症例ではその後の視力予後が良好である可能性が示唆されており3,4),ファリシマブ導入期治療での滲出性所見に対する抑制効果が高いことは視力維持に有効である可能性がある.導入期治療での治療成績は,TENAYA試験およびLUCERNE試験ではCIRFとCSRFの抑制率はアフリベルセプトより優位に高いと報告されているが,以前当院でアフリベルセプトの導入期治療を行い,94%でCdryが得られると報告しており5),今回の結果と同様であったことから,ファリシマブはアフリベルセプトと同等あるいはそれ以上の滲出抑制効果があると推測される.CRTとCCCTに関しては,治療により有意に改善を得られており,これはCTENAYA試験,LUCERNE試験および国内での既報6,7)でも同様の報告がなされている.ただし,本検討では視力に関しては治療前後で有意差はみられなかった.logMAR視力がC0.3以上悪化した症例に関して詳細に検討したところ,5例が該当した(表1).治療前のClogMAR視力の平均はC0.52C±0.18と全体の平均と比較し治療開始前の視力が不良であったが,そのうちC2例は治療開始前にCPCVruptureにて出血を起こした状態であり,またC1例では経過中にCRPEtearを認めた.こうした例では治療にかかわらず網膜およびCRPEの萎縮が進行し,不可逆的に視力が増悪する.国内でファリシマブの導入期治療成績を報告している既報でも,松本ら6)は治療前後のClogMAR視力がC0.33C±0.41からC0.22C±0.36に,向井ら7)はC0.40C±0.42がC0.32C±0.43に有意に改善したと報告しているが,本検討では前述の背景因子が大きく影響している可能性があり,症例数を増やして検討を行うことで視力が改善する結果を得られる可能性は高いと考える.合併症としてCRPEtearをC2例で認めたが,既報と比較しても著明に多い結果ではなかった6,7).発生した症例のCPEDの長径および高さは,1例でC5,644μm/304Cμm,もうC1例はC3,645Cμm/121Cμmであり,tear発生前のCPEDの長径および高さはどちらもとくに際立って大きなものではなく,発生に関しての傾向は不明であった.CRPEtearは,大きなCPEDの静水圧や抗CVEGF薬での治療によりCCNVが線維化および収縮することで起こるとされている8,9).黄斑部に起こると劇的に視力が悪化する合併症であるため,丈の高いCPEDでは発生に注意しリスクを説明したうえで治療する必要がある.CV結語本検討ではClogMAR視力に関して有意差はなかったものの,CRTおよびCCCTについては有意な改善を認めた.nAMDに対する導入期治療において,ファリシマブは選択肢の一つとして考慮してもよい薬剤であるが,今後はさらに多数例での検討を要すると考える.文献1)RegulaCJT,CvonCLundhCP,CFoxtonCRCetal:TargetingCkeyCangiogenicCpathwaysCwithCaCbispeci.cCCrossMAbCopti-mizedCforCneovascularCeyeCdiseases.CEMBOCMolCMedC8:C1265-88,C20162)HeierCJS,CKhananiCAM,CQuezadaCRuizCCCetal:E.cacy,Cdurability,andsafetyofintravitrealfaricimabuptoevery16CweeksCforCneovascularCage-relatedCmacularCdegenera-tion(TENAYACandLUCERNE):twoCrandomised,Cdou-ble-masked,CphaseC3,Cnon-inferiorityCtrials.CLancetC399:C729-740,C20223)OhnakaCM,CNagaiCY,CTakahashiCKCetal:ACmodi.edCtreat-and-extendCregimenCofCa.iberceptCforCtreatment-naiveCpatientsCwithCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.CGrafesCArchCClinCExpCOphthalmolC255:C657-664,C20174)OhjiM,OkadaAA,SasakiKetal:RelationshipbetweenretinalC.uidCandCvisualCacuityCinCpatientsCwithCexudativeCage-relatedmaculardegenerationtreatedwithintravitre-alCa.iberceptCusingCaCtreat-and-extendregimen:sub-groupCandCpost-hocCanalysesCfromCtheCALTAIRCstudy.CGraefesArchClinExpOphthalmolC259:3637-3647,C20215)永井由巳,大中誠之,木村元貴ほか:滲出型加齢黄斑変性のCtreatment-naive症例に対するアフリベルセプト硝子体内投与の成績.臨眼69:1167-1173,C20156)MatsumotoCH,CHoshinoCJ,CNakamuraCKCetal:Short-termCoutcomesCofCintravitrealCfaricimabCforCtreatment-naiveCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.CGraefesCArchClinExpOphthalmolC261:2945-2952,C20237)MukaiCR,CKataokaCK,CTanakaCKCetal:Three-monthCout-comesCofCfaricimabCloadingCtherapyCforCwetCage-relatedCmaculardegenerationinJapan.SciRepC13:8747,C20238)SarrafD,ChanC,RahimyEetal:ProspectiveevaluationofCtheCincidenceCandCriskCfactorsCforCtheCdevelopmentCofCRPEtearsafterhigh-andlow-doseranibizumabtherapy.RetinaC33:1551-1557,C20139)SarrafD,JosephA,RahimyE:Retinalpigmentepithelialtearsintheeraofintravitrealpharmacotherapy:riskfac-tors,pathogenesis,prognosisandtreatment(anAmericanOphthalmologicalCSocietythesis)C.CTransCAmCOphthalmolCSocC112:142-159,C2014***

滲出型加齢黄斑変性を対象としたラニビズマブ(遺伝子組換え) バイオ後続品SJP-0133 の第III 相臨床試験─先行バイオ医薬 品との比較ならびに継続長期投与時の有効性および安全性評価

2022年10月31日 月曜日

《原著》あたらしい眼科39(10):1421.1434,2022c滲出型加齢黄斑変性を対象としたラニビズマブ(遺伝子組換え)バイオ後続品SJP-0133の第III相臨床試験─先行バイオ医薬品との比較ならびに継続長期投与時の有効性および安全性評価近藤峰生*1小椋祐一郎*2髙橋寛二*3飯田知弘*4石橋達朗*5坂本泰二*6辻川明孝*7五味文*8長谷川久美子*9山本明史*9徳重秀樹*9*1三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学*2名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学*3関西医科大学眼科学講座*4東京女子医科大学医学部眼科学教室*5九州大学*6鹿児島大学医学部眼科学教室*7京都大学大学院医学研究科眼科学*8兵庫医科大学眼科学講座*9千寿製薬株式会社CPhaseIIIClinicalTrialtoVerifytheEquivalencebetweenRanibizumab(GeneticRecombination)Biosimilar(SJP-0133)andaRanibizumabReferenceProductinPatientswithWetAge-RelatedMacularDegenerationandEvaluatetheLong-TermSafetyandE.cacyofSJP-0133MineoKondo1),YuichiroOgura2),KanjiTakahashi3),TomohiroIida4),TatsuroIshibashi5),TaijiSakamoto6),AkitakaTsujikawa7),FumiGomi8),KumikoHasegawa9),AkifumiYamamoto9)andHidekiTokushige9)1)DepartmentofOphthalmology,MieUniversityGraduateSchoolofMedicine,2)DepartmentofOphthalmologyandVisualSciences,NagoyaCityUniversityGraduateSchoolofMedicalSciences,3)DepartmentofOphthalmology,KansaiMedicalUniversity,4)DepartmentofOphthalmology,TokyoWomen’sMedicalUniversity,5)KyushuUniversity,6)DepartmentofOphthalmology,KagoshimaUniversity,7)DepartmentofOphthalmologyandVisualSciences,KyotoUniversityGraduateSchoolofMedicine,8)DepartmentofOphthalmology,HyogoCollegeofMedicine,9)SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.C目的:滲出型加齢黄斑変性を対象に,ラニビズマブ(遺伝子組換え)バイオ後続品(SJP-0133)と先行バイオ医薬品(先行品)の同等性を検証し,またCSJP-0133の継続長期投与時の有効性・安全性を確認すること.対象および方法:351名にCSJP-0133または先行品を投与し,12週の同等性を検証した.12週以降は全例にCSJP-0133を必要時投与し,52週の有効性と安全性を評価した.結果:12週の視力の変化量(文字)は,SJP-0133群がC7.4,先行品群がC8.9であり,両群の差はC.1.5(95%両側CCI:C.3.2.0.3)で同等性が検証された.52週の視力の変化量は,SJP-0133群がC8.7,先行品群がC9.9であった.副作用はCSJP-0133群がC12.0%,先行品群がC6.3%であった.結論:SJP-0133は,滲出型加齢黄斑変性に対して有効性・安全性ともに先行品と同等であることが確認された.CPurpose:Toverifytheequivalencebetweenranibizumabbiosimilar(SJP-0133)andareferenceproduct(RP)Candevaluatethelong-termsafetyande.cacyofSJP-0133inpatientswithwetage-relatedmaculardegeneration(wAMD)C.SubjectsandMethods:ChangesCinCvisualCacuityCatCweekC12CwereCevaluatedCinC351CparticipantsCwhoCreceivedSJP-0133orRP.Afterweek12,SJP-0133wasadministeredasneeded,anditssafetyande.cacywereevaluatedCatCweekC52.CResults:Changes(letters)atCweekC12CwasC7.4CandC8.9CinCtheCSJP-0133CandCRPCgroups,Crespectively,CwhereCaCdi.erenceCofC.1.5(95%CI:C.3.2Cto0.3)demonstratedequivalence.CChanges(letters)atCweek52was8.7and9.9intheSJP-0133andRPgroups,respectively.IntheSJP-0133andRPgroups,theoccur-rencesofadversereactionswere12.0%and6.3%,respectively.Conclusion:Theseresultssuggestthatthesafetyande.cacyofSJP-0133aresimilartothoseofRPfortreatingwAMD.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C39(10):1421.1434,C2022〕Keywords:バイオ後続品,ラニビズマブ(遺伝子組換え),滲出型加齢黄斑変性,同等性試験.biosimilar,Cranibi-zumab(geneticrecombination)C,wetage-relatedmaculardegeneration,equivalencestudy.C〔別刷請求先〕徳重秀樹:〒650-0047神戸市中央区港島南町C6-4-3千寿製薬株式会社研究開発本部Reprintrequests:HidekiTokushige,Ph.D.,ResearchandDevelopmentDivision,SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.,6-4-3Minatojima-Minamimachi,Chuo-ku,Kobe,Hyogo650-0047,JAPANCはじめに滲出型加齢黄斑変性(age-relatedCmacularCdegenera-tion:AMD)は脈絡膜新生血管(choroidalCneovasculariza-tion:CNV)が網膜下あるいは網膜色素上皮下に伸展し,そのCCNVから滲出や出血などが生じることで視力低下を招く予後不良の疾患であり1),その病態生理には血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)が深く関与していると考えられている2.4).そのため,VEGF阻害によりCCNVを抑制することを目的として,ラニビズマブやアフリベルセプトなどの抗CVEGF薬が開発され,広く臨床に使用されている.ラニビズマブは,VEGFと特異的に結合する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体のCFab断片であり5),わが国では最初に中心窩下CCNVを伴うCAMDの効能を取得している.滲出型CAMDを対象としたラニビズマブの海外第CIII相試験では,ラニビズマブ投与群の視力改善効果はシャム群または光線力学的療法群に対して優越性が示されている6,7).一方,バイオ医薬品である抗CVEGF薬は光線力学的療法に比べ高い有効性を示すものの,高額な薬剤の継続的かつ長期にわたる投与が必要となるため患者の経済的負担が大きく,患者の経済状況によっては治療継続を断念せざるをえないという課題がある.そのため,先行バイオ医薬品よりも安価で患者の費用負担を軽減できるバイオ後続品の開発が望まれてきた.バイオ後続品を含むバイオ医薬品は,高分子量の蛋白質やポリペプチドなどが主体であり,その製造に生体による生合成過程を利用していることから,構造が複雑で翻訳後修飾などに伴う不均一性を有している8).そのため,先発医薬品が化学合成可能な低分子化合物主体で,後発医薬品も同一の構造をもつ医薬品の場合とは異なり,バイオ医薬品の場合は後続品と先行医薬品の有効成分の同一性を実証するのは困難である8).したがって,バイオ後続品の開発にあたっては,品質や非臨床で先行バイオ医薬品との同等/同質性を確認したうえで,臨床試験において先行バイオ医薬品との同等性を示すことが求められている8).SJP-0133はラニビズマブを主成分とするわが国初の眼科用抗CVEGF注射薬のバイオ後続品であり,品質特性解析および非臨床試験にて先行バイオ医薬品であるラニビズマブ(ルセンティス)硝子体内注射用キットC10Cmg/mlとの同等/同質性が示されている.今回,滲出型CAMD患者を対象にSJP-0133と先行バイオ医薬品の投与C12週までの同等性を検証するための第CIII相比較試験を実施した.投与C12週以降は全被験者にCSJP-0133を必要時投与(prorenata:PRN)するよう計画し,SJP-0133の継続投与および先行バイオ医薬品からの切替え投与における投与C52週までの有効性および安全性を検討した.また,投与C52週までの評価からは,SJP-0133がCPRN投与されなかった被験者を除外したため,追加解析として,投与C12週以降も治験を継続した被験者の全治験期間を通した有効性について検討した.CI対象および方法1.治験実施期間および実施医療機関本治験は開始に先立ち,すべての実施医療機関の治験審査委員会で審議されて承認を得たうえで,ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則,「医薬品,医療機器等の品質,有効性および安全性の確保等に関する法律」第C14条第C3項および第C80条のC2ならびに「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)に関する省令」などの関連規制法規を遵守し,2017年C11月.2020年C2月に,表1に示す全国C85医療機関で実施した.治験の実施状況はCUMIN-CTRに登録した(UMIN試験CID:UMIN000030010).C2.対象対象は無治療の滲出型CAMDで表2の基準に該当する患者とした.すべての被験者から治験参加前に,文書による同意を得た.C3.方法a.治験薬被験薬は,1回の投与量(0.05Cml)中にラニビズマブ(遺伝子組換え)バイオ後続品C0.5Cmgを含有する硝子体内注射用プレフィルドシリンジキット(SJP-0133),対照薬は,1回の投与量(0.05Cml)中にラニビズマブ(遺伝子組換え)0.5mgを含有するラニビズマブ硝子体内注射用キット10Cmg/ml(ルセンティス)である.Cb.治験デザイン・投与方法本治験は,多施設共同無作為化単遮閉(評価者遮閉)並行群間比較試験として実施した.SJP-0133および先行バイオ医薬品を無作為化し,投与開始日からC4週ごとに投与C8週までに片眼に計C3回硝子体内投与した(比較期).投与C12週の評価後は,全被験者にCSJP-0133を症状に合わせてCPRN投与により投与C48週まで片眼に硝子体内投与した(PRN期).観察はC4週ごとに行い投与52週までを評価した(図1).治験薬はC1キットずつ小箱に入れて封緘し,外観上の識別不能性を確保した.治験薬は,独立した治験薬割付責任者が,識別不能性を確認したのち,ブロック法により無作為化した.また,群間の偏りをなくすため,CNV病変サブタイプならびに投与開始日の最高矯正視力および中心窩網膜厚を因子とし,SJP-0133群および先行バイオ医薬品群の比が,1:1となるよう中央登録方式で割付けした.割付表は厳封し,開鍵時まで治験薬割付責任者が保管した.Cc.被験者数および設定根拠同等性許容域をCEarlyCTreatmentCDiabeticCRetinopathyC表1実施医療機関および治験責任医師実施医療機関治験責任医師実施医療機関治験責任医師医療法人竹内眼科竹内眼科クリニック竹内忍医療法人社団研英会林眼科病院平田憲医療法人湘山会眼科三宅病院近藤永子佐賀大学医学部附属病院江内田寛三重大学医学部附属病院松原央日本赤十字社長崎原爆病院米田愛医療法人小沢眼科内科病院木住野源一郎宮崎大学医学部附属病院大久保陽子旭川医科大学病院大野晋治医療法人明和会宮田眼科病院片岡康志北海道大学病院野田航介鹿児島大学病院坂本泰二市立札幌病院今泉寛子獨協医科大学病院須田雄三医療法人社団桑園むねやす眼科竹田宗泰東京医科大学病院若林美宏福島県立医科大学附属病院石龍鉄樹順天堂大学医学部附属浦安病院海老原伸行富山大学附属病院林篤志東京医科大学八王子医療センター安田佳奈子自治医科大学附属病院髙橋秀徳昭和大学病院附属東病院淺野泰彦高崎佐藤眼科佐藤拓千葉大学医学部附属病院横内裕敬信州大学医学部附属病院村田敏規聖マリアンナ医科大学病院高木均東京医科大学茨城医療センター三浦雅博社会医療法人愛生会総合上飯田第一病院古川真理子埼玉医科大学病院篠田啓名古屋市立大学病院安川力東邦大学医療センター佐倉病院前野貴俊独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院加賀達志順天堂大学医学部附属順天堂医院平塚義宗高須眼科高須逸平日本大学病院田中公二広島大学病院竹中丈二東京女子医科大学病院丸子留佳山口大学医学部附属病院波多野誠慶應義塾大学病院小澤洋子琉球大学医学部附属病院古泉英貴医療法人調布眼科医院大野仁東北大学病院國方彦志独立行政法人国立病院機構東京医療センター秋山邦彦群馬大学医学部附属病院松本英孝独立行政法人国立病院機構千葉医療センター新井みゆき医療法人社団豊栄会さだまつ眼科クリニック小林宏明山梨大学医学部附属病院杉山敦杏林大学医学部付属病院岡田アナベルあやめ国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院竹内聡学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院都筑賢太郎愛知医科大学病院藤田京子名古屋大学医学部附属病院伊藤逸毅医療法人社団同潤会眼科杉田病院杉田威一郎京都大学医学部附属病院大音壮太郎京都府立医科大学附属病院外園千恵大阪医科大学附属病院喜田照代滋賀医科大学医学部附属病院澤田智子医療法人財団シロアム会新城眼科医院風間成泰独立行政法人国立病院機構京都医療センター喜多美穂里秋田大学医学部附属病院齋藤昌晃大阪大学医学部附属病院坂口裕和佐藤眼科医院銅町クリニック佐藤さくら関西医科大学附属病院髙橋寛二横浜市立大学附属市民総合医療センター伊藤亜里沙社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院尾花明学校法人藤田学園藤田医科大学病院堀口正之兵庫県立尼崎総合医療センター王英泰関西医科大学総合医療センター西村哲哉兵庫医科大学病院五味文社会医療法人きつこう会多根記念眼科病院川村肇一般財団法人住友病院御手洗慶一地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院宮本紀子神戸大学医学部附属病院三木明子近畿大学病院日下俊次独立行政法人国立病院機構大阪医療センター松田理香川大学医学部附属病院白神千恵子岡山大学病院森實祐基徳島大学病院仙波賢太郎地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター沢美喜福岡大学筑紫病院久冨智朗奈良県立医科大学附属病院緒方奈保子大阪市立大学医学部附属病院河野剛也独立行政法人国立病院機構小倉医療センター喜多岳志医療法人社団玄心会吉田眼科病院吉田紳一郎九州大学病院塩瀬聡美C─C─表2おもな選択基準および除外基準おもな選択基準1)50歳以上の外来患者(日本人),性別不問2)滲出型CAMDに起因した中心窩下CCNV(傍中心窩CCNV病変を含む)を認めた者おもな除外基準1)中心窩を含む網膜下出血を認めた者2)中心窩下に線維症または萎縮を認めた者3)網膜色素上皮裂孔を認めた者4)他の原因によるCCNVを認めた者5)視力の評価に影響を及ぼす他の網脈絡膜疾患を認めた者6)硝子体出血を認めた者7)過去に抗CVEGF薬を使用した者8)過去にCAMDに対する外科手術を実施した者9)本治験で使用する薬剤の成分に対し,アレルギーまたは重大な副作用の既往のある者投与開始日8週12週48週52週先行バイオ医薬品群SJP-0133群主要評価項目の評価図1治験デザインStudy(ETDRS)可読文字数でC4文字に設定し,投与C12週の最高矯正視力の変化量の標準偏差をC11,有意水準両側C5%,検出力をC80%,先行バイオ医薬品群とCSJP-0133群の差をC0文字と設定し,必要な評価被験者数を各群C160例と算出した.目標被験者数は,5%の脱落を考慮し各群C169例,合計C338例と設定した.C4.検査・観察項目表3に検査項目およびスケジュールを示す.最高矯正視力はCETDRS視力表を用いて測定した.C5.併用薬および併用処置治験期間中,抗CVEGF薬および副腎皮質ステロイドの眼局所および全身投与を禁止した.治験期間中,光線力学療法,レーザー網膜光凝固術などの滲出型CAMDに対する処置を禁止した.C6.評価項目a.有効性主要評価項目は,投与C12週における最高矯正視力の投与開始日からの変化量とした.副次評価項目は,(1)各来院日での最高矯正視力の実測値および投与開始日からの変化量,(2)投与開始日から投与12週およびC52週の最高矯正視力の減少がC15文字未満の被験者の割合,(3)投与開始日から投与C12週およびC52週の最高矯正視力の増加がC15文字以上の被験者の割合,(4)各来院日での中心窩網膜厚の投与開始日からの変化量,(5)投与12週およびC52週におけるCCNV面積の実測値およびスクリーニング日からの変化量,(6)投与C12週およびC52週におけるCdryretina(OCTで網膜内.胞様浮腫および網膜下液を認めないと定義)の達成率とした.Cb.安全性治験薬を投与された被験者に生じたすべての好ましくないまたは意図しない疾病またはその徴候を有害事象として収集した.安全性評価項目は,有害事象,眼圧,最高矯正視力,光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)による網膜所見,角膜・結膜・水晶体・前房所見,眼底,血圧,脈拍数,臨床検査ならびに先行バイオ医薬品およびCSJP-0133に対する免疫反応(抗薬物抗体)とした.コンビネーション医薬品の機械器具などの破損,作動不良表3検査・観察スケジュール1:投与C1週の初期安全性評価被験者のみ実施.などを不具合として収集し評価した.C7.統計解析a.有効性有効性は,組み入れられたすべての被験者のうち,治験薬の投与を一度も受けなかった被験者,選択基準2)および除外基準に抵触した被験者,投与開始日以降の再来院がないなどの理由により有効性が評価できなかった被験者を除外した集団を最大の解析対象集団(fullCanalysisset:FAS)とし,FASを主たる解析対象集団とした.投与開始日から投与C12週を比較期,投与C12週から投与52週をCPRN期として解析した.PRN期の解析は,PRN期に一度でもCSJP-0133が投与された被験者を対象とし,PRN期に継続してCSJP-0133を投与した被験者をCSJP-0133群,PRN期に先行医薬品からCSJP-0133に切り替えて投与した被験者を先行医薬品群とした.PRN期の解析対象集団の条件はCSJP-0133をCPRN期で一度でも投与された被験者に限定しているため,比較期と解析対象集団が異なっている.そのため,投与開始日から投与52週までの有効性が評価できるように,比較期と同様の解析対象集団の条件でも全期間を追加解析した.主要評価項目の解析は,スクリーニング日のCCNV病変サブタイプ(classic型CCNVを伴うタイプまたはCclassic型CNVを伴わないCoccult型CCNVのみのタイプ)および層別化した投与開始日の最高矯正視力(54文字以下,55文字以上)を因子とした共分散分析(analysisCofcovariance:ANCOVA)を用いた投与群ごとの最小二乗平均値およびC95%両側信頼区間(confidenceinterval:CI)ならびに投与群の最小二乗平均値の差および差のC95%両側CCIを算出した(同等性検証).欠測値は,lastCobservationCcarriedCforward(LOCF)によりデータを補完した.Cb.安全性安全性は,組み入れられたすべての被験者のうち,治験薬の投与を一度も受けなかった被験者,初診時(投与開始日)以降の再来院がないなどの理由により安全性が評価できなかった被験者を除外した集団を安全性解析対象集団(safetyset:SS)とした.有害事象は,発現割合(発現例数/SS)を算出した.SJP-0133群は比較期にCSJP-0133を投与した被験者,先行バイオ医薬品群は比較期に先行バイオ医薬品を投与した被験者,全CSJP-0133群は,1度でもCSJP-0133が投与された被験者を対象とした.眼圧,最高矯正視力,OCTによる中心窩網膜厚,角膜・結膜・水晶体・前房所見,眼底,血圧,脈拍数,臨床検査ならびに先行バイオ医薬品およびCSJP-0133に対する免疫反応(抗薬物抗体)は,治験薬の投与前後を比較した.II結果1.被験者の構成a.被験者の内訳同意を取得したC523例のうちC351例が無作為化され,330例が比較期を完了した.比較期を完了したすべての被験者はPRN期に移行し,300例がCPRN期を完了した(図2).Cb.解析対象集団無作為化されたC351例から,手順違反などのC14例を除いたC337例(SJP-0133群C170例,先行バイオ医薬品群C167例)をCFASとし,投与遵守違反C1例(SJP-0133群)を除いた350例(SJP-0133群C175例,先行バイオ医薬品群C175例)をCSSとした(図3).被験者背景(FAS)を表4に示した.C2.有効性a.比較期主要評価項目である,投与C12週における最高矯正視力の投与開始日からの変化量(最小二乗平均値)は,SJP-0133群がC7.4文字,先行バイオ医薬品群がC8.9文字であった.両群の差(SJP-0133群C.先行バイオ医薬品群)は,C.1.5(95%両側CCI:C.3.2.0.3)文字で,95%CCIが同等性許容域(C±4文字)内にあることから,SJP-0133群の先行バイオ医薬品群に対する同等性が検証された.副次評価項目である最高矯正視力の実測値および変化量(1)は,各時点で両群とも同様の推移を示し,経時的に改善した(表5,図4).投与開始日から投与C12週の最高矯正視力の減少がC15文字未満の被験者の割合(2)および投与開始日から投与C12週の最高矯正視力の増加がC15文字以上の被験者の割合(3)は,両群とも同程度であった(表6).中心窩網膜厚の変化量(4)は,両群で同様の推移を示し,投与C1週で顕著に減少し,その後も投与C12週まで経時的に減少した(表7).投与C12週のCCNV病変面積の実測値および変化量(5)は,両群とも同程度で,スクリーニング時から改善した(表8).投与C12週のCdryretinaの達成率(6)は,両群とも同程図3解析対象集団FAS:最大解析集団,SS:安全性解析対象集団.表4被験者背景(fullanalysisset)先行バイオSJP-0133群医薬品群合計(n=170)(n=167)(n=337)項目区分例数(%)例数(%)例数(%)性別男性125(73.53)121(72.46)246(73.00)女性45(26.47)46(27.54)91(27.00)年齢(歳)平均±標準偏差C74.4±7.51C74.1±7.32C74.3±7.41最小値,最大値C50,C92C54,C88C50,C92CNV病変サブタイプclassic型CCNVを伴うタイプ64(37.65)61(36.53)125(37.09)classic型CCNVを伴わない106(62.35)106(63.47)212(62.91)occult型CCNVのみのタイプ眼局所の合併症の有無1有153(90.00)153(91.62)306(90.80)無17(10.00)14(8.38)31(9.20)眼局所以外の合併症の有無有159(93.53)147(88.02)306(90.80)無11(6.47)20(11.98)31(9.20)最高矯正視力(文字)平均±標準偏差C61.9±12.68C61.3±13.46C61.6±13.06中心窩網膜厚(μm)平均±標準偏差C385.3±135.44C388.2±127.48C386.7±131.38CNV面積(mmC2)平均±標準偏差C5.664±3.9537C5.611±4.4084C5.638±4.1791C1:左右眼どちらか一方でも該当した場合を有とした.度であった(表9).Cb.PRN期PRN期では,投与C12週から投与C48週にCSJP-0133を一度でも投与された被験者を対象に解析した.最高矯正視力の実測値および変化量(1)は,投与C12週から投与C52週まで,両群とも経時的に増加した(表5).また,投与C52週の最高矯正視力の減少がC15文字未満の被験者の割合(2)は,両群とも投与C12週よりわずかに減少した.最高矯正視力の増加がC15文字以上の被験者の割合(3)は,両群とも投与C12週よりわずかに増加した(表6).中心窩網膜厚の変化量(4)は,投与C12週から投与C52週まで,両群とも大きな変化は認めず,比較期終了後以降も網膜厚の減少効果を維持した(表7).投与C52週のCCNV病変面積の実測値および変化量(5)ならびに投与C52週のCdryretinaの達成率(6)は,両群とも投与C12週と同程度で,比較期終了後以降も改善を維持した(表8,9).Cc.追加解析追加解析では,PRN期でのCSJP-0133の投与の有無にかかわらずCFASを対象とし,比較期とCPRN期を同じ条件の対象集団で解析を行い,全期間の最高矯正視力の推移を確認した.最高矯正視力の変化量は,投与C12週から投与C52週まで,SJP-0133群はC6.3.8.7文字,先行バイオ医薬品群は7.9.10.1文字で推移した.投与C12週までの治療効果が,SJP-0133の継続投与,先行バイオ医薬品からCSJP-0133への切り替え投与ともに,投与C12週以降も継続していることを確認した(図5).(135)3.安全性治験期間中に発現した有害事象は,SJP-0133群C130/175例(74.3%),先行バイオ医薬品群C129/175例(73.7%),全SJP-0133群C242/327例(74.0%)であった.このうち副作用は,SJP-0133群C21例(12.0%),先行バイオ医薬品群C11例(6.3%),全CSJP-0133群C29例(8.9%)であった.おもな副作用は,SJP-0133群では眼圧上昇C8例(4.6%),網膜出血C2例(1.1%),先行バイオ医薬品群では脳梗塞C3例(1.7%),網膜色素上皮裂孔C2例(1.1%),全CSJP-0133群では眼圧上昇C8例(2.4%),網膜出血C3例(0.9%),網膜色素上皮裂孔C3例(0.9%),脳梗塞C3例(0.9%),高血圧C2例(0.6%)であった(表10).安全性に関連する他の検査項目でも,臨床上問題となるような変動や所見に関連する副作用はなかった.CIII考按SJP-0133と先行バイオ医薬品との有効性の比較において,本治験の主要評価項目である投与C12週における最高矯正視力の投与開始日からの変化量の差は,事前に設定した同等性許容域内であり,SJP-0133の有効性が先行バイオ医薬品と統計学的に同等であることが示された.副次評価項目である投与C12週までの最高矯正視力の実測値および変化量(1),投与C12週の最高矯正視力の減少がC15文字以上の被験者の割合および増加がC15文字以上の被験者の割合(2)(3),中心窩網膜厚の変化量の推移(4),CNV病変面積の実測値および変化量(5)ならびにCdryretinaの達成率(6)についてあたらしい眼科Vol.39,No.10,2022C1427表5最高矯正視力の実測値および変化量の推移(fullanalysisset)VISIT最高矯正視力SJP-0133群先行バイオ医薬品群比較期(文字)(n=170)(n=167)スクリーニング実測値C62.6±12.29(C170)C61.8±13.21(C167)投与開始日実測値C61.9±12.68(C170)C61.3±13.46(C167)投与4週実測値C66.0±12.70(C163)C66.1±13.62(C162)変化量C4.2±6.55C5.0±6.67投与8週実測値C67.1±13.06(C160)C67.8±13.50(C163)変化量C5.4±7.87C6.6±7.62投与12週実測値C68.1±13.15(C160)C69.5±12.89(C157)変化量C6.3±8.51C7.9±8.70SJP-0133群C1先行バイオ医薬品群1PRN期(n=156)(n=147)投与12週実測値C65.4±13.88(C65)C65.0±13.67(C56)変化量C3.2±8.26C3.9±5.67投与16週実測値C67.1±13.34(C113)C67.0±14.25(C103)変化量C5.1±8.35C4.9±9.24投与20週実測値C67.8±13.18(C132)C68.6±13.95(C121)変化量C6.0±8.83C7.0±9.79投与24週実測値C68.5±12.96(C143)C69.5±14.20(C131)変化量C6.7±9.14C8.3±10.50投与28週実測値C69.5±12.50(C147)C69.7±13.91(C131)変化量C7.5±9.19C8.0±11.01投与32週実測値C69.3±13.05(C144)C70.3±13.83(C134)変化量C7.6±9.13C8.2±10.22投与36週実測値C68.9±13.02(C144)C70.8±13.20(C131)変化量C7.2±9.94C8.8±10.35投与40週実測値C70.2±12.48(C142)C70.8±12.52(C131)変化量C8.6±9.58C8.9±9.61投与44週実測値C70.1±12.70(C142)C71.2±12.63(C133)変化量C8.6±10.34C9.5±10.39投与48週実測値C70.5±12.63(C140)C71.5±13.03(C133)変化量C9.2±10.66C9.8±10.17投与52週実測値C70.0±12.47(C140)C71.5±12.75(C132)変化量C8.7±10.70C9.9±10.54平均値±標準偏差(例数).1:PRN期にCSJP-0133を一度でも投与された被験者を対象とし,PRN期における初回のCSJP-0133投与以降の値を用いて集計した.も,SJP-0133群と先行バイオ医薬品群で同程度であった.投与開始日からの変化量は,本治験のCSJP-0133群ではC7.4とくに,副次評価で認められた中心窩網膜厚やCCNV病変面文字の改善であり,他方,先行バイオ医薬品の海外臨床試験積などの形態学的な変化は,主要評価項目の結果を裏付けるのCMARINA,ANCHOR,HARBORおよびCCATTの各試結果であった.験でのC0.5mg投与群では,5.6文字.10.0文字の改善であ本治験の投与C12週までの結果を,これまでに実施されたった6,7,9,10).とくに本治験と同じ投与方法で先行バイオ医薬先行バイオ医薬品の臨床試験と比較すると,最高矯正視力の品が投与されているCHARBOR試験との比較では,中心窩網最高矯正視力の投与開始日からの変化量(文字)25●:SJP-0133,○:先行バイオ医薬品20151050-5投与開始日4812(週)SJP-0133(170)(163)(160)(160)先行バイオ医薬品(167)(162)(163)(157)(例数)平均値±標準偏差図4最高矯正視力の変化量の推移図(比較期)(fullanalysisset)膜厚については本治験では投与C12週でC104.0μmの減少,HARBOR試験のC0.5Cmg投与群では,投与C3カ月で約C150μmの減少であった9).上述した先行バイオ医薬品の海外臨床試験の症例の大部分が白人であり,本治験では許容した傍中心窩下CCNVの症例を含まないため,本治験での対象集団とは異なるが,先行バイオ医薬品の海外臨床試験における視力改善効果や中心窩網膜厚の減少効果は本治験結果と同様であった.以上のこと,および本治験によって先行バイオ医薬品とCSJP-0133が統計学的に同等であると検証されたことから,投与C12週におけるCSJP-0133の有効性は,先行バイオ医薬品と同等であることが明らかとなった.また,先行バイオ医薬品でもCEXTEND-I試験で日本人症例C88例での検討がされているが11),本治験ではCEXTEND-Iを大きく上回る351症例でCSJP-0133と先行バイオ医薬品との比較検討をした.先行バイオ医薬品での臨床試験などの結果との比較については先述のとおりであるが,本試験では先行バイオ医薬品群も含めて,十分な症例数の日本人でCSJP-0133と先行バイオ医薬品を比較検討できており,日本人での有効性,安全性をより明確にできたと考える.本治験のCPRN期では,比較期のCSJP-0133群および先行バイオ医薬品群の両群ともに,SJP-0133がCPRN投与された.PRN期の解析では,SJP-0133を継続投与した場合および先行バイオ医薬品からCSJP-0133に切り替えて投与した場合の両者で,比較期終了後から投与C52週まで,最高矯正視力の経時的な改善が認められた.副次評価項目についても,比較期終了後から投与C52週まで改善の維持が認められた.以上のことから,SJP-0133をCPRN投与によって継続投与した場合と先行バイオ医薬品からCSJP-0133に切り替えて投与した場合の両者で,有効性は投与C52週まで持続すること(137)表6最高矯正視力の増減があった被験者の割合(fullanalysisset)SJP-0133群先行バイオ医薬品群投与12週(n=170)(n=167)15文字以上増加例数(%)95%CCI差(%)C1差のC95%CCIC115文字未満減少例数(%)95%CCI差(%)C1差のC95%CCIC1C23(13.53)(8.77,C19.61)C.5(.3.29)(.10.43,C3.84)159(93.53)(88.72,C96.73)2(.0.60)(.5.74,C4.54)28(16.77)(11.44,C23.31)157(94.01)(89.26,C97.09)SJP-0133群先行バイオ医薬品群2投与52週(n=170)(n=147)15文字以上増加例数(%)95%CI差(%)C1差のC95%CCIC115文字未満減少例数(%)95%CCI差(%)C1差のC95%CCIC1C39(22.94)(16.85,C30.00)8(1.54)(.6.86,C9.95)141(82.94)(76.43,C88.27)9(.6.92)(.14.39,C0.54)31(21.09)(14.80,C28.58)132(89.80)(83.73,C94.18)CI:con.denceinterval.1:差はCSJP-0133群C.先行バイオ医薬品群.スクリーニング日のCCNV病変サブタイプ(classic型CCNVを伴うタイプまたはclassic型CCNVを伴わないCoccult型CCNVのみのタイプ)および初回投与開始日の最高矯正視力.(54文字以下,55文字以上)を層別因子としたCochran-Mantel-Haenzel型推定値.2:PRN期の先行バイオ医薬品群は,SJP-0133を投与された被験者を対象とした.が確認された.本治験のCPRN期の投与C52週までの結果を,これまでに実施された先行バイオ医薬品の臨床試験と比較すると,最高矯正視力の投与開始日からの変化量は,本治験のCSJP-0133群ではC8.7文字の改善であり,他方,先行バイオ医薬品の臨床試験のCMARINAおよびCANCHORの各試験では,それぞれC7.2文字およびC11.3文字の改善であった6,7).両試験では先行バイオ医薬品が毎月投与されているが,SJP-0133の視力改善効果は両試験結果と比較して大きく劣るものではなかった.また,HARBOR試験における先行バイオ医薬品C0.5mg投与C12カ月でのC8.2文字の改善は,本治験のCSJP-0133群の結果と同様であり,中心窩網膜厚の変化量については,投与C12カ月におけるCHARBOR試験でのC0.5Cmg投与群では161.2Cμmの減少,本治験では投与C52週でC110.7Cμmの減少あたらしい眼科Vol.39,No.10,2022C1429表7中心窩網膜厚の実測値および変化量の推移(fullanalysisset)VISIT中心窩網膜厚SJP-0133群先行バイオ医薬品群比較期(μm)(n=170)(n=167)投与1週実測値C338.9±106.60(156)C339.0±106.49(159)変化量C.49.9±66.62C.52.0±72.86C投与2週実測値C320.9±100.92(155)C319.9±100.65(152)変化量C.68.5±80.11C.74.8±80.71C投与4週実測値C306.3±92.85(157)C304.8±102.18(152)変化量C.82.3±86.06C.85.4±85.89C投与8週実測値C292.5±91.99(155)C285.0±101.36(154)変化量C.98.9±95.11C.108.3±100.50C投与12週実測値C285.6±86.27(155)C267.0±74.54(150)変化量C.104.0±98.31C.119.7±103.90CSJP-0133群C1先行バイオ医薬品群1PRN期(n=156)(n=147)投与12週実測値C295.3±78.07(62)C289.9±83.44(51)変化量C.98.6±100.61C.107.7±97.06C投与16週実測値C298.0±98.55(109)C299.6±92.03(98)変化量C.105.3±119.19C.98.1±116.23C投与20週実測値C290.3±88.81(132)C281.1±77.32(119)変化量C.104.7±120.83C.110.2±117.97C投与24週実測値C289.0±89.80(141)C278.8±82.76(130)変化量C.100.9±107.98C.114.6±116.71C投与28週実測値C282.4±97.03(145)C279.4±78.04(128)変化量C.111.0±120.46C.113.1±115.34C投与32週実測値C289.2±91.36(143)C278.9±83.74(132)変化量C.102.5±129.71C.112.6±117.18C投与36週実測値C277.8±94.23(142)C270.4±69.81(130)変化量C.115.2±133.87C.117.5±113.65C投与40週実測値C278.5±74.97(139)C272.6±68.98(127)変化量C.111.0±120.37C.113.7±102.39C投与44週実測値C278.3±84.43(140)C266.0±66.12(130)変化量C.115.1±126.12C.118.7±104.04C投与48週実測値C282.4±78.43(138)C266.6±67.90(131)変化量C.111.7±128.38C.118.3±108.26C投与52週実測値C280.8±84.09(138)C268.5±68.43(129)変化量C.110.7±134.14C.115.0±108.42C平均値±標準偏差(例数).1:PRN期にCSJP-0133を一度でも投与された被験者を対象とし,PRN期における初回のCSJP-0133投与以降の値を用いて集計した.表8CNV病変面積の実測値および変化量の推移(fullanalysisset)VISITCNVの総面積SJP-0133群先行バイオ医薬品群比較期(mm2)(N=170)(N=167)スクリーニング実測値C5.664±3.9537(C170)C5.611±4.4084(C167)投与12週実測値C2.083±3.1621(C160)C1.571±2.8223(C156)変化量C.3.604±3.8556C.4.029±4.2157SJP-0133群C1先行バイオ医薬品群1PRN期(n=156)(n=147)投与12週実測値C3.309±3.5064(C64)C2.745±3.4756(C56)変化量C.2.573±3.0143C.4.193±5.5272投与52週実測値C2.143±3.2799(C137)C2.004±2.9398(C131)変化量C.3.383±4.3360C.3.611±4.6739平均値±標準偏差(例数).1:PRN期にCSJP-0133を一度でも投与された被験者を対象とし,PRN期における初回の本剤投与以降の値を用いて集計を行った.表9Dryretinaの達成率(fullanalysisset)VISITSJP-0133群先行バイオ医薬品群比較期(N=170)(N=167)投与12週CDry72(42.35)(160)82(49.10)(157)CNon-dry88(51.76)75(44.91)SJP-0133群C1先行バイオ医薬品群1PRN期(n=156)(n=147)投与12週CDry13(C8.33)(C64)15(C10.20)(C56)CNon-dry51(C32.69)41(C27.89)投与52週CDry62(C39.74)(C140)62(C42.18)(C132)CNon-dry78(C50.00)70(C47.62)達成例数(%)(例数).1:PRN期にCSJP-0133を一度でも投与された被験者を対象とし,PRN期における初回の本剤投与以降の値を用いて集計を行った.で,大きな差異は認めらなかった9).以上のように,投与C52週におけるCSJP-0133の有効性は,これまでに実施された先行バイオ医薬品の臨床試験結果と比較しても大きな差はなく,先行バイオ医薬品と同等であることが明らかとなった.HARBORおよびCCATTの各試験では先行バイオ医薬品の毎月投与とCPRN投与での効果を比較しているが,毎月投与のほうが視力改善効果は良好であったことが示されている9,10).しかし,毎月投与は患者の経済的負担や,毎月の注射に対する心理的負担が課題である.よって,導入期に毎月連続して投与して病状を落ち着かせ,その後は病状に合わせたCPRN投与は,効果と負担軽減のバランスのとれた方法であると考えられるが,治療が遅れる場合も生じうる.先行バイオ医薬品で,毎月投与やCPRN投与以外の投与方法として近年注目されている方法がCtreatandextend(TAE)投与である12.14).TREND試験は滲出型CAMDにおいて先行バイオ医薬品のCTAE投与(323例)と毎月投与(327例)を比較した国際共同治験である13).TREND試験において,投与12カ月における最高矯正視力の投与開始日からの変化量はTAE投与群でC6.2文字の改善,毎月投与群ではC8.1文字の改善であり,毎月投与群に対するCTAE投与群の非劣性が検証された13).TAE投与は,再発時に投与するCPRN投与よりもプロアクティブな投与方法であり,毎月投与のような固定投与よりも投与回数を減少させることができると考えられている15,16).近年では,維持期の抗CVEGF薬の投与方法として,PRN投与よりもCTAE投与のほうが広く使用されているという報告もある17).本治験では先行バイオ医薬品の添付文書に記載されている投与方法で投与を実施しており,TAE投与の検討は実施していない.このため,SJP-0133のCTAE投与による有効性および安全性については不明であるが,経済的な負担の軽減も含め,さらに治療負担を軽減させることができると考えられることから,今後,SJP-0133のCTAE投与による有効性および安全性の検討が必要であると考える.本治験では,試験期間を通したCSJP-0133の有効性を確認●:比較期SJP-0133/PRN期SJP-0133,○:比較期先行バイオ医薬品/PRN期SJP-0133最高矯正視力の投与開始日からの変化量(文字)2520151050-5投与開始日481216202428323640444852(週)SJP-0133(170)(163)(160)(160)(160)(159)(157)(156)(153)(152)(150)(148)(145)(145)先行バイオ医薬品(167)(162)(163)(157)(156)(153)(152)(149)(146)(143)(143)(142)(142)(141)(例数)平均値±標準偏差図5最高矯正視力の変化量の推移図(全期間)(fullanalysisset)PRN期もCSJP-0133の投与の有無にかかわらずにCFASを対象とし,比較期とCPRN期の対象集団を同一にして全期間を解析した.するため,投与開始日から投与C52週までのCSJP-0133群および先行バイオ医薬品群の最高矯正視力の変化量の推移を追加解析により検討した.その結果,SJP-0133群および先行バイオ医薬品投与群ともに,投与開始日以降,52週にわたって継続した視力改善が認められた.また,両群の視力推移には大きな差異はなく,未治療の滲出型CAMD患者へのSJP-0133の投与および先行バイオ医薬品からの切替え投与においても視力を維持できることが確認された.以上のように,本治験の主要評価項目である投与C12週における最高矯正視力の変化量がCSJP-0133群と先行バイオ医薬品群で統計学的に同等であったこと,SJP-0133の投与C12週およびC52週の有効性が先行バイオ医薬品の臨床試験結果と同様であったことから,SJP-0133の有効性は先行バイオ医薬品と同等であると考えられた.一方,投与C12週における各有効性評価項目の評価結果について,表5~9に示したとおり,SJP-0133の数値は先行バイオ医薬品の数値と比較してわずかに小さい傾向が認められた.しかし,滲出型CAMDの真のエンドポイントであり,臨床的な意義が明確な視力については,SJP-0133と先行バイオ医薬品で統計学的に同等であることが検証されており,また,先行バイオ医薬品との差異は小さいことから,本剤の有効性は先行バイオ医薬品と同様であると考えられる.なお,実臨床におけるCSJP-0133と先行バイオ医薬品との有効性の差異および本治験で認められたわずかな差異の原因については,さらなる検討が必要である.SJP-0133と先行バイオ医薬品との安全性の比較において,本治験の投与C12週までに認められた有害事象の発現率は両剤で同程度であった.全身性CVEGF阻害に関連すると考えられる動脈塞栓症イベントや,抗CVEGF薬の注射で認められる眼内炎などの有害事象について,本治験の投与C52週におけるCSJP-0133群での発現頻度はCHARBOR試験での発現頻度と同程度であった9).また,SJP-0133群で多く認められた副作用は眼圧上昇で8例(4.6%)であり,先行バイオ医薬品群ではC1例(0.6%)であった.12週以降は全被験者でCSJP-0133が投与されているため,本試験で投与C52週までに認められた全SJP-0133群の眼圧上昇の有害事象の発現率と,HARBOR試験で投与C12カ月までに認められた眼圧上昇の有害事象の発現率を比較したところ,同程度の発現頻度であった9).これらのことから,眼圧上昇の発現頻度は先行バイオ医薬品と比較して大きな差異はないと考えられた.以上のことから,SJP-0133の安全性は先行バイオ医薬品と同様であると考えられた.今回,SJP-0133は先行バイオ医薬品と同等/同質の品質,安全性および有効性を有するバイオ後続品であることが確認された.バイオ後続品の薬価は先行バイオ医薬品の約C7割程度となるため18),先行バイオ医薬品よりも安価なCSJP-0133は,滲出型CAMD患者の経済的な負担を軽減することで継続して治療を受けやすくし,患者のCQOLを改善できる薬剤であると考える.なお,本治験では投与C52週までのCSJP-0133の安全性および有効性が確認されたが,より長期の安全性および有効性表10副作用一覧副作用名1SOCCPTSJP-0133群(n=175)例数(%)件数先行バイオ医薬品群(n=175)例数(%)件数全CSJP-0133群C2(n=327)C例数(%)件数眼障害網膜出血網膜色素上皮裂孔眼痛網膜裂孔高眼圧症緑内障結膜炎網膜.離C視神経乳頭出血C眼充血C8(C4.57)C92(C1.14)C21(C0.57)C11(C0.57)C21(C0.57)C1C1(C0.57)C1C1(C0.57)C1C1(C0.57)C1C0C00C00C05(C2.86)C71(C0.57)C12(C1.14)C21(C0.57)C10C00C00C00C01(C0.57)C11(C0.57)C11(C0.57)C112(C3.67)C153(C0.92)C33(C0.92)C31(C0.31)C21(C0.31)C11(C0.31)C11(C0.31)C11(C0.31)C11(C0.31)C11(C0.31)C11(C0.31)C1心臓障害C心房細動C0C00C01(C0.57)C11(C0.57)C11(C0.31)C11(C0.31)C1一般・全身障害および投与部位の状態胸痛1(C0.57)C1C1(C0.57)C1C0C00C01(C0.31)C11(C0.31)C1感染症および寄生虫症鼻炎1(C0.57)C1C1(C0.57)C1C0C00C01(C0.31)C11(C0.31)C1臨床検査眼圧上昇g-グルタミルトランスフェラーゼ増加血中クレアチンホスホキナーゼ増加10(C5.71)C118(C4.57)C91(C0.57)C1C1(C0.57)C1C1(C0.57)C11(C0.57)C10C00C010(C3.06)C118(C2.45)C9C1(C0.31)C11(C0.31)C1神経系障害脳梗塞くも膜下出血大脳動脈塞栓症塞栓性脳梗塞C3(C1.71)C31(C0.57)C11(C0.57)C1C1(C0.57)C1C0C04(C2.29)C43(C1.71)C30C00C01(C0.57)C16(C1.83)C63(C0.92)C31(C0.31)C11(C0.31)C11(C0.31)C1血管障害高血圧1(C0.57)C11(C0.57)C11(C0.57)C11(C0.57)C12(C0.61)C22(C0.61)C21:副作用名はCICH国際医薬用語集CMedDRA/JVersion21.1を用いて分類した.2:治験期間中にC1回以上CSJP-0133が投与された被験者の合計については検証されていない.先行バイオ医薬品の長期投与の有効性については,MARINAおよびCANCHORの各試験の試験後症例を対象としたCHORIZON試験(試験期間:合計4年),HORIZON試験の試験後症例を対象としたCSEVEN-UP試験(試験期間:平均C7.3年)およびCCATT試験の試験後症例を対象としたCCATTFollow-up試験(試験期間:平均C5.5年)で検討されている19.21).これらの試験はCPRN投与での経過をみた試験であるが,HORIZON試験ではベースラインまで,そのほかの試験ではベースラインよりも視力が低下しており,その原因として平均投与回数が他のCPRN投与を用いた臨床試験と比較して少なく,undertreatmentであったことが考えられている19.22).以上のことから,長期の視力維持のためには臨床試験で規定されるような厳密な治療が重要であると考えられているが,実臨床でそのような治療を実施するのは困難であることから,TAE投与のように個々の病状や事情に合わせて計画的に治療を行っていく個別化治療の検討が必要であると考えられており22,23),実臨床においてはCTAE変法のようにCTAE投与の課題に対応した投与方法も検討されている24).SJP-0133についても,先行バイオ医薬品と同様に,投与方法の検討も含め,さらなる長期投与での安全性と有効性の検証が必要であると考える.利益相反:小椋祐一郎(カテゴリーCF:ベーリンガーインゲルハイム,ノバルティスファーマ),飯田知弘(カテゴリーCF:ニデック,トプコン),坂本泰二(カテゴリーCF:ノバルティスファーマ,パレクセルインターナショナル),辻川明孝(カテゴリーCF:ファインデックス,キヤノン),長谷川久美子(カテゴリーCE:千寿製薬株式会社),山本明史(カテゴリーCE:千寿製薬株式会社),徳重秀樹(カテゴリーCE:千寿製薬株式会社)文献1)MitchellCP,CLiewCG,CGopinathCBCetal:Age-relatedCmacu-lardegeneration.LancetC392:1147-1159,C20182)Kli.enM,SharmaHS,MooyCMetal:Increasedexpres-sionofangiogenicgrowthfactorsinage-relatedmaculop-athy.BrJOphthalmolC81:154-162,C19973)MelincoviciCCS,CBo.caCAB,C.u.manCSCetal:VascularCendothelialCgrowthfactor(VEGF)C-keyCfactorCinCnormalCandCpathologicalCangiogenesis.CRomCJCMorpholCEmbryolC59:455-467,C20184)SpilsburyK,GarrettKL,ShenWYetal:OverexpressionofCvascularCendothelialCgrowthfactor(VEGF)inCtheCreti-nalCpigmentCepitheliumCleadsCtoCtheCdevelopmentCofCcho-roidalCneovascularization.CAmCJCPatholC157:135-144,C20005)中村信介,嶋澤雅光,原英彰:網膜血管新生とその治療薬.日薬理誌135:149-152,C20106)RosenfeldPJ,BrownDM,HeierJSetal;MARINAStudyGroup:Ranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMedC355:1419-1431,C20067)BrownDM,KaiserPK,MichelsMetal;ANCHORStudyGroup:RanibizumabCversusCvertepor.nCforCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.CNCEnglCJCMedC355:C1432-1444,C20068)厚生労働省医薬・生活衛局医薬品審査管理課長通知,薬生薬審発C0204第C1号「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」.令和C2年C2月C4日9)BusbeeCBG,CHoCAC,CBrownCDMCetal:Twelve-monthCe.cacyCandCsafetyCofC0.5CmgCorC2.0CmgCranibizumabCinCpatientsCwithCsubfovealCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.OphthalmologyC120:1046-1056,C201310)MartinCDF,CMaguireCMG,CYingCG-SCetal;CATTCResearchGroup:RanibizumabCandCbevacizumabCforCneo-vascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMedC364:1897-1908,C201111)TanoY,OhjiM;EXTEND-IStudyGroup.EXTEND-I:CsafetyCandCe.cacyCofCranibizumabCinCJapaneseCpatientsCwithCsubfovealCchoroidalCneovascularizationCsecondaryCtoCage-relatedCmacularCdegeneration.CActaCOphthalmolC88:C309-316,C201012)BergCK,CPedersenCTR,CSandvikCLCetal:ComparisonCofCranibizumabandbevacizumabforneovascularage-relatedCmacularCdegenerationCaccordingCtoCLUCASCtreat-and-extendprotocol.OphthalmologyC122:146-152,C201513)SilvaR,BertaA,LarsenMetal;TRENDStudyGroup:CTreat-and-extendCversusCmonthlyCregimenCinneovascularage-relatedCmaculardegeneration:resultsCwithCranibi-zumabCfromCtheCTRENDCStudy.COphthalmologyC125:C57-65,C201814)KertesCPJ,CGalicCIJ,CGreveCMCetal:E.cacyCofCaCtreat-and-extendCregimenCwithCranibizumabCinCpatientsCwithCneovascularCage-relatedCmaculardisease:aCrandomizedCclinicaltrial.JAMAOphthalmolC138:244-250,C202015)髙橋寛二,大島裕司,大中誠之ほか:滲出型加齢黄斑変性治療の臨床エビデンスと実態.日眼会誌C124:902-924,C202016)FreundCKB,CKorobelnikCJF,CDevenyiCRCetal:Treat-and-extendregimenswithanti-VEGFagentsinretinaldiseas-es:aCliteratureCreviewCandCconsensusCrecommendations.CRetinaC35:1489-1506,C201517)髙橋寛二,大島裕司,古泉英貴ほか:滲出型加齢黄斑変性診療の実態:実地診療を担う専門医を対象としたアンケート調査.眼科62:491-502,C202018)厚生労働省保険局長通知,保発C0210第C3号「薬価算定の基準について」.令和3年2月10日19)SingerCMA,CAwhCCC,CSaddaCSCetal;HORIZONCStudyGroup:HORIZON:anCopen-labelCextensionCtrialCofCranibizumabforchoroidalneovascularizationsecondarytoage-relatedCmacularCdegeneration.COphthalmologyC119:C1175-1183,C201220)RofaghaCS,CBhisitkulCRB,CBoyerCDSCetal;SEVEN-UPStudyCGroup:Seven-yearCoutcomesCinCranibizumab-treatedpatientsinANCHOR,MARINA,andHORIZON:CaCmulticenterCcohortstudy(SEVEN-UP)C.COphthalmologyC120:2292-2299,C201321)MaguireCMG,CMartinCDF,CYingCGSCetal;ComparisonCofCAge-relatedCMacularCDegenerationCTreatmentsCTrials(CATT)ResearchGroup:Five-yearoutcomeswithanti-vascularendothelialgrowthfactortreatmentofneovascu-larCage-relatedCmaculardegeneration:theCcomparisonCofCage-relatedCmacularCdegenerationCtreatmentsCtrials.COph-thalmologyC123:1751-1761,C201622)大中誠之,髙橋寛二:抗CVEGF薬治療のストラテジー(特集加齢黄斑変性アップデート).眼科C58:1573-1584,C201623)StewartMW:IndividualizedCtreatmentCofCneovascularCage-relatedCmaculardegeneration:whatCareCpatientsCgaining?orlosing?JClinMedC4:1079-1101,C201524)OhnakaCM,CNagaiCY,CShoCKCetal:ACmodi.edCtreat-and-extendCregimenCofCa.iberceptCforCtreatment-naiveCpatientsCwithCneovascularCage-relatedCmacularCdegenera-tion.CGraefesCArchCClinCExpCOphthalmolC255:657-664,C2017C***

光線力学的療法を施行したラニビズマブ反応不良ポリープ状脈絡膜血管症7例

2013年2月28日 木曜日

《原著》あたらしい眼科30(2):276.281,2013c光線力学的療法を施行したラニビズマブ反応不良ポリープ状脈絡膜血管症7例井尻茂之杉山和久金沢大学医薬保健研究域視覚科学(眼科学)PhotodynamicTherapyforPolypoidalChoroidalVasculopathyRefractorytoRanibizumabShigeyukiIjiriandKazuhisaSugiyamaDepartmentofOphthalmologyandVisualScience,KanazawaUniversityGraduateSchoolofMedicalScience目的:ラニビズマブ硝子体内投与(IVR)に反応不良であったポリープ状脈絡膜血管症(PCV)7例に対し光線力学的療法(PDT)を施行したので治療経過を報告する.対象および方法:対象は,IVR単独治療を施行するも光干渉断層計(OCT)上反応不良にてPDTを施行し,PDT後6カ月以上経過観察できたPCV7例7眼である.6例は,導入期の連続3回投与後もOCTにて滲出性変化が悪化または残存したためIVR反応不良と判断した.1例は,維持期に再発した滲出性変化が計3回の投与後も残存したためIVR反応不良と判断した.7例ともポリープ状病巣は残存し,初回IVR時から視力またはOCT所見が経時的に悪化したためPDTを施行した.PDT後の平均観察期間は11.0±2.0カ月であった.PDT前後の視力,OCT所見,蛍光眼底造影所見,再治療,合併症について検討した.結果:7例中6例は,ポリープ状病巣が閉塞しPDT後6カ月までに滲出性変化の消失または改善を認めた.6例中3例は滲出性変化が再発し,3例中2例は残存異常血管網からの漏出に対しIVR単独で再治療を行い,2例とも1カ月後に滲出性変化は消失した.もう1例は,中心窩外に再発したポリープ状病巣に対し光凝固を施行し,光凝固3カ月後で滲出性変化は消失した.7例中1例は,ポリープ状病巣が閉塞せず滲出性変化も悪化した.再治療としてIVR併用PDTを施行したが,ポリープ状病巣および滲出性変化は残存した.本症例のみ,視力はPDT後3カ月までに悪化したが,最終的には全症例が維持または改善した.合併症については,1例のみPDT後に1乳頭径未満の出血性網膜色素上皮.離を生じたが,出血は自然吸収され最終観察時まで再治療なく視力を維持できた.結論:解剖学的にIVRに反応不良なPCVに対するPDTは有効であった.Purpose:Toreport7casesofpolypoidalchoroidalvasculopathy(PCV)thatunderwentphotodynamictherapy(PDT)becausetheywererefractorytointravitrealranibizumab(IVR)monotherapy.SubjectsandMethods:Weinvestigated7casesofPCVthatunderwentPDTbecausetheywererefractorytoIVRmonotherapy.Exudativechangesasevaluatedbyopticalcoherencetomography(OCT)increasedorremainedunchangedinallcases,despite3consecutivemonthlyIVRinjections.Themeanfollow-upperiod(±standarddeviation)afterPDTwas11.0±2.0months.Patientdataretrievedincludedbest-correctedvisualacuity(BCVA),OCTfindings,fluoresceinangiographicfindings,indocyaninegreenangiographic(IA)findings,re-treatmentsandcomplications.Results:IAperformedat3-monthintervalsafterPDTrevealeddisappearedpolypoidallesionsin6of7cases.ExudativechangesasevaluatedbyOCTdisappearedorresolvedby6monthsafterPDTinthese6cases,butrecurredin3ofthe6.In2ofthose3,recurringexudationswerethecauseofresidualbranchingvascularnetworkvessels.These2caseswerere-treatedwithIVR;theexudativechangeshadcompletelydisappearedat1monthafterre-treatment.Theothercasewasre-treatedwithphotocoagulation(PC)forrecurrentextrafovealpolypoidallesions;theexudativechangeresolvedby3monthsafterPC.Inoneofthe7cases,polypoidallesiononIAdidnotdisappearandexudativechangeonOCTgraduallyincreasedafterPDT.Thiscasewasre-treatedwithPDTcombinedwithIVR.Thepolypoidallesiondidnotdisappearafterre-treatment,andexudativechangeremained.BCVAdeterioratedat3monthsafterPDTin1casewithoutthepolypoidallesiondisappearing,butimprovedorwasmaintainedatfinalvisitsinall7cases.Hemorrhagicretinalpigmentepithelialdetachmentsmallerthan1discdiameter〔別刷請求先〕井尻茂之:〒920-8641金沢市宝町13番1号金沢大学医薬保健研究域視覚科学(眼科学)Reprintrequests:ShigeyukiIjiri,M.D.,DepartmentofOphthalmologyandVisualScience,KanazawaUniversityGraduateSchoolofMedicalScience,13-1Takara-machi,Kanazawa-shi920-8641,JAPAN276276276あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013(142)(00)0910-1810/13/\100/頁/JCOPY wasseenat1monthafterPDTin1case.Thehemorrhagedisappearednaturally,andvisualacuitywasmaintainedatfinalvisitwithoutre-treatment.Conclusion:PDTwaseffectiveforcasesofPCVthathadpooranatomicresponsetoIVRmonotherapy.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)30(2):276.281,2013〕Keywords:光線力学的療法,ラニビズマブ,ポリープ状脈絡膜血管症,滲出型加齢黄斑変性,光干渉断層計.photodynamictherapy,ranibizumab,polypoidalchoroidalvasculopathy,exudativeage-relatedmaculardegeneration,opticalcoherencetomography.はじめに滲出型加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)に対する抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)抗体であるラニビズマブ(ルセンティスR,ノバルティスファーマ)硝子体内注射(intravitrealranibizumab:IVR)は,2009年に臨床使用が開始され,現在AMD治療の主要な治療法として確立されている.国内外の臨床試験では,平均視力は投与開始後から急速に改善し,1カ月毎連続3回の導入期終了までにプラトーに達するという良好な結果である1.3).しかしながら,AMDに対するIVR単独治療には,約3割で解剖学的反応不良例が存在することが報告されており4,5),抗VEGF単独治療に抵抗性を示すAMDにはポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)や網膜色素上皮.離(retinalpigmentepithelialdetachment:PED)主体のoccult脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)例が多いことが報告されている6.8).実際の臨床でも導入期の投与に解剖学的に反応しない症例や,導入期の投与には反応したものの維持期での追加投与に反応が不良になってくる症例を経験し,近年,このようなIVR単独治療に抵抗性を示すAMD症例への対応が問題となってきている.IVR以外のAMDに対する治療としては,ベルテポルフィン(ビスダインR,ノバルティスファーマ)を用いた光線力学的療法(photodynamictherapy:PDT)があり,2004年にわが国で臨床使用が可能となっている.PDTは,IVR治療と比較し視力に関してはその長期成績は劣るものの1),解剖学的所見の改善や視力維持効果が多数報告されており,特にPCVで有効とされている9.12).近年,抗VEGF抗体の硝子体内注射単独治療に抵抗性を示すAMDに対するPDTの有効性が報告されている7).今回,筆者らはIVR単独治療を行うも光干渉断層計(OCT)にて解剖学的に改善が得られないためPDTを施行し,PDT後6カ月以上経過観察できたPCV7例の経過を報告する.I対象および方法対象は,2009年3月から2011年3月の間に,金沢大学附属病院眼科で初回治療としてIVR単独治療を施行するもOCT上反応不良にてPDTを施行し,PDT後6カ月以上経過観察できたPCV7例7眼である.PDT後の平均観察期間は11.0±2.0カ月であった.PCVの診断は,日本ポリープ状脈絡膜血管症研究会による診断基準の確実例を満たすものとした13).症例2を除く6例は,ラニビズマブ0.5mg/0.05mlを導入期として1カ月毎連続3回投与したにもかかわらず,OCTにて網膜下液(subretinalfluid:SRF)または漿液性PEDが悪化または残存したためIVR反応不良と判断した.症例2は,導入期の連続3回投与にてSRFは消失したが,維持期に再発したSRFが計3回の投与でも消失しなかったためIVR反応不良と判断した.7例ともインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyaninegreenangiography:IA)でIVR開始前に認めたポリープ状病巣はPDT前に増減なく残存し,初回IVR時から視力またはOCT所見が経時的に悪化したためPDTを施行した.各症例の治療前の背景を表1に示す.PDTは,標準の条件で施行した(ベルテポルフィンを体表面積当たり6mg/m2で10分かけて点滴静注,エネルギー50J/cm2,波長689nm,照射時間83秒).最大病変直径はIAで決定し,照射径は,病変最大直径に1mm(周囲に500μm)の縁取りをつけたものとした.全症例,PDT前とPDT後1カ月毎に小数視力(3mまたは5mで測定)とOCT(トプコン社製,3DOCT-1000MARKII)を測定し,PDT前とPDT後3カ月以降にフルオレセイン蛍光眼底造影(fluoresceinangiography:FA)およびIA(ハイデルベルグ社製,ハイデルベルグスペクトラリスHRA+OCTで撮影)を施行した.再治療は,初回PDT後3カ月以降にOCTにて滲出性変化の残存または悪化を認めた場合に施行した.再治療は,中心窩下にポリープ状病巣を認める場合にはPDTを施行し,中心窩外にポリープ状病巣を認める場合は網膜光凝固を施行した.ポリープ状病巣を認めず異常血管網のみから漏出している場合は,IVRを施行した.検討項目は,①視力およびOCT所見(PDT前,PDT1カ月後,3カ月後,6カ月後,最終観察時),②ポリープ状病巣閉塞の有無(PDT前とPDT3カ月以降に施行したIAを比較し評価),③再治療について,④合併症について,である.(143)あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013277 表1各症例のPDT前背景IVR前IVR前IVR最終IVR.PDT前PDT前PDT前のPDT前PDT前ポリPDT照射症例年齢(歳)・性BCVACFT(μm)回数PDT期間(月)BCVACFT(μm)OCT所見FA分類ープ状病巣径(μm)166・男性1.02403170.5295SRF,sPEDOccultsub4,800283・男性0.327862.50.5224SRFOccultsub6,000362・女性0.619336.00.8193sPEDOccultextra4,000466・男性0.823933.00.3557SRF,sPEDOccultsub,extra3,850573・男性0.635833.80.15422SRF,sPEDOccultsub4,200680・男性0.730632.30.7424SRFOccultsub,extra5,500767・女性0.817034.10.5147SRFOccultsub2,700PDT:photodynamictherapy,IVR:intravitrealranibizumab,BCVA(小数視力):bestcorrectedvisualacuity,CFT:centralfovealthickness,OCT:opticalcoherencetomography,SRF:subretinalfluid,sPED:serousretinalpigmentepithelialdetachment,FA:fluoresceinangiography,Occult:occultwithnoclassic,sub:subfovea,extra:extrafovea.表2各症例のPDT後の経過症例PDT前1MBCVA3M6M最終PDT前CFT(μm)1M3M6M最終ポリープ状病巣再治療合併症観察期間(月)10.50.60.30.50.7295*352*355*221*238*残存IVR併用PDTなし820.50.50.50.60.6224*175*153137132閉塞なしhPED1030.80.80.81.01.0193126107104135閉塞なしなし1240.30.30.30.70.6557*305*238215*241*再発光凝固なし1150.150.70.90.91.0422*173*188*151152閉塞IVR1回なし1360.70.80.90.90.7424*165*196166160閉塞IVR1回なし1370.50.60.70.90.9147*139150176156閉塞なしなし13PDT:photodynamictherapy,IVR:intravitrealranibizumab,BCVA(小数視力):bestcorrectedvisualacuity,CFT:centralfovealthickness,hPED:hemorrhagicretinalpigmentepithelialdetachment.*:光干渉断層計にてsubretinalfluidを認めるもの.II結果各症例のPDT後の経過を表2に示す.7例中6例(症例2,3,4,5,6,7)は,IAでポリープ状病巣が閉塞した.ポリープ状病巣が閉塞した6例のうち,PDT前にSRFのみを認めた3例(症例2,6,7)はPDT後3カ月までにSRFが消失した.PDT前に漿液性PEDのみを認めた症例3はPDT後1カ月で漿液性PEDは消失した.PDT前にSRFと漿液性PEDの両者を認めた2例のうち,症例5はPDT後1カ月までに漿液性PEDが,PDT後2カ月までにSRDが消失した.もう1例の症例4は,PDT後2カ月で一旦SRFは消失したが,PDT後6カ月でSRFが再発し,漿液性PEDは残存した.本症例は,IAでPDT前に認めた中心窩下のポリープ状病巣は閉塞していたが,中心窩外(異常血管網の末端)にポリープ状病巣が再発していた.再発したポリープ状病巣に対し光凝固を施行したところ3カ月後までにSRFは消失した.再治療については,症例5がPDT後3カ月で,症例6がPDT後11カ月でSRFが再発したが,IAではポリープ状病巣の再発は認めず異常血管網のみであった.2例ともIVRで再治療を行い,IVR1カ月後にSRFは消失した.症例1278あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013は,PDT後もSRFおよび漿液性PEDは悪化し,IAでもポリープ状病巣が残存した.再治療として初回PDTから4カ月後にIVR併用PDTを施行した(PDT7日前にIVR1回,PDT後2カ月後にIVRを2回連続施行).再治療後,SRFは減少し漿液性PEDは縮小したがいずれも残存し,ポリープ状病巣も閉塞しなかった.症例2,3,7は,初回PDT後SRFの再発は認めず,再治療は施行しなかった.視力については,ポリープ状病巣が残存しOCT所見が悪化した症例1のみPDT後3カ月までに悪化したが,最終的には全症例が維持または改善した.小数視力をlogarithmicminimumangleofresolution(logMAR)値に換算し,logMAR値0.3以上の変化を改善または悪化とすると,7眼中2眼(28.6%)が改善,7眼中5眼(71.4%)が不変であった.合併症については,症例2がPDT後1カ月時に中心窩下に1乳頭径未満の出血性PEDを認めた.PDT後6カ月までに出血は吸収され,ポリープ状病巣は閉塞し,最終観察時まで再治療なく視力を維持できた.全身的合併症は1例も認めなかった.代表例(症例7)を図1に示す.67歳女性で,中心窩下に橙赤色隆起性病巣を認め,IAで異常血管網とポリープ状病(144) BCDABCDA図1症例7(67歳,女性)A:PDT前のFA・IA同時撮影像(後期像).IAで中心窩下に異常血管網とポリープ状病巣を認めた.点線丸で病変最大長径を,実線丸で照射径(2,700μm)を示した.FAでは点状の漏出点を2カ所認めた.B:PDT前のOCT所見.中心窩下にノッチサインを伴う網膜色素上皮の隆起とSRFを認めた.C:PDT3カ月後のFA・IA同時撮影像(後期像).IAで異常血管網の縮小とポリープ状病巣の閉塞を認め,照射野に一致して低蛍光領域を認めた.FAでは蛍光漏出点は消失していた.D:PDT3カ月後のOCT所見.網膜色素上皮の隆起とSRFの消失を認めた.(145)あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013279 巣を認めた.導入期に連続3回のIVRを施行したがSRFは残存し,視力が徐々に低下するため最終IVRから4カ月後にPDTを施行した.PDT1カ月後の時点でSRFは完全に消失し,PDT3カ月後のIAで異常血管網の縮小とポリープ状病巣の閉塞を認めた.PDT後観察期間13カ月でOCT上滲出性変化の再発は認めず,視力は0.5から0.9に改善した.III考按AMDに対するIVR反応不良の治療前因子として,正らは61眼のAMD例を対象に検討を行い,年齢,男女比,治療歴,視力,病変最大直径,病型,FAによる病変タイプのすべての項目について滲出消失群(69%)と残存群(31%)に有意差を認めなかったと報告している5).一方,抗VEGF単独治療に抵抗性を示すAMDにはPCV例やPED主体のoccultCNV例が多いことが報告されている6.8).また,Koizumiらは,PCVに対するIVR反応不良の治療前因子として大きなポリープ状病巣とPEDの存在を報告している4).本報告におけるIVR反応不良PCV7例も,全例がFAでocculttypeのCNVであり,7例中4例で漿液性PEDを認めた.PCVでは抗VEGF単独治療よりも,PDTを併用したほうがポリープ状病巣の閉塞が得られやすいことが報告されている.Choらは,抗VEGF単独治療が無効のPCV9例に抗VEGF療法併用PDTを行い,8例(89%)がIAとOCTで完全寛解が得られたと報告している7).また,EVERESTstudyによると,PCVにおけるポリープ状病巣の完全閉塞率はIVR単独では28.6%,PDTを併用すれば77.8%,PDT単独でも71.4%である14).本報告でもPDTを施行することで,IVR単独では閉塞が得られなかったポリープ状病巣が7例中6例(85.7%)で閉塞した.AMDに対するPDTは長期的には再発が多いことが報告されている11,12,15).本報告でも7例中3例が再発し,再治療を必要としなかったのは2例のみであった.また,症例1は初回PDTが無効のため再治療としてIVR併用PDTを施行したが,ポリープ状病巣は閉塞せず滲出性変化が残存した.症例1は,PDT前の中心窩網膜厚や病変面積が他症例と比較し著しく大きくはなかったが,最終IVRからPDTまでの期間が顕著に長かった(症例1は17カ月,他症例は6カ月以内).今後は,長期的な再発を減らせるような治療法や,症例1のようなIVR単独にもPDT単独にもIVR併用PDTにも抵抗性を有するAMD例の治療法が課題である.PCVに対するPDT後の残存異常血管網からの漏出に対しては抗VEGF薬単独治療が有効との報告がある16,17).Saitoらは,残存異常血管網からの漏出に対する治療でIVR単独治療を施行した群はPDT単独を施行した群よりも視力予後が良好であったと報告している17).本報告でも,症例5と症280あたらしい眼科Vol.30,No.2,2013例6はポリープ状病巣が閉塞したが,PDT後3カ月以降に異常血管網からの漏出によるSRFの再発を認め,IVRを施行した.2例ともIVR後1カ月でSRFは完全に消失し,良好な視力を維持できた.PDT後に約4.5%の割合で重篤な視力低下をきたすという報告9)や,PDT後にVEGF産生が亢進するとの報告があること18)から,ポリープ状病巣が閉塞したあとの残存異常血管網からの漏出に対する再治療は,PDTではなく抗VEGF単独治療を行うべきと考えられる.AMDに対するPDTの国内臨床試験の結果に基づいて作成された日本版PDTガイドラインでは,治療前視力が0.5よりも良好な患者は12カ月後の視力が有意に低下していたという結果から,視力が0.5よりも良好な症例には「推奨」または「モニタリング」とされている19).本報告では,PDT前視力が0.5よりも良好な症例は2症例存在した(症例3が0.8,症例6が0.7).症例3は,中心窩下の漿液性PEDにより強い歪視の訴えがあったためPDTを施行した.症例6は,導入期中も最終IVR後も比較的急速にSRFが増加したため速やかにPDTを施行した.本報告のまとめとして,IVR反応不良PCV例にPDTを施行した.その結果,7例中6例はポリープ状病巣が閉塞し,OCT上滲出性変化の消失と視力の改善を認めた.解剖学的にIVRに反応不良なPCVに対するPDTは有効であった.文献1)BrownDM,MichelsM,KaiserPKetal;ANCHORStudyGroup:Ranibizumabversusverteporfinphotodynamictherapyforneovascularage-relatedmaculardegeneration:Two-yearresultsoftheANCHORstudy.Ophthalmology116:57-65,20092)RosenfeltPJ,BrownDM,HeierJSetal;MARINAStudyGroup:Ranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1419-1431,20063)TanoY,OhjiM;EXTEND-IStudyGroup:EXTENDI:safetyandefficacyofranibizumabinJapanesepatientswithsubfovealchoroidalneovascularizationsecondarytoage-relatedmaculardegeneration.ActaOphthalmol88:309-316,20104)KoizumiH,YamagishiT,YamazakiTetal:Predictivefactorsofresolvedretinalfluidafterintravitrealranibizumabforpolypoidalchoroidalvasculopathy.BrJOphthalmol95:1555-1559,20115)正健一郎,尾辻剛,津村晶子ほか:ラニビズマブ硝子体注射における反応不良例の検討.眼臨紀4:782-784,20116)ArosaS,MckibbinM:One-yearoutcomeafterintravitrealranibizumabforlarge,serouspigmentepithelialdetachmentsecondarytoage-relatedmaculardegeneration.Eye25:1034-1038,20117)ChoM,BarbazettoIA,FreundKB:Refractoryneovascularage-relatedmaculardegenerationsecondarytopoly(146) 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