《原著》あたらしい眼科35(3):399.409,2018cビマトプロスト点眼液(ルミガンR点眼液0.03%)の使用成績調査石黒美香*1北尾尚子*1末信敏秀*1川瀬和秀*2山本哲也*2*1千寿製薬株式会社研究開発本部育薬研究推進部*2岐阜大学大学院医学系研究科眼科学Post-marketingStudyofBimatoprostOphthalmicSolution(LUMIGANROphthalmicSolution0.03%)MikaIshikuro1),NaokoKitao1),ToshihideSuenobu1),KazuhideKawase2)andTetsuyaYamamoto2)1)MedicalScienceDepartment,SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.,2)DepartmentofOphthalmology,GifuUniversityGraduateSchoolofMedicineビマトプロスト点眼液(ルミガンCR点眼液C0.03%)の使用実態下における安全性,有効性の確認および問題点の検出などを目的として,ビマトプロスト点眼液が新たに投与された緑内障・高眼圧症患者を対象に,プロスペクティブな中央登録方式で使用成績調査を実施した.最長C24か月の観察において,副作用はC4,680例中C2,310例(49.36%)に認められ,おもな副作用は結膜充血C27.05%などの眼局所の事象であった.眼圧評価対象C4,396例における平均眼圧は投与開始時C18.8C±6.2CmmHgで,投与開始C1か月目以降のすべての観察時点において有意(p<0.0001)な下降を示し,24か月目の平均眼圧下降率はC18.2C±19.1%であった.また,いずれの病型においても投与C1か月目以降,有意な眼圧下降を示した.ビマトプロスト点眼液は副作用が一定程度発現するが,持続的な眼圧下降効果が認められ,有用な薬剤であると考えられた.Thisprospectivestudyaimstoevaluatethesafetyande.cacyoftopicalbimatoprost(LUMIGANCRCophthalmicsolution0.03%)onpatientswithglaucomaorocularhypertension(OH)C.Weenrolledpatientswhoreceivedanini-tialdoseofbimatoprost.Adversedrugreactions(ADRs)wereobservedin2,310outof4,680patientsduringthestudyperiod(upto24months).Oculareventssuchasconjunctivalhyperemia(incidencerate27.05%)comprisedtheCmajority.CMeanCintraocularCpressure(IOP)inC4,396CpatientsCwasC18.8C±6.2CmmHgCatCbaseline,Cdecreasingsigni.cantlyCatCallCobservationCpointsCafterC1Cmonth(p<0.0001)C.CAverageCIOPCreductionCrateCatC24CmonthsCwasC18.2±19.1%.CSigni.cantCIOPCreductionCwithCbimatoprostCwasCnotCassociatedCwithCanyCglaucomaCtypeCorCOH.CAlthoughsomeADRswereobservedwithitsuse,bimatoprostshowedsigni.canthypotensivee.ectinpersistent-ly.TheseresultssuggestthattopicalbimatoprostisanalternativetreatmentforglaucomaandOH.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C35(3):399.409,C2018〕Keywords:ビマトプロスト,ルミガンCR点眼液C0.03%,プロスタグランジン,安全性,有効性,眼圧.bimato-prost,LUMIGANRophthalmicsolution0.03%,prostaglandin,safety,e.cacy,intraocularpressure.はじめに緑内障治療の目的は視機能の維持であり,眼圧下降がエビデンスに基づく唯一の確実な治療法である1).1CmmHgの眼圧下降により緑内障性視野障害の進行リスクは約C10%低減する2).眼圧下降には,薬物治療,レーザー治療,観血的手術治療の選択肢があるが,通常は点眼薬による治療が開始される.すでに多くの緑内障治療点眼薬が存在するなかで,プロスタグランジン(prostaglandin:PG)関連薬は優れた眼圧下降効果を有し,全身性の副作用が少ないことから,第一選択薬として使用されている.国内では,1994年にイソプロピルウノプロストン点眼液が発売されて以降,ラタノプロスト点眼液,トラボプロスト点眼液,タフルプロスト点眼液が〔別刷請求先〕石黒美香:〒541-0048大阪市中央区瓦町C3-1-9千寿製薬株式会社研究開発本部育薬研究推進部Reprintrequests:MikaIshikuro,MedicalScienceDepartment,SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.,3-1-9,Kawara-machi,Chuo-ku,Osaka541-0048,JAPAN上市され汎用されており,PG関連薬による眼圧下降治療が視野障害進行の抑制に有効であったことがプラセボを対照としたランダム化比較試験により立証されている3).このように,眼圧下降を目的とした薬物治療は欠かせないものとなる一方で,薬剤の効果には個人差があり,PG関連薬を使用しても十分な眼圧下降が得られない,いわゆるノンレスポンダーが,いずれの薬剤においても一定の割合で存在することが知られている.2009年に発売されたビマトプロスト点眼液(ルミガンCR点眼液C0.03%,以下,本剤)は,新規に合成されたプロスタマイド誘導体で,強力な眼圧下降作用をもつCPG関連薬であり,緑内障治療における第一選択薬に新たな選択肢として加わった.一方,医薬品開発段階の臨床試験(治験)では,厳格なクライテリアに基づき患者が選択され,併用薬などについても厳格に管理されるが,臨床現場においては,年齢,合併症,併用薬など,さまざまな点で治験の様相と異なることから,治験で得られた情報だけでは十分とはいえず,市販後においても安全性,有効性の情報を収集・評価し,医療関係者へ提供することにより,適正使用の確保を図ることが重要となる.そこで今回,製造販売後の使用実態下における安全性,有効性の確認および問題点の検出などを目的として,2009年10月.2015年C12月まで使用成績調査(以下,本調査)を実施し,本剤の安全性および有効性(眼圧下降効果)について検討したので報告する.CI対象および方法1.調.査.方.法本調査は,本剤の使用経験のない緑内障・高眼圧症患者を対象とし,「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(厚生労働省令第C171号)に則り,プロスペクティブな中央登録方式で実施した.2009年C10月.2012年C11月の症例登録期間に,契約医療機関において新たに本剤を投与開始した症例について,投与開始日からC14日以内に中央登録センターにCFAXすることで症例登録した.目標症例数は投与開始後C1年を超える経過観察症例として3,000例,観察期間は原則C12か月以上,最長C24か月とし,投与開始日からC3か月目,12か月目およびC24か月目までの3分冊の調査票を各観察期間終了後に回収した.調査項目は,性別,年齢,病型,合併症,本剤の投与状況,前治療薬(本剤投与前C1か月以内に使用した薬剤),併用薬,併用療法(薬物以外の療法),臨床経過(他覚所見,眼科検査),有害事象,有効性評価などとし,他覚所見および眼科検査には,結膜充血スコア,角膜フルオレセイン染色スコア,眼瞼色素沈着/虹彩色素沈着/睫毛異常の有無と推移,視力値,眼圧値,視野障害の進行有無を設定して,イベント発生を検出した.また,有害事象が発現し本剤投与を中止または終了した症例は,原則C6か月後に回復性(転帰)を確認した.なお,本調査は介入を行わない観察研究であるため,治療歴,併用する薬剤および療法,眼科検査の測定機器や測定方法などに制限は設けなかった.本調査は,医薬品医療機器総合機構による調査計画書の審査を経て,実施されたものである.C2.評.価.方.法安全性の評価対象は,投与開始以降C3か月目までに再来院のあった症例とした.本剤投与中あるいは投与後に発現した医学的に好ましくない事象(疾患,自他覚症状,臨床検査値の異常変動)を有害事象として収集し,そのうち本剤との因果関係を否定できないと判断されたものを副作用として取り扱った.副作用は,ICH国際医薬用語集日本語版(MedicalDictionaryCforCRegulatoryCActivities/J:MedDRA/J)ver-sionC20.0に基づき下層語にて分類し,発現数および発現頻度を算出した.また,重篤な副作用を検討した.主要な副作用については,1か月目,2か月目,3か月目,6か月目,12か月目およびC24か月目時点における累積発現率ならびに発現症例における本剤中止率を検討した.さらに,PG関連薬の特徴的な副作用であるくぼんだ眼(deepeningofuppereyelidsulcus:DUES)について,発現ならびに本剤中止後の転帰に影響を及ぼす患者背景等因子を探索するため,Cox比例ハザードモデルによる多変量解析で検討し,ハザード比およびC95%信頼区間を求めた.転帰は,担当医師による,回復,軽快,未回復,回復したが後遺症あり,死亡および不明のC6区分での判定とした.眼圧下降効果の評価は,安全性評価対象症例のうち,投与開始時および投与後C24か月目までにC1時点以上の眼圧が測定された症例を対象に,眼圧の推移を検討した.評価眼はC1症例C1眼とし,両眼投与の場合は投与開始時の眼圧が高い眼,開始時眼圧が同値の場合は右眼とした.ただし,投与期間中に眼手術を施行した眼は除外し,休薬期間がある場合は休薬前まで,中止症例は中止時までの眼圧値を評価対象とした.眼圧の推移は,眼圧評価対象全例に加え,病型別,治療薬の使用状況別,開始時眼圧値別にも検討した.眼圧および眼圧下降率は平均±標準偏差を算出し,投与開始時と各経過観察時の眼圧を,Dunnett型の多重性調整を行った対応のあるCt検定で比較した.なお,眼圧下降率は,(開始時眼圧C.投与後眼圧)/開始時眼圧C×100(%)として算出した.統計解析は,本調査計画に則り株式会社CCACクロアで実施した.副作用の発現と転帰に影響を及ぼす因子の検討(Cox比例ハザードモデルによる多変量解析)については,解析計画策定以降に検討の必要があると判断し,千寿製薬にて追加解析を行った.統計解析ソフトはCSASC9.2およびSAS9.3(SASInstituteInc.)を用い,有意水準は両側5%とした.CII結果1.症.例.構.成528施設C1,288名の医師と契約締結し,504施設からC5,083例の調査票を収集した.このうち初診時以降に再来院がなかった症例などのC403例を除いたC4,680例を安全性評価対象症例,さらに,4,396例を眼圧評価対象症例とした(図1).C2.患.者.背.景安全性評価対象症例の患者背景を表1に示した.男性48.1%,女性C51.9%,平均年齢C67.9C±12.8歳,病型(担当医師に基づく診断名)は,狭義の原発開放隅角緑内障(primaryopenCangleCglaucoma:POAG)42.9%,正常眼圧緑内障(normalCtensionCglaucoma:NTG)37.4%,原発閉塞隅角緑内障(primaryCangleCclosureCglaucoma:PACG)4.0%,続発緑内障(secondaryCglaucoma:SG)6.5%,高眼圧症(ocu-larhypertension:OH)4.6%で,原発開放隅角緑内障(広義)がC80.3%を占めた.本剤投与前に緑内障治療点眼薬を使用していた症例は58.9%(2,758/4,680例)で,2,422例がCPG関連薬で前治療を行っており,そのうち,53.7%(1,301例)がラタノプロストからの切替え症例であった.一方,点眼治療をしていなかった症例はC39.1%であった.また,投与期間中にC43.4%の症例で他の緑内障治療点眼薬が併用された.平均投与期間はC491.7C±270.7日で,12か月(360日)以上投与された症例はC67.2%(3,143/4,680例)であった.1,859例において,24か月目までの観察期間中に投与中止または終了したことが報告され,中止理由の内訳は「転院または来院なし」45.6%(847例)「有害事象」31.8%(591例),「効果不十分」11.7%(217例),などであった(表2).C3.安全性安全性評価対象症例C4,680例のうち,49.36%(2,310例)に副作用が認められた(図1).発現率C0.1%以上の副作用は表3に示したとおりで,主要な副作用は,結膜充血C1,266件,眼瞼色素沈着C704件,睫毛の成長C655件,点状角膜炎および虹彩色素過剰が各C376件,DUES163件,睫毛剛毛化C158件,角膜びらんC157件,眼圧上昇C129件などの眼局所における事象であった.重篤な副作用としては,眼圧上昇C13件,視力低下C2件,角膜びらん,水疱性角膜症,白内障,白内障増悪,ぶどう膜炎,網膜静脈分枝閉塞,網膜中心静脈閉塞,ポスナー・シュロスマン症候群,前立腺癌,うつ病の増悪,脳梗塞およびてんかん各C1件が認められた.3.0%以上認められた副作用について,初発発現時期ならびに発現症例における本剤中止率を表4に示した.結膜充血のC59.4%が投与後C1か月目までに発現し,3か月目までには,眼瞼色素沈着,睫毛の成長,点状角膜炎,睫毛剛毛化,および角膜びらんの約C50%が発現した.投与を中止または終了した症例は,結膜充血の発現例でC44.6%(565/1,266例),眼瞼色素沈着の発現例でC39.2%(276/704例),睫毛の成長の発現例でC31.9%(209/655例),点状角膜炎の発現例で37.5%(141/376例),虹彩色素過剰の発現例でC30.3%(114/376例),DUES発現例でC74.8%(122/163例),睫毛剛毛化の発現例でC29.1%(46/158例),および角膜びらん発現例でC38.9%(61/157例)であった.DUES発現例で中止率が高く,このうち「有害事象」を理由として投与中止された割合はC70.6%(115/163例)であった.また,122例の投与中止例のうち,72.1%(88例)でCDUESの回復・軽快が確認され,最長C775日の追跡調査における未回復の割合は15.6%(19例)であった.DUESの発現ならびに本剤中止後の転帰(回復・軽快)に影響を及ぼす患者背景等因子について,Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析での検討結果を表5および表6に示した.発現への影響が想定される因子として,性別,年齢,全身性の主要合併症(高血圧,糖尿病および高脂血症)の有無,前治療CPG関連薬の有無を検討項目とし,一方,転帰に関しては,本剤投与期間も検討因子とした.DUES発現に関連する因子として,女性(ハザード比2.40,p<0.0001),糖尿病(ハザード比0.50,p=0.0298),および前治療CPG関連薬(ハザード比C0.50,p<0.0001)に有意差を認め,DUESの回復・軽快に関連する因子としては,本剤投与期間(ハザード比C0.81,p=0.0010)に有意差を認めた.C4.眼圧下降効果眼圧評価対象症例C4,396例の投与開始時の眼圧(平均C±標準偏差)は,18.8C±6.2CmmHgであった.開始時以降C24か月目までの眼圧推移は図2に示したとおりであり,投与開始C1か月目以降すべての経過観察時点において,投与開始時に比べ有意な眼圧下降を認め(p<0.0001),24か月目の眼圧は表1患者背景患者背景項目症例数(%)男性2,249(C48.1)性別女性2,430(C51.9)調査不能1(0C.0)年齢(投与開始時)病型(本剤投与眼)投与期間40歳未満40歳以上C65歳未満65歳以上C75歳未満75歳以上平均値±標準偏差C最小.最大緑内障POAG(狭義)NTGPACGSGその他の緑内障OHその他(複数の使用理由を含む)30日未満30日以上C60日未満60日以上C90日未満90日以上C180日未満180日以上C360日未満360日以上C540日未満540日以上C720日未満720日以上不明平均値±標準偏差C145(3.1)1,477(31.6)1,475(31.5)1,583(33.8)67.9±12.811.984,260(91.0)2,008(42.9)C1,752(37.4)C185(4.0)C306(6.5)9(0.2)C216(4.6)204(4.4)1,577(33.7)3,103(66.3)3,281(70.1)1,399(29.9)70(1.5)3,869(82.7)741(15.8)68(1.5)3,874(82.8)738(15.8)1,798(38.4)2,340(50.0)542(11.6)1,094(23.4)1,328(28.4)336(7.2)1,829(39.1)93(2.0)1,301(53.7)531(21.9)520(21.5)70(2.9)あり2,032(43.4)なし2,648(56.6)443(9.5)4,212(90.0)25(0.5)225(4.8)228(4.9)214(4.6)420(9.0)450(9.6)376(8.0)1,614(34.5)1,153(24.6)0(0.0)491.7±270.7眼手術歴(本剤投与眼)合併症(眼疾患)合併症(肝疾患)合併症(腎疾患)合併症(その他の疾患)本剤投与前の緑内障点眼治療本剤へ切替え前のPG関連薬(多剤併用を含む)緑内障治療の併用点眼薬(本剤投与眼)併用療法(非薬物療法)ありなしありなしありなし不明ありなし不明ありなし不明PG関連薬(配合剤を含む)PG関連薬+PG関連薬以外PG関連薬以外前治療なし不明他ラタノプロスト(配合剤を含む)トラボプロスト(配合剤を含む)タフルプロストイソプロピルウノプロストンありなし不明POAG:原発開放隅角緑内障,NTG:正常眼圧緑内障,PACG:原発閉塞隅角緑内障,SG:続発緑内障,OH:高眼圧症,PG:プロスタグランジン.402あたらしい眼科Vol.35,No.3,2018(120)表2投与中止理由表3副作用発現状況(0.1%以上発現した副作用)中止理由症例数*構成比(%)転院または来院なしC847C45.6有害事象C591C31.8効果不十分C217C11.7その他C180C9.7複数の理由C24C1.3計C1,859C100.0*両眼投与例では,両眼ともに中止した症例.14.4±3.9CmmHg,眼圧下降率(平均C±標準偏差)はC18.2C±19.1%であった.病型別では,POAG,NTG,PACG,SG,OHのいずれにおいても,投与開始C1か月目以降のすべての観察時点で有意に眼圧が下降し,24か月目の下降率はC15.7.24.7%であった(図3).緑内障治療点眼薬の使用状況別の眼圧推移は,図4に示したとおりであり,点眼前治療がなく観察期間中を通して本剤単剤が投与された新規単剤投与群,PG関連薬から本剤単剤への切替え群,Cb受容体遮断薬(以下,Cb遮断薬)単剤から本剤単剤への切替え群,ならびにCb遮断薬への本剤単剤追加群において,各観察時点の眼圧は有意に下降した.24か月目の眼圧下降率は,新規単剤投与群およびCb遮断薬単剤から本剤単剤切替え群でC23.4%,Cb遮断薬への本剤単剤追加群でC22.5%,PG関連薬から本剤単剤切替え群で13.8%であった.さらに新規単剤投与症例を投与開始時の眼圧値別に検討したところ,開始時眼圧が20mmHg以上,15CmmHg以上C20CmmHg未満およびC15CmmHg未満のいずれの症例群でも,投与開始C1か月目以降すべての観察時点で有意な眼圧下降を示し,開始時眼圧が高い症例ほど眼圧下降率が高い傾向を認めた(図5).新規単剤投与症例において,投与開始後C1か月目の眼圧下降率がC10%未満であった症例はC181例(15.7%)存在した.病型別ではCNTGおよびCOH,開始時眼圧別では開始時眼圧の低い症例群ほど,眼圧下降率C10%未満の割合が高かった(表7).CIII考按本調査は,本剤の販売開始に伴いC2009年C10月.2015年12月に実施し,全国の医療機関より安全性評価対象症例としてC4,680例,眼圧評価対象症例としてC4,396例を集積した.24か月の観察において副作用は,安全性評価対象C4,680例中C2,310例C49.36%と高頻度に認められた.副作用発現件数はC4,635件であり,そのうちC4,586件C98.9%が眼局所の副作用であった.PG関連薬は全身性の副作用が少ない反面,眼局所に特徴的な副作用が発現する.PG関連薬の代表的な眼局所副作用として,結膜充血,眼瞼や虹彩の色素沈着,睫(121)C副作用の種類発現数(%)眼局所の副作用C4,586結膜充血1,266(27.05)眼瞼色素沈着704(15.04)睫毛の成長655(14.00)点状角膜炎376(8.03)虹彩色素過剰376(8.03)くぼんだ眼(DUES)163(3.48)睫毛剛毛化158(3.38)角膜びらん157(3.35)眼圧上昇129(2.76)睫毛乱生56(1.20)眼そう痒症49(1.05)眼乾燥40(0.85)眼刺激36(0.77)眼瞼炎28(0.60)眼痛28(0.60)結膜炎27(0.58)眼の異物感25(0.53)視力低下24(0.51)アレルギー性結膜炎18(0.38)眼の違和感18(0.38)眼瞼の多毛症17(0.36)眼の異常感13(0.28)白内障12(0.26)眼精疲労11(0.24)霧視11(0.24)眼瞼皮膚炎10(0.21)眼瞼紅斑10(0.21)黄斑浮腫10(0.21)眼瞼そう痒症10(0.21)眼瞼浮腫9(0.19)眼瞼縁炎9(0.19)眼乾燥感8(0.17)糸状角膜炎8(0.17)白内障増悪7(0.15)結膜下出血7(0.15)眼脂5(0.11)*麦粒腫5(0.11)虹彩炎5(0.11)乾性角結膜炎5(0.11)ぶどう膜炎5(0.11)その他(<0.10%)C76眼局所以外の副作用C49頭痛6(0.13)その他(<0.10%)C43*:添付文書の「使用上の注意」から予測できない副作用(2015年C7月改訂の添付文書に基づく)毛の伸長・増加,prostaglandinCassociatedCperiorbitopathy(PAP)などが報告されており4),本剤にも含有される防腐剤のベンザルコニウム塩化物の長期曝露により,角膜上皮障害が生じることも知られている.本調査で認められた主要な副表4副作用発現時期と中止率累積発現率*(%)有害事象を副作用の種類発現数中止率(%)理由とする1か月2か月3か月6か月12か月24か月中止率(%)結膜充血C1,266C59.4C72.3C81.2C91.4C96.3C100.0C44.6C24.5眼瞼色素沈着C704C17.8C34.2C52.0C74.3C88.1C100.0C39.2C25.3睫毛の成長C655C10.8C27.3C46.9C73.1C89.6C100.0C31.9C16.2点状角膜炎C376C24.0C37.6C49.9C65.9C84.8C100.0C37.5C17.6虹彩色素過剰C376C13.4C25.5C39.4C67.3C85.3C100.0C30.3C11.7CDUESC163C16.0C21.8C36.5C59.6C76.3C100.0C74.8C70.6睫毛剛毛化C158C17.9C35.9C51.3C73.7C93.6C100.0C29.1C14.6角膜びらんC157C26.8C40.1C52.9C71.3C89.8C100.0C38.9C21.0*:発現時期不明の症例を除外して算出.表5Cox比例ハザードモデル分析によるDUES発現に影響する因子の検討因子リファレンスハザード比95%信頼区間p値性別男性C2.401.64.3.50<0.0001年齢連続量(10歳あたり)C1.060.92.1.21C0.4389高血圧なしC1.130.75.1.69C0.5702糖尿病なしC0.500.27.0.94C0.0298高脂血症なしC1.140.61.2.16C0.6781前治療(PG関連薬)なしC0.500.35.0.70<0.0001表6Cox比例ハザードモデル分析によるDUESの回復・軽快に影響する因子の検討因子リファレンスハザード比95%信頼区間p値性別男性C0.670.38.C1.16C0.1484年齢連続量(1C0歳あたり)C1.010.81.C1.25C0.9481高血圧なしC1.240.64.C2.41C0.5180糖尿病なしC0.930.28.C3.07C0.8987高脂血症なしC0.970.36.C2.66C0.9591前治療(PG関連薬)なしC0.630.39.C1.04C0.0699本剤投与期間連続量(9C0日あたり)C0.810.71.C0.92C0.0010C作用は,結膜充血C27.05%,眼瞼色素沈着C15.04%,睫毛の成長C14.00%,点状角膜炎C8.03%,虹彩色素過剰8.03%,DUES3.48%,睫毛剛毛化C3.38%,角膜びらんC3.35%などであり,おおむね既報と同様であった.重篤な副作用がC27件あったが,そのうち眼圧上昇および視力低下については,半数において効果不十分によるものと判定されており,原疾患の進行によるものと推察された.また,その他の重篤事象も含め,投与後の発症あるいは判定不能などの理由により,因果関係を否定されなかったものが大部分であり,本剤との関連性が明確な事象は少なかった.投与開始からの初発時期は,結膜充血の約C60%がC1か月目まで,眼瞼色素沈着,睫毛の成長,点状角膜炎,睫毛剛毛化および角膜びらんの約C50%がC3か月目までに認められた.虹彩色素過剰およびCDUESを含めた主要な眼局所の副作用において,累積発現率はC6か月目までに約C60%以上を示し,以降C24か月目まで経時的に発現率が上昇していることから,投与期間中を通じた観察が重要であり,とくに投与早期は注意深く経過観察する必要があると考えられる.24か月目までにC1,859例と多数の症例で本剤の投与中止・終了が報告され,その中止理由の内訳は「転院または来院なし」(847例)がもっとも多く,ついで「有害事象」(591例)が多かった.「転院または来院なし」では,そのC41.0%(347例)がC3か月目までの投与開始早期に中止となっていた.また,847例中C444例が本剤投与前に緑内障の点眼治療を行っていない新規症例であり,新規症例で投与早期に来院が途絶えた割合が高かった.来院が途絶えた真の理由は定かではないが,自己判断で中止した症例の存在が推察され,患者自身が本剤による治療の必要性を理解し納得したうえで治療を継3025201510眼圧(mmHg)0開始時12369121518212424か月目経過観察期間(月)眼圧下降率n=(4,396)(3,412)(2,731)(3,420)(2,680)(2,799)(2,191)(2,130)(2,015)(1,812)18.2±19.1%(2,795)*:p<0.0001(vs開始時)図2眼圧評価対象全例の眼圧推移30252015100眼圧(mmHg)POAG(1,981)(1,542)(1,276)(1,278)(1,604)(1,278)(1,336)(1,048)(1,004)(964)(868)経過観察期間(月)24か月目眼圧下降率19.4±19.9%NTG(1,704)(1,310)(1,076)(1,008)(1,291)(1,000)(1,037)(828)(816)(757)(703)15.7±16.5%PACG(170)(139)(106)(109)(127)(97)(108)(85)(82)(78)(66)17.2±25.2%SG(303)(249)(205)(198)(227)(177)(173)(130)(127)(123)(86)24.7±23.2%OH(217)(156)(120)(125)(156)(119)(131)(91)(92)(83)(83)21.0±17.1%*:p<0.0001(vs開始時)図3病型別の眼圧推移30252015100眼圧(mmHg)新規単剤(1,443)(846)(1,020)(744)(760)(588)(563)(555)(494)(1,151)(797)PG関連薬/開始時12369121518212424か月目経過観察期間(月)眼圧下降率23.4±16.3%本剤切替えb遮断薬/本剤切替えb遮断薬に本剤追加(850)(624)(530)(545)(653)(522)(529)(422)(416)(363)(339)13.8±17.6%(100)(79)(59)(62)(67)(50)(55)(38)(37)(35)(33)23.4±13.5%(48)(33)(37)(26)(34)(32)(32)(23)(26)(22)(21)22.5±17.4%*:p<0.0001,††:p<0.001(vs開始時)図4緑内障治療点眼薬の使用状況別の眼圧推移3025開始時123691215182124眼圧(mmHg)201510020mmHg以上(549)(430)(296)(302)(388)(280)(296)(218)(212)(210)(182)15mmHg以上経過観察期間(月)24か月目眼圧下降率31.6±14.9%(565)(455)(346)(302)(412)(297)(303)(237)(232)(227)(203)20.6±13.9%20mmHg未満15mmHg未満(329)(266)(204)(193)(220)(167)(161)(133)(119)(118)(109)14.8±16.7%*:p<0.0001(vs開始時)図5開始時眼圧値別の眼圧推移(新規単剤投与症例)表7新規単剤投与症例の1か月目の眼圧下降率眼圧(mmHg)眼圧下降率眼圧下降率開始時1か月目(%)10%未満新規単剤投与全例C18.7±5.8C13.7±3.7C24.7±15.815.7%(C181/1,151)病型CPOAGC21.8±5.0C15.5±3.6C28.3±15.111.0%(C41/372)CNTGC15.5±2.8C12.1±2.5C21.2±14.418.8%(C120/638)CPACGC20.3±4.9C14.3±3.5C26.3±12.213.0%(C3/23)CSGC27.6±9.7C15.6±5.3C38.6±21.29.8%(C5/51)COHC24.6±4.3C17.6±4.4C28.1±19.118.8%(C12/64)開始時眼圧20CmmHg以上C24.4±5.0C16.3±3.8C32.1±15.47.2%(C31/430)15CmmHg以上C20CmmHg未満C16.8±1.4C13.0±2.4C22.6±13.415.4%(C70/455)15CmmHg未満C12.5±1.5C10.5±2.2C16.5±15.430.1%(C80/266)続し,経過観察のために定期的に受診すること,すなわちアドヒアランス改善の必要性が示唆された.「有害事象」を理由に中止した症例においては,1か月目までの中止がC171例(28.9%)と突出して多く,このうちC109例が結膜充血の発現症例であった.すなわち,投与開始早期に好発する結膜充血を理由に治療から脱落する症例が多いことが示唆された.一方,副作用発現例について述べると,結膜充血および眼瞼色素沈着を発現した症例では,約C25%が有害事象を理由に本剤を中止した.結膜充血は点眼開始時にとくに強く,投与継続により症状が軽減することが多い.Arcieriらは,ラタノプロスト,ビマトプロストおよびトラボプロストの投与群で,結膜充血スコアは投与C1週間後に有意に上昇し,15日後に最大となり,1か月後に低下しはじめたと報告している5).また,眼瞼色素沈着は洗顔前に点眼することで発現を抑制できる可能性がある.したがって,治療開始時に患者への副作用の説明や点眼指導を十分に行うことにより,有害事象による脱落を低減できる余地があると考える.日本人のCDUES発現頻度は,投与前後の写真を比較した結果によると,ビマトプロストのC1.6か月投与でC44.60%6),3か月以上投与でC60%7)と報告されているが,本調査ではC3.48%であり大きく乖離していた.その要因として,治験時の発現頻度がC2.17%(7/323例)であり,調査開始当時は現在と比較しCDUESの認知度が低かったこと,ならびに脱落症例が多かったことが考えられた.また,患者自身による自覚と写真による客観的判定とは一致率が低く7),自覚できないほど軽度の変化も写真では検出されることから,写真判定による緻密な評価を調査項目としなかったことが発現率の乖離にもっとも強く影響したと考えられた.Aiharaらは,ラタノプロストからビマトプロストへ変更した症例でCDUES発現群と非発現群の背景因子を比較した結果,高年齢および非近視眼でCDUESの発現頻度が高く,性別および眼圧下降値は関連がなかったと報告している6).今回,DUES発現に影響する因子の検討において,性別,糖尿病の有無,前治療CPG関連薬の有無に有意差があった.一方,DUESの回復・軽快に関連する有意な因子は,本剤投与期間のみであった.女性の発現リスクが男性のC2.4倍であった結果は既報と相違していたが,写真判定をしていないこと,およびCDUESが美容的な副作用であることを勘案すると,美容上の変化に敏感な女性における自覚症状の訴えが強く反映された可能性がある.また,糖尿病症例はCDUES発現のハザード比が低かった.糖尿病患者は概してCBMIが高いため,眼瞼の変化が不明瞭であった可能性や,糖尿病治療薬の使用による影響などが推察されるが,当該症例群に関する周辺情報の収集が不十分であり,詳細を検討することはできなかった.前治療CPG関連薬の使用例では発現リスクが低下し,回復・軽快のハザード比も,有意差はないが低い傾向にあった.前治療にCPG関連薬を使用していた症例のなかには,認識の有無にかかわらず,本剤開始時点ですでに眼瞼の変化が出現していた症例が存在し,本剤投与後の眼瞼の変化量が小さかったことにより,DUES検出率が低下した可能性が考えられた.ただし,いったんイベントと判断される変化が生じたときは,PG関連薬の非使用例よりも回復しづらいと推察される.本剤中止後にはCDUESのC72.1%が回復・軽快したが,本剤投与期間についての回復・軽快のハザード比はC0.81であり,投与の長期化に伴い回復しづらくなる傾向が示唆された.なお,中止後の使用薬剤は調査しておらず,その関連は不明であった.前治療CPG関連薬の有無別での副作用発現率は,結膜充血20.89%およびC34.32%,眼瞼色素沈着C12.72%およびC18.01%,虹彩色素過剰C6.36%およびC10.02%,睫毛の成長C11.81%およびC16.81%,睫毛剛毛化C2.81%およびC4.06%,睫毛乱生C0.70%およびC1.71%であり,いずれの事象も前治療にCPG関連薬を使用した症例,すなわち他のCPG関連薬からの切替え例で発現率が低かった.ラタノプロスト治療後にビマトプロストを投与した集団で,結膜充血の発現が有意に低かった報告8)があり,本調査でも結膜充血は同じ傾向であった.また,結膜充血を含めこれらの事象はCPG関連薬の代表的副作用であり,発現に対する前治療CPG関連薬の影響は,前述のDUESと同様であると思われた.ビマトプロストの長期投与時の眼圧下降効果は,これまでに複数報告されている.投与前眼圧C25.0CmmHgの患者で点眼C24か月の眼圧下降値がC7.8CmmHg9),新たにCPOAGと診断され,投与前眼圧C24.7CmmHgの患者でC2年後の眼圧下降率がC32.0%10),投与前眼圧C16.7CmmHgのCNTG患者でC24か月後の眼圧下降率がC18.6%11),ラタノプロストで効果不十分なためビマトプロストに変更した,投与前眼圧が右眼C23.1mmHg,左眼C22.3CmmHgの患者では6.24か月後の眼圧下降率が右眼C17.8.22.0%,左眼C15.0.24.0%12)であり,いずれの報告もC24か月以上の長期にわたり眼圧下降効果が認められたことを示しているが,200例未満を対象とした評価結果であった.今回,眼圧評価対象C4,396例における眼圧下降効果を検討したところ,開始時眼圧はC18.8CmmHgで,投与開始C1か月目以降のすべての観察時点で有意に眼圧が下降し,24か月目の眼圧下降率はC18.2%であった.病型別,緑内障治療点眼薬の使用状況別,ならびに新規単剤投与症例の投与開始時の眼圧値別で眼圧推移を検討した結果,いずれも有意な眼圧下降を認め,緑内障病型や開始時眼圧を問わず,他の緑内障治療点眼薬からの切替えおよび併用でもC24か月目まで眼圧下降効果は継続した.なお,治療効果を判定するには無治療時の眼圧を把握することが重要であり,無治療時の眼圧が低いほど目標眼圧を低く設定1)し治療が進められる.すなわち,本調査において,とくに新規単剤投与で投与開始時C15CmmHg未満の症例においても,1か月後に有意な眼圧下降が認められたことの意義は大きい.本調査では,ウノプロストンもCPG関連薬として取り扱った.また,PG関連薬とCPG関連薬/Cb遮断薬配合剤とを明確に区別することができなかった.よって,緑内障治療点眼薬の使用状況別の検討における「PG関連薬から本剤単剤への切替え」群の眼圧推移は,ウノプロストンからの切替え症例およびCPG関連薬/Cb遮断薬配合剤からの切替え症例を含む結果である.また,Cb遮断薬から本剤へ切替えた群と本剤を追加した群とのC24か月目の眼圧下降率が同程度であったが,両群の患者背景などに相違があったためと推察された.新規単剤投与症例では,投与開始C1か月目において眼圧下降率C10%未満の症例がC15.7%あり,その割合は,病型別ではCNTGおよびCOH,開始時眼圧別では開始時眼圧が低い症例群で高い傾向が認められた.PG関連薬のノンレスポンダーを検討した報告では,眼圧下降率C10.0%未満をノンレスポンダーと定義した場合,ラタノプロストのC1.6か月投与でC14.3.20.9%13,14),タフルプロストのC12.48週投与で12.8.18.2%15)であったとされ,直接比較はできないが,本剤においてもノンレスポンダーは同程度存在することが推察された.しかしながら,ノンレスポンダーの定義は明確ではなく,1か月目の眼圧下降率のみで判定することは困難であり,アドヒアランス不良の可能性などもあることから,判定にはさらなる検討が必要である.緑内障は慢性に経過する進行性の疾患であり,視野障害の進行を抑制するためには,長期間にわたって眼圧を良好にコントロールする必要がある.今回の検討結果は,前治療の効果や反応性,薬剤変更によるアドヒアランスの向上,目標眼圧が達成された症例のみが評価された可能性など,さまざまなバイアスの存在が考えられるものの,本剤投与によりC24か月にわたって一定の持続的な眼圧下降が認められ,新規単剤投与例でのC24か月目の眼圧下降率がC23.4%であったことは,視野維持への寄与が十分に期待できる結果と考えられる.また,緑内障薬物治療の原則は必要最小限の薬剤と副作用で最大の効果を得ること1)であり,単剤での治療をめざすため,ノンレスポンダーを含め効果が不十分な場合,薬剤耐性が生じた場合は,他の薬剤への変更が検討されることとなる.本調査でCPG関連薬からの切替え症例においても有意な付加的眼圧下降が認められたことから,他のCPG関連薬の投与症例で薬剤変更が必要となった場合にも,本剤は有用な選択肢となると考えられた.一方で,副作用が高頻度に発現することが改めて確認された.副作用の種類はおおむね従来の報告から推定される範囲にあると判断されるが,主要な副作用の発現例ではC29.1.74.8%が投与中止に至っており,投与に際しては引き続き注意深く経過観察を行い,眼圧下降と副作用のバランスを図りながら総合的に投与継続の可否を判断する必要があると考える.謝辞:本調査にご協力を賜り,貴重なデータをご提供いただきました全国の先生方に,深謝申し上げます.利益相反:本稿は,千寿製薬株式会社により実施された使用成績調査結果に基づき報告された.石黒美香,北尾尚子,末信敏秀は千寿製薬株式会社の社員である.文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第C3版).日眼会誌116:3-46,C20122)LeskeCMC,CHeijlCA,CHusseinCMCetCal:FactorsCforCglauco-maCprogressionCandCtheCe.ectCofCtreatment:theCearlyCmanifestCglaucomaCtrial.CArchCOphthalmolC121:48-56,C20033)Garway-HeathDF,CrabbDP,BunceCetal:LatanoprostforCopen-angleCglaucoma(UKGTS):aCrandomised,Cmulti-centre,Cplacebo-controlledCtrial.CLancetC385:1295-1304,20154)地庵浩司,木内良明:プロスタグランジン関連薬の臨床.眼科C58:1435-1440,C20165)ArcieriCES,CSantanaCA,CRochaCFNCetCal:Blood-aqueousCbarrierCchangesCafterCtheCuseCofCprostaglandinCanaloguesinCpatientsCwithCpseudophakiaCandCaphakia:aC6-monthCrandomizedtrial.ArchOphthalmolC123:186-192,C20056)AiharaM,ShiratoS,SakataR:IncidenceofdeepeningoftheCupperCeyelidCsulcusCafterCswitchingCfromClatanoprostCtobimatoprost.JpnJOphthalmolC55:600-604,C20117)InoueCK,CShiokawaCM,CWakakuraCMCetCal:DeepeningCofCtheCupperCeyelidCsulcusCcausedCbyC5CtypesCofCprostaglan-dinanalogs.JGlaucomaC22:626-631,C20138)KurtzCS,CMannCO:IncidenceCofChyperemiaCassociatedCwithbimatoprosttreatmentinnaivesubjectsandinsub-jectsCpreviouslyCtreatedCwithClatanoprost.CEurCJCOphthal-molC19:400-403,C20099)CohenCJS,CGrossCRL,CCheethamCJKCetCal:Two-yearCdou-ble-maskedCcomparisonCofCbimatoprostCwithCtimololCinCpatientswithglaucomaorocularhypertension.SurvOph-thalmolC49:S45-S52,C200410)KaraCC,C.enCEM,CElginCKUCetCal:DoesCtheCintraocularCpressure-loweringCe.ectCofCprostaglandinCanaloguesCcon-tinueCoverCtheClongCterm?CIntCOphthalmolC37:619-626,C201711)InoueCK,CShiokawaCM,CFujimotoCTCetCal:E.ectsCofCtreat-mentwithbimatoprost0.03%for3yearsinpatientswithnormal-tensionglaucoma.ClinOphthalmolC8:1179-1183,C201412)SontyCS,CDonthamsettiCV,CVangipuramCGCetCal:Long-termCIOPCloweringCwithCbimatoprostCinCopen-angleCglau-comaCpatientsCpoorlyCresponsiveCtoClatanoprost.CJCOculCPharmacolTherC24:517-520,C200813)井上賢治,泉雅子,若倉雅登ほか:ラタノプロストの無効率とその関連因子.臨眼C59:553-557,C200514)小松務,上野脩幸:広義の原発開放隅角緑内障に対するラタノプロスト点眼の眼圧下降効果.眼臨C100:492-495,C200615)中内正志,岡見豊一,山岸和矢:正常眼圧緑内障患者におけるタフルプロスト点眼液の長期眼圧下降効果.あたらしい眼科C28:1161-1165,C2011C***