0910-1810/10/\100/頁/JCOPY(125)1607《原著》あたらしい眼科27(11):1607.1612,2010cはじめに白内障の予防,治療のためにさまざまな白内障動物実験モデルが研究されている.これまで実験モデルには,酸化障害,代謝障害,水晶体膜機能障害,放射線照射,外傷モデルなど多数報告されている1).マウスやラットを用いた穿孔性外傷白内障モデルも白内障研究のために使用され,針刺入やNd-YAGレーザー照射により水晶体前.を破.させると,組織学的には水晶体線維細胞群(もしくは水晶体皮質)が前面に突出した後に水晶体上皮細胞が著しく増殖,重層化して損傷部を被覆することが報告2~10)されている.しかしNd-YAGレーザー穿孔外傷白内障モデルを用いた創傷治癒過程での免疫組織学的検討および細隙灯顕微鏡による前眼部所見の経時的な変化を併せて観察した報告は見当たらない.今回筆者らは,Nd-YAGレーザー照射によるラット外傷白内障モデルを作製して,白内障水晶体の経時的変化と創傷治癒メカニズムの免疫組織学的な検討を行った.〔別刷請求先〕綿引聡:〒321-0293栃木県下都賀郡壬生町北小林880獨協医科大学眼科学教室Reprintrequests:SatoshiWatabiki,M.D.,DepartmentofOphthalmology,DokkyoMedicalUniversity,880Kitakobayashi,Mibumachi,Shimotsuga-gun,Tochigi321-0293,JAPANNd-YAGレーザー照射による穿孔外傷ラット白内障モデルの創傷治癒メカニズムの検討綿引聡*1松島博之*1向井公一郎*1寺内渉*1妹尾正*1小原喜隆*2*1獨協医科大学眼科学教室*2国際医療福祉大学MechanismsofWoundHealinginExperimentalCataractModelInducedbyNeodymium-YAGLaserSatoshiWatabiki1),HiroyukiMatsushima1),KoichiroMukai1),WataruTerauchi1),TadashiSenoo1)andYoshitakaObara2)1)DepartmentofOphthalmology,DokkyoMedicalUniversity,2)InternationalUniversityofHealthandWelfareSprague-Dawleyラットを用い,Nd-YAGレーザー照射により水晶体前.を切開し,可逆性の外傷白内障モデルを作製した.この水晶体の混濁変化を細隙灯顕微鏡で経時的(2,4,7,14日後)に観察し,組織学的に解析することで創傷治癒メカニズムの解明を試みた.細隙灯で観察すると,前.下混濁がレーザー照射2日後にピークに達し,その後徐々に減少した.組織学的に解析すると,創傷部位で水晶体上皮細胞が増殖,重層化して破.部が被覆され,水晶体線維細胞に形態変化した.免疫組織染色を行うと,創傷部位に一致してPCNA(proliferatingcellnuclearantigen),抗Hsp70(heatshockprotein70)抗体,抗細胞骨格蛋白質抗体に陽性であった.Nd-YAGレーザー穿孔外傷白内障モデルの混濁減少と創傷治癒は,ストレス蛋白質と細胞骨格蛋白質が関与する可能性が示唆された.TheanteriorcapsuleoftheSprague-DawleyratlenswasinjuredusingNd-YAGlasertoobservethereversibletraumaticcataractmodel.Afterthecataractgradewasobservedattheselectedtimeperiods(2,4,7and14days)viaslitlamp,histologicalanalysiswasperformed.Cataractgradepeakedafter2days,thenimmediatelydecreased.Histologicalanalysisdisclosedproliferationandstratificationoflensepithelialcells(LEC)aroundtherupturedcapsule.TheproliferatingLECbegantoelongateaftertheyhadcoveredtherupturedcapsule.TheproliferatedLECreactedtoantibodiesincludedwithPCNA(proliferatingcellnuclearantigen),Hsp70(heatshockprotein70)andvimentin.TheresultssuggestthatwoundhealingintheNd-YAGlasercataractmodeliscontrolledwithheatshockproteinandcytoskeletalprotein.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)27(11):1607.1612,2010〕Keywords:白内障,Nd-YAGレーザー,創傷治癒,水晶体上皮細胞,細胞骨格蛋白質.cataract,Nd-YAGlaser,woundhealing,lensepithelialcells,cytoskeletalprotein.1608あたらしい眼科Vol.27,No.11,2010(126)I実験方法1.Nd-YAGレーザー外傷白内障モデルの前眼部観察実験には生後14日齢のSprague-Dawley(SD)ラット3匹6眼を使用した.ラットの実験に関しては,動物実験の飼養および保管に対する基準(NationalInstitutesofHealthGuidelinesontheCareandUseofLaboratoryAnimalsinResearchおよびARVO(TheAssociationforResearchinVisionandOphthalmology)StatementfortheUseofAnimalsinOphthalmicandVisionResearch)に基づいて行った.SDラットを散瞳した後,Nd-YAGレーザー(Aura,日本ルミナス)を水晶体前.中央部に照射して前.を切開した(設定条件:1.5mJ×4-5shots,切開の大きさ直径約500μm).前.を切開してから,2日後,4日後,7日後,14日後に細隙灯顕微鏡カメラ(SC-6,Kowa)を用いて前眼部を観察,撮影した.撮影した徹照像から,混濁なしをグレード0とし,後.面が透見できる軽度の混濁をグレード1,混濁面積が全水晶体面積の30%以下の場合をグレード2,混濁面積が全水晶体面積の30%以上の場合をグレード3として,水晶体の混濁状態を4段階にグレード分類して経時的変化を解析した.2.組織学的検討Nd-YAGレーザーでSDラット9匹18眼を前.切開してから,2日後,7日後,14日後に眼球摘出して,摘出眼をカルノア固定液に4時間浸漬固定した.パラフィン包埋した後に4μmで薄切してパラフィン組織切片を作製した.切片は,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色または免疫組織染色した.免疫組織染色は,切片を3%過酸化水素によって内因性ペルオキシダーゼ処理を20分間行った後にストレプトアビジン-ビオチン(SAB)法により免疫組織染色をヒストファインSAB-PO(M)キットR(ニチレイ)を用いて行い,発色には3,3¢-ジアミノベンチジンを用いた.これらの組織学的変化は光学顕微鏡(BX51,OLYMPUS)を用いて観察した.一次抗体として,proliferatingcellnuclearantigen(PCNA,ニチレイ),heatshockprotein70(Hsp70,Stressgen),ビメンチン(Sigma)の3種類を用いた.II結果1.Nd-YAGレーザー外傷白内障モデルの前眼部観察(図1)Nd-YAGレーザー照射直後から混濁および皮質の一部が前房内に認められた.2日後に水晶体.および破.部皮質付近の混濁はピークに達した.4日,7日と徐々に混濁は減少し,14日後ではほぼ透明となった.白内障のグレードを4段階に程度分類すると(図2),レーザー照射2日後に高度混濁状態であるグレード2.5±0.5に達するが,以降徐々に混濁は減少して4日後ではグレード1.75±0.75,7日後ではグレード1.25±0.5,14日後ではグレード0.75±0.25に減少した.2.組織学的検討図3にNd-YAGレーザーを照射した水晶体前極部の破.部付近のHE染色の結果を示す.前眼部徹照像で混濁がグレード3まで増加したレーザー照射2日後での組織像は,破.部位で水晶体上皮細胞の増殖および伸展がみられた.混濁がグレード1に減少した7日後で,水晶体.は破.したままで2日後4日後7日後14日後図1Nd-YAGレーザーを照射したSDラット前眼部徹照像Nd-YAGレーザー照射2日後,4日後,7日後および14日後のSDラットの前眼部徹照像を示す.レーザー照射直後から混濁が生じ,2日後に混濁はピークに達するが,それ以降徐々に減少している.黒点は前房中に飛散した水晶体皮質の一部.247経過日数グレード143210図2白内障グレード分類X軸にレーザー照射後の経過日数,Y軸に混濁のグレード分類を示す(n=6).2日後に混濁がピークとなり,その後徐々に減少した.(127)あたらしい眼科Vol.27,No.11,201016092日後7日後14日後図3Nd-YAGレーザー照射群前.部―HE染色上段はNd-YAGレーザー照射したラット水晶体前極部の破.部付近の低倍率,下段は破.部付近の高倍率の組織写真を示す(Bar=100μm).レーザー照射により前.部が破.し,破.したところから水晶体上皮細胞が増殖および伸展している.7日後で前.は破.したままだが,上皮細胞は破.部分の皮質を覆って重層化している.14日後では重層化した細胞の層は薄くなっており,上皮細胞が水晶体線維細胞に形態変化している.2日後7日後14日後図4Nd-YAGレーザー照射群前.部―免疫組織染色(PCNA)Nd-YAGレーザー照射部付近における抗PCNA抗体を使用した免疫組織染色の結果を示す(Bar=100μm).矢印は抗PCNA抗体反応陽性の部分を示す.2日後の破.部付近の水晶体上皮細胞の細胞核に,7日後では重層化した上皮細胞の表層と深層の細胞核に,14日後では表層の細胞核および水晶体線維細胞様に形態変化しつつある細胞の細胞核に陽性所見がみられる.2日後7日後14日後図5Nd-YAGレーザー照射群前.部―免疫組織染色(Hsp70)抗Hsp70抗体を使用した免疫組織染色の結果を示す(Bar=100μm).矢印は抗Hsp70抗体反応陽性の部分を示す.特に2日後での破.した前.直下の水晶体線維細胞の細胞質に陽性所見がみられる.1610あたらしい眼科Vol.27,No.11,2010(128)はあるが,増殖した水晶体上皮細胞が損傷部の皮質を覆って重層化していた.重層化した上皮細胞はHE染色より扁平化を呈している.混濁がグレード1以下に減少した14日後では,重層化した細胞の層は菲薄化し,立方状の上皮形態を呈している.上皮下の皮質付近は無核の水晶体線維細胞の形態を認めた.免疫組織染色を行うと,PCNAは2日後の破.部付近の水晶体上皮細胞の細胞核,7日後では重層化した上皮細胞の表層と深層にある細胞核,14日後では表層の細胞核と水晶体線維細胞様に形態変化しつつある細胞の細胞核に陽性所見がみられた(図4).Hsp70は2日後では破.した前.直下の水晶体線維細胞の細胞質,7日後では重層化した上皮細胞直下の線維細胞の細胞質,14日後には上皮細胞が水晶体線維細胞様に形態変化しているとみられる細胞の細胞質に陽性所見がみられた(図5).ビメンチンは,すべての時期で増殖,重層化した水晶体上皮細胞の細胞質で陽性であった(図6).III考按穿孔性外傷白内障モデルはラット,ウサギやマウスの水晶体.に針2~4)やNd-YAGレーザー5~10)で穿孔することで再現性のよい白内障が発症するモデルである.水晶体前.を破.させると,水晶体線維細胞群(もしくは水晶体皮質)が前面に突出した後に水晶体上皮細胞が著しく増殖,重層化して損傷部を被覆する2~10).Nd-YAGレーザーの発振波長は1,064nmの近赤外領域であり,イオン化したガスのプラズマの発生により,組織を加熱せずに照射部位を機械的に破壊する11).そのためNd-YAGレーザー照射による前.切開は,針刺入による経角膜的な方法とは異なり,水晶体以外の眼組織への影響を最小限に留めて12,13)白内障を生じさせることが可能である.岡本ら8~10)はSDラットNd-YAGレーザー白内障モデルの水晶体を摘出して実体顕微鏡下で混濁変化を観察しており,レーザー照射14日後まで混濁が増強したと報告している.Gonaら7)はレーザー照射15日で水晶体損傷部の瘢痕は残存するものの,肉眼的な観察で混濁は消失していたと報告している.今回筆者らは,過去の報告10,12)を基に水晶体前.中央部にレーザーを照射し,前.および皮質表層を中心に創傷の修復経過を観察した.レーザー照射14日後まで細隙灯顕微鏡を用いて経時的に水晶体の混濁を観察したところ,一過性に増加した後に減少していた.外傷白内障モデルの組織学的解析はこれまでも行われており,筆者らの観察でも早期の水晶体前面の混濁時期に,混濁部位に一致した前.破.部での水晶体上皮細胞の著しい増殖を認めた.その後,増殖した水晶体上皮細胞が重層化して損傷部を被覆するという,過去の報告2~10)と同様の組織修復行程がみられた.筆者らの観察ではさらに,水晶体混濁の減少に伴い,重層化していた水晶体上皮細胞が菲薄化して水晶体線維細胞に形態変化していくことが観察できた.過去には3H-サイミジンオートラジオグラフィー法8,10)を用いて外傷白内障モデルの破壊部位別(前.,赤道部,後.破壊)の水晶体上皮細胞の増殖能を観察し,水晶体増殖帯以外の各破壊部位でも水晶体上皮細胞の増殖が認められたと報告されている.筆者らは,抗PCNA抗体を用いた免疫組織染色法14~16)を用いて経時的に増殖能の観察を行った.その結果,修復過程で重層化した上皮細胞の細胞核や,菲薄化して水晶体線維細胞様に形態変化している細胞の細胞核にPCNAの発現がみられ,免疫組織学的手法でも水晶体増殖帯ではなく前.損傷部付近での水晶体上皮細胞の増殖を確認できた.ストレス反応時に産生される分子シャペロンHsp7017)の発現が重層化した上皮細胞直下の水晶体線維細胞や,水晶体線維芽細胞に形態変化している細胞にみられることから,水晶体前.が損傷されると,破.部位でストレス反応が生じて水晶体上皮細胞の増殖能が亢進することが示唆された.同様のストレス反応は穿刺性外傷モデルでも擦過によりひき起こされる可能性があるが,これらのストレス反応による分子シャペロンの報告はなく,今後両モデルにおいて比較検討する必要がある.細胞骨格蛋白質はラット亜セレン酸白内障モデルを用いた実験から,水晶体の透明性維持に関連することが報告18~20)されている.2日後7日後14日後図6Nd-YAGレーザー照射群前.部―免疫組織染色(ビメンチン)抗ビメンチン抗体を使用した免疫組織染色の結果を示す(Bar=100μm).矢印は抗ビメンチン抗体反応陽性の部分を示す.水晶体上皮細胞の増殖,重層化に伴って陽性反応がみられ,特に7日後の上皮細胞が重層化している部位で強い陽性反応がみられる.(129)あたらしい眼科Vol.27,No.11,20101611Wisterラットでは可逆性の白内障が発生し,透明治癒過程に細胞骨格蛋白質が発現している20).今回,外傷後の創傷治癒反応の部位に一致して細胞骨格蛋白質であるビメンチン発現の増強が免疫組織学的に認められた.これらの強陽性の不均一な蛋白質の確認は,蛋白質が凝集した可能性があることが示唆される.外傷白内障においても組織修復過程に細胞骨格蛋白質が関連している可能性がある.混濁の再透明化については,マウス外傷白内障モデルで,創傷後水晶体線維が再生することで混濁水晶体が再透明化したと報告している21).今後14日以降の変化を観察する必要がある.以上の考察より,Nd-YAGレーザー白内障モデルの混濁出現および減少についての機序を推察した(図7).通常の水晶体では増殖帯周辺部の水晶体上皮細胞のみが増殖,分裂をくり返し,赤道部に移動して水晶体線維細胞へと分化する.しかし,Nd-YAGレーザー照射により水晶体前.が破.すると創傷治癒反応としてストレス応答が生じ,増殖帯ではなく前.損傷部周辺での水晶体上皮細胞の増殖能亢進と,ビメンチンを含んだ細胞骨格蛋白質の発現の増強が生じる.この損傷部周辺での水晶体上皮細胞の増殖,重層化が生じることで水晶体が混濁する.しかし,水晶体上皮細胞層により損傷部が被覆されると,水晶体上皮細胞の重層化が抑制され,次第に細胞層が菲薄化して水晶体線維細胞に形態変化し,水晶体線維を再生することで混濁が減少すると考えた.しかしながら,水晶体混濁減少と再生の機序は水晶体上皮細胞が産生する基底膜やコラーゲン,細胞が前房内の前房水やマクロファージなどの貪食細胞による影響が関与している可能性があり,今後長期間のさらなる検討が必要である.本稿の要旨は第47回日本白内障学会において発表した.本研究のためにご指導を頂いたニュービジョン眼科研究所石井康雄先生に感謝の意を表します.文献1)岩田修造:水晶体その生化学的機構.p311-360,メディカル葵出版,19862)FagerholmPP,PhilipsonBT:Experimentaltraumaticcataract.I.Aquantitativemicroradiographicstudy.InvestOphthalmolVisSci18:1151-1159,19793)UgaS:Woundhealinginthemouselens.ExpEyeRes32:175-186,19814)雑賀司珠也:後発白内障でのTGFbシグナル伝達.日本白内障学会誌16:41-44,20045)CampbellCJ,RittlerMC,InnisREetal:Oculareffectsproducedbyexperimentallasers.III.Neodymiumlaser.AmJOphthalmol66:614-632,19686)PauH,WeberU,KernWetal:LesionandregenerationoftheanteriorandposteriorlenscapsuleandcortexinrabbitsNd:YAGlaser.GraefesArchClinExpOphthalmol227:392-400,19897)GonaO,WhiteJH,ObenauerL:Woundhealingbytheratlensafterneodymium-YAGlaserinjury.ExpEyeRes40:251-261,19858)岡本庄之助,照林宏文,堤元信ほか:Nd-YAGレーザー照射による白内障モデル─1.照射部位による上皮細胞増殖能と進展形式の変化─.眼紀42:1863-1868,19919)照林宏文,岡本庄之助,池部均ほか:QスイッチNd-YAGレーザー照射による白内障モデル─2.照射部位による白内障進展形式の差異─.日眼会誌96:440-446,199210)照林宏文,岡本庄之助,池部均ほか:QスイッチNd-YAGレーザー照射による白内障モデル─3.照射部位による上皮細胞増殖能の変化─.眼紀43:679-687,199211)Aron-RosaD,GriesemannJC,AronJJ:Useofpulsedneodymiumyaglaser(picosecond)toopentheposteriorlenscapsuleintraumaticcataract:Apreliminaryreport.OphthalmicSurg12:496-499,198112)矢部京子:Nd-YAGレーザーによる水晶体前.切開について─基礎実験および臨床成績─.埼玉医科大学雑誌13:131-138,198613)余敏子:パルス型Nd-YAGレーザー照射の網脈絡膜に対……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………図7仮説:混濁水晶体の再透明化Nd-YAGレーザー照射により前.が破.すると,創傷治癒反応として損傷部周辺での細胞増殖因子や細胞骨格蛋白質,熱ショック蛋白質の発現が増強して水晶体上皮細胞の異所性増殖が生じ,上皮細胞が重層化することで水晶体混濁が生じる.しかし,損傷部を被覆した後に水晶体上皮細胞の重層化が調節されて細胞層が菲薄化し,水晶体線維細胞様に形態変化することで混濁部位の再透明化を生じる.1612あたらしい眼科Vol.27,No.11,2010(130)する影響.特に硝子体内照射時の傷害について.埼玉医科大学雑誌12:267-275,198514)加藤良平:免疫組織化学を用いた細胞増殖能の解析.組織細胞化学,p47-50,学際企画,199415)山口慶子,庄司昭世,加藤圭一ほか:ProliferatingCellNuclearAntigenによるラット水晶体上皮細胞増殖能の検討.あたらしい眼科8:1935-1938,199116)久保江理,高柳克典,都筑昌哉ほか:抗PCNA免疫組織化学法による水晶体上皮細胞の増殖動態の研究.あたらしい眼科12:1745-1749,199517)永田和宏:ストレス蛋白質─基礎と臨床─.p100-114,中外医学社,199418)MatsushimaH,DavidLL,HiraokaTetal:Lossofcytoskeletalproteinsandlenscellopacificationintheselenitecataractmodel.ExpEyeRes64:387-395,199719)松島博之:白内障・後発白内障と細胞骨格蛋白質─分子生物学的解析─.日本白内障学会誌15:5-20,200320)松島博之,向井公一郎,小原喜隆ほか:亜セレン酸白内障モデルにおける水晶体混濁減少に関する蛋白質の変動.日眼会誌104:377-383,200021)HirayamaS,WakasugiA,MoritaTetal:Repairandreconstructionofthemouselensafterperforatinginjury.JpnJOphthalmol47:338-346,2003***