《原著》あたらしい眼科31(9):1387.1391,2014c正常眼圧緑内障における視神経乳頭血流と網膜構造および視野障害との関連性山下力*1,2家木良彰*2三木淳司*1,2,3後藤克聡*2今井俊裕*2荒木俊介*2春石和子*2桐生純一*2田淵昭雄*1八百枝潔*3,4*1川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科*2川崎医科大学眼科学教室*3新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野*4眼科八百枝医院AssociationbetweenVisualFieldLossandOpticNerveHeadMicrocirculationandRetinalStructureinNormal-TensionGlaucomaTsutomuYamashita1,2),YoshiakiIeki2),AtsushiMiki1,2,3),KatsutoshiGoto2),ToshihiroImai2),SyunsukeAraki2),KazukoHaruishi2),JunichiKiryu2),AkioTabuchi1)andKiyoshiYaoeda3,4)1)DepartmentofSensoryScience,FacultyofHealthScienceandTechnology,KawasakiUniversityofMedicalWelfare,2)DepartmentofOphthalmology,KawasakiMedicalSchool,3)DivisionofOphthalmologyandVisualSciences,NiigataUniversityGraduateSchoolofMedicalandDentalSciences,4)YaoedaEyeClinic目的:正常眼圧緑内障(NTG)における視神経乳頭(乳頭)血流と網膜や乳頭構造,視野指標との関連性を検討した.対象および方法:対象はNTG19例19眼である.レーザースペックルフローグラフィー(LSFG-NAVITM)を用い乳頭血流(全領域・血管領域・組織領域)を測定した.スペクトラルドメイン光干渉断層計(RTVue-100R)を用い乳頭周囲の網膜神経線維層(cpRNFL)厚,乳頭形態,黄斑部網膜神経節細胞複合体(GCC)厚を測定した.乳頭血流と網膜や乳頭構造パラメータ,視野指標との関係について検討した.結果:乳頭の組織領域血流および全領域血流は,cpRNFL厚,GCC厚,乳頭形態パラメータのすべてと有意に相関していた.meandeviation(MD)値との相関係数が最も大きいのはcpRNFL厚(r=0.88)であり,visualfieldindex(VFI)との相関係数が最も大きいのはGCC厚(r=0.81)であった.乳頭の組織領域血流も,MD値およびVFIに相関を示した(r=0.68).結論:NTGにおいて,乳頭血流は,緑内障性網膜構造変化や視野障害との関連が示唆された.Purpose:Toreporttheassociationbetweenvisualfieldlossandopticnerveheadmicrocirculationandretinalstructureinnormal-tensionglaucomapatients.SubjectsandMethods:Thisstudyinvolved19eyesof19patientswithnormal-tensionglaucoma.Opticnerveheadmicrocirculationwasexaminedwithlaserspeckleflowgraphy(LSFG-NAVI.),andthemeanblurrateinallareas,invesselareaandtissuearea,wascalculatedusingthelaserspeckleflowgraphyanalyzersoftware.Macularganglioncellcomplex(GCC)thicknessparameters,circumpapillaryretinalnervefiberlayer(cpRNFL)thicknessandopticnervehead(ONH)parametersweremeasuredbyspectraldomainopticalcoherencetomography(RTVue-100R).TherelationshipbetweenglaucomatousvisualfieldlossandopticnerveheadmicrocirculationandretinalstructureparameterswasevaluatedusingtheSpearmanrankcorrelationcoefficient.Results:Themeanblurrateoftheopticdiskintissue(MT)andallareaswassignificantlycorrelatedwithcpRNFLthickness,GCCthicknessandONHparameters.ThecpRNFLthicknesswasmostsignificantlycorrelatedwithmeandeviation(MD)value(r=0.88).GCCthicknesswasmostsignificantlycorrelatedwithvisualfieldindex(VFI)(r=0.81).MeanMTwassignificantlycorrelatedwithMDvalueandVFI(r=0.68).Conclusion:TheresultsindicatedassociationbetweenopticnerveheadmicrocirculationandglaucomatousretinastructuralchangeandvisualfielddisordersinNTG.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)31(9):1387.1391,2014〕〔別刷請求先〕山下力:〒701-0193岡山県倉敷市松島288川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科Reprintrequests:TsutomuYamashita,C.O.,Ph.D.,DepartmentofSensoryScience,FacultyofHealthScienceandTechnology,KawasakiUniversityofMedicalWelfare,288Matsushima,Kurashiki-city,Okayama701-0193,JAPAN0910-1810/14/\100/頁/JCOPY(139)1387Keywords:視神経乳頭血流,レーザースペックルフローグラフィー,正常眼圧緑内障,網膜構造,緑内障性視野障害.opticnerveheadbloodflow,laserspeckleflowgraphy,normaltensionglaucoma,retinalstructure,glaucomatousvisualfielddefects.はじめに厚生労働省研究班の調査によると,わが国における失明原因の第一位は緑内障であり,日本緑内障学会による疫学調査の多治見スタディにおいては,40歳以上の緑内障有病率は5%と多く,そのなかでも正常眼圧緑内障(normaltensionglaucoma:NTG)が多いことが明らかとなった1).NTGの病態については眼圧の関与以外に,視神経(乳頭)出血の頻度が高いという報告2)や,乳頭周囲網脈絡膜萎縮が緑内障性視野障害の進行に関連していると報告されており3),乳頭循環障害の関与が示唆されている.したがって,NTGにおける循環動態の研究は,病態の解明や治療法の確立にとって重要である.緑内障性視神経症の病態として,眼圧や血流がグリア細胞を変化させ,乳頭篩状板付近において,網膜神経節細胞の軸索である網膜神経線維を障害させ,軸索輸送が障害され,網膜神経節細胞障害が起こる.その結果,乳頭陥凹拡大やリムの菲薄化などを特徴とする緑内障性視神経症が生じるとされている.緑内障診断に視野測定は必須であるが,緑内障性の不可逆的視野変化が生じる頃には,すでに網膜神経節細胞はかなりの不可逆的な障害を受けているといわれている4).そのため,網膜構造の緑内障性変化や乳頭の循環障害をより早期に検出することは,緑内障の早期発見および進行判定につながり非常に重要である.スペクトラルドメイン光干渉断層計(spectraldomainopticalcoherencetomography:SD-OCT)は,タイムドメイン光干渉断層計(timedomainopticalcoherencetomography:TD-OCT)に比べスキャンスピードと空間解像度が向上し,乳頭周囲網膜神経線維層(circumpapillaryretinalnervefiberlayer:cpRNFL)厚の評価だけではなく,網膜神経節細胞の約50%が分布する黄斑部において,網膜神経節細胞に関連した層を含む内境界膜から内網状層外縁の神経節細胞複合体(ganglioncellcomplex:GCC)厚の計測が可能となった.そのため,SD-OCTを用いることにより,緑内障を早期に発見することや進行検出などが高くなることが期待されている5,6).乳頭の循環測定にはさまざまな方法があるが,今回の研究においては測定再現性がきわめて高い眼血流測定装置であるレーザースペックルフローグラフィー(laserspeckleflowgraphy:LSFG)を用い7.9),NTGの乳頭血流測定を行った.LSFGを用いた報告で,全体拡大型乳頭を伴った緑内障眼の乳頭血流と視野障害およびTD-OCTのcpRNFL厚の間に有意な相関があったことが示されている10).今回筆者らは,1388あたらしい眼科Vol.31,No.9,2014NTGに対しLSFGを用いて乳頭血流を測定し,SD-OCTを用いて算出されたGCC厚やcpRNFL厚,乳頭形態パラメータと,視野指標との関係を検討したので報告する.I対象および方法対象は,Humphrey自動視野計(Humphreyfieldanalyzer:HFA)(CarlZeissMeditec社)の中心30-2SITAstandardによる測定当日に,RTVue-100R(Optovue社)およびLSFG-NAVITM(ソフトケア社)を施行したNTG19例19眼(男/女=9/10眼)である.本研究におけるNTGの診断基準は,検眼鏡的に眼底に緑内障性変化が観察され,治療前眼圧が3回の測定で21mmHg以下であり,HFA30-2SITAstandardでAndersoncriteria11)を満たすものとした.矯正視力1.0以上,.5.0D以上の近視,+2.0D以下の遠視を対象とした.HFAでは,固視不良20%未満,偽陽性,偽陰性のそれぞれが15%未満の信頼性良好な結果のみを採用した.軽度白内障以外の眼疾患の既往,高血圧や糖尿病などの血管系疾患の既往,眼内手術の既往を有する者は除外した.すべての症例に関して,測定日から3カ月前までに点眼や内服内容に変更のないものとした.本研究は当大学倫理委員会の承認を得ており,すべての対象者にインフォームド・コンセントを得たうえで行った.眼圧はGoldmann圧平眼圧計を用い測定し,血圧および脈拍は自動血圧計を用い測定した.平均血圧は次式〔拡張期血圧+1/3(収縮期血圧.拡張期血圧)〕,眼灌流圧は次式〔2/3平均血圧.眼圧〕を用いて算出した.乳頭血流測定は,0.4%トロピカミド点眼液(ミドリンRM点眼液0.4%,参天製薬)を用いて散瞳した後,LSFG-NAVITMを用いて3回連続行った.同一検者がLSFGAnalyzer(version3.1.16)を用い3枚の乳頭血流マップを作成し,血流速度の指標であるMBR(meanblurrate)値の平均を算出した.楕円ラバーバンドを用い乳頭領域を決定した後,血管抽出解析機能を用い,乳頭内の全領域の平均MBR値(meanMBRinallarea:MA),乳頭内の血管領域の平均MBR値(meanMBRinvesselarea:MV),乳頭内の大血管を除外した組織領域の平均MBR値(meanMBRintissuearea:MT)に分けて解析した8).本研究では乳頭全体の各MBR値を算出し,3回測定の変動係数が10%未満の症例のみを対象とした.SD-OCTによる測定は,RTVue-100Rversion4.0スキャンプログラムの黄斑部解析ソフトGCCを用い,黄斑部7×7mmの範囲で,長さ7mmのラインスキャンで水平方向に1本,垂直方向に0.5mm間隔で15本のスキャンしGCC厚(140)を測定した.乳頭を中心にした4.9mmの範囲を視神経乳頭解析ソフトONHを用い,長さ3.4mmの12本の放射ラインスキャンと13本の同心円リングスキャンで測定した.乳頭の中心に乳頭部6×6mmの範囲を3次元視神経乳頭解析ソフト3DDiscを用い,101の水平ラスタスキャンで測定した.乳頭形状解析においては,ONHと3DDiscの画像をもとに乳頭縁と網膜色素上皮の端に相当する部位決定をした.それらの後,乳頭パラメータと乳頭中心から直径3.45mmの円周上のcpRNFL厚を算出した.両方のスキャンともsignalstrengthindexが50以上のデータを採用した.OCTパラメータ(GCC厚,cpRNFL厚,乳頭形態)とLSFGパラメータ(MA,MV,MT)およびHFAパラメータ〔MD(meandeviation)値,VFI(visualfieldindex)〕との関係は,Spearman順位相関係数を用い,危険率5%未満表1MBRおよびOCTパラメータの平均値と標準偏差MA22.0±6.1MV49.6±12.4MT11.8±3.8GCC厚(μm)74.7±7.4cpRNFL厚(μm)75.6±12.5Cuparea(mm2)1.38±0.69Rimarea(mm2)0.50±0.39C/Dratio0.71±0.22Cupvolume(mm3)0.32±0.22Rimvolume(mm3)0.04±0.05Nerveheadvolume(mm3)0.09±0.10MA:MeanMBRinAllarea,MV:MeanMBRinVesselarea,MT:MeanMBRinTissuearea,GCC:ganglioncellcomplex,cpRNFL:circumpapillaryretinalnervefiberlayer.表2MBRとOCTパラメータの関係MAMVMTrp値rp値rp値GCC厚0.75730.00020.73510.00030.70350.0008cpRNFL厚0.62750.00400.53330.01870.64040.0031Cuparea.0.52590.0207.0.38090.1077.0.58360.0087Rimarea0.60960.00560.49520.03110.55930.0128C/Dratio.0.63890.0032.0.51210.0250.0.62580.0042Cupvolume.0.49690.0304.0.44230.0579.0.55110.0145Rimvolume0.65920.00210.53800.01750.65140.0025Nerveheadvolume0.64880.00270.53970.01710.62310.0025MA:MeanMBRinAllarea,MV:MeanMBRinVesselarea,MT:MeanMBRinTissuearea,GCC:ganglioncellcomplex,cpRNFL:circumpapillaryretinalnervefiberlayer.を統計学的に有意とした.統計学的分析は統計解析ソフトPASWStatistics21.0(IBM-SPSS)を使用した.II結果患者背景は,年齢63.7±11.4(平均±標準偏差,範囲:51.75)歳,屈折度数は.2.1±2.7(.4.75.+1.50)Dであった.眼圧は12.3±2.6mmHg,収縮期血圧122.1±15.5mmHg,拡張期血圧74.5±9.1mmHg,眼灌流圧46.2±7.1mmHgであった.HFAのMD値は.9.4±10.6(.28.00.0.57)dB,VFIは72.5±33.4(13.99)%であった.本研究における症例全体のLSFG-NAVITMおよびRTVue-100Rの測定結果を表1に示す.LSFGパラメータとOCTパラメータとの関係を表2に示す.MAおよびMTは,すべてのOCTパラメータと有意な相関を示した.なかでも,乳頭内の組織領域の平均MBR値を示すMTにおいては,すべてのOCTパラメータとの相関係数は最も高かった.LSFGパラメータとOCTパラメータおよび視野指標との関係を表3に示す.MD値との関係においては,cpRNFL厚表3MBRおよびOCTパラメータと視野指標MDVFIrp値rp値MA0.69750.00090.75800.0002MV0.64150.00310.69570.0009MT0.68360.00130.72820.0004GCC厚0.85480.00010.82760.0001cpRNFL厚0.88370.00010.78720.0011Cuparea.0.38020.1084.0.19070.4636Rimarea0.51690.02340.48190.0502C/Dratio.0.53310.0188.0.44370.0744Cupvolume.0.44250.0578.0.36590.1486Rimvolume0.46090.04700.42710.0873Nerveheadvolume0.43770.06090.42410.0898MD:meandeviation,VFI:visualfieldindex,MA:MeanMBRinAllarea,MV:MeanMBRinVesselarea,MT:MeanMBRinTissuearea,GCC:ganglioncellcomplex,cpRNFL:circumpapillaryretinalnervefiberlayer.(141)あたらしい眼科Vol.31,No.9,20141389との相関係数が最も高く(r=0.8837,p=0.0001),LSFGパラメータも中程度の相関を示した.VFIにおいては,GCC厚との相関係数が最も高く(r=0.8276,p=0.0001),LSFGパラメータも中程度の相関を示した.眼灌流圧は,MD値(r=0.0910,p=0.7638)およびVFI(r=0.0906,p=0.7296)と相関はなく関連を示さなかった.III考按NTGを対象とした本研究において,LSFGで評価した乳頭血流パラメータと,SD-OCTで測定したcpRNFLやGCC厚,HFAで算出した視野指標との間で,互いに有意な相関があることが示された.Yokoyamaら12)は,MBR値とcpRNFL厚,MD値の有意な相関を報告しているが,本研究では,乳頭血流パラメータとGCC厚,VFIにも相関があることを示した.GCC厚においてはより早期の緑内障評価に有用で5),VFIは患者の視機能をMDよりもよく反映しているとされており13),これらと相関があったことは,LSFGによる乳頭血流評価が早期緑内障発見や緑内障症例の視機能評価に寄与する可能性があると考えられた.NTGにおいては,眼圧非依存因子の関与が原発開放隅角緑内障(狭義)より強い14)とされ,なかでも眼循環障害が示唆される報告が多い.たとえば,NTG眼における乳頭血流の日内変動を測定した研究では,夜間に乳頭血流の低下する症例ほど,視野障害進行が大きいと報告されている15).緑内障眼と健常眼の循環動態と比較した研究では,緑内障眼では動静脈循環遅延がみられることや16),乳頭血流速度が低下している17)ことが報告されている.LSFGは,レーザースペックル法を応用した眼血流測定装置であり,乳頭や網脈絡膜における微小循環を非侵襲的,半定量的に評価することが可能である18,19).Yaoedaら20)は,乳頭辺縁部の血流変化と視野障害との相関に関して,原発開放隅角緑内障(狭義)眼では相関はなく,NTG眼では有意な相関があったことを報告している.また,NTG眼においては,正常眼に比べ血流量が低下していることや,乳頭血流量は乳頭陥凹や視野障害の程度と負の相関があることが報告されている21,22).緑内障眼の乳頭辺縁部の領域別組織血流と視野障害の程度を検討した報告では,パターン偏差上下比と血流の上下比に有意な相関があったとしている23).Chibaら10)は,全体拡大型乳頭を伴った緑内障眼の乳頭MBRは,cpRNFL厚,垂直C/D比(陥凹乳頭比)およびMD値と有意に相関していたとしている.本研究において,乳頭の組織領域の平均MBR値を示すMTは,MD値やVFIと有意な相関を示し,乳頭血流障害と視野障害との関連が示唆された.しかし,今回の症例は,すでに乳頭に緑内障性変化が生じている症例であり,乳頭の構造変化が組織血流低下に影響を及ぼしている可能性がある.乳頭辺縁部体積が減少するこ1390あたらしい眼科Vol.31,No.9,2014とによりLSFGのパラメータが低下した可能性があり,さらに今後において検討する必要があると考えられた.緑内障病期の進行に伴い耳側血流比の減少がみられたという報告や23),近視性乳頭を有する緑内障眼の乳頭耳側,上方,下方のMTは正常群と比較すると有意に低かった12)などの報告がある.本研究においては,視神経乳頭を分割し領域別のMBR値を算出しておらず,今後の検討課題とする予定である.本研究において,MTはGCC厚やcpRNFL厚,乳頭形態パラメータのすべてに有意な相関を示した.このことは,乳頭組織血流低下と緑内障による網膜の構造上の変化との関連性があることが考えられた.緑内障においては,視神経乳頭の篩状板付近において約120万本の網膜神経節細胞の軸索である網膜神経線維が障害され,軸索輸送障害が起こるために網膜神経節細胞障害が生じるとされている.その結果,網膜神経線維が脱落して緑内障に特徴的な視神経乳頭陥凹拡大やrimの菲薄化および網膜神経線維層欠損などの緑内障性視神経症を生じるとされている.その原因としては眼圧因子の関与は多くの報告でいわれていることではあるが,今回の研究結果から,LSFGパラメータとGCC厚およびcpRNFL厚は有意な相関を示し,乳頭血流障害と網膜神経節細胞障害や視野障害の関連が示唆された.乳頭の循環障害は,視野障害や網膜神経線維層欠損よりも早く生じているのかを,preperimetricglaucomaなどを対象に研究を行っていく予定である.NTGにおける循環動態を研究することは,NTGの病態の解明および治療法の選択の一助となる可能性がある.また,乳頭血流を示すLSFGパラメータは,緑内障を経過観察するうえでGCC厚や,cpRNFL厚と異なる指標として有用である可能性がある.緑内障眼に対し,網膜神経節細胞に関連した網膜厚および乳頭血流を計測し,循環動態変化を捉え治療を再考することで,視野障害の進行速度を少しでも遅らせることが可能となるかもしれない.文献1)IwaseA,SuzukiY,AraieMetal:TheTajimiStudyGroup,JapanGlaucomaSociety:Theprevalenceofprimaryopen-angleg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