———————————————————————- Page 1(91)ツ黴 910910-1810/10/\100/頁/JCOPYツ黴ツ黴ツ黴ツ黴ツ黴 あたらしい眼科 27(1):91 94,2010cはじめに角膜厚の測定装置として Mishima-Hedbys 法をはじめ超音波測定法(以下,US)や非接触型角膜内皮スペキュラー,角膜形状解析装置,光干渉断層計(以下,OCT)などがあ る1).ただし,測定方法により測定値が異なることが知られている1).Goldmann 圧平眼圧計は中心角膜厚(以下,CCT)を 520 μm と設定して考案されており,理論的には 520 μmより薄い場合は実際の眼圧は測定値より高く,それより厚い場合は実際の眼圧は測定値より低く算出される2).また,高眼圧症においては有意に角膜厚が厚く,正常眼圧緑内障では有意に角膜厚が薄いと報告3)され,薄い CCT は原発開放隅角緑内障の発症危険因子と報告4)されている.これらより,角膜厚の正確な測定は緑内障分野において重要な意味をもっている.一般的な US による角膜厚測定は接触式,侵襲性の検査であり,また,プローブを角膜に当てる角度およびその位置によって測定値が変化する可能性がある一方,OCT では非接触式,非侵襲性の検査であるため外来で使用しやすく,さらにより高精度な画像を簡便に得ることが可能である.最近スペクトラルドメイン OCT(以下,SD-OCT)が開発〔別刷請求先〕北善幸:〒153-8515 東京都目黒区大橋 2-17-6東邦大学医療センター大橋病院眼科Reprint requests:Yoshiyuki Kita, M.D., Department of Ophthalmology, Toho University Ohashi Medical Center, 2-17-6 Ohashi, Meguro-ku, Tokyo 153-8515, JAPANスペクトラルドメイン光干渉断層計と超音波角膜厚測定装置による中心角膜厚の比較徳江裕佳北善幸北律子富田剛司東邦大学医療センター大橋病院眼科/東邦大学医学部眼科学第 2 講座Comparison of Central Corneal Thickness Using Spectrum Domain Optical Coherence Tomography and Ultrasonic PachymetryYuka Tokue, Yoshiyuki Kita,Ritsuko Kita and Goji TomitaDepartment of Ophthalmology, Toho University Ohashi Medical Center/Second Department of Ophthalmology,ツ黴 Toho University School of Medicineスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)と従来の超音波角膜厚測定装置(US)を用いて中心角膜厚(CCT)を測定し,測定結果を比較検討した.対象は健常人 30 例 60 眼.SD-OCT は RTVue-100 を使用し,US は ECHO-SCANツ黴 UD1800 を使用した.SD-OCT で測定した CCT は平均 528.7±31.8 μm であったのに対し,US で測定したCCT は 545.6±33.4 μm であり,SD-OCT による CCT が有意に薄かった(pairedツ黴 t 検定:p<0.001).Pearson の積率相関係数=0.96(p<0.01)であった.級内相関係数(1,ツ黴 1)は SD-OCT が 0.922(p<0.01),US が 0.950(p<0.01)であり,両者とも非常に再現性が高かった.検査機器により CCT の測定値が異なることを認識する必要がある.Weツ黴 comparedツ黴 centralツ黴 cornealツ黴 thickness(CCT)asツ黴 measuredツ黴 byツ黴 spectrumツ黴 domainツ黴 opticalツ黴 coherenceツ黴 tomogra-phy(SD-OCT)andツ黴 ultrasonicツ黴 pachymetry(US).ツ黴 Theツ黴 participantsツ黴 wereツ黴 30ツ黴 volunteers(60ツ黴 eyes)withツ黴 noツ黴 ocular abnormalities.ツ黴 Theツ黴 devicesツ黴 usedツ黴 wereツ黴 RTVue-100ツ黴 forツ黴 SD-OCTツ黴 andツ黴 ECHOSCANツ黴 UD1800ツ黴 forツ黴 US.ツ黴 Theツ黴 resultsツ黴 of CCT measurement were 528.7±31.8 μm with SD-OCT and 545.6±33.4 μm with US, SD-OCT yielding a signi cantlyツ黴 thinnerツ黴 value(pairedツ黴 tツ黴 test,ツ黴 p<0.001).ツ黴 Theツ黴 Pearsonツ黴 correlationツ黴 coe cientツ黴 wasツ黴 0.96(p<0.01).ツ黴 Intra-classツ黴 correlationツ黴 coe cients(1,ツ黴 1)wereツ黴 0.922(p<0.01)forツ黴 SD-OCTツ黴 andツ黴 0.950(p<0.01)forツ黴 US;reproducibility was extremely high in both groups. Since CCT measurements with SD-OCT yielded thinner values than with US, it is important to know the characteristics of each type of devices.〔Atarashii Ganka(Journal of the Eye)27(1):91 94, 2010〕Key words:角膜厚,光干渉断層計,パキメータ.corneal thickness, optical coherence tomography, pachymeter.———————————————————————- Page 292あたらしい眼科Vol. 27,No. 1,2010(92)され,これまでのタイムドメイン OCT(TD-OCT)と比較し,高い解像度,計算時間の大幅な短縮など測定精度の向上が可能となった.現在,利用可能な前眼部 OCT は 4 種類(Visanteツ黴 OCT,SL-OCT,SS-1000ツ黴 CASIA,RTVue-100)であるが,そのなかで SD-OCT は RTVue-100(Optovue社)のみである.今回 SD-OCT を用いて健常人の CCT を測定し,US による CCT 測定結果と比較検討した.I対象および方法屈折異常以外の眼疾患がなく,コンタクトレンズ装用がなく,屈折矯正手術歴がない健常,日本人ボランティア 30 例60 眼(男性/女性:13 例/17 例)を対象とした.本研究は当院倫理委員会の承認を得て本研究の趣旨を十分にインフォームド・コンセントし,文書による同意を取得したうえで行った.平均年齢 29.3±4.12 歳(20 40 歳),平均眼軸長 25.3±1.46 m m,平均等価球面度数 3.96±2.64D,平均眼圧 12.2±1.76 mmHgであった.測定方法は, まず SD-OCT で CCT を測定した.SD-OCTは RTVue-100 に低倍率角膜アダプターを装着して使用した.測定モードはパキメトリーマップ(図 1)を用いて被検者に内部固視灯を固視させ CCT を測定した.本装置は840 nm波長を用いて角膜を6 mm幅で 8 方向スキャンする.今回は,その 12 時から 6 時方向の 1 方向の CCT を用いた.1 人の検者が同一の日に片眼につき 3 回測定を行いその平均を CCT とした.画質は Signalツ黴 Strengthツ黴 Index(SSI)が 30以上とした.つづいてオキシブプロカイン塩酸塩 0.4%にて点眼麻酔し,US を用いて CCT を測定した.US は ECHO-SCAN UD1800(NIDEK 社)に角膜厚測定用プローブを装着し使用した.SD-OCT と同様に 1 人の検者が同一の日に測定し,連続 10 回測定した平均値を 1 回とし片眼につき 3 回測定し,その平均を CCT とした.測定時にプローブの先を角膜の中心に合わせ水平に保ち測定した.プローブの先が中心からずれたときには再測定した.測定結果は平均値±標準偏差で示した.各方法における測定値の比較,相関関係,再現性を検討した.再現性の評価は両方法ともに 3 回 CCT を測定し,その検者内再現性を検討した.統計学的解析として CCT の測定値の比較には pairedツ黴 t 検定,相関の検討には Pearson の積率相関係数,差の検討には Bland-Altmanツ黴 plot,再現性の検討には級内相関係数(1, 1)を使用した.また, すべての検定で p<0.05 を統計学的に有意とした.図 1SD OCTのプリントアウト例角膜を6 m m幅で 8 方向スキャンし,今回は 12 時から 6 時の垂直 1 方向の CCTを用いた.———————————————————————- Page 3あたらしい眼科Vol. 27,No. 1,201093(93)II結果1. CCTの測定値CCT 測定値は RTVue-100(以下,SD-OCT 群)によるものが 528.7±31.8 μm,ECHOSCANツ黴 UD1800(以下,US 群)によるものが 545.6±33.4 μm であり,SD-OCT 群の CCTが有意に薄かった(pairedツ黴 t 検定)(p<0.001).両者の間には Pearson の積率相関係数が 0.96(p<0.01)とかなり強い正の相関があった.Bland-Altmanツ黴 plot 分析による CCT の差(SD-OCT US)には,比例誤差はなかった(図 2).2. 測定機器の再現性級内相関係数(1,ツ黴 1)は,SD-OCT 群が 0.922(p<0.01),US 群が 0.950(p<0.01)であり,両者とも再現性が高かった.III考按白人を対象とした US による CCT の過去の報告では平均547 および 552 μm5,6)とされており,今回の US 群の CCTと同等の結果であった.US による CCT と比較して非接触型角膜内皮スペキュラーによるそれは有意に低値7,8)であるが,非接触型角膜内皮スペキュラーで測定した日本人正常眼の CCT は平均 517.5 μm であったと報告9)されている.今回使用した SD-OCT は TD-OCT と比較して赤外線の波長が短いため(SD-OCT は 840 n m,TD-OCT は 1,310 n m),より解像度の高い測定ができると思われるが,その反面,組織深達度が低い.解像度が高いという特徴を考慮すると角膜に関してより精密に分析することが可能と思われる.現在,SD-OCT で測定した CCT の報告はないが,今回の対象では SD-OCT による CCT は 528.7±31.8 μm という結果であり,US に比べ有意に薄かった.TD-OCT を用いた過去の報告10 14)(表 1)では,筆者らの結果と同様に OCT による CCT が US と比較し薄いとしているものが多い10 12,14)が,US による CCT 測定結果のほうが薄いとする報告13)もある.測定法による CCT の違いは,OCT と US だけに限ったものではない.スリットスキャン方式のオーブスキャンではUS と比較して CCT が厚い傾向がある8,15).この原因の一つとしてオーブスキャンは涙液層の厚みが含まれること16)やUS による CCT 測定では角膜前面から後面まででなく,Descemet 膜から前房の間のどこかを測定している可能性があることがあげられている17).これ以外にも,オーブスキャンや US に比較して非接触型角膜内皮スペキュラーによるCCT は有意に低値であったとの報告7,8)もあり,測定方法により違いがある.また,局所麻酔の点眼が CCT を増加させるとの報告18)もあり,筆者らは US の前に塩酸オキシブプロカインの点眼を施行しているので SD-OCT を測定するときよりも,US の測定時に角膜厚が実際に増加している可能性もある.今回のSD-OCT と US による CCT の違いは,SD-OCT が測定時,涙液層を含むことや US が角膜全層の測定をしていない可能性などの測定方法の違いや,局所麻酔の CCT への影響などが関係し,結果的に SD-OCT での CCT が薄くなったと考えられた.SD-OCT による CCT と US による CCT の相関は既報10)において高い相関があるが,今回も同様に高い相関があった.また,比例誤差もなく,CCT によらず測定値の差は同等に生じていると考えられた.再現性については,級内相関係数がどちらの測定機器も非常に高く,再現性は良好であることが示された.SD-OCTの測定速度は 20,000A-scan/秒であるのに対して TD-OCTは 200 2,000A-scan/秒であり,TD-OCT より SD-OCTは測定時間が短くなり,眼球運動による影響を受けにくいと考えられるが,TD-OCT での CCT は級内相関係数が 0.97と報告19)されており,筆者らの報告と同様に高い再現性であった.表1過去のTD OCTとUSによるCCTの比較の報告報告書TD-OCTUSKim HY ら10)499±32 μm525.3±33.5 μmBechmann M ら11)530±32 μm581±34 μmZhao PS ら12)527±34.1 μm542.3±36.7 μmLeung DY ら13)565±33 μm543±33 μmWong AC ら14)523±34 μm555±35 μm TD-OCT による CCT が US と比較し薄いとする報告が多い.図 2Bland Altman plotによるSD OCT群とUS群の差平均値= 16.87 μm,平均値+2 S D=2.93 μm,平均値 2 S D= 36.67 μm.CCT の差(SD-OCT US)には比例誤差はなかった. 100.00 -90.00 -80.00 -70.00 -60.00 -50.00 -40.00 -30.00 -20.00 -10.00 0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 450500550600650SD-OCTとUSの平均(?m)SD-OCT-USの差(?m)———————————————————————- Page 494あたらしい眼科Vol. 27,No. 1,2010(94)眼圧が緑内障の診断,治療の評価に重要な指標の一つであることを考えると,眼圧値に影響を与える角膜厚は正確に求める必要がある.SD-OCT の CCT 測定は目標を固定して測定でき,高い再現性が得られ,非接触式検査,非侵襲性であり有用である.今後,さまざまな方法で CCT が測定されると考えられるが,CCT は測定方法により違いがあることを認識する必要がある.本論文の要旨は第 19 回日本緑内障学会で発表した.文献 1) 中川智哉:角膜厚測定.眼科検査ガイド(眼科診療プラクティス編集委員編),p439-442,文光堂, 2004 2) 澤田明:角膜厚は眼圧測定値にどの程度影響するのか?あたらしい眼科 25(臨増):49-51, 2008 3) Copt RP, Ravi T, Mermoud A et al:Corneal thickness in ocular hypertension, primary open angle glaucoma, and normal tension glaucoma. Arch Ophthalmol 117:14-16, 1999 4) Gordon MO, Beiser JA, Brandt JD et al:The ocular hypertensionツ黴 treatmentツ黴 study:Baselineツ黴 factorsツ黴 thatツ黴 pre-dict the onset of primary open-angle glaucoma. Arch Ophthalmol 120:714-720, 2002 5) Hahn S, Azen S, Ying-Lai M et al:Central corneal thick-ness in Latinos. Invest Ophthalmol Vis Sci 44:1508-1512, 2003 6) Dohadwala AA, Munger R, Damji KF et al:Positive cor-relationツ黴 betweenツ黴 Tono-penツ黴 intraocularツ黴 pressureツ黴 andツ黴 cen-tral corneal thickness. Ophthalmology 105:1849-1854, 1998 7) Suzukiツ黴 S,ツ黴 Oshikaツ黴 T,ツ黴 Okiツ黴 Kツ黴 etツ黴 al:Cornealツ黴 thicknessツ黴 mea-surements:Scanning-slit corneal topography and noncon-tactツ黴 specularツ黴 microscopyツ黴 versusツ黴 ultrasonicツ黴 pachymetry.ツ黴 J Cataract Refract Surg 29:1313-1318, 2003 8) Laszlo M, Achim L, Berthold S et al:Scanning-slit and specular microscopic pachymetry in comparison with ultrasonic determination of corneal thickness. Cornea 20:711-714, 2001 9) Suzuki S, Suzuki Y, Iwase A et al:Corneal thickness in anツ黴 ophthalmologyicallyツ黴 normalツ黴 Japaneseツ黴 population.ツ黴 Oph-thalmology 112:1327-1336, 2005 10) Kim HY, Budenz DL, Lee PS et al:Comparison of central corneal thickness using anterior segment optical coher-ence tomography vs ultrasound pachymetry. Am J Oph-thalmol 145:228-232, 2008 11) Bechmann M, Thiel MJ, Neubauer AS et al:Central cor-nealツ黴 thicknessツ黴 measurementツ黴 withツ黴 aツ黴 retinalツ黴 opticalツ黴 coher-ence tomography device versus standard ultrasonic pachymetry. Cornea 20:50-54, 2001 12) Zhao PS, Wong TY, Wong WL et al:Comparison of cen-tral corneal thickness measurements by visante anterior segment optical coherence tomography with ultrasound pachymetry. Am J Ophthalmol 143:1047-1079, 2007 13) Leung DY, Lam DK, Yeung BY et al:Comparison between central corneal thickness measurements by ultrasound pachymetry and optical coherence tomogra-phy. Clin Exp Ophthalmol 34:751-754, 2006 14) Wong AC, Wong CC, Yuen NS et al:Correlation study of central corneal thickness measurements on Hong Kong Chinese using optical coherence tomography, orbscan and ultrasound pachymetry. Eye 16:715-721, 2002 15) Marsich MW, Bullimore MA:The repeatability of corneal thickness measures. Cornea 19:792-795, 2000 16) Liu Z, P ugfelder SC:Corneal thickness is reduced in dry eye. Cornea 18:403-407, 1999 17) Modisツ黴 Lツ黴 Jr,ツ黴 Langenbucherツ黴 A,ツ黴 Seitzツ黴 B:Scanning-slitツ黴 and specular microscopic pachymetry in comparison with ultrasonic determination of corneal thickness. Cornea 20:711-714,2001 18) Namツ黴 SM,ツ黴 Leeツ黴 HK,ツ黴 Kimツ黴 EKツ黴 etツ黴 al:Comparisonツ黴 ofツ黴 corneal thickness after the instillation of topical anesthetics. Proparacaine versus oxybuprocaine. Cornea 25:51-54, 2006 19) Sin S, Simpson TL:The repeatability of corneal and cor-neal epithelial thickness measurements using optical coherence tomography. Optom Vis Sci 83:360-365, 2006***