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ゲームを用いた弱視訓練機,立体視検査装置の開発

2010年7月30日 金曜日

0910-1810/10/\100/頁/JCOPY(133)993《原著》あたらしい眼科27(7):993.998,2010c〔別刷請求先〕大澤結:〒565-0871吹田市山田丘2-15大阪大学医学部付属病院眼科Reprintrequests:YuiOsawa,DepartmentofOphthalmology,OsakaUniversityHospital,2-15Yamadaoka,Suita,Osaka565-0871,JAPANゲームを用いた弱視訓練機,立体視検査装置の開発大澤結*1阿曽沼早苗*1金山素子*2鶴留康弘*3藤木かおり*4下條裕史*1永谷広行*5不二門尚*6*1大阪大学医学部感覚器外科学眼科*2財団法人日本生命済生会付属日生病院眼科*3医療法人明和病院眼科*4大阪府立急性期・総合医療センター眼科*5(株)東芝*6大阪大学医学部感覚機能形成学教室PleopticsEquipmentandStericStereosopicVisionExaminationEquipmentTrainingDevicesWhichHaveConceptsofGameUsingaPersonalComputer(PC)YuiOsawa1),SanaeAsonuma1),MotokoKanayama2),YasuhiroTsurudome3),KaoriFujiki4),HiroshiShimojyou1),HiroyukiNagatani5)andTakashiFujikado6)1)DepartmentofOphthalmology,OsakaUniversityHospital,2)DepartmentofOphthalmology,NisseiHospital,3)DepartmentofOphthalmology,MeiwaHospital,4)DepartmentofOphthalmology,OsakaGeneralMedicalCenter,5)ToshibaCorporation,6)AppliedVisualScience,OsakaUniversityMedicalSchool目的:今回筆者らは,パーソナルコンピュータ(PC)を用いてゲームの要素を取り入れた訓練,検査装置を開発したので報告する.方法:正常者10名(男性5名,女性5名),年齢は23.30歳(平均年齢25.7±2.6歳)を対象に,2Dおよび3Dの表示装置(東芝試作機)に視標の大きさ,および視差を可変表示して,カードゲームの神経衰弱類似のゲームを行わせた.検討1:被検者の非優位眼の視力を遮閉膜(Ryser社)を用いて(0.1)(0.2)(0.3)(0.4)に低下させ単眼視下で,2Dのレベル1.9(視標サイズ:直径2.0.2cm)の検査を行い,全員がpassできた最高のレベル(最小の視標サイズ;LVmax)と視力,視力とpassthestagetimeについてを検討した.検討2:検討1と同様に非優位眼の視力を低下させた両眼開放下と単眼視下で,3Dでレベル1(単眼視視標),2.8(900.150″)の検査を行い,全員がpassできた最高のレベル(最小の視差;LSmax)と視力,視力とpassthestagetimeについて検討した.結果:検討1で,LVmaxは,視力低下に応じて低下した.また,視力が下がるごとに,passthestagetimeは延長した.検討2で,LSmaxは視力低下に応じてレベル2.4に低下した.単眼視ではLSmaxはレベル1であった.Purpose:Westudiedtheefficacyofnewlydevelopedtrainingdeviceswhichhaveconceptsofgameusingapersonalcomputer(PC).Method:Weexamined10normalvolunteers(5males,5females;agerange23.30years;averageage25.7±2.6years),using2Dor3Dtargetsofvariablesizeorparallax,displayedonscreen.Subjectswereinstructedtoagamesimilartothenervousbreakdown.Examination1:Wedecreasedthevisionofthesubjects’non-dominanteyeswithaocclusion(Rysercompany)to0.1,0.2,0.3and0.4andexaminedlevel1-9of2D(targetsizevariedfrom2to0.2cmindiameter)underconditionofmonocularvision,andinvestigatedtherelationofthelevelatwhichallmemberscanpass(smallestparallax;LVmax)andvisualacuity,andtherelationshipbetweenvisualacuityandpassthestagetime.Examination2:AsinExamination1,wedecreasedthevisualacuityofthenon-dominanteyesandexaminedunderconditionofmonocularvisionandlevel2-8(900-150.)in3D,andinvestigatedtherelationshipbetweenthelevelatwhichallmemberscanclear(smallestparallax;LSmax)andthevisualacuity,betweenvisualacuityandpassthestagetime.Results:Examination1showedthatLVmaxdecreasedwiththedecreaseinvisualacuity.Inaddition,passthestagetimeshowedinrelationtothedecreaseinvisualacuity.Examination2showedthatLSmaxdeterioratedtolevel2-4dependingonthedecreaseinvisualacuity.Undermonocularcondition,LSmaxwaslevel1.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)27(7):993.998,2010〕Keywords:弱視訓練装置,3Dディスプレイ,立体視検査.pleopticsequipments,3Ddisplay,stericstereoscopicvisionexamination.994あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010(134)はじめに弱視治療には,眼鏡,健眼遮閉,ペナリゼーションなど1.7)が行われており,家庭での弱視訓練は,迷路やぬり絵などの紙を使った遊びやビーズ通しなどの手作業などが主流である.しかし,訓練が長期にわたったり,年齢が高い場合,これらの従来の課題に飽きてしまい訓練が持続しない症例も少なくない.このように訓練を継続できない理由の一つとして,課題が弱視患児の視力に見合っていない可能性も考えられる.一方,NintendoDSのようなコンピュータゲームを訓練機器として指示する場合もあるが,コンピュータゲームも患者の視力に応じたものにはなっていない.また,外来受診時の近見立体視検査の主流はチトマスステレオテスト(TitmusStereoTests:以下TST)のCircletestやLangstereotest,TNOstereotestなどであるが,同じ検査をくり返し施行していると興味が低下してしまう症例も経験する.現代では,幼小児や児童のいる家庭におけるパソコンの所有率は高く,弱視訓練や立体視検査の対象となる子どもにとってもパソコンは身近で馴染み深い機器である.今回筆者らは,パソコンを使用するゲームの要素を取り入れた弱視訓練,立体視検査装置を開発し試用したので報告する.I対象および方法1.対象対象は,矯正視力が(1.5)で顕性の眼位ずれがなく,TSTにて40秒の立体視機能が認められた正常者10名(男性5名,女性5名)で,年齢は23歳.30歳(平均年齢25.7±2.6歳)であった.2.器機の仕様弱視訓練用の装置(以下2D装置:東芝試作機)(図1)は,ディスプレイのサイズが縦27.0cm×横37.0cmの平置き型ディスプレイ(以下,2Dディスプレイ)であり,解像度はXGA(1,024×768)で,標準的な使用距離は65cmである.この装置を用いて,カードゲームの神経衰弱様のゲームを行わせる.画面上に提示された多数の視標のなかから同じ絵柄のペア視標をマウスで一つずつクリックしていく.正解すれば視標は消えて,最終的に画面上の視標がなくなれば終了(passthestage)となる.レベル1(易しい)からレベル9(難しい)までの9段階のレベルが用意されており,レベル1では20mm径サイズのペア視標が5組提示され,レベルが上がるほど視標サイズは小さく組数は増加する(図2).ゲームを「pass」すると,passthestageに要した時間「passthestagetime」と「ランク」が表示される設定となっている.「ランク」はA.Eまである.立体視検査用の装置(以下,3D装置:東芝試作機)(図1)は,ディスプレイのサイズが縦27.0cm×横37.0cm(15インチ),解像度はWideUXGA(1,920×1,200)の平置き型ディスプレイ(以下,3Dディスプレイ)であり,インテグ2D装置3D装置図1装置の写真レベルペア数視標の大きさ1520mm2815mm31012mm4129mm5147mm6165mm7184mm8183mm9182mm低高難易度図22Dのレベル設定レベルが高くなるとペア数は増え視標は小さくなり,難易度が上がる.(135)あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010995ラルイメージング方式(II式)(図3)が用いられている.従来の2眼式ディスプレイは,左右画を1枚ずつ計2枚作成して再生しているためはっきり見える位置(ビューポイント)が存在するが,II式立体ディスプレイは,縦と横に4枚ずつ,計16枚の画を使用して再生しているのでビューポイントはなくはっきり見える範囲(視域)が広い.実際の物体からの反射光線と同様の光線を16枚画でそれぞれに再現をしており,16枚の画がある範囲(視角30度)であれば顔の位置がどこにあっても立体感を得やすい構造となっている.3D装置のゲームも2D装置同様の神経衰弱様であり,同じ絵柄のペアの視標をクリックにより消していく.レベル1(易しい)からレベル8(難しい)までの8段階のレベルがある.レベル1は視標自体が2Dであり単眼視でもpassできるが,以降のレベルでは視標に視差がついている.レベル2では,大きくて(視角2.5度)視差の大きい(900″)2つでワンペアの4種類の絵柄の視標が2組ずつ提示され,レベルが上がるに従い視標サイズも視差も小さくなる(図4).同じ絵柄であっても視差が一致しなければ正解とはならない.両装置とも,絵柄の種類や組数,絵柄の大きさ,視差量などは,すべてプログラムで設定ができ,訓練レベルに応じて任意に設定値の変更が可能である.3.方法検討1:対象者の優位眼を遮閉し非優位眼の視力を遮閉膜(Ryser社製)にて(0.1)(0.2)(0.3)(0.4)に低下させ,それぞれの視力のときに,単眼視下で2D装置のゲームをレベル1から順次施行した.検討2:対象者の非優位眼の視力を同上の遮閉膜を用いて(0.1)(0.2)(0.3)(0.4)に低下させたときの両眼視下と,優位眼のみの単眼視下で3D装置のゲームをレベル1から順次施行した.両検討とも完全矯正下で行い,被検者が視標が判別できないと答えた場合はリタイヤとし,各レベルにおける視力とpassした人数,視力とpassthestagetimeの関係について比較検討を行った.検討2では3D装置での結果とTSTのCircletestの結果との比較も行った.II結果検討1視力とpassした人数についての関係をグラフに示す(図5).各視力における,全員がpass可能な最高レベル(最小の視標サイズ:LVmax)は,視力が1.5ではレベル8,0.4ではレベル6,0.3ではレベル6,0.2でレベル3,0.1でレベル2と,視力が下がるに従いLVmaxは低下し,どの視力においてもレベルの難易度が高くなるほどpassした人数は減少していた.視力とpassthestagetimeについての関係を図6に示す.視力が下がるにつれ,またレベルが上がるにつれてpassthestagetimeは延長した.検討2視力とpassした人数についての関係をグラフに示す(図7).各視力における,全員がpass可能な最高レベル(最小の視差:LSmax)は,片眼視力が1.5のときはレベル6,0.4表示オブジェクト視域3Dディスプレイ視点II方式2眼式図3II方式と多眼(2眼)式の違い2眼式ディスプレイは,左右画を1枚ずつ計2枚作成して再生しているためビューポイントが存在するが,II方式立体ディスプレイは,縦と横に4枚ずつ,計16枚の画を使用して再生しているのでビューポイントはない.実際の物体からの反射光線と同様の光線を16枚画でそれぞれに再現をしており,16枚の画がある範囲(視角30度)であれば顔の位置がどこにあっても立体感を得やすい構造となっている.〔(株)東芝よりスライドご提供〕レベルペア数視角15種24種2ペア34種3ペア44種3ペア54種3ペア63種4ペア73種4ペア82.8度2.5度2.3度2.3度2.3度2.0度2.0度2種4ペア1.8度2種3ペア低高難易度視差900″600″450″300″300″150″150″図43Dのレベル設定レベル1は視差がない視標であり,単眼でもできるように設定してある.レベルが高くなるにつれて視標サイズ・視差は小さくなり,難易度が上がる.996あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010(136)ではレベル4,0.3ではレベル3,0.2ではレベル2,0.1でレベル2,単眼視でレベル1と,視力が下がるにつれてLSmaxは低下し,すべての視力において難易度が高いレベルほどpassした人数は減少していた.また,片眼視力が0.2以下と単眼視では,有意な差は認められなかった.視力とpassthestagetimeについての関係を図8に示す.片眼の視力が低下するに従い,また,レベルが上がるに従ってpassthestagetimeは延長する傾向がみられた.TSTと3D装置の比較は,片眼視力が0.4と0.3の場合について行った.両者の視差量が近似する視標である,TSTのCircletestの400秒と3D装置の450秒(レベル4),circlesの140秒と3D装置の150秒(レベル7)でのpassした人数の比較を行った.結果を図9に示す.視力が0.4のときは,視差が約150秒ではTSTのほうが正答率が高かった.視力が0.3のときは,視差が約400秒では3Dのほうが正答率が高く,視差が約150秒ではTSTのほうが正答率が高くなったが,有意差はなかった(n.s.:FisherExacttest).III考按従来の弱視訓練には迷路遊びやぬり絵などの比較的低視力でも対応できる課題や,ビーズ通しなどの比較的高い視力や,両眼視なしではむずかしい課題がある.これらは視力や両眼視機能を考慮した適切な課題の選択がむずかしく,視力に見合わない不適切な課題を与えてしまうこともあり,それが子どもの興味が続かない理由になっている可能性もある.最近では,ゲーム機やパソコンが家庭にも普及しており,子どもたちにも興味深い機器であることは疑いようがない.今回,筆者らはこれらの機器を利用した新しい弱視訓練装置と立体視検査装置の開発を試みた.この装置は,2D,3Dともにマウス操作のため,5.6歳程度から可能で,精神発達障害などのメンタル面での問題がある小児では,5.6歳であってもむずかしいと考える.今後,タッチパネル式など低年齢からでも行えるように改良が必要であると思われる.視標はカラー表示され子どもが興味をもちそうな絵柄を使用しており,ゲーム感覚で行えるインタラクティブ性をもたせて109876543210123456789人数(人)レベルLVmax866321.50.40.3視力0.20.1図52D装置:視力とpassした人数視力が下がるごとにLVmaxは低下し,特に難易度が高いレベルほどその傾向がみられた.10987654321012345678人数(人)LSmax64321レベル1.50.40.3視力0.20.1単眼視2図73D:視力とpassした人数についてのグラフ右端に単眼視での結果を示す.視力が下がるごとにLSmaxは低下し,特に難易度が高いレベルほどその傾向がみられた.160140120100806040200時間(秒)123456789レベル1.50.40.3視力0.20.1図62D装置:視力とpassthestagetime視力が下がるごとに,passthestagetimeは延長し,ゲーム終了に要する時間は,0.1になると,著明な延長がみられた.9080706050403020100時間(秒)12345678レベル1.50.40.3視力0.20.1単眼視図83D装置:視力とpassthestagetimeゲーム終了に要する時間は,片眼の視力が低下するとpassthestagetimeは延長した.(137)あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010997いる.カラー視標について,今回の機器では,2D,3Dともに同ペアでは,絵柄や色は同じのため,コントラスト,輝度は一定であるが,異なるペア同士では絵柄や色は違うため,コントラスト,輝度は異なり,同じ視差でもpassできる絵柄とできない絵柄が出てくる可能性は考えられる.今回は絵柄や色の違いにより,できるペアとできないペアが出てくることはなかったが,今後,検討が必要であると思われる.しかし,色を変えることで立体視をできやすくし,達成感を得やすくすることも必要だと考えている.弱視訓練用の2D装置については,passthestagetimeとランクが表示されるため,迷路遊びなどの紙で行う課題と比較すると,2D装置のほうが達成感は沸きやすく,くり返し挑戦する意欲も起こりやすいと考えられる.やり直しなども容易にできるため,エコロジカルでありコスト面でも負担が少なくてすむ.今回の検討は,条件の項で述べた設定で行ったが,絵柄の種類や組数,絵柄の大きさ,視差量などはすべてコンフィング・ファイル形式で設定が可能であり,弱視の程度や興味によって任意に選択できる.今回の設定での結果によると,視力が0.3.0.4の場合,全員がpass可能な最高レベル(LVmax)はレベル6であることから,レベル6までは視力に見合ったレベルであり,それ以上のレベル7.9はこの視力ではむずかしいレベルであると評価できる.同様に,視力が0.2の場合のLVmaxはレベル3,視力が0.1の場合のLVmaxはレベル2までが適切なレベルであると考えられる.また,passthestagetimeの結果を目安にして訓練レベルが適切かどうかを評価することもできると考える.視力が0.4の場合,レベル6の平均passthestagetimeは44.3秒であり,視力が0.3だとレベル6の平均のpassthestagetimeは49.2秒であった.レベル6のpassthestagetimeがそれ以上かかるようであれば,訓練レベルを一段階落とすことが適切と評価すればよい.今回は,0.1の視力までしかシミュレーションを行っていないため,今後,どの程度の視力までこの装置で対応が可能であるか検討を行う予定である.また,passthestagetimeの向上を弱視訓練の視標とすることに対しては,本検査が運動系のskillも反映する可能性があることも併せて検討する必要がある.しかしながら,日常生活は目で見て行動するというEye-Handcoordinationが必須であり,その意味でpassthetimeは実用的な視力の指標といえる可能性がある.両眼視機能検査装置として,立体ゲーム機を応用した両眼視機能検査8)や動的立体視検査装置9),SANYO社製液晶型立体表示装置10),小型液晶ディスプレイを用いた立体視検査装置11)が過去に開発され,一部は商品化されている.今回の3D装置の特徴は,ディスプレイにインテグラルイメージング方式(II式)を採用しているためビューポイント視力0.41086420人数(人)10663412800000000TST(400)3D(450)視力0.31086420人数(人)TST(400)3D(450)視力0.41086420人数(人)TST(140)3D(150)視力0.31086420人数(人)TST(140)3D(150)図9TitmusStereoTest(TST)と3Dの比較片眼視力を0.4と0.3にした場合の比較.左側は視差が約400秒,右側は視差が約150秒の場合の結果.視差400秒の場合,TSTと3Dの正答者数に差はなく,視差150秒の場合は,TSTはできるが,3Dができない人数のほうが多い傾向がみられたが,有意性はなかった.998あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010(138)がなく,視角30度の範囲であれば顔の位置がどこにあっても立体感が得やすくなっているという構造上の特徴と,ゲーム性をもたせ視力に応じた検査が可能である点である.ゲーム性があることは子供の興味を引き出しやすい.3D装置について,全員がpass可能な最高レベルであるLSmaxと視力について検討した結果,片眼視力の低下とともにLSmaxが低下した.過去の報告では,片眼の視力低下の場合,視力が0.3になると立体視機能は低下し,視力0.2では立体視のないものがほとんどであった12.14)と報告されており,今回の筆者らの結果と一致した.先の報告で用いられた立体視検査はTSTやLangであり,今回の3D装置はこれらと同等の立体視検出能力をもつものと考えられた.ところが,TSTと3D装置の比較をした結果,有意差はなかったが,視差が小さくなると3DよりもTSTのほうが正答率が高い傾向となったのは,以下の理由が考えられた.同じ絵柄のペア視標をディスプレイ上に見つけるためには,眼球運動や,周辺視野の機能も必要である.この点でTSTより難易度が高いと思われた.今回は,3D検査装置として本3D装置を位置付けているが,passthetimeの向上を目指すトレーニングを行うことも可能である.その場合の目標は,(1)弱視がある場合,両眼視時のEye-Handcoordinationも含めた日常両眼視を向上させる,(2)動物実験レベルで臨界期を過ぎても訓練により視差による立体視が向上するという報告があり(ChinoY,私信),立体視の臨界期を過ぎた小児においても立体視の向上を希求する.この2点が考えられるが,これらの点についてはさらなる検討が必要である.2D装置,3D装置を数名の子どもに実際に見せたところ,マウス操作などに問題はなく,興味深く施行し,おもしろかったとの感想を得た.今後は,多数の子どもに施行して検討を続けていく予定である.文献1)BholaR,KeechRV,KutschkePetal:Recurrenceofamblyopiaafterocclusiontherap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