———————————————————————-Page1(105)14330910-1810/08/\100/頁/JCLSあたらしい眼科25(10):14331438,2008c〔別刷請求先〕小林博:〒802-8555北九州市小倉北区貴船町1-1小倉記念病院眼科Reprintrequests:HiroshiKobayashi,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,KokuraMemorialHospital,1-1Kifune-machi,Kitakyusyu802-8555,JAPAN線維柱帯切除術におけるAdjustableSuturesとレーザー切糸術との比較小林博*1小林かおり*2*1小倉記念病院眼科*2倉敷中央病院眼科ComparisonofIntraocularPressure-loweringEfectofAdjustableSuturesandLaserSutureLysisinTrabeculectomyHiroshiKobayashi1)andKaoriKobayashi2)1)DepartmentofOphthalmology,KokuraMemorialHospital,2)DepartmentofOphthalmology,KurashikiCentralHospital目的:強膜縫合に対してadjustablesuturesおよび従来のレーザー切糸術を用いた線維柱帯切除術の降圧効果を比較検討した.方法:対象は線維柱帯切除術を施行し,6カ月以上経過観察を行った40名である.20名に対してはadjustablesuturesを用い,20名に対してはレーザー切糸術を使用した.Adjustablesuturesは,Khawらが報告した方法を用い,強膜弁の両隅を10-0ナイロン糸で3-1-1で縫合した後,3辺を1本ずつのナイロン糸で4-0-0で仮縫合した.術後,仮縫合を結膜上から鑷子で緩めて眼圧を調節した.レーザー切糸群は強膜弁を7本のナイロン糸で縫合し,術後眼圧はレーザー切糸で調整した.結果:ベースライン眼圧は,adjustablesuture群が28.1±2.9mmHg,レーザー切糸群が27.6±3.0mmHgであり,両群間に有意差はなかった.手術1カ月後,3カ月後および6カ月後の眼圧はadjustablesuture群が11.2±2.0mmHg,11.8±2.0mmHg,11.9±2.4mmHg,レーザー切糸群が10.5±2.0mmHg,11.7±2.9mmHg,13.0±3.3mmHgであり,術後のいずれの時期においても,両群とも術前に比較して有意に下降していた(すべての時期においてp<0.0001).手術1カ月後,3カ月後および6カ月後の眼圧の変化は,adjustablesuture群が16.9±3.3mmHg(59.9±7.9%),16.3±3.2mmHg(57.7±7.7%),16.2±3.8mmHg(57.1±9.6%),レーザー切糸群が17.1±5.5mmHg(61.4±9.0%),16.0±4.3mmHg(57.3±11.5%),14.7±4.5mmHg(52.6±12.8%)であり,術後のいずれの時期においても,adjustablesuture群は眼圧下降が大きかったが両群間に有意差はなかった.Adjustablesuture群では仮縫合を緩める操作あるいはレーザー切糸術後に浅前房をきたした症例はなかったが,レーザー切糸術群では4名がみられた.結語:眼圧下降作用は,adjustablesuture群はレーザー切糸術群と同等であった.Adjustablesuturesは,仮縫合を緩める操作あるいはレーザー切糸術後に低眼圧および浅前房をきたすことが減少させる可能性があると考えられた.Tocomparetheintraocularpressure-loweringeectandsafetyofadjustablesuturesandlasersuturelysisintrabeculectomy,weconductedaprospectiveclinicalstudycomprising40patientswithopen-angleglaucomahav-ingintraocularpressuregreaterthanorequalto22mmHg.Ofthesepatients,20underwenttrabeculectomyusingadjustablesuturesand20underwenttrabeculectomyusingconventionalsuturesandlasersuturelysis.AdjustablesutureswereimplementedasreportedbyKhawetal.Meanbaselineintraocularpressurewas28.1±2.9mmHgintheadjustablesuturegroupand27.6±3.0mmHginthelasersuturelysisgroup.Meanpostoperativeintraocularpressurewas11.2±2.0mmHg,11.8±2.0mmHgand11.9±2.4mmHgintheadjustablesuturegroupand10.5±2.0mmHg,11.7±2.9mmHgand13.0±3.3mmHginthelasersuturelysisgroupat1,3and6months,respective-ly;therewasnosignicantdierencebetweenthetwogroupsatanyvisit.Shallowanteriorchamberwasfoundinnopatientintheadjustablesuturegroupandin4patientsinthelasersuturelysisgroupafterlooseningoftheadjustablesuturesorlasersuturelysis.Therewasnosignicantdierenceinhypotensiveeectbetweentheadjustablesuturegroupandthelasersuturelysisgroup.Theuseofadjustablesuturesmayreducetheincidence———————————————————————-Page21434あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008(106)はじめに薬物治療で制御できない緑内障に対しては,一般的に線維柱帯切除術が行われている.しかし,線維柱帯切除術の合併症としては,術後早期での低眼圧,浅前房,脈絡膜離,前房出血,術後晩期での白内障の進行および濾過胞に由来する眼内炎が知られており,その頻度は決して低くない14).術後早期の合併症の多くは過剰な濾過に起因しているために,術中,強膜弁をしっかりと縫合し,術後に眼圧を調節するためにレーザーで切糸することが行われる5)が,Khawらが線維柱帯切除術において術中に仮縫合しておいた10-0ナイロン糸を,術後に鑷子などで緩められるadjustablesutures法を報告しており6),筆者らも良好な成績を報告している7).今回,線維柱帯切除術において,adjustablesutures法と従来の縫合してレーザー切糸で眼圧を調節する方法を比較検討した.I対象および方法対象は,薬物治療にかかわらず眼圧が22mmHg以上の開放隅角緑内障40名40眼である.全例とも緑内障手術を含めた内眼手術の既往がない症例である.閉塞隅角緑内障,外傷性緑内障,ぶどう膜炎による緑内障,血管新生緑内障および高血圧,糖尿病などの全身性合併症は除外した.6カ月間において,眼圧の変化について観察した.対象患者に対してすべて,Humphrey視野検査,隅角鏡検査,共焦点レーザートモグラフを含む眼科的検査を施行した.患者を登録後,封筒法によって無作為に2群に分け,1群は強膜縫合にadjustablesuturesを用い(adjustablesuture群),もう1群は従来の縫合を使用した(レーザー切糸群).経過観察開始後の眼圧はベースライン眼圧測定時±1時間に測定した.ベースライン眼圧は,経過観察前2週間ごとに3回眼圧を測定し,その平均値とした.眼圧はGoldmann圧平眼圧計で3回測定し,その平均値を統計処理には用いた.安全性は,術中および術後の合併症の頻度によって評価した.低眼圧は,術後に眼圧が4mmHg以下に下降した場合と定義した.浅前房はTeehasaeneeとRitchの報告に拠ったが,術後,仮縫合を緩めた場合あるいはレーザー切糸の場合,処置後の前房深度が処置前に比較して30%以上減少した場合は処置後前房深度減少とした.前房出血は,術後に前房の下方に細隙灯顕微鏡で出血が確認できた場合とした.高眼圧は,術翌日の眼圧が術前に比較して3mmHg以上上昇した場合とした.1.手術手技(図1)12時部位の球結膜をできるだけ輪部に沿って8mm切開して,円蓋部基底の結膜弁を作製した.外方強膜弁を作製する部位を露出し,マイトマイシンC0.04%を強膜に塗布した後,250mlBSS(平衡食塩液)を用いて洗浄した.輪部を基底として,大きさが4×4mm,厚さは強膜全層の1/3の方形の外方強膜弁を作製した.その内側に,大きさが3×1.5mmで,強膜床が50100μmになるように内方弁を作製した.さらに,Schlemm管外壁を開放し,角膜側に離した後に幅2mmのDescemet膜を露出した.内方弁を切除した後に,離したDescemet膜の中央に0.5×0.5mmの切開を加えた.その後,虹彩切除を施行した.強膜外方弁は以下のように縫合した.1)Adjustablesuture群:外方弁の両隅を10-0ナイロン糸を用いて3-1-1で縫合した.外強膜弁の3辺の中央を10-0ナイロン糸を4回の仮縫合でしっかりと縫合した.2)レーザー切糸群:外方弁を57本の10-0ナイロン糸を縫合に用いて3-1-1で縫合した.その後,両群とも結膜を10-0ナイロン糸35糸で,結膜の両切断端をピーンと張るように伸ばして角膜縁に縫合するwingstretch法を用いて縫合した.2.術後管理手術後,すべての緑内障薬を中止し,デキサメタゾン0.1%およびレボフロキサシン0.1%を3回/日,1カ月間点眼させた.術後眼圧下降あるいは濾過胞形成が不十分な場合,以下のように調整した(図2).1)Adujustablesuture群:仮縫合を無鉤鑷子あるいは綿棒を用いて結膜上から緩めた.それで十分に眼圧が下降しない場合,両隅の10-0ナイロン糸をレーザーで切断した.2)レーザー切糸群:レーザーを用いて10-0ナイロン糸を切断した.中止例は,(1)連続して2回の検査で,眼圧が21mmHg以上であった場合,(2)予定された診察を受けなかった場合とした.脱落・中止症例では,脱落・中止直前の診察時の眼圧を最終診察時の眼圧とした.3.統計解析標本の大きさは,標準偏差3mmHg,危険率5%として,少なくとも3mmHgの眼圧の差異を90%の検出力で検出でofshallowanteriorchamberandhypotonyafterlooseningofadjustablesuturesorlasersuturelysis.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)25(10):14331438,2008〕Keywords:線維柱帯切除術,adjustablesuture,レーザー切糸.trabeculectomy,adjustablesuture,lasersuturelysis.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081435(107)きる症例数とした.連続変数の比較には,両側Studentt-検定を用いた.分割表での比較には,c2検定,Fisher検定を用いた.生命表での生死判定に関しては,2回連続して21mmHg以上であるときは「死亡」とした.II結果表1に,患者の背景をまとめた.平均年齢は,adjustablesuture群が69.9±9.0歳,レーザー切糸群が69.7±7.9歳であり,年齢,性,視力,視野,視神経乳頭陥凹において両群BCDE強膜弁縫合虹彩切除Descemet膜に小孔Adjustablesuture群外方弁作製内方弁作製Descemet膜?離4mm4mm1.5mm2.5mm2mm円蓋部結膜切開マイトマイシンC3分間塗布BSSで洗浄結膜縫合Wingstretchレーザー切糸群AF図1手術術式A:12時部位の球結膜をできるだけ輪部に沿って8mm切開して,円蓋部基底の結膜弁を作製した.外方強膜弁を作製する部位を露出し,マイトマイシンC0.04%を強膜に塗布した後,250mlBSSを用いて洗浄した.輪部を基底として,大きさが4×4mm,厚さは強膜全層の1/3の方形の外方強膜弁を作製した.B:その内側に,大きさが3×1.5mmで,強膜床が50100μmになるように内方弁を作製した.C:さらに,Schlemm管外壁を開放し,角膜側に離した後に幅2mmのDescemet膜を露出した.D:内方弁を切除した後に,離したDescemet膜の中央に0.5×0.5mmの切開を加えた.E:その後,虹彩切除を施行した.F:強膜外方弁は以下のように縫合した.Adjustablesuture群では外方弁の両隅を10-0ナイロン糸を用いて3-1-1で縫合した.外強膜弁の3辺の中央を10-0ナイロン糸を4回の仮縫合でしっかりと縫合した.レーザー切糸群では外方弁を57本の10-0ナイロン糸を縫合に用いて3-1-1で縫合した.その後,両群とも結膜を10-0ナイロン糸35糸で,結膜の両切断端をピーンと張るように伸ばして角膜縁に縫合するwingstretch法を用いて縫合した.A.Adjustablesuture群B.レーザー切糸群鑷子レーザーレーザー図2術後処置A:術後眼圧下降あるいは濾過胞形成が不十分な場合,adujustablesuture群では仮縫合を無鉤鑷子あるいは綿棒を用いて結膜上から緩めた.それで十分に眼圧が下降しない場合,両隅の10-0ナイロン糸をレーザーで切断した.B:レーザー切糸群ではレーザーを用いて10-0ナイロン糸を切断した.———————————————————————-Page41436あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008(108)間に有意差はなかった.1.眼圧の変化ベースライン眼圧は,adjustablesuture群が28.1±2.9mmHg,レーザー切糸群が27.6±3.0mmHgであり,両群間に有意差はなかった.手術1カ月後,3カ月後および6カ月後の眼圧はadjustablesuture群が11.2±2.0mmHg,11.8±2.0mmHg,11.9±2.4mmHg,レーザー切糸群が10.5±2.0mmHg,11.7±2.9mmHg,13.0±3.3mmHgであり,術後のいずれの時期においても,両群とも術前に比較して有意に下降していた(すべての時期においてp<0.0001)(図3).手術1カ月後,3カ月後および6カ月後の眼圧の変化は,adjustablesuture群が16.9±3.3mmHg(59.9±7.9%),16.3±3.2mmHg(57.7±7.7%),16.2±3.8mmHg(57.1±9.6%),レーザー切糸群が17.1±5.5mmHg(61.4±9.0%),16.0±4.3mmHg(57.3±11.5%),14.7±4.5mmHg(52.6±12.8%)であり,手術3カ月後のいずれの時期においても,adjustablesuture群がレーザー切糸群に比較して大きかったが両群間に有意差はなかった(図4).手術6カ月後において,無治療で眼圧が20mmHg以下である症例数は,adjustablesuture群が19名(95%),レーザー切糸群が19名(95%)であり,両群に差はなかった(図4,表2).無治療で眼圧が16mmHg以下である症例数は,図4生命表における無治療での20mmHg以下(A)および16mmHg以下(B)の生存確率生命表での生死判定に関しては,2回連続して21mmHg以上であるときは「死亡」とした.:Adjustablesuture群:Lasersuturelysis群期間(月)確率1.00.80.60.40.20.0012345期間(月)1.00.80.60.40.20.001234566A.眼圧20mmHgB.眼圧16mmHg表1患者の背景Adjustablesuture群レーザー切糸群患者数20名20名男性女性9(45%)11(55%)10(50%)10(50%)年齢69.9±9.0歳(4784歳)69.7±7.9歳(5382歳)視力0.889(0.31.0)0.827(0.81.0)LogMAR視力0.051±0.1320.082±0.222Humphrey視野測定(Meandeviation)15.67±6.46dB(5.6726.33dB)15.95±5.57dB(4.8827.48dB)陥凹面積/乳頭面積比0.613±0.178(0.348to0.842)0.621±0.185(0.358to0.882)眼圧28.1±2.9mmHg(2332mmHg)27.6±3.0mmHg(2334mmHg)図3眼圧の変化A:眼圧の推移,B:眼圧変化値の推移,C:眼圧変化率の推移B眼圧変化値(mmHg)0-5-10-15-20-25期間(月)0123456C眼圧変化率(%)100-10-20-30-40-50-60-70-80期間(月)0123456A眼圧(mmHg)3530252015105期間(月)0123456:Adjustablesuture群:Lasersuturelysis群———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.10,20081437(109)adjustablesuture群が19名(90%),レーザー切糸群が17名(85%)であり,adjustablesuture群が良好であったが有意差はなかった(図4).2.術後処置および合併症術後処置としては,adjustablesuture群の11名(55%)は仮縫合を緩めたが,それで不十分であったので4名(20%)は両隅のナイロン糸をレーザーで切断した.レーザー切糸群は13名(65%)がレーザーで10-0ナイロン糸を切断した(表3).その後,レーザー切糸群では前房深度が有意に減少したのに対して,adjustablesuture群では認められなかった(p=0.0350).各群とも,1名(5%)にニードリング濾過胞形成術を施行した(表3).術中合併症は,両群ともみられなかった.術後合併症として,低眼圧および浅前房がadjustablesuture群で1名(5%),レーザー切糸群で2名(10%)に認められたが,いずれの合併症でも両群間に有意差はなかった(表4).III考按強膜弁の縫合にadjustablesutureを用いた線維柱帯切除術は,従来のレーザー切糸を使用した線維柱帯切除術とほぼ同様な眼圧下降効果が得られた.低眼圧および浅前房の発症頻度が5%であり,過剰な濾過による合併症が従来のレーザー切糸を用いた線維柱帯切除術と有意差はなかった.従来,術後早期の眼圧調整には,レーザー切糸術や鑷子などで糸を抜くreleasablesuturesで行われてきた5,8).その問題点として,糸を切ったり抜いたりするとその糸が弁を抑えられなくなり,その処置直後に浅前房あるいは低眼圧をきたす危険性があった.それに対して,adjustablesuturesでは糸を緩めることで糸が弁を抑える加減を調整でき,浅前房を起こしにくいことが特徴である.今回の研究では,adjust-ablesuturesを緩めた場合あるいはレーザー切糸後に30%以上前房深度減少が,adjustablesutureを用いた症例ではみられなかったのに対して,レーザー切糸群では4名に認められた.また,レーザー切糸術では,切糸の本数で眼圧を調整するために7本かけていたのに,糸が弁を抑える力を調整できるためにかける糸の本数を減少させることができるようになった.レーザー切糸術では,低熱量のレーザーとはいえ,結膜,Tenon,強膜に熱傷が起こり,炎症が起こることは否めない.それによって,‘ringofsteel’などの結膜瘢痕化が生じる可能性があると考えられ,adjustablesutureではレーザーによる熱作用を減らすことができると思われた.元来,Khawの報告では10-0ナイロン糸を緩める際には,特殊な鑷子が用いられていた5)が,基本的はに無鉤鑷子であればよく,綿棒でも代用できた.眼球マッサージでも糸を緩めることができるので,マッサージしながら糸を緩めて眼圧を調整することも可能であった.術中手技も簡単であり,今後,レーザー切糸術の代用になるものと考えられた.本研究の第一の問題点は,単盲検試験であるために,バイアスの可能性が高く信頼性が低いことである.第二の問題点は,症例数が少ないことである.そのため,手術3カ月以降のいずれの時期でも,adjustablesutureを用いた線維柱帯切除術群は,レーザー切糸群に比較して眼圧下降は大きかっ表2術前および6カ月後の眼圧,薬剤数の変化と成功率Adjustablesuture群レーザー切糸群p値患者数20名20名─術前眼圧28.1±2.9(2334)27.6±3.0(2334)─薬剤数3.3±0.6(24)3.2±0.7(24)─6カ月後眼圧12.6±2.7(818)12.6±4.3(824)─薬剤数0.05±0.22(01)0.15±0.67(03)─無投薬で≦20mmHg19(95%)19(95%)─投薬(+/)で≦20mmHg20(100%)19(95%)─無投薬で≦16mmHg19(95%)17(85%)─表4合併症の頻度Adjustablesuture群(20名)レーザー切糸群(20名)p値低眼圧1(5%)2(10%)─浅前房1(5%)2(10%)─脈絡膜離1(5%)1(5%)─高眼圧2(10%)2(10%)─前房出血0(0%)1(5%)─虹彩前癒着0(0%)0(0%)─虹彩後癒着0(0%)0(0%)─濾過胞の平坦化0(0%)1(5%)─白内障0(0%)0(0%)─濾過胞炎/眼内炎0(0%)0(0%)─表3術後処置Adjustablesuture群レーザー切糸群眼数20眼20眼Adjustablesutureを緩める11(55%)─レーザー切糸4(20%)12(60%)Adjustablesuture調整あるいはレーザー切糸後の前房深度減少0(0%)4(20%)ニードリング1(5%)1(5%)5-フルオロウラシル注射0(0%)0(0%)———————————————————————-Page61438あたらしい眼科Vol.25,No.10,2008(110)たが,有意差がなかった.さらに症例数を増加して検定力を上げる必要があると思われた.また,安全性に関しても,合併症の頻度の比較が困難であり,稀有な合併症の検出もむずかしいと思われた.今回,adjustablesutureを用いた線維柱帯切除術の降圧作用は,従来報告されているレーザー切糸術を使用した線維柱帯切除術の成績に比較して同様であり,合併症に関しては術後眼圧を下降させる処置後の前房深度の安定性が良好であった.さらに症例数を増加させて検討する必要があると考えられた.文献1)Le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