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imo vifa とHumphrey 視野計の比較

2024年6月30日 日曜日

《第12回日本視野画像学会原著》あたらしい眼科41(6):703.706,2024cimovifaとHumphrey視野計の比較栗岡恵坂本麻里島内深希荒井実奈高野史生上田香織和田友紀中西裕子中村誠神戸大学医学部附属病院眼科CComparisonoftheimovifaandtheHumphreyFieldAnalyzerMegumiKurioka,MariSakamoto,MikiShimauchi,MinaArai,FumioTakano,KaoriUeda,YukiWada,YukoNakanishiandMakotoNakamuraCDepartmentofOphthalmology,KobeUniversityHospitalC目的:imovifa(imoV)とCHumphrey視野計(HFA)の結果を比較検討すること.対象および方法:神戸大学附属病院眼科に通院中の,imoVによる視野検査を受けたC18歳以上の患者を対象とした.imoVはCAmbientCInteractiveZippyEstimatedSequentialTesting(AIZE)の単眼測定を右眼から左眼の順に施行し,測定プログラムは前回のCHFAと同じプログラムを採用した.対象者のCimoVと前回のCHFACSwedishCInteractiveCThresholdAlgorithm(SITA)Standardの検査時間およびCmeandeviation(MD)値をCWilcoxon符号順位検定およびCBland-Altmanplotを用いて比較した.結果:33例C66眼の視野検査を解析した.患者の年齢の中央値(四分位範囲)はC61(52.70)歳で,疾患内訳は,緑内障がC18例,非緑内障がC15例であった.検査時間はCimoV右眼:303(247.359)秒,左眼:316(262.363)秒,HFAは右眼:415(368.474)秒,左眼:429(379.487)秒で,imoVがCHFAより有意に短かった(p<0.0001).imoVとCHFAのCMD値は左右眼ともに統計学的有意差はなく,Bland-Altmanplotで固定誤差および比例誤差は認めなかった.結論:imoVではCHFAより短い検査時間で同等の視野検査を行うことができる可能性がある.CPurpose:ToCcompareCtheCresultsCofCtheCimovifa(CREWTCMedicalSystems)(IMOV)andCtheCHumphreyFieldAnalyzer(HFA;CarlZeissMeditec)C.SubjectsandMethods:Thisstudyinvolvedpatientsaged18yearsorolderseenattheDepartmentofOphthalmology,KobeUniversityHospitalwhounderwentvisual.eld(VF)testingwithCtheCimoCvifa.CimoCvifaCwasCperformedCbyCAmbientCInteractiveCZippyCEstimationSequentialCTesting(AIZE)CmonocularCmeasurementCfromCtheCrightCeyeCtoCtheCleftCeye,CandCtheCmeasurementCprogramCwasCtheCsameCasCtheCpreviousHFASwedishInteractiveThresholdAlgorithm(SITA)Standardprogram.Ineachsubject,theexamina-tiontimeandmeandeviation(MD)wascomparedbetweentheimovifaandthesubject’spreviousHFA.ndingsusingtheWilcoxonsigned-ranktestandBland-Altmanplotanalysis.Results:VFexaminationsof66eyesin33patientswereanalyzed.Themedianage(interquartilerange)ofthepatientswas61(52to70)years.Therewere18glaucomapatientsand15non-glaucomapatients.Fortherighteyeandlefteye,respectively,themedianexam-inationtime(seconds,interquartilerange)forimovifawas303(247-359)and316(262-363)C,whilethatforHFAwas415(368-474)and429(379-487)(p<0.0001)C.CThereCwasCnoCsigni.cantCdi.erenceCinCMDCbetweenCimoCvifaCandHFAfortherightandlefteyes,andBland-Altmanplotanalysisrevealedno.xedorproportionalbias.Con-clusions:imovifaCmayallowforcomparableVFtestinginashortertestingtimethanHFA.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C41(6):703.706,C2024〕Keywords:imovifa,ハンフリー視野.imovifa,Humphreyvisual.eld.はじめにの負担軽減を目指して開発された小型軽量の自動静的視野計視野検査は検者・被検者双方にとって負担が大きい検査でである1).imoは暗室不要で,両眼開放下で視野検査を行うあり,imo(クリュートメディカルシステムズ)は視野検査ことができ,また独自の閾値決定アルゴリズムにより検査時〔別刷請求先〕坂本麻里:〒650-0017兵庫県神戸市中央区楠町C7-5-2神戸大学医学部附属病院眼科Reprintrequests:MariSakamoto,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,KobeUniversityHospital,7-5-2Kusunoki-cho,Chuou-ku,Kobe,Hyogo650-0017,JAPANC間が短縮されるため,患者に好評であると報告されている2,3).また,緑内障や脳疾患において従来の自動視野計よりも短時間に,かつ同等の視野測定が可能であることが報告されている2.5).imoは当初ヘッドマウント型視野計として開発されたが,より小型化した据え置き型のCimovifaが登場した.頭部装着がなくなったことにより,被検者は従来型の検査時の圧迫感がなくなり,また検者は検査中の被検者の状態(眼の位置や眼瞼の状態など)を確認しやすくなった.また,非測定眼を遮閉して測定する従来の自動視野計と異なり,imoは両眼開放下で,左右眼で独立した光学系を覗いて検査を行うため,検査開始前に瞳孔間距離や左右眼の位置を正しく調整する必要がある.ヘッドマウント型の場合,顔や頭の形,大きさや被検者の眼の状態によっては,この検査前の調整に時間を要することが問題であった.imovifaではこの点が改善され,また正しい頭部の位置がわかるように液晶画面に表示されるため,被検者自身が画面を見ながら頭部の位置を調整することができ,検査前の調整が容易になった.Cimovifaの登場により,視野検査の負担がさらに軽減されることが期待されるが,imovifaを用いた視野検査の報告はまだ少ない6.8).本研究の目的は,imovifaとCHumphrey視野計(Hum-phreyC.eldanalyzer:HFA)(CarlCZeissMeditec,Inc.)の結果を比較検討することである.CI対象および方法本研究は診療録の後ろ向き調査研究である.2022年C10.11月に神戸大学医学部附属病院眼科を受診した患者のうち,Cimovifaによる視野検査を受けたC18歳以上の患者を対象とした.imovifaによる視野検査と前回の視野検査との間に内眼手術を受けた者は除外した.imovifaは,AmbientInter-activeCZippyCEstimatedSequentialCTesting(AIZE)による単眼視野検査を,両眼開放下で右眼から左眼の順に行った.背景輝度は検査眼,非検査眼ともにC31.5Casbで,視標最大輝度はC10,000Casb,標準視標提示時間はC0.2秒,視標サイズはCGoldmannIIIで行った.テストプログラムは,同患者の前回のCHFA視野検査と同じプログラムを採用した.つまり,前回CHFAがC30-2だった者はCimovifaもC30-2,前回CHFAがC24-2だった者はCimovifaもC24-2で測定した.HFAはCSwedishCInteractiveCThresholdAlgorithm(SITA)Stan-dardを用いて,右眼から左眼の順に測定された.HFA測定時には非測定眼はアイパッチで遮閉された.imovifaと前回HFAの検査時間およびCmeandeviation(MD)値を,Wil-coxon符号順位検定およびCBland-Altmanplotを用いて比較した.有意水準はCp<0.05とし,統計解析はCMedCalcCSta-tisticalSoftware19.3.1(MedCalcSoftwareLtd)を用いた.本研究は臨床研究に関する倫理指針を遵守し,ヘルシンキ宣言に則り行われ,院内の倫理委員会の承認を受けて第C12回日本視野画像学会学術集会において報告した.CII結果33例C66眼の視野検査を解析した.年齢の中央値(四分位範囲)はC61(52.70)歳で,16例(48%)が男性だった.測定プログラムはC30-2がC29例,24-2がC1例,10-2がC3例であった.対象者の過去のCHFA歴の中央値(四分位範囲)はC7(5.15)回で,前回のCHFAからの期間はC8(6.12)カ月であった.対象者の疾患の内訳は,緑内障がC18例,高眼圧症がC3例,視神経低形成がC1例,脳腫瘍がC6例,視神経炎がC3例,その他がC2例であった.CimovifaとCHFAの検査時間とCMD値の結果を表1に示す.検査時間の中央値(四分位範囲)はCimovifaの右眼は303(247.359)秒,左眼はC316(262.363)秒,HFAの右眼はC415(368.474)秒,左眼はC429(379.487)秒で,imovifaがCHFAより有意に短かった(p<0.0001).一方,imovifaとCHFAのCMD値は左右眼ともに差はなかった.imovifaとCHFAのCMD値のCBland-Altmanplotを図1に示す.CimovifaとCHFAの平均差(95%信頼区間,p値)とC95%ClimitsCofagreement(LoA)は,右眼C.0.6CdB(C.1.3.0.1,0.07)とC.4.4.3.1CdB,左眼C.0.5CdB(C.1.1.0.1,0.12)とC.3.9.3.0dBであった.右眼,左眼ともに,imovifaとHFAのCMD値には固定誤差および比例誤差は認めなかった.CIII考按本研究において,imovifaにより検査時間はCHFAの約C27%短縮され,これは従来のヘッドマウント型Cimoを用いた既報と矛盾しなかった2.5).imovifaを用いたCNishidaらの報告では,imovifaで検査時間がCHFAのC39%短縮したが,彼らの研究では検査時間短縮プログラムであるCAIZE-RapidとCHFASITA-Fastが採用されている.筆者らが過去にヘッドマウント型CimoのCAIZE(両眼ランダム測定)とCHFAのSITA-standardを比較した研究では,緑内障眼でCHFAの約25%3),脳疾患患者においてはCHFAの約C20%5)検査時間が短縮された.本研究では両眼ランダム測定ではなく単眼検査を行ったが,単眼検査でも両眼ランダム測定と同様に検査時間が短縮されることがわかった.AIZEはベイズ推定により測定毎に刺激強度を決定し,最尤法を用いて最終的な網膜感度閾値を決定するもので,各検査点における応答を隣接する周囲の検査点に反映し事前の予測精度を高め,閾値決定までの試行回数を低減する.既報と同様に,本研究におけるCimoの検査時間の短縮は,アルゴリズムの違いによるものと考えられる.また,この検査時間には,測定前の設定に要する時間や休憩時間は含まれない.imovifaでは,前述のようにヘッドマウント型Cimoに比べ測定開始前の設定が容易とな表1imovifaとHFAの測定時間およびMD値検査時間(秒)C右眼左眼imovifaC303(C247.C359)316(C262.C363)HFAC415(C368.C474)429(C379.C487)pvalue<C0.0001<C0.0001MD(dB)C右眼C左眼CimovifaC.1.8(C.8.4.C.0.1)C.4.3(C.9.3.C.1.1)CHFAC.1.3(C.7.0.0)C.2.3(C.8.3.C.1.3)Cpvalue0.140.40HFA:humphrey.eldanalyzer,MD:meandeviation.Dataarepresentedasmedian(interquartilerange)C,Wilcoxontest.4左眼MD値(dB)右眼MD値(dB)4322imovifaR.HFAimovifaR.HFA10-10-2-2-3-4-5-4-6-25-20-15Meano-6-10-505-30-25-20-15fimovifaRandHFAMeanofimovifaR-10-5andHFA05図1imovifaとHFAのMD値のBland-AltmanplotimovifaとCHFAの平均差(95%信頼区間,p値)とC95%一致限界は,右眼C.0.6CdB(C.1.3.0.1,0.07)とC.4.4.3.1CdB,左眼C.0.5CdB(C.1.1.0.1,0.12)とC.3.9.3.0CdBで右眼,左眼ともに固定誤差および比例誤差は認めなかった.ったため,設定時間も含めた総検査時間は従来型Cimoよりもさらに短縮される可能性がある.検査時間の短縮は,被検者のみならず検者にも有益であり,imovifaの臨床的有用性を考えるうえで,今後,設定に要する時間も含めた検討が必要と考える.今回の対象において,MD値はCimovifaとCHFAで差を認めなかった.従来型Cimo(両眼ランダム検査)とCHFAを比較した過去の研究では,両者のCMD値の差の平均値(95%LoA)は緑内障3)でC0.4(C.3.3,4.1)dB,脳疾患5)でC0.1(.3.6,3.9)dBで,本研究の結果と同様であった.また,CimovifaとCHFAを比較した既報6,8)でも両者のCMD値には差がなく,Nishidaらの報告では両者の差の平均値(95%LoA)はC.0.1(C.3.8,3.5)dBで,本研究と同様であった.よって,imovifaでも,ヘッドマウント型と同様に,従来の自動視野計と同等の視野検査ができる可能性がある.本研究の問題点として,少数の対象者における後ろ向き解析であり,事前にサンプルサイズを設定していないことがある.今後,必要な症数例における追試験が必要である.また,対象者はCHFAの経験は十分あるものの,imoの経験者はC1名のみで,全例がCvifaは初回であったことが結果に影響した可能性がある.今後,imoの経験を増やした対象で追試験が必要である.また,本研究の対象者には選択バイアスがある.今回対象となった患者は,病状が安定しCHFAで視野結果が安定しており,HFAからCimovifaに変更しても問題がないと判断された患者のみで,病状が進行している症例は対象には含まれていない.対象者は病状が安定しているため,頻回の視野検査はされておらず,本研究でCimovifaの結果と比較した前回CHFAは約半年からC1年前に測定されたものであった.病状が安定しているとはいえ,前回CHFAとCimovifaの期間が開いているため,前回から視野障害が進行した可能性はあり,結果に影響をおよぼした可能性がある.結果としては,全例が視野障害は概ね変化なしと判断され,引き続き経過観察されている.結論として,imovifaは,短い検査時間でCHFAと同様に視野検査を行うことができた.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)MatsumotoC,YamaoS,NomotoHetal:Visual.eldtest-ingCwithChead-mountedCperimeter‘imo’.CPLoSCOneC11:Ce0161974,C20162)北川厚子,清水美智子,山中麻友美:アイモC24plus(1)の使用経験とCHumphrey視野計との比較.あたらしい眼科C35:1117-1121,C20183)林由紀子,坂本麻里,村井佑輔ほか:緑内障診療におけるアイモ両眼ランダム測定の有用性の検討.日眼会誌C125:C530-538,C20214)KimuraCT,CMatsumotoCC,CNomotoH:ComparisonCofChead-mountedperimeter(imoCR)andCHumphreyCFieldCAnalyzer.ClinOphthalmolC13:501-513,C20195)SakamotoCM,CSawamuraCH,CAiharaCMCetal:AgreementinCtheCdetectionCofCchiasmalCandCpostchiasmalCvisualC.eldCdefectsCbetweenCimoCbinocularCrandomCsingle-eyeCtestCandCHumpheryCmonocularCtest.CJpnCJCOphthalmolC66:C413-424,C20226)NishidaT,EslaniM,WeinrebRetal:Perimetriccompar-isonbetweentheIMOvifaandHumphreyFieldAnalyzer.JGlaucomaC1:32:85-92,C20237)FreemanSE,DeArrigunagaS,KangJetal:Participantexperienceusingnovelperimetryteststomonitorglauco-maprogression.JGlaucomaC32:948-953,C20238)KangJ,DeArrigunagaS,FreemanSEetal:ComparisonofCperimetricCoutcomesCfromCaCtabletCperimeter,CsmartCvisualCfunctionCanalyzer,CandCHumphreyC.eldCanalyzer.COphthalmolGlaucomaC6:509-520,C2023***